頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる治療方法は?日常生活の注意点
公開日: 2023.11.27更新日: 2024.11.06
「頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる治療方法は?」
「頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげるための注意点は?」
頚椎椎間板ヘルニアは、頚椎と頚椎の間にある椎間板と呼ばれるクッションのようなものが後ろに飛び出して、神経を圧迫してしびれや痛みなどが生じる病気です。
頚椎椎間板ヘルニアの症状が緩和されないときは、医療機関で専門家に相談しながら、今後の治療方針を検討する必要があります。
自分の症状に合わせた治療方法を知るためにも、頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる治療方法を医師が解説します。
最後まで読んでいただければ、負担を減らすためにできる日常生活での注意点も理解できるので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
頚椎椎間板ヘルニアの原因と発症メカニズム
首の部位にある背骨を医学用語で「頚椎(けいつい)」と呼びます。背骨は頚椎が積み重なるようにして、作られているのが特徴です。
頚椎の間には「椎間板(ついかんばん)」と呼ばれるクッションのような構造があります。
椎間板は、ゴムのような線維性軟骨からなる環状部分(繊維輪)と、ゼリーのような柔らかい(髄核)でできています。
以下画像のように、頚椎椎間板ヘルニアとは、椎骨の間にある椎間板が後ろに飛び出てしまい、脊髄や神経根が圧迫されて症状が出る病気です。
また、頚椎椎間板ヘルニアは、椎間板が加齢などの理由で変性して、後ろのほうへ突出して起こるのが原因です。
30〜50代の働き盛りの方に多く、誘因なく、突然発症する場合も多い傾向にあります。
悪い姿勢での仕事や、スポーツなどがきっかけとなる場合もあるでしょう。
ほかにも、頚椎椎間板ヘルニアの症状としては、急な首の痛みに引き続き、腕や手指のしびれが特徴です。
飛び出した椎間板が大きく、脊髄を圧迫してしまうと、歩行障害や手指の運動障害が生じる可能性もあります。
頚椎椎間板ヘルニアの診断・検査
頚椎椎間板ヘルニアの診断には、首の骨のレントゲン撮影やCT検査、MRI検査などが行われます。
MRI検査では、変性した頚椎の椎間板や、頚椎椎間板ヘルニアの確認が可能です。
椎間板が後ろのほうへ飛び出している場合、脊髄や神経根が圧迫されているか、また程度の確認も行う流れです。
画像検査の結果と症状を照らし合わせながら、矛盾がない場合は、頚椎椎間板ヘルニアの症状であると診断できます。
また、首を斜め後ろへ反らすと、腕や手に痛みが走るのも症状の特徴なので、診断の際にはこのような手技が用いられる場合もあります。(文献1)(文献2)
頚椎椎間板ヘルニアのテスト
頚椎椎間板ヘルニアの確認方法として、以下のようなテストが行われます。
・頚椎伸展テスト:首を後ろにそらすと、腕から手指にかけてのしびれや痛みが増強します。 ・ジャクソンテスト:頭を少し後ろにして首をそらし、頭を上から圧迫すると、腕から手指にかけて痺れや痛みが出てきます。 ・スパーリングテスト:頭を症状のある方向へ傾けると、腕から手指にかけてしびれや痛みが出てきます。 |
頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる治療方法
頚椎椎間板ヘルニアの治療法は、症状の程度によって「保存的治療」もしくは「外科的治療」に分けられます。まずは症状が軽いときの治療法から解説します。
・保存的治療 ・外科的治療 |
保存的治療
頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる方法には、鎮痛薬や神経ブロックなどの薬物治療、牽引(けんいん)治療、理学療法が行われます。
また、頚椎椎間板ヘルニアによる症状は、ヘルニアが自然に吸収されると自然に治癒する例も多数報告されています。(文献3)(文献4)
そのため、まずは保存的な治療で様子をみていく場合が多いです。
薬物治療
痛みが強いときには、首の安静保持を心がけます。
また、鎮痛薬の内服や神経ブロックを行う場合もあります。
牽引治療
頚椎カラー装具で首を固定したり、首の牽引治療を行ったりする場合もあります。
首の牽引治療を行うと、理学療法のみの場合よりも、治療開始5週間後の握力の回復が優れていたという報告も見受けられました。
また、頚椎の牽引を行うと神経根が減圧され、再髄鞘化と血流の改善が起こると考えられています。
理学療法
頚椎椎間板ヘルニアを含み、頚椎が変性して起こる疾患には理学療法も効果的です。
理学療法としては、マッケンジー法や首のエクササイズなどがあります。
マッケンジー法では、首の反復運動の検査や姿勢保持検査を行い、症状を見ながら運動療法の内容や負荷、強度などの治療方法を決めていくものです。
運動の内容としては、首の曲げ伸ばし、側屈、回すことなどを組み合わせて行います。(文献5)
外科的治療
保存的治療の開始から約3カ月経っても症状の改善がないときは、手術を考慮したほうが良いという報告もあります。
また、早く症状を改善したい希望が強い場合にも、外科的手術が推奨されます。
ほかにも、脊髄症の症状である運動麻痺が強く出ているときも、手術が考慮されるのが一般的です。
外科的手術の方法としては、以下が標準的な術式として推奨されています。
・前方除圧術 ・前方除圧固定術(文献6) |
頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる方法【日常生活の注意点2つ】
日常生活での動作に注意しておくと、ヘルニアを含め、頚椎症による神経症状の悪化をある程度予防できると考えられています。
また、頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる行動にもつながるでしょう。
頚椎椎間板ヘルニアに限らず、頚椎の変性で起こる病気について、日常生活での注意点をご紹介します。
・良い姿勢を保つ ・寝るときに面積が広い枕を使う |
良い姿勢を保つ
保存的治療や予防の段階では、頚椎に負担をかけないためにも、良い姿勢を保つのが大切です。とくに、後屈(後ろに反らす動作)を避けるのが重要になります。
【負担をかけないためのポイント】
・上を見上げる姿勢は取らない |
寝るときに面積が広い枕を使う
頸椎への負担を減らすには、寝方にもポイントがあります。
寝るときは、頭だけでなく首もしっかりと固定できるような、面積の広い枕を選びましょう。(文献7)
まとめ|頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる治療方法で悪化を防ごう
頚椎椎間板ヘルニアで症状が重い方には、手術療法が選択されます。
一方で、手術を行っても脊髄や神経根の損傷が完全に修復されない場合もあります。結果として、しびれや痛みといった症状が残ってしまう場合もみられるでしょう。
頚椎椎間板ヘルニアの痛みが和らがないときは、医療機関への受診を検討する必要があります。
当院リペアセルクリニックでは、脂肪由来の幹細胞を使用した脊髄腔内ダイレクト注射療法を使い、傷ついた神経の再生を試みています。
頚椎椎間板ヘルニアの手術を受けても、なかなか症状が改善しない方、痛みが続く方は、ぜひ一度当院までご相談ください。
【リペアセルクリニックへのご相談方法】 |
▼再生医療による治療事例については、以下の動画もぜひご覧ください。
頚椎椎間板ヘルニアに関するよくあるQ&A
頚椎椎間板ヘルニアに関するよくある質問と答えをまとめています。
Q.頚椎椎間板ヘルニアの入院期間・休業期間は?
A.一般的な入院期間、休業期間は以下のとおりです。
・入院期間(リハビリなども含め):10〜14日ほど
・休職期間(手術を行なった場合):2〜3週間ほど
頚椎椎間板ヘルニアの治療に関する詳細は、以下の記事も参考になります。
Q.頚椎椎間板ヘルニアのストレッチ方法は?
A.首の筋肉を始め、胸の前側にある筋肉のストレッチを行うのがおすすめです。
ただし、違和感や痛みがある場合、無理にストレッチを行わないように注意しましょう。
ストレッチの方法については、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
Q.頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないことは?
A.以下の5つがあげられます。
・スポーツでの違和感は放置しない
・姿勢が良くないまま過ごさない
・体重管理をせず体に負担をかけない
・自転車・バイクなどに乗って負担をかけない
・喫煙を習慣化しない
詳細については、以下の記事も参考にしてみてください。