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側弯症は美人が多い?痩せ型との関係性を医学的観点から解説

「側弯症を発症するのは美人が多いと耳にしたことがある」
「側弯症と女性の痩せ型との関係性とは」
側弯症と診断されると、多くの方が見た目への影響を気にされます。体型や姿勢の変化が日常生活や人からの印象にどう関わるのか、不安を抱くのは自然なことです。とくにインターネット上では、側弯症の女性は美人が多いといった話題が取り上げられることもあり、自分との関係性を知りたいと考える方も少なくありません。
一方で、痩せ型やスタイルとの関連性について心配になる方もいます。実際のところ、側弯症が見た目や印象にどのように影響するのか、医学的なデータや専門的な視点から理解することはとても大切です。
本記事では、現役医師が側弯症は美人が多いと言われる理由と痩せ型との関係性を医学的観点から詳しく解説します。
記事の最後には、女性の側弯症に関するよくある質問をまとめているので、ぜひ最後までご覧ください。
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側弯症は美人が多いは本当?
| 根拠 | 詳細 |
|---|---|
| 側弯症に「美人が多い」は医学的根拠に乏しい | 側弯症と美人の関連を示す研究や統計の欠如 |
| 女性の方が側弯症の発症率が多いのは事実 | 思春期特発性側弯症は女性で多く進行もしやすい統計的傾向 |
| 側弯症が女性に多い明確な理由はまだ解明されていない | ホルモンや骨密度などの要因が関与すると考えられる研究段階 |
「側弯症の女性は美人が多い」といった言説はSNSなどで見られますが、医学的根拠は確認されていません。外見的魅力は顔立ちや姿勢など多くの要素に左右され、科学的に測定する指標も存在しないためです。
ただし、側弯症は女性に多く、思春期に発症しやすいため、痩せ型で背が高い体型が目立つ傾向があります。そのため「美人が多い」というよりも、体型的特徴や発症時期に由来する印象と理解するのが適切です。
側弯症に「美人が多い」は医学的根拠に乏しい
側弯症の女性は美人が多いという医学的根拠はありません。側弯症は背骨の歪みにより姿勢や体型に影響を及ぼすことがありますが、その見え方には大きな個人差があり、「美人が多い」と断定することはできません。
思春期の女性が発症しやすいため、この時期特有の痩せ型で背の高い体型が華奢で整った印象(美人)と結び付けられたと考えられます。ただし医療の観点では、外見よりも脊柱の変形が健康に与える影響が重要であり、美的評価に基づく言説は誤解や偏見を招くため注意が必要です。
女性の方が側弯症の発症率が多いのは事実
| 項目 | 解説 |
|---|---|
| 側弯症の発症頻度 | 成長期によく見られる比較的多い病気 |
| 主なタイプ | 原因が不明で思春期に多い特発性側弯症 |
| 女性に多い傾向 | 男性より高い発症率と進行しやすい特徴 |
| 発症に関わる要因 | 遺伝的要素や女性ホルモンの影響 |
| 早期発見の重要性 | 学校検診でのチェックと定期的な管理 |
| 医学的な現状 | 女性に多い明確な理由は未解明 |
側弯症は、背骨が左右に弯曲し、ねじれを伴うこともある疾患です。とくに思春期に発症する特発性側弯症は女性に多く、男性より圧倒的に発症率が高いことが知られています。
実際に、女性の発症例は男性の5~7倍にのぼると報告されており、13~14歳の女子では発症率が2.5%と男子の約7倍に達します。
小学校高学年から中学生にかけての思春期は側弯症の発症リスクが最も高まる時期ですが、女性に有意に多い理由については、現時点ではホルモンや遺伝的要因の関与が推測されているものの、明確には解明されていません。
そのため、学校検診などによる早期発見と定期的なフォローアップは不可欠であり、進行例では装具療法や手術療法の適応を含めた適切な管理が重要とされています。
側弯症が女性に多い明確な理由はまだ解明されていない
側弯症、とくに思春期特発性側弯症は女性に多いことが知られていますが、その明確な理由はまだ解明されていません。研究では、遺伝的要因やホルモンの関与が示唆されており、複数の遺伝子が発症や進行に関わる多因子遺伝の可能性が高いと考えられています。
また、性ホルモンや成長期における骨格・筋肉の発達差も関連要因として指摘されていますが、具体的なメカニズムは不明です。
したがって、女性だから必ず発症するものではなく、体型や成長の特徴がリスクに影響する可能性があると理解されています。
以下の記事では、側弯症の原因について詳しく解説しています。
女性の痩せ型と側弯症の関係性
| 関係性 | 詳細 |
|---|---|
| BMIが低い女性は側弯症のリスクが高い傾向 | 筋肉量や骨量の不足よる脊椎支持力の低下 |
| 痩せ型で身長の高い女性も側弯症のリスクが高い傾向 | 成長期の急激な身長増加による背骨への負荷増大 |
痩せ型と側弯症には一定の関連があると報告されています。BMI(体格指数)が低く筋肉量が少ない女性では、脊柱を支える力が不足し、弯曲が進行しやすい傾向がみられます。
とくに思春期は急激な身長の伸びに骨格の成長が追いつかず、痩せ型体格では背骨のバランスが崩れやすくなります。
ただし、痩せ型だからといって発症するわけではなく、あくまで臨床でよく見られる特徴のひとつとして理解することが重要です。
BMIが低い女性は側弯症のリスクが高い傾向
| 関係性 | 詳細 |
|---|---|
| 骨量が少なく背骨が歪みやすい | 骨密度や骨量の不足による脊柱支持力の低下 |
| 筋肉量が少なく体幹の支持力が低下する | 体幹筋の不足による姿勢保持の不安定化 |
| ホルモンの影響が示唆されている | 栄養状態や体脂肪量の低さによるホルモン分泌の不安定化 |
| 成長期の身体バランスに影響する | 急激な身長増加に骨量や筋力が追いつかない身体バランスの崩れ |
(文献1)
複数の疫学研究により、痩せ型(BMIが低い)女性では特発性側弯症の発症が多い傾向が示されています。たとえば、BMIが低い女子は側弯症のリスクが1.43倍高いとする報告があります。(文献2)
BMIが低い場合、筋肉量や脂肪量の不足により脊柱支持力が低下し、骨の成長に筋力発達が追いつかず、姿勢の安定性が損なわれやすいと考えられます。
さらに、骨量の不足やホルモン分泌の不安定さ、思春期特有の急激な成長による骨格と筋力の不均衡が複合的に作用し、発症リスクを増加させる可能性があります。ただし、痩せ型だからといって必ず発症するわけではなく、あくまで統計的な傾向として理解することが重要です。
痩せ型で身長の高い女性も側弯症のリスクが高い傾向
痩せ型で身長の高い女性も側弯症のリスクが高い傾向があることが報告されています。特発性側弯症の病因は未だ明らかではありませんが、遺伝的要因、神経疾患、ホルモンや代謝機能の異常、生体力学的要因、さらには環境要因が複合的に関与していると考えられています。
複数の研究で、側弯症患者には「身長が高い」「BMIが低い」「全身骨量が少ない」といった特徴が共通して見られることが示されています。(文献3)
痩せ型で高身長の女性では、成長期に急激な身長の伸びに筋肉や靭帯の発達が追いつかず、脊柱の安定性が低下しやすいと考えられます。また、長い脊柱そのものが負担となり、側方への可動域が大きいことで弯曲が進みやすい傾向があります。
ただし、これらはあくまで統計的な傾向であり、すべての痩せ型・高身長の女性が必ず発症するわけではありません。
側弯症になりやすい女性の特徴
| 特徴 | 詳細 |
|---|---|
| 思春期や急に身長が伸びる時期 | 骨の成長に筋力が追いつかず姿勢保持が不安定になる時期 |
| 痩せ型・BMIが低い | 筋肉量や骨量が少なく脊柱支持力が低下しやすい体型 |
| 家族に側弯症の既往がある | 遺伝的素因により発症リスクが高まる背景 |
| 体幹を強く使うバレエや新体操などの活動歴がある | 特定方向の負荷や柔軟性の偏りによる脊柱バランスの崩れ |
側弯症はとくに成長期の女性に多く見られる疾患です。思春期の急な身長の伸びに伴い筋力が追いつかず、発症しやすくなります。
痩せ型やBMIが低い体型もリスク要因です。家族に発症歴がある場合は遺伝的素因が影響すると考えられています。また、バレエや新体操など体幹へ偏った負荷がかかる活動歴もリスクとされます。これら複数の要因が重なり、側弯症が女性に多い理由です。
思春期や急に身長が伸びる時期
側弯症の多くは思春期特発性側弯症と呼ばれ、10歳頃から骨の成長が止まるまでの時期に発症しやすいとされています。この時期は急激に身長が伸び、骨の成長に筋肉や靭帯の発達が追いつかず、背骨が不安定になりやすいことが背景にあります。
さらに、思春期には女性ホルモンの分泌変化や骨の柔軟性も加わり、発症リスクを高める要因です。実際に、思春期の女子はとくにリスクが高く、13~14歳の女子の発症率は2.5%で男子の約7倍と報告されています。
また、家族に側弯症の既往がある場合は遺伝的要因も関与し、リスクがさらに高まります。そのため、小学校高学年から中学生にかけては学校検診などでの早期発見が重要であり、必要に応じて適切な治療介入を行うことが推奨されます。
痩せ型・BMIが低い
痩せ型・BMIが低い女性は思春期特発性側弯症の発症リスクが高いことが報告されています。慶応義塾大学の研究では、BMIが低い女性に発症が多い傾向が示されており、さらに近年の遺伝子研究では、遺伝的に太りにくい体質が側弯症リスクに関連することが明らかになっています。(文献4)
痩せ型の体格は、筋肉量や骨・靭帯の支持力が不足しやすく、背骨の安定性が低下する可能性があります。また、ホルモンバランスの乱れやカルシウム・ミネラル不足といった栄養面もリスク要因とされています。
ただし、痩せ型が直接の原因ではなく、遺伝的要因や成長期の環境など複数の要素が重なって発症すると考えられるため、痩せ型体型の場合はとくに成長期の経過観察と適切な生活習慣の維持が重要です。
家族に側弯症の既往がある
側弯症は遺伝的要因が関与する可能性が高い疾患であり、家族に患者がいる場合は発症リスクが一般より高いと報告されています。
とくに一卵性双生児では一致率が高く、遺伝的関与が示唆されています。近年ではTBX6、LBX1、GPR126など複数の遺伝子が発症や進行に関与することも明らかになっています。(文献5)
ただし、必ずしも家族全員が発症するわけではなく、環境要因や生活習慣も影響します。家族歴がある場合は成長期の定期検診と早期発見が重要です。
体幹を強く使うバレエや新体操などの活動歴がある
バレエや新体操など体幹を強く使う競技は、側弯症のリスク要因のひとつと考えられています。これらの競技は左右非対称の動作が多く、脊柱に偏った負荷を与えることがあります。
また、選手は柔軟性が高い反面、靭帯や体幹の支持力が不足しやすく、背骨が不安定になりやすい傾向です。さらに、競技者には痩せ型かつ高身長の体型が多く、この体格自体も側弯症のリスク因子とされています。
ただし、競技そのものが直接の原因と断定されているわけではなく、遺伝的要因や成長期の急激な身体の変化など、複数の要因が組み合わさって発症に至ると考えられます。
側弯症の治療法
| 治療法 | 詳細 |
|---|---|
| 保存的治療 | 装具療法や運動療法による弯曲進行の抑制と姿勢改善 |
| 手術療法 | 脊柱の矯正と固定による高度変形の改善 |
| 再生医療 | 椎間板や脊椎組織の再生を目指す治療法 |
側弯症の治療は、弯曲の程度や成長段階に応じて方針が変わります。軽度から中等度では装具療法や運動療法による保存的治療が中心です。
進行例では脊柱を矯正・固定する外科的治療が行われます。近年は再生医療の研究が進み新たな選択肢として期待されていますが、対応できる医療機関は限られており、すべての症状に適用できるわけではないため、医師による診察と評価が必要です。
以下の記事では、側弯症の治し方を詳しく解説しています。
保存的治療
| 治療法 | 詳細 |
|---|---|
| 経過観察 | 定期診察とレントゲン検査による状態変化の確認と進行予防 |
| 薬物療法 | 痛みや筋緊張の緩和を目的とした薬の使用 |
| 装具療法 | コルセット装着による脊柱弯曲の進行抑制 |
| 運動療法 | 体幹筋力強化と姿勢改善による日常生活の質維持 |
(文献6)
軽度から中等度の側弯症では、経過観察・装具療法・運動療法といった保存的治療が基本です。成長期の背骨は柔軟性が高く、早期からの治療で進行を抑えられる可能性があります。
とくに装具は長時間の装着が効果的であり、リハビリやストレッチは筋肉バランスを整えます。痛みがなくても定期的な診察や運動療法を継続することが大切です。進行が見られる場合は、医師との相談の上で手術療法を検討します。
以下の記事では、側弯症や背骨が曲がる状態を改善するストレッチについて詳しく解説しています。
手術療法
| 手術法 | 詳細 |
|---|---|
| 後方矯正固定術(背中からの手術) | 脊椎にスクリューを挿入しロッドで連結することで背骨を矯正・固定し、骨移植で強固に安定させる方法 |
| 前方矯正固定術(お腹側からの手術) | 胸や腹部の側面から背骨前面にアプローチし、狭い範囲を強力に矯正・固定する術式 |
| 手術療法が必要になる目安 | 側弯角度が40〜45度以上で進行する場合、呼吸や心臓への影響がある場合、日常生活に支障や強い症状がある場合 |
(文献7)
側弯症に対する手術は、背骨の弯曲が40〜45度を超えて進行し、保存的治療で抑制できない場合に検討される治療法です。呼吸機能や心機能への影響、強い痛みや生活への支障も適応の目安となります。代表的な術式は脊椎固定術で、変形の矯正と進行抑制を目的とします。
術後は骨が安定するまで数カ月を要し、その間は激しい運動を控える必要があります。神経損傷や出血などの合併症リスクはあるため、術後も定期的な診察と経過観察が欠かせません。
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再生医療
再生医療とは、自身の細胞や組織の修復を促す成分を用い、損傷部位の機能を整えることを目指す治療法です。側弯症では、背骨を支える筋肉や靭帯の働きや、椎間板・神経の健康維持に役立つ可能性が検討されています。
大きな切開を伴わず注射などで行える低侵襲な方法として注目されていますが、利用できる医療機関は限られており、すべての症状に適用できるわけではありません。適応の判断には医師による相談と評価が必要です。
以下の記事では、再生医療について詳しく解説しています。
女性の側弯症は放置せず医療機関を受診しよう
側弯症は女性に多く、放置すると進行して姿勢や日常生活に影響を及ぼす可能性があります。
軽度であっても定期的な経過観察が必要であり、適切な時期に装具療法や運動療法を取り入れることで進行抑制が期待されます。早期に医師へ相談し、自身の状態に合った治療や生活習慣の工夫を行うことが大切です。
側弯症でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では側弯症の治療において、再生医療を選択肢のひとつとして検討することがあります。再生医療は大きな切開を伴わずに行える方法であり、側弯症に関連して生じた組織への新たなアプローチとして期待されています。
ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。
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女性の側弯症に関するよくある質問
側弯症を発症すると妊娠しにくい身体になるのは本当ですか?
側弯症が妊娠のしやすさに直接影響する医学的根拠はありません。
進行例で心肺に負担がある場合は妊娠中に影響が出る可能性があるため、事前に整形外科や産婦人科での相談が望まれます。出産時には麻酔の方法や分娩体位に制限が生じる場合がありますが、多くは医師の連携によって適切に対応できます。
側弯症のときにやってはいけないスポーツはありますか?
側弯症において禁止されるスポーツはありませんが、重い負荷や激しいジャンプ、片側に力が偏る競技は注意が必要です。
症状や痛みに応じて医師や理学療法士と相談し、無理のない範囲で運動を選ぶことが大切です。軽いストレッチや体幹強化は背骨の安定に有用とされます。
以下の記事では、側弯症においてスポーツで注意すべき動作を詳しく解説しています。
側弯症のときにやってはいけない仕事はありますか?
側弯症で避けなければならない職業はありません。ただし、重い荷物を繰り返し扱う作業や、長時間同じ姿勢を続ける業務は背骨への負担が大きいため注意が必要です。
作業環境の工夫や姿勢の改善によって継続が可能な場合も多く、不安がある際には医師へ相談することが望まれます。
側弯症を発症すると寿命が短くなりますか?
多くの場合、側弯症が寿命を直接縮めることはありません。軽度から中等度であれば日常生活や寿命への影響はほとんどなく、経過観察や適切な治療により大きな問題につながることは少ないとされています。
ただし、重度に進行した場合は胸郭が圧迫され、心肺機能へ影響を及ぼすことがあります。また、高齢での変性側弯症では腰痛や歩行機能の低下により活動量が減り、間接的に健康へ影響する可能性があります。定期的な診察と適切な対応が重要です。
参考文献
思春期特発性側弯症の発症の遺伝的な因果関係を発見-遺伝的に太りにくい人は発症のリスクが高い-|理化学研究所
Is There a Relationship between Idiopathic Scoliosis and Body Mass? A Scoping Review|PubMed
















