アキレス腱断裂、放置するとどうなる?その後遺症について解説
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アキレス腱断裂、放置するとどうなる?その後遺症について解説
アキレス腱断裂は、スポーツ中などに起こることが多い怪我です。ただし、主に40代以上の方では、スポーツをしていなくても、日常生活で断裂してしまうこともあります。
いずれ治るだろうと放置すると、歩行困難や慢性的な痛みなどの後遺症が発生する可能性があり、しっかりと治療するべきです。
今回は、アキレス腱断裂の症状や応急処置、ギプスによる固定方法、後遺症などについて詳しく解説します。
アキレス腱断裂の症状は?断裂音がするってほんと?
アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉である下腿三頭筋とかかとの骨をつなぐ、体の中でもとても太い腱です。このアキレス腱が断裂してしまうと、かかと周辺に強い痛みを生じます。
実際に怪我をした人に聞くと、「後ろから誰かに踵を蹴られたような気がしたほどの強い衝撃と痛み」という方が多いです。また、ブチッという断裂音を自覚することもあります。
断裂直後は、歩行困難になる場合も多く、徐々に腫れや内出血が出現してきます。
アキレス腱断裂直後の応急処置
アキレス腱断裂かなと思ったら、運動中の場合は直ちに中断し、歩行はしないようにしましょう。また、固定できるものがある場合は、足首を動かないように固定できると良いです。
腫れや痛みを防ぐため、足を心臓より高くして、足首を氷などで冷やすことも有効です。
アキレス腱断裂を放置することによる後遺症とは
アキレス腱断裂は放置すると、歩行困難となる場合があります。アキレス腱を断裂してしまうと、足首を動かす動作で重要な役割を果たすふくらはぎの筋肉である、下腿三頭筋がうまく機能しないため、つま先立ちはもちろん、立ち上がりや階段昇降が難しくなる可能性があります。
また、断裂した部位が治癒しないままになると、慢性的な痛みが残ることもあります。時間が経過すると、ふくらはぎの筋肉である下腿三頭筋が徐々に痩せて、筋肉が萎縮してしまいます。
そのため、早期に適切な治療を行うことが必要であり、放置せずなるべく早く整形外科を受診するようにしましょう。
アキレス腱断裂の検査方法
アキレス腱断裂は、視診や触診だけでも、ある程度判断することができます。アキレス腱が断裂した部位には、delle(デレ)と呼ばれる凹みがあり、皮膚表面からでも触れることができます。
また、うつ伏せになり、ふくらはぎを圧迫した際に、足首が動くかどうか確認するトンプソンテストを行います。アキレス腱がつながっていれば、ふくらはぎを圧迫すると自然に足首が動きますが、アキレス腱断裂の場合、ふくらはぎを圧迫しても足首は動きません。
超音波でも、アキレス腱の断裂を確認することができます。ほかに骨折がないかどうか、レントゲンを撮影したり、触診でわかりづらい場合は、MRI検査を行ったりすることもあります。
アキレス腱断裂の治療
アキレス腱断裂の治療方法は、手術を行わずにギプスや装具を用いて治療する保存療法と、断裂したアキレス腱を直接糸で縫合する手術療法に分けられます。
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どちらが良いのかは、十分に担当医と相談して決定するべきでしょう。
アキレス腱断裂についてよくあるQ&A
Q:いつからスポーツ復帰できますか?
スポーツの復帰時期には個人差がありますが、一般的には保存療法の場合は6か月程度、手術療法でも4カ月程度の治療期間は要することが多いです。復帰してからも、徐々に運動強度を上げていく必要があり、再断裂を防ぐための筋力トレーニングなど、リハビリは必須です。
Q:手術はどのような方法で行いますか?
手術は、基本的には腹臥位(うつぶせ)で行います。アキレス腱の断裂している部分に近い皮膚を切開し、直接アキレス腱に糸をかけて縫い合わせます。縫い方にはいくつかの方法があり、いずれを選択するかは医師の判断によりますが、いずれの方法でもしっかりと縫合できます。
全身麻酔や腰椎麻酔(下半身麻酔)で行うことが多いですが、局所麻酔のみで、日帰りで行っている病院もあります。
まとめ・アキレス腱断裂は放置厳禁!早期の治療で後遺症を防ごう
アキレス腱断裂はスポーツを行う方だけでなく、誰にでも起こりうる怪我です。治療期間は長くかかりますが、放置せずに適切な治療を行うことで、後遺症を防ぎ、早期に日常生活やスポーツに復帰することが可能となります。アキレス腱断裂を疑う症状がある場合は、速やかに整形外科を受診しましょう。
この記事がご参考になれば幸いです。
No.S130
監修:医師 加藤 秀一