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外傷性脳出血とは|症状・後遺症・治療法を現役医師が解説

「外傷性脳出血と診断された」
「外傷性脳出血の治療や後遺症はどうなるのか?」
外傷性脳出血は、転倒や交通事故などで脳内の血管が損傷し、出血を起こす疾患です。脳出血が起きると、頭痛や吐き気、意識障害、手足の麻痺など、多岐に渡る症状が現れます。
本記事では、外傷性脳出血について、現役の医師が詳しく解説します。
- 外傷性脳出血の症状
- 外傷性脳出血で起こりうる後遺症
- 外傷性脳出血の治療法
記事の最後には、外傷性脳出血に関するよくある質問をまとめておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
外傷性脳出血とは
種類 | 出血部位 | 主な原因 | 主な症状 | 主な治療法 |
---|---|---|---|---|
硬膜外血腫 | 頭蓋骨と硬膜の間 | 硬膜動脈損傷 | 意識消失と一時的回復 | 外科的血腫除去 |
硬膜下血腫 | 硬膜とくも膜の間 | 脳表静脈損傷 | 頭痛、意識障害、麻痺、認知機能低下 | 保存的治療、外科的治療 |
くも膜下出血 | くも膜と軟膜の間 | 脳表血管損傷 | 激しい頭痛、嘔吐、意識障害、けいれん | 脳圧管理、必要時手術 |
脳内出血 | 脳実質内 | 脳挫傷・血管損傷 | 意識障害、けいれん、麻痺、言語障害 | 保存的治療、外科的治療 |
外傷性脳出血とは、転倒や交通事故などの強い衝撃によって、脳の中やその周囲で出血が起こる病気です。脳の血管が傷つくことで出血が広がり、脳を圧迫してさまざまな障害を引き起こします。
外傷性脳出血は高齢者から若い方まで、年齢を問わず発症します。出血の場所や量によって、症状の出方や重さは異なるのが特徴です。診断にはCTやMRIといった画像検査が使われ、早めの発見と対応が重要です。治療は、安静を保つ保存療法から、血腫を外科的に除去する手術療法まで多岐にわたります。
また、治療後には記憶力の低下や感情の変化といった、外見では分かりにくい後遺症が出ることもあります。多くの場合、時間とともに改善しますが、完全に元どおりになるとは限りません。そのため、リハビリを行ったり、生活環境を整えたりといった支援が必要になる可能性もあります。日常生活や社会復帰への影響を理解し、早い段階から適切な対応を進めることが大切です。
外傷性脳出血の症状
症状 | 詳細 |
---|---|
全身症状 | 頭痛、吐き気、嘔吐、発熱、倦怠感、意識障害、昏睡 |
局所神経症状 | 手足の麻痺、しびれ、歩行障害、言語障害、視覚障害 |
けいれん発作 | 脳損傷部位を中心に突然起こる筋肉のけいれんや発作 |
認知機能の低下 | 記憶力や集中力の低下、判断力の鈍化、見当識障害 |
外傷性脳出血では、出血の場所や程度によってさまざまな症状が現れます。初期には頭痛、吐き気、意識の混濁など全身的な症状がみられるのが特徴です。一方、出血が特定の部位に限られる場合には、片側の手足の麻痺や言語障害など、局所的な神経症状が現れることがあります。
また、けいれん発作や突然の意識消失がきっかけで受診に至ることもあり、受傷直後に症状が軽くても、時間の経過とともに悪化する場合もあるため、頭部外傷後はわずかな変化にも注意が必要です。
全身症状
原因・機序 | 具体的な全身症状 | 詳細 |
---|---|---|
脳幹・視床下部の損傷による自律神経系の乱れ | 発熱、頻脈、高血圧、呼吸困難 | 生命維持機能の中枢損傷による自律神経障害 |
頭蓋内圧の上昇による脳灌流圧低下と全身への影響 | 意識障害、けいれん発作、倦怠感 | 脳血流不足による脳機能低下 |
炎症反応とサイトカイン放出による全身症状 | 発熱、倦怠感、食欲不振 | 脳損傷による炎症反応の全身波及 |
(文献2)
外傷性脳出血による全身症状には、頭痛、嘔吐、意識の低下、倦怠感などが含まれます。とくに出血量が多い場合や脳圧が上昇している場合には、急激な意識障害を起こすことがあり、命にかかわる可能性もあります。このような症状は、脳全体への影響を反映しているため、局所的な症状と比べて初期に気づきやすいのが特徴です。
ただし、症状が徐々に進行することもあり、外傷直後は元気に見えても、数時間後に急変するケースもあります。そのため、頭部に強い衝撃を受けた場合は、症状の有無にかかわらず、医療機関を受診する必要があります。
局所神経症状
障害の種類 | 主な原因・部位 | 具体的な症状 | 詳細 |
---|---|---|---|
運動・感覚障害 | 一次運動野・一次体性感覚野・被殻 | 片麻痺、感覚鈍麻、しびれ | 運動や感覚を司る領域の損傷・圧迫による障害 |
言語障害 | ブローカ野・ウェルニッケ野・左被殻 | 失語症、構音障害 | 言語中枢の損傷による言葉の理解・発話・発音の障害 |
視覚障害 | 一次視覚野・視神経路 | 視力低下、複視 | 視覚情報処理領域や経路の損傷による見え方の異常 |
外傷性脳出血では、出血の部位によって障害される神経機能が異なります。たとえば、脳の左側が損傷すると右半身、右側が損傷すると左半身に麻痺や運動障害が現れます。また、視覚や聴覚、言語機能も影響を受けることがあり、失語症や視野障害などが生じる場合もあります。
これらの症状は出血の場所や深さによって大きく異なり、脳の特定の機能が損なわれているサインです。診断には、神経学的な所見に加え、CTやMRIといった画像検査が重要です。
けいれん発作
理由・機序 | 詳細 |
---|---|
脳組織の損傷による神経興奮の異常 | 出血周囲の神経細胞が損傷し、電気的興奮性が増加することによる異常な電気信号の発生 |
血腫周囲の浮腫・炎症による神経伝達異常 | 血腫の圧迫や炎症反応により神経伝達物質のバランスが崩れ、神経細胞の興奮性が高まる状態 |
外傷性てんかんの発症 | 損傷部位が異常な電気活動の焦点となり、持続的な発作を引き起こす状態 |
発作の分類と発症時期 | 直後てんかん(24時間以内)、早期てんかん(7日以内)、晩期てんかん(7日以降)に分類される |
けいれん発作は、外傷性脳出血の急性期または慢性期に現れる可能性がある神経症状のひとつです。出血により脳内の神経回路が異常をきたし、突然の筋肉の収縮や意識消失を伴う発作が起こることがあります。
発作の頻度や重症度によっては、抗てんかん薬による治療が必要になるケースもあります。とくに頭部外傷後の数週間から数か月の間は、けいれん発作のリスクが高まるため、医師の指導と注意深く経過観察を行うことが重要です。
認知機能の低下
原因・メカニズム | 具体的な症状 | 詳細 |
---|---|---|
脳組織の直接損傷 | 記憶障害、注意力低下、判断力低下 | 前頭葉・側頭葉・海馬の損傷による認知機能の低下 |
高次脳機能障害の発症 | 集中力低下、計画力障害、実行力障害 | 脳挫傷や出血による高次脳機能障害の出現 |
慢性的な血腫による圧迫 | 徐々に進行する記憶障害、性格変化 | 慢性硬膜下血腫などによる脳の圧迫で認知機能障害が進行 |
外傷性脳出血により、前頭葉や側頭葉、海馬が損傷されると、記憶力や判断力、集中力などの認知機能が低下することがあります。感情のコントロールが困難になるほか、実行力や計画力の低下、性格の変化など、高次脳機能障害の症状が現れることがあります。
慢性硬膜下血腫のように進行がゆるやかな場合は、異変に気づきにくく発見が遅れることがあり、認知機能の低下は日常生活に大きな影響を及ぼすため、早期受診と適切なリハビリが重要です。
外傷性脳出血で起こりうる後遺症
起こりうる後遺症 | 詳細 |
---|---|
運動・感覚機能障害 | 片麻痺や手足のしびれ、筋力低下、歩行障害。触覚や痛覚が鈍くなる、または過敏になることもある |
言語・認知機能障害 | 言葉が出にくい、理解しにくい、会話が難しい失語症。記憶力や判断力、集中力の低下など高次脳機能障害 |
感覚・知覚障害 | 視野が欠ける、物が二重に見える(複視)、片側の感覚が鈍くなる、めまいなどの症状 |
てんかん・発作 | 繰り返すけいれん発作や意識消失。外傷後に発症しやすく、抗てんかん薬による治療が必要なことが多い |
慢性症状(頭痛など) | 慢性的な頭痛、倦怠感、吐き気、めまい。症状が長期間続くこともあり、生活の質に影響する場合がある |
外傷性脳出血では、治療により出血が止まった後も、脳への損傷が残ることでさまざまな後遺症が現れることがあります。
症状は出血部位や広がりによって異なり、身体の麻痺やしびれ、言語機能の障害、てんかん発作、慢性的な頭痛など多岐にわたります。また、認知機能や感情の変化といった外見からは判断しにくい後遺症が出るのも、外傷性脳出血の特徴です。
以下の記事では、脳出血の後遺症になる確率について詳しく解説しています。
運動・感覚機能障害
障害の種類 | 主な原因・部位 | 具体的な症状 | 説明 |
---|---|---|---|
運動麻痺・感覚障害 | 皮質運動野、感覚野、内包、被殻 | 片側手足の麻痺、しびれ、感覚鈍麻・過敏 | 血腫や損傷が運動・感覚を司る領域を圧迫・損傷 |
平衡機能障害・歩行障害 | 小脳、前庭系、橋、延髄部 | バランス低下、歩行時のふらつき、運動失調 | 身体のバランスや協調運動を担う部位の障害 |
嚥下障害 | 橋、延髄部 | 飲み込みにくさ、むせ込み、誤嚥 | 嚥下動作を制御する中枢神経の圧迫・損傷 |
外傷性脳出血で運動野や感覚野が損傷されると、片麻痺や筋力低下、手足の動かしづらさ、バランス感覚の乱れなどの症状が現れます。
これらの後遺症の程度には個人差がありますが、中等度以上の場合は医師の指導のもとで継続的なリハビリが必要です。リハビリを続けることで脳の可塑性を活かし、機能回復を目指すことが重要です。
言語・認知機能障害
主な障害 | 原因部位・要因 | 代表的な症状 | 詳細 |
---|---|---|---|
失語 | ブローカ野・ウェルニッケ野の損傷 | 言葉が出にくい、意味が分からない、話がまとまらない | 言語の理解や表現を担う中枢神経の損傷による言語機能の障害 |
構音障害 | 運動野や神経回路の損傷 | 滑舌が悪い、発音が不明瞭、言葉が聞き取りにくい | 発音や話し方を制御する運動機能の障害による話しにくさ |
記憶力・判断力の低下 | 前頭葉・側頭葉の高次脳野の損傷 | 物事を覚えられない、判断が鈍くなる、感情のコントロールが困難になる | 記憶や判断などの認知機能の低下による日常生活への支障 |
注意力・実行力の障害 | 前頭葉の認知機能中枢神経の障害 | 集中できない、段取りがつかない、行動に一貫性がない | 注意や実行機能の障害による社会生活への影響 |
外傷性脳出血によって、言語の理解や発話に障害が生じることがあります。失語症や構音障害、会話の流暢さの低下などが代表的です。また、認知機能の低下により、記憶力や注意力、判断力に支障をきたすこともあります。
言語・認知機能障害は、日常生活や仕事に大きな支障をきたす可能性があります。後遺症の進行を防ぐため、早期発見と発音や話し方の継続的なリハビリが重要です。回復の程度には個人差がありますが、適切な支援と継続的な取り組みによって、生活の質の向上が期待されます。
感覚・知覚障害
障害の種類 | 主な原因・部位 | 具体的な症状(体言止め) | 詳細 |
---|---|---|---|
視覚障害 | 後頭葉の視覚野、視神経経路、視床 | 視野欠損、視力低下、物がぼやけて見える | 視覚情報を処理・伝達する部位の損傷・圧迫による障害 |
聴覚障害 | 側頭葉の聴覚野、聴覚伝達経路 | 音が聞き取りにくい、耳鳴り | 聴覚情報を処理・伝達する部位の損傷・圧迫による障害 |
嗅覚障害 | 前頭葉下部、嗅球・嗅索 | 匂いがわかりにくい、全く感じない | 嗅覚を司る領域や神経経路の損傷・圧迫による障 |
外傷性脳出血では、視覚・聴覚・嗅覚を司る脳の部位が血腫や損傷によって障害され、感覚や知覚の異常が後遺症として現れることがあります。
後頭葉の視覚野が損傷されると視野欠損や視力低下、側頭葉の聴覚野が損傷されると聴力低下や耳鳴りが、嗅球や前頭葉下部の損傷では嗅覚障害が起こります。いずれも感覚情報を処理する中枢神経系の部位や経路の圧迫・損傷が原因であり、早期の診断と適切な対応が重要です。
てんかん・発作
ポイント | 詳細 |
---|---|
発作の主な原因 | 脳損傷や出血による神経細胞の異常な電気的興奮 |
発作の発生時期分類 | 早期発作(7日以内)、晩期発作(7日以降) |
晩期発作の特徴 | 外傷性てんかんとして長期的な管理が必要 |
リスク要因 | 脳皮質への出血、出血量の多さ、高齢 |
重要な対応 | 発作リスクを考慮した経過観察と必要に応じた治療 |
(文献3)
外傷性脳出血後のてんかん発作は、脳の電気的興奮の乱れによって再発性のけいれんとして現れ、発症時期は直後から数か月後までさまざまです。
発作の頻度やタイプに応じて抗てんかん薬が処方され、薬の種類や用量は個別に調整されます。定期的な通院と経過観察により、発作が抑えられれば日常生活への影響は少なくなります。
慢性症状(頭痛など)
原因 | 詳細 |
---|---|
脳組織の損傷と炎症反応 | 脳損傷による炎症が神経を刺激し、中枢性感作による慢性頭痛の発生 |
慢性硬膜下血腫の形成 | 血腫による脳圧迫で頭痛や認知障害などの症状が進行 |
脳脊髄液の漏れ | 低髄液圧症候群による起立時の頭痛、吐き気やめまいの出現 |
神経障害性疼痛の発生 | 神経回路の異常で通常は違和感がない刺激でも疼痛が生じる |
心理的要因と脳震盪後症候群 | 不安や抑うつ、ストレスによる頭痛の悪化や長引く脳震盪後症状 |
(文献4)
外傷性脳出血後に頭痛が長く続く場合、脳の炎症や血腫の圧迫、脳脊髄液の漏れ、神経の過敏化、心理的ストレスなど、複数の要因が関与していることがあります。たとえば、慢性硬膜下血腫では脳が徐々に圧迫され、頭痛や認知障害が生じることがあります。
神経回路の損傷により、軽い刺激でも強い違和感が出る神経障害性疼痛に移行することもあり、症状の進行には注意が必要です。脳震盪後症候群では、頭痛に加えて集中力の低下や倦怠感が持続することがあります。このような症状が続く場合は、早期に医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。
外傷性脳出血の治療法
治療法 | 詳細 |
---|---|
保存療法 | 軽度の出血や症状が安定している場合に選択。点滴や安静、血圧や脳圧の管理、経過観察、リハビリの早期開始が中心 |
薬物療法 | 脳圧降下薬や止血薬、抗けいれん薬、抗浮腫薬などを使用し、症状や合併症のコントロールを図る |
手術療法 | 血腫が大きい場合や症状が重い場合に実施。開頭血腫除去術、減圧術、穿頭手術、髄液ドレナージなどで脳圧を下げ血腫を除去 |
再生医療 | 損傷した神経や組織の修復を目指す治療。神経再生や機能回復を促す新しい治療法で、リハビリと組み合わせて効果が期待される |
外傷性脳出血の治療は、出血の量や部位、症状の程度に応じて異なります。一般的には保存療法から開始されますが、症状の悪化や脳の圧迫が強い場合には手術が検討されます。治療法の選択は、画像検査や症状の進行状況をもとに医師が総合的に判断します。
以下の記事では、脳出血の入院期間や治療法について詳しく解説しています。
保存療法
保存療法が適用されるケース | 詳細 |
---|---|
出血量が少なく圧迫が軽度 | 脳内出血が少量で自然吸収が期待でき、手術リスク回避のため保存療法が適用される |
全身状態が手術に耐えられない | 高齢者や全身状態不安定な患者に対し、安全性を考慮して保存療法が選択される |
出血部位が手術困難な場所 | 脳の深部など手術が難しい部位の出血に対して保存療法が適用される |
症状が安定し進行の兆候がない | 意識や神経症状が安定し、出血拡大や新症状がない場合に保存療法が適する |
定期的な画像検査とモニタリング | CTやMRIで出血の吸収状況や新出血の有無を確認し、症状変化に迅速対応が必要 |
血圧管理の重要性 | 高血圧は再出血リスクを高めるため、降圧薬使用や生活習慣改善による適切な血圧管理が必須 |
外傷性脳出血で保存療法が選択されるのは、出血量が少なく脳の圧迫が軽度で自然吸収が見込まれる場合や、手術リスクが高い高齢者・全身状態が不安定な方、手術が難しい部位での出血がある場合です。保存療法は、症状が安定しており進行の兆候がない場合も適応されます。
また、再出血予防のための血圧管理が重要です。状態が安定した段階で理学療法・作業療法・言語療法を開始し、機能回復と合併症の予防を図ります。
薬物療法
治療内容 | 詳細 |
---|---|
血圧コントロール | 降圧薬による出血拡大や再出血の予防 |
脳浮腫の軽減 | 抗浮腫薬による脳の腫れと頭蓋内圧上昇の抑制 |
合併症の予防・管理 | 抗てんかん薬や抗生物質による発作や感染症の予防・管理 |
モニタリング | 血圧や頭蓋内圧などの定期的なチェック |
医師の指導遵守 | 薬の服用は自己判断せず、医師の指示に従うことが重要 |
外傷性脳出血に対する薬物療法は、手術を行わずに症状の安定や再発予防を目指す治療法です。血圧を適切にコントロールして出血の拡大を防ぎ、抗浮腫薬で脳の腫れを抑えます。
さらに、抗てんかん薬や抗生物質によって発作や感染症などの合併症を予防・管理します。薬の種類や量は患者ごとに調整し、血圧や頭蓋内圧などの定期的なモニタリングが大切です。治療薬は、医師の指示に従い、自己判断で中止や増減をしないようにしましょう。
手術療法
ポイント | 詳細 |
---|---|
血腫の除去 | 血腫を取り除くことで脳圧を下げる |
出血源の止血 | 出血部位を直接止血し、再出血や症状悪化を防ぐ |
脳浮腫の軽減 | 脳の腫れを手術で軽減し、頭蓋内圧を下げる |
手術のリスク | 感染症や出血、麻酔合併症、新たな神経障害の可能性 |
術後管理とリハビリ | 集中管理と早期リハビリによる後遺症軽減・機能回復 |
手術適応の慎重な判断 | 出血部位・量、全身状態を総合評価し手術の必要性を判断 |
外傷性脳出血に対する手術療法は、血腫による脳圧の上昇を軽減する治療法です。血腫を除去することで脳への圧迫が軽くなり、意識障害や呼吸・循環の異常を防ぎます。
手術により出血源を直接止血できるため、再出血のリスクを抑えることが可能です。また、脳の腫れを軽減することで神経機能の低下を防ぐ効果もあります。
ただし、手術には感染や出血、麻酔合併症などのリスクが伴うため、出血の部位や量、患者の全身状態をふまえた上で慎重な判断が不可欠です。術後は集中管理により脳の状態を安定させ、リハビリテーションを通じて後遺症の軽減と機能回復を目指します。
再生医療
ポイント | 詳細 |
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脳神経細胞の修復・再生 | 幹細胞の再生能力を利用し、損傷した脳細胞や神経の修復と機能回復を目指す |
自己細胞の使用による低リスク | 患者自身の細胞を使い、免疫反応や拒絶反応のリスクを低減 |
リハビリ効果の増強 | 再生医療とリハビリを併用し、脳機能回復とリハビリ効果の強化を促進 |
再発予防の可能性 | 幹細胞が血管の修復や保護に関与し、将来的な脳出血や脳梗塞のリスクを軽減できる可能性があると考えられている |
外傷性脳出血に対する再生医療は、損傷した脳神経細胞の修復や再生を目指す治療法です。自己の幹細胞を用いることで免疫反応や拒絶反応のリスクが低く、感染症の心配も少ないのが特徴です。
また、リハビリテーションと併用することで機能回復の促進が期待されるほか、脳血管の保護作用による再発予防の可能性も指摘されています。ただし、効果には年齢や損傷の程度によって差があり、すべての患者に均一な結果が得られるとは限りません。
再生医療を検討する際は、対応可能な医療機関や治療内容を十分に確認した上で判断することが大切です。
以下の記事では、再生医療について詳しく解説しております。
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外傷性脳出血に関するよくある質問
外傷性脳出血の主な原因は?
外傷性脳出血の主な原因は、交通事故や転倒、転落、スポーツ中の衝突などによる頭部への強い衝撃で、脳内の血管が損傷し出血が生じることです。受傷後は重症化を防ぐため、早めに医療機関を受診しましょう。
外傷性脳出血の死亡率は?
外傷性脳出血の死亡率は、出血の種類や重症度によって大きく異なりますが、とくに急性硬膜下血腫のような重度の出血では予後が非常に厳しいとされています。社会福祉法人 恩賜財団 済生会によると、急性硬膜下血腫に対して手術を行った場合の死亡率は65%に上り、一方で社会復帰できる人はわずか18%と報告されています。(文献6)
この数値は、脳の重度な損傷や頭蓋内圧の上昇による神経機能の障害が関係しているためです。
米国のデータでは、重度の外傷性脳損傷のうち25〜33%が死亡し、けがによる死亡の約30%を占めると報告されています。外見上は軽傷でも重篤な内出血を伴うことがあるため、頭部に強い衝撃を受けた場合は早期に医療機関を受診することが重要です。(文献7)
後遺症はどのくらいで回復しますか
後遺症の回復には個人差があり、出血した部位や神経の損傷程度によって回復の経過は大きく異なります。改善には、定期的なリハビリと医師の継続的な評価が重要です。
外傷性脳出血からの職場復帰はできますか?
外傷性脳出血からの職場復帰は可能ですが、出血の部位や後遺症の程度、職種や職場環境によって状況は大きく異なります。
独立行政法人労働者健康安全機構の報告によると、復職率は平均44%(範囲0〜100%)、原職復帰は約42%、配置転換や新規就労を含めると約51%とされています。(文献8)
復職には継続的なリハビリ、職場環境の調整、周囲の理解とサポートが不可欠です。医師と相談しながら、無理のないペースで段階的に進めることが大切です。
参考資料
(文献1)
社会福祉法人 恩賜財団 済生会「外傷性脳内血腫」社会福祉法人 恩賜財団 済生会, 2023年7月19日
https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/traumatic_intracerebral_hematoma/?utm_source=chatgpt.com(最終アクセス:2025年06月13日)
Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA「外傷性脳損傷(TBI)」MSD マニュアルプロフェッショナル版, 2023年2月
黒田徹.「脳外科手術,脳卒中,頭部外傷により生じる続発性てんかん~続発性てんかんの進展をいかに予防するか?〜」『ユービーシージャパン株式会社・大塚製薬株式会社』, pp.1-4
https://nara.hosp.go.jp/img/health/igaku04.pdf?utm_source=chatgpt.com(最終アクセス:2025年06月13日)
柴田 靖.「頭部外傷による急性頭痛と遷延性頭痛」『(日本頭痛学会誌,51:155―158,2024)』巻(号), pp.1-4
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjho/51/1/51_155/_pdf/-char/ja?utm_source=chatgpt.com(最終アクセス:2025年06月13日)
「Ⅲ.脳出血」 pp.1-51
https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/nou2009_03.pdf?utm_source=chatgpt.com(最終アクセス:2025年06月13日)
社会福祉法人 恩賜財団 済生会「急性硬膜下血腫」社会福祉法人 恩賜財団 済生会, 2020年2月5日
https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/acute_subdural_hematoma/(最終アクセス:2025年06月13日)
Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA「頭部外傷の概要」MSD 家庭版, 2023年3月
豊田 章宏.「脳卒中に罹患した労働者に対する治療と就労の両立支援マニュアル」『平成29年3月独立行政法人 労働者健康安全機構』, pp.1-52,
https://www.johas.go.jp/Portals/0/data0/kinrosyashien/pdf/bwt-manual_stroke.pdf?utm_source=chatgpt.com(最終アクセス:2025年06月13日)