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高次脳機能障害への対応の仕方は?介護疲れを軽減するコツを解説

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公開日: 2025.01.15

高次脳機能障害を抱えている方の日常生活には、さまざまな困難が伴います。「高次脳機能障害によって日常生活に支障がある」「接し方がわからず困っている」など、対応の仕方に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

高次脳機能障害によって集中力や記憶力が低下したり、社会的に適切な行動が取れなくなったりする場合には、人間関係にも影響を及ぼします。そのため、本人だけではなく、周囲の家族や介護者などもストレスを感じやすいといえるでしょう。

今回は、当事者と第三者のそれぞれの立場における高次脳機能障害への対応の仕方を解説します。高次脳機能障害の介護疲れを軽減するためのポイントもまとめているので、ぜひ参考にしてください。

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高次脳機能障害とは

高次脳機能障害への対応においては、まずどのような疾患なのかを理解しておくことが大切です。高次脳機能障害とは、脳の損傷や疾患によって引き起こされる障害で、記憶力や注意力などのほか、社会的行動に影響を及ぼします。

以下で、高次脳機能障害の原因や主な治療法について解説するので、ぜひ参考にしてください。

高次脳機能障害の原因

高次脳機能障害の主な原因は、脳へのダメージによるものです。具体的には、以下のような原因が挙げられます。

  • 脳血管障害(脳梗塞や脳出血、くも膜下出血など)
  • 脳外傷(事故やスポーツによる頭部外傷)
  • 低酸素脳症(酸素不足による脳損傷)
  • 感染症や腫瘍(脳炎や脳腫瘍など)

高次脳機能とは、記憶や思考、判断する能力など、人が社会生活を送る上で重要なものです。しかし、脳内の血管に異常が生じたり、外部からの強い衝撃を受けたりして脳が損傷すると、脳機能に障害が起きてしまいます。

▼ 頭やおでこを強く打ったときに考えられる疾患については、以下の記事で詳しく解説しています。

 

高次脳機能障害の治療法

高次脳機能障害の場合、主にリハビリテーションを中心とした治療が一般的です。高次脳機能障害は、脳の損傷部位や程度によって症状が異なるため、個別にプランを立ててリハビリテーションに取り組みます。リハビリテーションの目的は、脳の機能を回復・改善させて生活の質を向上させることです。

高次脳機能障害の症状によっては、薬物療法が用いられるケースもあります。たとえば、脳血管障害に対する血流改善薬や精神的な症状に対する薬などです。

また、最近注目を集めているのが、脳血管障害の再生医療による治療です。再生医療(幹細胞治療)の効果として、脳神経細胞の修復や再生、脳の血管を新しく再生させる作用が期待できます。

リペアセルクリニックでは、脳血管障害の再生医療を行っています。再生治療について詳しく知りたい方は、気軽にメール相談オンラインカウンセリングをご利用ください。

5つの症状別|高次脳機能障害への対応の仕方

高次脳機能障害の代表的な症状として、次の5つが挙げられます。

  • 注意障害
  • 記憶障害
  • 遂行機能障害
  • 社会的行動障害
  • 失語症

以下で、症状別に高次脳機能障害への対応の仕方を解説します。当事者と第三者のそれぞれの立場における対応の仕方をまとめているので、ぜひ参考にしてください。

1.注意障害

高次脳機能障害による注意障害の主な症状は、以下の通りです。

  • 物事に集中できない
  • 周囲の刺激に反応してしまう
  • 気が散りやすい

注意障害への対応は、環境を整えることが最も重要です。静かな場所で落ち着いて作業をしたり、休憩を挟んだりしながら、できるだけ集中を維持できるよう工夫しましょう。

対応の仕方

当事者

  • 短時間でできる作業に小分けする
  • こまめに休息を取る

第三者

  • 周囲の刺激を減らして静かな環境を整える
  • 一つずつ作業を確認して注意の持続をサポートする

2.記憶障害

高次脳機能障害による記憶障害は、主に以下のような症状が現れます。

  • 生活における出来事を忘れる
  • 自分が言ったことや人に言われたことを忘れる
  • 約束や予定を忘れる

高次脳機能障害による記憶障害では、とくに短期的な記憶に障害が生じるケースが多いとされています。記憶障害への対応には、できるだけ物事を忘れないような工夫が求められます。

対応の仕方

当事者

  • メモを取る習慣をつける
  • カレンダーに予定や重要事項を書き留める
  • アラーム機能やリマインダーアプリを活用する

第三者

  • 習慣化や環境整備のサポートをする
  • メモ帳やカレンダーを見て一緒に振り返る

3.遂行機能障害

遂行機能障害とは、計画を立てたり、物事を段階的に進めたりすることが難しくなる症状です。遂行機能障害は、ほかにも以下のような症状があります。

  • 優先順位をつけられない
  • 衝動的な行動を取る
  • 主体的に行動できない

遂行機能障害が現れると、計画的な行動ができなくなり、結果的に無関心や無気力に見えるケースも珍しくありません。また、物事を遂行するためには集中力や記憶力も必要です。そのため、注意障害や記憶障害に対するポイントも含めて、対応の仕方を工夫しましょう。

対応の仕方

当事者

  • 時間に余裕を持って計画する
  • 小さな目標を設定する
  • 作業を小さなステップに細分化する

第三者

  • 簡潔にタスクを伝えて一緒に手順を確認する
  • 完了したタスクをチェックリストで確認する

4.社会的行動障害

社会的行動障害は、状況に合わせた行動や言動、感情などのコントロールが難しくなり、社会生活が困難になる状態を意味します。社会的行動障害の症状は、以下のようにさまざまです。

  • 感情をコントロールできずに急に怒ったり泣いたりする
  • 人と良好な関係を築けない
  • 人の意見に耳を傾けられない
  • 意欲が低下して引きこもりがちになる

社会的行動障害の症状は多岐にわたるため、ケースバイケースの対応が求められます。社会的行動障害の対応で基本となるのが、生活リズムの確立です。安定した生活リズムで日々を過ごすことで、少しずつ社会に順応していけるようになるでしょう。

対応の仕方

当事者

  • 時間に余裕を持って計画する
  • 小さな目標を設定する
  • 作業を小さなステップに細分化する

第三者

  • 簡潔にタスクを伝えて一緒に手順を確認する
  • 完了したタスクをチェックリストで確認する

5.失語症

言語障害の一種である失語症とは、言葉を理解したり話たりするなどの言語機能が損なわれた状態を意味します。脳の言葉を司る部分がダメージを受けると、以下のような症状が現れます。

  • 言いたいことがあっても言葉にして伝えられない
  • 人が話す内容の理解が難しい
  • 本や新聞から内容を読み取れない
  • 書きたくても文字を思い出せない

具体的な症状は、脳の損傷部位や程度によってさまざまです。そのため、一人ひとりの症状に合わせた対応が必要になります。

対応の仕方

当事者

  • 絵やジェスチャーなどのコミュニケーション方法を試みる
  • 静かな環境で落ち着いて話すことを心がける
  • うまく伝わらないときは時間をおいて別の方法を試みる

第三者

  • 話を聞くときは余裕を持って接する
  • 話すときはゆっくり簡潔に伝える
  • はい・いいえで答えられる質問をする

高次脳機能障害の介護疲れを軽減する3つのポイント

高次脳機能障害の介護は精神的かつ身体的な負担が大きく、介護者はストレスや疲労を溜め込みやすいため注意が必要です。

以下で、高次脳機能障害の介護疲れを軽減するポイントを3つ解説するので、ぜひ参考にしてください。

1.症状を理解する

高次脳機能障害の症状は、一人ひとり異なります。そのため、高次脳機能障害に対応するためには、症状の正しい理解が大切です。たとえば、どのような症状がどのようなときに強く現れるのかを把握しておくと、事前にストレスを回避するための対応ができるでしょう。

高次脳機能障害の症状を理解するためには、専門書やインターネットなどでの情報収集や、かかりつけ医やリハビリテーションの専門家への相談がおすすめです。具体的な対応の仕方を知るためには、日頃から気になる症状を書き留めておくと、相談しやすくなります。

2.医療機関に相談する

高次脳機能障害は長期にわたって支援を必要とするケースがほとんどです。介護疲れを軽減するためには、医療機関やリハビリテーションの専門家と連携しながら、適切な治療やサポートを受けることが大切です。

高次脳機能障害は気づかないうちに進行する可能性もゼロではありません。そのため、医師による定期的な診察を受け、症状の進行や改善についてモニタリングし続ける必要があります。医療機関との連携強化によって、介護の負担を軽減できるだけではなく、より適切なケアが可能になります。

リペアセルクリニックでは、メール相談オンラインカウンセリングを実施しています。高次脳機能障害の症状や治療法でお悩みの方は、ぜひ気軽にご相談ください。

3.公的制度やサービスを利用する

高次脳機能障害に伴う介護では、公的制度や福祉サービスを利用できる場合があります。以下をはじめとする制度などを利用すると、より専門的な支援が受けられ、介護者の負担を軽減できるでしょう。

  • 介護保険制度
  • 障害者福祉サービス
  • 医療費助成制度
  • 地域支援ネットワーク

たとえば、介護保険制度では、通所介護や通所リハビリテーションの利用によって、日中の介護を専門スタッフに任せられます。地域の福祉専門窓口やケアマネージャーなどに相談しながら、公的制度やサービスをうまく利用しましょう。

まとめ・高次脳機能障害は症状にあわせて対応の仕方を工夫しよう

高次脳機能障害は、一人ひとりの症状や状況に応じて対応の仕方を工夫することが大切です。高次脳機能障害による症状の多くは、日常生活に支障をきたすものです。そのため、本人だけではなく、周囲の第三者にとってもストレスや疲れを感じやすいといえるでしょう。

高次脳機能障害は、症状をよく理解して対応の仕方を工夫すると、身体的かつ精神的な負担を減らせます。また、適切な治療によって、症状の進行を遅らせたり、改善したりする効果も期待できます。本人も第三者も負担が少なくて済むよう、医療機関や専門期間と連携して対応していきましょう。

高次脳機能障害に関するよくある質問

ここでは、高次脳機能障害に関するよくある質問をまとめました。

高次脳機能障害はどのように診断される?

高次脳機能障害は、症状の確認や画像検査(CT・MRI・脳波)によって診断が可能です。

また、高度脳機能障害の診断には除外項目があります。たとえば、脳の損傷前から有する症状や発達障害や認知症などを原因とする症状については、治療や対応が異なるため区別されます。

リペアセルクリニックでは、メール相談オンラインカウンセリングを実施しています。高次脳機能障害が疑われる場合は、ぜひ気軽にご相談ください。

高次脳機能障害は回復する?

高次脳機能障害は、症状や障害の程度によって治療方法や得られる効果が異なります。適切なリハビリテーションによって症状の回復が期待できる場合があるものの、すべての方に効果があるとは限りません。

高次脳機能障害による症状を少しでも改善するためには、発症からできるだけ早期のリハビリテーションの開始が望ましいとされています。

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