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ウェルニッケ野とブローカ野の違いとは?各役割と失語症の違いも解説

ブローカ野 ウェルニッケ野 違い
公開日: 2025.12.13

「ウェルニッケ野とブローカ野の役割の違いは?」
「失語症の症状の違いは?」
「失語症の方との関わり方やリハビリについて知りたい」

ウェルニッケ野は、耳から入った言葉を理解する役割を担っています。一方、ブローカ野は、言葉を発することが役割です。この脳の部位が脳梗塞脳出血により障害されると失語症を引き起こします。

本記事では、ウェルニッケ野とブローカ野の役割の違いをはじめとして、以下を解説します。

  • 失語症の症状の違い
  • 失語症の原因となる病気
  • 失語症が患者様にもたらすもの
  • 失語症に対するリハビリ
  • 失語症の方との関わり方

失語症の方は、コミュニケーションが困難になり、苛立ちや不安などさまざまな精神的苦痛を感じます。そのため、サポートをする周囲の方の失語症に対する理解は重要です。本記事を失語症の理解を深めるためにお役立てください。

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ウェルニッケ野とブローカ野の役割の違いとは

ウェルニッケ野とブローカ野の役割の違いは以下の通りです。

  役割
ウェルニッケ野 耳から入った言葉を理解するための役割
ブローカ野 組み立てられた言葉を発するための役割

それぞれの役割の違いについて解説します。

ウェルニッケ野|言葉を理解するための役割

ウェルニッケ野は、耳から入った言葉を理解する役割を担っています。場所は脳の左側後方辺りです。

耳に入った言葉は聴神経(耳と脳をつなぐ神経)から聴覚中枢(音を認識、識別する脳の領域)を経て、ウェルニッケ野に伝達されます。耳から入った言葉の理解だけでなく、自分の考えを言葉として組み立てる役割もあります。

ブローカ野|言葉を発するための役割

ブローカ野は、組み立てられた言葉を話せるようにする役割を担っています。場所は脳の左前方辺りです。

会話をしようとすると、ウェルニッケ野が元となる言葉を組み立て、その後に組み立てられた言葉がブローカ野に伝達されます。そして、ブローカ野が言葉を発するために必要な運動を発語器官の筋肉に伝達させて、会話をできるようにします。

ウェルニッケ失語症とブローカ失語症の症状の違いとは

ウェルニッケ失語症とブローカ失語症の主な症状の違いは以下の通りです。

  症状
ウェルニッケ失語症 相手の話す言葉を理解できない
ブローカ失語症 すらすらと話せない

それぞれの失語症について解説します。

ウェルニッケ失語症|相手の話す言葉を理解できない

ウェルニッケ失語症は、会話を理解する過程に障害が起きています。

以下のような症状が現れます。

  • 相手の言っていることが理解できない
  • 流暢に話すことはでき多弁であるが言い間違いが多い
  • 自分の言葉を理解しないで話してしまう

会話を理解できず言い間違いが多いため、会話がかみ合いにくくなる特徴があります。例えば、「ラーメンを食べたい」と言いたいところを「お箸を食べたい」と言ってしまうなどです。聞いたことのない日本語を話してしまうこともあります。

軽度の方でも、複雑な会話を理解することは困難です。重度の方は、日常会話の意思疎通が難しくなります。ウェルニッケ失語症は、感覚性失語とも呼ばれています。

ブローカ失語症|すらすらと話せない

ブローカ失語症は、言葉を発する過程に障害が起きています。

以下のような症状が現れます。

  • 流暢に話すことができずぎこちなくなる
  • 話そうとしてもなかなか言葉が出てこない
  • 言葉のはじめの音がとくに出しにくい

相手の言葉はある程度理解できます。軽度の方は、文章で話すことができますが、会話のスピードはゆっくりで発音は不明瞭です。重度の方は、単語レベルでの発話は可能な場合もありますが、文章を組み立てて話すことが困難です。

ウェルニッケ失語症とブローカ失語症の原因となる病気

失語症の原因となる病気には以下のようなものがあります。

病名 特徴
脳梗塞 脳の血管が詰まってしまう病気
脳出血 脳の血管が破れてしまう病気
脳腫瘍 脳の細胞に腫瘍ができてしまう病気
脳外傷 交通事故や転倒などの強い衝撃により、脳に損傷が起きてしまった状態
脳炎 細菌やウイルスが脳の中に入り込み炎症が起きてしまう病気

これらの病気によって、ウェルニッケ野やブローカ野が障害されてしまうと、失語症を引き起こしてしまいます。

脳卒中の後遺症に対する再生医療

失語症の原因となる脳卒中(脳梗塞や脳出血)の後遺症に対する治療法の1つに、再生医療があります。再生医療とは、人が本来持っている「再生する力」を活用した治療方法です。

失語症などのコミュニケーション障害も治療対象になっています。その他にも、以下のような後遺症が治療対象です。

  • 歩行や立ち上がりの能力の低下
  • 手足のしびれや麻痺
  • 関節や筋肉の痛み

脳卒中の後遺症や再発予防についてお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。

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失語症が患者様にもたらすもの

ウェルニッケ失語症やブローカ失語症を発症してしまうと、患者様に以下のようなことがもたらされます。

  • 他者とのコミュニケーションが困難になり、苛立ちや不安感など精神的な苦痛が発生する
  • 読書やカラオケ、映画鑑賞などの趣味の活動による生きがいを喪失する

失語症を発症した方には、残っている能力でできるコミュニケーション方法の獲得や生きがい作りなどのサポートが必要です。

ウェルニッケ失語症やブローカ失語症に対するリハビリプログラム

ウェルニッケ失語症やブローカ失語症に対するリハビリは、一般的に以下のような流れで進みます。

  • 失語症の程度や症状を把握する
  • 標準失語症検査を行う
  • 症状に合わせたリハビリを行う

それぞれの詳細を解説します。

1.失語症の程度や症状を把握する

脳梗塞・脳出血後にリハビリを開始する際は、言語聴覚士がベッドサイドでコミュニケーションを行い、失語症の程度や症状を把握します。

また、可能であれば以下のような簡易的な検査を実施します。

  • 年齢や氏名、住所などを呼称できるか
  • 単語や短文の復唱はできるか
  • 指示した通りの動作はできるか

言語聴覚士は、これらの検査や患者様との関わりを通して今後のリハビリの方針を検討します。

2.標準失語症検査を行う

患者様の病状が安定して、車椅子に一定時間座れるようになった場合は、言語室に場所を移してリハビリを行います。患者様の状態によりますが、可能であれば標準失語症検査を行い失語症の状況を確認します。

標準失語症検査とは「聞く、話す、読む、書く」のそれぞれの分野に分けて、系統的・段階的に評価する検査です。

例えば、「話す」の分野では、「物の名前を述べる」「描いた絵を説明する」「漫画の説明を行う」などの検査を行い「話す」能力を評価します。

3.症状に合わせたリハビリを行う

検査を実施して、失語症の程度を把握できたら、症状に合わせたリハビリを行います。

リハビリの一例を紹介すると以下のようなものがあります。

訓練の種類 詳細
話す訓練 ・絵が描いてあるカードを見て、対応する単語を述べる
・単語から文章を話す
・文字を見て文章を読む
聞く訓練 ・聞いた単語や短文に対応するカードを選ぶ
・難しい単語への変更、カードの枚数の増減などで難易度を調整する
文字を理解する訓練 ・漢字や仮名、文章を読み対応するカードを選ぶ
・問題を解く
文字を書く訓練

・名前や漢字の単語、仮名の単語など身近な文字を書く
・徐々に文章を書く訓練に移行する

失語症のリハビリは、あせらずにゆっくりと取り組むことが大切です。

ウェルニッケ失語症やブローカ失語症の方との関わり方

失語症の方と関わる際は、以下のことに注意してください。

症状 関わり方
話す障害 ・「はい」「いいえ」で答えられるような会話をする
・話し出しが遅れるためせかさない
・「○○のことですか?」と適当なタイミングで言葉を引き出す
・質問カードなどを作成しておく
聞く障害 ・言葉だけでなく、身振りや手振りを加えて話す
・イメージできるイラストや物を活用して話す
・急に話題を変えない
読む障害

・漢字ではなくひらがなを使う
・図を用いてイメージしやすくする

全体を通してあせらずゆっくりとコミュニケーションをとることが大切です。

ウェルニッケ野とブローカ野以外の失語症

ウェルニッケ野とブローカ野以外にも以下のような失語症があります。

失語症の種類 特徴
健忘性失語 相手の話の理解はでき、口頭でのコミュニケーションもよくできるが、物の名前が出てこないため回りくどくなる
伝導失語 相手の話している言葉は理解できるが、復唱(真似して言うこと)に障害があり「話す」「書く」際にも誤りが出る
全失語

相手の言葉をほとんど理解できず、声を発することも困難で、できたとしても一語程度である

まとめ|それぞれの失語症の特徴に応じたリハビリに取り組もう

ウェルニッケ失語症は「相手の話す言葉を理解できない」、ブローカ失語症は「すらすらと話せない」のが特徴です。リハビリは「聞く、話す、読む、書く」それぞれ症状に応じて進めて行きます。

失語症を発症すると、コミュニケーションが困難になり、苛立ちや不安感など精神的な苦痛が発生します。失語症の方と関わる際は、これらの特徴を踏まえて「簡潔に答えられる会話をする」「ジェスチャーを交えて会話をする」などの工夫をして、コミュニケーションを取ることが重要です。

医師や言語聴覚士と相談しながら、その方に応じたリハビリを行い、残った能力でコミュニケーション方法を獲得しましょう。

脳卒中の後遺症改善や再発予防には、再生医療という選択肢もあります。詳しくは当院「リペアセルクリニック」にお気軽にご相談ください。