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脳出血の前兆は?今すぐチェックできるシート付き【医師監修】
![脳出血 セルフチェック](https://fuelcells.org/wp/wp-content/uploads/2022/12/cerebral-hemorrhage-checksheet.jpg)
これまでに感じたことのない激しい頭痛や吐き気、嘔吐がある場合は、脳出血を起こしている可能性があります。ただし脳出血には、前兆が基本的にはありません。
一度障害を受けた神経細胞は元に戻ることはないため、脳出血を起こすと、麻痺や感覚障害などの後遺症が残ってしまう可能性があります。
本記事では、脳出血の初期症状をチェックシート(チェックリスト)を公開しています。いつもと違う激しい頭痛や吐き気、嘔吐などに悩まされている方は、本記事のチェックリストを活用し、一つでもあてはまる場合はすぐにでも専門の医療機関を受診しましょう。
目次
脳出血の前兆を今すぐチェック【チェックシート付き】
脳出血は突然発症します。以下は「脳出血の前兆を症状で判別いただくためのチェックリスト」です。ひとつであっても当てはまるものがあれば要注意です。
※ 一つでも当てはまるようなら、すぐに病院にご相談ください。
【いずれの部位の脳出血でも認める症状】
- ◻︎頭痛
- ◻︎嘔吐
【重篤な状態を示唆する症状】
- ◻︎意識障害
- ◻︎昏睡
【運動障害】
- ◻︎手足の麻痺、動かしにくさがある
- ◻︎片側の顔の麻痺、動かしにくさがある
- ◻︎表情に左右差がある
- ◻︎歩きにくくなる、足がもつれる
- ◻︎ごはんが食べにくくなる、飲み込みづらくなる
【感覚障害】
- ◻︎片方の手足が痺れる
- ◻︎左右どちらかの顔面が痺れる
- ◻︎半身の痛みが突然生じる
【言語障害】
- ◻︎舌がうまく回らず上手に話せない
- ◻︎話したい言葉が出てこない
- ◻︎言葉が理解できない
【視覚障害】
- ◻︎突然視野が狭くなる
- ◻︎左右どちらかの視野が障害される
- ◻︎物が二重に見える
- ◻︎瞳孔の大きさが左右で違う・やけに小さい
【平衡感覚障害】
- ◻︎めまい
- ◻︎ふらつき
- ◻︎まっすぐ歩けない
脳出血の前兆に一つでも当てはまれば早期の受診を!
とくに、今まで感じたことのないような激しい頭痛が生じたときは、脳出血が発症した可能性がかなり高いです。頭痛は、血管が破れた際に起こります。
さらに、激しい頭痛だけでなく「激しい吐き気」や「嘔吐」が伴う場合は、脳出血の可能性が高まります。
意識障害や昏睡状態になっている場合は、すでに重篤な状態であり命に危険が及んでるかもしれません。
すみやかに治療を受けることで、その他の症状を発症せずに済む可能性があります。救急車を呼ぶなどして、いち早く専門の医療機関を受診しましょう。
\まずは当院にお問い合わせください/
脳出血に前兆はない?
脳出血は突然血管が破れて発症するため、前兆は基本的にありません。
ただし、脳出血は朝10時ごろに起こりやすくなっています。これは、血圧が一番高くなる活動的な時間帯であるためです。
そもそも脳出血とは?
脳出血は脳卒中の1つで、脳を走る血管が破れることにより脳の中で出血が起こる病気です。
高齢であったり、高血圧や動脈硬化が強かったりすると血管が弱くなるため、脳出血を引き起こしやすくなる傾向です。
また出血が広がると、血液で脳が圧迫されたり血液が神経細胞に行き渡らず細胞が死んでしまったりします。
一度障害を受けた神経細胞は元に戻ることはないため、麻痺や感覚障害などの後遺症を残します。脳出血の約70%が後遺症を残すと言われており、生活に支障をきたさない程度の後遺症から、
四肢麻痺などの日常生活が以前のように送れなくなるほどの後遺症までさまざまです。
リハビリである程度までの回復が期待できますが、完全に元に戻すことは難しく、何よりかなりの時間を要します。
脳出血で強い後遺症を残さないためにも、発症早期に気づき、周囲の神経細胞に障害が起こる前に治療を受けることが重要です。
脳出血の好発部位と症状の特徴
脳出血は、出血する部位によって頻度や症状が異なります。
脳出血が起こりやすいとされる好発部位は大きく分けて5つあります。それぞれの特徴は、以下のとおりです。
①被殻(ひかく)出血
脳出血のなかで一番頻度が高いのが被殻出血です。まず頭痛や嘔吐から始まり、片側の手足の麻痺や感覚の異常、うまく言葉が話せない構音障害などの症状があります。
また、どちらか一方に目が寄る共同偏視が生じることもあります。
②視床出血
視床出血は、被殻出血の次に多く見られる脳出血です。視床は感覚を伝達する神経が多く走っている部位のため、視床出血では感覚障害や視床痛という半身のみの痛みが生じます。
また、視床出血は脳脊髄液が循環している脳室と近い位置にあるため、出血が脳室まで及ぶと水頭症になり意識障害を起こします。
視床出血が起きると、左右の目が内下方を向くようになることが特徴です。水頭症については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
③小脳出血
小脳は平衡感覚をつかさどる部位です。そのため、この小脳に出血が起こると頭痛と嘔吐、めまい、歩行障害が起こります。
小脳出血が広がり脳幹まで圧迫されると呼吸が止まり致命的になる可能性があります。小脳出血のみですと、麻痺は起こりません。
④橋出血
橋は脳幹の一部で呼吸や全身の運動などをつかさどっている部位です。橋に出血が起こると意識障害や全身の麻痺が起こります。さらに出血が広がると、呼吸ができなくなり重篤な状態になることがあります。
橋出血が起こると左右両方の目の瞳孔が小さくなることが特徴です。
⑤皮質下出血
皮質下出血とは、脳の比較的表層の部分に出血が起こるものです。
部位によって症状はさまざまで、片側の手足の麻痺や構音障害、視界の左右どちらかが見えなくなる半盲などの症状が生じます。
まとめ|脳出血の初期症状を確認したら早期治療で後遺症を残さないようにしよう
脳出血はある日突然発症し、多くの場合で後遺症が残ってしまう病気です。しかし早期に治療を行うことができれば後遺症を残さないか、残っても軽度で済む可能性が高まります。
さらに、脳出血は画像検査ですぐに診断可能です。
そのため、少しでも疑う場合はすみやかに医療機関を受診することが重要です。脳出血は主に脳神経外科が治療を行うため、脳神経外科の体制が整っている病院を選びましょう。
なお、後遺症については、リハビリ以外にも最先端医療の「再生医療」という新たな手法もあります。万が一後遺症が残った場合は、その存在を知っておくと良いでしょう。
本記事が参考になれば幸いです。
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監修者
![圓尾 知之(医療法人美喜有会 脳神経外科 部長)](https://fuelcells.org/img/topics/sv03.jpg)
圓尾 知之 医師 (医療法人美喜有会 脳神経外科 部長)
Tomoyuki Maruo
日本脳神経外科学会 所属
脳神経外科の最先端治療と研究成果を活かし、脳卒中から1日でも早い回復と後遺症の軽減を目指し、患者様の日常生活の質を高められるよう全力を尽くしてまいります。