- 足底腱膜炎
- 足部、その他疾患
- 下肢(足の障害)
- 内科疾患、その他
- 足部
- スポーツ外傷
足の裏の痛みの解決法を医師が教える
歩くたびに足の裏が痛いと辛いですよね。この記事では、足の裏の痛みの原因を5つに、分類し、それぞれの特徴や対処法を詳しく解説します。
快適な歩行を取り戻し、日常生活をより豊かにするために、ぜひ最後まで読んでいただけると幸いです。
目次
足の裏が痛くなる原因5選
足の裏の痛み。これは本当に日常生活を不便にする悩ましい症状です。歩くのも、立つのも、ましてや好きな靴を履くのも億劫になりますよね。
実は、足の裏の痛みは、単一の原因で起こることは少なく、いろいろな要因が合わさっているケースが多いのです。まるで糸が複雑に絡まった毛糸玉のように、原因を一つ一つ解きほぐしていく必要があります。
モートン神経腫
モートン神経腫は、足指の付け根、特に3番目と4番目の指の間を通る神経が圧迫されて、腫れや痛みを起こす疾患です。まるで小さな豆のような神経の塊ができてしまうのです。ちょうどその辺りを指で押すと痛みが出るのが特徴です。
ハイヒールや先の尖った靴などを利用する女性に多く見られます。足の先の方が圧迫されることで、神経が周りの組織との間で挟まってしまうことが原因の一つと考えられます。
痛みやしびれ、足指の間に何か挟まっているような異物感。これらはモートン神経腫の症状です。特に歩行時やつま先立ちの時に、針で刺したような痛みを感じます。安静にしていると軽減する傾向があります。
実際には、靴の変更やインソールの使用、痛みが強い時はブロック注射、そして内服処方などで様子を見ます。それでも痛みが継続するなら、手術が検討されます。
▼モートン神経腫の治療法について、併せてお読みください。
足底筋膜炎
足底筋膜炎は、足の底の方に踵から指まで一枚につながっている「足底筋膜」という、弓のような形状をした丈夫な組織に炎症が起こり、痛みを生じる疾患です。
ランニングやジャンプなどの激しい運動をする人や、立ち仕事が多い人、扁平足やハイアーチの人などは、足の裏に負担がかかりやすく、症状が出やすくなります。
とくに朝起きた時の一歩目が激痛で、しばらくすると痛みが和らぐものの、しばらく歩いたりすると再び痛みが出てくるというのが特徴です。
踵骨棘(しょうこつきょく)
踵骨棘は、かかとの骨にトゲのような骨の突起ができる疾患です。この突起が、足底筋膜を刺激することで痛みを引き起こします。多くの場合、足底筋膜炎に合併して発症するため、両方の疾患を抱えている方も少なくありません。
踵骨がレントゲンで確認されても、無症状であることはよく見かけます。ここに足底筋膜炎を併発すると、かかと付近に痛みを感じ、歩行時や運動時に悪化します。安静の時はほとんど痛みが無いのが特徴です。
アキレス腱炎
アキレス腱炎は、ふくらはぎの筋肉とかかとをつなぐアキレス腱に炎症が起こる疾患です。ランニングやジャンプなど、アキレス腱に繰り返し負担がかかる運動によって発症しやすく、スポーツ愛好家に多く見られます。
アキレス腱部に痛みを感じ、運動時や歩行時に悪化し、安静にしていると痛みが軽減するのが特徴です。症状が軽いうちは運動後に軽い痛みを感じる程度ですが、悪化すると日常生活にも支障が出るほどの激痛になることもあります。
再生医療の無料相談受付中!
リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。
外反母趾
外反母趾は、足の親指が小指側に「くの字」に曲がってしまう変形です。親指の付け根が靴に当たり、炎症や痛みを生じます。ハイヒールや先の細い靴など、長年愛用している女性に多い傾向です。
親指の付け根の痛み、赤く腫れ上がった変形した親指、そして重症化すると、「くの字」の尖ったところにタコができ、強い痛みの原因となります。
痛みの対処と治療法
足の裏の痛み。これは、歩くたびにズキズキと響き、まるで足に無数の小さな針が刺さっているかのような感覚に襲われる、非常に辛い症状です。この痛みによって、仕事や趣味などに大きな障害を生んでしまいます。。
痛みの原因は複雑に絡んでおり、靴の不適合や生活習慣、姿勢なども影響を及ぼします。
この記事では、足の裏の痛みの対処法と治療法を、家庭でできるものから病院での治療まで紹介します。原因に対して、それぞれに合った適切な対処法を試すことで、ストレスのない日常を取り戻せるよう、一緒に考えていきましょう。
痛みの緩和方法(安静、冷却、湿布など)
まずは、痛みを和らげるための応急処置をご紹介いたします。初期の痛みや炎症には、「RICE処置」が効果的です。
- 安静(Rest): 痛む足を休ませることが何よりも大切です。激しい運動や長時間の立ち仕事は避け、できる限り安静を保ちましょう。
- 冷却(Ice): 炎症を抑えるには、患部を冷やすことが効果的です。ただし、冷やしすぎると凍傷の恐れがあるため、感覚がなくなったらすぐに中断しましょう。
- 圧迫(Compression): 腫れや内出血を防ぐためには、弾性包帯などで患部を軽く圧迫するのがおすすめです。きつく締めすぎると血行が悪くなるため、適度な圧迫を心がけてください。
- 挙上(Elevation): 足を心臓より高い位置に上げることで、血液の循環が良くなり、腫れや痛みが軽減されます。クッションや枕を使い、楽な姿勢で足を上げて休みましょう。
これらのRICE処置に加えて、湿布薬も効果的です。湿布には冷感と温感があり、痛みの種類や好みに合わせて使い分けましょう。例えば熱を持っている時は冷感タイプ、ある程度日にちが経過した場合は、温感タイプがおすすめです。
家庭でできるストレッチやマッサージ
痛みを一時的に和らげるだけでなく、根本的な原因に対処するためには、ストレッチやマッサージも効果的です。
- 足趾ストレッチ: 足の指を大きく開いたり閉じたりする運動や、タオルを足指で掴んで持ち上げるタオルギャザーは、足裏の筋肉をほぐし、柔軟性を高めるのに役立ちます。
- ふくらはぎのストレッチ: 壁に手を当て、片足を後ろに引いてアキレス腱を伸ばすストレッチは、足底筋膜の緊張を和らげる効果があります。
- ボールマッサージ: テニスボールやゴルフボールを足の裏で転がし、痛気持ちいいと感じる程度の強さでマッサージすることで、筋肉の凝りをほぐし、血行を促進することができます。
これらのストレッチやマッサージは、毎日続けることで効果が高まります。
市販薬の効果と選び方
痛みが強い場合は、市販の痛み止め薬を使用することもできます。痛み止めには、アセトアミノフェンやイブプロフェンなど、さまざまな種類があります。
- アセトアミノフェン: 比較的副作用が少なく、胃に優しい痛み止めです。発熱や頭痛にも効果があります。
- イブプロフェン: 痛みを抑える効果もあるため、足底筋膜炎などの炎症性の痛みに効果的です。
選ぶ際には薬剤師に相談したり、添付文書をよく読んでから使用しましょう。また、痛みが長引く場合は、自己判断で市販薬を使い続けるのではなく、かかりつけ医に相談することが重要です。
病院での治療法(薬物療法、注射療法、手術療法など)
症状が改善しない場合や、痛みが強い場合は、病院を受診しましょう。
- 薬物療法: 消炎鎮痛剤や、神経の痛みを抑える薬などが処方されます。
- 注射療法: 炎症を抑えるステロイド注射などが行われることがあります。
- 手術療法: 保存療法で効果がない場合や、モートン神経腫、外反母趾などの変形が強い場合は、手術が必要になることもあります。
なかなか痛みが取れない方が、『PRP療法で嘘のように痛みが取れた』という症例もたくさんあります。もちろん個人差はありますが、今までの治療に行き詰まったときに、一つの選択肢として考えてみるのもいいかもしれません。PRP療法について詳しくはこちらをご覧ください。
再生医療の無料相談受付中!
リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。
まとめ
足の裏の痛みは、原因が多岐にわたるため、まず確実な診断が必要です。この記事で紹介した5つの原因と照らし合わせ、思い当たる節があれば、適切な対処法を試してみてください。
家庭でできるケアとしては、安静、冷却、湿布、ストレッチ、マッサージなどがあります。これらで痛みが軽減しない場合や、痛みが強い場合は、自己判断せず、医療機関を受診しましょう。
医師とよく相談し、症状に合った治療法を見つけることが、痛みの早期改善への近道です。快適な毎日を送るためにも、足の裏の痛みを我慢せず、早めに対処していきましょう。
参考文献
- Valisena S, Petri GJ, Ferrero A. “Treatment of Morton’s neuroma: A systematic review.” Foot and ankle surgery : official journal of the European Society of Foot and Ankle Surgeons 24, no. 4 (2018): 271-281.
- Luffy L, Grosel J, Thomas R, So E. “Plantar fasciitis: A review of treatments.” JAAPA : official journal of the American Academy of Physician Assistants 31, no. 1 (2018): 20-24.
- Koc TA Jr, Bise CG, Neville C, Carreira D, Martin RL and McDonough CM. “Heel Pain – Plantar Fasciitis: Revision 2023.” The Journal of orthopaedic and sports physical therapy 53, no. 12 (2023): CPG1-CPG39.
監修者
坂本 貞範 (医療法人美喜有会 理事長)
Sadanori Sakamoto
再生医療抗加齢学会 理事
再生医療の可能性に確信をもって治療をおこなう。
「できなくなったことを、再びできるように」を信条に
患者の笑顔を守り続ける。