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タリージェは坐骨神経痛に効く?投薬以外の治療法や対処法も解説

坐骨神経痛は、腰から足にかけてつながっている「坐骨神経」に沿って生じる痛みやしびれのことです。坐骨神経がなんらかの原因によって圧迫されると、腰から臀部(でんぶ)、太ももの裏側まで痛みが広がります。
タリージェとは、坐骨神経痛の痛みをやわらげるために処方される医薬品の一つです。患者様のなかには、「タリージェは坐骨神経痛に効くのか」といった疑問をお持ちの方もいるでしょう。
本記事では、タリージェは坐骨神経痛に効くのか、効能や副作用、使用上の注意点などを解説します。そのほかの治療法もあわせて紹介するので、坐骨神経痛でお悩みの方はぜひ参考にしてください。
目次
坐骨神経痛とは
坐骨神経痛とは、坐骨神経の支配領域である臀部のほか、腰から太ももにかけて痛みを生じる症状の総称です。痛みやしびれの原因は、80〜90%が腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などの腰椎疾患によるものであり、主に以下のような症状が現れます。(文献1)
- 腰から足にかけて痛みやしびれが生じる
- 身体を動かすと痛みやしびれが強くなる
- 歩くときに足が痛くなる(脊椎由来の痛み)
- 座っているときに痛みが強くなる(梨状筋症候群)
なお、重症化すると、安静にしていても強い痛みを感じたり、足に力が入りにくくなったり、痛みで眠れなくなったりすることがあります。
坐骨神経痛の原因や症状について詳しく知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。
タリージェとは坐骨神経痛に用いられる痛み止めの一つ
タリージェとは、第一三共株式会社が販売している有効成分ミロガバリンベシル酸塩を含む痛み止めで、坐骨神経痛にも有用です。
ここでは、タリージェの効能や副作用、使用上の注意点を解説します。
タリージェの効能・効果
タリージェの効能・効果は、神経障害性疼痛です。神経障害性疼痛の中でも、末梢神経障害による痛みや、脊髄疾患による痛みに対して効果が期待できます。
神経障害性疼痛とは、神経や脊髄、脳の損傷や機能障害によって起こる痛みの総称です。神経障害性疼痛には、坐骨神経痛のほか、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害などが該当します。
医薬品の有効成分の作用によって、坐骨神経痛による痛みの改善が見込めます。
タリージェの副作用
タリージェを使用する際は、副作用がある点に注意してください。タリージェには、以下をはじめとする副作用が認められています。(文献2)
- 眠気やめまい
- 意識消失
- 肝機能障害
- 体重増加
- 視覚障害
ほかにも、タリージェの投与を突然中止すると、不眠症や下痢、食欲減退といった離脱症状が現れる場合があります。副作用には個人差があり、症状もさまざまです。
タリージェの服用後に異常を感じた場合は、すぐに医療機関を受診するようにしてください。
タリージェの使用上の注意点
タリージェを使用する際は、患者様の病気や症状、年齢などに応じた注意点があります。(文献3)
病気や症状に応じた禁忌・慎重投与の対象 |
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患者の属性に応じた禁忌・慎重投与の対象 |
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タリージェは処方箋医薬品のため医師の診察を受け、処方箋に基づいて薬局で調剤してもらう必要があります。
タリージェを服用しても坐骨神経痛の症状が改善されない場合もある
タリージェの服用は、原因療法ではなく症状の緩和を目的とした対症療法です。そのため、タリージェを服用したからといって、坐骨神経痛の症状が改善されるとは限りません。
坐骨神経痛には、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など、さまざまな原因が考えられます。タリージェはあくまで一時的に痛みを軽減するために用いられ、根本治療のためには、ほかの治療法もあわせて検討する必要があります。
なお、タリージェによって得られる効果は、体質や症状の程度によっても異なるため、医師に相談の上、無理に服用を続けることはやめましょう。
リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。坐骨神経痛の症状がなかなか改善せずにお困りの方は、ぜひ気軽にご相談ください。
坐骨神経痛でやってはいけないことについては、以下の記事で詳しく解説しています。
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坐骨神経痛の治療法|タリージェが効かない場合の選択肢
タリージェが坐骨神経痛の痛みに効かない場合には、以下に解説する他の治療法を検討する必要があります。
タリージェ以外の投薬による薬物療法
タリージェが効かない場合は、神経障害性疼痛に使用される他の薬剤を検討します。神経障害性疼痛全般に対する薬物療法は、以下のとおりです。(文献4)
- 三環系抗うつ薬アミトリプチリン(トリプタノールなど)
- 疼痛治療薬プレガバリン(リリカ)
- ガバペンチン(ガバペン)
- デュロキセチン(サインバルタ)
坐骨神経痛に対する薬物療法では、個々の症状に応じた適切な選択薬の使用が大切です。タリージェが効かない場合は、医師の判断によって薬の変更や調整がおこなわれます。
神経ブロック注射
神経ブロック注射は、坐骨神経の周辺に局所麻酔薬やステロイド薬を注射して、痛みを緩和する治療法です。痛みの原因である神経に直接アプローチして、痛みの伝達を一時的に遮断します。
神経ブロック注射は、とくに坐骨神経痛が強い場合や薬物療法だけでは効果が薄い場合に有効です。なお、神経ブロック注射による効果は個人差があり、数時間程から数カ月続くとされています。(文献5)
神経ブロック注射の効果や費用について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
理学療法・運動療法
理学療法や運動療法も、坐骨神経痛の治療法の一つです。腰や臀部、太ももの筋肉強化を図ったり、柔軟性を高めたりして、神経への圧迫を軽減します。
筋力トレーニングやストレッチのほか、温熱療法なども組み合わせると、こわばった筋肉がほぐれて血行が良くなり、痛みの軽減につながります。なお、理学療法や運動療法は、坐骨神経痛の再発予防にも効果的です。
坐骨神経痛に効くストレッチ方法を知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。
手術療法
坐骨神経痛による痛みが慢性化している場合や、ほかの治療法で効果がみられない場合には、手術療法が検討されます。
坐骨神経痛の手術療法は、椎間板摘出術や脊柱管拡大術などが一般的です。
椎間板摘出術では、圧迫されている神経を解放するために、飛び出した椎間板を取り除きます。また、脊柱管拡大術では、狭くなった脊柱管を広げて神経の圧迫を解消します。
ただし、手術には感染や出血といったリスクを伴うため、最後の手段として慎重な判断が必要です。手術後のリハビリテーションが必要となる場合もあるため、医師と相談し、総合的な治療計画を立てることが重要です。
再生医療
薬物療法や神経ブロック注射などで症状の改善がみられない場合は、再生医療による治療も選択肢の一つです。再生医療では、幹細胞を採取・培養して注射する幹細胞治療や、血液を利用するPRP療法などがあります。
リペアセルクリニックでは、坐骨神経痛の主な原因である椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症に対する再生医療をおこなっています。当院の幹細胞治療で採取するのは、米粒2〜3粒ほどのわずかな脂肪です。そのため、身体への負担が少なく済むことが特徴です。
再生医療による治療法や具体的な症例については、以下のページで詳しく解説しています。
なお、リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。坐骨神経痛の治療法でお悩みの方は、ぜひ気軽にご相談ください。
まとめ・タリージェが坐骨神経痛に効かないときは他の治療法を検討しよう
タリージェは坐骨神経痛の痛みに効果がある医薬品ですが、すべての患者様に適しているわけではありません。タリージェの服用後に痛みが改善されない場合や、副作用が強い場合は、ほかの治療法を検討しましょう。
薬物療法をはじめ、神経ブロック注射や手術療法、再生医療など、坐骨神経痛にはさまざまな治療法があります。
また、場合によっては、単に痛みをやわらげるだけでなく、坐骨神経痛の根本原因へのアプローチが必要です。医師に相談しながら、坐骨神経痛に対する適切な治療法を選択し、痛みの改善を目指しましょう。
参考文献
日本ペインクリニック学会「治療指針6版第4章」一般社団法人日本ペインクリニック学会HP
https://www.jspc.gr.jp/Contents/public/pdf/shishin/6-19.pdf
(最終アクセス:2025年2月27日)
第一三共株式会社「タリージェ適正使用ガイド」
(最終アクセス:2025年2月27日)
株式会社日経BP「処方薬事典 タリージェ錠5mgの基本情報」日本メディカル
https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/drugdic/prd/11/1190026F2024.html
(最終アクセス:2025年2月27日)
株式会社日経BP「末梢性神経障害性疼痛を緩和する第3のα2δリガンド」日本メディカル
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/series/drug/update/201903/560051.html
(最終アクセス:2025年2月27日)
日本ペインクリニック学会「治療指針4版第01章」一般社団法人日本ペインクリニック学会HP
https://www.jspc.gr.jp/Contents/public/pdf/shi-guide01_07.pdf
(最終アクセス:2025年2月27日)
監修者

坂本 貞範 (医療法人美喜有会 理事長)
Sadanori Sakamoto
再生医療抗加齢学会 理事
再生医療の可能性に確信をもって治療をおこなう。
「できなくなったことを、再びできるように」を信条に
患者の笑顔を守り続ける。