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【医師監修】ウェルニッケマン肢位とは?なぜ起こるのか・リハビリや治療方法を解説
「医師からウェルニッケマン肢位と言われたが、どのような状態なのかわからない」
「手足のこわばりや歩きにくさがあり、これから先どうなるのか不安」
脳卒中を発症したあと、このような悩みを抱える方やご家族は少なくありません。
ウェルニッケマン肢位とは、脳卒中後の片麻痺などでみられる特徴的な姿勢のことです。脳梗塞や脳出血の後遺症として、痙縮(筋肉の緊張が強くなる状態)に伴って現れます。
本記事では、ウェルニッケマン肢位の特徴をはじめとして以下を解説します。
- 日常生活への影響
- 原因となる病気
- 治療方法
- リハビリテーション
ウェルニッケマン肢位は、早期に適切な治療やリハビリを進めることが大切です。放置すると関節が固まり、拘縮に移行するおそれがあるためです。本記事を参考に、適切な治療やリハビリの選択に役立ててください。
なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。
脳梗塞や脳出血の後遺症でお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。
目次
ウェルニッケマン肢位とは
ウェルニッケマン肢位(Wernicke-Mann肢位)とは、脳卒中などを発症したあとに、体の片側の上肢と下肢が特徴的な姿勢をとる状態のことです。脳卒中後の片麻痺でみられ、背景には筋肉の緊張が強くなる「痙縮(けいしゅく)」が関係しています。
ウェルニッケマン肢位では、体の片側の上肢と下肢に以下のような特徴がみられます。
| 部位 | ウェルニッケマン肢位の特徴 |
|---|---|
|
上肢 |
|
|
下肢 |
|
上肢は全体的に曲がりやすく、下肢は伸びやすい姿勢になるのが大きな特徴です。手足のこわばりが続くと、関節の動く範囲が狭くなり、元のように動かしにくくなる拘縮(こうしゅく)につながる場合があります。
着替えや歩行、手の清潔保持など日常生活にも影響するため、気になる症状がある場合は早めに医師やリハビリ専門職へ相談することが大切です。
【なぜ?】ウェルニッケマン肢位が起こる理由
ウェルニッケマン肢位が起こる背景には、脳卒中などによる神経の障害があります。
通常、脳は神経を通じて筋肉に指令を出し、体の動きを細かく調整しています。しかし、脳梗塞や脳出血などで運動に関わる神経が障害されると、筋肉の緊張をうまく調整しにくくなるのです。
その結果、上肢では曲げる筋肉の緊張が強くなりやすく、下肢では伸ばす筋肉の緊張が強くなりやすい状態が生じます。これにより、上肢は曲がり、下肢は伸びるというウェルニッケマン肢位の特徴的な姿勢につながると考えられています。(文献1)
この姿勢は、単に筋力が低下しているだけで起こるものではありません。麻痺によって手足を動かしにくくなることに加え、筋肉の緊張が強まることも関係します。
ウェルニッケマン肢位がみられる場合は、姿勢だけで判断せず、筋肉のこわばり、関節の動き、歩行の状態などもあわせて確認することが大切です。
脳卒中の前兆について気になる方は、以下の記事をご覧ください。
ウェルニッケマン肢位による日常生活への影響
ウェルニッケマン肢位が生じると、手足の筋肉が緊張した状態が続き、日常生活に支障が出ます。
主な影響は以下のとおりです。
- 体の片側が緊張しているため、衣服の脱ぎ着や体を洗うことが困難になる
- 手を握りこむ姿勢になりやすく、物をつかむ・放すといった動作がしにくい
- 手を開きにくいため、手のひらや指の間を清潔に保ちにくい・爪を切りにくい
- 足が突っ張った状態になり、歩行が不安定になりやすく転倒のリスクがある
- 筋肉の緊張により痛みが現れ、動作の妨げや夜間不眠の原因になる
これらの影響は、本人の生活の質を低下させるだけでなく、介助する家族や介護者の負担にもつながります。
ウェルニッケマン肢位の原因となる病気
ウェルニッケマン肢位は、脳や脊髄などの神経系に障害が生じることで起こります。
原因となる病気には、以下のようなものがあります。
|
病名 |
特徴 |
|---|---|
|
脳卒中 |
脳の血管が詰まったり破れたりすることで、脳に障害が起きる病気 |
|
脊髄損傷 |
交通事故などの強い衝撃により、脊髄が損傷した状態 |
|
重度頭部外傷 |
頭部に強い衝撃を受けて、脳に損傷が起きる外傷 |
|
脳性麻痺 |
出生前後の脳の損傷により、運動機能に障害が残る状態 |
|
多発性硬化症 |
中枢神経に炎症が起こり、神経の働きに障害が生じる病気 |
なかでも脳卒中は、ウェルニッケマン肢位の原因となることが多い疾患です。脳梗塞・脳出血・くも膜下出血などにより片側の運動機能が障害されると、痙縮を背景としたウェルニッケマン肢位が生じる場合があります。(文献2)
以下記事では、脳卒中と脳梗塞の違いを詳しく説明しています。
ウェルニッケマン肢位の治療方法
ウェルニッケマン肢位の治療は、症状の程度や部位に応じて選択されます。
主な治療方法には、薬物療法・ボツリヌス療法・装具療法・手術療法があり、複数の方法を組み合わせて進める場合もあります。
薬物療法
薬物療法では、筋肉の緊張を和らげる目的で、筋弛緩剤などが使われる場合があります。
薬剤によっては少量から開始し、症状や副作用を確認しながら投与量を調整します。
眠気や脱力感、ふらつきなどが現れる場合があるため、医師の指示に沿って服用することが大切です。
ボツリヌス療法
ボツリヌス療法は、痙縮が強い部位にボツリヌス製剤を注射し、筋肉の緊張を和らげる目的で行われる治療です。
上肢痙縮・下肢痙縮に対するボツリヌス製剤の効果は通常3〜4カ月で消失し、必要に応じて投与を繰り返します。(文献3)
一方で、すでに関節が固まった拘縮の状態では、関節の動きを改善する目的での効果は期待しにくいとされています。費用や保険適用、利用できる制度は治療内容によって異なるため、受診先の医療機関で確認してください。
ボツリヌス療法については、以下の記事もご参照ください。
装具療法
装具療法は、足首や膝などを装具で支え、姿勢や歩行を補助する方法です。下肢の突っ張りや足首の向きによって歩きにくさがある場合に、歩行を安定させる目的で使われます。関節の変形予防や、痙縮による姿勢異常の進行抑制にも役立ちます。
ただし、装具療法単独では限界があるため、ほかの治療やリハビリと組み合わせて進めることが一般的です。
手術療法
手術療法は、薬物療法・ボツリヌス療法・装具療法などで十分な改善が得られない場合に検討されることがあります。
たとえば、足の突っ張りや足指の変形が強く、歩行や日常生活に支障が出ている場合などです。
ただし、手術の適応は症状や関節の状態、全身状態によって異なります。実施できるかどうかは、医師の診察をもとに判断されます。
脳卒中の後遺症に対する再生医療という選択肢
脳卒中の後遺症に対する治療の選択肢として、再生医療という方法があります。
当院「リペアセルクリニック」では、脂肪由来の幹細胞を用いた「幹細胞治療」と、自身の血液から取り出した血小板を活用する「PRP療法」の2つの治療を提供しています。幹細胞には他の細胞に変化する「分化能」という能力があり、PRP療法では血小板に含まれる成長因子が炎症を抑える働きをします。
どちらも入院や手術を必要とせず、日帰りでの治療が可能です。ただし、幹細胞治療は幹細胞の培養に約1カ月ほどかかるため、治療期間はそれ以上になります。
一方で、再生医療はすべての方に適応される治療ではありません。症状の程度、発症からの期間、現在の治療内容、全身状態などをふまえて、医師が適応を判断します。治療の流れや適応については、診察時に医師へご確認ください。
脳卒中のお悩みに対する新しい治療法があります。
当院で行っている再生医療については、以下の症例をご参照ください。
ウェルニッケマン肢位のリハビリテーション
リハビリテーションは、主に筋力増強や関節が動く範囲の維持、拘縮予防、立位や歩行動作の改善を目指して行います。発症後は、状態に応じてできるだけ早い段階から関節を動かす訓練を始めることが大切です。
主なリハビリの内容は以下のとおりです。
|
リハビリの種類 |
目的・内容 |
|---|---|
|
関節可動域訓練・ストレッチ |
関節の動く範囲を保ち、拘縮を予防する |
|
立位・歩行訓練 |
立つ・歩く動作の維持や改善を目指す |
|
ティルトテーブル |
寝た状態から徐々に立位姿勢へ近づける器具を使用する |
|
スタンディングテーブル |
立位姿勢をサポートする器具を使用する |
リハビリの内容や進め方は、麻痺の程度や筋肉の緊張、関節の動き、歩行状態によって変わります。脳卒中のリハビリテーション治療は急性期・回復期・生活期に分けられ、理学療法・作業療法・言語聴覚療法などを組み合わせて行います。(文献4)
ウェルニッケマン肢位は放置せず早めに医師へ相談しよう
ウェルニッケマン肢位は、脳卒中後の片麻痺などを背景に生じる特徴的な姿勢です。筋肉の緊張が続くと拘縮に移行する場合があるため、早期から治療やリハビリを始めることが重要です。
治療には、薬物療法・ボツリヌス療法・装具療法・手術療法などの選択肢があります。リハビリテーションでは、関節可動域訓練やストレッチ、立位・歩行訓練などを通じて、関節の動く範囲の維持や生活動作の改善を目指します。
また、脳卒中の後遺症や脊髄損傷の治療法として、再生医療という選択肢もあります。入院や手術を必要とせず日帰りでの対応が可能ですが、治療内容や適応は医師の診察で判断されます。
当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。
手足のこわばりや歩きにくさが続く方、脳卒中後遺症に対する治療の選択肢を知りたい方は、ぜひ公式LINEにご登録ください。
ウェルニッケマン肢位に関するよくある質問
ウェルニッケマン肢位でも歩けるようになりますか?
歩行できるかどうかは、症状の程度や関節の状態によって異なります。足の突っ張りやつま先立ちのような姿勢があると、歩行が不安定になりやすく、転倒リスクも高まります。
装具や杖、歩行訓練などにより歩行の安定を目指せる場合があるため、歩きにくさが続くときは医師やリハビリ専門職に相談してください。
ウェルニッケマン肢位はリハビリで改善しますか?
リハビリでは、関節の動く範囲や生活動作の維持・改善を目指します。主な内容は、関節可動域訓練・ストレッチ・立位訓練・歩行訓練などです。
症状や発症からの期間によって適した方法は異なります。自己判断で無理に動かさず、専門職の指導のもとで進めることが大切です。
ウェルニッケマン肢位を放置するとどうなりますか?
筋肉の緊張が続くと、関節が動かしにくくなり、拘縮に移行する場合があります。拘縮が進むと、着替えや入浴、歩行など日常生活への影響が大きくなります。
関節が固まってからでは対応が難しくなる場合があるため、気になる症状があるときは早めに医師へ相談してください。
ウェルニッケマン肢位とブルンストロームステージの関係は?
ブルンストロームステージは、脳卒中後の片麻痺の回復段階を評価する考え方です。ウェルニッケマン肢位は、片麻痺でみられる特徴的な姿勢の一つとして扱われます。
回復段階の詳しい評価はリハビリ専門職が行うため、気になる場合は担当のリハビリ職や医師に確認してください。(文献5)
参考文献
脳出血後Wernicke-Mann肢位の上肢・下肢での筋収縮機序【対側上下肢の麻痺と上肢屈筋群・下肢伸筋群の筋緊張亢進とによって生じる】|日本医事新報社
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脳卒中のリハビリテーション | 公益社団法人 日本リハビリテーション医学会























