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不整脈とは?内科専門医師がやさしく解説

不整脈 内科専門用語が優しく解説
公開日: 2025.02.11 更新日: 2025.02.13

心臓がドキドキしたり、脈が飛んだり、あるいは普段よりゆっくりに感じたりしたことはありませんか? それは不整脈のサインかもしれません。

実は、健康な人でも一時的な不整脈はよくあること。しかし、頻繁に起こる、あるいは症状が強い場合は、放っておくと心不全や脳梗塞といった命に関わる病気を引き起こす可能性も。この記事では、期外収縮、頻脈、徐脈、心房細動といった代表的な不整脈の種類や症状、原因、そして最新の診断方法と治療法まで、内科専門医が分かりやすく解説します。ご自身の健康管理に、ぜひお役立てください。

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不整脈の種類と症状

不整脈とは、心臓のリズムが乱れる状態です。健康な人の心臓は、規則正しくドクン、ドクンと脈打つことで全身に血液を送り出しています。しかし、このリズムが速くなったり(頻脈)、遅くなったり(徐脈)、脈が飛んだり(期外収縮)するのが不整脈です。

実は、健康な方でも、一時的に脈が乱れることはあります。激しい運動後や緊張した時などに、脈が速くなる経験をしたことがある方もいるのではないでしょうか。こうした一時的な不整脈は心配ありません。

しかし、不整脈が頻繁に起こったり、症状が強い場合は、心臓の病気が隠れている可能性があります。放っておくと、めまいや失神、場合によっては心不全や脳梗塞といった命に関わる病気を引き起こすこともあるため、注意が必要です。

今回は、代表的な不整脈の種類と、それに伴う症状について詳しく解説します。

期外収縮:脈が飛ぶ、ドキドキする

期外収縮、心臓が本来打つべきタイミングよりも早く収縮してしまうことで、脈が飛んだり、ドキドキしたりする不整脈です。「ドクン、ドクン」と規則正しく脈打つ途中で、突然「ド、ドクン」と脈が飛んだように感じたり、脈が一瞬止まったように感じたりすることがあります。

期外収縮は、健康な人にもしばしばみられます。ストレスや睡眠不足、コーヒーや紅茶などに含まれるカフェインの摂りすぎ、飲酒、喫煙といった生活習慣が原因となる場合もありますが、多くの場合、特に原因は見つかりません。また、心臓の病気によって起こることもあります。

期外収縮自体は、ほとんどの場合、心配のない不整脈です。しかし、症状が頻繁に起こる場合や、他の症状を伴う場合は、心臓の病気が隠れている可能性がありますので、医療機関を受診しましょう。

期外収縮には、心房期外収縮と心室期外収縮の二種類があります。心房期外収縮は、心房から期外収縮が発生するもので、比較的安全な不整脈と考えられています。一方、心室期外収縮は、心室から期外収縮が発生するもので、心室細動などの重篤な不整脈に発展する可能性もわずかながら存在するため、注意が必要です。期外収縮が頻回に発生する場合は、ホルター心電図検査を行い、期外収縮の種類や頻度を評価する必要があります。

頻脈:動悸、息切れ、めまい

頻脈は、心臓の拍動が異常に速くなる不整脈です。安静時に1分間に100回以上になる場合を指します。動悸、息切れ、めまいといった症状が現れ、ひどい場合には失神することもあります。

頻脈には、心房細動や心房粗動、発作性上室性頻拍など、さまざまな種類があります。原因としては、加齢に伴う心臓の構造変化や、高血圧、心臓病(弁膜症、心筋症など)、甲状腺機能亢進症、薬の副作用、ストレスなどが挙げられます。

頻脈は心臓に負担をかけ、長期間続くと心不全などの重篤な病気を引き起こす可能性があります。特に、胎児や新生児における持続性の頻脈は、迅速な診断と適切な治療が必要となる場合があります。

徐脈:倦怠感、失神

徐脈は、心臓の拍動が異常に遅くなる不整脈です。安静時に1分間に60回未満になる場合を指します。倦怠感、めまい、失神といった症状が現れます。

徐脈の原因としては、洞不全症候群(心臓のペースメーカー機能が低下する状態)や房室ブロック(心臓の上部と下部の電気信号の伝わりが妨げられる状態)など、心臓の伝導系の異常が挙げられます。また、甲状腺機能低下症や薬の副作用なども原因となることがあります。

徐脈は、心臓から全身への血液供給が不足するため、放置すると意識障害や臓器障害などの重篤な合併症を引き起こす可能性があります。徐脈の既往がある場合、ペースメーカー植え込みが第一選択の治療法となることがあります。

心房細動:動悸、息切れ、胸の痛み

心房細動は、心房が無秩序に細かく痙攣し、心室に不規則な電気信号を送ることで、脈がバラバラになる不整脈です。動悸、息切れ、胸の痛みといった症状が現れ、脳梗塞のリスクを高めることでも知られています。

心房細動は、加齢とともに増加し、特に高齢者に多くみられます。高血圧や心臓病、甲状腺機能亢進症などが原因となる場合もあります。徐脈性不整脈症候群の自然経過においても心房細動を合併することが多く、これらの疾患の合併は患者の状態と治療効果に悪影響を与える可能性があります。

心房細動は、心臓に負担をかけるだけでなく、脳梗塞を引き起こす可能性があるため、適切な治療が必要です。治療法としては、抗不整脈薬による薬物療法や、カテーテルアブレーションなどの外科的治療が挙げられます。

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不整脈の原因と診断

不整脈は、心臓のリズムが乱れる状態です。健康な心臓は規則正しくドクン、ドクンと脈打ちますが、不整脈になるとこのリズムが速くなったり(頻脈)、遅くなったり(徐脈)、脈が飛んだり(期外収縮)します。

実は誰にでも、一時的に脈が乱れることはあります。例えば、激しい運動後やプレゼンテーション前など、緊張した時にドキドキした経験はありませんか?これは一時的な不整脈で、通常は心配ありません。

しかし、頻繁に不整脈が起こる、あるいは症状が強い場合は、心臓の病気が隠れている可能性があります。放置すると、めまいや失神、場合によっては心不全や脳梗塞といった命に関わる病気を引き起こすこともあるため、注意が必要です。

不整脈の原因は多岐にわたり、加齢や生活習慣、心臓病など様々な要因が複雑に絡み合っています。

加齢、高血圧、心臓病など

加齢は心臓の老化につながり、不整脈のリスクを高める大きな要因の一つです。心臓の筋肉は年齢とともに弾力を失い、電気信号の伝わり方も変化し、不整脈が起こりやすくなります。これは、血管が老化して硬くなる動脈硬化と似ています。血管が硬くなると血圧が上がりやすくなるように、心臓も老化すると不整脈を起こしやすくなるのです。

高血圧も不整脈のリスクを高めます。高血圧は心臓に大きな負担をかけ、長期間続くと心臓の構造を変化させてしまう可能性があります。心臓の壁が厚くなったり、心臓の部屋が広がったりすることで、電気信号の伝わり方が変化し、不整脈につながることがあります。

心臓病も不整脈の大きな原因です。狭心症や心筋梗塞といった冠動脈疾患、心臓弁膜症、心不全、心筋症、先天性心疾患などは、心臓の構造や機能に異常を引き起こし、不整脈を誘発する可能性があります。

また、遺伝性の不整脈症候群も存在します。遺伝性不整脈症候群は、特定の遺伝子変異が原因で発症し、中には突然死のリスクが高いものもあります。遺伝子検査で原因遺伝子を特定することで、適切な治療や家族への遺伝カウンセリングを行うことができます。

ストレス、睡眠不足、過労、カフェインの過剰摂取

現代社会において、ストレス、睡眠不足、過労は避けて通れない問題です。しかし、これらは自律神経のバランスを崩し、心臓のリズムにも悪影響を与える可能性があります。自律神経は心臓の活動を調整する役割を担っており、このバランスが崩れると不整脈のリスクが高まります。

カフェインの過剰摂取も不整脈を誘発する可能性があります。カフェインは中枢神経系を刺激し、心拍数を増加させる作用があります。適度な摂取であれば問題ありませんが、過剰に摂取すると心臓に負担がかかり、不整脈が誘発されることがあります。コーヒーや紅茶、エナジードリンクなどを多く摂取する方は、一度自身のカフェイン摂取量を見直してみましょう。

飲酒や喫煙も不整脈のリスクを高める要因です。特に喫煙は、心臓の血管を収縮させ、血圧を上昇させるため、不整脈だけでなく、様々な心疾患のリスクを高めます。

ホルター心電図検査

ホルター心電図検査は、小型の記録装置を体に装着し、24時間、あるいはそれ以上の長期間にわたって心臓の電気的活動を記録する検査です。通常の心電図検査は数秒から数十秒の記録であり、短時間の検査では捉えられないような一時的な不整脈や、日常生活の中で起こる不整脈の発作を検出するのに非常に役立ちます。

記録されたデータは医師によって分析され、不整脈の種類や頻度、発生状況などが評価されます。例えば、期外収縮が1日に何回発生しているか、どのような活動中に発生しやすいか、といったことが分かります。

心電図検査

心電図検査は、心臓の電気的活動を記録し、心臓のリズムや心拍数を評価する基本的な検査です。電極を胸や手足に装着し、心臓の電気信号を波形として記録します。不整脈の診断に不可欠な検査であり、不整脈の種類や程度を特定するのに役立ちます。

例えば、WPW症候群(ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群)のように、心臓の中に余分な電気の通り道がある場合、心電図に特徴的な波形が現れます。しかし、WPW症候群の症状は間欠的に現れる場合があり、症状が出ていない時の心電図は正常に見えることもあります。そのため、心電図検査で異常が見つからなくても、症状が続く場合はホルター心電図検査など、より詳しい検査が必要となることもあります。

血液検査

血液検査では、甲状腺ホルモンや電解質(カリウム、カルシウム、マグネシウムなど)のレベルを測定します。甲状腺機能亢進症甲状腺機能低下症は、不整脈を引き起こす可能性があるため、甲状腺ホルモンのレベルを確認することは重要です。また、電解質のバランスが崩れると、心臓の電気信号の伝わり方が変化し、不整脈の原因となることがあります。そのため、血液検査で電解質のバランスを評価することも重要です。

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不整脈の治療と予防

不整脈は、心臓のリズムが乱れる病気です。健康な心臓は規則正しくドクン、ドクンと脈打ちますが、不整脈ではこのリズムが速くなったり(頻脈)、遅くなったり(徐脈)、脈が飛んだり(期外収縮)します。今回は、不整脈に対する様々な治療法と、日常生活でできる予防策について解説します。

薬物療法:抗不整脈薬

薬物療法は、不整脈の治療における基本的なアプローチです。抗不整脈薬は、心臓の電気信号の伝わり方を調整することで、正常なリズムを回復させます。

抗不整脈薬には様々な種類があり、それぞれ作用機序や副作用が異なります。医師は、患者さんの不整脈の種類や症状、他の病気の有無などを考慮し、最適な薬剤を選択します。

例えばβ遮断薬は心拍数を抑え、心臓の負担を軽減する薬です。倦怠感やめまい、徐脈などの副作用が現れる可能性があります。カルシウム拮抗薬は、心臓の収縮力を抑え、血管を広げる薬で、頭痛やめまい、便秘などの副作用が生じる可能性があります。その他にも、心臓の電気信号の伝わり方を調整する薬剤がありますが、薬剤ごとに様々な副作用があります。

重要なのは、正常な心臓の患者さんと心臓に構造的な問題のある患者さんでは、治療目標が大きく異なるため、薬の選択も変わってくるということです。専門家の意見として、現時点では正常心臓と構造的心疾患の両方において、不整脈に対する薬物療法の選択肢は、効果の不十分さと毒性のために不十分であるという意見もあります。

また、薬の効果が不十分であったり、副作用が強く出てしまったりすることもあります。このような場合は、他の治療法を検討する必要があります。新しい薬の開発や、既存の薬の使い方を見直す研究も進められています。薬物療法は継続的な観察と調整が必要となる治療法です。

カテーテルアブレーション

カテーテルアブレーションは、カテーテルと呼ばれる細い管を血管を通して心臓まで挿入し、不整脈の原因となっている異常な電気信号の発生源を焼灼する治療法です。

薬物療法で効果が得られない場合や、薬の副作用に悩まされている場合に検討されます。体にメスを入れる手術とは異なり、比較的小さな傷で済むため、患者さんの負担が少ないというメリットがあります。

しかし、合併症のリスクがゼロではありません。医師は、患者さんの状態を慎重に評価し、カテーテルアブレーションが適切な治療法かどうかを判断します。

ペースメーカー植え込み

ペースメーカーは、心臓の拍動を正常に保つための小さな電子機器です。心拍数が遅すぎる徐脈の患者さんに植え込まれ、心臓に電気刺激を与えて心拍数を正常な範囲に維持します。

ペースメーカーは電池で駆動し、体内に埋め込まれた状態で長期間にわたって機能します。ペースメーカーの植え込み手術は、比較的安全に行われますが、感染症や出血などの合併症が起こる可能性もわずかにあります。医師は、患者さんの状態を詳しく説明し、ペースメーカー植え込みのメリットとデメリットを十分に理解した上で手術を受けるかどうかを決定できるようにサポートします。

不整脈誘発性心筋症(AIC)は、持続性の不整脈によって心不全が引き起こされる病気ですが、ペースメーカー植え込みを含む適切な不整脈の治療によって、心機能が改善する可能性があります。AICは、持続性の不整脈と他に原因が見当たらない左室収縮機能障害の存在が診断の主要な基準となります。

生活習慣の改善:バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙

不整脈の予防や症状の改善には、生活習慣の改善も重要です。バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙は、心臓の健康を維持するために不可欠です。

食生活では、塩分、コレステロール、飽和脂肪酸の摂取を控え、野菜や果物を積極的に摂るようにしましょう。適度な運動は、血行を促進し、心臓の機能を強化する効果があります。禁煙は、血管の健康を維持し、不整脈のリスクを減らすために重要です。加えて、十分な睡眠とアルコール摂取の制限も心臓への負担を軽減し、不整脈の予防に繋がります。

定期的な健康診断

不整脈は、自覚症状がない場合もあります。定期的な健康診断を受けることで、早期に発見し、適切な治療を開始することができます。健康診断では、心電図検査などを行い、不整脈の有無を確認します。早期発見・早期治療は、不整脈の重症化を防ぐだけでなく、生活の質を維持するためにも重要です。気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

まとめ

心臓のリズムが乱れる不整脈には、脈が飛ぶ期外収縮、脈が速くなる頻脈、脈が遅くなる徐脈など様々な種類があり、それぞれ症状も異なります。一時的な不整脈は心配ありませんが、症状が頻繁に起こる場合は、心臓病が隠れている可能性もあるため注意が必要です。

不整脈の原因は加齢や生活習慣、心臓病など様々です。診断には心電図検査やホルター心電図検査、血液検査などが行われます。治療法としては、薬物療法、カテーテルアブレーション、ペースメーカー植え込みなどがあり、患者さんの状態に合わせて最適な方法が選択されます。

日頃からバランスの取れた食事、適度な運動、禁煙などの生活習慣を心がけ、定期的な健康診断で早期発見・早期治療に努めましょう。気になる症状があれば、早めに医療機関を受診することをおすすめします。

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監修者

渡久地 政尚

渡久地 政尚 医師 (医療法人美喜有会)

Masanao Toguchi

日本再生医療学会 所属

日本内科学会 所属

再生医療の可能性を追求しながら、体への負担が少なく効果的な治療を提供し、患者様が早期に活動的な生活に戻れるよう、丁寧な診療を心がけてまいります。

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