骨頭壊死とは|その症状や予防法、治療法
目次
骨頭壊死とは|その症状や予防法、治療法を解説します
骨頭壊死は、大腿骨などの太い骨の先端である骨頭が何らかの原因で壊死してしまう疾患です。
骨頭が壊死しただけでは症状は出ませんが、骨が潰れ、変形が進むと突然の股関節痛などの症状が現れます。
今回の記事では、骨頭壊死の症状や予防法について解説していきます。また、治療法として「再生医療」の可能性についても触れていきますので、ぜひ参考にしてください。
骨頭壊死とは?
骨頭壊死(こっとうえし)とは、関節を構成する骨の先端である骨頭に、病気や怪我などが原因となり血液が十分に流れなくなった結果、骨の一部が死んでしまう、つまり壊死してしまうことです。
多くは、太ももの骨である大腿骨(だいたいこつ)の上端部、つまり股関節で多くみられるとされています。また、大腿骨の下端部の膝関節でも骨頭壊死が起こることがあります。
股関節の大腿骨頭壊死の中でも、脱臼や骨折など、血液の供給が不足するような原因が明らかでない場合に起こるものを、特発性(とくはつせい)大腿骨頭壊死症といいます。
特発性大腿骨頭壊死については、以下のような病期分類があり、骨頭の圧壊(あっかい)、つまり、骨の潰れや変形によって進行度合いが区分されています。
引用) 071 特発性大腿骨頭壊死症
大腿骨頭壊死の原因
大腿骨の骨頭は、股関節内に深くおさまって血管が少ないという特徴があります。そのため、何らかの原因で血流障害が起こると、骨に栄養や酸素などが運ばれなくなり、壊死が起こってしまうのです。
大腿骨頭壊死は、股関節の骨折や股関節の脱臼に引き続いて起こることがあります。
特発性大腿骨頭壊死の場合は、危険因子として、免疫異常の疾患(膠原病)や臓器移植などによるステロイド投与による副作用、アルコール、喫煙が関連していることがわかってきています。
特に、ステロイドやアルコールについては国際的に基準が設けられており、ステロイドやアルコールをある程度の量を摂取した方に起こった大腿骨頭壊死では、ステロイドやアルコールとの関連が考えられます。
大腿骨頭壊死の症状(骨がつぶれて起こる痛み)
大腿骨頭壊死になるとどうなるのでしょうか。
実は、「壊死があるだけでは痛みなどの症状は出ません。」大腿骨頭の壊死が進み、骨が潰れてしまうと、症状が出現します。
自覚症状としては、急に起こる股関節痛や、腰痛、お尻の痛みなどがあります。また、初めの痛みは安静によって数週間で自然治癒することもあるのですが、再び痛みが強くなった場合には、骨の潰れの程度が悪化してしまっていることがあります。
大腿骨頭壊死が起こっていても、初期の段階ではレントゲンでは異常が発見できないため、ステロイド使用歴やアルコールを大量に飲む人に、股関節の痛みがある場合には、MRI検査が望ましいとされています。
|
骨頭壊死の予防方法と治療法
では、大腿骨頭壊死の予防方法や治療法についてご説明します。
予防方法
上述のように、股関節の大腿骨の骨折や、股関節脱臼などの怪我が骨頭壊死の原因となることがあります。
そのため、スポーツなどの際には、歩きやすい靴を履いたり、適切な防御具などを身につけたりなどして、転倒を防ぐように注意すると良いでしょう。
特発性大腿骨頭壊死の予防としては、お酒の飲みすぎやステロイド剤の使用に注意するということが考えられます。ステロイドによる大腿骨頭壊死の予防法は、現時点では確立されたものはありませんが、今後の研究に期待が持たれるところです。
MRIなどで、骨頭壊死を早期発見し、早期治療を行うことも大切とされています。
アルコールについては、適量を飲むようにすることが重要です。
治療方法
大腿骨頭壊死の治療法は、大腿骨頭壊死の病期や、患者の年齢や活動の活発さ、また片側か両側かによって決まります。
壊死がごく小範囲であれば、自然治癒することも報告されているようです。
また、壊死の範囲が小さく、まだ症状が出ていない場合には、保存療法の適応となります。
つまり、杖などで股関節に負荷がかかるのを防ぎます。
一方、自覚症状があり、大腿骨頭の変形の進行が予想されるときは速やかに手術適応となります。
若い人には自分の関節を残す骨切り術が第一選択となりますが、壊死範囲が大きい場合や骨頭の変形が進んでいる場合には、人工関節置換術などが必要となることもあります。
最近では壊死部の骨再生を促す再生医療の臨床研究もおこなわれています。
骨頭壊死についてよくある質問
骨頭壊死について患者様からよくお聞きする質問を以下に抜粋しました。
Q. 大腿骨頭壊死では必ず股関節が痛くなるの?
A. 骨壊死が発生した時点では自覚症状はありません。
症状は骨壊死に陥った部分が潰れて大腿骨頭に圧壊が生じたときに出現します。
大腿骨頭壊死症の発生から症状が出現するまでの間には数ヵ月から数年の時間差があります。
必ずしも、股関節が痛くなることばかりではないため注意が必要です。自覚症状としては、比較的急に生じる股関節部痛が特徴的ですが、腰痛、膝痛、殿部痛などで初発する場合もあります。
Q.大腿骨頭壊死では、必ず手術が必要なの?
A.骨頭壊死の病期によっては、手術が必要となる場合もあります。
一方、再生医療で骨頭壊死を治療するという試みも始まっています。
当院では、エコーや特殊なレントゲン装置、そして特殊な注射針を使用して股関節内の軟骨損傷している部位を精査して、ダイレクトに幹細胞を注入する再生医療を用いた治療を行っています。
また、PRP(多血小板血漿)の併用で、さらなる効果の増強を目指しています。
まとめ・骨頭壊死とは|その症状や予防法、治療法
今回は、骨頭壊死の痛みや予防法について述べました。
大腿骨頭壊死が進行し、変形が進むと、人工股関節置換術を選択することが多いとされていますが、再生医療の発達により、治療法の選択肢が広がったとも言えます。
大腿骨頭壊死に対しての再生医療にご興味がある方は、ぜひ一度当院へご相談してみてください。
▼こちらの参考にしてください
大腿骨頭壊死(難病)とはどんな病気?