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喫煙が関節症に与える影響/電子タバコは安全か? 喫煙することと関節症の間には、一見何も関係がないようにみえます。 しかし最近いくつかの研究の結果から、関節症の経過にタバコがよくない影響を与えていることが明らかになってきました。 そこで今回の記事では、喫煙と関節症の関係についてご説明します。さらに電子タバコによる影響についても、解説いたします。 喫煙が関節症に与える影響 喫煙そのものは、肺がんや肺疾患、また動脈硬化や脳血管障害など、わたしたちの体のあらゆるところによくない影響を与えることは、よく知られていることかと思います。 ここでは特に、関節症の方に対して喫煙が与える影響についてご紹介します。 死亡リスクの増加 関節リウマチと診断されている方が喫煙を続けていると、非喫煙者に比べて死亡率が増加することがわかっています。 121,700人の女性が参加する追跡調査で、追跡中に関節リウマチと診断された923名を分析しました。このうち36%は関節リウマチと診断される前に一度も喫煙したことがなく、43%が過去に喫煙しており、21%が現在も喫煙者でした。 この調査によると、関節リウマチと診断された後も年間5パック以上の喫煙を続けていた女性は、診断前から喫煙をしていなかった人や関節リウマチと診断された後に禁煙した人たちと比べても、死亡リスクが2~4倍も高くなっていました。 診断後に禁煙することで、喫煙を継続するよりも死亡リスクは低くなっていましたので、早めに禁煙することは有効だと言えるでしょう。 (参考文献:https://acrabstracts.org/abstract/smoking-behavior-changes-after-rheumatoid-arthritis-diagnosis-and-risk-of-mortality-during-36-years-of-prospective-follow-up/) また5,677人の関節リウマチの方を平均して約5年間追跡調査した研究では、喫煙者の心血管障害や呼吸器疾患による入院率は、非喫煙者の2倍になっていました。 入院するリスクは、禁煙1年後に著しく低下していましたので、こちらも早めに禁煙することが予後を改善することにつながります。 (参考文献:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5623338/) 手術の合併症の増加 喫煙者と非喫煙者における、膝関節置換術の経過を比較した研究があります。 合計で8,776人の膝関節再置換術を受けた方を対象に実施した研究です。このうち、11.6%が現在も喫煙者でした。再置換人工膝関節置換術を受けた喫煙者は、非喫煙者と比較して、あらゆる創傷合併症、肺炎、および再手術の割合が高くなっていました。 (参考文献:https://www.arthroplastyjournal.org/article/S0883-5403(18)30282-1/fulltext) タバコを吸うと、一酸化炭素が赤血球内に取り込まれ、その結果、全身の組織に運ばれる酸素が少なくなります。手術部位が適切に治るためには、酸素を十分に含んだ血液が必要です。 タバコを吸うと、この治癒プロセスの重要な部分が滞り、治癒に時間がかかるようになると考えられています。 病状の悪化 159人の変形性膝関節症の男性を最長30ヶ月間追跡調査したところ、喫煙者は非喫煙者に比べて関節症による膝の痛みが強く、軟骨が著しく失われる可能性が2倍以上であることがわかりました。 (参考文献:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1798417/) X線写真の撮影が可能であった311人の初期リウマチ性関節炎の方をフォローした調査では、1年後にX線写真の進行がみられる独立した予測因子は、喫煙でした。つまりX線写真上で悪化する危険因子に喫煙があることがわかりました。 (参考文献:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4515990/) タバコに含まれる有害物質が軟骨の減少に寄与している可能性や、血中の一酸化炭素濃度が高いことが、軟骨の修復を妨げている可能性があると推測されています。 電子タバコの関節症に与える影響 電子タバコ(e-cigarettes)の使用率が急速に高まっていますが、電子タバコの使用が関節症状に対して与える影響について、まだ詳細はわかっていません。そこで行われたので、米国で924,882人の成人を対象に実施された、最大規模の全国電話調査です。 この調査では、電子タバコの使用歴と炎症性関節炎に関する情報を入手し、解析しています。 その結果、電子タバコ使用者と電子タバコ未使用者を比較したところ、電子タバコ使用者の方が炎症性関節炎により罹りやすいことが確認されました。この傾向は、電子タバコ使用者でも電子タバコと通常のタバコを併用する使用者でも同様であることがわかりました。(参考文献:https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fphar.2022.883550/full) まとめ・喫煙が関節症に与える影響/電子タバコは安全か? 喫煙と関節症の関係、また電子タバコと関節症の関係についてご説明しました。 いずれにしても喫煙は関節症に対し、良い作用は何もないと言えるでしょう。ただ禁煙することで、予後や合併症の改善がみられることも事実です。まだ電子タバコを含め喫煙しておられる方がおられるようであれば、できる限り早く禁煙に取り組むことをお勧めいたします。 ▼ 再生医療に関する詳細は以下をご覧下さい 自分自身の自ら再生しようとする力、自然治癒力を活かした最先端の医療です
公開日:2024.10.07 -
- 脊椎
- 脊椎、その他疾患
側弯症とは?原因と症状、治療法を徹底解説 小中学校での検診で、多くの方が一度はチェックを受ける側弯症という症状をご存知でしょうか? 昔の検診内容なんて覚えていないかもしれません。しかも、一般的に身近に感じることがあまりない病気だからです。この病気は、幼少期には見つかりにくく、思春期に見つかることが多い病気です。 また、成人してから進行しはじめる場合もあります。今回の記事では、側弯症とは、その症状と原因、治療法についてご説明しましょう。 側弯症とは? 側弯症とは、文字通り、背骨が横側に弯曲する病気です。多くは思春期に診断され、脳性麻痺や筋ジストロフィーなど、筋肉や神経の疾患を持っている場合に起こりますが、それ以外、原因がよくわからないことも少なくありません。 側弯症の程度について、多くの場合は軽いことが一般的ですが、なかには成長するにつれて悪化していくものもあります。側弯症状が進行すると、胸部の空間が狭くなり、肺が適切に機能することが困難になることもあります。 また体の動きに支障が出ることもあるため、装具を着用したり、重い場合は手術が必要となることもあります。 側弯症の原因 側弯症は、原因が特定できない。特発性側弯症が最も多く見られるタイプです。ただし、家族内で発症することがあるため、遺伝的要因が関係している可能性が考えられています。 そのほか、脳性麻痺や筋ジストロフィーなどの特定の神経筋疾患、脊椎の骨の発育に影響を及ぼす先天性異常、乳児期に胸壁の手術を受けたことなどが影響することもあります。 なお特発性側弯症を発症する危険因子には、以下のようなものがあります。 側弯症の発症に関する危険因子 ・年齢:一般的に思春期に始まる ・性別:女児に多くみられる。 ・性別:女児の方が側弯が悪化し、治療を必要とするリスクが高い ・家族歴:家族に遺伝する可能性がある(全く家族歴がないこともある) ※危険因子とは:病気が起こる確率を高めてしまうような要因のこと 側弯症の症状 側弯症の症状には、以下のようなものがあります。ただ、進行するまで本人は生活に支障を感じることはありません。 代表的な症状 ・肩の位置が左右で異なる ・腰の位置が異なる ・片方の肩甲骨が飛び出して見える ・胸郭の片側が前に突き出ている ・前屈みになった時、背中の片側が隆起する 側弯症の多くで、脊柱は左右に曲がるだけでなく、回転またはねじれを起こしている場合もあります。そのため、体の片側にある肋骨や筋肉が、反対側にある肋骨よりも大きく突き出てしまうことがあります。 日本では、小中学校で行う検診の項目に含まれていることもあり、検診で気づかれることがあります。 なお進行すると胸郭が肺に圧迫され、呼吸が困難になることがあります。また体の中心が片方へ傾いてしまうため、運動や生活に支障をきたすこともあります。 適切に治療されていないと、慢性的な背中の痛みを抱えやすくなります。 側弯症の症状の一例 ・運動や生活に支障が出る ・呼吸困難 ・慢性的な背中の痛み 突発性側弯症の原因 側弯症は、原因が特定できません。 中でも最も多く見られるタイプが「特発性側弯症」と言われるものです。家族内で発症することがあるため、遺伝的要因が関係している可能性が考えられています。 そのほか、脳性麻痺や筋ジストロフィーなどの特定の神経筋疾患、脊椎の骨の発育に影響を及ぼす先天性異常、乳児期に胸壁の手術を受けたことなどが影響することもあります。 なお特発性側弯症を発症する危険因子には、以下のようなものがあります。 特発性側弯症の危険因子 ・脳性麻痺、筋ジストロフィーなどの神経筋疾患 ・脊椎の先天性異常 ・乳児期の胸壁手術 突発性側弯症の診断 最初に詳細な病歴を聴取し、最近の成長やもともと抱えている病気について確認します。 身体診察では、子どもを立たせてから、両腕をゆるく垂らしてお辞儀をするように腰を前に曲げ、胸郭の片側がもう片側よりも突出しているかどうかを確認します。 また、筋力低下、しびれ、反射の異常の有無を確認します。 画像検査 X線検査は、側弯症の診断を確定し、脊柱の弯曲の程度を明らかにすることができます。弯曲が悪化しているかどうかを確認するために、何年にもわたって何度もX線撮影を行うため、繰り返しの放射線被ばくが懸念されます。 磁気共鳴画像(MRI)は、脊髄の異常などの基礎疾患が疑われる場合に検討されます。 側弯症の治療法 脊柱側弯症の治療法は、弯曲の重症度によって異なります。 ごく軽度の弯曲を持つ子供は、通常、全く治療を必要としませんが、成長とともに弯曲が悪化していないかどうか、定期的なチェックが必要な場合があります。 脊椎の弯曲が中等度または重度の場合は、装具や手術が必要になることがあります。考慮すべき要因は、子どもの成熟度、弯曲の程度、性別などです。 子どもが十分に成熟し、骨の成長が止まっている場合、弯曲が進行するリスクは低くなります。つまり、骨がまだ成長している子どもには、装具が最も効果的です。なお骨の成熟度は、手のレントゲンで確認することができます。 また弯曲が大きいと、時間とともに悪化する可能性が高くなりますし、女の子は男の子よりも進行のリスクが高くなります。 1.装具 骨がまだ成長しており、中程度の側弯症である場合、装具の使用が検討されます。装具をつけることで側弯症が治ることはありませんが、通常は弯曲が悪化するのを防ぐことができます。 最も一般的な装具は、プラスチック製で、胴体部分にフィットするように作られています。この装具は、腕の下と胸郭、腰の周りにフィットするため、服の上からはほとんど見えません。 装具は1日に13時間から16時間装着します。装具の効果は、1日に装着する時間が長いほど高くなります。なお装具を装着していても、多くの活動に参加でき、ほとんど制限を受けません。 必要であれば、装具を外してスポーツやその他の運動に参加することもできます。 装具は、身長の変化が見られなくなったら終了します。平均して、女の子は14歳、男の子は16歳で成長が完了しますが、これには個人差があります。 2.外科手術 重度の側弯症は、通常時間とともに進行するため、弯曲を矯正し、悪化を防ぐために、手術を検討する場合があります。 なお手術には、椎骨と椎骨の間に骨片や骨に似た物質を挟み込み、脊椎の2つ以上の椎骨をつなぎ合わせ、それぞれが独立して動けないようにする脊椎固定術が一般的です。 若くして側弯症が急速に進行している場合、成長に合わせて長さを調節できる拡張可能なロッドを背骨に沿って1本か2本取り付けることもあります。ロッドは数か月ごとに、手術またはクリニックで長さを調節します。 脊椎手術の合併症として、出血、感染症、神経損傷などが考えられます。 まとめ・側弯症とは?原因と症状について 側弯症について、その原因や治療法についてご説明しました。 側弯症は、背骨が横側に弯曲する病気です。主に思春期に診断されることが多い病気です。特発性側弯症が最も一般的で、家族歴や性別、年齢が関連していることが多い病気です。 症状は、肩の不均衡や胸郭の突出などで現れますが、進行すると呼吸困難や背中の痛みなどが生じます。 診断には身体診察と画像検査が必要で、治療法には装具や手術があります。装具は成長期の進行を防ぎ、手術は進行した場合に行われますが、手術には合併症のリスクが伴います。 早い段階で発見し、適切に継続して診療を受けていれば、長期にわたる問題を起こすことを避けることができる可能性が高くなります。適切な治療法を選択し、定期的なフォローアップが重要です。 気になる場合は、かかりつけの医療機関、整形外科医にご相談ください。 ▼以下の参考にされませんか 側弯症でやってはいけないこと!注意すべきこと
公開日:2024.10.07 -
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「坐骨神経痛でやってはいけないことは?」 「坐骨神経痛を和らげる方法は?」 坐骨神経痛の痛みは、慢性的な背骨への刺激によってできた骨の棘を始め、椎間板ヘルニアが腰の脊髄神経根を圧迫して背中や足、臀部に耐え難い不快感をもたらします。 坐骨神経痛に悩んでおられる方は内服薬に始まり、理学療法、硬膜外注射など、痛みを止めるためにあらゆる方法を試されているかもしれません。 しかし、日常的によくとりがちな行動が、症状を悪化させてしまう場合があるのです。 この記事では、坐骨神経痛に悩まれている方が「やってはいけないこと9つ」をご紹介します。最後まで読んでいただければ、日常生活での注意点を理解できるはずです。 坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)でやってはいけないこと9つ 坐骨神経痛になったときは、無理に負担をかける動作をしないのが大切です。 日常生活で気をつけたいポイントを知るためにも、坐骨神経痛でやってはいけないことを9つ解説します。 ただし、人によって坐骨神経痛の症状などの度合いは変わります。必ずかかりつけの医師に相談しながら、日常生活の注意点に配慮してみてください。 ・重いものを持ち上げない ・長時間の座りっぱなしは良くない ・ハムストリングスのストレッチをしない ・前かがみにならない ・間違ったサイズの椅子に座らない ・背骨をねじりすぎない ・柔らかすぎるマットレスで寝ない ・体を冷やしすぎない ・太ってはいけない 重いものを持ち上げない 坐骨神経痛の急性期は、たとえ数kgであっても、荷物などを持ち上げるのは控えましょう。 体に負担がかかるので、坐骨神経痛を悪化させる場合があります。 なるべく荷物を持ち上げないのが大切ですが、どうしても持ち上げが必要なときは、無理のない範囲で、以下の流れを参考にしてみてください。 【腰への負担を減らす荷物などの持ち上げ方】 1.足を肩幅に開き、持ち上げる物の近くに立つ 2.頭、背中、お尻を直線にする意識で膝を曲げてしゃがむ 3.臀部と腹部の筋肉を引き締める 4.しゃがんだ状態から、物をできるだけ体の近くで持つ 5.頭、背中、お尻を直線にする意識で、足の筋力で持ち上げる 持ち上げるときに左右の手を使いながら、体から遠い位置にある物を持ち上げないようにするのがポイントです。 上記のような持ち上げ方をすると、腰にかかる負荷を抑えやすくなります。 長時間の座りっぱなしは良くない 長時間座っていると、腰に負担がかかるのでなるべく避けましょう。 たとえば、オフィスであれば20~30分ほど経ったら、立ち上がって少し歩いてから座り直します。 長時間乗り物に乗るときは、坐骨神経痛の痛みを避けるためにも、適度に体を動かすのを目的にして、こまめに休憩を取りましょう。 また、座るときは前屈みにならないようにするのがコツです。柔らかいソファーに座ると、腰に負担がかかるのでなるべく避けるようにします。 以下で、腰への負担を減らすときのポイントをまとめているので、参考にしてみてください。 【腰に負担をかけない座り方】 ・深く腰かける ・背筋を伸ばす ・頭や肩を後ろに引くイメージで猫背にならない ・足を組まない ・同じ姿勢を続けない ・急な動きを行わない 他に気をつけたい点として、一日のなかで座る時間が長いと、腰や背中の筋肉が硬直してしまい、運動能力が低下します。 数時間おきに休憩を入れて、しっかりと歩き回りながら、背筋を伸ばしましょう。 座りっぱなしをやめて体を適度に動かせると、負担を減らしながら症状を乗り越える力を蓄えられるはずです。 ハムストリングスのストレッチをしない ハムストリングスとは、太ももの内側の半腱様筋、半膜様筋、外側にある大腿二頭筋からなる3つの筋肉の総称です。 ふくらはぎの筋肉であるハムストリングのストレッチをすると、坐骨神経痛が悪化する可能性があるので注意が必要です。 たとえば、準備運動などの一環でよく行われる動作になります。ただ、ハムストリングを伸ばすと、坐骨神経に刺激を加えてしまい、痛みを増強させる場合があります。 そのため、坐骨神経痛の痛みがあるときは、全身の筋肉を温めるウォーキングや、水の浮力を使って背中に体重をかけない水泳を試してみてください。 前かがみにならない 前かがみの姿勢で物を取ろうとすると、背骨にかかる力が増えてしまいます。 さらに、持ち上げようとしている物の重さが組み合わさると靭帯、骨、椎間板に負荷がかかり、坐骨神経痛が悪化する可能性があります。 前かがみの動作をするときの対処法として、まずは背骨をまっすぐにして、そのままの姿勢で膝を曲げて腰を落とすのがポイントです。 たとえば、以下のようなシチュエーションがあげられます。 ・地面に落ちている物を拾うとき ・洗濯機から洗濯物を出し入れするとき など また、日常生活の家事では、洗濯機から洗濯物を取り出すときなどは、一気にまとめて行わずに少しずつ行うのが大切です。 腰に負担がかかるのを避けるために、家事などにおいても、重い物の持ち運びを避けてみてください。 間違ったサイズの椅子に座らない 座り心地の悪い椅子は、腰椎(ようつい)を支えきれず、坐骨神経痛の症状を悪化させる可能性があります。逆に沈み込み過ぎるような椅子も避けたいものです。 坐骨神経痛のときにおすすめの椅子は、背骨を伸ばしたままでニュートラルな姿勢を保てるような、人間工学に基づいた椅子があげられます。 股関節と膝の角度が90度の状態で、足の裏を床にフラットにつけて座っていられる椅子が良いでしょう。 背骨をねじりすぎない 背骨をひねる動作を始め、前屈(上半身を前に曲げる動作)や側屈(上半身を左右に曲げる動作)など、他の動作を組み合わせると、腰の痛みを悪化させる場合があります。 たとえば、冬の期間なら雪かきの動作や、間違った方法で物を持ち上げるといった内容があげられます。 重いものを持ち上げないの項目でも説明したように、まずは腰に負担をかけない物の持ち上げ方を学ぶのが大切です。 あわせて体幹のコアマッスルを強化するエクササイズを行い、柔軟性や可動域を向上させましょう。 また、怪我を防ぐために運動や活動をする前は、無理のない範囲でストレッチを行ってみてください。 柔らかすぎるマットレスで寝ない 柔らかいマットレスも腰に負担がかかるため、ある程度硬いマットレスのほうが良いでしょう。 マットレス以外の注意点として、ベッドで仰向けになると腰に負担がかかります。ベッドで休むときは横向きになるのがおすすめです。 また、ベッドから立ち上がるときは、ゆっくりと起き上がるだけでなく、腰に負担がかからない動作を意識します。 とくにベッドから腰を上げるときは、両手を膝につきながら、膝の力を使って動作を行うのも有効でしょう。 体を冷やしすぎない 腰や足を冷やしすぎると自律神経が興奮し、つねに体が緊張状態になってしまいます。 そのため、筋肉が固まってしまい、さらに神経を圧迫してしまうと考えられています。 とくに夏場は、冷房の効いた部屋に長くいると症状が悪化しやすいので、ブランケットや薄手の上着を持ち歩くなど、冷え対策を行いましょう。 太ってはいけない 体の脂肪をつけすぎず、太らないように配慮するのも、坐骨神経痛の症状を悪化させないために重要です。 食べすぎや運動不足により、上半身に脂肪が付きすぎると、腰に大きな負担がかかります。 坐骨神経痛の症状がある方は、医師などに相談しながら食事量や運動量を調節して、脂肪がつきすぎないように注意しましょう。 坐骨神経痛でやったほうが良いこと【無理のない軽めの運動】 坐骨神経痛のときにやったほうが良いことには、腰に負担がかからないような軽めの運動があげられます。 無理のない範囲で軽いストレッチや体操を行うと、体の筋力を低下させない働きかけにつながります。 また、間違った運動で腰に負担をかける状況を避けるためにも、理学療法士など、医療の専門家に相談しながら行ってみてください。 まとめ|坐骨神経痛でやってはいけないことを知って悪化を防ごう 坐骨神経痛は、腰の神経が圧迫されて引き起こされる症状で、背中や足、臀部に激しい痛みやしびれをともないます。 症状を改善するには、日常生活において、以下のやってはいけない9つのことに注意しましょう。 【坐骨神経痛でやってはいけないこと9つ】 1.重いものを持ち上げない 2.長時間の座りっぱなしは良くない 3.ハムストリングスのストレッチをしない 4.前かがみにならない 5.間違ったサイズの椅子に座らない 6.背骨をねじりすぎない 7.柔らかすぎるマットレスで寝ない 8.体を冷やしすぎない 9.太ってはいけない 以上のポイントに気をつけると、坐骨神経痛の症状を軽減できるでしょう。しかし、注意点を意識するだけでは、根本的な解決にはなりません。 坐骨神経痛の原因は人それぞれで異なりますので、医師や理学療法士などの専門家に相談し、適切な治療を受けるのが重要です。 とくに腰への負担を減らす立ち方や、物の持ち上げ方は、専門家からアドバイスや訓練を受けるとより効果的に行えるようになります。 ぜひかかりつけの整形外科医やリハビリの担当者に相談してみてください。 坐骨神経痛でやってはいけないことに関するQ&A 坐骨神経痛でやってはいけないことに関して、よくある質問と答えをまとめました。 Q.坐骨神経痛の原因は? A.坐骨神経痛は一般的に「腰椎椎間板ヘルニア」もしくは「腰部脊柱管狭窄症」などが原因です。 どちらも腰椎の部分に引き起こされる異常により、脊髄の神経根が圧迫されてしまい、下半身などに痺れるような痛みを引き起こすと考えられています。 坐骨神経痛は、重労働やスポーツ、長時間のデスクワークなどがきっかけになる場合もあります。 Q.坐骨神経痛の治療法は? A.坐骨神経痛の治療法はさまざまですが、まずは保存療法などを中心に行う傾向にあります。 たとえば、薬物療法や神経ブロック療法、理学療法や物理療法など、状態に応じて治療を進めます。 坐骨神経痛の治療法については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
公開日:2024.11.06 -
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 脊椎
頚椎椎間板ヘルニアの症状と手術後の「しびれ」という後遺症について 腰の椎間板ヘルニアは腰痛の原因として有名ですが、首の痛みには「頚椎椎間板ヘルニア」といわれるものがあります。 背骨(脊椎)のうち、首の部分を頚椎と言い、7つの骨からなります。この骨と骨とをつなぐクッションの役割をしている軟骨、座布団のような役割をしているものが「椎間板」といいます。 脊椎の中は脊髄が中心を走り、そこから手足への重要な神経の枝がたくさん出ています。 この椎間板が動くことで首を曲げたり、回すなどの動作ができる訳です。しかし、椎間板に何らかの衝撃が加わるなどすると中にある髄核と言われる組織が本来あるべき位置から外に飛び出してうことを椎間板ヘルニアと呼びます。 一般的に椎間板ヘルニアは、体の後ろ、背中側に向けて飛びだします。 困ったことに飛び出した先にあるのが脊髄という神経の束になり、本来の位置から飛び出してた髄核が脊髄を抑え込んで(圧迫して)しまうことになり、痛みや、しびれなどの症状となるわけです。 首に起こる痛みの原因は大きく二つ ・「筋肉や関節からくる肩こりや、寝違えの痛み」 ・「神経の痛みとして多いのが頚椎椎間板ヘルニア」 頚椎椎間板ヘルニアの原因 頚椎椎間板ヘルニアは、30~50歳代によく見られますので加齢だけが原因とはいえません。 「むち打ち症」などの交通事故がきっかけだったり、高所での作業中に落ちたり、鉄棒から落ちるなど、交通外傷、転落による外傷が原因となって脊髄を損傷し、ヘルニアになる事例があります。 また若い世代ではスポーツで首に負荷がかかる姿勢をとったり、普段あまり使っていない筋肉を鍛えようと運動を急にした時に、突然手足がしびれて力が入りにくくなった、という方もおられます。 頚椎椎間板ヘルニアの診断方法 患者さんの痛み・痺れがどこ領域に出ているか、それらがいつからあるかなどを診察します。 次にMRI検査を行い、ヘルニアがどこで起こっているか、神経の圧迫されている場所を確認します。 MRIは磁場で撮影しますので、CTと違って被曝の心配はありませんが、1時間程度かかる検査ですので、その間は安静を保つ必要があります。また、体内の金属が磁場に反応して発熱しますので、刺青があると火傷する可能性があるので、できません。 また、ステントや人工骨頭などの金属が入っている方は事前の確認が必要です。 頚椎椎間板ヘルニアの治療方法とは 頚椎椎間板ヘルニアにより神経の機能が障害されますので、頚椎椎間板ヘルニアの治療は、脊髄、神経を圧迫している椎間板部分を除去することが基本です。頚椎がぐらぐらして不安定な場合は、神経を圧迫しないよう椎骨を固定することも検討します。 ただ、障害されていた期間が長いほど、また年齢が上がるほど、神経機能が回復する可能性が下がります。そのため、治療の目的は神経を障害するものを除去し、本来の機能を回復する手助けをすること、が中心となります。 神経の痛みは手術後に軽減はしますが、「しびれ」に関しては改善しにくいことが多々あります。手術症状が残る人の方が多いようです。 頸椎椎間板ヘルニアに対する「再生医療」というアプローチ これまでの頸椎椎間板ヘルニアに対する治療方法は、内服や注射及びリハビリといった保存療法と手術療法が中心でした。保存療法や手術療法によって損傷した神経が自然再生することも期待できますが、時間を要することや後遺症を残すことがあります。 そこで、ご紹介するのは「再生医療(幹細胞治療)」という厚生労働省の許認可を得た新しい治療法です。まだまだ知名度は低いかもしれませんが、損傷した神経の再生に直接働きかけることを可能にする唯一の根本治療法となるものです。当院でも、頸椎椎間板ヘルニアの症状でお困りの方へ、新たな治療の選択肢として「再生医療(幹細胞治療)」を実施しています。 当院以外では、点滴で投与することが多いのですが、当院は点滴に加えてヘルニアにより傷んだ神経に対して、直接(ダイレクト)投与を行う『脊髄腔内ダイレクト注射療法』という特殊な方法を用いて治療を実施しています。同じ幹細胞治療であっても、ダイレクトに投与することで、より高い効果が期待できます。 治療方法でのお悩みなど、ご相談は、当院へお気軽にお問い合わせください。 頚椎椎間板ヘルニアの手術後の後遺症「しびれ」について 体の中の組織のうち、神経組織は回復に最も時間がかかります。 たとえば、皮膚は縫合すれば1~2週間程度でくっつきますし、骨折はギブスをあてがったり、金属プレートで骨どうしを固定することにより、およそ3~4か月程度でくっつきます。 しかし、神経組織の回復は、それよりもさらに時間がかかります。月単位でゆっくりと回復を見せ、手術後1年くらいまでは、何らかの改善がみられます。 さらに、手術前に神経がどのくらいのダメージを受けていたか、という問題もあります。 「交通事故の後遺症で・・・」という話を聞くこともあります。椎間板ヘルニアにも除去して回復できるダメージと、回復できないダメージがあります。 これはヘルニアを除去する前では経験に基づいた話はできますが、正確な予測がしにくい部分であり、手術をしてみないとわかりません。 頚椎椎間板ヘルニアの手術後の「しびれ」は、手術自体が神経そのものを治療するものではなく、圧迫状態にあった神経を圧迫から解放することが目的となるため、長期期間、圧迫状態にあった神経が変化、変性している可能性があり、手術で圧迫を取り除いたとしても神経の障害が治らず残ってしまうために「しびれ」が残ることがあります。 手術は慎重に 首は体の中でも非常に大切な部位です。治療にあたっては専門医を受診しましょう。 そして、大切なのは、自分の状態がどのような重症度なのか、そして検討されている手術により、どれくらい回復が見込まれ、手術そのものの危険性はどれくらいあるのか、ということを主治医からしっかり聞いて、納得してから手術を受けようにしてください。 わからない点や疑問点については主治医に尋ねて、しっかり理解するようにしましょう。 どの診療科に行けばいいのか 首や肩まわりなどの筋肉・関節の痛みというと、整形外科を想像される方が多いかと思います。 ここ20~30年くらいで、日本でも繊細な手術を得意とする「脳神経外科医」が頚椎椎間板ヘルニア手術を行うようになってきました。 「脊髄外科学会」という脊椎や脊髄の手術を扱う医師の学会では、脳神経外科専門医でかつ脊髄外科を専門とする医師が多くおられます。 また最近では整形外科医も顕微鏡を使って血管吻合など繊細な手術を行うようになりました。そのため、脊椎や脊髄の手術は、脳神経外科と整形外科のどちらでも高度なレベルで行われるようになってきました。 脊椎や脊髄の手術に力を入れている専門医がいる病院であれば、脳神経外科と整形外科、どちらでも安心して受診してください。 その他、新しい治療方法として再生医療とういう医療分野での治療方法もあります。これはここで書いたような従来の診療科目とはまったく異なる新たな選択肢になります。 そのため、整形外科や脳神経外科(脊髄外来)では対応できません。通常の医師では再生医療に対する知見がまだまだ乏しいのが本当のところだからです。この分野は、確かな経験と実績を持った再生医療専門医がいるクリニックや医院を探してお尋ねください。 まとめ・頚椎椎間板ヘルニアの症状と手術後の「しびれ」という後遺症について 頚椎椎間板ヘルニアは、首の痛みやしびれの原因として知られています。軟骨の損傷により椎間板が圧迫され、神経症状が生じます。原因は交通事故や急激な運動、加齢など様々です。 診断には、症状の確認とMRI検査が主に使われます。治療には保存療法や手術があり、手術後には「しびれ」の症状が残ることがあります。 最近では再生医療も注目されており、幹細胞治療が新たな治療法として導入されています。 手術を検討する際には、専門医の意見を聞き、慎重に選択することをお勧めします。 以上、頚椎椎間板ヘルニアの症状と手術後の後遺症「しびれ」についてについて記しました。 以上、参考になれば幸いです。 ▼こちらの動画もご参考になれば幸いです。お困りでしたら当院にご相談ください。 https://www.youtube.com/watch?v=5WTj47BqXbQ&t=110s
公開日:2024.10.07 -
- 脊髄損傷
- 脊椎
脊髄損傷とは?その原因と症状、治療法について 脊髄損傷という言葉(あるいは「脊損(せきそん)」)を耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。大まかなイメージはあったとしても、どういった原因で脊髄損傷になるのか、脊髄損傷になると、どのような症状が出現するのか?また、脊髄損傷の治療法についてよく分からない人がほとんどではないでしょうか。 この記事では、脊髄損傷とその症状および治療法について医師が解説します。なお、本記事では一般的な注意点について解説しておりますので、個別の事象については各自で判断せず医療機関に相談するようにしましょう。 脊髄損傷とは そもそも脊髄損傷の脊髄とは何でしょうか?脊髄は、脳と体をつなぐ神経の束を含む組織で、脊椎と呼ばれる背骨の中を通っています。脳と身体中の神経をつなぐ重要な役割を担っているため、この脊髄がなんらかの原因によりダメージ、損傷を受けるとさまざまな、そしてしばしば重篤な症状を引き起こすことになります。 これが脊髄損傷と呼ばれるものです。 脊髄損傷の原因 脊髄損傷の原因には様々なものがありますが、その原因が脊髄そのものにある場合と、脊髄の外にある場合といった大きく二つに分けることができます。 ① 原因が脊髄そのものにある場合: 脊髄は様々な神経の束を含みますが、この神経の束に栄養を与える血管が詰まったり破れたりする病態をそれぞれ脊髄梗塞、脊髄出血などと呼びます。またHIVや梅毒など脊髄に感染を起こすものもあります。 さらに脊髄の栄養となるビタミンB12の欠乏症、脊髄腫瘍なども脊髄損傷を引き起こします。しかし、脊髄損傷の原因が脊髄そのものにある場合は稀で、ほとんどの場合は原因が脊髄の外にあります。 ② 原因が脊髄の外にある場合: 脊髄は脊椎とよばれる骨組織のなかに存在し、周囲は脊髄液と呼ばれる液体で満たされています。この脊椎周囲組織の感染や出血により、脊髄が外から圧迫されて脊髄損傷を起こすことがあります。 また、感染や出血以外にも椎間板ヘルニアや放射線、交通事故などの外傷により脊髄の外から脊髄に障害を引き起こすことがあります。 脊髄損傷の症状 脊髄損傷はその原因が様々であるのと同様に、その原因やダメージを受ける部位によって症状が大きく異なります。筋肉を動かす運動神経、触れている・熱い・冷たいなどを知覚する感覚神経といった神経の種類によって脊髄の中での分布が違います。 先に述べた脊髄そのものの原因により脊髄損傷が起きた場合にはこの脊髄の中の特定の領域が影響を受け、感覚のみが傷害される、運動のみが傷害されるといった神経の種類による障害が起きることがあります。 一方で、脊髄の特定の部位が損傷すると、脊髄の中での分布にかかわらず特定の部位の全ての種類の神経が障害されることがあります。その場合は、損傷部位より下に出ていくまたは損傷部位より下から入ってくる全ての神経の伝達が不可能になるため、下半身の運動・感覚など全てが障害を受けるいわゆる下半身不随などが起きることがあります。 脊髄損傷の治療法 脊髄損傷の治療は、その原因および目的によって多岐にわたります。今回の記事ではその治療法を、下記の3つに分けて解説します。 (1) 原因に対する治療 (2) 救命のための治療 (3) 障害の影響を減らすための治療 (1) 原因に対する治療 先に述べたように、脊髄感染症やビタミン欠乏、腫瘍などの原因がある場合はそれぞれに応じた治療を検討することになります。椎間板ヘルニアや血腫(血溜まり)・膿瘍(膿溜まり)などが原因の場合、脊髄の圧迫を減らすために手術で原因を除去することもあります。 (2)救命のための治療 頸髄など頭に近い部位の脊髄は、呼吸や血液循環など生命を維持するために必要不可欠な臓器を制御する神経を含んでいます。そのため、こういった部位で脊髄損傷が起きた場合、生命の維持が危機に晒されることになります。 その場合には原因の検索や治療に先行して、人工心肺・人工呼吸器などを使って生命の維持を目的とした治療を行うこともあります。 (3) 障害の影響を減らすための治療 最大限の治療を尽くしても、残念ながら障害が残ってしまうことがありますが、そういった場合でも、とても重要な治療があります。それがリハビリテーションを中心とした、障害とともに暮らしていくための治療です。 リハビリテーションを行うことで、障害を受けた機能をほかの機能で代替することができたり、行政や医療サポートを受けながら脊髄損傷を発症する前により近い生活を送ることができたりする可能性があります。 ▶万が一、手術後に後遺症が残ってしまった場合には、再生医療である幹細胞治療が適応になります。もし術後の後遺症にお困りであれば、ぜひ一度当院にご相談ください。 https://www.youtube.com/watch?v=5HxbCexwwbE まとめ・脊髄損傷とは?その原因と症状、治療法について 今回の記事では脊髄損傷とその症状および治療法について解説しました。 脊髄損傷と聞くと一般的には重篤な病態でしばしば身体障害を伴うなどのイメージがあると思いますが、実際にはその原因や治療法が多岐にわたることをご理解いただけたと思います。 そのため、個々の事例によって状況が大きく異なるため、より詳しく知りたい場合は既に受診している、または最寄りの医療機関に問い合わせることを推奨します。 ▼ 脊髄損傷の再生医療|最新の幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、脊髄損傷の新たな治療法として注目を浴びています
公開日:2024.10.07 -
- 脊椎
- 腰椎分離すべり症
腰椎すべり症のつらい症状に悩まされ「治らないのだろうか」「手術はしなければならないんだろうか」と不安を抱える方も多いでしょう。 結論からいえば、腰椎すべり症は自然には治らないものの、適切な治療によって改善する可能性があります。 非外科的治療で効果がみられない場合のみ、手術も検討します。 本記事では、腰椎すべり症の症状や治療法などについて具体的に解説します。 ぜひ本記事を参考に、腰椎すべり症の治療を前向きに検討してみてください。 【結論】腰椎すべり症は自然に治ることはないが治療によって症状を緩和できる 腰椎すべり症は自然に治ることはほとんどありません。 しかし、医療機関にて適切な治療をすることで症状を緩和できる病気です。 腰椎すべり症の方が医療機関で行える治療は、次の2つあります。 非外科的(手術しない)治療 外科的(手術する)治療 それぞれ詳しく解説します。 腰椎すべり症の非外科的治療 腰椎すべり症の治療は、手術しない「非外科的治療法」から始めるのがほとんどです。 主に、以下の方法で症状を緩和させます。 安静にする:腰の負担を軽減し、必要に応じてコルセットを併用 鎮痛薬を使用する:通常は非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAID)を使用 神経根ブロック(注射)を行う:神経の根元に局所麻酔薬やステロイド薬を注射し、症状を緩和 つらい症状が落ち着いてきたら、お腹と背中を鍛える筋肉トレーニングやストレッチを行い、病状の進行を防ぎます。 腰椎すべり症(腰椎分離症)で注意すべきことは以下の記事でも解説しているので参考にしていただければ幸いです。 腰椎すべり症の外科的治療 以下のいずれかに該当する場合は、手術による治療も検討が必要です。 腰椎すべり症の程度が非常に強い 非外科的治療を行っても症状が改善されない 腰椎すべり症の治療で行われる手術は、主に以下の2つです。 脊椎の減圧術:神経の圧迫をとり、症状を和らげることで腰椎の回復を目指す 腰椎の固定術:腰椎を固定し、不安定な腰椎の安定と骨同士をくっつける(文献1) どのような手術の方法を選ぶのかは、医師が骨の状態をみて判断します。手術が不安である際は、一度医師に相談してみましょう。 腰椎すべり症とは「腰椎の骨同士がずれてしまう病気」 腰椎は腰の骨です。5つの小さな骨が縦にくっつき、腰を支えています。 腰椎をつくっている小さな骨同士がずれてしまう病気が「腰椎すべり症」です。 ここからは、腰椎すべり症の症状と原因、診断について詳しく解説します。 腰椎すべり症の主な症状 腰椎すべり症の主な症状は腰痛です。 腰椎が必要以上に動くため脊髄神経が圧迫され、腰痛や足の痛みを引き起こす可能性があります。 個人差はありますが、脊髄神経が圧迫されることで以下の症状も伴う場合があります。 太もも裏の筋肉のけいれん 背中のこわばり 歩行や立つことが困難 足のしびれ 腰椎すべり症の初期は、症状が現れない場合もあります。 腰椎すべり症の原因 腰椎すべり症の原因は、主に次の2つです。 変形すべり症:椎骨のクッションである椎骨板の水分が加齢により失われ薄くなり、椎骨がずれやすくなる病気 分離すべり症:生まれつき脊椎の一部が不完全、または体操のような腰に負担をかける運動の繰り返しで、脊椎の分離が起こりやすくなる病気 腰椎すべり症(腰椎分離症)の原因については以下の記事でも解説しているので参考にしてください。 腰椎すべり症の診断 問診や診察によって腰椎すべり症が疑われる場合、画像検査を行い腰椎すべり症かどうかを判断します。 医療機関では、一般的に以下のような画像検査を行います。 X線検査(レントゲン):腰椎のずれがあるかどうかを確認 CTスキャンやMRI:脊椎の様子をより詳しく観察、あるいは椎間板や神経組織の状態を確認 まとめ|適切な治療で腰椎すべり症の症状を緩和しよう 腰椎すべり症は適切な治療を行えば、症状が改善して以前の生活に戻れることも期待できます。 腰椎すべり症の初期は症状が出ない場合もあるため、今回解説した症状が出たら早めに受診しましょう。 リペアセルクリニックでは、自然治癒力を活かした治療が可能です。 メールによる無料相談やオンラインカウンセリングも受け付けておりますので「症状が繰り返される」「手術の後遺症がつらい」などお困りの方は、ぜひ当院までご相談ください。 No.S081 監修:医師 加藤 秀一 腰椎すべり症に関してよくある質問 腰椎すべり症は手術が必要ですか? 腰椎すべり症の治療では、必ず手術するわけではありません。 最初は鎮痛剤やブロック注射で症状を緩和し、腰の負担を減らすために安静に過ごして様子をみる場合がほとんどです。 症状の度合いが強すぎる、または鎮痛剤や静養で改善されない場合は手術の必要性があります。 手術に不安を感じる場合は、治療法について一度主治医に相談してみましょう。 腰椎すべり症は発症からどのくらいで治りますか? 腰椎すべり症は自然に治らないため、一度発症したら継続的に通院や治療が必要です。 個人差はありますが、腰椎すべり症で手術した場合は約10日間で退院する場合がほとんどです。 退院後も約2週間は自宅で静養し、手術から約1カ月間経過してから通勤・通学が許可されます。 ただし、入院期間や通勤・通学の再開時期は個人差があります。 参考文献 文献1 水野正喜ほか.腰椎固定術の基礎と低侵襲手技の発展.脳神経外科ジャーナル.2017.26 (5), 353-361
公開日:2024.11.06 -
- 脊椎
- 脊椎、その他疾患
ぎっくり腰の前兆、なんとなく違和感?!まずは原因を知って予防する! 日常生活の中で、重いものを持ち上げたりした時、身体を起こしたりした時、お辞儀をしたりする時などの何気ない動作の中で、急に腰が痛くなり歩けなくなる、ということを経験した人は少なくないと思います。 世間ではこれを『ぎっくり腰』と言っています。実は『ぎっくり腰』という病気は正式な疾患の名前ではありません。正式には『急性腰痛症』と言われます。ぎっくり腰で起こる腰痛は、『急性腰痛症』という文字の通り、急激に発症しますが、腰痛を起こさないため、おすすめの方法はないのか、その前兆について解説していきます。 ぎっくり腰について 先ほど述べたように、正式には『急性腰痛症』と言います。急性腰痛症は発症からの期間が 4 週間未満の腰痛を総称して言います。 腰痛の原因自体は、実はたくさんあります。腰や背骨を支えている様々な組織(椎間板、椎間関節、骨膜、筋肉・筋膜、靭帯、血管など)が疾患や外傷によって傷がついて腰痛を起こしていると言われています。 腰痛の原因と大きく分けると、脊椎が原因の痛み、神経が原因の痛み、血管が原因の腰痛、内臓が原因の腰痛、心が原因の腰痛に分けることができると言われています。 腰痛の原因 ・脊椎が原因 ・神経が原因 ・血管が原因 ・内臓が原因 ・ストレスが原因 このように腰痛の原因は様々ですが、ぎっくり腰自体の原因は、実ははっきりとしたことが解明されておらず、腰痛の様々は原因が関係しあって引き起こしているのではないかと言われています。 ぎっくり腰の原因と治療法 腰痛の原因にもありますがストレスが原因で「ぎっくり腰」が起こるというのは意外かもしれませんね。実は、『ぎっくり腰を起こしそう』と思っていることも、ぎっくり腰を起こす原因の一つであると言われています。 ぎっくり腰の症状は、『力を込めて物を持ち上げようとした際』や『挨拶をしようと頭を下げた際』、『座っている姿勢から、何気なく、立ち上がろうとした際』などに、急激に痛みが出現して、歩けなくなったりします。 経験している人は身をもって感じていることが多いですが、痛みは耐えられないくらいの激痛で、今までに経験したことのないほどの痛みであることが多いです。 経過について、意外かもしれませんが、急激に発症する腰痛は、慢性的な腰痛に比べて、治療を行わなくても自然に治ることが多いと言われています。治療について、明確に決まった治療法はなく、安静を保ち、ゆっくりと過ごすことが大事です。 ただし、これは単にゆっくり過ごすということではなく、なるべく早く日常の生活に戻ることも治療のために必要であると言われています。 身体を伸ばしたり、軽く体操することが効果がある可能性もあると言われていますが、ぎっくり腰を起こし痛みがどうしても耐えられない人は、鎮痛剤を内服したり湿布を貼ったりしながらも早期に日常生活に戻る努力を行いましょう。 ぎっくり腰の原因 ・力を込めて重い物を持ち上げようとした ・挨拶をしようと頭を下げた ・座っている姿勢から、何気なく、立ち上がろうとした ・腰に関わる急激な姿勢変動 ・ストレス(心理的要因) おすすめの治療法 ・受傷した当初は安静 ・痛み止め(鎮痛剤や、湿布等) ・早めに意識して日常生活に戻る。安静のし過ぎは良くない。 ・急激に発症した腰痛は、慢性腰痛に比べて、治療を行わなくても自然に治ることが多い ぎっくり腰ではない?に注意 ぎっくり腰で治療のために入院が必要になるということは、ほぼないと言われています。 しかし、ここで注意しなくてはいけないのは、『実は骨折していた』『実はヘルニアだった』などということもあるので、症状がなかなか良くならない時や、いつもと違う痛みのときは、なるべく早く病院に受診するのがよいでしょう。 日本整形外科学会のガイドラインでは、自然に症状がよくなるために影響している可能性があるものが紹介されています。 腰痛がより早く良くなるために大事なこととしては、発症する前に定期的に運動を行う習慣があることや、年齢が比較的若いこと、健康状態が良好であること、精神の状態を良好であることなどが挙げられています。 その反対に、腰痛がなかなかよくならない原因として、『痛みが頭から離れないこと』『痛みに対して無気力であること』『痛みを過大にとらえる』などの考え方が挙げられています。 ぎっくり腰の前兆とは ぎっくり腰の前兆についてお待たせしました!果たして、そんな症状はあるのでしょうか。 実は前兆について、大変残念なのですが『明らかなものがない』と言われています。何回も経験している人の中には『なんとなく腰が痛くなりそう』『嫌な予感がする』と前兆を感じることがあると言われます。実は、症状ではなく感覚として危険性を感じるようなのです。予感のようなものでしょうか・・・ この『なんとなく』といった違和感こそが、ギックリ腰の「前兆」と言えるものなのです。しかし、今までに経験したことのない方にとっては、そのような『なんとなく』などといったあいまいな前兆については、判別が難しいことでしょう。 結論は、「ギックリ腰の前兆については、そのような曖昧なものしかない」のが本当のところなのですが、予防策はあります。腰に不安がある方はぜひこの予防策をとっていただき、ギックリ腰に合わないための方法を知っておきましょう。 具体的には、姿勢を整えたり、規則正しい運動習慣を身につけたり、しっかりとした睡眠をとったり、身体も心も健康に保つことが予防のために重要であると言われています。 その反対に、身体の健康を損なった時や、ストレスなど心理的要因を抱えていたり、精神的に不安定なときは、ぎっくり腰を引き起こしやすいと言われています。そういう意味では、身体が疲れている時や、心が疲れている時、睡眠不足などの生活習慣の乱れも、前兆であると考えても良いのかもしれません。 もし、そのような予兆を感じた場合は、まず一旦、「今しようとしていることを止めて姿勢を正す」など、そのように思った流れを断ち切るように心がけましょう! ぎっくり腰は、前兆よりも、心と体を健康に保つことで予防できる ・姿勢を整える(意識する) ・定期的な運動習慣 ・しっかり睡眠 ・心と体の健康で予防する ・普段からストイレッチなど体の状態を管理する まとめ・ぎっくり腰の前兆はあるのか?まずは原因を知って予防する! ぎっくり腰は、日常的な動作の中で急激に起こる腰痛です。一度引き起こすと痛みで動けなくなり、とてもつらい思いをします。また、一度起こすと繰り返し起こりかねない疾患です。 外的要因以外、ストレスなどの心理的要因にて身体や心の健康が乱れることが、前兆となって起こる可能性もあります。つまり、ぎっくり腰を引き起こさないようにするのに大事なのは、身体や心の健康を保つことであると言えるでしょう。 実際になってしまった時は、あわてず早く良くなるために医療機関を受診されることをおすすめします、また、再発しないようにするために、身体や心を健康に保つことが非常に重要です。ぎっくり腰と思って放置していたら、別の病気が隠れていることもありますのでご注意ください。そのためにも軽い重いにかかわらず病院を利用しましょう。 病院いかず、症状がなかなかよくならない時、病院で診察を受けたけど経過が思わしくないときなども病院を受診してください。 以上、ぎっくり腰に前兆はあるのか、あるならどんな症状という内容で解説させていただきました。参考にして頂けると幸いです。 ▼こちらもオススメの記事です。あわせてご覧ください ぎっくり腰とは?やって良いこと、悪いこと ▼ 再生医療という新しい先端医療をご存知ですか 自分自身の、自然治癒力を活かしたこれまでになかった医療です
公開日:2024.10.07 -
- ひざ関節
- 脊椎
- 股関節
- 肩関節
- 手部
- 肘関節
- 足部
MRI検査と検査を受ける際の注意点について MRI検査は、強力な磁気を利用して身体の断面や血管を撮影する装置で、そこから得られた画像を基にして病気の診断を行える検査方法です。 近年では、人間ドック等でも使用する機会が増えてきたので一般的になりつつあるMRI検査ですが、人によっては検査を受けることが難しい場合があります。 本記事ではMRI検査でできるこの内容や、注意点について解説してまいります。MRIを用いた検査を受けることを予定している方で、本記事で記したMRI検査の注意事項に当てはまる人は、必ず検査の前に担当の医師に申告するなどご相談されることをおススメします。 MRI検査とは MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像診断)検査とは、強力な磁場を発生させるトンネルのような装置の中で、身体の内部の断面を様々な方向から撮影する検査です。 MRI検査は、ベッドに横たわり検査が始まるとベッドが自動で動いてトンネルのような装置の中に入っていきます。磁場が発生するときは工事現場のような大きな音がするため、ヘッドホンや耳栓をして検査を行う場合もあります。 MRI検査でわかること MRI検査は、全身の疾患について調べることができるのですが、特に四肢(両手、両足)、関節軟部組織の疾患や脊椎、脳について高い検査能力を有しています。骨や、その周辺の軟骨の状況も精査できるほか、脳を含む頭部や骨盤内の臓器などを検査する際に使われます。 また、MRI検査と同じように身体の内部を撮影する検査としてCT検査というものがあります。MRI検査と同様にトンネルに入って行うもので装置の見た目も似通っているのですが大きな違いがあります。 それは、「CT検査は放射線を使った検査」ですが、「MRI検査は、磁場と電波を使った検査」です。そのため、放射線を使わないMRI検査の方が身体への負担が少ないと考えられます。 検査原理 得意な部位 MRI検査 磁場と電波 整形外科の主な症状 腱板損傷、腱板断裂、関節損傷、靭帯損傷、半月板損傷、頸椎症、胸椎・腰椎ヘルニア、頸椎ヘルニア、脊髄腫瘍、骨軟部腫瘍、その他。 脊髄、関節、脳、骨盤腔内臓器 ※関節軟部組織の描出が得意 CT検査 放射線 骨、脳、肺、腹部 MRI検査の所要時間 MRI検査の所要時間は、20~45分と、CT検査(10~15分)に比べて少し長い時間がかかります。身体を動かすと画質が落ちてしまうため、検査中はなるべく身体を動かさずにいることが重要です。 また、MRI検査の結果が出るまでの期間は、即日すぐに出る場合もあれば、は7~10日間ほどかかる場合もあります。医療機関によって変わるためご確認ください。 MRI検査で注意事項 MRI検査は、強力な磁石と電磁波を使用します。そのため、MRIの検査室内には、金属類の持ち込みは一切禁止されていて、金属類、例えばファスナーやチャック、金属製のボタンなどが付いた服装では受けることができません。 また、女性の方はホック付きのブラジャーも着用できない可能性があるため注意が必要です。その他、バッグはもちろん、携帯電話や腕時計、財布といった貴重品、身に付けているアクセサリーなどの金属類はすべて取り外すことが必要です。ヘアーピンなども忘れがちですので注意してください。 医療機関では、MRI検査時に検査着に着替える場合が多いため、なるべく金属が付いておらず着替えやすい服装で来院するとスムーズに検査を受けることが可能です。 金属が付いていなくても昨今の発熱系素材の下着なども注意が必要です。ちなみに入れ歯は外し、インプラントも素材によっては難しい場合があります。 身に着けてはいけないもの、注意が必要なもの ・ファスナー、金属ボタンのついた衣類 ・メイク、マニキュア(アイシャドウ、マスカラ、ネイルアートに注意) ・入れ歯、(インプラントは事前相談が必要です) ・腕時計、メガネ、ペアピン等のアクセサリー類 ・コンタクトレンズ(事前相談が必要です) ・コルセット系の下着、ホックが付いた下着・衣類 ・金属のついている服や下着など ・発熱保温機能付の衣料(ヒートテック等) ・その他、事前に注意事項をしっかり理解しましょう MRI検査の注意事項 MRI検査は、強力な磁石や電波を使うため、火傷などの事故が起こらないよう十分気を付けなければなりません。人によっては、身体の状態や状況によってMRI検査を受けることが難しいと判断されることがあります。 次の項目に当てはまる人はMRI検査を受けることが出来ない場合があるため注意が必要です。 ・体内に金属(インプラント、ペースメーカーなど)を埋め込んでいる人 手術などで体内に金属、プレートやボルトを埋め込んでいる人は、MRI検査で使用する磁石と金属が反応して検査画像の乱れや火傷の原因となる可能性があります。 次のような金属を体内に埋め込んだ症歴がある場合は、検査を受ける前に必ず申告し、MRI検査可能であるか確認しておきましょう。また、治療を受けた病院等にて、金属の種類を事前に確認を求められることがあります。 ・心臓ペースメーカー ・骨折で体内に金属が入っている ・脳動脈クリップ ・血管ステント挿入 ・人工内耳、人工中耳 ・脳深部刺激装置 ・入れ墨、アートメイク ・リフトアップを金糸で行った場合 ・妊娠中、または妊娠の可能性 ・金属片が飛び散る職場での勤務 ・閉所恐怖症の方 ※上記でもチタンを用いていたり、その他できる場合もあります。 刺青やアートメイクをしている 刺青や、タトゥーで検査ができないことを不思議に思われるかもしれません。実は、刺青やタトゥーの色素には、鉄などの金属が含まれている場合があるためで、MRI検査の強力な磁石と反応すると火傷を引き起こす可能性があるからです。 アートメイクの場合も、使用される金属の量は僅かですが、ごくまれに刺青と同様に検査画像の乱れや、火傷を引き起こす可能性があるため同じく注意が必要となります。 刺青やアートメイクをしている人は、MRI検査を受ける前に必ず担当医師に申告しましょう。 閉所恐怖症/狭い所が苦手な人 MRI検査は、狭いトンネルのような空間の中で行われるため、狭い所が苦手な人や閉所恐怖症の人は事前に申し出ておきましょう。特にMRIはの検査時間は、長いと40分ほど必要になるため、こういった症状をお持ちの方は注意が必要です。 狭い所が苦手であることを伝えておけば、医療機関によってMRI機器の明るさを調整したりできる場合や、検査機関によってはオープン型のMRIを使用できる場合もあります。 また、我慢できない場合は、検査員に知らせるためにスイッチなども案内されますので気持ちを楽にしてお受けください。MRI検査について不安なことがあれば、ちょっとしたことであっても検査を行う前に医療機関に相談しておくと安心です。 メイクや、コンタクトレンズにも火傷の危険性 先ほどアートメイクに注意が必要としましたが、通常のメイクであっても注意が必要です。メイクをしたままMRI検査を受けることには、大きなリスクが伴います。 アイシャドーやマスカラ、アイラインなどの化粧品は、種類によっては金属が含まれている場合があるため、検査画像の乱れや火傷を引き起こす恐れがあります。 正しく安全に検査を終えられるように、MRI検査が始まる前までにメイクを落としておきましょう。 また、コンタクトレンズ(特にカラーコンタクトレンズ)には鉄成分が含まれている場合があるため、コンタクトレンズをつけたままMRI検査を受けた場合も検査画像への影響や火傷の危険があります。 コンタクトレンズを使用している人はMRI検査の前に外しておくか、検査の日は眼鏡をかけて来院し、検査中は眼鏡を外すといった対応を行うと安心です。 まとめ・MRI検査と検査を受ける際の注意点について MRI検査は造影剤は、被ばくの危険性がないため、CT検査よりも身体に負担の少ない検査であると言われています。しかし、体内金属を埋め込んでいる人や刺青をしている人は危険が伴うため検査が受けられない場合があることを知っておきましょう。 また、メイクをしたままやコンタクトレンズを付けたままの状態でMRI検査を受けることにも大きなリスクが伴いますので、事前に必ずMRI検査における注意事項を確認しておきましょう。 今回は、MRI検査についてと、検査を受ける際の注意点を記しました。参考して頂ければ幸いです。
公開日:2024.10.07 -
- 脊椎
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 腰部脊柱管狭窄症
- 脊椎、その他疾患
坐骨神経痛、下半身に起こる電撃や痺れるような辛い痛みの治療法 坐骨神経痛とは、いわゆる腰付近に存在している坐骨神経に沿ってお尻辺りの臀部から下肢のうしろ面などにかけて電撃のように引き起こされる痛みを伴う症状の総称です。 坐骨神経は腰の辺りから足先までに伸びている神経の束であり、この坐骨神経が何らかの原因によって物理的に刺激されると下半身に痛みや、しびれ、といった症状が引き起こされることとなります。 今回は、そのような坐骨神経痛という病気の原因、症状、検査、治療などに関する情報を中心に詳しく解説していきます。 坐骨神経痛の原因 坐骨神経痛の原因は、一般的には「腰椎椎間板ヘルニア」や、「腰部脊柱管狭窄症」などが挙げられます。傾向としては若年者の場合では、腰椎椎間板ヘルニアが多く、その一方で高齢者では腰部脊柱管狭窄症の罹患率が増加してきます。 腰椎椎間板ヘルニアの場合は、日常的に腰部に負担がかかりやすい重労働やスポーツ、長時間のデスクワークなどが主な発症原因として知られています。 腰部脊柱管狭窄や腰椎椎間板ヘルニアの両者とも腰椎と呼ばれる背骨の部分に引き起こされる異常によって脊髄の神経根が圧迫されて、同様に坐骨神経痛を始めとする下半身痛や下肢領域の「痺れるような痛み」を起こすと言われています。 また頻度としては少ないですが、坐骨神経痛は骨盤内腫瘍などによって神経束が圧迫されることが原因として症状を表すこともあります。 さらに注意したいのは、体重が増加すると腰に負担がかかるため、肥満体形にならないように食事や運動などを意識して行い体重管理に努めることが必要です。また、下半身の冷えが坐骨神経痛につながることがあることも知っておきましょう。 坐骨神経痛の辛い症状 坐骨神経痛による代表的な症状としては、お尻や脚の後面にかけて「電撃のような痛み」や、「痺れるような痛み」が起こります。 また、それ以外にも、冷感や灼熱感を自覚する事もありますし、それらの症状は下肢の一部の領域のみに出現することもあれば、下肢全体にかけて認められることもあります。 腰椎椎間板ヘルニアが原因の坐骨神経痛では局所的な疼痛症状を訴えることが多い一方で、腰部脊柱管狭窄症が原因のケースでは間歇性跛行という症状を生じることが往々にして認められます。 間歇性跛行とは、日常生活において、しばらく歩くなど動くことでお尻や太ももにかけて痛みといった症状を自覚するものの、一旦休むことで自然と痛みが治まり、歩行を再開すると再度同様に疼痛症状を起こすことが特徴の一つです。 本疾患では、様々な症状をくり返すうちに、痛みがさらに悪化して、歩行自体や椅子から立ち上がることすら困難になる可能性も指摘されているため、日常生活に高度に支障をきたす恐れがある病気ですので十分な注意が必要です 坐骨神経痛の検査 坐骨神経痛における検査方法は、本疾患の原因となっている病気を精査することで特定します。 ほとんどの腰椎レベルにおける病変自体が坐骨神経痛の原因となることが多いとされているのですが、時に帯状疱疹、子宮筋腫、変形性股関節症などの病気が主症状の根本的な原因となっていることもあるため、疑われる病気に応じて各種検査が行われます。 実際に医療機関を受診する場合の一般的な診断の流れは、まずは問診や診察を行って坐骨神経痛が強く疑われたときには、その後にX線によるレントゲン検査やMRIを用いた画像検査などを行うことによって病変部を詳細に評価します。 坐骨神経痛の治療方法 坐骨神経痛に対する治療策はさまざまであり、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症が原因となるケースでは、まずは患部安静や固定、薬物療法、理学療法などを中心とした保存療法が勧められます。 1.薬物療法 非ステロイド性消炎鎮痛薬が処方されることが一般的であり、それ以外にも神経障害性疼痛に対する治療薬、筋緊張を和らげる薬剤、あるいは血管拡張薬などを服用することもあります。 2.理学療法 日常生活の質の維持などを目標として、コルセットと呼ばれる装具を身につけながらストレッチ体操や歩行訓練などを行って疼痛症状を緩和できるようなリハビリを実践します。 3.神経ブロック療法 局所麻酔を行うことで、神経に痛みが伝わらないように行うのがブロック療法です。(痛みをブロックすることから)整形外科や、ペインクリニックなどで行われ流ことが多いです。 4.認知行動療法 物事の考え方・捉え方や行動に働きをかけて、ストレスを軽減する治療法です。痛みについての認識を改めて理解し、必要以上のストレスや悪い感情を軽減することを目的としています。 5.装具療法 コルセットをはじめとした装具を用いて、腰椎を安定させることで痛みを和らげる療法です。ただし、あまり長い期間使いすぎてしまうと元々の体力が低下してしまうため、医師と相談をしながら、1ヶ月前後を目安にしましょう。 6.物理療法 神経痛の原因の一つに、血行不良が挙げられるケースがあります。そのため、マッサージや低周波電気療法などを行い、血液の流れに訴えかけたり、刺激を促す効果を期待します。 身体への負担が少ないため、自身の体力に合わせて検討してください。 万が一、これらの保存的治療で症状が改善しない場合、あるいは下半身の脱力症状や膀胱直腸における排尿や排便に関する機能そのものに障害が認められるケースでは脊椎内視鏡を用いた外科的手術治療を考慮することがあります。 坐骨神経痛の痛みの予防方法と改善の仕方 坐骨神経痛を予防・改善するためには椎間板や背骨の関節への負担をかけないことが重要です。小さなことでも日頃から意識をすることで、大怪我の予防につながるためしっかり理解しておきましょう。 1.坐骨神経痛を予防するために 坐骨神経痛を予防するためには、ストレッチを行うことが効果的です。特に、デスクワークなどで長時間同じ姿勢になりがちな方は、こまめにストレッチを挟むことで、筋肉や背骨の緊張をほぐすことにつながります。 2.坐骨神経痛を改善するために 坐骨神経痛の改善には以下にご注意ください。 ・同じ姿勢を長時間とらない ・あまり重たいものを持ち上げる動作を行わない ・腰回りの筋力をつける ・肥満を避ける生活を心がける ただし、症状や原因によっても異なるため、具体的な予防法・改善方は診断を受けている医師と相談しましょう。 まとめ・坐骨神経痛、下半身に起こる電撃や痺れるような辛い痛みの治療法 今回は坐骨神経痛とはいったいどのような病気なのか、また本疾患の原因、症状、検査、治療などについて詳しく解説してきました。 坐骨神経痛とは、主に腰部から足先にかけて走行している坐骨神経束が色々な原因によって圧迫されて物理的に刺激されることで痛みやしびれなどの症状を来す疾患を指します。 この病気は、日々の生活習慣を見直すことで予防や症状改善に繋がりますので、疑わしい症状がある際には自己判断で放置せずに専門医に相談しましょう。 以上、坐骨神経痛とは、その原因と症状、治療についてと題してご説明させていただきました。今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 ▼ 再生医療の幹細胞治療に関する詳細は以下をご覧下さい 当院の再生医療は、自己脂肪由来の幹細胞治療を推進しています
公開日:2024.10.07 -
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 脊椎
「頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないことはある?」 「頚椎椎間板ヘルニアの予防で注意したいポイントは?」 頚椎椎間板ヘルニアを始め、頚椎疾患は、日常診療のなかでも多い病気のひとつです。頚椎疾患自体は、30~50代前後の中年層に患者数が多い傾向にあります。 ときには訳もなく発症するケースがあるものの、多くは日常生活で悪い姿勢のまま作業をしたり、首に負担のかかりやすい運動(スポーツ)をしたりすると起きやすくなります。 また、頭の重さは5~6Kgほどです。要はボーリングの球が首に乗っている様子をイメージしてみてください。いかに首への負担がかかっているのか、ご理解いただけるでしょう。 そのため、日常生活において大きな衝撃がないときでも、ほんの数センチ頭が傾くだけで、首に負担がかかってしまうのです。 今回は頚椎椎間板ヘルニアを患った人が、日常生活においてやってはいけないことを解説します。最後までお読みいただければ、注意点や予防法を理解できるはずです。 先に主要ページに飛びたい方は、頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと5つの項目を参考にしてみてください。 頚椎椎間板(けいついついかんばん)ヘルニアについて 頚椎椎間板ヘルニアは、椎間板の一部が本来の正常な位置からずれて後方、背中側に向けて突出してしまう病気をいいます。 ちなみに「椎間板(ついかんばん)」とは、脊椎(せきつい)領域において、骨と骨の間にあるクッションの役割を担っている軟骨のことです。 首の骨は「頚椎(けいつい)」と呼ばれ、7つの骨で構成されています。 特に、頭側に位置する上位頚椎椎間板ヘルニアは、加齢にともなう下位頚椎の変形などにより、上位頚椎に負荷がかかって引き起こされるのが一般的です。 若年者から中年層にかけて幅広く発症し、多くは悪い姿勢でのデスクワークが原因で起こる傾向にあります。 あるいは頚部に重い負担や、大きな衝撃がかかる以下のようなスポーツで発症する可能性もあるでしょう。 ・ラグビー、アメフト ・柔道 ・レスリング、ほか格闘技など ・スキー、スノーボードなど(ウインタースポーツ) また、頚椎椎間板ヘルニアになったときにあらわれる症状は、以下のとおりです。 ・首や肩、腕にかけて広範囲に痛みやしびれが出てくる ・食事中に箸が持ちづらくなる ・服を着るときにボタンがかけづらくなる ・歩くときに足がもつれる 医療機関などで頚椎椎間板ヘルニアの患者さんを診療するときは、手足の感覚や筋力が通常より低下していないかを確かめます。 あるいは四肢の腱(けん)反射異常などを観察したうえで、MRI検査(核磁気共鳴装置)で画像を確認し、脊髄の圧迫状態を確認します。 頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと5つ【予防法も解説】 前項で触れた通り、頚椎椎間板ヘルニアという病気は、スポーツなどが契機となって発症しやすい傾向にあります。 頚部のしびれや痛みなどの症状がみられる場合には、運動を一旦中止し、医療機関の受診を検討しなければなりません。 以下では、日常生活で注意するためにも、頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと5つをご紹介いたします。動画の解説もあわせてご確認をいただけるとうれしいです。 https://www.youtube.com/watch?v=xbxEK7kz0y0 ・スポーツでの違和感は放置しない ・姿勢が良くないまま過ごさない ・体重管理をせず体に負担をかけない ・自転車・バイクなどに乗って負担をかけない ・喫煙を習慣化しない スポーツでの違和感は放置しない アメリカンフットボールやラグビー、格闘技系など、激しいコンタクトを要求されるスポーツ選手は特に注意が必要です。 また、体操選手などは、体に対して急激で強い外力が頻繁に加わる動作をおこない、長時間同じような動作を反復するので頚椎椎間板ヘルニアを発症するリスクがあります。 とくに年齢を重ねると椎間板が劣化しやすいため、激しい動きがある種目は行わないようにするか、可能な限りリスクに注意して行うなどの対策を取ってみてください。 ほかにも、症状が軽度な場合に「この程度なら大丈夫」と自己判断して放置し、治療をしないままスポーツや生活を続けるのは避けましょう。 頚椎椎間板ヘルニアは自然に良くならないので、違和感を放置すると症状を悪化させる原因に繋がりかねません。 首に痛みや違和感があるときは、早めに医療機関で診察を受けて、医師から適切な判断をあおいでみてください。 姿勢が良くないまま過ごさない 頚椎椎間板ヘルニアを引き起こしやすい例としては、日常的な姿勢の悪さがあげられます。 たとえば、腰の部分が反ってしまう「そり腰」を始め、腹部に体幹を支える力が入っていない状態の「猫背」が代表例です。 頚椎椎間板ヘルニアの発症防止や、発症後に症状を悪化させないためにも、日常生活で背筋を伸ばすなど「正しい姿勢を意識する」ことが大切です。 以下では、姿勢が崩れていないかの確認方法を解説いたします。 【姿勢の確認方法】 まずは、大きな鏡の前で自身の姿勢を確認しましょう。 もしくは自然に壁の後ろに立ち、かかとを壁に付ける形で確認します。 その際、お尻・肩・頭は、壁に軽くついているかを始め、背中は手のひら1枚分ほどの隙間があるかも確かめましょう。 準備が整ったら、姿勢が悪いときに当てはまる以下のポイントをチェックします。 ・お尻、肩、頭が壁につかない部分がある ・頭の後頭部がつかない(頚椎に負担がかかっている) 姿勢の悪さに気づいたときは、背筋を伸ばすなど、日頃から正しい姿勢を意識するように注意しましょう。 正しい姿勢を知って維持したい方は、正しい歩き方を含めて解説している以下の記事も参考になります。 体重管理をせず体に負担をかけない 平均的な体重の成人は、上半身の重さが全体重の6割ほどといわれています。 体重が重い肥満傾向の場合は、そのぶん頚椎椎間板にかかる負荷が大きくなります。 身長に対して過剰な体重にならないためにも、適度な運動や食生活の見直しをおこない、体重を管理することが大切です。 自転車・バイクなどに乗って負担をかけない すでに頚椎症の疑いや症状がある場合は、自転車やバイク、自動車などに乗るのは控えるほうが良いでしょう。 特に自転車やバイクの転倒時には、急激に首に力が入ってしまいます。リスクを避けるためになるべく運転を控えましょう。 それでも自転車に乗る場合は、停止時はすぐに地面に足が着くようサドルを調整し、無理のない走行を心がけます。 また、自動車でほかの人に運転してもらう場合は、乗る前に事情を説明しておき、安全運転をお願いしましょう。 乗り物に乗るときは、以下の点にご注意ください。 【自転車・バイク・自動車などに乗るときの注意点】 ・発進や停止するときは、首に大きな負担がかかる点を意識する ・急発進や急ブレーキも、首に大きな負担がかかるので避ける 乗り物以外では、重い荷物を持ち上げるなど、首に負担がかかる動作は控えてみてください。 どうしても持ち上げる必要があるときは、腰を曲げてかがむのではなく、膝を折ってかがめば首にかかる負担を減らして持ち上げやすくなります。 正しい姿勢を意識しながら、何らかの動作が必要なときは、首に負担がかからないようご注意ください。 喫煙を習慣化しない 何より注意すべきは喫煙です。喫煙は、全身の毛細血管の血流を悪化させて、椎間板の劣化が起こりやすくなると考えられています。 頚椎椎間板ヘルニアを患っているにも関わらず、喫煙習慣があるのなら、なるべくタバコを吸わないようにしましょう。 もしくは大幅に減らすなど、できる限り禁煙するといった努力を心がけてみてください。 ご存知のように、タバコは万病のもとといわれるため、この機会に禁煙されてはいかがでしょうか。 最近は電子タバコなどもあり、切り替えながら少しずつでも減らしていければベストですね。 頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと【まとめ】 ・激しいスポーツを避ける(それ以外のスポーツも要注意) ・重い荷物を持つなどの重労働は避ける ・腰を曲げてお辞儀するようにかがまない(首に負担がかかる) ・猫背、そり腰を避ける(正しい姿勢を知る) ・太らないこと、体重の増加に注意する ・自転車やバイク、自動車の急発進や急停止などに注意する ・スマホを悪い姿勢で見ない(首への負担を意識する) ・禁煙が望ましい 【頚椎椎間板ヘルニアの予防法】 ・正しい姿勢を知って維持する ・腹部で体幹を支えるように意識して姿勢を正す 頚椎椎間板ヘルニアを予防するには、ストレッチ方法を知っておくのもおすすめです。詳細については、以下の記事で詳しく解説しています。 まとめ|頚椎椎間板ヘルニアは姿勢を意識して負担を減らそう 椎間板が劣化する原因は、加齢などを含めてさまざまです。 頚椎椎間板ヘルニアになる要因やリスクを避けるために、以下のポイントを押さえておきましょう。 ・肥満 ・喫煙習慣 ・悪い姿勢 ・激しいスポーツ活動 など 普段の生活における環境要因(乗り物の運転など)を始め、頚椎椎間板ヘルニアの予防は正しい姿勢を知ることが第一です。 ほかにも、正しい姿勢で散歩したり、泳ぐのが好きな方はスイミングを取り入れたりするなど、持続的に無理のない範囲で運動する習慣を持つことも大切です。 現在、頚椎椎間板ヘルニアの治療中で、本記事をお読みいただいている方は、無理をなされないよう気をつけてお過ごしください。 頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないことを知る上で、少しでも参考になれば幸いです。 当院「リペアセルクリニック」では、頚椎椎間板ヘルニアのしびれなどにおける治療方法のひとつとして、再生医療(幹細胞治療)を行っています。 現在、頚椎椎間板ヘルニアで悩まれている方は、メール相談、またはオンラインカウンセリング(電話番号:0120-706-313)からご相談ください。 頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないことに関するQ&A 頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないことに関して、よくある質問と答えをご紹介いたします。 Q.頚椎椎間板ヘルニアの治療法は? A.頚椎椎間板ヘルニアでは「保存的治療」もしくは「外科的治療」を行います。 保存的治療において、主な治療方法は以下の3つです。 ・薬物治療:鎮痛薬の内服、神経ブロックなど(安静保持を含む) ・牽引治療:頚椎カラー装具で首を固定、首の牽引治療など ・理学療法:マッケンジー法、首のエクササイズなど ただ、保存的治療では顕著な症状改善を見込めず、手や足の筋力低下が続いて悪化するケースもあるかもしれません。 もしくは、スムーズに歩けないなどの歩行障害、尿失禁を始めとする排尿障害を合併する場合には、外科的治療(手術)を検討するケースもあります。 頚椎椎間板ヘルニアの治療法における詳細は、以下の記事で解説しているので参考にしてみてください。 Q.頚椎椎間板ヘルニアの初期症状は? A.初期症状は、主に以下の3つがあげられます。 ・首の痛み(最初期の症状) ・片方の腕や手の痛み、痺れ ・両手の痺れ、感覚障害 進行すると症状が悪化する可能性があります。少しでも違和感があるときは、早い段階で医療機関を受診してみてください。 頚椎椎間板ヘルニアにおける初期症状の詳細は、以下の記事も参考になります。 Q.頚椎椎間板ヘルニアの入院期間・休業期間はどのくらい? A.手術を受けた場合、入院期間の目安は、リハビリなどを含めて10~14日ほどです。休業期間の目安は、2~3週間ほどになります。 頚椎椎間板ヘルニアの入院期間や休業期間の詳細を知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。 Q.頚椎椎間板ヘルニアのリハビリ方法は? A.患者さまの状態や生活習慣に応じて、運動療法や物理療法などを行います。 また、専門家からセルフケアの方法や動作に関するアドバイスも受けられます。 リハビリの目的などを含めて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
公開日:2024.10.28 -
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膝や肩、股関節の関節痛の診断に何故MRI検査が必要なのか 長時間の立ち仕事、座ったままのオフィスワークはもちろん、日頃から運動やスポーツをよくされる方にとって、首や肩はもちろん、腰や膝の痛みは日々の大きな悩みです。これらの痛みについて、その原因をつきとめるためには画像による情報をもとにした診断がとても重要です。 中でも膝や腰の痛みについて判断する際には、画像検査の中でもMRIを使っての検査が重視されます。今回は、膝や腰、股関節など深刻な関節痛の診断にMRI検査を使う理由についてみていきます。 1、画像検査について 診察時の画像検査として、誰もがご存知のレントゲン検査に加えて、CT検査、MRI検査という画像診断の方法があります。それぞれの長所・短所があるのでご説明させて頂きます。 1)レントゲン検査 レントゲン検査は、多くの方にとってなじみのある放射線の一種であるエックス線を用いた検査方法です。短時間で簡単に行えますし、苦痛もほとんどないため、まずはレントゲンを撮る病院が多いかと思います。 レントゲン検査は、骨の状態、部分を詳しく見るのに適しています。たとえば骨折や、骨の変形などがその代表です。しかし、筋肉・軟骨・神経などの骨より柔らかい組織を撮影することができません。 また最近はデジタル化の影響で線量が格段に少なくなっているため通常の検査であれば問題はありません。ただ、放射線を用いる検査ですので、何度も繰り返して検索を行うなどの場合は被曝の可能性については気になるところです。 2)CT検査 (Computed Tomography) CT検査は、レントゲンと同じエックス線を用います。このエックス線をあらゆる方向から照射することで体の輪切りした画像を撮影することが可能にするものです。レントゲンと違って体の内部まで輪切りにした状態で確認ができます。 輪切り画像を重ね合わせて他の断面の画像を構築したり、三次元(3D)の立体画像で確認することもできる検査です。レントゲン検査よりもさらに詳しく骨の状態を評価することが可能ですが、レントゲンと同じく筋肉・軟骨・神経などの骨より柔らかい組織については判断しにくいことがあります。 3)MRI検査(Magnetic Resonance Imaging) MRI検査とは、大きな磁石(磁場)を利用して体の内部を画像化する検査です。レントゲン検査や、CT検査ではわからない筋肉や神経などの柔らかい組織を写し出すことを得意としています。また、何より放射線を使用しないため被曝も無く、患者さんの人体に無害な検査という点で優れています。 ただ、装置自体が大きく、とても高価なため、大学病院をはじめとした一部の施設にしか配置されていません。また、検査に際しては、筒状の装置の中で30分程度は検査時間として、じっと我慢する必要があります。 狭い筒の中で閉じ込められるため、(閉所恐怖症)がネックとなります。また機械の作動音が大きく、それが我慢できないという方もおられます。もちろん具合が悪くなったら係員に知らせるためのボタンなどがありますので安心してください。 その他の注意としては、MRI検査は、誰でもできる訳であはありません。仕組みとして非常に強力な磁石を用いた装置であることから、体内に金属があると検査できないことがあります。 整形外科等の骨折の手術等でボルトや、プレートなどが入っていたり、特に心臓にペースメーカーを入れている方は、MRI検査に対応したペースメーカーでなければ撮影することができません。これはペースメーカーに付属の手帳で詳細が案内されているはずですのでご確認ください。 また、歯科インプラントはチタンでできていますし、心臓や脳血管のステントも大丈夫なことが多いのですが年のため、主治医にご相談ください。 ただし、注意が必要なのは刺青です。 最近はファッションで手軽に刺青を入れる方が増えてきました。実はこの刺青の色素に金属成分が含まれることがあります。色素の金属がMRI検査により熱を持ち、火傷にいたる可能性があります。そのため注意が必要です。 2、腰が痛い場合のMRI検査 腰痛の原因は様々ですが、MRI検査でわかるのは、軟骨の変形や神経の圧迫などです。 腰にある筋肉が肉離れを起こしたような状態であるギックリ腰や、腰の筋肉の疲労からくる筋・筋膜性腰痛症はMRI検査では異常がわかりません。 一方、椎間板ヘルニアではMRI検査が重要です。腰の骨(腰椎)には椎間板と呼ばれる円盤状の軟骨部分があります。この部分が外に出てきたのが椎間板ヘルニアという訳です。 神経が圧迫されると、腰、お尻、下肢にまで痛みやしびれが出ることがありますが、椎間板が出ていても神経を圧迫しなければ、痛みはありません。この椎間板の飛び出てきた様子をMRI検査を用いることで確認することができ、診察に当って正確な診断が行えます。 3、膝が痛い場合のMRI検査 膝の痛みには、交通事故、スポーツによる外傷、運動のやりすぎ、中年以降に慢性的に起きるものなどがあります。外傷による代表的なものとして、膝半月板損傷および膝靱帯損傷、変形性膝関節症があります。 MRI検査による画像情報なら半月板、膝軟骨、ひざの靭帯が、どのように痛んでいるのかなどの疾患を正確に知ることができ、これらの症状の診断には欠かせません。 特に変形性膝関節症の場合は、レントゲン検査では骨の外観しか判断できないところ、MRI検査によれば骨の中の状態まで把握できるため、医師は骨の内部にまで損傷がおよんでいないか確認することができます。 1)膝半月板損傷 膝関節のすき間には、内・外側それぞれに半月板と呼ばれる三日月型の軟骨(膝半月板)があり、膝にかかる衝撃を分散させています。例えばスポーツ等で強く膝を捻ったときに損傷することが多く見られたりします。 損傷直後には、強い痛みと共に腫れたり、関節内に血液が溜まる事があります。しばらくして痛みが和らいでも、膝の中で引っかかる様な感じや動きにくい感じが続いたりします。 2)靱帯損傷 膝を支えるため、膝には内・外側の側副靱帯および前・後十字靱帯の計4つの膝靱帯があります。半月板の損傷と同じように、スポーツ等で膝を捻った時や交通外傷で発生する事が多くあります。 強い膝の痛みと共に皮下や関節内に出血が生じます。膝関節が不安定になることが一番の問題であり、膝のくずれや持続する痛みでスポーツが出来なくなることもよくあります。これら靭帯の状態を確認する上でもMRI検査を用いた検査が一番わかりやすい検査となります。 もし、上記のうちに気になる症状があれば、早めに専門医院の受診をお勧めいたします。その際にMRI検査での精査を勧められることがあるかもしれません。その折のご参考としていただけると幸いです。 以上、「膝や肩、股関節の関節痛の診断に何故MRI検査が必要なのか」について記させていただきました。 ▼こちらも合わせてご覧ください MRI検査についてと、検査を受ける際の注意点 O脚とは?O脚の原因とおすすめの治し方を知りたい方へ必見です!
公開日:2024.10.07 -
- 脊髄損傷
- 脊椎
脊髄損傷後の機能回復に効果的なリハビリについて 脊髄損傷は、外傷または病気により脊髄に損傷が起きることで発生し、原因は外傷性と非外傷性にわけられます。 外傷性では強力な外力が加わったときに、脊椎が脱臼・骨折・過剰伸展・過剰屈曲することが原因で、非外傷性では、腫瘍・循環障害・感染症・先天的がきっかけとなります。 脊髄を損傷すると、自分で歩けなくなる、呼吸できなくなるなど、日常生活に大きな影響をもたらします。そうした中でも社会復帰を目指し、残された機能を使って取り組むのがリハビリです。 この記事では、脊髄損傷の概要から、機能回復に効果的なリハビリなどを紹介します。 脊髄を損傷した場合 脊髄損傷になる外傷には、交通事故・高い所からの転落・平地での転倒・スポーツなどがあります。非外傷性では、癌性骨粗鬆症・多発性硬化症・炎症性脊髄炎・脊椎関節症などがあります。 好発年齢は20歳と59歳ですが、近年の調査では70代での発症が多発していると報告されています。これは、加齢により平地での転倒が増加するためと考えられています。 脊髄損傷の分類 脊髄が損傷すると、運動や感覚神経に障害が起こるほか、自律神経や膀胱直腸障害の症状がみられます。 脊髄損傷は、完全麻痺と不全麻痺にわけられます。脊髄損傷の約40%を占める完全損傷では、脊髄の連続性が完全に断たれてしまい、「手足を動かせない、感覚がわからない」状態に陥ります。 残りの約60%は不全麻痺で、脊髄の連続性は保たれているものの、麻痺の重症度は損傷部位と程度によりさまざまです。 受傷してすぐ気をつけたいこと 脊髄を損傷すると、受傷した位置から下に麻痺などの症状が出現します。脊髄損傷の約60%は頚髄損傷が占め、完全麻痺では手足が全く動かせないなど、麻痺の程度は大きくなるのが特徴です。 受傷直後は、脊椎に負担が加わらないよう極力動かさないようにすることで損傷の拡大を抑えます。交通事故など、外部からの強い力が入ったときには、頚髄へ外力が加わったことを念頭に、頸部の安静と固定が推奨されています。 また、脊髄に損傷を受けた際に発生する「脊髄ショック」がみられることがあります。脊髄ショックを起こすと、運動や感覚麻痺だけでなく、脊髄反射も消失します。1日から2日続くショック状態を抜けても症状が重たければ予後は期待できにくくなります。 脊髄ショック 脊髄損傷を負った場合に損傷した部位だけにとどまらず脊髄全体に損傷した影響が現れることがあります。これは脊髄から脳への連絡が絶たれることで起こり、数日程度から、長いと数週間続くことがあり、安静を継続しなければなりません。 受傷後の過ごし方 ベッド上で過ごす時間が長いと、褥瘡(床ずれ)・筋力の低下・起立性低血圧・関節可動域の低下・呼吸器疾患・尿路感染症などの合併症に注意しなくてはいけません。 褥瘡予防には体位変換を行います。褥瘡になると、皮膚や筋肉が壊死するだけでなく、感染リスクが高まります。こまめに寝る姿勢を変えたり、圧を分散できるマットやクッションを使用するなどの工夫が必要です。 脊髄損傷の機能回復に効果的なリハビリ 脊髄損傷の主な治療法はリハビリになります。残った機能を活かして社会復帰できるように取り組みます。 可動域訓練 拘縮を予防するために早期から関節可動域訓練を行います。脊髄を損傷すると、正常な筋肉・麻痺がある筋肉・筋力低下した筋肉が混在するようになります。そうした筋肉の均等が乱れることで拘縮が起きるのです。 下部頸髄損傷による拘縮では、肘・膝・足の関節が屈曲位で固定されるだけでなく、全身の柔軟性が低下します。また、拘縮があると座り姿勢・起き上がり・寝返り・移乗などに支障が出ます。 筋力トレーニング 筋肉を鍛えることで、麻痺を負った筋肉とのバランスを保つだけでなく、残存した機能を使い、日常生活を送れるようにします。 呼吸を止めお腹に力を入れることで、呼吸筋を鍛えるバルサルバ手技では、呼吸機能の回復が期待でき、呼吸機能の向上は生活の質を高めることにもつながります。バルサルバ手技を実施する際の推奨時間は30秒未満です。 歩行訓練 歩行訓練を早期から実施すると、歩行機能の向上だけでなく、身体機能も高まります。脊髄損傷の歩行には、吊り上げ式免荷歩行が行われます。ジャケットを装着し、体を上方へ牽引することで、負担や転倒リスクなく訓練ができます。 電気刺激 機能的電気刺激(FES:functional electric stimulation)を入れることで、麻痺を起こした筋肉を動かし、身体機能を取り戻します。具体的には、体の表面に装着、もしくは体内に埋め込んだ電極から電気信号を送り筋肉を収縮させる方法です。 電気刺激により、歩行や起立動作などの日常生活動作の改善から、高位脊髄損傷者では人工呼吸器が不用になった報告があります。また、動作の向上は脊髄損傷を負った方にとって、リハビリ意欲の向上につながります。 まとめ・脊髄損傷後の機能回復に効果的なリハビリについて 脊髄損傷は、体の中枢にある神経が損傷することです。脊髄を損傷すると、損傷した部位や程度により違いがあるものの麻痺が発生します。 損傷する脊髄レベルが高いほど重症度も高くなり、頸髄が横断される形で損傷する完全麻痺では、体を動かせなくなったり、感覚が感じ取れなくなったりします。 脊髄損傷後の主な治療法はリハビリで、回復・残存した神経機能を日常生活に結び付けるため、体位変換・可動域訓練・筋力トレーニング・歩行訓練・電気刺激などに取り組みます。 また、リハビリで思ったような効果がみられなかった場合、最新の治療法である再生医療を覚えておくと良いでしょう。再生医療では、これまで不可能だった損傷した脊髄の修復・再生が期待できるようになりました。 以上、脊髄損傷後の機能回復に効果的なリハビリについて記しました。参考にしていただければ幸いです。 ▼ 脊髄損傷の再生医療|最新の幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、脊髄損傷の新たな治療法として注目を浴びています
公開日:2024.10.07