-
- 肘関節
- 野球肘
- 上肢(腕の障害)
- 動作時の痛み
- スポーツ外傷
関節ねずみ(関節遊離体)による痛みの改善にはクリーニング手術という選択肢があります。 クリーニング手術を受けることで悩まされていた痛みから解放されて、日常生活やスポーツを楽しめます。 とはいえ、いったいどのような手術なのか、どれくらいの日数や費用がかかるのか、不安に思う方も少なくないでしょう。クリーニング手術の内容や適応、経過について本記事にて詳しく説明していきます。 クリーニング手術とは? クリーニング手術とは、関節内に遊離した軟骨成分や骨成分のかけら(関節ねずみ)、また新たに形成された骨棘(骨にできるトゲのような突起)を関節鏡を使って取り除く手術方法です。 関節ねずみと呼ばれる遊離体はただ存在しているだけでは無症状ですが、関節内が挟まると曲げ伸ばしに障害が出たり、強い痛みが出現したりします。 症状が強い人やスポーツに支障が出ている方は、整形外科でのクリーニング手術が推奨されます。 関節ねずみ(関節内遊離体)の治療法 クリーニング手術は関節ねずみに対して行う手術ですが、関節ねずみが確認されたとしても経過観察になることがあります。 関節運動への影響が少ない場合は経過観察になることもあります。 動かしても痛みがない 骨軟骨片が完全に剥がれておらず安定している 上記のような状況では、荷重制限や運動制限などの保存療法が選択される場合があります。ただし、関節ねずみは移動するため、痛みが生じる部位や強さは場合によりさまざまです。 病状が進行し、スポーツや生活に支障がある場合は手術での治療も検討しましょう。 野球選手がなりやすい野球肘の治療にも有効 野球肘とは、投球動作を繰り返し行うことで発症する肘の障害です。離断性骨軟骨炎や軟骨損傷、靭帯損傷、将来的に合併する可能性が懸念される変形性肘関節症などを含めた複数の病態を示しています。 長年に渡る投球動作により少しずつ骨や軟骨部分に変形が起こったり、関節ねずみが形成されたりし、肘関節の屈伸運動の困難さや痛みが出現します。症状が進行し、安静時でも痛みが続く場合や、痛みが引いても再び痛みが出てしまう場合は、クリーニング手術を検討してみると良いでしょう。 部位別のクリーニング手術法 クリーニング手術は主に、肘関節や膝関節の遊離体に対して行われますが、肩関節や足首の関節に対しても適応となる場合があります。 ここでは、部位別のクリーニング手術の特徴をそれぞれ解説していきます。 肩関節に対するクリーニング手術 肩関節に対するクリーニング手術(鏡視下滑膜切除)は、肩の痛みの原因となっている組織を取り除くために行われます。MRIなどでは確認できなかった病変を直径2〜10mmの細長いビデオカメラを手術部位に挿入して、映像を確認しながら行う手術方法です。 野球による投球障害で関節唇(かんせつしん)に損傷がある場合 リウマチなどによる炎症が滑膜(かつまく)にある場合 痛みで夜も眠れない場合 上記のような状況がクリーニング手術の適応となり、術後は痛みが軽減する可能性があります。手術時間は1時間程度と短時間で完了するため、体への負担は少なく済むでしょう。 肘関節に対するクリーニング手術 肘関節に対するクリーニング手術は、関節ねずみの除去(鏡視下遊離体摘出術)やとげのように変形した軟骨の切除(鏡視下骨棘切除)などが実施されます。投球動作などで肘関節を酷使する野球選手に実施されることが多いです。 全身麻酔下で行われ、肘を小さく切って細い関節鏡と手術器具を挿入し、肘部の痛みや引っ掛かりの原因となっている病変部位を切除・摘出します。 通常、1~2時間にて完了し、術後2週間程度から日常生活動作への制限が緩和されます。 膝関節に対するクリーニング手術 膝関節に対するクリーニング手術は、加齢などによって起こる変形性膝関節症に対して適応です。擦り切れた半月板や遊離軟骨、骨棘、増殖した滑膜などを除去し、痛みや歩行能力が改善できます。 切る範囲が小さく済むため、傷が目立たない点や術後の入院期間が短くなるのが特徴です。 変形性膝関節症の中でも、クリーニング手術で改善するのは軽症レベルで、重度になるとクリーニング手術では対応が難しくなります。重症の場合は別の手術が必要となるため、症状に合った手術を選択しましょう。 足首に対するクリーニング手術 足首に対するクリーニング手術は、変形性足関節症に対して実施されることがあります。 関節鏡を見ながら原因となっている骨棘や滑膜、遊離軟骨などを除去し、足首の関節可動域拡大や痛みの改善が目的です。 他の部位と同様に、足首の関節周囲を小さく切り、関節鏡と手術器具を挿入して手術を行います。 クリーニング手術後に復帰までの期間 クリーニング手術後、復帰までにかかる期間はそれぞれの状態や手術内容、手術部位によって異なります。 日常生活への完全復帰は手術後2~3か月程度、スポーツの再開は3~6か月程度が復帰の目安です。手術直後は安静にして痛みや腫れを改善に努め、約2週間後から関節運動を開始していきます。 2カ月ほど経過したら、症状を見ながら軽めのトレーニングを開始し、本格的な競技復帰に備えていきましょう。 復帰までの期間はあくまで目安であり、術後の経過やリハビリの効果などは個人差があります。クリーニング手術後の復帰時期は医師と相談しながら決めていきましょう。 クリーニング手術にかかる費用 クリーニング手術にかかる費用の目安は20~30万円程度です。手術を行う部位や医療機関、入院期間、細かな手術内容によって費用は異なるので注意しましょう。 手術前後の入院期間は4日間程度ですが、入院期間が延びれば部屋代や施設利用費なども増えていきます。手術前後の診察代やリハビリの料金も発生するため、正確な費用は各医療機関に問い合わせて確認してください。 まとめ|クリーニング手術は関節ねずみに対して有効な治療法 クリーニング手術は、関節ねずみによる痛みや可動域制限に対して効果のある治療方法です。手術にかかる費用は20~30万円、入院期間は約4日間と短く、日常生活や仕事への影響が少なく受けられます。 日常生活への完全復帰は2~3カ月、スポーツへの復帰は3~6カ月が目安の期間です。早く回復したい方や治癒力を高めたい方は再生医療の利用も検討してみましょう。 リペアセルクリニックでは、再生医療について無料電話相談を受け付けています。お気軽にお問い合わせください。 クリーニング手術についてのQ&A クリーニング手術を検討されている方に向けて、よくある質問への回答をご紹介します。 最近、話題となっている再生医療や野球選手がよく受けているトミー・ジョン手術との違いについて説明していきますので、ご確認ください。 再生医療との関連性は? 最近注目されている再生医療とは、自然治癒力を最大限に引き出す医療技術です。 スポーツや仕事に早く復帰したいと希望される方は、クリーニング手術とPRP療法の併用を検討してみてください。 PRP療法は自分の血液から抽出した高濃度の血しょう成分を患部に注射する治療法です。プロアスリートの治療にも採用されている治療法で、治癒・再生速度を2~3倍以上速める効果が期待できます。 まれにない出血がみられることがありますが、数日間で自然消失します。症状が気になる場合は診察にお越しください。 トミー・ジョン手術との違いは? トミー・ジョン手術とは、損傷した肘の内側側副靭帯(ないそくそくふくじんたい)を切除し、健康な腱の一部を肘の靭帯につなげる手術方法です。前腕部(肘から下の部分)や下腿(膝より下の部位)、お尻、膝から腱を摘出することが多く、大谷翔平選手も受けたことで有名になりました。 野球選手の場合は、競技復帰まで1年程度のリハビリが必要です。損傷部位である肘だけでなく、摘出してくる別の部位も切開する必要があるため、クリーニング手術よりも体への負担は大きくなります。
2022.04.25 -
- 野球肘
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- 肘関節
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トミージョン手術という言葉をテレビや雑誌、新聞など情報を見たりした経験のある方も多いのではないでしょうか。 メジャーリーガーとして活躍する大谷翔平選手やダルビッシュ有選手が「トミージョン手術」を受けたことで一躍有名になった手術です。 本記事では「トミージョン手術とはどんな手術なのか」また、手術の成功率や競技への復帰率について詳しく解説します。 野球選手を始めとする肘の靱帯損傷にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。 また、肘の靱帯損傷といった「スポーツ外傷」を手術せずに治療できる方法として再生医療が注目されています。 当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、再生医療によるスポーツ外傷の症例や治療法について情報を配信中です。 「手術せずに治療したい」「早く治して競技復帰したい」という方は、ぜひご参考ください。 トミージョン手術とは? トミージョン手術とは、肘の内側にある損傷・断裂した靱帯を正常な腱の一部を移植して再建する手術のことです。 患者さまの体から摘出した腱を上腕骨と尺骨に作成した穴に通し、両端に適度な張力をかけた状態で固定します。 その後移植した腱は患部周囲に定着し、損傷した靭帯の代わりとして機能するようになるのです。 移植した腱が定着するまでに、ある程度の時間がかかるといわれており、長期的なリハビリによる加療を実践することが求められます。 トミージョン手術の費用 海外でトミージョン手術を受ける場合の費用は、100〜300万といわれています。 日本でトミージョン手術を受ける場合の費用は、保険適用で約15万〜30万円です。 手術費用は、保険適用の有無や医師の経験値によって大きく変動します。 入院にかかる費用やリハビリ代などを加算すれば総額はさらに高くなります。 トミージョン手術の成功率と競技復帰率 トミージョン手術の成功率や、野球選手の競技復帰率について紹介します。 トミージョン手術の成功率 トミージョン手術を受けた選手の競技復帰率 以下では、それぞれ詳しく解説していきます。 トミージョン手術の成功率と競技復帰率 トミージョン手術は、約80%~90%と比較的に成功率が高い手術です。 術式の由来でもあるトミージョン氏が手術を実施した1970年代は、手術自体の成功率は何と1%未満とされていました。 しかし、近年では医療技術の進歩により高い成功率を誇る手術として、多くの野球選手がトミージョン手術を受け、競技復帰を実現しています。 トミージョン手術を受けた野球選手の競技復帰率 トミージョン手術を受けた野球選手のポジション別の競技復帰率は、以下の通りです。 ポジション 復帰率 投手 80〜97% 捕手 59〜80% 内野手 76% 外野手 89% ※出典:PubMed メジャーリーグの投手を対象にした研究では、手術後12ヶ月で80〜97%が競技復帰したとされています。 投手と比べると肘への負担が少ない内野手や外野手は、投手よりも短い期間で競技復帰できているというデータがあります。 トミージョン手術を受けた野球選手一覧 大谷翔平選手やダルビッシュ有選手を始めとした日本のプロ野球選手がトミージョン手術を受けています。 2024年以降にトミージョン手術を受けた野球選手は、以下の通りです。 トミージョン手術は、名高い野球選手から多くの信頼を得ている手術方法といえます。 トミージョン手術が適応となる原因が野球選手に多い理由 野球の中でも、とりわけピッチング(投げる)という動作では、速球や変化球を何度も繰り返すことになり、肘に大きな負担を掛けるリスクがあります。 一般的に、野球競技で投球を繰り返すことで体幹や胸郭などのバランスが悪くなると肩や肘の力でサポートしたり、カバーしようと身体が反応し、意図せず働いてしまいます。 その際、上腕骨と尺骨を連結している肘関節部分に位置する内側側副靱帯に過剰な負担がかかり損傷が生じることがあります。 肘の靱帯が正常な状態の投手が、実際の投球中に靱帯をいきなり切ることはまずありません。しかし、小学生のころからプレーを続け、何度も繰り返される動作は負荷となって最初は小さなほころびでも積み重なることで切れてしまったり、大きな損傷となってしまうのです。 一部の整形外科医や球界関係者からは、肘の損傷の原因が投球フォームにあるという指摘もあります。いずれにしろ野球選手にとって避けては通れないスポーツ外傷というほかありません。 スポーツ外傷は「再生医療」の治療対象です。体内組織の自然治癒力を活用する医療技術で、手術による傷跡や後遺症のリスクを軽減できます。 以下の記事では、野球肘の予防に有効なストレッチを紹介しています。野球をする機会が多い方は参考にして、日頃のケアに役立ててみてください。 トミージョン手術後のリハビリについて リハビリは、大体2か月程度かけて肘関節の可動域を元の状態に復帰させていきます。 その上で日常生活レベルで支障なく肘を動かせるようになれば、今度は軽い負荷からのウェイトトレーニングを開始することになります。 野球選手の場合、競技復帰までに1年ほどのリハビリが必要です。 トミージョン手術を受けるメリット・デメリット トミージョン手術を受けるメリット・デメリットを以下にまとめました。 トミージョン手術を受けるメリット トミージョン手術を受けるメリットは、以下の通りです。 【トミージョン手術のメリット】 トミージョン手術の成功率:80~90%が実践復帰 トミージョン氏がこの手術を実施した1970年代は、手術自体の成功率が何と1%未満とされていました。 しかし、1986年から2012年までに本手術を実施された野球投手を調査した結果、約80%~90%もの人々が実戦復帰を果たしており手術の成功率が格段に向上しています。 この手術における成功率が向上した要因としては、手術そのものの技術的な進歩のみならず術後のリハビリテーションの知識と経験の蓄積が顕著な治療成績の改善を生み出したと考えられています。 トミージョン手術を受けるデメリット トミージョン手術を受けるデメリットは、以下の通りです。 【トミージョン手術のデメリット】 デメリット:手術後のリハビリ期間が1年~程度必要 デメリット:手術とリハビリからくる期間的リスク デメリット:合併症の危険性がある 通常ではトミージョン手術による治療からリハビリを含めて実戦復帰するためには約12か月から18か月かかると考えられています。 仮に実戦復帰できたとしても所属球団の方針によっては厳しく球数を制限されるかもしれません。 また、術中操作にともなう尺骨神経の障害は、トミージョン手術後の合併症において頻繁に起こる可能性があります。 肘の靱帯損傷には再生医療も選択肢の一つ https://youtu.be/ZYOV-Er0mnU?si=FHBxUKKQUmtK4hUY 肘の靱帯損傷やスポーツ外傷には、先端医療である再生医療も選択肢の一つです。 再生医療とは、さまざまな組織に変化する幹細胞を用いて、損傷した靱帯の再生・修復を図る医療技術のことです。 肘の靱帯損傷に対して高い成功率を誇るトミージョン手術ですが、手術の副作用のリスクや長期間のリハビリが必要となり、競技復帰まで時間がかかります。 再生医療では、入院が必要なほどの大きな手術をせずに肘の靭帯損傷の根本的な治療が期待できます。 また、患者さまの細胞のみを使用するため、拒絶反応やアレルギーなどの副作用が少ないのも特徴です。 「手術を避けて治療したい」「早く競技復帰したい」という方は、ぜひ再生医療による治療をご検討ください。 トミージョン手術に関するよくある質問 最後にトミージョン手術に関するよくある質問と回答をまとめます。 トミージョン手術が失敗する可能性はありますか? トミージョン手術は一般人でも受けられますか? トミージョン手術を受けたあと復帰までの期間はどれくらいですか? 靭帯損傷で手術以外の治療法はありますか? トミージョン手術が失敗する可能性はありますか? トミージョン手術の失敗確率は10〜20%程度といわれています。 約80〜90%もの人が実践復帰を果たすまでに回復するといわれており、失敗する確率は低い傾向にあります。 トミージョン手術は一般人でも受けられますか? トミージョン手術は一般の人でも受けられます。 しかし、プロの野球選手ほど受ける人が少ないといわれています。 リハビリに1年ほどかかり日常生活や仕事への影響が大きいほか、海外ほどトミージョン手術の名医が多くないためです。 スポーツや仕事で肘の腱や靭帯を損傷した方は、当院「リペアセルクリニックのドクター」にご相談ください。 患者さまの状態にあった治療方法をご提案させていただきます。 トミージョン手術を受けたあと復帰までの期間はどれくらいですか? 野球や仕事に完全復帰するまでには、約1年ほどかかります。 損傷の程度によっては、2年近くかかる場合もあります。焦って無理に肘を動かすと回復を遅らせる可能性があるほか、状態を悪化させるリスクも招きかねません。 担当医や理学療法士の指示・助言を守りながら、計画的にリハビリを進めましょう。 靭帯損傷で手術以外の治療法はありますか? 靭帯損傷の治療法の1つに「再生医療」があります。 再生医療とは、人間の組織や血液に含まれる自然治癒力を活用して、傷ついた靭帯を修復させる医療技術です。 注射を打つだけなので、手術のように傷跡が残ったり、長期のリハビリが必要になったりしません。 トミージョン手術を受けた大谷翔平選手も、再生医療で靭帯損傷の治療を受けています。 詳しくは以下の記事で紹介しているので、大谷翔平も受けた再生医療についての理解を深めたい方はあわせてご覧ください。 まとめ|トミージョン手術とは肘の靱帯損傷を再建するための手術 トミージョン手術は、損傷した腱や靭帯の再建をおこなう手術です。とくに、野球のピッチング動作の繰り返しで、肘関節の内部にある靭帯を損傷したときに用いられます。 スポーツ外傷には「再生医療」の治療法も効果的です。 本来なら手術をしなければいけない状態でも、再生医療で治療できる可能性があります。手術による傷跡や後遺症の心配もないので、安心して治療を受けられます。
2022.04.21 -
- ひざ関節
- 脊椎
- 股関節
- 肩関節
- 肘関節
- 手部
- 足部
「MRI検査って結果が出るまでの時間はどのくらいなのか」 「時間がかかるなら予定を組みたいから事前に知っておきたい」 人間ドックでも使用する機会が増えてきたMRI検査ですが、人によっては所要時間以前に検査を受けることが難しい場合があります。 本記事ではMRI検査でできる内容や、注意点について解説します。MRIを用いた検査を予定している人で、本記事で記したMRI検査の注意事項に当てはまる人は、検査の前に担当の医師に申告するための準備ができるので、ぜひ参考にしてください。 MRI検査とは MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像診断)検査とは、強力な磁場を発生させるトンネルのような装置の中で、身体の内部の断面をさまざまな方向から撮影する検査です。 MRI検査は、ベッドに横たわり検査が始まるとベッドが自動で動いてトンネルのような装置の中に入っていきます。磁場が発生するときは工事現場のような大きな音がするため、ヘッドホンや耳栓をして検査を行う場合もあります。 工事現場の音 80〜85デジベル MRI検査の音 120デシベル程度 MRI検査でわかること MRI検査は、全身の疾患について調べられますが、以下の部位における高い検査能力が特徴的です。 四肢(両手、両足) 関節軟部組織 脊椎 脳 膝 肩 子宮 卵巣 血管 など 骨や、その周辺にある軟骨の状況も精査できるほか、脳を含む頭部や骨盤内の臓器などを検査する際に使われます。 MRI検査とCT検査との違い MRI検査と同じように身体の内部を撮影する検査として「CT検査」があります。MRI検査と同様にトンネルに入って行うもので装置の見た目も似通っているのですが、大きな違いがあります。 それは「CT検査は放射線を使った検査」「MRI検査は磁場と電波を使った検査」の違いです。放射線を使わないMRI検査の方が身体への負担が少ないと考えられます。検査の原理や得意な部位の違いは以下の表でまとめました。 検査原理 得意な部位 MRI検査 磁場と電波 整形外科の主な症状 腱板損傷、腱板断裂、関節損傷、靭帯損傷、半月板損傷、頸椎症、胸椎・腰椎ヘルニア、頸椎ヘルニア、脊髄腫瘍、骨軟部腫瘍、その他 脊髄、関節、脳、骨盤腔内臓器 ※関節軟部組織の描出が得意 CT検査 放射線 骨、脳、肺、腹部 MRI検査の結果が出るまでの所要時間 MRI検査の所要時間は20~45分です。似ている検査方法のCT検査は10~15分なので、比較すると少し長い時間がかかります。身体を動かすと画質が落ちてしまうため、検査中はなるべく身体を動かさないことが重要です。 また、MRI検査の結果が出るまでの期間は、検査当日すぐに出る場合もあれば、7~10日間ほどかかる場合もあります。医療機関によって変わるため事前にご確認ください。 MRI検査当日の所要時間:20〜45分 MRI検査の結果が出るまでの期間:当日または7〜10日 MRI検査の全体的な流れ MRI検査の当日は以下の流れで検査が行われています。 受付しつつ注意事項の確認 問診完了後、検査着にお着替え 検査室に移動しMRI検査の実施 MRI検査終了後、来院時の服にお着替え お会計 MRI検査の結果は郵送でお知らせするケースが大半ですが、必ず担当医に「どのような方法で検査方法が知らされるのか」を確認しておきましょう。 MRI検査の注意点 MRI検査は、強力な磁石と電磁波を使用するので、MRIの検査室内には金属類の持ち込みを一切禁止しています。たとえば金属類が該当し、ファスナーやチャック、金属製のボタンなどが付いた服装では検査できません。 また、女性の方はホック付きのブラジャーも着用できない可能性があるため注意が必要です。その他、バッグはもちろん、携帯電話や腕時計、財布などの貴重品、身に付けているアクセサリーを含めた金属類はすべて取り外してもらうのが必須です。ヘアピンなども忘れがちですので注意してください。 医療機関では、MRI検査で検査着に着替える場合が多いため、なるべく金属が付いておらず着替えやすい服装で来院するとスムーズに検査を受けられます。 金属が付いていなくても発熱系素材の下着なども注意が必要です。 インプラントも素材によっては難しい場合があるので、入れ歯も外してもらう必要があります。 身につけてはいけないものや注意が必要なもの一覧 MRI検査当日は、以下の服装やアクセサリー類などを身につけて来院される場合は注意が必要です。 MRI検査時に注意が必要なもの一覧 身に着けてはいけないもの、注意が必要なもの ファスナー、金属ボタンのついた衣類 メイク、マニキュア(アイシャドウ、マスカラ、ネイルアートに注意) 入れ歯、(インプラントは事前相談が必要です) 腕時計、メガネ、へアピンなどのアクセサリー類 コンタクトレンズ(事前相談が必要です) コルセット系の下着、ホックが付いた下着・衣類 金属のついている服や下着 発熱保温機能付の衣料(ヒートテック等) など 体内にペースメーカーなどを埋め込んでいる人 MRI検査は、強力な磁石や電波を使うため、火傷などの事故が起こらないよう十分に気を付けなければなりません。人によっては、身体の状態や状況によってMRI検査を受けるのが難しいと判断されるケースがあります。 以下の事項に当てはまる人は、MRI検査を受けられない場合があるため注意が必要です。 体内に金属(インプラント、ペースメーカーなど)を埋め込んでいる人 手術などで体内に金属、プレートやボルトを埋め込んでいる人は、MRI検査で使用する磁石と金属が反応して検査画像の乱れや火傷の原因となる可能性があります。 金属を体内に埋め込んだ症歴がある場合は、検査を受ける前に必ず申告し「MRI検査が可能であるか」を確認しておきましょう。治療を受けた病院で、金属の種類を事前に確認を求められるケースもあります。 体内に金属類を埋め込んでいる人で注意が必要なケース一覧 心臓ペースメーカー 骨折で体内に金属が入っている 脳動脈クリップ 血管ステント挿入 人工内耳、人工中耳 脳深部刺激装置 入れ墨、アートメイク リフトアップを金糸で行った場合・ 妊娠中、または妊娠の可能性 金属片が飛び散る職場での勤務 閉所恐怖症 ※上記でもチタンを用いたら、検査を受けられる場合もあります 刺青やアートメイクをしている人 刺青やタトゥーで検査ができないケースについて不思議に思う人も少なくないでしょう。実は刺青やタトゥーの色素に鉄などの金属が含まれている場合があり、MRI検査の強力な磁石と反応すると火傷を引き起こす可能性があるからです。 アートメイクの場合も、使用される金属の量はわずかですが、ごくまれに刺青と同様に検査画像が乱れてしまいます。火傷を引き起こす可能性もあるため、同じく注意が必要となります。たとえばマグネットネイルやミラーネイルなども変色の恐れがあるので注意しましょう。 刺青やアートメイクをしている人は、MRI検査を受ける前に必ず担当医師へ申告しましょう。 閉所恐怖症/狭いところが苦手な人 MRI検査は、狭いトンネルのような空間で行われるため、狭いところが苦手な人や閉所恐怖症の人は事前に申し出るのをおすすめします。MRI検査の検査時間は、長いと40分ほど必要になるため、閉所恐怖症の人は注意が必要です。 狭いところが苦手なのを事前に伝えておけば、医療機関によってはMRI機器の明るさを調整したりできる場合があります。検査機関によっては、オープン型のMRIを使用できるので事前に確認しておきましょう。 また、我慢できない場合は検査員に知らせるためのスイッチがあるので、気持ちを楽にしてお受けください。MRI検査について不安な点があれば、たとえ些細なことであっても検査を行う前に医療機関へ相談しましょう。 メイクやコンタクトレンズを着用をしている人 MRI検査を受ける際は、通常のメイクであっても注意が必要です。メイクをしたままMRI検査を受けるのは大きなリスクが伴います。 アイシャドーやマスカラ、アイラインなどの化粧品は、種類によって金属が含まれている場合があるため、検査画像の乱れや火傷を引き起こす恐れがあります。 正しく検査を終えられるように、MRI検査が始まる前までにメイクを落としておきましょう。 コンタクトレンズ(とくにカラーコンタクトレンズ)も注意が必要です。コンタクトレンズには鉄成分が含まれている場合があるため、コンタクトレンズをつけたままMRI検査を受けると検査画像への影響や火傷の危険があります。 コンタクトレンズを使用している人はMRI検査の前に外しておくか、検査の日は眼鏡をかけて来院し、検査中は眼鏡を外すような対応を行うのが無難です。 その他食事などにおける注意事項 MRI検査で腹部や骨盤の検査をする人は「食事の制限はしておくべきか」気になる人も多いでしょう。腹部や骨盤のMRI検査では、約6時間前までに食事を済ませてもらうよう案内しています。 水の摂取に関しては、MRI検査の直前までは問題ありません。とくに骨盤のMRI検査を受ける人は、来院の1時間前までに排尿を済ませておいてもらう必要があります。仮に来院1時間を過ぎたタイミングで排尿された場合は、300ml程度の水を摂取してから検査を受けましょう。 まとめ・MRI検査と検査を受ける際の注意点を把握しておこう MRI検査の造影剤は、被ばくの危険性がないため、CT検査よりも身体に負担の少ない検査であると言われています。しかし、体内に金属を埋め込んでいる人や刺青をしている人は危険が伴うため検査が受けられない場合があることを把握しておきましょう。 メイクをしたままやコンタクトレンズを付けたままの状態でMRI検査を受けるのも大きなリスクが伴います。必ずMRI検査を受ける前に注意事項を確認しておきましょう。
2022.04.18 -
- 股関節
- ひざ関節
- 肩関節
- 肘関節
- 手部
「痛み止めにステロイド注射を使う効果は?」 「痛み止めのステロイド注射はどんな副作用があるの?」 ステロイドは、変形性膝関節症や変形性股関節症を始め、各種関節症の保存療法(薬物療法)で、痛み止めとして使われているメジャーな薬です。 ステロイドは痛み止めの薬として効果を発揮します。ただ、ステロイドの副作用が気になり、怖いと感じる方もおられるはずです。 今回は関節症の痛み止めに使われる機会が多いステロイド注射の効果、副作用などをご説明いたします。 最後まで読んでいただければ、ステロイド注射を使うメリットとデメリットを理解できるので、治療を受けるべきか迷われている方は参考にしてみてください。 \痛みを抑えるだけでなく、関節そのものにアプローチする選択肢/ ステロイド注射は痛みを和らげる治療であり、関節のすり減った軟骨や損傷した組織を修復する治療ではありません。 そのため、症状や進行度によっては、関節そのものに働きかける再生医療も検討しましょう。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 ステロイド注射を受けても、効果が一時的で痛みがすぐに再発してしまう ステロイド注射の回数が増え、副作用が心配 痛み止めだけでなく、関節の炎症や損傷そのものにアプローチした治療を受けたい >>再生医療専門の「リペアセルクリニック」に無料相談する 再生医療は、損傷した関節組織に対して炎症の抑制や組織修復をサポートし、痛みの軽減や関節機能の改善を目指す治療法です。 https://youtu.be/NeS1bk2i5Gs 「ステロイド注射を続けるべきか悩んでいる」「できれば手術以外の方法を検討したい」という方は、一度当院(リペアセルクリニック)にご相談ください。 関節症に痛み止めのステロイド注射を使う効果は2つ 関節症に痛み止めのステロイド薬(ステロイド注射)を使う効果を2つ解説します。 ・鎮痛効果 ・抗炎症作用 鎮痛効果 ステロイド薬を使うメリットには、鎮痛効果による痛みの緩和があげられます。 各種関節症の発症初期には、保存療法(薬物療法)がおこなわれるケースが一般的です。 ステロイド注射は痛みを緩和させる目的で、以下のようなときに使います。 ・生活を送るときの不自由さを減らすため ・運動療法による治療効果を高めるため とくに運動療法を行うときに痛みがあると、痛む部位を守ろうとするあまり、ほかの筋肉や組織に力が入りがちです。結果としてほかの部位まで痛める可能性もあります。 保存療法を有効に進めるためにも、ステロイド注射で痛みを減らす必要があるのです。 抗炎症作用 ステロイド薬には、炎症(痛みの原因)を和らげる抗炎症作用があります。 痛みの原因物質の産生を抑えられると、鎮痛(痛みを抑える)効果が期待できるのです。 各種関節症の保存療法では、初期の段階ではステロイド注射で痛みを緩和しながら炎症を防ぎ、リハビリなどの運動療法における効果を上げる目的で使います。 痛み止めのステロイド注射に関する副作用 ステロイドに悪いイメージがあるのは、副作用があると聞いたからではないでしょうか。 実際に、ステロイド注射の副作用のひとつに「骨が脆くなる」点があげられます。そのため、事前の骨の検査や年齢によっては、ステロイド治療を行えない場合があるのです。 以下で、副作用における一例をまとめています。 【ステロイドの副作用】 ・ステロイド注射を長期間、あるいは短期間に多く投与された場合 →股関節の「大腿骨頭」、肩関節の「上腕骨頭」、 「膝関節」の骨への血流が阻害され、骨の組織が壊死する危険性がある ・短期的に大量に使ったり、長期的に使ったりした場合 →骨の代謝やホルモンの産生に影響を与える ・長期的に使うと骨を脆くする危険性がある →「大腿骨骨頭壊死」「上腕骨頭壊死」「膝関節骨壊死」 といった困難な症状を招く可能性もある 【骨粗鬆症のリスク】 ・ステロイド注射は短期間に多くの投与、あるいは長期間使うと、 骨やホルモンの代謝に影響を与えかねない 【感染症になりやすい】 ・ステロイド注射は免疫を抑制するため、 長期間、関節内に投与を行うと「化膿性関節炎」になる危険性がある ・関節炎になった場合、抗生物質の内服による治療や、 重症化した場合は、関節内の洗浄が必要になる しかし、ステロイド注射は、変形性膝関節症や変形性股関節症、肩の関節症などの痛みに対して鎮痛、消炎(炎症をとりさること)の改善効果が得られます。 デメリットを過大評価すると使うのをためらってしまいがちです。 先にステロイド注射を使うデメリットを知っておくと、ステロイド治療に対する判断の一助となり、医師の診断や意見を理解する上でも役立ちます。 医療機関などで医師の管理のもと、適切にステロイド治療を行えると、必要以上に怖がる必要はなくなるはずです。 【長期使用はNG】痛み止めのステロイド注射は根本治療にならない ステロイド注射は、関節症の痛みで困っている場合に高い鎮痛効果が期待できます。 ただ、副作用があるステロイド注射を長期間、継続して使うのはおすすめできません。短期間でも大量に使うのは避けましょう。 また、ステロイド治療は、骨の変形や軟骨のすり減りなど、関節の状態を修復する効果はありません。病気の進行を止めるなど、根本的な治療を目的としていないのです。 たとえば、変形性関節症は進行する病気です。変形性関節症の人がステロイド治療を行っても、最終的には手術が必要となる可能性があります。 関節症におけるステロイドでの治療方法について 関節症でのステロイド治療は、内服薬と注射があります。 症状や状態にもよりますが、内服薬で痛みに対する効果が感じにくくなった場合に、関節内にステロイド薬を直接注射する流れが一般的です。 ステロイド薬を関節に注射すると、抗炎症作用により痛みを改善します。ただ、何度も申しますが、長期的な使用や短期の大量投与は、副作用のリスクがあるので避けましょう。 また、関節症の症状が進行するとステロイドの効果が減少して、外科的治療として手術の選択を迫られるかもしれません。 しかし、近年はステロイド注射以外にも、手術や入院を避けられる再生医療の治療方法もあります。 再生医療の幹細胞治療では、膝や股関節、肩などの治療において、自身の幹細胞を培養して関節注射を行う流れです。 まとめ|関節症のステロイド注射は痛み止めに効果がある ステロイド薬は、内服や痛む関節に直接注射する方法で使います。鎮痛効果と抗炎症作用により、痛みを緩和させる効果があります。 ただし、ステロイド注射はメリットがある反面、副作用もあるので注意が必要です。短期的な大量投与や、長期的なステロイド治療は避けるべきです。 ステロイド注射は問題のある部位を修復できないので、根本的な解決はできません。 ただ、医療機関などで医師の管理下で治療するなら、必要以上に怖がる必要はないでしょう。ステロイドの特性を知った上で、治療に使っていただければと思います。 また、関節症に関わる治療のひとつとして、再生医療もあります。 ステロイド治療以外で、根本的な治療を探している方は、一度当院(リペアセルクリニック)にご相談ください。 痛み止めのステロイド注射に関するQ&A 痛み止めのステロイド注射に関して、質問と答えをまとめています。 Q.関節症における痛み止めのステロイド注射は保険適用ですか? A.はい、一般的には保険適用になります。 ただし、症状や治療方法によっても変わる可能性があるので、詳細は医療機関でご確認ください。
2022.04.01 -
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レントゲン検査やCT検査で股関節の痛みや違和感の原因が特定できない場合、MRI検査が必要となるケースがあります。 MRI検査では、レントゲンやCTでは映し出せない神経や筋肉の異常を詳しく調べられるからです。 本記事では、股関節に異常がないかを調べるMRI検査について詳しく解説します。 MRI検査で発見できる病名・疾患や、MRIの撮り方も紹介しているので、股関節の痛みや違和感に悩み詳しい検査を検討されている方は参考にしてみてください。 MRIを含む股関節を調べる画像検査3種【費用相場】 股関節の異常を調べるときに実施される画像検査は、主に以下の3種類です。 レントゲン検査 CT検査(Computed Tomography) MRI検査(Magnetic Resonance Imaging) 検査の内容や費用をそれぞれ見ていきましょう。 1)レントゲン検査 レントゲン検査は、多くの方にとってなじみのある放射線の一種であるエックス線を用いた検査方法です。短時間で簡単におこなえますし、苦痛もほとんどないため、まずはレントゲンを撮る病院が多いかと思います。 レントゲン検査は、骨の状態、部分を詳しく見るのに適しています。 たとえば骨折や、骨の変形などがその代表です。しかし、筋肉・軟骨・神経などの骨より柔らかい組織は撮影できません。 最近はデジタル化の影響で線量が格段に少なくなっているため通常の検査であれば問題はありません。ただ、放射線を用いる検査ですので、何度も繰り返して検索をおこなうなどの場合は被曝の可能性については気になるところです。 【検査費用の目安】 検査費用:600〜2,000円 ※撮影枚数2枚で3割負担の料金を想定 2)CT検査(Computed Tomography) CT検査は、レントゲンと同じエックス線を用います。 このエックス線をあらゆる方向から照射することで、体の輪切りした画像撮影が可能になります。レントゲンと違って体の内部まで輪切りにした状態で確認ができます。 輪切り画像を重ね合わせて他の断面の画像を構築したり、三次元(3D)の立体画像で確認したりできる検査です。 レントゲン検査よりもさらに詳しく骨の状態を評価できますが、レントゲンと同じく筋肉・軟骨・神経などの骨より柔らかい組織については判断しにくい特徴があります。 【検査費用の目安】 検査費用:5,000〜15,000円 ※3割負担の料金を想定 3)MRI検査(Magnetic Resonance Imaging) MRI検査とは、大きな磁石(磁場)を利用して体の内部を画像化する検査です。 レントゲン検査や、CT検査ではわからない筋肉や神経などの柔らかい組織を写し出す作業を得意としています。また、何より放射線を使用しないため被曝もなく、患者さんの人体に無害な検査という点で優れています。ただ、装置自体が大きく、とても高価なため、大学病院をはじめとした一部の施設にしか配置されていません。 また、誰でもできる訳ではありません。仕組みとして非常に強力な磁石を用いた装置なので、体内に金属があると検査できない場合があります。 MRI検査の注意点はこちら▼ 【検査費用の目安】 検査費用:5,000〜17,000円 ※3割負担の料金を想定 股関節のMRI検査でわかる主な3つの病名 ここでは、MRI検査で発見できる主な股関節の疾患を3つ紹介します。 ・変形性股関節症 ・関節リウマチ ・大腿骨頭壊死 順番に見ていきましょう。 変形性股関節症 変形性股関節症とは、股関節にある軟骨がすり減って、骨が変形する疾患です。変形性股関節症を発症し、症状が進行すると股関節に痛みが生じます。 また、股関節の可動域が制限されるようになり、立ち上がる動作や靴下をはく動作などに支障をきたすようになります。 変形性股関節症の詳細はこちら▼ なお、変形性股関節症の治療には、人間の自然治癒力を活用した「再生医療」が有効です。 幹細胞を股関節に注射すれば、すり減った軟骨が再生されます。徐々に痛みが軽減し、手術を回避できる可能性が高まります。 期待できる治療効果が知りたい方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にご相談ください。 関節リウマチ 関節リウマチとは、免疫システムの異常により、炎症を起こし痛みや腫れが生じる疾患です。股関節で発症した場合、リウマチ性股関節症と呼ばれます。 症状が進行または慢性化すると、関節が変形したり、こわばり・痛みによって日常生活に支障をきたしたりします。 また、炎症による発熱や、免疫システムのエラーによる臓器障害なども発生する可能性があるので、視野を広げた治療アプローチが必要です。 関節リウマチの詳細はこちら▼ 大腿骨頭壊死 大腿骨頭壊死は、股関節を形成する骨の一部である大腿骨頭への血流が低下して骨組織が壊死する疾患です。原因が不明な場合は「特発性大腿骨頭壊死」と呼ばれ、難病に指定されています。 症状が軽度で壊死の範囲が狭い場合は、経過観察も可能です。 しかし、壊死範囲が広く、症状が著しく進行している場合は、骨切り術や人工股関節置換術の手術が視野に入ってきます。 大腿骨頭壊死の詳細はこちら▼ 股関節を調べるときのMRIの撮り方 股関節を調べるときのMRIの撮り方を以下の表にまとめました。検査の流れを把握しておきたい方は参考にしてみてください。 流れ 検査内容 1.磁性体の装飾品を外す 磁場を発生させるMRIの故障の原因となるため、アクセサリーや時計などの金属類は事前に外しておく 2.検査着に着替える 必須ではないが安全性を考慮して推奨されている(参考1) 3.ヘッドホンや耳栓を装着する 検査中に騒音が発生するため、専用のアイテムで耳をふさぐ 4.ベッドに横たわる 指示に従って体勢を整える。撮影部位を固定する必要があるため患部によって多少体勢が変わる 5.検査開始 トンネル型の機械に入って検査を受ける。検査時間は撮影部位や撮影方法にもよるが、20〜45分 検査結果は、早くて当日中に出ます。詳細な分析を要する場合は、7〜10日ほどかかります。 MRI検査の全体像を解説した記事はこちら▼ まとめ|股関節に異常を感じたらMRI検査を検討しよう MRI検査は、レントゲン検査やCT検査ではわからない筋肉や神経などの組織の異常を詳細に映し出せます。 原因がはっきりわからない痛みや違和感が股関節に現れたら、MRI検査を受けて病名や疾患名を調べると良いでしょう。 早期に原因がわかれば、適切な治療を開始して早い回復を目指せます。 変形性股関節症を含む膝の痛みに対する根本的治療には「再生医療」を推奨します。再生医療は、人間の自然治癒力を活用した最新の医療技術で、すり減った膝軟骨の再生を図ります。 「再生医療に興味があるけど具体的なイメージがつかめなくて不安…」という方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 股関節のMRI検査に関するよくある質問 最後に股関節のMRI検査に関するよくある質問と回答をまとめます。 MRIの画像に映る白い影は何ですか? MRI画像に映る白い影の原因は、以下のように複数考えられます。 ・小出血 ・骨髄の浮腫 ・組織や骨の損傷 ・レントゲンには映らないような微小な骨折 医師の話を聞いて、白い影の正確な原因を確認しましょう。 股関節のMRI検査で異常なしでも痛みが生じるのはなぜですか? 小さな組織の損傷は、MRIに映らない場合もあります。そのため、実際には損傷が起きていても、検査結果では「異常なし」と診断されるケースもゼロではありません。 また、股関節の靭帯が緩んで、痛みを伴う場合もあります。靭帯の緩みはMRIでは確認が難しく、検査では異常が見つからないケースもあります。 【参考文献】 参考1:http://fms.kopas.co.jp/fmdb/JJMRM/27/4/230.pdf
2022.03.30 -
- 肘関節
- 野球肘
- 上肢(腕の障害)
- スポーツ外傷
野球肘は、ボールを投げる動作を繰り返すことで肘に負担が蓄積し、痛みや機能障害を引き起こすスポーツ障害の総称です。とくに成長期の野球選手に多くみられ、肘の内側・外側・後ろなど、痛みが出る場所によっていくつかのタイプがあります。 野球肘では、ストレッチで筋肉や関節の柔軟性を高めることで、症状の緩和や再発予防につながる場合があります。 ただし、肘の状態によってはストレッチだけでは十分に改善しないこともあるため注意が必要です。とくに外側に痛みが出るタイプでは、骨や軟骨にダメージが生じる離断性骨軟骨炎と呼ばれる状態が関係していることがあります。 痛みが続くときや肘の動きに違和感があるときは、早めに医療機関へ相談しましょう。 この記事では、野球肘におすすめのストレッチや行うときの注意点、ストレッチだけでは改善が難しいケースについてわかりやすく解説します。 また、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。気になる肘の症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 野球肘の症状改善・予防におすすめなストレッチ5選 野球肘の症状を予防したり再発を防いだりするためには、プレー前後のストレッチで筋肉や関節の柔軟性を高めておくことが大切です。 肘まわりだけでなく、肩・背中・股関節を含む全身の柔軟性を高めましょう。投球動作は全身の連動によって行われ、身体が硬い部分があると肘に負担が集中しやすくなるためです。(文献1) また、野球肘は内側型・後方型・外側型に分けられます。内側型や後方型はストレッチが症状のケアや再発予防に役立つことがあります。 外側の野球肘については、以下の記事で解説しているので参考にしてください。 手首・肘の内側を伸ばすストレッチ 手首・肘の内側を伸ばすストレッチは、肘下の筋肉の緊張を緩め、肘の可動域の改善や投球時の肘内側への負担軽減が目的です。 ストレッチの手順は、以下のとおりです。 片手をまっすぐ前に伸ばす 手の甲を天井に向ける 手首と腕が90度になるように調整する 伸ばしている手の指先を反対の手で体の方へゆっくり引き寄せる 息を吐きながら15~30秒程度伸ばす 手のひらを反時計回りに180度回転させて手の甲が地面を向くようにする 手のひらを机や床などの平らな場所に置いてゆっくり体重をかける 息を吐きながら15~30秒程度伸ばす 前腕屈筋群のひとつである手根屈筋は、投球時に手首を屈曲・回内させる働きを持つ筋肉です。手根屈筋が硬くなると肘の内側や前腕に痛みを出しやすくなるとされています。(文献1) 伸ばす際には、前腕の内側が心地よく伸びていることを意識してください。肘に痛みや違和感が出た場合は、無理に行わず中止しましょう。 肩・肩甲骨をほぐすストレッチ 肩や肩甲骨の柔軟性や可動域を高めると、スムーズな投球フォームを作りやすくなり、肘への負担を軽減する効果も期待できます。 ストレッチの手順は、以下のとおりです。 指先を肩に添える(右肩には右手・左肩には左手を添える) 肘で円を描くように大きく回す 前方向に10回・後ろ方向に10回程度繰り返す 肩と肩甲骨の動きを意識する 動かす際には肩や肩甲骨周りの筋肉が心地よく伸びる感覚を意識し、痛みや違和感が出た場合は中止してください。 肩回りを伸ばすストレッチ 肩周りの筋肉が硬いと投球動作で肘に負荷が集中しやすくなるため、プレー前後のケアとしても役立ちます。 ストレッチの手順は、以下のとおりです。 胸の前で肘から手のひらまでをくっつける 肘を胸の高さまで引き上げて肘90度・脇下90度の姿勢を作る(難しい場合は無理せず角度を狭める) 腕を後ろに引き胸を張った姿勢を作る 胸を張った状態で10秒キープ 再び胸の前で腕をくっつけ、5セット繰り返す 胸の前で腕をくっつける際は肩甲骨が離れる感覚を、腕を後ろに引く際は、肩甲骨が背骨を挟むような感覚を掴みながらおこなってください。 体幹と下半身のストレッチ 体幹と下半身の柔軟性を高め、肘への負担軽減につなげましょう。 ストレッチの手順は、以下のとおりです。 両足を肩幅の1.5倍程度開いて立つ 膝の内側に両手を置いて膝を120度ほど曲げる 左肩を右方向にひねる 10秒キープする 右肩を左方向にひねる 10秒キープする 3~6の動作を1セットとして左右交互に2セット行う 肩をひねるときに膝が動かないように意識し、腰を落としすぎないようにすると、効果的に体幹と下半身を伸ばせます。 体幹と股関節のストレッチ 体幹と股関節のストレッチも投球動作時の肘や肩への負担軽減に役立ちます。 ストレッチの手順は、以下のとおりです。 両足を股関節から開いた状態で床に座る 左膝を折り曲げる 左足の裏側を右足の内ももに添える(右足は伸ばしたまま) 右足のつま先を天井に向ける 左手を右足のつま先へ向かって伸ばす 左側の体側と右足の裏側~ふくらはぎにストレッチを感じながら10秒キープ 反対側も同じように行う 左右それぞれ2セット行う 背中を丸めず、腰や肩の位置を安定させましょう。左側の体側や右足の裏側からふくらはぎにかけて、心地よく伸びる感覚を意識してください。 野球肘のストレッチで気を付けるべきポイント 野球肘のストレッチで気を付けるべきポイントは、以下のとおりです。 項目 理由やリスク 動作はゆっくり行う 急に関節を伸ばすと筋肉や靭帯を痛める可能性があるため10〜20秒程度かけてゆっくり行う 痛みの出ない範囲で行う 無理に伸ばすと症状を悪化させることがある ストレッチ後すぐに激しい動きをしない 関節が緩んだ直後に急な投球や強い運動をすると、思わぬケガにつながる可能性がある 強い痛みや腫れがあるときは控える 腫れや鋭い痛みがある状態でストレッチを行うと症状を悪化させる可能性がある 痛みが強いときは受診を検討する 自己判断で練習を再開するのはリスクが高いため、医療機関で状態を確認する 治療後やリハビリ中は医師・専門家の指示に従う リハビリメニューにストレッチが組み込まれた際は、必ず専門家の指導のもとで行う 野球肘のストレッチは、正しい方法で行うことで症状の改善や再発予防に役立ちます。痛みがあるときは悪化の原因になるため、注意点を守りましょう。 野球肘がストレッチだけで改善しない主なケース 野球肘がストレッチだけで改善しない主なケースは、以下のとおりです。 炎症が強く続いている場合 骨軟骨障害がある場合 靭帯損傷がある場合 順番にみていきましょう。 炎症が強く続いている場合 炎症が強く残っている状態では、無理にストレッチをすると症状が悪化する可能性があります。 炎症が強いときの代表的な症状は、以下のとおりです。 肘が腫れたり熱をもったりしている 安静にしていてもズキズキと痛む 夜間に痛みで目が覚める 上記の際は投球を中止して安静を保ち、アイシングで炎症を落ち着かせましょう。数日〜1週間経っても痛みが軽減しないときは、医療機関を受診しましょう。 骨軟骨障害がある場合 骨軟骨障害は、とくに外側型の野球肘で見られる肘の障害です。関節軟骨の一部がはがれたり、肘の動きが制限されたりする場合があるため、ストレッチだけでの改善は難しいとされています。 初期症状がほとんどないことがありますが、投球時や投球後に肘の外側が痛む際は注意が必要です。 早期であれば投球の中止で回復するケースもあります。しかし、進行すると手術が必要になり、手術後も肘の動きや形に制限が残るケースがあります。 骨軟骨障害が疑われるときは、無理にストレッチで負荷をかけず、医療機関での評価・治療を優先しましょう。 靭帯損傷がある場合 靭帯損傷は、とくに高校生以上で見られる内側側副靭帯の損傷に多く、投球時の肘にかかる強い牽引力が原因で起こります。 内側側副靭帯を損傷した際の主な症状は、肘の内側の強い痛みや腫れ、投球時の不安定感などです。 疲労の蓄積で徐々に傷むケースと、急に断裂するケースがあり、症状によってはストレッチのみでの改善は難しいとされています。無理にストレッチをすると靭帯に負担がかかり、状態を悪化させる可能性があります。 靭帯の損傷が疑われる際は、投球を中止し医療機関での評価を優先しましょう。必要に応じてリハビリ治療で肘を補強する筋肉を鍛えたり、フォームや柔軟性の改善を行ったりします。 野球肘の治療期間 一般的な野球肘の治療期間は、以下のとおりです。 初期段階:半年〜1年ほどで回復するケースが多く、病巣の完全な改善には1年以上かかるケースもある 進行期や手術を行った場合:競技復帰までに6カ月〜1年ほどかかるケースもある 成長期である小学生〜中学生は骨や軟骨が未成熟なため、進行すると回復に時間がかかる可能性があります。 また、内側型や後方型は、投球制限と安静によって改善することが多い一方、外側型はストレッチだけでの改善が難しく、症状に応じた治療が必要なケースがあります。あくまでも目安として考え、具体的な治療方針や復帰タイミングは専門医に相談しましょう。 野球肘の治療には再生医療も選択肢の一つ ストレッチでは改善しない野球肘の治療には再生医療も選択肢の一つです。 再生医療とは、自身の体から採取した幹細胞や血液を用いる治療法です。 主に以下の二つがあります。 幹細胞治療:他の細胞に変化する分化能と呼ばれる幹細胞の能力を活かした治療法 PRP療法:血小板に含まれる成長因子などが炎症を抑える働きを活かした治療法 再生医療は基本的に入院や手術を必要としないため、以下のような方に選択肢として検討されることがあります。 安静やリハビリで十分な改善が得られなかった 早期のスポーツ復帰を目指したい 肘の変形や可動域の制限をできるだけ防ぎたい 入院や手術に抵抗がある 気になる症状が続く場合は、医師に相談しながら治療方法を検討しましょう。再生医療について詳しくは、以下のスポーツ外傷に対する再生医療に関する記事をご覧ください。 野球肘の予防方法 ストレッチ以外にも、以下の方法で野球肘を予防できます。 投球回数を減らす ウォームアップを入念におこなう フォームを改善する また、これらの方法は野球以外の競技に取り組む選手にも有用です。それぞれ解説するので参考にしてください。 投球回数を減らす 投球回数を減らすことで、野球肘の発症リスクを下げられます。過度な投球練習や登板は避けましょう。 ただし、チーム方針の関係上、長いイニングを投げる必要に迫られるケースもあるでしょう。その場合、十分なアイシングの実施と休養が重要です。 テニスや水泳、やり投げなどのスポーツでも、練習頻度や負荷を減らすことで予防につながります。 ウォームアップを入念におこなう 投球前のウォームアップをより入念におこなうのも重要です。たとえば、普段のメニューに加えて、「腕を上げた状態でのキャッチボール」を追加すると良いでしょう。 腕を伸ばして投球すると、腕から肩の筋肉が刺激されます。刺激が入ると、より高い柔軟性が発揮されます。 野球肘の予防では、体を柔らかくした上で投球するのが大切です。ストレッチとウォームアップで、十分な柔軟性を保ちましょう。 フォームを改善する フォームの見直しは、野球肘の予防に役立ちます。 以下のポイントを意識しましょう。 ストライドを縮める リリースポイントを一定にする 投球時に肘が開かないようにする ポイントをおさえ、肘の負担軽減につなげましょう。一方で、フォームを変えると球速やコントロールに影響が出るかもしれません。その場合は指導者と、どのようなフォームを定めるか相談しましょう。 まとめ|野球肘の改善には正しいストレッチと早期対応が重要 野球肘の症状が軽度であれば、日々のストレッチや体幹・下半身の柔軟性強化が効果的です。 ただし、炎症が強いときや骨・軟骨、靭帯に障害があるときは、ストレッチだけでは症状が悪化するケースもあります。早期の医療評価や適切な治療を受け、将来の肘の形や可動域を守りましょう。 野球肘に対しては再生医療も治療の選択肢となります。野球肘の治療や再生医療について詳しく知りたい方は、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEをご覧ください。 参考文献 (文献1) 32.野球肘予防のストレッチ|日本整形外科学会
2022.03.01 -
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コラーゲンは、皮膚や関節、骨などを構成するたんぱく質の一種で、サプリメントや飲料として広く利用されています。「本当に効果があるのか」「意味がないのでは」と疑問に思う方は多いのではないでしょうか。 研究によっては肌のハリや関節の症状改善などが報告されていますが、効果には個人差があり、必ず同じ結果が得られるわけではありません。 この記事では、コラーゲンの効果について、研究内容をもとにどんな症状で変化が報告されているのかを整理し、コラーゲンペプチドとの違いも解説します。 また、サプリだけでは改善が難しい場合は、医療的な視点でのアプローチも選択肢です。当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しています。 関節やお肌の症状が気になる方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 コラーゲンは効果がある?研究論文が示す肌・関節への影響 現時点では、国の公的機関が「コラーゲンに明確な効果がある」と公式に結論づけているわけではありません。(文献1) それでも、一部の研究では肌のハリや関節の症状改善など、限定的な効果が報告されています。効果には個人差がありますが、サプリや飲料として取り入れることで、生活の補助として役立つ可能性があります。 過度な期待は避けつつ、自分の体調やライフスタイルに合わせて取り入れることが大切です。 肌のハリ・うるおいへの影響 コラーゲンを摂取して肌のハリやうるおいに変化があるかどうかは、いくつかの研究で調べられています。 ある研究では、約2カ月コラーゲンを摂取した被験者において皮膚の弾力性の改善が確認されました。(文献2) 項目 変化 皮膚弾力性(肌のハリや弾力) 改善が見られた 皮膚の水分量(肌のうるおい) 変化はあったが統計的に明確でない 経皮水分蒸散量(肌の乾燥のしやすさ) 変化はあったが統計的に明確でない 効果には個人差があり、すべての人が同じ変化を実感できるわけではありません。また、改善が認められなかった項目もあるため、過度な期待は避けることが大切です。 関節への影響 変性II型コラーゲン(UC-II)とは、鶏の胸骨軟骨から抽出された成分で、関節の健康を目的に用いられる栄養補助食品です。膝の変形性関節症の痛みや症状改善に関する研究が行われています。 変形性膝関節症の症状がある191名を3つのグループに分け、約半年間それぞれに ①変性II型コラーゲン ②グルコサミン+コンドロイチン ③プラセボ(有効成分を含まない偽薬) を毎日摂取してもらい比較した結果、①変性II型コラーゲン(UC-II)のグループで最も改善がみられました。(文献3) 評価項目 変性II型コラーゲン(UC-II)の結果 膝の痛み 3グループ中で最も改善 こわばり 3グループ中で最も改善 動かしやすさ プラセボより改善(※) ※グルコサミン+コンドロイチンとの比較では統計的な有意差なし 安全性についても確認されており、重大な副作用は報告されませんでした。ただし、効果の実感には個人差があり、必ずしも同様の改善が得られるわけではありません。 また、この研究では変形性膝関節症の症状がある方を対象としているため、健康な人や他の関節症状の場合には結果が異なる可能性があります。 サプリメントや食事で十分な効果が得られない場合は、医療機関での診察や治療も検討しましょう。 コラーゲンペプチドの効果・働き コラーゲンペプチドは、通常のコラーゲンを体内で分解して得られる小さなたんぱく質(ペプチド)を指します。ペプチド化されていることで吸収されやすく、血流に乗って肌や関節などのターゲット部位に届けられることが期待されています。 研究から示唆されている体内での働きは、以下のとおりです。 肌への作用:肌のうるおいや一部のシワの改善につながる可能性(文献4) 関節への作用:一部の関節の痛みを感じにくくなる可能性(文献5) 近年の研究では、軟骨や皮膚組織への影響も報告されており、加齢に伴う変化を補う選択肢の一つとして注目されています。 コラーゲンに効果がないと言われる理由 コラーゲンに効果がないと言われる理由は、摂取しても体内で分解され、そのままの形で利用されないと考えられてきたためです。 近年の研究では、コラーゲンはすべてがアミノ酸になるのではなく、一部がコラーゲンペプチドとして吸収されることがわかっています。(文献6)コラーゲンは体内で分解されても無意味になるわけではなく、分解後になんらかの形で利用されている可能性が示唆されています。 ただし、「コラーゲンペプチドとして吸収される」ことと「肌や関節の悩みが改善する」ことは、必ずしも同じではない点に注意しましょう。 肌や関節に必要な栄養素はまず食事から コラーゲンは体内でも合成されるたんぱく質であり、摂取したコラーゲンがそのまま肌や関節の材料になるわけではありません。 とくに重要な栄養素は、以下のとおりです。 たんぱく質:肉・魚・卵・大豆製品などに含まれ、コラーゲンを含むあらゆる体組織の材料 ビタミンC:野菜や果物に豊富に含まれ、体内でのコラーゲン生成をスムーズにする栄養素 鉄・亜鉛などのミネラル:細胞の代謝や修復を支え、肌や関節の健康維持に関わる栄養素 サプリメントに頼る前に、まずは日々の食事内容を見直し、栄養バランスを整えましょう。 コラーゲンを効果的に摂る方法 コラーゲンを効果的に摂るためには、どのような方法がおすすめなのでしょうか。ここでは、効果的に摂取するための方法を詳しく解説します。 コラーゲンを多く含む食べ物を摂取する まずは、コラーゲンを多く含む食べ物の摂取を心がけましょう。コラーゲンが豊富な食べ物は、以下のとおりです。 食べ物 100gあたりのコラーゲン量(mg) フカヒレ 9,920 はも(皮のみ) 7,660 うなぎの蒲焼き 5,530 牛すじ 4,980 鶏軟骨(胸肉) 4,000 はも(皮付き) 3,560 豚白もつ 3,080 鮭(皮付き) 2,410 鶏手羽先 1,550 これらの食べ物を取り入れることで、食事からコラーゲンを摂取できます。 サプリメントを摂取する コラーゲンを多く含む食べ物の摂取が難しい場合は、サプリメントの活用がおすすめです。 サプリメントであれば気軽にコラーゲンを摂取できるので、無理して食事量を増やす必要はありません。 効率的にコラーゲンを取り入れるためには、コラーゲンペプチドの商品を選択しましょう。コラーゲンペプチドは、コラーゲンを分解して分子を小さくした成分で、一般的なコラーゲンより吸収されやすいとされています。 コラーゲンに頼らず肌と関節を守る生活習慣 コラーゲンは、肌や関節の健康を支える一つの手段にすぎません。本当に大切なのは、日々の生活習慣を整えることです。 項目 生活習慣 肌 清潔に保つ:洗顔や入浴で皮膚環境を整える 保湿ケア:乾燥を防ぐための適切な保湿 紫外線対策:日焼け止めや帽子などで紫外線を避ける 関節 体重管理:体重増加による関節への負担を抑える 姿勢の見直し:日常動作での姿勢を意識する 筋力・柔軟性の向上:関節を支える筋肉を維持する 加えて、バランスの取れた食事や適度な運動、十分な睡眠は、肌と関節の両方を支える基本要素です。 生活習慣を整えた上で、補助的な選択肢としてコラーゲン摂取を考えましょう。 まとめ|コラーゲンの効果を過信せず自分に合う選択を コラーゲンの摂取について、現時点で公的機関が「明確な効果がある」と結論づけているわけではありません。 一方で、肌や関節に関する一部の研究では、特定の条件下で改善がみられたとする報告もあります。ただし、研究の規模や対象は限られており、効果の現れ方には個人差があります。 そのため、コラーゲンを摂取しても効果を実感できないことも珍しくありません。サプリメントはあくまで栄養補助のひとつであり、生活習慣の改善や食事内容の見直しとあわせて考えることが重要です。 症状や悩みが続く場合は、専門医に相談して自分の状態に合った選択を検討しましょう。 コラーゲンの効果に関するよくある質問 コラーゲンのサプリに副作用はある? コラーゲンのサプリメントは、一般的には大きな安全性の問題はないとされていますが、摂取によってアレルギー反応が起こった例も報告されています。 とくに、以下に該当する方は注意が必要です。(文献1) アレルギー体質:原材料(鶏・魚など)に注意する 妊娠中・授乳中:安全性に関する十分なデータがないため多量の摂取は控える 初めてコラーゲンサプリメントや飲料を使用する際は、少量から始めて体調の変化を確認しましょう。 かゆみ、発疹、呼吸困難などの症状が現れた場合は、直ちに使用を中止し医療機関を受診してください。 コラーゲンの効果はいつから実感できる? 一部の研究では、数か月の継続摂取で肌や関節に変化を感じたとする報告もありますが、すべての人に同じ効果が現れるわけではありません。 体質や年齢、生活習慣、摂取量などによって感じ方は異なり、効果を実感できない場合も珍しくありません。 また、コラーゲンは即効性を期待できるものではない点にも注意が必要です。変化を判断する際は、短期間で結論を出さず生活習慣の改善とあわせて長期的な視点で考えることが大切といえるでしょう。 参考文献 (文献1) コラーゲン|国立健康・栄養研究所 (文献2) 特定のコラーゲンペプチドの経口補給は人間の皮膚生理に有益な効果をもたらす|PubMed (文献3) 変性していないタイプIIコラーゲンサプリメントの膝変形性関節症症状の調節における有効性と耐容性|PubMed (文献4) 低分子量コラーゲンペプチドの経口摂取は人間の皮膚における水分補給、弾力性、しわを改善する|PubMed (文献5) 関節痛におけるコラーゲン加水分解液の効果|PubMed (文献6) ヒト血液への食品由来ペプチドの吸収|J-Stage
2022.02.16 -
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- 動作時の痛み
- スポーツ外傷
「投げると肘が痛いと子どもが言っている」 「肘の曲げ伸ばしがしにくそうで心配」 お子さんからこのような訴えがあり、不安に思っている保護者の方もいるのではないでしょうか。 成長期の子どもに多く見られる「野球肘(離断性骨軟骨炎)」は、放置すると手術が必要になることもある病気です。しかし、早期に発見し適切な治療を行えば、手術を避けられる可能性が高まります。 本記事では、野球肘の中でもとくに注意が必要な「軟骨剥離(離断性骨軟骨炎)」について、なぜ起こるのか、どのような治療法があるのかを専門的な視点でわかりやすく解説します。 正しい知識を持つと、焦らず適切な対応ができるようになりますので、ぜひ最後までご覧ください。 なお、野球肘に対しては、手術を伴わない再生医療という治療法もあります。当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 野球肘について気になることがある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 野球肘の「軟骨剥離(離断性骨軟骨炎)」とは? 野球肘の軟骨剥離とは、正式には「離断性骨軟骨炎」と呼ばれる病気です。 肘の外側の部分(上腕骨小頭)の軟骨に傷がつき、痛みや関節の動きが悪くなる状態を指します。 野球肘(離断性骨軟骨炎)の特徴 概要 発症部位 肘の外側の部分(上腕骨小頭) 主な症状 肘の痛み、関節の動きが悪くなる 好発年齢 9〜12歳の成長期の子ども 発症しやすい競技 ・野球(投球動作) ・体操競技 ・サッカーなど 野球などの投球動作を伴うスポーツをしている9〜12歳の子どもに多く見られますが、体操競技やサッカーをしている子どもでも発症する可能性があります。 競技人口の多さから日本では野球選手に多く見られるため「野球肘」と呼ばれています。しかし、野球以外のスポーツでも発症するため注意が必要です。 野球肘(軟骨剥離)の主な原因 野球肘(軟骨剥離)の主な原因は、繰り返される投球動作によって、まだ成長途中で柔らかい肘の骨や軟骨に過度な負担がかかることです。 1回の衝撃で起こる怪我とは異なり、小さな負担が積み重なることで徐々に組織が傷ついていきます。 具体的に、以下の動作や原因で発症しやすいです。 投球過多(投げすぎ) 投球フォームの不良(肘に負担のかかる投げ方) 体全体の柔軟性不足や筋力バランスの乱れ 野球肘は、これらの原因が複合的に絡み合って発症すると考えられています。 野球肘(軟骨剥離)の主な症状 野球肘(軟骨剥離)の最大の特徴は、ボールを投げたとき(投球時)に肘の外側が痛むことです。 しかし、初期の段階では痛みがはっきりせず、「なんとなく肘が完全に伸びない」「深く曲げられない」といった可動域制限(動きの悪さ)だけが現れることもあります。 軽傷であれば手術などをしなくても改善することが多く、早期発見・早期治療が重要な病気です。しかし、痛みが出てきたときには病気が進行していることも多いため注意が必要です。 また、無症状の少年野球選手を検査したところ、「約1〜3%に野球肘が見つかった」という報告もあります。(文献1) 野球肘(軟骨剥離)の治療法 野球肘(軟骨剥離)は、進行度によって治療方針が大きく異なります。 正確な状態を把握するためには、医療機関での受診が必要です。レントゲン撮影に加え、MRIや超音波(エコー)検査などで骨や軟骨の状態を調べる必要があります。 検査結果にもとづいて症状は主に3つの段階に分類され、進行度ごとに適した治療が選択されます。 初期(透亮期) 進行期(離断期) 終末期(遊離期) それぞれ、詳しく解説します。 1:初期(透亮期) 野球肘(軟骨剥離)の初期と診断されるのは、ほとんどが小学生です。 初期の段階では、骨や軟骨の損傷はまだ軽く、レントゲンでは一部がうっすらと透けて見える程度です。この状態を透亮期(とうりょうき)と呼びます。骨の表面にわずかな傷がついている段階で、まだ大きく剥がれていません。 この段階であれば、投球を禁止し肘を安静にする「保存療法」で、9割以上の方が改善するとされています。(文献2)ただし、骨が修復されるまでには半年〜1年以上かかることもあるため、根気強い治療が必要です。 2:進行期(離断期) 進行期は、軟骨や骨の一部が剥がれかけている段階で、完全には離れていないものの、初期より損傷が進んでいる状態です。 進行期では、基本的には手術をしない「保存療法」が選択されます。ただし、思うように治らず手術が必要になるケースもあります。 症状や病気の状態にもよりますが、3カ月から6カ月ほどで評価を行い、保存療法を続けるか、手術が必要かどうかを慎重に判断します。 3:終末期(遊離期) 終末期は、傷ついた軟骨や骨の一部が完全に剥がれ落ちている段階です。 剥がれた骨の破片は「遊離骨」または「関節ねずみ(肘関節遊離体)」と呼ばれ、関節内に残っています。遊離骨が痛みや関節の引っかかり感を引き起こすことが多く、肘の動きに支障をきたすのです。 ただ、終末期であっても、全く症状がない場合には手術はせずに様子を見ることもあります。 しかし、痛みや可動域制限がある場合は、多くのケースで手術が必要です。手術では、剥がれた骨の破片を取り除いたり、損傷した軟骨を修復したりします。 手術に頼らない治療法「再生医療」について 野球肘の治療においては、「再生医療」という治療法もあります。 再生医療は、自己の幹細胞や血液の働きを活用する治療法です。主に幹細胞治療とPRP療法の二つがあります。 幹細胞治療は、患者様から採取した幹細胞を培養して増やし、患部に投与します。一方、PRP療法は、患者様自身から採取した血液を遠心分離機にかけて、血小板を濃縮した液体を作製して患部に注入する治療法です。血小板に含まれる成長因子などが持つ、組織の修復や炎症の抑制に関わる働きを活用します。 再生医療について詳しく知りたい方は、以下のスポーツ外傷に対する再生医療に関する記事をご覧ください。 野球肘(軟骨剥離)を早く治すには? 野球肘(軟骨剥離)を早く治すためには、以下のポイントを押さえることが重要です。 一定期間は安静にする リハビリとストレッチを行う それぞれ、詳しく解説します。 一定期間は安静にする 痛みがある状態で投げ続けると、損傷が悪化し、治りが遅くなってしまいます。炎症を抑え、軟骨の修復を促すためには、完全な安静が必要です。 医師から指示された期間は、投球動作や肘に負担のかかる動作を完全に避けてください。「少しくらいなら」という油断が、回復を大幅に遅らせます。 また、日常生活でも、「重いものを持つ」「肘を強く曲げ伸ばしする」など、患部に負担をかける動作は避けましょう。 リハビリとストレッチを行う 安静期間を経て炎症が落ち着いたら、医師やリハビリスタッフの指示のもと、肘周りの柔軟性や筋力を取り戻すためのリハビリを実施します。 リハビリを行い、長期の安静により低下した筋力や可動域を、徐々に回復させていきましょう。また、無理のない範囲でストレッチや軽いトレーニングを継続すれば、回復を早められます。 ただし、痛みを我慢して行うストレッチは逆効果です。必ず医師やリハビリスタッフの指導のもとで実施してください。 以下の記事では、野球肘におすすめなストレッチを解説しています。ぜひ参考にしてください。 まとめ|野球肘(軟骨剥離)は早期発見と適切な治療で回復が期待できる 野球肘(軟骨剥離)は、9〜12歳の成長期に多く見られる病気で、投球動作を伴うスポーツで発症しやすい特徴があります。初期症状としては投球時の肘外側の痛みや可動域制限が見られ、この段階で発見できれば90%以上が手術なしで改善するとの報告があります。(文献2) しかし、病気が進行すると手術が必要になることもあるため、早期発見が重要です。 お子さんが「肘が痛い」と訴えたときには、様子を見ることなく、早めに医療機関を受診させてください。早期発見によって手術を避けられる可能性が高まります。 また、野球肘に対しては再生医療も治療の選択肢となります。野球肘の治療や再生医療について詳しく知りたい方は、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEをご覧ください。 野球肘(軟骨剥離)についてよくある質問 野球肘(軟骨剥離)はどれくらいで治る? 初期段階(透亮期)で発見された場合は、安静と適切なリハビリにより、半年〜1年ほどで回復することが多いです。ただし、病巣の完全な改善には1年以上かかるケースもあります。 また、進行期や手術を行った場合は、競技復帰までに約6カ月〜1年かかるケースも多いです。 なお、治療期間は発見時期や重症度、手術の有無によって大きく異なるため、主治医とよく相談しながら焦らず治療を進めましょう。 中学生で手術が必要になることはある? 野球肘(軟骨剥離)が発症した際に手術を行うかどうかは、年齢よりも「進行度」によって決まります。 初期段階(透亮期)で発見されれば、中学生であっても手術を避けられることが多く、保存療法で改善が期待できます。 しかし、軟骨が完全に剥がれてしまった終末期(遊離期)では、中学生であっても手術が選択されることがあります。遊離骨が関節内に残っていると、痛みや可動域制限が続き、放置すれば将来的に肘の機能に支障をきたす可能性があるためです。 重要なのは、年齢に関わらず早期に発見し、適切な治療を受けることです。お子さんが肘の痛みや違和感を訴えたら、すぐに医療機関を受診させてください。 なお、手術を避けたい方には再生医療も治療の選択肢となります。再生医療をご検討の方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 参考文献 (文献1) Prevalence of Osteochondritis Dissecans of the Capitellum in Young Baseball Players|Orthop J Sports Med (文献2) Nonoperative treatment for osteochondritis dissecans of the capitellum.|Am J Sports Med
2021.12.28 -
- 肘関節
- 関節リウマチ
- ひざ関節
- 股関節
- 肩関節
- 手部
- 足部
「人工関節の手術は痛みをなくすために必要なのはわかるけれど、合併症や後遺症が心配でなかなか踏み切れない……」そのような不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。 肩の人工関節置換術は、つらい痛みを和らげ、生活の質を取り戻す有効な方法です。 しかし一方で、手術には特有のデメリットやリスクがあるのも事実です。 本記事では、肩人工関節の手術に伴う代表的な7つのデメリットを整理して解説します。 それぞれのリスクの特徴や発生しやすい条件、予防の工夫についても触れますので、正しくリスクを理解し、後悔のない治療選択につなげましょう。 当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。肩の痛みや人工関節について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 肩の人工関節の7つのデメリット・リスク 肩人工関節手術は、痛みを軽減し生活の質を取り戻す有効な方法ですが、肩は可動域が広く、膝や股関節とは異なるリスクを抱えやすい部位です。 そのため、手術を受ける前に想定される合併症を理解しておくことが大切です。 ここでは代表的な7つのリスクを紹介します。 感染症や血栓症といった生命に関わるものから、脱臼や可動域制限、再手術の必要性といった長期的に影響するものまで、それぞれ確認していきましょう。 なお、人工関節とは何か詳しく知りたい方には、以下の記事が参考になります。あわせてご覧ください。 感染症リスク 肩の人工関節手術で最も注意すべき合併症の一つが感染症です。 人工関節は体内に異物を入れるため、いったん細菌が侵入すると自然には治りにくく、再手術が必要になることもあります。 感染症には大きく2つのタイプがあります。手術後すぐに起こる「早期感染」と、数年後に発症する「遅発感染」です。 早期感染では発熱や患部の強い痛み、腫れなどがみられ、遅発感染では軽い痛みや動かしにくさが長く続く形で現れることがあります。 感染症リスクを高める要因としては以下が知られています。 糖尿病 関節リウマチ 免疫抑制剤を使用している 肥満 喫煙習慣 これらの条件がある方は、感染の危険性が高まるため、手術前に十分な準備や対策を行うことが重要です。 感染症にかかった場合の治療は、まず抗菌薬による点滴が行われます。症状が強い場合や感染が広がっている場合には、人工関節を入れ替える再手術が必要になることもあります。 予防策としては、手術前に虫歯や皮膚炎などの感染源を治療しておくこと、手術時には抗菌薬を予防的に投与することが有効とされています。 また、清潔な環境での手術操作と手術後の適切なリハビリ管理も重要です。 血栓症の危険性 肩人工関節の手術では、血栓症も重要なリスクの一つです。血栓症とは、血管の中に血のかたまり(血栓)ができて血流を妨げる状態を指します。 とくに脚の深い血管にできる深部静脈血栓症(DVT)と、血栓が肺に飛んで血管を詰まらせる肺塞栓症は、命に関わることもある合併症です。 症状としては、脚の腫れや赤み、強い痛みが現れる場合があります。 肺塞栓症では、急な息切れ、胸の痛み、めまいなどが起こり、緊急対応が必要になります。 リスクを高める要因には次のようなものがあります。 高齢 肥満 がんなどの悪性疾患 血栓症の既往歴 長時間の手術や手術後の安静 手術後の体調に異変を感じた場合は、すぐに医療スタッフに伝えましょう。 脱臼リスクと動作制限 肩は体の関節の中でも最も動きの幅が広い構造を持っています。 そのため、人工関節に置き換えると、特定の動作で脱臼が起こりやすくなる特徴があります。 注意が必要なのは、次のような動作です。 背中に手を回す(帯を結ぶ、ポケットに手を入れるなど) 腕を大きく上げる(洗濯物を干す、高い場所に物を取るなど) 手を体の内側に大きくひねる動作 これらは人工関節に強い負担をかけ、脱臼のリスクを高めるとされています。 予防のためには、手術後のリハビリで正しい動かし方を学ぶことが欠かせません。 一度脱臼すると再発しやすい傾向があるため、手術後は慎重な管理で脱臼を防ぎましょう。 生活の中では脱臼しやすい姿勢を避けたり、無理に腕を伸ばさない工夫も必要です。 理学療法士による生活指導も受けて、動作の工夫を取り入れてください。 摩耗・ゆるみによる再置換の可能性 人工関節は一度入れれば一生使えるわけではありません。 時間の経過とともに摩耗や「ゆるみ」が起こり、再手術(再置換)が必要になる場合があります。 人工関節の摩耗は、金属やポリエチレンといった部品同士が繰り返し擦れ合うことで進行します。 その結果、関節の安定性が低下し、痛みや腫れ、動かしにくさが再び現れてきます。 また、摩耗によって生じた微細な粉が骨を刺激し、骨が少しずつ体に吸収されて弱くなることで、人工関節がゆるみやすくなります。 再置換が必要となる主な兆候は以下の通りです。 関節の痛みが再発する 肩を動かしたときに違和感や異常な音がある X線検査でインプラントの位置がずれている 再置換手術は、初回の手術よりも難易度が高く、合併症のリスクも大きくなります。 人工関節の寿命は一般的に15〜20年程度とされますが、患者様の年齢や生活スタイルによって大きく変わります。 若い方や活動量が多い方は、再置換の可能性が高まるため、長期的な視点で手術を検討しましょう。 神経損傷と機能障害のリスク 肩人工関節手術では、周囲を走行する重要な神経を傷つけてしまう可能性があります。神経は細く繊細で、一度損傷すると回復が難しい場合があるため、とても注意が必要です。 代表的な神経損傷には次のようなものがあります。 神経 働き・役割 腋窩神経(えきかしんけい) 三角筋を通っており、損傷すると腕を横に持ち上げる(外転)動作ができなくなります。 筋皮神経(きんぴしんけい) 上腕二頭筋を通り、肘を曲げる力が弱くなるほか、前腕の外側の感覚が鈍くなることがあります。 これらの神経は肩関節のすぐ近くを通っているため、人工関節の設置や手術器具の操作中に影響を受けやすい位置にあります。 神経損傷が起こると、日常生活の質に大きな影響を与えます。 このため、手術を担当する医師が肩の解剖を熟知していること、また術後の神経症状を見逃さずに早期対応する体制が整っていることがとても重要です。 可動域制限による生活動作の困難 肩人工関節手術の後、多くの患者様が直面する課題の一つが可動域の制限です。 とくにリバース型人工関節では、肩の構造を反転させて安定性を高めるため、どうしても動かせる範囲が狭くなります。 代表的に制限されやすい動きは以下の通りです。 動作 難しくなる動き・事例 屈曲(前に腕を上げる) 洗濯物を干す、高い棚に手を伸ばすといった動作が難しくなる。 外転(横に腕を広げる) 荷物を持ち上げる、体操で両手を広げるといった動きに制限が出る。 内旋(腕を内側にひねる) 背中に手を回す動作が困難となる。 外旋(腕を外にひねる) 洗髪や髪を後ろで束ねる動作がしにくくなる。 研究報告では、リバース型人工関節は痛みの改善や安定性の向上に有効である一方、背中に手を回す動作(内旋)や頭上動作の制限が残ることが多いと示されています。(文献1) このため、術後にはどの動きが難しくなるのかを事前に理解し、理学療法士と一緒に日常生活に適した代替動作を学ぶことが重要です。 たとえば、衣服の着脱では前開きの服を選ぶ、入浴では入浴補助具を活用するなど、生活を工夫することで制限の影響を軽減できます。 再手術が必要になる可能性 肩人工関節は、痛みを和らげ生活の質を改善する有効な治療法ですが、一度の手術で一生使えるとは限りません。 感染、脱臼、摩耗・ゆるみなどの問題が生じると、再手術(再置換や再固定)が必要になる場合があります。 再手術は初回の手術に比べて難易度が高く、以下の課題があります。 骨の欠損や変形:人工関節の取り外しにより骨がさらに損なわれ、固定が難しくなる。 合併症の増加:感染や神経損傷、血栓症などのリスクが高まる。 回復期間の延長:リハビリが長引き、日常生活への復帰に時間がかかる。 とくに高齢者の場合、再手術時には体力や合併症の影響が大きくなるため、初回手術の段階で将来の再手術の可能性を念頭に置いて計画を立てることが大切です。 肩の人工関節の種類別デメリット|従来型とリバース型 肩人工関節には、大きく分けて「アナトミカル型(従来型)」と「リバース型」の2種類があります。 それぞれの構造や適応が異なるため、発生しやすいデメリットにも違いがあります。以下の通りです。 アナトミカル型(従来型) リバース型 特徴 自然に近い動きを再現しやすい 若年層や活動性の高い患者にも用いられる 腱板損傷があっても施術可能 脱臼リスクあり デメリット 腱板が損傷している場合は安定性が低い 脱臼リスクが比較的高い 可動域制限が生じやすい 負荷をかける動作で脱臼リスクがある 主な適応 腱板が保たれている場合に適応 腱板断裂性関節症、高齢者 このように、肩の人工関節はどちらを選ぶかで将来の生活に与える影響が変わります。 担当医と十分に相談し、自分の症状や生活スタイルに合った方法を選択することが重要です。 肩の人工関節手術の概要とポイント 肩人工関節手術は、保存療法で改善が得られない患者様に行われる治療法です。 損傷した関節を人工関節に置き換えることで、痛みを和らげ、生活の質を高めることを目的としています。 手術は全身麻酔で行われ、入院は一般的に2〜4週間程度です。術後はリハビリを通じて徐々に可動域と筋力を回復させていきます。 肩の人工関節手術の適応疾患別リスク 肩人工関節手術は、基礎疾患によって手術後のリスクや経過が異なります。主な疾患ごとの特徴を以下の表にまとめました。 疾患名 手術が適切と判断される特徴 主なリスク・注意点 変形性肩関節症 関節のすり減りによる痛み・可動域制限 高齢者では感染や血栓症リスクが高い 関節リウマチ 炎症で関節が破壊される 免疫抑制薬の影響で感染リスクが上昇 腱板断裂性関節症 腱板が損傷し肩を動かせない リバース型が多く、可動域制限や脱臼が残りやすい 上腕骨頭壊死 骨への血流障害で壊死が進行 若年者でも起こり、再手術の可能性が比較的高い 疾患ごとのリスクを理解しておくことで、手術後の生活に備えられます。 変形性肩関節症のリスクについては、以下の記事で詳細に解説しておりますので、気になる方はご確認ください。 肩の人工関節手術の入院期間と回復までの流れ 肩人工関節手術は、入院から退院後のリハビリまで一定の流れがあります。以下の表に一般的な目安をまとめました。 時期 主な内容 ポイント 手術当日〜翌日 全身麻酔で手術、安静 痛み止めや感染予防の管理が行われる 1週目 基本的なリハビリ開始 医師や理学療法士の指導で可動域訓練を少しずつ開始 2〜3週目 入院リハビリ 日常生活に必要な動作(更衣・洗面など)の練習 退院後(1〜3カ月) 外来リハビリ中心 洗濯物を干す・棚に手を伸ばすなど生活動作を徐々に回復 半年以降 社会生活復帰 家事・趣味・軽いスポーツが可能となる例もある 入院は平均で2〜3週間程度ですが、年齢や合併症によって延びることもあります。完全な回復には半年ほどかかるケースもあるため、焦らず段階的にリハビリを続けることが大切です。 肩の人工関節手術にかかる費用目安 手術費用については、自己負担3割の場合、おおむね50万〜60万円前後が一つの目安になります。 例として、ある病院では人工肩関節置換術(入院8日)で約56万円と案内されています。 医療機関や入院日数、個室利用などで上下しますが、総医療費が200万〜250万円に達するケースもあり、その場合の3割負担は約60万〜75万円もあります。 ただし、高額療養費制度を併用すれば自己負担は月ごとの上限額までに抑えられる仕組みです。 以下は、肩の人工関節手術で費用が掛かる項目についてまとめたものです。 費用項目 概要 確認ポイント 手術料・麻酔料 人工関節本体を含む外科手技と麻酔管理の費用 保険適用範囲、インプラントの種類、術式の違い 入院費 病室・投薬・処置・検査などの入院管理費 入院日数、個室か大部屋か、食事療養費の扱い リハビリ費 急性期から外来期までの理学療法費 入院中の頻度、退院後の通院回数と期間 術後外来・投薬 創部チェック、画像検査、疼痛コントロール 通院間隔、画像検査の種類と回数 装具・消耗品 スリング、保護材、創部ケア用品 自費分の有無、交換頻度 公的制度 高額療養費制度、限度額適用認定証、医療費控除 手続き方法、自己負担上限、対象外費用の確認 費用を抑えるには、公的制度の活用が鍵となります。高額療養費制度などを活用して、人工関節手術の費用を抑えましょう。 肩疾患の人工関節に再生医療は適用される? 再生医療は、すでに人工関節を入れた肩には適用されません。しかし、人工関節手術を行う前の段階であれば、症状や画像所見、生活背景などを総合して、手術前の選択肢として検討されることがあります。 再生医療は、患者様自身から採取・培養した幹細胞を患部に投与する治療法です。入院や手術を行わずに受けられます。ただし、対象疾患や期待できる経過には個人差があり、医師の評価が前提となります。 以下は、当院リペアセルクリニックで行った肩腱板断裂に対する再生医療の症例です。左肩の痛みに悩む70代の男性が再生医療により症状が改善した事例を紹介しているので、参考までにご覧ください。 患者様の状態によって、再生医療の実施可否、治療計画、想定される経過、リスクなどが異なります。 詳細については、当院リペアセルクリニックまでご相談ください。 まとめ|肩人工関節のデメリットを理解して後悔のない治療選択を 肩に人工関節を入れるかどうかの判断は、リスクの理解から始まります。 本記事では、感染症・血栓症・脱臼・摩耗やゆるみ・神経損傷・可動域制限・再手術の7点を軸に整理しました。 人工肩関節置換術後に変形性肩関節症などの合併症が起こるリスクは、患者様の年齢や基礎疾患、手術方法、術後の過ごし方によって変わります。 また、使用する人工関節が従来型かリバース型かによって、術後に残る機能制限や日常生活での注意点も異なります。 人工肩関節置換術後の入院はおおむね2〜3週間が目安で、外来リハビリを経て数カ月かけて生活を整える流れになります。 費用は複数の項目で構成されるため、高額療養費制度などの公的支援も視野に入れて、見積もりの内訳を早めに確認しましょう。 迷いが残るときは、専門医に相談して診察を受けるのが一番の解決策です。 手術を避けたいとお考えの場合は再生医療の選択肢もあるので、お悩みの方はぜひ当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。 リペアセルクリニックでは再生医療に精通した医師が、患者様の状態に応じて個別に治療方針を提案いたします。 参考文献 (文献1) 肩関節リバース型人工関節置換術後の可動域と機能評価|日本リハビリテーション医学会誌
2021.12.20 -
- ひざ関節
- PRP治療
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- 足部
- 再生治療
再生医療の分野で注目されている「PRP療法」と「APS療法」。 どちらも自身の血液を使って行う治療法ですが、目的や仕組みに違いがあります。 本記事では、PRPとAPSの特徴や違い、治療の流れをわかりやすく解説します。 膝などの慢性的な痛みに悩む方や、手術以外の選択肢を探している方は、再生医療という新たな可能性を知るきっかけにしてみてください。 PRP療法とAPS療法の違い|再生医療としての特徴 再生医療とは、怪我や病気によって低下あるいは喪失した生体機能を、細胞や組織の働きを利用して回復を目指す医療分野です。 人為的に加工や培養して作製した細胞や組織などを用いて人体に元来備わっている「自己修復力」を引き出すアプローチとして、可能性が広がりつつあります。 中でも、PRP療法やAPS療法は、患者様自身の血液成分を活用する「自己由来」の再生医療とされ、とくに関節の痛みに関する治療の選択肢のひとつです。 どちらの療法も、血液中に含まれる「血小板」が関係しています。 血小板は止血の働きだけでなく、ケガをしたときに損傷部位の修復に関与する「成長因子」を含んでいるとされます。 PRP療法やAPS療法は、この成長因子を利用した治療法です。 PRP療法は、血小板が多く含まれる血漿(多血小板血漿=Platelet Rich Plasma)を注入する方法です。 一方、APS療法(Autologous Protein Solution)は、PRPをさらに加工・濃縮したもので、炎症に関与するタンパク質や関節の状態に関わる因子に注目した治療法として研究が進められています。 PRP療法とAPS療法とは?それぞれの特徴を解説 PRP療法(Platelet Rich Plasma療法)とAPS療法(Autologous Protein Solution療法)は、どちらも患者様自身の血液を利用して行われる再生医療の一種です。 主に関節の不調や慢性疼痛のケアを目的に導入されるケースがあります。 PRP療法では、採取した自己血液を遠心分離して血小板を濃縮し、それを処置部位に注入する方法が用いられます。 血小板には「成長因子」と呼ばれる物質が含まれているとされており、この成分には組織の修復や細胞の活性化などを促す働きがある可能性が報告されています。 そのため、ケガや関節の違和感に対して使用されることがあります。 APS療法は、PRPをさらに専用の装置で処理し、抗炎症性タンパク質や成長因子などを高濃度に含むとされる成分を抽出した自己タンパク溶液を用いる方法です。 こうした成分の働きにより、関節の炎症性因子に対するアプローチが期待される場面もあります。 なお、どちらの治療も自己血液をもとにしているため、異物による免疫反応のリスクは比較的少ないとされます。 ただし、症状の改善には個人差があり、すべての人に同じような効果が得られるわけではないため、実施の際は医師による十分な説明を受けることが大切です。 PRP療法とAPS療法の比較 項目 PRP療法 APS療法 抽出方法 血小板を多く含む血漿を抽出 PRPをさらに遠心分離・処理して特定タンパク質を濃縮 主な成分 血小板由来の成長因子を含む 成長因子と抗炎症性サイトカインを含む 期待される作用 組織修復や細胞増殖に関与する 炎症を抑える働きがあるとされる成分が含まれる 主な対象 関節・腱・靭帯の損傷など 変形性膝関節症など慢性的な関節の痛み 治療の特徴 自己治癒力を高め傷ついた組織にアプローチ 痛みの緩和を目的とする治療法 抗炎症・鎮痛を重視 痛みの緩和を目的とする治療法 使用する血液量 一般に10〜20ml前後 約50〜60ml程度 手技 採血後、専用機器で処理し注射 採血後、さらに濃縮処理し注射 自己多血小板血漿、注入療法とも呼ばれるPRP療法については馴染みが薄い治療法に感じられるかもしれません。しかし、海外においては10年以上の使用実績がある方法です。 PRP療法は、ご自身の血液を採取し、遠心分離機を用いて血小板を多く含む部分(PRP)を抽出・濃縮し、損傷した部位に使用する治療法です。血小板に含まれる成分が、もともと体に備わっている修復の過程に関与するとされています。 一方、APS治療は、同じく採取した血液を特殊な専用装置で処理し、炎症に関与する物質に着目して特定のタンパク質(抗炎症性サイトカインなど)を選択的に濃縮・抽出したものを用いる治療法です。関節などの炎症に対して使用されることがあります。 APS療法で期待できる効果と治療法 APS療法は、患者自身の血液から抽出したタンパク質濃縮液(Autologous Protein Solution)を患部に注射することで、関節まわりの環境を整えることを目的とした再生医療の一つです。 ここでは、変形性膝関節症に対してAPS療法で期待できる効果や実際の治療法などについて紹介します。 ご注意頂きたいのは、APS療法は再生医療ではありますが、関節の軟骨を修復して再生させるのが目的ではありません。 自己の血液から抗炎症成分のみを濃縮して抽出したあと、関節内に注射することで、膝痛の症状緩和に焦点を当てた特化的治療です。 膝の変形性関節症では、疾患が進行することによって「半月板の損傷」や、「靭帯のゆるみ」など膝関節のバランスが崩れることで軟骨がすり減り、膝関節が変形して発症します。 また、変形性膝関節症では膝関節部における変形度の進行に伴って、軟骨がすり減り、半月板が擦り減って傷み、さらには滑膜炎など炎症が起きて膝部に水が溜まることがあります。 従来、治療としては繰り返し鎮痛剤を内服することや、ヒアルロン酸を関節内に注入するなどが代表的な治療法でした。 しかし、鎮痛剤を飲み続ける是非や、ヒアルロン酸の効果が期待できなくなった変形性膝関節症の患者様の中には、このAPS治療によって症状の改善を示すケースがあることが分かってきたのです。 一般的にAPS治療では、投与してからおよそ1週間から1か月程度で患部組織の修復が起こり始めて、だいたい治療してから約2週間から3ヶ月前後までには一定の効果が期待できると言われています。 海外のAPS治療に関する報告例では、APSを一回注射するだけで、最大約24ヶ月間にもわたって痛みに対する改善効果が継続するとの実例も紹介されていました。 ただし、これは一例で実際の治療効果や症状が改善する持続期間に関しては、患者様の疾患の程度、条件によって様々、個人差があり変化することをご理解ください。 また、このAPS治療は、PRPと同じく、患者様自身の血液を活用して生成するために、通常ではアレルギー反応や免疫学的な拒絶反応は出現しないと考えられている点も良い面でのポイントです。 ヒアルロン酸の効果が感じられない方は以下の記事も参考にしてください。 APS治療の手順 1)まず約50~60mlの血液を採取 2)厚生労働省が認めている特殊な技術で処理し、血小板成分を濃縮したPRPを抽出 3)精製されたPRP物質をさらに濃縮してAPSを抽出 こうして抽出した後、痛みを自覚されている関節部位に超音波エコー画像を見ながらAPS成分を注射して投与する まとめ|PRP療法・APS療法は血液成分を活用した治療法 PRP療法(自己多血小板血漿注入療法)は、患者様自身の血液中に含まれる血小板を活用、APS治療は患者様自身の血液中に含まれる抗炎症性物質を活用した治療法です。 これらの治療を受けた当日は、入浴や飲酒・喫煙・激しい運動やマッサージなどは出来る限り回避するように意識しましょう。 治療後の行動については、くれぐれも十分に主治医と相談してください。 費用は、それぞれの対象医療施設や治療適応となる患部箇所などによって異なりますので、この治療法をもっと知りたい方は私どもほか、専門の外来へお問い合わせされることをおすすめします。 このPRP・APS療法のほかにも再生医療として、当院「リペアセルクリニック」が推進する「幹細胞治療」という治療法も存在します。 いずれにせよ関節に問題があって、「後は手術しかないと」と言われた方は再生医療をご検討されてはいかがでしょうか。 再生医療をご検討の際は、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にお問い合わせください。
2021.10.20 -
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PRP-FDはメジャーリーグで田中選手や大谷選手が靱帯損傷に使った治療法 膝のPRP-FD注射は、再生医療の新たな選択肢!になるか? 従来、膝の変形性膝関節症などに対する注射療法として、ヒアルロン酸の関節内注射が一般的に普及していた時代がありました。その後、近年には再生医療として血液中の血小板中に含まれる多種の成長因子多血小板血漿(Platelet Rich Plasma: 略してPRP)の関節内注射の効果が報告されてきました。 この自己・多血小板血漿注入療法とも呼ばれる「PRP療法」は、実は海外においては10年以上の使用実績があることをご存知でしょうか。海外では比較的ポピュラーな治療方法なのです。 例えば、プロ野球選手、アメリカのメジャーリーグで当時、ニューヨーク ヤンキースの田中将大選手、あるいは、今も大活躍のロサンゼルス エンゼルスの大谷翔平選手」が右肘の「靱帯損傷」に対して「PRP療法」を行なったことはよく知られています。 一方で、さらにPRP療法は、PRP-FD(又はPFC-FD)療法という新たな再生医療となり注目され始めています。今回は、このPRP-FDに注目して解説してまいりたいと思います。 PRP-FDとは、 Platelet Rich Plasma Freeze Dryの略であり血小板由来因子濃縮物を指します。同様にPFC-FDとは、Platelet-Derived Factor Concentrate Freeze Dryの略称であり日本語に訳すと「血小板由来成長因子濃縮液を凍結乾燥保存」したものという意味の頭文字になります。 これらの療法は、患者さんご自身の血液中の血小板に含まれる「成長因子」を活用するバイオセラピー(再生医療)と呼ばれるもので、関節や筋肉、腱の疾患または損傷に対して「手術をすることなく、注射でのアプローチする再生医療」であることを意味しています。 そこで今回は、再生医療の新たな選択肢となり得る膝のPRP-FD注射について解説してまいりましょう。 1)PRP-FD(PFC-FD)の成り立ちとPRPとの違い 従来からあった「PRP療法」は、自己多血小板血漿注入療法のことであり、患者さん自身の血液中に含まれる血小板の要素を利用した再生医療です。 この療法は、血液中の「血小板の成分だけを高い濃度で抽出して、患部に直接的に注射」する方法です。 これによって関節部の損傷した組織へ、血小板の修復能力を用いた自己治癒力を高めることが可能になり、痛みを含めた損傷した患部の改善を目指し、手術などを避けて治癒できることを期待するものです。 この方法は、歴史的にまだ浅いもののイランの医師であるDr.Raeissadatらが過去の研究をもとにPRP関節内注射の方が従来のヒアルロン酸の関節内注射よりも変形性膝関節症における症状を改善させると発表したことにはじまりました。 このPRP関節内投与は、他の再生医療同様、手術等を回避しながら、症状の改善効果が期待できることから、患者さんのQOL(※1)を向上させることにもつながります。 一般的な治療法では解決できなかった「変形性膝関節症」をはじめとした各種関節症の患者さんに対する治療の有効なオプションになり得ると報告されています。 (※1)QOLは、英語でQuality of Lifeの略です Quality of Lifeを医療面から考えると「自分らしい生活、毎日が充実し、心身が満たされた納得のいく生活」を考慮した上で治療を行うというものになります。 患者さんへの治療方針を定めるに場合に治療方法や、その後の療養生活が患者さんへ与える肉体的、精神的はもちろん社会的、経済的といった生活の質といえる各要素を維持すべきではないかというものです。 病気の内容や治療方針によっては、その後の症状や副作用などによって治療する前と同様な生活が不可能になることがあります。そこで治療法を選択する場合には、単に症状の改善や、回復といった治療の効果だけに目を向けるのではなく、QOLの維持にも目を向けて治療方法を選択したいものです。 その意味で今後、再生医療は従来の手術による治療方法を転換させるさせるものとしてQOLに沿った治療法と言えるのではないかと思われます。再生医療は最新の医療技術で手術や入院そのものを避けることができるからです。 だからメジャーリーグをはじめ、スポーツ選手は再生医療に着目する このように再生医療は、治療結果だけに着目するものではなく、治療後を考えた治療方法といえるのです。なぜならスポーツ選手なら誰しも手術を避け、入院を避け、治療後にパフォーマンスを落とすことのない治療が条件になるからです。 スポーツ選手にとって、このパフォーマンスの維持こそがQOLになり、それを維持することこそが治療の条件になります。だからメジャーリーグをはじめ、スポーツ選手は再生医療を目指すのです。 ▼ スポーツ外傷(筋・腱・靭帯損傷)に対する再生医療 当院の再生医療は、スポーツ選手のパフォーマンス(QOL)を維持する治療を推進しています PRP-FD(PFC-FD)療法について、 これは、PRP療法と同様に患者さん自身の血液から「PRP-FD(PFC-FD)」を作製します。投与方法も患部に直接注射して行うという治療法の面でも同じになります。 期待する効果としても同様でPRP-FD(PFC-FD)を注射した後には、PRP療法と同じく損傷した組織において自然治癒力が促進されて患部の早期修復や、疼痛軽減に繋がる再生医療としての効果を期待されるものです。 PRP-FD(PFC-FD)療法とPRP療法の決定的な違いは何でしょうか? PRP-FD(PFC-FD)療法では患者さんの血液からいったん作製したPRPをさらに活性化させて、「血小板に含まれる成長因子だけを抽出し、無細胞化した上で濃縮する」ため、成長因子の総量がPRP療法の約2倍程度に及ぶところが大きな相違点です。 また投与のスケジュールも違いがあります。PRP療法であれば採血当日に限り投与が可能ですがPRP-FD(PFC-FD)療法の場合には、採血から投与ができるまでに約1週間~3週間必要です。 尚、PRP-FD(PFC-FD)療法では、濃縮した血小板由来成長因子をフリーズドライ加工するため、長期保存が可能となります。そのため約半年の間に複数回、タイミングを見て何度か投与することが可能になります。 PRP療法 PRP-FD療法 分野 再生医療 再生医療 投与方法 患部に注射で投与 患部に注射で投与 投与タイミング 採血した当日 採血後1~3週間後 保管 できない フリーズドライ化にて長期可能 回数 当日一回 回数を分けて複数回投与可能 有効成分(成長因子) ― PRPの約2倍 期待する効果 損傷した組織の自己治癒力を高めて改善を目指す 2)膝のPRP-FD注射で期待できる効果や実際の治療法 さてここからは、膝のPRP-FD(PFC-FD)注射に期待できる効果や実際の治療法などについて紹介していきます。 このPRP-FDは、従来のPRP療法と効用効能は、ほぼ同じと考えられていますが、PRP-FD(PFC-FD)療法では患者さんから単回の採血で作製する量が多く、フリーズドライ化しているおかげで保存も長期に可能です。 そのため、症状が重いなど、複数回にわたって関節内注射を打つ必要があるケースでは、PRP-FD(PFC-FD)療法が期間を設けて複数回打つことができるため、その面ではPRPよりも適しているとみることもできます。 また、これらのPRP-FD (PFC-FD)注入療法によって、「テニス肘(テニスエルボー)」や、「ゴルフ肘」と呼ばれる肘内側部あるいは外側上顆炎、そして「ジャンパー膝」と呼ばれる「膝蓋腱炎」を修復できる可能性があります。 また、アキレス腱炎、足底腱膜炎などの腱付着部における疾患や、肉離れ(筋不全断裂)や靱帯損傷などの病気をより早期に治癒させる確率を高める効果を期待できます。 そのため、PRP-FD(PFC-FD)治療では、比較的早く、腱や靱帯由来の関節部の痛みを軽減する効果が見込まれるため、手術といった回復が長期化する治療法を避けることができ、重要なシーズンまでに回復しなければならないなど一日も早く復帰を必要とするプロアスリートや、トップアスリートなどに対して有効な治療法となる可能性があります。 また、変形性膝関節症では膝関節部における変形度の進行に伴って、軟骨がすり減り、半月板が擦り減って傷み、さらには滑膜炎など炎症が起きて膝部に水を溜めるような場合にも、PRP-FD(PFC-FD)治療を実践すると軟骨や半月板などの組織の改善を促すと同時に関節部の滑膜炎を抑制して症状を軽減、回復させる効果を期待できるものです。 これら従来の方法では、変形性膝関節症に対する薬物療法としては、一般的な鎮痛剤の内服やヒアルロン酸を含む関節内注射などを施行されてきました。 ところが、これらの既存的治療が最初から効かない場合、あるいは効かなくなってしまった場合でも、PRP-FD(PFC-FD)を関節内注射することで痛みが軽減した例が多く存在します。 PRP-FD(PFC-FD)療法の実際の手順を簡単に紹介します。 まずは、患者さんに問診、診察を行うことから開始します。 次に、治療内容の説明をして同意を得られた患者様から、約50mlの血液を採血します。その後、血液検査結果からHBV、HCV、HIV、梅毒など感染症の除外を行なった上で、PRP-FD(PFC-FD)を実際に作製します。 この際、活性化成分のみを抽出してフリーズドライ化するのに約1~3週間かかることを念頭に置いておきましょう。そして、最後にPRP-FD(PFC-FD)を患部に直接的に注射することになります。 これらのPRP-FD(PFC-FD)療法は、体外で成長因子を抽出して無細胞化する作業を行うため、PRP療法より、痛みが少ない治療法であると言われています。 まとめ・PRP-FDはMLBで田中選手や大谷選手が靱帯損傷に使った治療法です 従来におけるPRP療法(自己多血小板血漿注入療法)は、患者さん自身の血液中に含まれる血小板を活用した再生医療でした。 そして昨今、注目されている再生医療の一つであるPRP-FD(PFC-FD)療法は、血小板が傷を治す際に放出する成長因子の働きに着目したものでPRP療法を応用した技術を使える上、それらを濃縮活用し、我々の生体が生理的に元来有している「自然治癒力」を高めることで治療効果を向上させるものです。 このように、PRP-FD(PFC-FD)療法はPRPと同様に急性あるいは慢性問わず関節症、あるいは関節周囲の靭帯や半月板など軟部組織疾患に対して治療応用が開始されていますので今後の進展に期待が持てます。 尚、今回ご紹介したPRP療法やPRP-FD療法には、更に高度な最先端医療といわれる「幹細胞を培養して患部に投与する幹細胞療法」があり、症状や軽減だけでなく、「軟骨そのものを再生することができ、再生医療の本命」といわれる治療法があります。 当院は、患者様の生活の質、QOLを大切にできる再生医療を推進しています。これまで多くの症例を有する国内でも唯一のクリニックです。いつでもお問い合わせください。 治療後や、療養生活の質を高める再生医療にご注目ください。 ▼QOLを大切にするPRP療法を用いた 再生医療の詳細は以下をご覧下さい PRP療法は、自ら再生しようとする自然治癒力を活かした最先端の治療方法です
2021.10.19 -
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「グルコサミンとコンドロイチンの違いは?」 「グルコサミンとコンドロイチンのサプリメントに副作用はある?」 グルコサミンやコンドロイチンは、体のあらゆる部分に存在しており、細胞同士をつなぎとめたり、水分を保持したりする性質をもっています。 ただ、グルコサミンとコンドロイチンのサプリメントによる摂取は、研究結果によると、残念ながら痛みが軽減したエビデンスは少ないのが実情です。 今回はグルコサミンとコンドロイチンの違いを始め、サプリメントの摂取による副作用などを解説します。 思い込みによって効果を感じるプラセボ効果についても解説するので、これからサプリメントの摂取を検討されている方は参考にしてみてください。 グルコサミンとコンドロイチンの違いとは? グルコサミンは、アミノ糖の一種で軟骨を始め、爪や皮膚などに分布しています。 一方、コンドロイチンは、ムコ多糖と呼ばれており、グルコサミンなどのアミノ糖が連なってできた多糖体です。 どちらも体内で自然に生成される成分、関節を構成する成分として有名です。 グルコサミンやコンドロイチンは、体のあらゆる部分に存在しており、細胞同士をつなぎとめたり、水分を保持したりする性質をもっています。 関節内では、コンドロイチンはプロテオグリカンと呼ばれ、軟骨の構成成分としてクッションのような役割を果たし、骨と骨が接触しないよう保護してくれています。 膝・腰・肩などの関節が痛む原因 膝や腰、肩の痛みは多くの場合、加齢によるものが原因です。残念なことに体の機能は、年齢を重ねるにつれて徐々に衰えます。 グルコサミンやコンドロイチンといった体内で生成される成分も、加齢で生産率は減少していき、関節内の柔軟性や弾力性がしだいに失われます。 関節を構成する成分が減ってしまうと脆くなり、軟骨がすり減って骨がぶつかり合い、周辺の神経に伝わって痛みが出てくるのです。 たとえば、重労働や激しい運動など、膝や腰、肩を使いすぎる行動を継続すると痛みの原因になります。 すでに症状があり、膝などの関節痛が治らない方は、根本的な治療を行うほうが良いケースもあります。 当院「リペアセルクリニック」では、膝の痛みに関する再生医療の治療実績もございますので、まずはお気軽にメールや電話にてお問い合わせください。 グルコサミンやコンドロイチンのサプリメントは関節痛に効果がない 軟骨に豊富に含まれているグルコサミンやコンドロイチンは、サプリメントから補給する方法もありますが、実は関節痛には効果がないのがわかっています。 関節の痛みに効果がない理由として、口からの摂取による影響が考えられるでしょう。 消化器官を通過すると、グルコサミンやコンドロイチンの構成成分であるアミノ酸や糖質は、胃液などにより消化および分解されてしまいます。 そのまま体に吸収されるため、軟骨まで到達するとは考えにくいのです。また、軟骨には血管がほとんどなく、栄養として成分が直接届きにくいとされています。 一般的にイメージされるサプリメントの効果は、軟骨減少の改善を始め、膝や腰、肩の痛みにおける症状改善などがあげられます。 ただ、研究結果をみると、グルコサミンやコンドロイチンのサプリメントがもたらす効能は、科学的な根拠に乏しいのが実情です。 サプリメントの効果に関する研究論文【痛みが軽減したエビデンスは少ない】 米国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)が出資した主要な研究など、一部の研究によると、グルコサミンのサプリメントが痛みを軽減させたエビデンスは、ほとんどあるいはまったくありませんでした。 一部の研究発表では、コンドロイチンやグルコサミンなどの成分をサプリメントとして服用すると、膝や腰、肩の痛みを軽減する可能性があると示唆しています。 ただし、実際のところは「可能性レベル」であって、ほとんどの研究において「劇的な改善をもたらしたといえるほどの効果はない」と報告されています。 実際に大規模な研究結果でも、グルコサミンやコンドロイチンといった成分が関節の痛みに効果があるというエビデンスを示していません。 つまり、グルコサミンやコンドロイチンなどのサプリメントが、痛みを軽減するのかは十分な証拠がない状況といえます。 関節痛にサプリメントが効くのは思い込み?プラセボ(プラシーボ)効果とは プラセボ(プラシーボ)効果とは、本来は薬としての効能がまったくない物質を摂取しているのにもかかわらず、効能が得られたと感じることです。 膝や関節に関わるグルコサミンやコンドロイチン、プロテオグリカン、ヒアルロン酸などのサプリメントも、同様に思い込みで効果を実感している可能性もあります。 実際に摂取された方のなかには「痛みが軽くなった」「痛みが半減した」などの意見が上がっている製品もあるようです。 実際に利用者が、どの製品のサプリメントに効果があると感じたのかは正確にはわかりません。 ただ、サプリメントの摂取で、膝や関節への効果を感じている理由としては、プラセボ効果が関わっているのではないかと考えられています。 グルコサミンとコンドロイチンの服用における実験結果 アメリカの臨床研究では、関節痛などの問題を抱えている大勢の方に集まってもらい、2つのグループに分けてモニタリングを行いました。 片方のグループには、グルコサミンやコンドロイチンの「本物のサプリメント」を与えて、もう片方のグループには、まったく何の効果もない「偽のサプリメント」を与えました。 実際にそれぞれのグループに一定の期間服用させたところ、グルコサミンとコンドロイチンの成分が入っているかどうかにかかわらず、以下のような改善が見られたのです。 本物のサプリメントを与えたグループ ・症状の改善が見られた層がいた 偽のサプリメントを与えたグループ ・「痛みが緩和した」「痛みが改善した」 など症状の改善が見られた層がいた 上記はプラセボ効果によるもので、一種の「思い込みによる心理的な働き」と考えられています。 「グルコサミンやコンドロイチンのサプリメントは、摂取すると膝の痛みがとれる」といった情報から、思い込みやイメージなどにより、効いたように感じてしまうのです。 しかし、思い込みだとしても、実際に症状が良くなったと感じるなら、本人にとっては「痛みを改善する目的が達成できた」といった見方もできるかもしれません。 ただ、残念ながら結果が得られなければ、この記事を思い起こしていただければと思います。 グルコサミンとコンドロイチンの副作用 厚生労働省eJIMによると、グルコサミンとコンドロイチンのどちらも、3年間継続して摂取した場合、重篤な副作用は見られない結果でした。(文献1) ただ、本人の体における状態などを始め、服用している薬との飲み合わせによっては、何かしらの副作用が出る可能性もゼロではありません。 サプリメントの摂取を行うときは、必ず医療機関で医師や薬剤師などに問題がないかを確認してみてください。 まとめ|グルコサミンとコンドロイチンのサプリメントが関節痛に効く可能性は低い グルコサミンやコンドロイチンは、体の軟骨成分に豊富に含まれている物質です。 医学的にはサプリメントで成分を補ったとしても、膝や肩などの関節に届く可能性は低く、痛みに効くとは言い切れないのが現状です。 ただ、今後の臨床研究により、なんらかの効能が見つかる可能性もあるかもしれません。 現在膝や肩などの関節痛に悩まされているなら、サプリメントに頼りすぎず、ぜひ整形外科を始めとした医療機関の受診をおすすめします。 痛みには思わぬ病気が隠れている場合もあるため、早期発見と早期治療が何よりの対処法です。 体の痛みや違和感といった症状を放置せず、しっかりとした診断に基づく治療を受けてみてください。 また、膝まわりの痛みに関しては、幹細胞を使った再生医療による治療方法もございます。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による関節症などの治療実績もございますので、関節に関わる症状がある方は、ぜひメールや電話からお悩みをご相談ください。 グルコサミンとコンドロイチンの違いに関するQ&A グルコサミンとコンドロイチンの違いに関する質問と答えをまとめています。 Q.軟骨成分のプロテオグリカンは関節痛に効果があるの? A.食事やサプリメントによる効果は期待できないと考えられています。 ただ、運動によって血流が良くなると、細胞に栄養などが届きやすくなり、プロテオグリカンの増加が促進されるのがわかっています。 プロテオグリカンと関節痛に関する詳細については、以下の記事を参考にしてみてください。 Q.コラーゲンのサプリメント・ドリンクは関節の違和感などに効果があるの? A.「低分子コラーゲン」「コラーゲンペプチド」と表記があるサプリメントやドリンクは、効果が期待できるかもしれません。 低分子化したものはコラーゲンペプチドとも呼ばれており、粒子が細かく腸壁で吸収されてから血液を通り、皮膚や骨、関節などの全身に届きます。 コラーゲンのサプリメントと関節痛との関わりについては、以下の記事も参考になります。 Q.グルコサミンやコンドロイチンを含む食べ物は? A.グルコサミンやコンドロイチンは以下の食べ物に含まれています。 コンドロイチン 肉の関節部分と軟骨(鶏の手羽・豚のリブ・牛のナックル) 甲殻類の外骨格(エビ・ロブスター・カニの殻) フカヒレ など グルコサミン 同上 山芋 オクラ なめこ 納豆 うなぎ きのこ類 甲殻類の殻や動物の関節部などは摂取が難しいため、スープなどにして調理すると良いでしょう。栄養素は相互作用で働くので、偏らずにさまざまな食べ物をバランス良く摂取してみてください。 参考文献 文献1 厚生労働省eJIM|海外の情報 グルコサミンとコンドロイチン
2021.10.06







