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大腿骨頭壊死|どこが痛み、どう動かなくなる、診断方法と治療について

大腿骨頭壊死|どこが痛み、どう動かなくなる、診断方法と治療について

大腿骨頭壊死は股関節を構成している大腿骨頭の血流が何らかの理由で途絶えてしまい、骨が壊死してしまう原因不明の難病です。

この記事では大腿骨頭壊死の初期症状としてどこが痛いのか、その動きの特徴や診断や検査の方法、治療の内容や最新治療についても解説していきます。

大腿骨頭壊死症 初期症状

大腿骨頭壊死とは

大腿骨頭の一部が、何らかの原因で血流が途絶えてしまい、骨組織が壊死してしまう病気です。

特発性という原因が不明の大腿骨頭壊死では、危険因子としてステロイドの内服、アルコール、喫煙が関連していることがわかってきています。厚生労働省から指定難病に指定されており、医療費補助の対象となっています。

初期に現れる股関節の痛みや、動きの特徴に注意!

大腿骨頭は股関節を構成しています。大腿骨の先端にあるボールの形をした大腿骨頭と、骨盤側で大腿骨頭の受け皿になる深いお椀の形をした臼蓋との組み合わせで股関節は構成されています。

①どこが痛む:足の付け根の痛み

大腿骨頭壊死の初期症状は足の付け根の痛みです。しかし、注意点として血流が途絶えて壊死が起きるごく最初の段階では痛みは起こりません。壊死に陥った部分に負荷が加わることで骨が潰れてくることによって、徐々に痛みが出現します。

骨壊死が起こることと、痛みが出現するタイミングには時間的に差があることに注意が必要です。そのため、骨壊死はあっても、壊死の範囲が小さい場合などでは痛みを起こさないこともありえます。

②どう動かなくなる:股関節の関節可動域が制限

病気が進行して、壊死した部分が潰れて大腿骨頭が変形すると、陥没した部分で関節の不適合、不安定性から軟骨のすり減りが進行してしまいます。

その結果、変形性関節症を生じ、放置したままだと軟骨がなくなってしまい、骨同士がぶつかることで変形性関節症が悪化してしまいます。

変形性関節症が進行すると、痛みだけでなく、股関節の関節可動域が悪くなってしまいます。

股関節は曲げ伸ばしだけでなく、内旋、外旋などの動きがあるので、病気が進行すると胡座(あぐら)や爪切り、和式トイレ、階段の上り下りが困難になってしまいます。さらに進行すると、筋力が低下してしまい、歩行することが困難になってしまいます。

  • 大腿骨頭壊死で困難になること

  • ・胡座(あぐら)
  • ・爪切り
  • ・和式トイレ
  • ・階段の上り下り
  • ・筋力低下による歩行困難

そのため、初期症状である痛みがある段階で早めに病院で診察を受けることが重要です。

大腿骨頭壊死の診断方法

大腿骨頭壊死における画像検査にはレントゲンとMRI検査が有効です。それぞれの特徴について解説していきます。

レントゲン撮影

レントゲンは一般的な診断手法であり、大腿骨頭壊死の評価にも使用されます。レントゲンは骨の形状や変化を評価でき、簡便なので最初の検査として行われることが一般的です。しかし、大腿骨頭壊死の初期の段階ではレントゲンだけでは診断が難しいこともあります。

MRI

MRIは大腿骨頭壊死の診断に非常に役立ちます。壊死の範囲の評価だけではなく、骨折や関節炎などの別の病気の診断にも使用することができます。

大腿骨頭壊死の治療

治療は年齢などのご本人の状態、病気の範囲や部位など総合的に判断して決定されます。

保存治療

早期の症状や軽度の大腿骨頭壊死では、痛みを緩和するために安静や杖による免荷、身体活動の制限、重量物の運搬禁止などを行います。痛みに対しては消炎鎮痛薬の内服や湿布などを行います。しかし、これらの方法で病気の進行を防ぐことはできないので、進行が考えられる状態や、進行しつつある状態のときには変形が進む前に手術治療を受ける方が治る可能性は高くなります。

手術治療

手術は大きく骨を切って関節を温存する骨切り術と、壊死した骨を切除して金属に置き換える人工関節置換術に分けられます。

骨を切る手術では壊死した部分に体重がかからないように大体骨頭を弯曲させたり、回転させる手術が行われます。骨を切った後は専用の金属で固定をするため、一定期間の安静が必要ですが、自分の関節を温存できるメリットがあります。しかし、病気が進行する可能性はゼロではありません。

人工関節手術では大腿骨頭だけを置き換える人工骨頭置換術、骨盤側にも金属をいれる人工股関節全置換術があります。基本的には手術翌日から歩行訓練が可能で、リハビリが早いというメリットがありますが、人工関節のためスポーツは制限が必要であり、将来的な再手術の可能性もあります。

股関節の痛みは⼿術しなくても治療できる時代です。

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大腿骨頭壊死に対する再生医療

人工関節手術に至らないようにする治療として再生医療があります。

再生医療は近年開発された新しい治療法で、ご自身の細胞から培養した幹細胞などを投与します。幹細胞を股関節に注射することによって、すり減った軟骨が再生され、痛みが和らぐので手術をしなくても改善する可能性が高まります。

大腿骨頭壊死に対する再生医療についてのQ&A

1.股関節への幹細胞の注射はどのようにするのですか。

回答:股関節は体の奥深くにあるので、注射をすることが難しい部位です。当院ではエコーや特殊なレントゲン装置を使うことによって、股関節内にピンポイントで注射をすることが可能です。

2.幹細胞はどのように作成するのですか。

回答:当院ではご自分の脂肪から幹細胞を培養して作成しています。脂肪は下腹部周辺に局所麻酔をして採取し、細胞加工室で時間をかけて培養します。脂肪由来の幹細胞は骨髄や滑膜内臓の幹細胞よりも体への負担が少ないことがわかっています。

まとめ・大腿骨頭壊死|どこが痛み、どう動かなくなる、診断方法と治療について

大腿骨頭壊死症は骨を栄養している血流が途絶えることによって発症する、現時点でも原因が不明の難病です。

初期症状は足の付け根の痛みであり、病気が進行すると人工関節手術を受けなくなってしまうかもしれません。当院の再生治療は幹細胞を股関節内に投与することで軟骨の修復が可能な最新の治療です。痛みでお困りの際にはいつでもお気軽にご相談ください。

 

No.148

監修:医師 坂本貞範

変形性股関節症の治療

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