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もやもや病の症状、大人と子どもでの違いや注意すべきポイント

もやもや病の症状、大人と子どもでの違いや注意すべきポイント

もやもや病とは、脳の重要な血管である内頸動脈が細くなり、代わりにもやもやとした異常な血管が増える病気です。大人と子どもでは、もやもや病の症状の出方やタイプ、そして注意点が異なります。

この記事では、もやもや病の大人と子どもの違いや注意すべきポイントについて述べていきます。

もやもや病とは?

もやもや病は、脳の血管に生じる病気で、脳の中の内頸動脈という重要な血管の終末部が徐々に細くなっていきます。人口10万人あたり3〜10.5人程度いると考えられており、日本人に多く見られます。

脳血管は脳に酸素や栄養を供給していますが、血管が細くなるにつれて脳の血流が足りなくなり、その足りなくなった血流を補うために、周囲に異常な血管(もやもや血管)が網のように出現します。このため、もやもや病では、脳血流不足による脳の虚血(きょけつ)や、異常に発達した細い血管が切れることでの脳出血が起こります。

もやもや病の原因ははっきりしていませんが、ある特定の遺伝子を持つ方で発症しやすい傾向があるようです。

もやもや病 子供と大人の症状
Moyamoya disease symptoms

 

もやもや病の症状は大人と子どもでは異なる?注意すべきポイントは?

もやもや病の症状は大きく分けると、脳虚血(脳血流が不足すること)、脳出血となります。その他にも、頭痛やけいれんといった症状がでることもあります。

さらに大人と子どもでは、もやもや病の症状の出方やタイプ、そして注意点が異なります。

子どもの症状

子どもの場合は、脳虚血症状がほとんどで、脳出血はまれとされています。

脳虚血症状としては、手足が動かしづらい、言葉がうまく出ない、手足や顔面が痺れる、などの症状が急に起こります。

特に、子どものもやもや病では、呼吸が激しくなること(過呼吸:かこきゅう)によって、この発作が起こりやすくなることが知られています。過呼吸となる場面としては、うどんなどの熱い食べ物を「フーフー」と吹く、リコーダーや鍵盤ハーモニカを吹く、または歌を歌ったり、大笑いしたりすること、激しく泣くことなどがあります。

こうした行動などによる一過性脳虚血発作は、自然に治りますが、脳梗塞の前触れなので、軽視してはなりません。特に、小さな子どもほど進行が早く、脳梗塞になる危険性が高いので、注意が必要です。

大人の症状

一方、大人の場合は、脳の血流不足を補うための側副血行路が破れて出血する、脳出血が起こることが多いです。

脳出血は、もやもや病による死亡や後遺症の最大の原因とされています。

脳卒中は手術しなくても治療できる時代です。

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もやもや病の検査や治療法は?

ここでは、もやもや病の検査や治療法について解説します。

もやもや病の検査

もやもや病かどうかを検査する方法としては、MRI(磁気共鳴画像診断)・MRA(磁気共鳴血管造影)、脳血管造影検査(カテーテル検査)、脳血流検査、の3つが代表的です。

  • 検査方法
  • ・MRI(磁気共鳴画像診断)、MRA(磁気共鳴血管造影)
  • ・脳血管造影検査(カテーテル検査)
  • ・脳血流検査

いずれの検査も、安静にして行う必要があるので、小さな子どもの場合には、眠たくなる薬を使う場合が多いです。

もやもや病の治療

もやもや病の治療の目的は、脳梗塞や脳出血を防ぐこととなります。

治療法としては、薬による治療と、脳血流量を増やすためのバイパス手術があります。

  • 薬による治療

  • ・薬による治療は、抗血小板薬で血液が固まるのを防ぐ方法があるが効果に限界。
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  • バイパス手術

  • ・バイパス治療については、虚血型もやもや病の場合に、脳梗塞を予防する効果が認められています。
  • ・バイパスの治療には、頭皮の血管を脳血管に直接つなぎ合わせる「直接バイパス」
  • ・頭皮に血管をつけたまま血流豊富な組織として脳の表面に接触させて、新たな血管が生えるのを待つ「間接バイパス」
  • ・これらを組み合わせる手術があります。
  • ・大人の手術では、「直接バイパス」のみ、または間接と直接を組み合わせた「複合血行再建術」が行われます。
  • ・子どもの手術は、「間接バイパス」のみ、 もしくは「複合血行再建術」が行われ予後の改善効果がそれぞれ報告されています。

 

もやもや病についてよくある質問

Q1 「もやもや病」の人はすべて手術をするのですか?

A1 症状が多発していない患者さんの場合は、すぐに手術をする必要はありません。

しかし、脳虚血症状がすでにある人や、脳血流検査での血流低下が認められる方、あるいは過去に頭蓋内出血の既往がある方に対しては手術を勧めるのが一般的です。

また、子どもの場合は、将来の脳虚血や出血予防のために、手術適応は広く考えられています。

これらの観点を元に、もやもや病の経験豊富な医師が的確な検査や年齢、患者さんの状況を総合的に検討・判断して手術適応が決まります。

Q2 子どもの「もやもや病」の予後はどのようになっていますか?

A2 子どものもやもや病の場合は、ほとんどが脳虚血発作なので、大きな脳梗塞が起こる前に、バイパス手術を受けることができれば、その後脳梗塞を発症することは少ないとされています。

社会生活については、8割以上の子どもたちが通常の生活を送ることができます。一方、2割弱は普通学級への就学困難、もしくはその後の就職が困難になってしまうようです。

診断が遅れ、手術治療を受ける時点ですでに脳梗塞が起こってしまっていると、その後の社会生活に支障が出てしまう可能性がありますので、早期診断と適切なタイミングでのバイパス手術がとても重要です。

まとめ・もやもや病の症状、大人と子どもでの違いや注意すべきポイント

今回は、子ども・大人のもやもや病の違いについて解説しました。

脳梗塞や脳出血をきたす前に、もやもや病の診断・治療を受けることが大切です。脳梗塞や脳出血後の後遺症に対しては、機能回復のためのリハビリテーションが行われますが、再生医療を組み合わせることで、身体機能の改善効果の向上が期待できます。

この記事がもやもや病の大人と子どもの違いについての理解を深めるのに役立てば幸いです。

 

No.S143

監修:医師 加藤 秀一

脳卒中の治療

参考文献

もやもや病…ここまできた診断・治療 

日本小児神経外科学会|小児もやもや病

 

▼もやもや病の情報、以下も参考にされませんか
もやもや病がまねく脳梗塞のリスク因子と予防策について解説

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