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サルコペニア治療を現役医師が解説|薬や受診すべき医療機関も言及

サルコペニア治療
公開日: 2025.06.29

「サルコペニアの治療は何をすればいいの?」「普段から意識すべきことはある?」と疑問をお持ちではないでしょうか。

病院でサルコペニアと診断されたものの、実際どのような治療をするのかイメージが湧かない方も多いかもしれません。

サルコペニアの治療は「運動」と「栄養」を中心に行います。サルコペニアが進行すると転倒や寝たきりの原因になるため、早期に治療を開始することが大切です。

この記事では、現役医師の見解をもとに、サルコペニアの治療法や受診すべき病院、治療薬の現状までわかりやすく解説します。

できることから一歩ずつ行い、将来の健康を守っていきましょう。

サルコペニアの治療法

サルコペニアの治療は、運動と栄養の2本柱で進めていきます。

  • 筋力トレーニングやウォーキングなどの運動
  • たんぱく質やビタミンなどの栄養素を摂取

今の生活に取り入れられることがないか、ぜひチェックしてみてください。

また、サルコペニア自体についてや要介護や寝たきりを防ぐ生活については、こちらの記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

【関連記事】

要介護や寝たきりを避ける!元気で自立した生活を送るため大切になこと

フレイルサルコペニアとは|ロコモとの違いや症状・予防法を医師が解説

運動治療|筋肉の量や機能を維持

サルコペニアの改善において、運動は大切な要素のひとつです。

なかでもよく行われているのが、レジスタンス運動と有酸素運動の組み合わせです。

これらを正しく取り入れることで、筋肉量や身体機能の維持・向上が期待できます。

日常生活に取り入れやすい運動から始める

レジスタンス運動は、筋肉に抵抗をかけて鍛えるトレーニング、いわゆる「筋トレ」です。

スクワットや足の上げ下げ、かかと上げなどが代表的で、週2〜3回の頻度で行うと、筋力を保ちやすくなります。(文献1

一方、有酸素運動は、ウォーキングや軽いジョギングなど、呼吸を意識しながら一定時間続ける運動です。

血流や代謝を促し、筋力だけでなく持久力や全身の機能向上にもつながります。(文献2

どちらも特別な器具や施設がなくても日常生活の中に取り入れやすい点が特徴です。

まずはウォーキングや軽いジョギングなどからスタートし、慣れてきたら筋トレを加えていきましょう。

筋肉の衰えを防ぐ生活習慣・運動については、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。

【関連記事】

介護のリスク!筋肉の衰えが心配な高齢者へ、必要な生活習慣とは

サルコペニアの予防に効果的な筋力トレーニング一覧|やり方や注意点を医師が解説

理学療法士の指導の下運動する

運動に不安をもつ方や持病がある方は、理学療法士や医師と相談しながら運動を取り入れましょう。

自己流での運動はケガや悪化の原因になることもあります。

理学療法士や医師の指導のもとで、体の状態に合わせたプログラムを組んでもらうと、より効果的に続けられます。文献1

運動を治療として継続していくには、無理なく続けられる環境やサポート体制も大切です。

「自分の状態で何から始めれば良いかわからない」という方こそ、医療機関で相談してみると良いでしょう。

栄養療法|筋力強化を目指す

筋肉を保つには、以下の点を意識しながら必要な栄養をしっかりとることが大切です。

  • バランスの良い食事とたんぱく質摂取を意識する
  • サプリメントや栄養補助食品も選択肢のひとつ

日々の食事で足りているか、振り返ってみましょう。

バランスの良い食事とたんぱく質摂取を意識する

筋肉の材料となるたんぱく質は、年齢とともに必要量が増えると言われています。

目安は、体重1kgあたり1.0g/日以上です。文献1

肉・魚・卵・大豆製品などを1日3食にバランスよく取り入れるよう意識しましょう。

また、ビタミンB群はエネルギー代謝や神経の働きを助け、ビタミンCは膝まわりの筋力や身体機能と関わるという報告があります。(文献3

さらにビタミンDには、筋肉の減少を防ぐはたらきもあるとされています。(文献4

特定の食品や栄養素にかたよるのではなく、いろいろな食材を組み合わせて、バランスよく食べることが大切です。

食欲がわかないときでも、白ごはんにお味噌汁を添えたり、ヨーグルトを1品足したりして、少しでも品数を増やす工夫をしてみましょう。

サプリメントや栄養補助食品も選択肢のひとつ

「食事だけでは必要な栄養がとれていないかも」と感じるときは、サプリメントや栄養補助食品を使う方法もあります。

実際に、高齢女性を対象とした研究では、アミノ酸のサプリと運動を組み合わせることで、筋力や歩行スピードが改善したとの報告もあります。文献5

食事だけで無理なく補えるのが理想ですが、不足を感じるときは、医師や専門家と相談しながら取り入れてみましょう。

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サルコペニアの治療薬について

現在のところ、サルコペニアに対して正式に承認された治療薬はありません。

サルコペニアは、2016年にようやく疾患として認められた比較的新しい概念です。

薬の研究や開発は進められているものの、実際に広く使える薬はまだ存在していないのが現状です。(文献6)(文献7

よって、今できるサルコペニア対策として、運動や食事の見直しが大切です。

「薬がないなら何もできない」と思わず、今取り組めることをひとつずつ実践していきましょう。

サルコペニアの治療で受診すべき医療機関

サルコペニアは、以下のような適切な医療機関での相談が大切です。

  • 整形外科・老年科
  • 専門外来
  • かかりつけ医

自分に合った受診先を確認しておきましょう。

整形外科や老年科

筋肉や骨、関節の不調があるときは、まず整形外科を受診します。

高齢者特有の体調変化が気になる場合は、老年科(老年内科)でも相談できます。(文献8

「運動機能に不安がある」「筋力の衰えを指摘された」と感じたら、整形外科や老年科で評価を受けてみると今の状態がよりはっきりとわかるでしょう。

サルコペニア外来や長寿サポート外来などの専門外来

病院によっては、サルコペニアやフレイルに特化した外来を設けているところもあります。

これらの専門外来では、医師だけでなく理学療法士や栄養士などがチームとなって治療をサポートしています。

「専門的に診てもらいたい」「生活全体を見直したい」という方は、こうした専門外来のある病院を選ぶのも一つの選択肢です。

かかりつけ医

サルコペニアの疑いがあっても何科を受診すべきか悩んでいる場合、まずは身近なかかりつけ医に相談するのも良いでしょう。

かかりつけ医は、普段の健康状態をよく知っている存在です。

必要に応じて、整形外科や老年科、リハビリテーション科など、専門的な評価や治療ができる医療機関を紹介してもらうことも可能です。

受診するか迷っている段階でも、一人で抱え込まず、かかりつけ医に相談してみましょう。

サルコペニアの治療は早期対応が大切

「年のせいかも」と思って見過ごしてしまう方が少なくありませんが、サルコペニアは放っておくと徐々に進行し、転倒や骨折、寝たきりのリスクを高めてしまいます。

少しの運動でも疲れやすい、ふくらはぎが細くなってきたなどの変化を感じたら、早めに医療機関で相談しましょう。

日常生活に支障が出てからでは、回復に時間がかかることもあります。「まだ大丈夫」と思えるうちにこそ、治療や予防を始めるタイミングです。

筋力の衰えが気になる方は、リペアセルクリニックの「メール相談」や「オンラインカウンセリング」もご活用いただけます。

まずはお気軽にお問い合わせください。

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サルコペニアの治療に関するよくある質問

サルコペニアの初期症状はどのようなものですか?

初期症状として多いのは、「ふくらはぎが細くなった」「よくつまずくようになった」「階段の上り下りがつらい」など、日常の小さな変化です。(文献9

たとえば、以下のような症状もサルコペニアの初期症状の可能性があります。

  • 重たい荷物が前より持ちにくい
  • 椅子から立ち上がるのが大変になった
  • 歩く速度が遅くなった気がする

日常の些細なことがサインになっていることも少なくありません。

思い当たることがあれば、我慢せずに一度かかりつけ医へ相談してみてください。

サルコペニアの治療は病院に行った方が良いですか?

サルコペニアの治療をするなら、病院に行くことをおすすめします。

サルコペニアは専門的な評価と治療が必要な病気です。

自己流の運動や食事改善だけでは、思うような効果が出にくかったり、逆に体に負担がかかってしまうケースもあります。

専門の治療を行う医療機関では、筋肉量や身体機能を客観的に測定しながら、適切な運動メニューや栄養指導が受けられます。

「まだ軽い症状だから」と放置せず、できるだけ早く専門家に相談し、将来の介護リスクを減らしましょう。

 

参考文献

(文献1)

荒井 秀典「フレイル・サルコペニア」『日本内科学会雑誌』107(12),pp2444-2450,2018

https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/107/12/107_2444/_pdf(最終アクセス:2025年6月16日)

(文献2)

公益財団法人 長寿科学振興財団「トレーニング:有酸素運動とは」健康長寿ネット 2025年2月12日

https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shintai-training/yusanso-undou.html(最終アクセス:2025年6月16日)

(文献3)

清水 昭雄,藤島 一郎「高齢者・サルコペニアの栄養療法」『神経治療』39,pp13-17,2022

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnt/39/1/39_13/_pdf(最終アクセス:2025年6月16日)

(文献4)

亀井康富「ビタミンDは筋肉の萎縮を抑制し、高齢者のサルコペニアを予防・改善する」『あたらしいミルクの研究』2019年度

https://nutrition.life.kpu.ac.jp/wp-content/uploads/2020/05/%E4%BA%80%E4%BA%95%E5%85%88%E7%94%9F%E4%BA%AC%E9%83%BD%E5%BA%9C%E7%AB%8B%E5%A4%A7%E5%AD%A63_0323.pdf(最終アクセス:2025年6月16日)

(文献5)

Hun Kyung Kim「Effects of exercise and amino acid supplementation on body composition and physical function in community-dwelling elderly Japanese sarcopenic women: a randomized controlled trial」『J Am Geriatr Soc』60(1),pp16-23,2012

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22142410/(最終アクセス:2025年6月18日)

(文献6)

早野元詞「サルコペニアに対する治療薬開発と老化創薬としての事業計画立案」慶応義塾大学

https://www.idp.ori.titech.ac.jp/wp-content/uploads/2021/09/%E6%85%B6%E5%BF%9C%E3%80%80%E6%97%A9%E9%87%8E.pdf(最終アクセス:2025年6月16日)

(文献7)

一般社団法人 日本サルコペニア・フレイル学会「サルコペニア診療ガイドライン2017年版のCQとステートメント」日本サルコペニア・フレイル学会ホームページ

https://www.jasf.jp/contents/guidelines.html(最終アクセス:2025年6月16日)

(文献8)

東大病院「老年病科」東大病院ホームページ

https://www.h.u-tokyo.ac.jp/patient/depts/rounen/(最終アクセス:2025年6月16日)

(文献9)

公益財団法人 長寿科学振興財団「トレーニング:有酸素運動とは」健康長寿ネット 2023年7月14日

https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/sarcopenia-about.html(最終アクセス:2025年6月16日)

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