シンスプリントはこれで克服!実証済みの治療法とリハビリテーション
公開日: 2024.07.11更新日: 2024.10.07
シンスプリントは、主にランナーやアスリートの間でみられる症状で、すねに痛みを引き起こす状態です。オーバートレーニングや不適切な運動が原因となり、すねの骨に過度のストレスがかかる結果、炎症や筋肉の微細な損傷を引き起こします。初期症状の場合は運動中に痛みが出現しますが、重症化すると立っている時や安静時にも痛みを感じることもあります。
では、シンスプリントの治療法について以下のようなお悩みはありませんか?
- ・正しい治療方法を知りたい
- ・どのようにリハビリを行うと良いか分からない
- ・日常で気をつけることやスポーツ復帰の目処を知りたい
この記事ではシンスプリントの治療法、具体的なリハビリテーション方法、そしてスポーツへの復帰について詳しく解説します。健康的な身体を維持し、最高のパフォーマンスを発揮するために、これらの知識を身につけることは非常に重要です。
目次
シンスプリントの治療法
シンスプリントの原因はオーバートレーニングやランニングフォーム、足の形状や筋力低下などであるため、適切に治療することが重要です。
また、シンスプリントの痛みの程度に応じて以下3つの治療を行います。
- ・安静とアイシング
- ・薬物療法による疼痛緩和
- ・リハビリテーション
それぞれ詳しく解説します。
安静とアイシング
シンスプリントにより痛みや腫れが出現している場合は、安静にする必要があり、疲労した筋肉や骨を休めましょう。痛みを我慢して運動を続けていると、症状が悪化したり、最悪の場合は疲労骨折する可能性があるので注意が必要です。安静期間やスポーツへの復帰については下記の項目で詳しく解説します。
また、安静に併せてアイシング、要するに痛い部分を氷などで冷やすことも重要です。アイシングを行うと、腫れを抑えられ、痛みの増悪も軽減できます。
ただし、アイシングを行う際は以下に注意しましょう。
- ・袋に入れた氷をあてる際はタオルを挟める
- ・1回に冷やす時間は15~20分程度
アイシングの際、短時間で急激に冷やそうとタオルを挟めず長時間あて続けると、凍傷になる可能性があるため上記の項目を守りましょう。1度アイシングを行い、その後1時間ほど間を空けてから再度冷やすことで、アイシングの効果をさらに高められます。
薬物療法による疼痛緩和
シンスプリントの治療法の1つとして薬物療法があり、主に疼痛緩和を目的に行われます。痛みが強く日常生活に支障をきたす場合には、整形外科を受診し、医師に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの使用を相談してみましょう。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に限らず、薬物療法には副作用のリスクもあるため、医師の指導のもと用法用量を守って使用することが重要です。
しかし、薬物療法は痛みを一時的に和らげるためのもので、根本的な腫れや炎症などの問題が解決するわけではありません。
なぜなら、シンスプリントの原因には、過度なトレーニングやランニングフォーム、足の形状や筋力低下などが関与しているからです。このため、薬物療法に併せて原因に対しての治療も重要です。
リハビリテーション
薬物療法と並行して、痛みの予防や再発防止に向けたリハビリテーションを行うことも大切です。
リハビリテーションの目的は以下の3つです。
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リハビリテーションは自宅で行えるメニューから、歩行姿勢やランニングフォームの改善で行います。歩行姿勢やランニングフォームの改善の際、専門家(理学療法士)の指導のもと、正しい運動方法を習得することが必要になる場合があります。
以下では、自宅で行える具体的なリハビリテーション方法について解説しているので、詳しく見ていきましょう。
ただし、正しい方法で行わなければ痛みが増悪する可能性があるので、注意しながら行いましょう。
シンスプリントの具体的なリハビリテーション
シンスプリントに対しては以下3つのリハビリテーションが有効です。
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それぞれ詳しく解説します。
ストレッチと筋肉強化
シンスプリントに有効なストレッチと筋力強化について以下の3つを紹介します。
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ふくらはぎ(ヒラメ筋や後脛骨筋など)のストレッチはシンスプリントの痛みを和らげるのに効果的です。ヒラメ筋のストレッチ方法はアキレス腱のストレッチに似ていて、足を前後に開いて後ろ足のヒラメ筋を伸ばしますが、この時後ろ足の膝は曲げて行うことが大切です。後ろ足の膝を伸ばして行うと、ヒラメ筋のストレッチにならなくなってしまいます。また、反動をつけると筋肉を痛めてしまう可能性があるため、ゆっくり30秒ほどかけてストレッチを行うと効果的です。
ゴムチューブを用いた「ふくらはぎ」の低負荷の筋トレでは、足指の付け根にゴムチューブを巻き、手前に引きます。かかとは床につけた状態で、ゴムチューブを伸ばすようにつま先を下に伸ばします。負荷の設定方法は、低負荷から始め、徐々に負荷量を上げていくのが一般的です。いきなり高負荷でトレーニングすると筋肉が再び炎症する可能性があるので注意しましょう。
『足指でタオルを引き寄せる運動』は、床に敷いたタオルの上に足を置き、足指でタオルをつまんで離してを繰り返し、タオルを手前に引き寄せる運動です。この運動では「長母趾屈筋」と「長趾屈筋」が強化され、筋肉の滑走性が滑らかになります。
テーピングやインソールの活用
上記のリハビリテーションの他に、テーピングやインソールを使用することでも痛みを軽減できます。
テーピングは、筋肉や靭帯に適度な圧力を加えて安定化させ、痛みの軽減や再発防止に効果があります。特に、ランニングや他のスポーツをする際の足への負担を軽減するのに役立つため、スポーツ選手には欠かせない存在です。
シンスプリントに対するテーピング(伸縮性)の巻き方は以下の通りです。
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また、自分の足に合ったインソール(中敷)に変更することでも、シンスプリントの痛みの予防につながります。なぜなら、足のアーチが崩れると、バランスをとる際に筋肉に負担がかかってしまうからです。足のアーチを支えるインソールは数千円と高額ですが、痛みの予防につながり、一生使う自分の足を守れると考えると決して高い買い物ではありません。
ただし、テーピングやインソールの活用だけでシンスプリントが完治するわけではないので注意しましょう。
日常生活での注意点とスポーツ活動再開のタイミング
シンスプリントにおける日常生活での注意点とスポーツ活動再開のタイミングは、以下のWalshによる疼痛stage分類を参考に行います。
分類 | 内容 |
---|---|
Stage 1 | 運動後にのみ疼痛あり |
Stage 2 | 運動中に疼痛あるが,スポーツ活動に支障なし |
Stage 3 | 運動中に疼痛あり,スポーツ活動支障あり |
Stage 4 | 安静時にも慢性的な持続する疼痛あり |
Stage1〜3の場合、痛みによる日常生活への影響は少ないことが多いです。しかし、Stage4の場合は痛みの増悪を防ぐためにも、安静にしなければいけません。
また、スポーツ活動のタイミングは以下の通りです。
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ただし、いきなり激しい運動を行うと、再度シンスプリントを発症する可能性もあるため、初めはウォーキングなどから低負荷な運動から始めましょう。
シンスプリントをしっかり治療してスポーツに復帰しよう
シンスプリントは適切に治療することで、再びスポーツに復帰できます。
治療の選択は、シンスプリントによる腫れや痛みが強い場合は、アイシングと安静が必要です。併せて薬物療法を行うことで痛みがさらに軽減できます。リハビリテーションは腫れや痛みが治ってきてから徐々に始めましょう。
シンスプリントは一度治っても、再発する症状であるため、日頃からシンスプリントにならないようにストレッチや筋トレを行い予防していきましょう。
参考文献 三笠製薬株式会社.15.シンスプリント. |