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【どんな痛み?】骨粗鬆症の症状とは|セルフチェック方法や受診の目安を医師が解説

「背中が痛い」
「最近腰が曲がってきた気がする」
その症状は、もしかしたら骨粗鬆症(こつそしょうしょう)かもしれません。
「骨粗鬆症」とは、骨の中がスカスカになってもろくなり、骨折しやすくなる病気です。自覚症状がないまま進行し、気づいたときには骨折をしていた、というケースもあります。
この記事では、骨粗鬆症であらわれやすい症状や、病院に行くべきタイミングについてご紹介します。骨粗鬆症の症状について知ることで、早めの対策ができれば幸いです。
目次
骨粗鬆症の主な症状
骨粗鬆症の主な症状は以下の3つです。
- 背中や腰の鈍い痛みが続く
- 身長が縮む・姿勢が悪くなる
- 転倒や軽い動作でも骨折するようになる
今の自分に出ている症状に当てはまるものがないか、確認してみましょう。
背中や腰の鈍い痛みが続く
骨粗鬆症が進むと、背骨がもろくなって小さな骨折を起こすことがあります。
これを「脊椎圧迫骨折」といい、気づかないうちに起きているケースも珍しくありません。
また、骨の内部の「骨梁(こつりょう)」と呼ばれる細かい骨の構造が折れることによる痛みもあります。(文献1)
背中や腰の痛みが続くと「年のせいかな」「少し無理をしたからかな」と思いがちですが、実は骨粗鬆症が関係している可能性もあるのです。
身長が縮む・姿勢が悪くなる
「最近、昔より背が低くなった気がする」そんな変化も、骨粗鬆症のサインのひとつです。
背骨がつぶれるように骨折・変形してしまうと、自然と姿勢も丸くなり、身長が数センチ縮むことがあります。
とくに、若いころと比べて男性は6cm、女性は4cm以上の変化がある場合は、背骨の骨折が進んでいる可能性が高いといわれています。(文献2)
転倒や軽い動作でも骨折するようになる
ふとした拍子に尻もちをついたり、重い荷物を持ち上げたりしただけで、骨が折れてしまうのも骨粗鬆症の症状のひとつです。
とくに背中、太もものつけ根、手首、腕のつけ根、肋骨などが折れやすくなります。
こうした骨折が重なると、さらに体を動かすのがつらくなり、生活に大きな影響を与えます。(文献1)
骨粗鬆症の初期症状は気づきにくい
骨粗鬆症は、骨がもろくなっても、痛みなどの自覚症状が出るとは限りません。多くの場合、初めて気づくのは「骨折してから」です。(文献1)
とくに閉経後の女性は、女性ホルモンの減少によって骨密度が急激に低下しやすくなります。(文献2)
痛みがなくても、定期的に骨密度を測る、食事や運動に気を配るといった予防意識が大切です。
また、過度なダイエットやステロイドなどの薬の影響でも、骨が弱くなることがあります。(文献3)
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骨粗鬆症の症状セルフチェックリスト
骨粗鬆症の兆候に気づくには、まずは自分の体の変化をチェックしてみましょう。
このチェックリストは、公益財団法人 骨粗鬆症財団が公開する「骨の健康度チェック表」より引用しています。(文献5)
次の項目のうち、当てはまるものの点数を合計してください。
あなたの骨の健康度がわかります。
1 |
牛乳、乳製品をあまりとらない |
2点 |
---|---|---|
2 |
小魚、豆腐をあまりとらない |
2点 |
3 |
たばこをよく吸う |
2点 |
4 |
お酒はよく飲む方だ |
1点 |
5 |
天気のいい日でも、あまり外に出ない |
2点 |
6 |
体を動かすことが少ない |
4点 |
7 |
最近、背が縮んだような気がする |
6点 |
8 |
最近、背中が丸くなり、腰が曲がってきた気がする |
6点 |
9 |
ちょっとしたことで骨折した |
10点 |
10 |
体格はどちらかと言えば細身だ |
2点 |
11 |
家族に「骨粗鬆症」と診断された人がいる |
2点 |
12 |
糖尿病や、消化管の手術を受けたことがある |
2点 |
13 |
(女性)閉経を迎えた(男性)70歳以上である |
4点 |
結果の見方
あなたの合計点数に当てはまる項目をご覧ください。
2点以下 |
今は心配ないと考えられます。これからも骨の健康を維持しましょう。 改善できる生活習慣があれば、改善しましょう。 |
---|---|
3点~5点 |
骨が弱くなる可能性があります。気を付けましょう。 |
6点~9点 |
骨が弱くなっている危険性があります。注意しましょう。 |
10点以上 |
骨が弱くなっていると考えられます。 一度医師の診察を受けてみてはいかがですか。 |
ご自身の骨の状態を知る目安として、参考にしてみてください。
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骨粗鬆症の症状を放置するリスク3選
骨粗鬆症の症状を放置すると、下記のようなリスクが考えられます。
- 骨折の連鎖で、さらに骨がもろくなる
- 痛みや動きにくさで、日常生活が制限される
- 寝たきりや介護が必要な状態になる
本章で骨粗鬆症を放置するリスクを理解し、早期発見・早期対策を考えましょう。
骨折の連鎖で、さらに骨がもろくなる
背骨が一カ所でも折れると、そこに負担が集中し、周りの骨まで折れやすくなります。
たとえば、太ももの付け根を骨折した場合、反対側の太ももの骨を骨折してしまう人は10人に1人というデータもあります。(文献6)
骨折の連鎖が起きる原因は、元々骨が弱くなっているためや骨折により転びやすくなること、反対側の骨に力が入りやすいことなどが考えられます。(文献6)
痛みや動きにくさで、日常生活が制限される
骨粗鬆症からの骨折による背中や腰の痛みは、日常生活にじわじわと影響を及ぼします。
掃除や洗濯、買い物といった家事が負担になったり、外出をためらうようになったりすることもあるでしょう。
また、重い荷物を持ち上げるのが怖くなったり、孫を抱っこしたくてもできなかったりと、これまで当たり前にできていた動作が困難になっていきます。
痛みや動きづらさのせいで行動範囲が狭くなると、日々の楽しみや穏やかな毎日がおびやかされる可能性があるのです。
寝たきりや介護が必要な状態になる
骨粗鬆症による背中や腰の痛み、そして度重なる骨折は、日常生活の自由を奪うだけでなく、寝たきりになるリスクにもつながります。
とくに注意したいのが、太もものつけ根(大腿骨)の骨折です。
この部位を骨折すると、長期間のリハビリが必要になるケースも少なくありません。
高齢になると手術やリハビリの負担は大きく、体力や筋力が一気に落ちがちです。
その結果、自分で歩けなくなり、介護が必要になるケースもあります。
転倒をきっかけに生活が一変することもあるため、日頃から骨の健康を意識しておくことが大切です。(文献7)
骨粗鬆症の症状が気になったら迷わず医療機関へ
骨粗鬆症は、痛みなどのはっきりした症状が出にくく、自分では気づきにくい病気です。
「少し背中が痛いだけ」「年のせいかな」と思っていても、実は骨がもろくなり、骨折のリスクが高まっていることもあります。
そのため、骨折してしまう前に、医療機関で骨の状態を確認しておくことが大切です。
病院では、骨密度の測定やレントゲン検査が行われ、現在の骨の状態や将来的なリスクがわかります。(文献6)
骨粗鬆症は、早めの対策で進行を防げる病気です。
「検査までは…」と迷っている方も、まずは相談だけでもしてみてはいかがでしょうか。
リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングも受け付けています。
骨粗鬆症の症状について不安がある方や、どこに相談すれば良いかわからない方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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骨粗鬆症の症状が出たときの対策と治療法
骨粗鬆症の主な治療法は下記のとおりです。
- 外科治療
- 薬物療法
- 生活習慣の見直し
かかりつけの医師とも相談しながら、適切な治療を進めていきましょう。
外科治療
骨折が見つかった場合は、状態に応じて外科的な治療が行われます。
もっとも一般的なのは、コルセットやギプスなどを使って骨を固定し、安静に過ごす方法です。
こうすることで骨の回復を促し、痛みを軽減させられます。
背骨の圧迫骨折などでは、簡易的なコルセットを数週間着けるだけで改善するケースもありますが、痛みが強い、骨のつぶれが大きい、骨が不安定な状態にあるといった場合には、手術が検討されることもあります。
おこなわれる手術は、骨を金属で固定する手術、骨にセメントを注入する手術などです。
再発や別の箇所の骨折を防ぐために、治療後も日常生活の工夫やリハビリの継続が大切です。(文献8)
薬物療法
骨粗鬆症の治療では、薬によるサポートも重要です。
薬は大きく分けて2種類あり、ひとつは「骨が溶け出すのを防ぐ薬」、もうひとつは「骨を新しく作る力を高める薬」です。
どちらの薬も「飲めばすぐ治る」わけではなく、継続して使うことで効果が発揮されます。
自己判断で中止してしまうと、せっかく改善していた骨密度が再び低下し、骨折のリスクが高まるおそれがあるため、続けることが大切です。
また、毎日服用するものや週に1回の服用で良いタイプなど、さまざまな種類の薬があります。(文献1)
気になることは医師や薬剤師に相談してみてください。
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生活習慣の見直し
骨粗鬆症の予防や進行を抑えるためには、薬や治療だけでなく、毎日の生活習慣にも気を付ける必要があります。
なかでも重要なのが、栄養バランスのとれた食事と、無理のない運動の継続です。
食事の面では、カルシウム・ビタミンD・ビタミンKを意識してとるようにしましょう。(文献1)
カルシウムは骨の材料となる栄養素で、牛乳やチーズ、小魚、大豆製品などに豊富に含まれています。
ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける働きがあり、鮭や卵黄、きのこ類などから摂取可能です。
ビタミンKは骨の質を高める役割があり、納豆や小松菜などに多く含まれます。(文献9)
運動については、激しい運動をする必要はありません。
散歩や階段の上り下り、買い物など、日常の中で体を動かすことを意識するだけでも太ももの付け根の骨折予防になるといわれています。(文献1)
また、喫煙や過度の飲酒は骨を弱くする原因になるといわれています。
これらを控えることも、骨を守る上で大切な生活習慣のひとつです。
生活の中でできる小さな工夫を積み重ねていくことで、将来の骨折リスクを下げ、健やかな毎日を送ることができます。(文献10)
骨粗鬆症の症状があらわれたら早めの受診を心がけよう
背中の痛みや身長の縮みは、骨粗鬆症のサインかもしれません。
骨粗鬆症は、自覚症状が出にくく、気づかないうちに進行してしまう病気です。
そして、いったん骨折すると、その後の生活に大きく影響してしまう可能性もあります。
背中や腰の痛み、姿勢の変化、骨折しやすさなどが気になるときは、できるだけ早めに医療機関に相談してみてください。
骨密度の検査やレントゲン検査を受けることで、自分の骨の状態がわかります。
予防も治療も、早いうちから始めることが大切です。
「まだ大丈夫」と思わず、体からのサインにしっかり目を向けてあげましょう。
骨粗鬆症の症状に関するよくある質問
骨粗鬆症の症状はどんな痛みがありますか?
骨粗鬆症による背骨の圧迫骨折では、「体動時腰痛(たいどうじようつう)」と呼ばれる特徴的な痛みがあらわれることがあります。
とくに、寝ている姿勢から起き上がろうとしたときに鋭い痛みが走り、一度立ち上がってしまえば痛みが軽減されるのが特徴です。(文献11)
骨粗鬆症は男性でもなりますか?
男性でも骨粗鬆症になるケースはあるため、注意が必要です。
骨粗鬆症というと女性の病気と思われがちですが、実は患者の4人に1人は男性だといわれています。
とくに病気や薬、栄養不足などが重なると、男性でも骨密度が低下しやすくなります。(文献12)
男性だから大丈夫とは思わず、違和感があれば早めに検査を受けることが大切です。
参考文献
河路 秀巳,伊藤 博元「骨粗鬆症の診断と治療」『日医大医会誌』5(1),pp41-46,2009,https://www.jstage.jst.go.jp/article/manms/5/1/5_1_41/_pdf
折茂 肇「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2015年版」2015年6月,http://www.josteo.com/data/publications/guideline/2015_01.pdf#page=37
日本臨床内科医会「骨粗鬆症の原因」女性のミカタ,https://jyoseinomikata.jp/osteoporosis/cause.html
公益財団法人骨粗鬆症財団「骨の健康度チェック表」骨粗鬆症財団ホームページ,https://www.jpof.or.jp/Portals/0/images/osteoporosis/inspection_treatment/03/02/Op_health_check_Leaflet.pdf
竹内 靖博.「骨粗鬆症の診断とガイドラインの変遷」『日本内科学会雑誌』111(4),pp732-738,2022,https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/111/4/111_732/_pdf
日本臨床内科医会「骨粗鬆症ってどんな病気?」女性のミカタ,https://jyoseinomikata.jp/osteoporosis/
独立行政法人国立病院機構 村山医療センター「骨粗鬆症に関するご案内」村山医療センターホームページ,https://murayama.hosp.go.jp/orthopedics/illness/kotsusosho.html
公益財団法人骨粗鬆症財団「骨粗鬆症における栄養」骨粗鬆症財団ホームページ,https://www.jpof.or.jp/osteoporosis/nutrition/tabid257.html
公益財団法人骨粗鬆症財団「タバコや酒の影響について」骨粗鬆症財団ホームページ,https://www.jpof.or.jp/osteoporosis/nutrition/cigarette.html
一般社団法人日本整形外相学会「骨折について」日本整形外傷学会ホームページ,2009年7月,https://www.jsfr.jp/ippan/condition/ip02.html
日本医師会日医ニュース「男性の骨粗鬆症」健康ぷらざ,2018年6月20日,https://www.med.or.jp/dl-med/people/plaza/503.pdf