肝嚢胞とは肝臓にできる水ぶくれ!原因・症状・治療法などを医師が解説
投稿日: 2024.05.09更新日: 2024.11.06
肝嚢胞とは、肝臓の組織に液体がたまって袋状になったものです。
健康診断や人間ドックで発見されるケースが多く、実際に約5人に1人の割合で健康診断の検査項目に含まれる腹部超音波検査で肝嚢胞が見つかるデータもあります。(文献1)
そのため、突然の診断に不安をもつ方もいるのではないでしょうか。
肝嚢胞の多くは良性で無症状のケースが多い傾向にあります。しかし、肝嚢胞が大きくなったり、肝嚢胞が炎症を起こしたりすると腹痛や発熱などの症状を引き起こす可能性もあります。症状に応じた適切な治療を選択できるように、肝嚢胞の特徴をよく理解しておきましょう。
本記事では、肝嚢胞の原因や症状などを詳しく解説します。治療法も紹介しているので、肝嚢胞の診断を受けて不安を感じている方は参考にしてみてください。
目次
肝嚢胞(肝のう胞)とは
肝嚢胞とは、肝臓にできる液体がたまった袋状のものを指します。
出典:Liver Cyst Symptoms & Treatment | Nexus Surgical
肝嚢胞の種類は、大きくわけて以下の2つです。
・孤発性肝嚢胞 ・多発肝嚢胞 |
「孤発性肝嚢胞」は、肝嚢胞の数が1〜3個程度で単発的に発生する肝嚢胞です。肝嚢胞の大きさが5cm以下程度の小さいものであれば無症状のケースが多くなります。
まれにサイズが5〜10cmを超えるような大きい肝嚢胞もできます。このサイズになると、周りの臓器が圧迫されてお腹が苦しくなったり、腹痛を感じたりする場合があるので覚えておきましょう。ただし、肝臓自体への影響は少なく、血液検査で肝機能の異常が見つかるケースはほとんどありません。
「多発肝嚢胞症」は、肝嚢胞が肝臓に多発する病気です。こちらは孤発性とは異なり、嚢胞の数が増えたり大きくなったりするケースが多く、それによる周囲への圧迫症状が見られやすくなります。また、嚢胞内の感染や出血で炎症を引き起こし発熱や肝機能異常をおよぼす可能性もあります。
肝嚢胞以外の脂肪肝や肝硬変、肝炎といった肝臓の病気には「再生医療」の治療法が効果的です。再生医療とは、人間の自然治癒力を活用し、損傷した肝臓の組織を修復する最新の医療技術です。
詳しい治療方法や効果が気になる方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。
以下の記事では、肝臓の働きや肝臓の病気について解説しています。詳細が気になる方は、参考にしてみてください。
肝嚢胞の原因
肝嚢胞の発生原因は、現時点では明確にわかっていません。
肝嚢胞ができるのは40歳から60歳の女性に多いことから、女性ホルモンの1種であるエストロゲンが関連しているという説があります。
以下の記事では、女性に多い肝臓の病気を解説しています。検査方法や合併症に関する情報も紹介しているので、詳細が気になる方はあわせてご覧ください。
なお、肝嚢胞は、エキノコックスという寄生虫の感染によって肝嚢胞ができるケースがあります。エキノコックスは、キツネやイヌの糞に含まれており、口を介して感染します。(文献2)
肝嚢胞の症状
くりかえしですが、肝嚢胞はほとんどが良性なので、肝嚢胞そのものが体に悪い影響をおよぼす可能性は高くありません。
肝嚢胞が5cm以下ほど小さめのサイズであれば、無症状のケースが大半です。
5〜10cmを超えるような大きいサイズの肝嚢胞になると、周りの臓器を圧迫してお腹が苦しくなったり、腹痛を感じたりする場合があります。
また、嚢胞内の感染や出血で炎症が起これば、発熱や肝機能異常を引き起こす可能性があります。症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
肝嚢胞の検査
冒頭で述べた通り、肝嚢胞は健康診断や人間ドックの腹部超音波検査検診で見つかるケースが多い傾向にあります。つまり、腹部超音波検査検診は肝嚢胞を発見する有効な検査といえるでしょう。
ほかには、腹部CTやMRIによっても確認できます。
CTやMRIでは、嚢胞の壁や嚢胞液の性状を詳しく調べられる検査です。超音波検査で嚢胞の性状が通常と異なっている場合や、嚢胞に対して治療を検討する場合にさらに詳しい情報を得るための検査としておこなわれます。
肝嚢胞の治療法
肝嚢胞は、圧迫症状がなければ治療はおこなわず、経過観察で良いものになります。
肝嚢胞のサイズが大きく圧迫による腹部症状をきたしている場合や、嚢胞内感染などを起こしている場合には治療をおこないます。
治療方法は、注射で嚢胞内の液を吸引して肝嚢胞を縮小させる方法です。超音波で嚢胞を確認しながらおこないます。その後、エタノールを注入して嚢胞内に再び液体がたまらないようにします。
根本的な治療としては、嚢胞を切開、切除する手術です。近年では腹腔鏡による手術もおこなわれ、より体に負担の少ない治療方法が広まっています。
傷付いた肝臓組織を修復する治療法の1つに「再生医療」があります。人間の自然治癒力を活用した治療なので、手術のように身体への大きな負担はありません。
詳しい治療方法や効果が気になる方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。
まとめ|肝嚢胞への理解を深めて適切な対応をとろう
肝嚢胞は多くの場合、無症状で偶然見つかるもので、症状がなければ経過観察で良いものになります。したがって、肝嚢胞と診断されても極端に心配する必要はありません。
しかし、大きい嚢胞では腹痛やお腹の圧迫感の症状が現れることがあるほか、まれにがん化する事例も報告されています。気になる症状があれば早めに専門の医療機関に相談しましょう。
損傷した肝臓組織を修復するなら「再生医療」がおすすめです。本来なら手術しなければいけない状態でも、再生医療で治療できる可能性があります。
詳しい治療方法や効果が気になる方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。
肝嚢胞に関するよくある質問
最後に肝嚢胞に関するよくある質問と回答をまとめます。
肝嚢胞が何センチになったら手術が必要ですか?
手術の必要性を判断する明確なサイズの基準はありません。
嚢胞のサイズよりも、症状の有無や生活への影響が重要な判断材料となります。たとえば、嚢胞が腹部を圧迫して腹痛が生じたり、胃を圧迫して食欲不振になったりするなどです。
注射で肝嚢胞の液体を吸引する治療法もあるので、専門医と相談して自分の状態に合った治療法を選択していくのが良いでしょう。
肝嚢胞になったらどうすればいいの?
肝嚢胞と診断を受けた時点で、担当医に今後の治療方針を相談しましょう。
無症状であれば、定期的な経過観察を推奨される可能性があります。肝嚢胞がほかの臓器を圧迫して圧迫感や痛みを感じる場合は、注射吸引による液体の除去や肝嚢胞を切開・切除する手術などが進められます。
肝嚢胞でがんを発症するリスクはありますか?
肝嚢胞が、がん化した事例も報告されています。(文献3)
がんの場合、早期発見が重要になります。体調不良や身体の違和感が長期間続く場合は、迷わず医療機関で検査を受けましょう。