脳出血の前兆!初期症状をセルフチェック!早期治療で後遺症を残さない
公開日: 2022.12.19更新日: 2024.10.07
目次
脳出血の前兆!初期症状をセルフチェック!早期治療で後遺症を残さない
脳出血とは脳卒中の 1 つで、脳を走る血管が破れて脳の中で出血が起こる病気です。
高齢であったり、高血圧や動脈硬化が強いと血管が弱くなるため、脳出血を引き起こしやすくなります。出血が広がると血液で脳が圧迫されたり、血液が神経細胞に行き渡らず細胞が死んでしまったりすることでさまざまな症状が出現し、広がりに応じて進行します。
一度障害を受けた神経細胞は元に戻ることはないため麻痺や感覚障害などの後遺症を残します。脳出血の約 70 %が後遺症を残すと言われており、生活に支障をきたさない程度の後遺症から、四肢麻痺など、日常生活が以前のように送れなくなるほどの後遺症までさまざまです。
リハビリを行うことである程度までの回復を期待することはできますが、完全に元に戻すこと難しく、何よりかなりの時間を要します。
脳出血で強い後遺症を残さない為にも、発症早期に気づき、周囲の神経細胞に障害が起こる前に治療を受けることが重要になります。
この記事では、脳出血の比較的急性期に認める症状や好発部位ごとに現れる症状の特徴、ご自身で参考にしていただける初期症状のセルフチェックシートなどを紹介します。
脳卒中!脳出血の好発部位とその症状の特徴は?
脳出血は出血が起こりやすい部位によって種類が分けられており、それぞれで症状に特徴があります。
好発部位は大きく分けて 5 つあり、以下に特徴を示します。
①被殻(ひかく)出血
脳出血の中で、一番頻度が高い部位です。
症状はまず頭痛や嘔吐から始まり、片側の手足の麻痺や感覚の異常、うまく言葉が話せない構音障害などを認めます。
また、被殻出血が起こるとどちらか一方に目がよる共同偏視を認めることもあります。
②視床出血
被殻出血の次に多く見られる脳出血です。
視床は感覚を伝達する神経が多く走っている部位のため、視床出血では感覚障害や視床痛という半身のみの痛みを認めます。
また、視床出血は脳脊髄液が循環している脳室と近い位置にあるため、出血が脳室まで及ぶと水頭症という状態になり意識障害を起こします。
視床出血になると左右の目が内下方を向くようになることが特徴です。
③小脳出血
小脳は平衡感覚をつかさどる部位です。
そのため、この小脳で出血が起こると頭痛と嘔吐、めまい、歩行障害が起こります。
小脳出血が広がり脳幹まで圧迫されると呼吸が止まり致命的になる可能性があります。小脳出血のみですと、麻痺は起こりません。
④橋出血
橋は脳幹の一部で呼吸や全身の運動などをつかさどっている部位です。
橋で出血が起こると意識障害や全身の麻痺が起こり、出血が広がると呼吸ができなくなり重篤な状態になることがあります。
橋出血が起こると左右両方の目の瞳孔が小さくなることが特徴です。
⑤皮質下出血
脳の比較的表層の部分に出血が起こるものです。
部位によって症状はさまざまで、片側の手足の麻痺や構音障害、視界の左右どちらかが見えなくなる半盲などを認めます。
脳出血の前兆・初期症状を知ることで早期治療を!
脳出血は出血範囲が広がるほど多くの神経細胞が圧迫され重症となり、最悪の場合寝たきりや死亡してしまうこともあります。
しかし早期に発見できれば、手術で血の固まり(血腫)を取り除いたり、血圧をコントロールして血腫が大きくなることを防ぐ治療を受けることができるため、後遺症などが軽症ですむ可能性が上がります。
脳出血の初期症状セルフチェックシート
初期症状リストを以下に示します。これらを参考にして、初期の段階から脳出血に気付きましょう。
いずれの部位の脳出血でも認める症状
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重篤な状態を示唆する症状
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運動障害
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感覚障害
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言語障害
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視覚障害
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平衡感覚障害
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チェックシートに記載の症状で 1 つでも当てはまる項目があれば、脳出血である可能性が高いです。迷わず医療機関を受診してください。
特に今まで感じたことのないような突然発症の激しい頭痛を認めた時は、脳出血が頭の中で発症した可能性がかなり高いです。
それに伴い、「激しい吐き気」や「嘔吐」がある場合は、更にその可能性が高まります。これら 2 つの症状は、どの部位に出血が起こっても認める症状で、かつ頭痛は血管が破れた際に起こる症状です。
すみやかに治療を受けることで、その他の症状を発症せずに済むかもしれません。
意識障害や昏睡状態になっている場合はすでに重篤な状態であり、命に危険が及んでるかもしれません。いずれの場合も救急車を使用するなどして、いち早く専門の医療機関を受診しましょう。
脳出血に前兆はない?
脳出血は突然血管が破れて発症するため、前兆は基本的にありません。前兆ではありませんが、血圧は 1 日の中で朝の 10 時ごろが最も高いためその時間帯に脳出血が起こりやすくなっています。
そのため、日頃から生活習慣を気をつけて、初期症状を認めた場合はすぐ受診し早期の治療を受けることが必要です。
まとめ・脳出血の前兆!初期症状をセルフチェック!早期治療で後遺症を残さない
脳出血はある日突然発症し、多くの場合で後遺症が残ってしまう病気です。
しかし早期に治療を行うことができれば後遺症を残さないか、残っても軽度で済む可能性が高まります。加えて、脳出血は画像検査ですぐに診断をつけることが可能です。
そのため、少しでも疑う場合はすみやかに医療機関を受診することが重要です。また、脳出血の治療を行うのは主に脳神経外科になるため、脳神経外科の体制が整っている病院を選んでください。
尚、後遺症については、リハビリ以外にも最先端医療の「再生医療」という新たな手法もあり、万一後遺症が残った場合は、その存在を知っておくことで後遺症が改善する可能性も残されています。
以上、本記事が参考になれば幸いです。
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