LINEポップアップ
  • HOME
  • トピックス
  • 関節リウマチにおける血液検査の種類や数値を医師が解説
  • 関節リウマチ
  • 内科疾患

関節リウマチにおける血液検査の種類や数値を医師が解説

関節リウマチ 血液検査
公開日: 2025.05.30

「健康診断の血液検査でリウマチの数値が高いと指摘された」

「リウマチの数値が高い上に、関節が痛んだり腫れたりしている」

「関節リウマチの血液検査の内容を知りたい」

このような疑問や不安をお持ちの方もいらっしゃることでしょう。

結論から申し上げますと、関節リウマチの血液検査にはさまざまな種類があります。血液検査で異常がなくても関節リウマチと診断される場合も少なくありません。

本記事では関節リウマチの血液検査について詳しく紹介します。

お悩みの症状が関節リウマチに関係しているかの目安がわかりますので、ぜひ最後までご覧ください。

関節リウマチにおける血液検査の種類

関節リウマチにおける血液検査の種類は、主に以下の3つです。

  • 免疫に関する検査
  • 炎症に関する検査
  • その他の血液検査

免疫に関する検査

ここでは免疫に関する検査として、リウマトイド因子と抗CCP抗体、MMP-3について説明します。

リウマトイド因子

リウマトイド因子とは、リウマチの診断および治療に有効な検査値で、一般的な基準値は15IU/ml以下です。(文献1)

リウマトイド因子が50や100といった高値を示し、関節症状がある場合、リウマチである可能性が高いとされています。(文献2)

ただし、関節リウマチ以外でも高値を示すこともあるため、この検査だけでリウマチと確定させることは難しいでしょう。(文献2)

抗CCP抗体

抗CCP抗体とは、関節リウマチの診断や予後の予測に関する検査値で、一般的な基準値は4.5U/ml未満です。(文献2)(文献3)

検査値が高く、関節症状がある場合、関節リウマチの可能性がきわめて高いといえるでしょう。他のリウマチ因子とは異なり、リウマチ以外の疾患で高値を示すことはまれであるため、関節リウマチの診断に有効な検査です。

抗CCP抗体の数値が高い場合は、関節リウマチの中でも関節や骨の破壊が進みやすいタイプであることを意味します。

MMP-3

MMP-3は、関節リウマチにより炎症を起こしている滑膜で多く分泌される酵素であり、リウマチによる軟骨破壊の程度をあらわします。

MMP-3 の基準値は、以下のとおりです。(文献3)

  • 男性:36.9~121.0 ng/ml
  • 女性:17.3~59.7 ng/ml

関節リウマチの初期段階から上昇するといわれていますが、関節リウマチ以外の疾患やステロイド内服時でも高値を示す場合もあります。

関節リウマチ以外でMMP-3 が高値を示す疾患として挙げられるのは、全身性エリテマトーデスやリウマチ性多発筋痛症などです。

炎症に関する検査

ここでは炎症に関する検査として、CRPと赤血球沈降速度について説明します。

CRP

CRPは、全身の急性炎症を示す指標です。

正常値は0.3mg/dl未満であり、炎症が強いときには10mg/dlを超える場合もあります。(文献3)(文献4)

炎症や組織の破壊が起きたときに、白血球の仲間であるリンパ球や単球、マクロファージが炎症性サイトカインを分泌します。炎症性サイトカインにより肝臓の細胞が刺激された結果分泌されるタンパク質が、CRPです。

CRP値が高値を示す疾患は、関節リウマチ以外に複数存在します。主な疾患としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 肺炎
  • ウイルス性肝炎
  • 腎盂腎炎

そのため、CRP値のみでの関節リウマチ診断は難しいといえるでしょう。

赤血球沈降速度

赤血球沈降速度は慢性炎症の指標です。

細長いガラス管の中に抗凝固剤(クエン酸)を加えた血液を入れて、1~2時間立てておきます。この間に、赤血球が沈んだ深さを検査値とします。

正常値は以下のとおりです。(文献3)

  • 男性:1時間に10㎜未満
  • 女性:1時間に20㎜未満

炎症が起こっているときは赤血球の沈む速度が速くなり、関節リウマチ患者では50㎜前後といわれています。(文献4)

その他の血液検査

その他の血液検査として挙げられるのは、主に以下の4項目です。

  • 貧血検査
  • 肝機能検査
  • 腎機能検査
  • 肺機能検査

貧血検査

関節リウマチ患者は慢性的な炎症が原因で、貧血傾向にあります。これは炎症性サイトカインが原因で鉄分の吸収が抑制されるためです。

抗リウマチ薬(メトトレキサート)の副作用で貧血が出現する場合もあります。

貧血の程度を測るための検査値が、赤血球数やヘモグロビン値、血色素量などです。WHO(世界保健機構)の定義によると、成人男性ではヘモグロビン値13.0g/dl以下、成人女性ではヘモグロビン値12.0g/dl以下が貧血とされます。

貧血に関しては、以下の記事でも詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

肝機能検査

関節リウマチ患者は、メトトレキサートをはじめとした薬の副作用により肝機能が低下する場合があるため、定期的に検査を実施します。

主な肝機能検査は、AST(別名GOT)やALT(別名GPT)です。医療機関ごとに異なりますが、どちらかの検査値が100U/Lを超えた場合は、内服薬を調整するケースが一般的です。(文献5)

B型肝炎およびC型肝炎ウイルス検査を実施するケースもあります。肝炎ウイルスは感染しても無症状のことが多いのですが、リウマチの薬により免疫力が低下して、ウイルスが活性化する場合もあるためです。

関節リウマチと薬の関係については以下の記事でも解説しますので、あわせてご覧ください。

腎機能検査

関節リウマチ患者は薬の副作用により腎機能が低下する場合があるため、血液検査で経過を観察します。

主な腎機能検査は、クレアチニンやeGFRです。基準値は医療機関によって異なりますが、クレアチニン値が高い、もしくはeGFR値が低いと腎機能低下の疑いがあります。

リウマチのコントロールが不良の場合、「アミロイドーシス」と呼ばれる合併症を引き起こす可能性があります。アミロイドーシスとは、アミロイドと呼ばれるタンパク質が過剰に作られて、さまざまな臓器に付着した結果起こる疾患の総称です。

腎臓でアミロイドーシスが起きると、ネフローゼ症候群や腎不全を発症する場合があります。

肺機能検査

関節リウマチの合併症および副作用の1つとして、呼吸器疾患があります。重要な呼吸器疾患の1つが間質性肺炎(肺線維症)です。

一般的な肺炎は細菌やウイルス感染により肺に炎症が起こりますが、間質性肺炎は、肺胞の壁に当たる部分(肺胞壁)や肺胞を支える組織に炎症が起きます。その結果、肺全体が固くなります。

間質性肺炎の度合いを表す血液検査の1つが、KL-6です。医療機関ごとに異なりますが、一般的な基準値は500U/ml未満です。KL-6が高い場合は、間質性肺炎の発症もしくは悪化が考えられます。

関節リウマチにおける血液以外の検査

関節リウマチにおける血液検査以外の検査としては、画像検査があります。具体的には、レントゲン検査や超音波検査、MRI検査などです。

レントゲン検査では関節周囲の骨が薄くなる骨粗しょう症や、骨が削られたように欠ける骨びらんなどの状況がわかります。

超音波検査では炎症の状態がリアルタイムに把握できるほか、骨の状況も高感度で確認可能です。

MRI検査では、関節周囲の筋肉や軟骨などの炎症や腫れを確認できます。

血液検査で異常なしでも関節リウマチを発症している場合がある

リウマトイド因子や抗CCP抗体などの血液検査が陰性であっても、関節リウマチと診断されるケースがあります。主に挙げられるのが、血清反応陰性関節リウマチとリウマチ性多発筋痛症です。

血清反応陰性関節リウマチの症状や治療法は、一般的な関節リウマチと同様です。血液検査が陰性であるため、超音波検査で関節の腫れや炎症を確認します。

60歳以上で発症する関節リウマチの場合、血清反応陰性例が多いとされています。(文献6)

リウマチ性多発筋痛症は、両肩周囲のこわばりや痛みで発症し、手指や足指の腫れや関節痛が少ないのが特徴的です。(文献6)

リウマチ性多発筋痛症は関節リウマチと異なり、少量のステロイド剤が治療に使われます。ステロイド剤の量は患者の状況によって調整します。リウマチ性多発筋痛症も高齢での発症が多い疾患です。

関節リウマチの治療については以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。

血液検査の理解を深めて関節リウマチの改善に努めよう

関節リウマチにおける血液検査は、免疫や炎症に関する項目に加えて、貧血や肝機能、腎機能、肺機能などに関する項目があります。貧血や肝機能などの検査は、薬の副作用や合併症に関連したものです。

関節リウマチの場合、血液検査だけではなく画像診断も大事な指標です。

また、血液検査で異常なしであってもリウマチを発症しているケースもあります。関節痛や腫れ、変形など、リウマチと思われる症状でお悩みの方は、早めに医療機関を受診しましょう。

関節リウマチの方が日常で避けるべき行動について、下記の記事で紹介しています。あわせてご覧ください。

当院「リペアセルクリニック」では、メール相談オンラインカウンセリングを実施しています。血液検査の結果に疑問や不安をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。

\無料オンライン診断実施中!/

無料の再生医療ガイドブックはこちらから!>>

関節リウマチと血液検査に関するよくある質問

関節リウマチの有無は検査後にすぐわかるものですか?

関節リウマチの有無は、検査後すぐにわからないことが多いとされています。

血液検査、とくにリウマトイド因子や抗CCP抗体などは検査結果が判明するまでに数日から1週間程度かかるためです。

画像検査においても、レントゲン検査や超音波検査はすぐに結果がわかりますが、MRI検査の場合は結果がわかるまで数日かかることがあります。

これらの状況から見ても、関節リウマチの有無は検査後すぐにはわからないと考えた方が良いでしょう。

関節リウマチの検査は何科を受診すれば良いですか?

リウマチ科や膠原病内科、整形外科などのリウマチ専門医がいる科の受診が望ましいでしょう。

近くの医療機関にこれらの診療科がない場合は、かかりつけの内科を受診して、専門医への紹介状を書いてもらうことをおすすめします。

当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による関節リウマチの治療を実施しております。お気軽にご相談ください。

\無料相談受付中/

通話料無料/受付時間 09:00~18:00

参考文献

(文献1) 一般社団法人日本リウマチ学会「リウマトイド因子標準化のガイドライン」一般社団法人日本リウマチ学会ホームページ

https://www.ryumachi-jp.com/publish/guide/news110817/

(最終アクセス:2025年5月19日)

(文献2) 京都大学医学部附属病院リウマチセンター「関節リウマチに関わる血液の検査結果の見方」2013年

https://www.racenter.kuhp.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2013/01/ra2013011702.pdf

(最終アクセス:2025年5月19日)

(文献3) 順天堂越谷病院「膠原病・リウマチの検査」2020年

https://hosp-koshigaya.juntendo.ac.jp/wp-content/uploads/2020/05/49a86a7ddc1e3f5f01e26b8a369af6e8.pdf

(最終アクセス:2025年5月19日)

(文献4) あゆみ製薬株式会社「リウマチの検査と診断」リウマチ情報 リウマチ患者さんとそのご家族の皆様へ

https://www.ayumi-pharma.com/ja/healthcare/rheumatism/library/diagnosis/page2.html

(最終アクセス:2025年5月19日)

(文献5) 京都大学医学部附属病院 リウマチセンター「京大リウマチ通信 リウマチで注意する血液データ」2013年

https://www.racenter.kuhp.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2011/05/ra201303.pdf

(最終アクセス:2025年5月19日)

(文献6) 桑名正隆.「高齢者における診断・治療の進歩:関節リウマチ」『日本内科学会雑誌』111(3), pp.454-460, 2022

https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/111/3/111_454/_pdf

(最終アクセス:2025年5月19日)

イメージ画像トップ