- 股関節、その他疾患
- 股関節
股関節唇損傷はどのくらいで治る?治療期間や予防法も紹介

股関節唇損傷と診断されて、どのくらいで治るのか不安を感じる方もいるのではないでしょうか。股関節唇損傷は、痛みや炎症が治まっても股関節の安定性は低下したままのため、再発のリスクが生じます。
再発防止には股関節の柔軟性向上と安定性強化が重要となり、リハビリテーションが効果的です。
本記事では、股関節唇損傷はどのくらいで治るのか治療期間の目安を解説します。適切な治療法や再発の予防法も紹介するので、股関節唇損傷の早期回復を目指したい方は参考にしてください。
目次
股関節唇損傷はどのくらいで治るのか?治療期間の目安
股関節唇損傷と診断された際、どのくらいで治るか治療期間の目安を紹介します。
- 日常生活に復帰するまでの期間
- スポーツ復帰までの期間
治療期間の目安を参考にして、症状回復へ向けた療養プランを立てましょう。
日常生活に復帰するまでの期間
個人差はあるものの、股関節唇損傷を発症した場合、日常生活への復帰は保存療法では約3カ月、手術療法では約2〜3週間になります。症状が軽度の場合は、数週間で回復する方もいます。
保存療法では、痛みを引き起こさない動作や日常生活の仕方を覚えるのが大切です。なかには日常生活に復帰してから痛みを再発したという声もあり、適切な動作の獲得が求められます。
一方、手術療法では手術・入院は3日ほどで、リハビリテーションを含めると2〜3週間必要です。手術後に関節の癒着や可動域制限を引き起こさないように、術後早期からリハビリテーションを実施するのが重要です。
スポーツ復帰までの期間
股関節唇損傷を発症した場合、競技復帰までの期間は競技レベルや怪我の重症度、実施した治療方法などで異なりますが、約3〜6ヶ月かかります。
スポーツ復帰は日常生活とは異なり、負荷のかかる動作や瞬発的な動きが必要になります。再発を防止するためにも、より股関節の安定化・柔軟性に着目した運動療法や競技特異的なリハビリテーションが必要です。
股関節唇損傷の主な治療法
股関節唇損傷の治療法には、保存療法と手術療法の選択肢があります。ど
ちらを適用するかは、症状の重症度によって異なりますが、一般的には保存療法が選択されるケースがほとんどです。
保存療法にはさまざまな治療プランがあるため、症状を見ながら適切な治療を行います。
股関節唇損傷の主な治療法は、以下の通りです。
- 安静
- 薬物療法
- リハビリ療法
- 注射治療
- 体外衝撃波治療
- 手術療法
- 再生医療
各治療法の特徴を以下で解説するので、参考にしてください。
安静
股関節唇損傷になったら、まずは股関節に負担がかからないようベッド上で過ごし症状の悪化を防ぐことが重要です。早期回復へ向けて日常動作を制限するのも、治療の1つとなります。
股関節唇損傷の痛みを誘発する日常動作は、以下の通りです。
- しゃがみ込む
- あぐらをかく
- 深いソファや床に座る
車の乗り降りやいすから立ち上がる際は、手をそえたり手すりを使用したりして股関節への負担を軽減するのも効果的です。股関節唇損傷はできる限り股関節への負担を与えず安静に過ごすことで、痛みの軽減が期待できます。
薬物療法
薬物療法とは、薬を投与して症状の緩和を目指す治療法です。股関節唇損傷では、日常生活に支障をきたさないよう痛みや炎症を抑える薬物療法が行われます。
消炎鎮痛剤には、主にロキソニンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や湿布が処方されます。なお、薬物療法は症状の緩和を目的に行われる治療法で、リハビリ療法と併用するケースがほとんどです。
痛みが軽減される理由には薬物療法の影響が考えられるため、再発しないよう股関節への負担がかかりやすい動作は避けましょう。
リハビリ療法
股関節唇損傷では股関節の安定性や衝撃吸収能力が低下するため、筋トレや柔軟性を高めるストレッチが効果的です。誤った筋トレやストレッチは股関節への負担が増し、症状を悪化させる可能性があります。
そのため、関節唇損傷では理学療法士の指導を受けながら、適切な筋トレやストレッチを実施することが大切です。股関節唇損傷で実施される主なリハビリ療法は、以下の通りです。
- 股関節の安定性を高める筋トレ
- 外旋筋群の筋トレ
- 中殿筋・小殿筋の筋トレ
- 股関節の柔軟性を高めるストレッチ
- 殿部のストレッチ
- ハムストリングスのストレッチ
股関節周囲の筋力や柔軟性が向上すると、股関節唇損傷の予防にもつながります。関節唇損傷を発症した際はリハビリ療法で体幹機能や骨盤可動性を改善し、股関節の負担を減らしましょう。
注射治療
注射治療とは、股関節内への痛み止め注射により症状の回復を図る治療法です。痛みが強い場合、ヒアルロン酸注射やステロイド注射を実施し、症状の緩和を図ります。
ステロイド注射では直接股関節に注射し、抗炎症作用により痛みの改善を目指します。ただし、股関節唇損傷の症状が進行すると効き目を感じられなくなる場合もあるため注意が必要です。
また、ヒアルロン酸注射は、股関節の変形により摩擦が生じて炎症や痛みを発症した場合に実施します。潤滑性を高められるため症状の回復が見込めますが、定期的な注入が必要です。
体外衝撃波治療
体外衝撃波治療とは特殊な圧力波を患部に照射し、自然治癒力を高める治療法です。痛みや炎症の軽減が期待できるだけでなく、損傷した組織の修復促進効果が期待できます。
体外衝撃波治療は、大きく2種類に分類されます。
種類 |
治療の特徴 |
---|---|
拡散型 |
広範囲に照射 |
集束型 |
患部にのみピンポイントで照射 |
股関節唇損傷では、ピンポイントで照射できる集束型を行うケースが一般的です。
手術療法
手術療法は、保存療法で痛みの緩和が見込めない場合に検討されます。
股関節唇損傷の主な手術は、以下の通りです。
手術 |
手術の特徴 |
---|---|
股関節鏡視下手術 |
|
大腿骨と下前腸骨棘の骨棘切除 | 先天的な形態異常により、大腿骨頭の変形や下前腸骨棘の骨棘がみられる場合は手術で骨を切除する |
股関節鏡視下手術には2種類あります。
関節唇修復術 |
|
---|---|
関節唇再建術 |
|
手術療法は負担が大きいため、最終的な治療法として提案されるケースが一般的です。
再生医療
保存療法で症状の回復が見込めない場合は、再生医療を検討するのも手段の1つです。再生医療における治療法の1つとなる幹細胞治療では、採取した幹細胞を培養して股関節に注入します。
当院「リペアセルクリニック」では、患者様自身から米粒2~3粒程度の脂肪を採取し、幹細胞を培養、投与します。幹細胞は冷凍せず、投与の度に採取するのが特徴です。
また、再生医療は手術・入院が不要です。手術を避けたい場合に適した治療法が再生医療といえます。
当院では、無料のメール相談を受け付けておりますので、治療に関する悩みがある方は、お気軽にお問い合わせください。
手術療法と保存療法のメリット・デメリット
股関節唇損傷の手術療法と保存療法のメリットとデメリットは、以下の通りです。
|
メリット |
デメリット |
---|---|---|
手術療法 |
関節唇の修復・再建が可能 短期間での復帰が可能 |
約数十万円と高額な費用がかかる 身体への侵襲がある |
保存療法 |
身体への侵襲がない 通院での治療が可能 |
復帰まで時間がかかる 関節唇自体が修復するわけではないため、再発の可能性がある |
保存療法は、普通に生活するには問題ないケースがほとんどです。一方で、スポーツ選手など、今後も激しく股関節を使う方は手術療法での治療を検討するのも手段の1つになります。
股関節唇損傷の予防法
予防するためには股関節の柔軟性向上と安定性強化が必要になります。股関節への負担を減らすためには日常動作を改善したり、股関節周囲筋を鍛えたりして安定性を強化することがポイントです。
また、スポーツではあらゆる方向からさまざまな力が瞬間的に加わります。そのため、競技特異的なトレーニングにより股関節周囲筋を動作の中で活用する訓練を実施しましょう。
活動中に股関節が痛む際は、再発しないよう無理せずプレイを中断することが大切です。また、運動前にはストレッチやウォームアップを行い、終わったあとはクールダウンとストレッチを実施して股関節の負担をできる限り軽減させましょう。
まとめ|股関節唇損傷がどのくらいで治るか把握したうえで治療計画を立てよう
股関節唇損傷を発症した際、どれくらいで治るか不安を感じる方もいますが、日常生活への復帰は保存療法で3ヶ月ほどになります。手術療法では2~3週間程度必要で、術後早期からリハビリテーションを実施することが大切です。
スポーツ復帰までは3~6ヶ月程度が目安になります。いずれも競技レベルや重症度などにより異なりますが、再発しないためにも医師と相談しながら症状回復へ向けた治療を行いましょう。
関節唇自体は自然治癒することはないため、手術により修復するか保存療法で痛みと炎症を抑える方法を実施します。手術を避けて治療を受けたい場合は、再生医療もご検討ください。股関節唇損傷の治療期間を参考にして、焦らずゆっくりリハビリテーションを行いましょう。
監修者

坂本 貞範 (医療法人美喜有会 理事長)
Sadanori Sakamoto
再生医療抗加齢学会 理事
再生医療の可能性に確信をもって治療をおこなう。
「できなくなったことを、再びできるように」を信条に
患者の笑顔を守り続ける。