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ロコモティブシンドロームの予防法|運動・体操・食事法・セルフチェック

ロコモティブシンドローム 予防
公開日: 2025.04.30 更新日: 2025.09.30

ロコモティブシンドロームとは、運動器の障害によって移動機能が低下した状態です。

「最近になって足腰の衰えが気になる」「将来寝たきりになるのは避けたい」といった不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。

ロコモティブシンドロームが進行すると、将来介護を必要とする可能性が高まるため、できるだけ早いうちから予防に努めることが大切です。

今回は、運動や体操、食事法など、日常生活で取り入れられるロコモティブシンドロームの予防法を解説します。

また、ロコモティブシンドロームの原因となる変形性関節症や軟骨損傷についてお悩みの方は、再生医療での治療もご検討ください。

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ロコモティブシンドロームの予防には運動と食事が大切

ロコモティブシンドロームを防ぐためには、動く力を支える運動習慣と、体をつくる栄養バランスの良い食事の両立が欠かせません。

とくに、中高年以降は筋力や骨密度が自然に低下していくため、意識的に対策しないと移動機能が徐々に衰えていく可能性があります。

運動面では、下半身の筋力や柔軟性、姿勢を保つためのバランス能力を養うことが大切です。

片脚立ちやスクワットといった簡単な動きでも、継続すれば日常生活での「立つ・歩く・支える」といった基本動作が安定しやすくなります。

一方、食事面では、筋肉や骨の材料となるたんぱく質、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKなどの栄養素をしっかり摂りましょう。

偏った食生活や低栄養状態では、いくら運動をしても十分な効果が得られません。

年齢に関係なく、今できることからはじめるのがロコモの進行を防ぐ第一歩です。

運動と食事を生活の一部として取り入れ、将来の要支援・要介護リスクを軽減し、健康寿命を延ばしていきましょう。

ロコモティブシンドロームの症状や原因については、以下の記事を参考にしてみてください。

ロコモティブシンドロームを予防する運動習慣

ロコモティブシンドロームを予防・改善するためには、日常生活に無理なく取り入れられる運動習慣を継続しなければなりません。

なかでも、ロコモティブシンドローム対策として推奨されているのが「ロコモーショントレーニング(ロコトレ)」と呼ばれる一連の運動です。

ロコモーショントレーニングは、移動機能の維持・向上を目的とした簡単な運動で、高齢者をはじめとする多くの人が自宅で安全に取り組める内容になっています。

特別な道具や広いスペースは必要なく、日常生活の合間に継続可能です。

ここでは、なかでも基本的かつ効果的な運動をご紹介します。

バランス能力を鍛える「片脚立ち」

片脚立ちは、立った状態で片脚を床から数cm浮かせ、姿勢を一定時間保つ運動です。

身体のバランス能力を高めると同時に、太ももやふくらはぎの筋肉を効果的に刺激します。

目安としては、1回につき左右それぞれ1分間ですが、最初は無理のない範囲の秒数で構いません。

安全のため、壁や椅子の背もたれなど、支えになるものの近くで行うのがおすすめです。

また、転倒のリスクを避けるためにも靴下を履かず、床が滑りにくい場所で行いましょう。

下肢筋力を鍛える「スクワット」

スクワットは下半身全体の筋力、とくに太もも・お尻・ふくらはぎなどの強化に効果的な運動です。

ロコモ対策においても、歩行力の維持や転倒防止に役立つことから推奨されています。

基本的なやり方は、足を肩幅に開き、椅子に腰かけるようにゆっくりと膝を曲げて、再び元の姿勢に戻る動作です。

膝がつま先より前に出ないように注意しながら、背筋を伸ばして行いましょう。

1日10回を目安に、無理のない範囲で回数を増やしていくのがポイントです。

太もも前面を鍛える「ストレートレッグレイズ」

ストレートレッグレイズは、床に仰向けになり、片脚をまっすぐに伸ばしたままゆっくり持ち上げて戻す運動です。

太ももの前側にある大腿四頭筋(だいたいしとうきん)を集中的に鍛えられ、歩行時の安定性や膝関節の保護にもつながります。

左右それぞれ10回ずつを1セットとして、1日2〜3セットを目指しましょう。

脚を上げすぎる必要はなく、床から30cm程度でも十分な負荷がかかります。

寝たまま行えるため、高齢者や筋力が低下した方にも取り入れやすい運動です。

ただし、膝や腰に痛みがある場合には無理をせず、医師や理学療法士に相談するようにしてください。

腹筋を鍛える「クランチ」

クランチは、腹筋の中でもとくに上腹部を鍛える基本的なエクササイズです。

体幹の安定性を高め、姿勢の改善やバランス能力の向上に役立ちます。

仰向けになり、膝を軽く曲げた状態で頭と肩を少し持ち上げる簡単な動作です。

反動を使わず、腹筋の力でゆっくり上体を起こすのがポイントで、首に負担がかからないように手は胸の前で組むか、軽く頭を支えるようにします。

1セット10回を目標に、無理のない範囲で取り組みましょう。

腹筋を強化することで、日常生活での「ふんばり」が効きやすくなり、転倒しにくい身体づくりにつながります。

ロコモ体操

ロコモ体操は、ロコモティブシンドロームの予防・改善を目的に考案された簡単な運動プログラムです。

ロコトレの「片脚立ち」と「スクワット」が基本構成として組み込まれており、特別な道具を必要とせず、自宅で手軽に実践できます。

体操の手順は以下の通りです。

1.両手を腰に添えて、片脚を床から数cm上げてそのまま10秒キープ(左右交互に)
2.肩幅に足を開き、ゆっくりとスクワット(膝がつま先より前に出ないように)
2.1と2の繰り返しを1日3セット

ロコモ体操は、筋力とバランス能力を同時に高められ、継続することで転倒リスクの軽減や歩行機能の改善に役立ちます。

体力や体調に応じて回数を調整しながら、毎日の生活習慣として取り入れましょう。

「よい姿勢」の維持も大切

ロコモティブシンドロームの予防には、筋力やバランス能力の強化に加えて、姿勢の維持も重要です。

姿勢が悪い状態が長く続くと、背骨や関節に過度な負担がかかり、腰痛や関節障害を引き起こす原因になります。

とくに、猫背や前かがみの姿勢は脊椎の湾曲を悪化させ、運動機能の低下を招きやすくなるため注意が必要です。

正しい姿勢を保つためには、腹筋・背筋・体幹の筋肉がバランスよく働く必要があります。

また、座っているときは骨盤を立てて背筋を伸ばすよう意識し、スマートフォンやパソコンの使用時も首を前に出しすぎないようにしましょう。

良い姿勢を意識することは、見た目だけでなく、身体全体の機能維持にも大切です。

日頃から鏡で姿勢をチェックしたり、背中を壁につけて立つなどして、自分の姿勢を客観的に見直す習慣をつけましょう。

ロコモティブシンドロームを予防する食事習慣

ロコモティブシンドロームの予防には、運動だけではなく毎日の食事管理も重要です。

丈夫な骨や十分な筋肉量を保つためにも、必要な栄養素を意識的に摂取しましょう。

骨を丈夫にする食事

ロコモティブシンドロームの予防において、骨を強く保つことは重要です。

骨の主成分であるカルシウムは、骨の密度を維持し、骨折や骨粗しょう症のリスクを低減する効果が期待できます。

日々の食事からの十分なカルシウム摂取が、ロコモの進行を防ぐ基本です。

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、30歳以上の1日あたりのカルシウム推奨量は以下の表のとおりです。(文献1)

年齢 男性 女性
30~49歳

750mg

650mg
50~64歳

750mg

650mg
65~74歳

750mg

650mg
75歳以上

750mg

600mg

※妊娠・授乳期や疾患の有無によって異なる場合があります。目安としてご参照ください。

現代の日本人の平均摂取量は上記の基準を下回っているとされており、意識的な摂取が必要です。

牛乳やヨーグルトなどの乳製品や小魚、豆腐・納豆などの大豆製品、青菜類などカルシウムを多く含む食品を活用し、骨の健康を長く保っていきましょう。

筋肉をつくる食事

ロコモティブシンドロームの予防には、骨の健康だけでなく、筋肉の維持と強化も重要です。

筋力が低下すると、転倒や移動機能の衰えが進行しやすくなるため、日常的なたんぱく質の摂取が欠かせません。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、30歳以上のたんぱく質推奨量を以下のように定めています。(文献1)

年齢 男性 女性
30~49歳

65g

50g
50~64歳

65g

50g
65~74歳

65g

50g
75歳以上

60g

50g

※個人の体格や活動量によっても異なるため、目安としてご参照ください。

また、筋肉量や筋力の低下が懸念される高齢者の場合、体重1kgあたり1.0〜1.2g程度のたんぱく質摂取が望ましいとしています。

たとえば、体重50Kgの高齢者であれば1日50~60g、体重60Kgなら60~72gが目安です。

たんぱく質は、肉・魚・卵・乳製品・大豆製品など、さまざまな食品に含まれているので、朝・昼・夕の3食に分散すれば効率的に摂取できます。

定期健診でロコモティブシンドローム予防

ロコモティブシンドロームの進行を防ぐためには、早期発見と適切な対応が重要です。

以下のような定期健診を受けることで、移動機能が低下している前兆に気づきやすく、予防につながります。

  • 骨密度測定(骨粗しょう症のリスクを早期に把握できる)
  • 筋力測定(握力や下肢筋力といった筋力の低下を客観的に評価できる)
  • 歩行機能テスト(歩行速度やバランス能力などを確認できる)

ロコモティブシンドロームの予防として、無理のない範囲で年に1〜2回の定期健診を受けておくことをおすすめします。

ロコモティブシンドロームのチェック方法

ロコモティブシンドロームは、自覚症状がないまま進行してしまうケースも珍しくありません。

自分の状態を知ることは、ロコモティブシンドロームを予防する第一歩です。

セルフチェックをしたり、ロコモ度テストを行ったりすると、ロコモティブシンドロームかどうかを確認できます。

以下で、それぞれのチェック方法を解説するので、ぜひ参考にしてください。

7つのセルフチェック項目

ロコモティブシンドロームのセルフチェック項目は、以下の7つです。

  • 片脚立ちで靴下がはけない
  • 家の中でつまずいたり、すべったりする
  • 階段を上がるのに手すりが必要である
  • 家のやや重い仕事が困難である(掃除機の使用・布団の上げ下ろしなど)
  • 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である
  • 15分くらい続けて歩けない
  • 断歩道を青信号で渡りきれない

日常動作における困難さを確認し、1つでも該当する項目があれば、ロコモティブシンドロームが疑われます。

ロコモ度テスト

日本整形外科学会が推奨する「ロコモ度テスト」は3つの段階で構成されており、移動機能の低下リスクを段階的に確認できます。(文献2)

段階 状態
ロコモ度1 移動機能の低下がはじまった状態
ロコモ度2 移動機能の低下が進行した状態
ロコモ度3 移動機能の低下により社会参加に支障をきたしている状態

ロコモの状態を数値や動作で具体的に知ることで、適切な対策を立てやすくなります。

自宅で簡単にできる内容もあるため、定期的にチェックしてみてください。

立ち上がりテスト

立ち上がりテストは、下肢の筋力とバランス能力を確認するための基本的な評価方法です。

まずは座面までの高さ40cmの椅子に座り、両腕を胸の前で組んだ状態から片脚ずつ立ち上がれるかどうかを確認します。

40cmをクリアできたら30cm、20cmと高さを下げて、同様に行いましょう。

どの高さから片脚で立ち上がれるかにより、ロコモ度を判定します。

ただし、膝や腰に不安のある方は無理をせず、必要に応じて専門家の指導を受けてください。

2ステップテスト

2ステップテストは、歩行時のバランス力や歩幅の広さを測定することで、移動能力全体を評価する方法です。

立った状態からできるだけ大股で2歩前に進み、その歩幅の合計を身長で割って数値化します。

数値が1.3未満の場合は、移動機能の低下が疑われます。

2ステップテストは、高齢者に限らず若年層でも簡単に実施しやすく、ロコモの兆候を早期に把握するうえで有効です。

ただし、転倒防止のため、十分なスペースを確保して安全に注意しながら行いましょう。

ロコモ25

ロコモ25は、25項目の質問に答えることで、身体機能だけでなく日常生活への支障や心理的側面を含めた移動能力を多面的に評価する自己記入式の質問票です。

たとえば、「歩く速度が遅くなったと感じるか」「階段の上り下りに不安があるか」など、主観的な不安や困難を数値化できます。

それぞれの回答に点数をつけ、合計点によりロコモ度の進行段階を評価するのが特徴です。

医療機関で使用されることも多く、定期的なチェックを通じて変化を把握することで、早めの対処が可能になります。

ロコモ度テストについては、以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてみてください。

ロコモティブシンドロームの改善方法

運動器の痛みや老化による衰えなど、ロコモティブシンドロームの要因はさまざまです。

複数の要因が重なったりするとロコモティブシンドロームになり、症状が進行すると普段の生活に支障をきたします。

ロコモティブシンドロームの予防・改善方法は、運動や食事以外にも、投薬や手術などがあります。

諸要因に対する主な改善方法は、以下の通りです。

要因 改善方法
痛み・痺れ 運動・投薬・手術
関節可動域制限 運動・手術
柔軟性低下 運動
姿勢変化 運動・手術
筋力低下・麻痺 運動・栄養・手術
バランス能力低下 運動

まとめ|運動習慣とバランスの良い食事でロコモの予防に努めよう

ロコモティブシンドロームは運動器の疾患や衰えだけではなく、運動不足や栄養の偏りといった生活習慣による影響が大きく、健康な体づくりが予防につながります。

無理のない範囲で日頃からロコモーショントレーニングや簡単な体操を取り入れると、筋力や柔軟性が高まり、移動機能の低下を防げます。

また、筋肉量や骨量を維持するためには、バランスの良い食事も不可欠です。

将来的に介護が必要になるリスクを少しでも減らせるよう、適度な運動習慣とバランスの良い食事を心がけましょう。

また、ロコモの原因となる変形性関節症や軟骨損傷についてお悩みの方は、治療法として再生医療もご検討ください。

当院「リペアセルクリニック」では、公式LINEで再生医療に関する情報提供と簡易オンライン診断を実施しています。

移動機能に不安があれば、登録してぜひお気軽にご利用ください。

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ロコモティブシンドロームの予防に関するよくある質問

高齢者のロコモティブシンドローム予防で重要な点は?

高齢者におけるロコモティブシンドロームの予防では、運動と食事の両立が極めて重要です。

日常生活に運動習慣を取り入れ、筋肉や骨を支えるたんぱく質やカルシウム、ビタミンDなどを意識した、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。

早期から習慣づけすれば、将来の転倒や骨折、要介護のリスクを大幅に減らすことが可能となります。

厚生労働省ではロコモティブシンドロームをどのように定義していますか?

厚生労働省が運営する「健康日本21アクション支援システム」では、ロコモティブシンドロームを「片脚で40cmの椅子から立ち上がれない状態」としています。(文献3)

筋力やバランス能力の低下によって移動機能に支障をきたしている状態であり、とくに立ち上がり動作は代表的な評価指標です。

ロコモティブシンドロームが進行するとどうなる?

ロコモティブシンドロームが進行すると、筋力や骨の脆弱化が進み、日常生活での移動が徐々に困難になります。

その結果、転倒や骨折を繰り返しやすくなり、最終的には「寝たきり」の状態に至るリスクが高まるのです。

厚生労働省の「令和4年 国民生活基礎調査の概況」によると、要介護となる原因のひとつに「骨折・転倒」が挙げられています。(文献4)

移動能力が低下すると外出や社会参加が難しくなり、精神的な不活発や認知機能の低下にもつながりかねません。

ロコモの進行は身体だけでなく、生活の質(QOL)全体を大きく損なう可能性もあります。

早期の段階で適切な運動・栄養指導を取り入れ、進行を食い止めることが重要です。

参考文献

(文献1)
日本人の食事摂取基準(2020年版)|厚生労働省

(文献2)
ロコモONLINE|ロコモ度テスト

(文献3)
健康日本21アクション支援システム みんなの健康づくり集|

(文献4)
令和4年 国民生活基礎調査の概況「第4章 世帯員の健康状況」|厚生労働省