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帯状疱疹後神経痛に効く薬とは?選択肢、効果、副作用まとめ
「帯状疱疹が治ったのに痛みが続くのはなぜ?」「どのような薬が効くの?」このように悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
帯状疱疹後神経痛は、帯状疱疹の後遺症として起こる難治性の痛みです。皮膚の痛みやしびれ、灼熱感などが長期間続き、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。
今回は、帯状疱疹後神経痛に効果が期待できるさまざまな治療薬について、その選択肢や効果、副作用などを詳しく紹介します。この記事が、痛みに悩むあなたの治療選択の助けになれば幸いです。
目次
帯状疱疹後神経痛とその一般的な治療法の紹介
帯状疱疹後神経痛は、帯状疱疹が治った後も、患部の神経に炎症や傷が残ることで起こる長引く痛みのことです。
50歳以上の方にかかりやすく、痛みの強さや続く期間には個人差がありますが、適切な治療をしないと痛みが長引くリスクが高くなります。
痛みをコントロールするには薬の治療が中心となりますが、患者さんの状態に合わせて薬を選ぶことが大切です。
一般的な治療法には以下のようなものがあります。
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これらの治療法を組み合わせることで、より効果的な痛みの管理が期待できます。
帯状疱疹後神経痛に使われる薬
帯状疱疹後神経痛の治療に用いられる主な薬剤は以下の通りです。
抗ウイルス薬
抗ウイルス薬とは、ウイルスの増殖を抑える薬のことです。帯状疱疹後神経痛の原因となる水痘帯状疱疹ウイルスの活動を抑えることで、神経の損傷を防ぎ、痛みの発症リスクを下げる効果が期待できます。代表的な薬剤としては、アシクロビルやバラシクロビルなどがあります。
抗てんかん薬
抗てんかん薬とは、本来はてんかんの治療に用いられる薬ですが、神経の過剰な興奮を抑える働きがあるため、帯状疱疹後神経痛の治療にも使われます。痛みの信号を伝える神経の活動を抑制することで、痛みを和らげる効果が期待できます。代表的な薬剤としては、ガバペンチンやプレガバリン(リリカ)などがあります。
抗うつ薬
抗うつ薬とは、うつ病の治療に用いられる薬ですが、慢性の痛みに対しても効果があることが知られています。セロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の働きを調整することで、痛みの信号を抑制し、痛みを和らげる効果が期待できます。代表的な薬剤としては、三環系抗うつ薬(アミトリプチリンなど)や、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(デュロキセチンなど)があります。
鎮痛薬(オピオイド含む)
鎮痛薬とは、痛みを和らげる薬の総称です。帯状疱疹後神経痛に対しては、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やアセトアミノフェンなどの一般的な鎮痛薬が使われることがあります。また、痛みが強い場合には、オピオイド鎮痛薬(トラマドールなど)が処方されることもあります。これらの薬は、痛みの信号を遮断したり、痛みを感じにくくしたりすることで、鎮痛効果を発揮します。
トピカル治療薬
トピカル治療薬とは、患部に直接塗布したり貼付したりする薬のことです。帯状疱疹後神経痛に対しては、リドカインパッチやカプサイシンクリームなどが用いられることがあります。これらの薬は、痛みの信号を局所的に遮断したり、痛みを感じにくくしたりすることで、症状の緩和に役立ちます。
薬物治療の効果と副作用
帯状疱疹後神経痛の治療に用いられる薬物は、痛みの伝達を遮断したり、神経の感受性を調整したりすることで鎮痛効果を発揮します。ただし、薬の効果と同時に、副作用のリスクについても理解しておく必要があります。
各薬の具体的な効果と副作用
薬剤 | 効果 | 副作用 |
---|---|---|
抗てんかん薬 | 神経細胞の興奮を抑制し、鎮痛効果を発揮 | 眠気、めまい、体重増加など |
三環系抗うつ薬・SNRI | 痛みの伝達を遮断 | 口渇、便秘、視力障害など |
外用薬 | 局所的な鎮痛効果 | 塗布部位の皮膚炎など |
オピオイド | 強力な鎮痛作用 | 嘔気、便秘、眠気、依存リスクなど |
これらの薬剤は、それぞれ異なる作用機序を持っていますが、いずれも帯状疱疹後神経痛の痛みを和らげることを目的として使用されます。
抗てんかん薬は、神経の過剰な興奮を抑制することで、痛みの信号伝達を抑えます。三環系抗うつ薬やSNRIは、セロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の働きを調整し、痛みの伝達を遮断します。外用薬は、患部に直接作用することで局所的な鎮痛効果を発揮します。オピオイドは、強力な鎮痛作用を持っていますが、副作用や依存のリスクが比較的高いため、他の治療法で十分な効果が得られない場合に限って使用されます。
これらの薬剤の使用に際しては、患者さんの状態や痛みの程度、他の合併症の有無などを考慮し、医師が適切な薬剤を選択します。また、定期的なモニタリングを行いながら、効果と副作用のバランスを見極め、必要に応じて薬剤の種類や用量を調整していきます。
副作用については、患者さんによって現れ方や程度が異なるため、医師や薬剤師からの説明を十分に理解し、異変を感じたら速やかに報告することが大切です。
治療薬の選択基準
患者に適した薬の選び方
患者さまに適した薬を選ぶ際のポイントは、以下のとおりです。
考慮すべき要因 | 具体的な内容 |
---|---|
年齢 | 高齢者では、薬物の代謝・排泄が遅れる傾向があるため、慎重な投与が必要 |
全身状態 | 患者さんの全身的な健康状態を評価し、治療薬の選択に反映させる |
合併症 | 腎機能障害や肝機能障害など、合併症の有無や程度を考慮する |
他の服用中の薬剤 | 併用薬との相互作用を確認し、必要に応じて投与量の調整や薬剤の変更を行う |
痛みの性質・部位 | 痛みの性質(灼熱感、チクチク感など)や部位に応じて、適切な薬剤を選択する |
治療歴 | これまでの治療経過や効果、副作用の情報を参考にする |
医師は、これらの要因を総合的に判断し、患者さんに最適な治療薬を選択します。また、定期的なモニタリングを行いながら、効果と副作用のバランスを見極め、必要に応じて投与量の調整や薬剤の変更を行います。
患者さんも、自身の症状や体調の変化を医師に伝え、治療方針について積極的に相談することが大切です。医師と患者さんが協力して、最適な治療薬の選択と調整を行っていくことが、帯状疱疹後神経痛の効果的な管理につながるでしょう。
患者の体験談
薬物治療を受けた患者からの実際のフィードバック
帯状疱疹後神経痛の薬物治療は、患者さまの年齢や症状、合併症の有無、治療歴などを考慮して、医師が適切な薬剤を選択します。
治療効果や副作用の現れ方には個人差がありますが、早期の治療が大切ということが日本ペインクリニック学会のいくつかの研究によってわかっています。
日本ペインクリニック学会の研究において、帯状疱疹後神経痛(PHN)は、帯状疱疹の後に起こる長期的な痛みで、日常生活に大きな影響を与えます。この研究は、PHNを予防するために、神経ブロック(硬膜外ブロック、末梢神経ブロック、交感神経ブロック)が有効かどうかを調べました。
研究の結果は、以下のとおりです。
- 全体的には、神経ブロックが帯状疱疹後神経痛の予防に有意な効果があるとはいえませんでした。
- しかし、帯状疱疹の発症から病院受診までの期間が短いほど、神経ブロックが帯状疱疹後神経痛の予防に効果がある可能性が高くなります。
つまり、この研究では、帯状疱疹の発症から早期に神経ブロックを行うことで、帯状疱疹後神経痛への移行を防ぐ可能性があることがわかっています。(参照:日本ペインクリニック学会.”帯状疱疹後神経痛予防のための神経ブロックの有効性”)
また、日本ペインクリニック学会誌の「当院における帯状疱疹関連痛の疼痛改善に影響を与える要因の後ろ向き研究」において、神経障害性疼痛の治療として推奨されている三環系抗うつ薬、デュロキセチン、プレガバリン、ガバペンチン、トラマドール、神経ブロックのうち、いずれかの内服または投与されている方を対象に痛みの改善について研究を行われています。
研究結果より、帯状疱疹にかかって痛みがある患者さまは、できるだけ早く、できれば発症から30日以内に痛みの専門機関を受診することが大切です。
もし30日以内に受診できない場合は、最初にかかった病院で神経障害性の痛みに効く薬(三環系抗うつ薬、デュロキセチン、プレガバリン、ガバペンチン、トラマドールなど)を処方してもらったり、神経ブロックを受けたりすることが重要です。
痛みの専門機関を30日以降に受診する場合、最初の病院でこれらの治療を受けていなかった患者さんは、痛みの改善が難しくなる可能性があります。(参照:長谷川 晴子他.”当院における帯状疱疹関連痛の疼痛改善に影響を与える要因の後ろ向き研究”.日本ペインクリニック学会誌.2023.30巻4号p.71-78)
まとめとアドバイス
患者自身や医師との相談の重要性
帯状疱疹後神経痛の薬物治療では、痛みの程度や生活への影響を医師にしっかりと伝えることが大切です。治療の選択肢や期待される効果、起こり得る副作用について、医師から十分な説明を受けましょう。疑問や不安があれば遠慮なく相談し、納得した上で治療方針を決定していくことが重要です。
また、薬の効果や副作用の現れ方を注意深く観察し、定期的な診察で医師に報告していくことも欠かせません。セルフケアとして、患部を清潔に保ち、ストレスを避け、十分な休養を取ることも痛みの緩和に役立つでしょう。
帯状疱疹後神経痛は、適切な治療を継続することで、多くの場合徐々に改善が見込めます。痛みと向き合う辛さはありますが、諦めずに医師と協力しながら、自分に合った方法を見つけていきましょう。
監修:医師 渡久地 政尚