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足の甲の痛みは疲労骨折かも?ランニングの注意点や治し方を解説

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公開日: 2024.10.07 更新日: 2025.02.12

「足の甲が痛くて、ランニングができない」「足の甲の疲労骨折と診断されたけど、どうすればいいの?」

多くのランナーが足の甲の疲労骨折(中足骨疲労骨折)に悩まされており、ランニングを続ける上での大きな障壁となっています。足の甲の疲労骨折に気づかずランニングを続けてしまうと、症状が進行してしまい、練習や大会への参加が難しくなってしまうおそれがあります。もし足の甲の疲労骨折が疑われる症状がみられた場合は、早期の治療と再発防止が重要です。

本記事では、足の甲(中足骨)の疲労骨折の原因や治療法、ランニング時の注意点について解説します。正しい理解とケアにより、ランニングを安全に続けるためのヒントになれば幸いです。

足の甲を疲労骨折してしまい、どういった処置が必要かわからない方は、当院リペアセルクリニックのメール相談やオンラインカウンセリングもご活用ください。

疲労骨折の症状と治療期間については、以下の記事でもご覧ください。

足の甲の疲労骨折とは「足の甲の骨に微小な亀裂が生じている状態」

まずはじめに、疲労骨折とは、繰り返しのストレスによって骨に微小な亀裂が生じている状態のことです。一度の強い衝撃ではなく、長期的な負荷の蓄積が原因で起こることが多いケガです。

そして、足の甲に起こる疲労骨折は、「中足骨」という足の甲にある5本の長い骨にヒビが入っている状態です(中足骨疲労骨折)。中足骨は足の土踏まずを形成し、体重を支えるという重要な役割を担っています。ランニングでは、体重が中足骨に繰り返しかかるため、疲労骨折が起こりやすくなります。

とくに、以下のような要因が重なると、リスクが高まります。

  • 急激なトレーニング量の増加
  • 不適切なランニングフォーム
  • 硬い地面でのランニング
  • 足に合わない靴の使用
  • 骨密度の低下

これらの原因について理解を深め、適切な予防策を講じることが大切です。

足の甲の疲労骨折には「早期発見・初期対応」が重要

足の甲の疲労骨折は、症状を理解し、見逃さないようにすることが大切です。

疲労骨折は、徐々に症状が現れることが多いため、初期段階での適切な対応が重要です。

足の甲の疲労骨折の見分け方【セルフチェック】

症状 説明
足の甲の痛み とくに第2、第3中足骨に多く見られます。この部位は体重の大部分を支えるため、疲労骨折のリスクが高くなります。
歩行時や運動時の痛み 活動により痛みが増悪するのが特徴です。ランニングや長時間の歩行で痛みを感じる場合は要注意です。
安静時の痛みの持続 疲労骨折の場合、安静にしていても痛みが続くことがあります。夜間の痛みで睡眠が妨げられる場合もあります。
腫れや圧痛 患部が腫れ、触ると痛みを感じます。腫れによって靴が窮屈に感じられる場合もあります。
皮膚の発赤や熱感 炎症によって、患部の皮膚が赤くなったり、熱を持ったりするケースがあります。

これらの症状が継続する場合は、早めに医師の診察を受けることが重要です。

セルフチェックのポイントとしては、痛みや腫れがあるか、押して痛みがあるかを確認しましょう。放置すると、症状が悪化し、回復に時間がかかってしまう可能性があります。

整形外科医に相談し、必要な検査を受けることをおすすめします。整形外科では、レントゲンやMRIなどの画像検査を行い疲労骨折の有無を診断します。

足の甲の疲労骨折の応急処置は「アイシング・安静」

足の甲の疲労骨折が疑われる場合、以下の初期対応を行いましょう。

対応 方法
安静 無理な運動は控え、患部を休ませることが大切です。継続的な負荷は症状を悪化させる原因となります。医師の指示に従って、適切な期間の安静を取りましょう。
冷却 アイスパックを用いて患部を冷やすことで、炎症と痛みを和らげることができます。1日数回、15分から20分程度行います。アイシングは、とくに初期の痛みのコントロールに効果的です。
圧迫 弾性包帯などを使って患部を適度に圧迫すると、腫れを抑える効果が期待できます。ただし、強く締めすぎないよう注意が必要です。圧迫は、炎症による腫れを軽減し、安静を補助します。
挙上 患部を心臓よりも高い位置に上げることで、重力により腫れを軽減する効果が期待できます。座ったり横になったりする際に、クッションなどを使って足を高くすると良いでしょう。挙上は、とくに安静時の腫れの管理に役立ちます。

医師の指示にしたがって、適切な期間、前述した初期対応を行うことが、回復に向けての大切なステップです。

症状が改善されない場合は、追加の治療が必要になる場合もあります。自己判断せずに、医師とよく相談しながら治療を進めていきましょう。

足の甲の疲労骨折における2つの治療法

足の甲の疲労骨折の治療は、症状の重さによって異なります。主な治療法は以下の2つです。

  • 保存的治療法(安静・固定)
  • 運動療法とリハビリテーション

軽度の場合は上記の治療で改善する場合がほとんどですが、重度の場合は手術が必要になることもあります。整形外科医から、症状に合わせた適切な治療法を紹介してもらうことが大切です。

本章を参考に、足の甲の疲労骨折における治療の選択肢を理解しておきましょう。

保存的治療法(安静・固定)

多くの場合、中足骨疲労骨折は安静と固定によって治癒します。ギプスやブーツを使って足を固定し、骨の回復を促します。

固定期間は症状によって異なりますが、一般的には以下の通りです。

  • 軽度の場合:4~8週間
  • 中等度の場合:8~12週間
  • 重度の場合:12週間以上

固定期間中は患部に負荷をかけないように注意しましょう。松葉杖などを使って歩行し、足に体重がかからないような心がけが大切です。医師の指示に従い、定期的な診察を受けて、回復の進捗を確認しましょう。

運動療法とリハビリテーション

ギプスやブーツを外した後は、徐々に日常生活や運動に復帰していきます。ただし、いきなり骨折前と同じレベルの活動を再開するのは避けましょう。

たとえば、ランニングをしている方の場合、いきなり以前と同じ距離や強度で走りはじめるのは危険です。医師と相談しながら短い距離からはじめ、徐々に走行距離を伸ばすようにしてください。

徐々に運動量を増やしていくことには、多くのメリットがあります。たとえば、足の筋力と柔軟性が改善されて、日常生活動作がスムーズに行えるようになります。

スポーツに復帰する際も、最初は短時間の練習からはじめ、体の状態を見ながら徐々に練習時間を増やしていくことが望ましいです。 このように、活動レベルを段階的に上げていくことで、再骨折のリスクを減らせるでしょう。

また、足を長期間固定していると、筋力が低下してしまうため、リハビリテーションで、足の筋力維持と柔軟性の向上を図ります。

運動療法とリハビリテーションにより、足の甲の疲労骨折の回復が促進され、患者さんの生活の質も向上するでしょう。

足の甲の疲労骨折の予防策3選

足の甲の疲労骨折を予防・再発防止策として、以下3つの方法が挙げられます。

  • ランニングフォームとフットウェアの調整
  • 強化運動と柔軟性の向上
  • 生活習慣の見直し

足の甲の疲労骨折を未然に防ぎ、ランニングやスポーツを快適に楽しみましょう。

ランニングフォームとフットウェアの調整

足の甲の疲労骨折の予防・再発防止には、ランニングフォームやフットウェアの調整が大切です。

具体的なポイントは以下のとおりです。

  調整ポイント 補足
ランニングフォーム 前足部や中足部への着地を避ける

・つま先や足の中央部分から着地すると、足の甲の骨(中足骨)へのストレスが増大する。

・かかとから着地し、足全体で衝撃を吸収するよう意識する。

過度なプロネーションを抑える

・プロネーション(足の内側への倒れ込み)が強すぎると、中足骨へのストレスが増大する。

・足首を安定させるためのトレーニングを取り入れる。

・足首の倒れ込みを防ぐようなインソールを使用する。

フットウェア クッション性と安定性のあるシューズを選ぶ

・衝撃の吸収性に優れ、足首の動きを適度にサポートするシューズを選ぶ。

・着地時の衝撃を分散し、足の動きを安定させる。

オーダーメイドのインソールを検討する ・足の形状や動きに合わせてカスタマイズされたインソールの使用で、足の甲への負荷を軽減する。

ランニングフォームの改善には、ランニングコーチやスポーツ医学の専門家のアドバイスを求めることをおすすめします。また、足の状態に合わせたシューズ選びについては、ランニングショップの専門スタッフに相談するのも良いでしょう。

強化運動と柔軟性の向上

さらに、疲労骨折の再発を防ぐには、地面に足が着くときの衝撃を和らげるための全身的なバランス強化と偏りの調整を図ることがポイントになります。

体幹トレーニングをベースとして、足や下肢の筋力を維持・向上させることが重要です。

以下のような運動を定期的に行うことをおすすめします。

運動 効果
つま先立ち 下腿三頭筋(ふくらはぎ)の強化
タオルギャザー 足指の筋力強化
ワンレッグスクワット 大腿四頭筋、ハムストリングス、臀筋群の強化
アキレス腱のストレッチ 下腿三頭筋の柔軟性向上
バランス運動 足首の安定性と固有感覚の改善

これらの運動を週に2~3回、15~20分程度行うことを目安にしましょう。筋力強化と柔軟性の向上は、怪我のリスクを減らし、パフォーマンスの向上にもつながりやすいです。

自分に合ったペースで、無理なく継続的にトレーニングを行うことが大切です。必要に応じて、理学療法士やトレーナーに相談し、適切な運動プログラムを作成してもらうことをおすすめします。

生活習慣の見直し

日々の生活習慣も、足の健康に大きな影響を与えます。以下の点に注意して、足への負担を減らすことが大切です。日々の生活習慣も、足の健康に大きな影響を与えます。以下の点に注意して、足への負担を減らすことが大切です。

習慣 説明
適切な体重の維持 体重増加は足への負担を増大させ、疲労骨折のリスクを高めます。適切な体重管理が重要です。
バランスの取れた食事 骨の健康に必要なカルシウムやビタミンDを十分に摂取しましょう。乳製品、魚、野菜などを積極的に取り入れましょう。
十分な睡眠 睡眠不足は疲労を蓄積させ、怪我のリスクを高めます。1日7~8時間の睡眠を確保しましょう。
禁煙 喫煙は血流を悪化させ、骨密度の低下を招きます。禁煙は足の健康維持に欠かせません。
適度な休養 オーバートレーニングは疲労骨折のリスクを高めるため、適度な休養を取ることが大切です。疲労が蓄積しないように注意しましょう。

体重増加は足への負担を増大させ、疲労骨折のリスクを高めます。適切な体重管理が重要です。

適切な体重管理のためには、バランスの取れた食事と適度な運動が欠かせません。急激な減量や極端な食事制限は避け、自分に合ったペースで体重コントロールを行うことが重要です。また、定期的に体重や体脂肪率をチェックし、自身の体の変化を把握しておくことをおすすめします。

これらの生活習慣を見直し、改善することで、足の健康を長期的に維持しやすくなります。足の甲の疲労骨折は、ランナーにとって深刻な問題ですが、適切な治療と予防策を講じることで乗り越えられます。専門家のアドバイスを参考に、自分に合ったケア方法を見つけ、実践していくことが大切です。そうすることで、足の健康を維持し、ランニングをより長く、より快適に続けていくことができるでしょう。

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まとめ|足の疲労骨折を理解し安全にランニングを続けよう

足の甲の疲労骨折は、足の甲にある中足骨にひびが入っている状況です。放置すると、手術が必要なほど症状が重くなってしまう可能性もあります。そのため、早期に足の疲労骨折に気づき、対処することが大切です。

また、足の甲の疲労骨折を繰り返さないためにフォームや生活習慣の見直しも併せて行いましょう。

足の甲の疲労骨折にお悩みの方、また疲労骨折ではないかと不安に思っている方は、当院でもメール相談やオンラインカウンセリングを行っていますので、ぜひお気軽にご相談ください。
ほかの部位の疲労骨折について知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

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参考文献一覧

文献1

MSDマニュアル家庭版,中足骨の骨折,2022−09
文献2

MSDマニュアル家庭版,足の疲労骨折,2021−12
文献3

兵庫医科大学病院,もっとよく知る!病気ガイド,Jones(ジョーンズ)骨折(第5中足骨疲労骨折)
文献4

順天堂大学医学部附属順天堂医院整形外科・スポーツ診療科,Jones骨折・第5中足骨疲労骨折
文献5

横浜市スポーツ医科学センター,リハビリ室コラム,第2~4中足骨疲労骨折のリハビリテーション
文献6

一般社団法人日本骨折治療学会,骨折の解説,第5中足骨骨折・いわゆる下駄履き骨折と疲労骨折
文献7

一般社団法人日本骨折治療学会,骨折の解説,疲労骨折,
文献8

日本臨床整形外科学会,中足骨の疲労骨折
文献9

前園恵慈,日本臨床スポーツ医学会誌,陸上競技選手の低リスク骨盤・ 下肢疲労骨折の現状と競技復帰時期の検討,第27巻第3号
文献10

日本臨床スポーツ医学会誌,骨・関節のランニング障害に対しての提言,Vol. 13 Suppl. 2005.p243-248
文献11

日本スポーツ整形外科学会,スポーツ外傷の応急処置

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