- 糖尿病
- 脳卒中
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 頭部
- 足部、その他疾患
- 手根管症候群
- 脊椎
- 脊柱管狭窄症
- 足部
- 内科疾患
手足のしびれの原因となる病気の症状や予防法を解説!前兆も紹介

「手や足のしびれが続いて困っている」 「何か病気があるのだろうか?」
このようにお悩みの方も多くいらっしゃることでしょう。
手足のしびれを引き起こす病気はさまざまです。なかには原因がわからないものもあります。
本記事では、手足のしびれを引き起こす病気を中心に解説します。
しびれが続くときの受診先や、病気の予防法なども解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
手足のしびれの原因となる病気
手足のしびれを引き起こす病気は、以下の5つです。
- 脳神経系の病気
- 脊髄(脊椎)神経系の病気
- 末梢神経系の病気
- 内科系の病気
- その他の病気
それぞれの病気について解説します。
脳神経系の病気
手足のしびれを引き起こす脳神経系の病気としては、主に以下のようなものがあげられます。
- 脳梗塞
- 脳出血
- 一過性脳虚血発作
- 脳腫瘍
ここで紹介する症状がある場合は、すぐに救急車を呼んで脳神経外科を受診しましょう。
脳梗塞
脳の血管が詰まって血液が流れなくなり、酸素および栄養不足のため、脳細胞が死んでしまう病気です。
手足のしびれのほかに、手足が麻痺して動かない、ろれつが回らないといった症状が見られます。意識障害を起こすこともあります。
脳梗塞は命に関わる病気でもあるため、これらの症状が現れたら早急に医療機関を受診しましょう。
脳梗塞の症状に関しては、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。
脳出血
脳の血管が切れて出血した結果、脳細胞が障害を受ける病気です。
手足のしびれや麻痺、ろれつが回らないなど、脳梗塞と同じような症状のほか、激しい頭痛や吐き気といった症状も見られます。
脳出血も命に関わる病気であるため、早急な受診が必要です。
脳出血の症状に関しては、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。
一過性脳虚血発作
一時的に脳の血流が悪くなり、酸素や栄養が不足する病気です。
手足のしびれや麻痺、感覚の低下といった症状が出ますが、通常は24時間以内に消失します。(文献1)
一過性脳虚血発作は、脳梗塞や脳出血の前触れともいわれています。症状が現れてすぐに消えた場合でも、放置せずに医療機関を受診しましょう。
脳腫瘍
その名のとおり脳に発生する腫瘍で、脳そのものにできる「原発性脳腫瘍」と、他の臓器から転移した「転移性脳腫瘍」にわかれます。
症状は、手足のしびれや麻痺、頭痛、吐き気などです。視野が狭くなったり、視力が低下したりといった眼科症状が見られる場合もあります。
脊髄(脊椎)神経系の病気
手足のしびれを引き起こす脊髄(脊椎)神経系の病気は、主に以下のとおりです。
- 変形性頚椎症
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 脊柱管狭窄症
- 後縦靱帯骨化症
変形性頚椎症
頚椎(首部分の背骨)内の椎間板の高さが減ったり、椎骨(背骨の一部)に骨のとげができたりするといった変化が生じる病気です。
首や肩が痛むほか、手の神経が圧迫されることにより、手のしびれも出てきます。
頚椎椎間板ヘルニア
頚椎をつないでいる椎間板が変形して飛び出し、脊髄や神経根が圧迫される病気です。
手や腕、首、肩にしびれや痛みが生じたり、足のもつれや歩行障害などが出たりします。首を動かすと痛みが強くなります。
以下の記事で、頚椎椎間板ヘルニアの初期症状を解説していますので、あわせてご覧ください。
脊柱管狭窄症
腰椎(腰部分の背骨)の変形により神経の通り道である脊柱管が狭くなり、神経が圧迫される病気です。50代から80代の方に多いとされています。
手足のしびれ以外には、間欠性跛行や膀胱直腸障害などの症状が見られます。
間欠性跛行や膀胱直腸障害といった症状については、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。
後縦靱帯骨化症
頚椎の後ろにある、背骨を安定させる靱帯(後縦靱帯)が骨のように硬く変化して脊髄を圧迫するもので、厚生労働省が定める指定難病の1つです。(文献2)
症状としては、肩こりや手のしびれ、こわばり、痛みなどがあります。病気が進行すると、箸が使いにくい、字が書きにくいといった症状も出てきます。
末梢神経系の病気
手足のしびれを引き起こす末梢神経系の病気としてあげられるのは、手根管症候群や足根幹症候群などです。
手根管症候群
手根管と呼ばれる手首のトンネル部分で神経が圧迫されて、手指のしびれや痛みが発生する病気です。
中高年の女性に多く、進行すると親指の筋肉が痩せてしまい、ものを掴みにくくなります。
足根管症候群
足根管と呼ばれる内くるぶしのトンネル部分で、神経が圧迫されたり傷ついたりするために、足裏や足首にしびれや痛みが生じる病気です。
足の痛みはピリピリとした感じのもので、立ったり歩いたりしたときや、特定の靴を履いたときに生じます。足の冷えや感覚異常を伴う場合もあります。
内科系の病気
内科系の病気によっても、手足のしびれが生じます。代表的なものが、糖尿病性神経障害や閉塞性動脈硬化症です。
糖尿病性神経障害
糖尿病の合併症の1つが、神経障害です。
神経障害は、高血糖が続いたことで血流が悪くなり、手先や足先まで酸素や栄養を含んだ血液が届きにくくなるために起こります。
神経が障害された結果、手足のしびれが生じます。
閉塞性動脈硬化症
動脈硬化により血管が狭くなる、もしくは詰まるために血流が悪くなる病気です。手足の血管が狭くなったり詰まったりすると、しびれや冷たい感覚が生じます。
足の血管に閉塞性動脈硬化症が起こり、進行すると、間欠性跛行と呼ばれる歩行状態になります。
間欠性跛行とは、歩いているうちに足に痛みやしびれが生じて、休憩すると治まるものです。
その他の原因
ビタミン欠乏や更年期障害、うつ病、精神的ストレスなどが原因で手足のしびれが生じる場合もあります。
手足がしびれる病気の前兆をチェックする方法
手足のしびれはさまざまな病気の前兆として現れることがあります。
しびれの特徴からどのような疾患の可能性があるのかをチェックしましょう。
疾患名 | しびれの特徴 |
---|---|
脳血管疾患 (脳梗塞や脳出血) | 片方の手足だけがしびれる 手足が麻痺する、ろれつが回らない、意識障害がある |
変形性頚椎症 | 全体的に手がしびれる 首の後ろを動かすと手のしびれが悪化する |
頚椎椎間板ヘルニア | 手足のしびれに痛みを伴うことがある |
手根管症候群 | 手の親指や人差し指、中指がしびれる 手首を酷使したあとにしびれが生じる |
手足のしびれと病気の前兆について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
手足がしびれるときに受診する病院
手足のしびれが起きる原因はさまざまです。しびれのために病院を受診する際は、しびれ以外の症状や、現在かかっている病気などから受診する科を決めましょう。
ここでは、3つの科について解説します。
脳神経外科
手足のしびれ以外に、片側の手足が動かない、ろれつが回らない、言葉が出てこないなどの症状がある場合は、脳梗塞や脳出血の可能性があります。
この場合の受診先は脳神経外科です。脳梗塞や脳出血の場合は、一刻も早い治療が必要なため、救急車を呼んで早急に受診しましょう。
整形外科
手足のしびれ以外に、腰や手足の痛み、間欠性跛行などの症状がある場合は、整形外科を受診しましょう。
受診時には、医師が状況を把握しやすいように、症状がある部位や出現時期などを伝えると良いでしょう。
内科
糖尿病や高血圧、高脂血症といった内科疾患があり、しびれ以外に症状がない場合は、内科(かかりつけ医)を受診しましょう。
とくに糖尿病治療中で手足のしびれが生じている場合は、神経障害を起こしている可能性が高いため、早めの受診が必要です。
手足がしびれる病気の予防法
手足がしびれる病気の種類はさまざまです。ここでは、3種類の病気について予防法を解説します。
- 脳神経系の病気
- 末梢神経系の病気
- 内科系の病気
脳神経系の病気の予防法
脳梗塞や脳出血、いわゆる脳卒中の予防で大切なことは、高血圧の予防・改善です。高血圧の予防・改善には、日常的な減塩を心がけることが効果的です。
また、糖尿病や高脂血症といった生活習慣病のほか、喫煙、過度な飲酒なども脳血管を痛めます。生活習慣病予防のためにも、バランスの良い食事や適度な運動を心がけましょう。
脳卒中は再発予防も大切です。
当院「リペアセルクリニック」では、脳卒中の後遺症治療・再発予防として再生医療(幹細胞治療)を行っております。
再生医療について詳しくは、以下のページをご覧ください。
末梢神経系の病気の予防法
ここでは手根管症候群の予防について解説します。
手根管症候群の予防や悪化防止のために大切なのは、手を酷使しないことです。とくに、手首を曲げる動作は、神経の通り道である手根管を狭くしてしまいます。
パソコン作業が多い方や、工具(ドライバー)を仕事でひんぱんに使う方は、手首を休める時間を意識して取りましょう。
糖尿病や甲状腺機能低下症の方は、手根管症候群を発症しやすいといわれています。定期的に検査を受けて、病状を確認しましょう。その上で、手首のしびれが見られた場合は、放置せずに整形外科を受診してください。
内科系の病気の予防法
内科系の病気の中でも、糖尿病は生活習慣の改善で予防できます。
糖尿病予防の主なポイントは次の通りです。
- 栄養バランスの良い食事や腹八分目を心がける
- ウォーキングやサイクリングといった適度な運動を続ける
- 適正体重を保つ
- 毎年健康診断を受ける
- 喫煙者は禁煙を検討する
- アルコールは適量を守る
糖尿病患者の方は、病気を放置せずに治療を継続しましょう。
再生医療は、糖尿病治療における新たな選択肢です。
糖尿病治療としての再生医療については、以下のページで詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
まとめ|手足のしびれの病気が疑われる際は早めに病院へ
手足のしびれを引き起こす病気は数多くありますが、原因がわからないものも少なくありません。
脳血管疾患のように命に関わる病気が原因のこともあるため、手足のしびれが続くときは放置せず、早めに医療機関を受診しましょう。
当院「リペアセルクリニック」では、しびれの原因となる脳卒中やヘルニア、糖尿病などに対して再生医療を行っています。手足のしびれでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
手足のしびれの病気に関するよくある質問
皮膚の表面がピリピリする原因は?
主な原因は、痛みを伝える神経が損傷されるために起こる神経障害性疼痛や、帯状疱疹などです。
神経障害性疼痛の場合は、痛み止めやブロック注射などの治療があります。帯状疱疹の治療は抗ウイルス薬の内服、もしくは点滴がメインの治療法です。
手足のしびれの治し方は?
原因になっている病気がある場合は、その病気を治療します。同時に、しびれをおさえる治療も行います。
しびれの主な治療法としては、消炎鎮痛剤やビタミン剤の内服があげられますが、病気によっては手術が必要です。
しびれが続くときは、医療機関で適切な治療を受けましょう。
参考文献
(文献1) 国立研究開発法人 国立循環器病研究センター「一過性脳虚血発作は、早期に完成型脳梗塞を発症する可能性が高い」国立研究開発法人 国立循環器病研究センターホームページ, 2024年9月27日
https://www.ncvc.go.jp/hospital/section/scd/cvmedicine/tia-torikumi/
(最終アクセス:2025年3月20日)
(文献2)難病情報センター「後縦靱帯骨化症(OPLL)(指定難病69)」難病情報センターホームページ
https://www.nanbyou.or.jp/entry/98
(最終アクセス:2025年3月20日)
監修者

坂本 貞範 (医療法人美喜有会 理事長)
Sadanori Sakamoto
再生医療抗加齢学会 理事
再生医療の可能性に確信をもって治療をおこなう。
「できなくなったことを、再びできるように」を信条に
患者の笑顔を守り続ける。