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喫煙が関節症に与える影響/電子タバコは安全か? 喫煙することと関節症の間には、一見何も関係がないようにみえます。 しかし最近いくつかの研究の結果から、関節症の経過にタバコがよくない影響を与えていることが明らかになってきました。 そこで今回の記事では、喫煙と関節症の関係についてご説明します。さらに電子タバコによる影響についても、解説いたします。 喫煙が関節症に与える影響 喫煙そのものは、肺がんや肺疾患、また動脈硬化や脳血管障害など、わたしたちの体のあらゆるところによくない影響を与えることは、よく知られていることかと思います。 ここでは特に、関節症の方に対して喫煙が与える影響についてご紹介します。 死亡リスクの増加 関節リウマチと診断されている方が喫煙を続けていると、非喫煙者に比べて死亡率が増加することがわかっています。 121,700人の女性が参加する追跡調査で、追跡中に関節リウマチと診断された923名を分析しました。このうち36%は関節リウマチと診断される前に一度も喫煙したことがなく、43%が過去に喫煙しており、21%が現在も喫煙者でした。 この調査によると、関節リウマチと診断された後も年間5パック以上の喫煙を続けていた女性は、診断前から喫煙をしていなかった人や関節リウマチと診断された後に禁煙した人たちと比べても、死亡リスクが2~4倍も高くなっていました。 診断後に禁煙することで、喫煙を継続するよりも死亡リスクは低くなっていましたので、早めに禁煙することは有効だと言えるでしょう。 (参考文献:https://acrabstracts.org/abstract/smoking-behavior-changes-after-rheumatoid-arthritis-diagnosis-and-risk-of-mortality-during-36-years-of-prospective-follow-up/) また5,677人の関節リウマチの方を平均して約5年間追跡調査した研究では、喫煙者の心血管障害や呼吸器疾患による入院率は、非喫煙者の2倍になっていました。 入院するリスクは、禁煙1年後に著しく低下していましたので、こちらも早めに禁煙することが予後を改善することにつながります。 (参考文献:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5623338/) 手術の合併症の増加 喫煙者と非喫煙者における、膝関節置換術の経過を比較した研究があります。 合計で8,776人の膝関節再置換術を受けた方を対象に実施した研究です。このうち、11.6%が現在も喫煙者でした。再置換人工膝関節置換術を受けた喫煙者は、非喫煙者と比較して、あらゆる創傷合併症、肺炎、および再手術の割合が高くなっていました。 (参考文献:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29680584/) タバコを吸うと、一酸化炭素が赤血球内に取り込まれ、その結果、全身の組織に運ばれる酸素が少なくなります。手術部位が適切に治るためには、酸素を十分に含んだ血液が必要です。 タバコを吸うと、この治癒プロセスの重要な部分が滞り、治癒に時間がかかるようになると考えられています。 病状の悪化 159人の変形性膝関節症の男性を最長30ヶ月間追跡調査したところ、喫煙者は非喫煙者に比べて関節症による膝の痛みが強く、軟骨が著しく失われる可能性が2倍以上であることがわかりました。 (参考文献:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1798417/) X線写真の撮影が可能であった311人の初期リウマチ性関節炎の方をフォローした調査では、1年後にX線写真の進行がみられる独立した予測因子は、喫煙でした。つまりX線写真上で悪化する危険因子に喫煙があることがわかりました。 (参考文献:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4515990/) タバコに含まれる有害物質が軟骨の減少に寄与している可能性や、血中の一酸化炭素濃度が高いことが、軟骨の修復を妨げている可能性があると推測されています。 電子タバコの関節症に与える影響 電子タバコ(e-cigarettes)の使用率が急速に高まっていますが、電子タバコの使用が関節症状に対して与える影響について、まだ詳細はわかっていません。そこで行われたので、米国で924,882人の成人を対象に実施された、最大規模の全国電話調査です。 この調査では、電子タバコの使用歴と炎症性関節炎に関する情報を入手し、解析しています。 その結果、電子タバコ使用者と電子タバコ未使用者を比較したところ、電子タバコ使用者の方が炎症性関節炎により罹りやすいことが確認されました。この傾向は、電子タバコ使用者でも電子タバコと通常のタバコを併用する使用者でも同様であることがわかりました。(参考文献:https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fphar.2022.883550/full) まとめ・喫煙が関節症に与える影響/電子タバコは安全か? 喫煙と関節症の関係、また電子タバコと関節症の関係についてご説明しました。 いずれにしても喫煙は関節症に対し、良い作用は何もないと言えるでしょう。ただ禁煙することで、予後や合併症の改善がみられることも事実です。まだ電子タバコを含め喫煙しておられる方がおられるようであれば、できる限り早く禁煙に取り組むことをお勧めいたします。 ▼ 再生医療に関する詳細は以下をご覧下さい 自分自身の自ら再生しようとする力、自然治癒力を活かした最先端の医療です
2022.08.09 -
- 脊椎
- 脊椎、その他疾患
ご自身あるいは家族が側弯症と診断された方の中には「なぜ側弯症になったのか?」と疑問をもつ方もいることでしょう。 側弯症は思春期に多く発症する疾患で、発症する原因は現時点で完全には特定されていません。しかし、先天性異常や遺伝的要因が影響していると考えられています。 本記事では、側弯症の原因や発症リスクに関する最新の知見をわかりやすく解説します。治療の選択肢も紹介しているので、治療方針の検討にお役立てください。 【基礎知識】側弯症とは? 側弯症とは、文字通り、背骨が横側に弯曲する病気です。多くは思春期に診断されますが、大人になって発症するケースもあります。 ごく軽度の側弯症の場合は、経過観察で問題ありません。しかし、弯曲の角度が大きいと装具の着用や手術が必要となってきます。 側弯症の原因|姿勢や遺伝との関連性 側弯症は、原因が特定されていません。ただし、家族内で発症するケースがあるため、遺伝的要因が関係している可能性が考えられています。 原因がわからない側弯症は、特発性側弯症と呼ばれています。特発性側弯症の特徴を以下にまとめました。 年齢:一般的に思春期に始まる 性別:女児に多くみられる 進行リスク:女児の方が側弯が悪化し、治療を必要とするリスクが高い 家族歴:家族に遺伝する可能性がある(全く家族歴がない場合もある) そのほか、脳性麻痺や筋ジストロフィーなどの特定の神経筋疾患、脊椎の骨の発育に影響を及ぼす先天性異常、乳児期に胸壁の手術を受けたことなどが影響する場合もあります。 側弯症の症状 側弯症の症状には、以下のようなものがあります。 肩の位置が左右で異なる 腰の位置が異なる 片方の肩甲骨が飛び出して見える 胸郭の片側が前に突き出ている 前屈みになったとき背中の片側が隆起する 進行すると胸郭が肺に圧迫され、呼吸が困難になる場合があります。また、体の中心が片方へ傾いてしまうため、運動や生活に支障をきたすケースも珍しくありません。 適切に治療されていないと、慢性的な背中の痛みを抱えやすくなるため、早期発見・早期治療が大事になってきます。 側弯症の治し方 ここでは、側弯症の治し方について解説します。側弯症の代表的な治療方法は以下の3つです。 装具の着用 外科手術 ストレッチ・エクササイズ・姿勢の改善 弯曲の重症度によって治療法が異なるので、医師と相談の上で最適な方法を選択しましょう。 装具の着用 骨がまだ成長過程で側弯症が中程度の場合、装具(主にコルセット)の着用が検討されます。 装具をつけても側弯症が完全に治るわけではありませんが、弯曲の進行を防ぐ効果があります。 一般的な装具はプラスチック製で、胴体にぴったり合うように作られます。腕の下や胸の周り、腰にフィットするため、服を着ればほとんど目立ちません。 装着時間は症例により異なるため、医師の指示に従って装着することが重要です。 装具をつけていても、普段の生活に大きな支障はありません。スポーツや運動に参加する際は、必要に応じて装具を外せる場合もあります。 装具の使用は、身長の伸びが止まるまで続けます。 外科手術 重度の側弯症は、時間がたつにつれて悪化しやすいため、手術の選択が視野に入ってきます。手術の治療目的は、背骨の歪みを矯正し、進行を防ぐことです。 一般的な手術方法は「脊椎固定術」です。この方法では、背骨のいくつかの骨(椎骨)をつなぎ合わせて、それ以上の進行を防ぎます。 成長期に急速に進行しているときは「ロッド」と呼ばれる矯正器具を背骨に沿って取り付ける手術をする場合もあります。ロッドは長さを変えられ、成長に合わせて定期的に調節可能です。 なお手術にはリスクもあります。具体的には、手術部位による感染症や、周辺神経の損傷などです。 手術の必要性やリスクについては、専門医とよく相談した上で判断する姿勢が大切です。 脊髄損傷の治療においては「再生医療」も選択肢として挙げられます。近年、研究が進み幹細胞を使った再生医療により脊髄損傷の後遺症が回復した症例が数多く報告されています。 「再生医療で脊髄損傷をどうやって治療するの?」と気になる方は、再生医療を専門とする『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 ストレッチ・エクササイズ・姿勢の改善 体のバランスが崩れると、筋肉への負担が増し、姿勢を維持するために余計な力が入りやすくなります。 そこで効果的なケアが、ストレッチ・エクササイズ・姿勢の改善です。 それぞれのケア方法と期待される効果を以下の表にまとめました。 <td">姿勢の改善 ケア方法 期待される効果 ストレッチ 筋肉の緊張を和らげる エクササイズ (筋力トレーニングやフィットネス、体操など) 適切な運動で体幹を強化できる 姿勢の改善 正しい姿勢の維持で症状改善が期待できる 医師に相談のもと、無理のない範囲でケアを行い症状の改善を目指しましょう。 まとめ|側弯症の原因を知って理解を深めながら治療を進めよう 側弯症は、背骨が横側に弯曲する病気です。主に思春期に診断されることが多い病気です。 原因が特定されていない特発性側弯症が最も一般的で、家族歴や性別、年齢が関連している場合があります。 早い段階で発見し、適切に治療すれば、症状の進行を抑制できる可能性が高くなります。 専門医との相談のもと適切な治療を進めながら、日常生活での姿勢や運動習慣にも気を配り、改善を目指していきましょう。 \まずは当院にお問い合わせください/ 側弯症に関するよくある質問 大人で側弯症を発症するケースはありますか? 側弯症は、思春期の子どもに多い疾患ですが、大人になって急に発症し、進行が始まるケースもあります。 大人になって側弯症を発症する原因は主に以下の2つです。 子どもの頃に発症した側弯症が老化により進行した 中高年になって加齢により急速に症状が進んだ 大人の側弯症の代表的な症状は、腰痛と下半身に出る神経痛です。側弯症の疑いがあれば、早めに専門医へ受診をしましょう。 側弯症は寿命に影響しますか? 側弯症自体が、直接的に寿命を縮めることはありません。 しかし、側弯が進行し、背骨の歪みが大きくなると心臓や肺を圧迫し、呼吸機能に悪影響を与えるケースがあります。 その結果、平均寿命が短くなるリスクが高まります。
2022.08.08 -
- 脊椎
- 脊椎、その他疾患
「坐骨神経痛でやってはいけないことは?」 「坐骨神経痛を和らげる方法は?」 坐骨神経痛の痛みは、慢性的な背骨への刺激によってできた骨の棘を始め、椎間板ヘルニアが腰の脊髄神経根を圧迫して背中や足、臀部に耐え難い不快感をもたらします。 坐骨神経痛に悩んでおられる方は内服薬に始まり、理学療法、硬膜外注射など、痛みを止めるためにあらゆる方法を試されているかもしれません。 しかし、日常的によくとりがちな行動が、症状を悪化させてしまう場合があるのです。 この記事では、坐骨神経痛に悩まれている方が「やってはいけないこと9つ」をご紹介します。最後まで読んでいただければ、日常生活での注意点を理解できるはずです。 坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)でやってはいけないこと9つ 坐骨神経痛になったときは、無理に負担をかける動作をしないのが大切です。 日常生活で気をつけたいポイントを知るためにも、坐骨神経痛でやってはいけないことを9つ解説します。 ただし、人によって坐骨神経痛の症状などの度合いは変わります。必ずかかりつけの医師に相談しながら、日常生活の注意点に配慮してみてください。 重いものを持ち上げない 長時間の座りっぱなしは良くない ハムストリングスのストレッチをしない 前かがみにならない 間違ったサイズの椅子に座らない 背骨をねじりすぎない 柔らかすぎるマットレスで寝ない 体を冷やしすぎない 太ってはいけない 重いものを持ち上げない 坐骨神経痛の急性期は、たとえ数kgであっても、荷物などを持ち上げるのは控えましょう。 体に負担がかかるので、坐骨神経痛を悪化させる場合があります。 なるべく荷物を持ち上げないのが大切ですが、どうしても持ち上げが必要なときは、無理のない範囲で、以下の流れを参考にしてみてください。 【腰への負担を減らす荷物などの持ち上げ方】 足を肩幅に開き、持ち上げる物の近くに立つ 頭、背中、お尻を直線にする意識で膝を曲げてしゃがむ 臀部と腹部の筋肉を引き締める しゃがんだ状態から、物をできるだけ体の近くで持つ 頭、背中、お尻を直線にする意識で、足の筋力で持ち上げる 持ち上げるときに左右の手を使いながら、体から遠い位置にある物を持ち上げないようにするのがポイントです。 上記のような持ち上げ方をすると、腰にかかる負荷を抑えやすくなります。 長時間の座りっぱなしは良くない 長時間座っていると、腰に負担がかかるのでなるべく避けましょう。 たとえば、オフィスであれば20~30分ほど経ったら、立ち上がって少し歩いてから座り直します。 長時間乗り物に乗るときは、坐骨神経痛の痛みを避けるためにも、適度に体を動かすのを目的にして、こまめに休憩を取りましょう。 また、座るときは前屈みにならないようにするのがコツです。柔らかいソファーに座ると、腰に負担がかかるのでなるべく避けるようにします。 以下で、腰への負担を減らすときのポイントをまとめているので、参考にしてみてください。 【腰に負担をかけない座り方】 深く腰かける 背筋を伸ばす 頭や肩を後ろに引くイメージで猫背にならない 足を組まない 同じ姿勢を続けない 急な動きを行わない 他に気をつけたい点として、一日のなかで座る時間が長いと、腰や背中の筋肉が硬直してしまい、運動能力が低下します。 数時間おきに休憩を入れて、しっかりと歩き回りながら、背筋を伸ばしましょう。 座りっぱなしをやめて体を適度に動かせると、負担を減らしながら症状を乗り越える力を蓄えられるはずです。 ハムストリングスのストレッチをしない ハムストリングスとは、太ももの内側の半腱様筋、半膜様筋、外側にある大腿二頭筋からなる3つの筋肉の総称です。 ふくらはぎの筋肉であるハムストリングのストレッチをすると、坐骨神経痛が悪化する可能性があるので注意が必要です。 たとえば、準備運動などの一環でよく行われる動作になります。ただ、ハムストリングを伸ばすと、坐骨神経に刺激を加えてしまい、痛みを増強させる場合があります。 そのため、坐骨神経痛の痛みがあるときは、全身の筋肉を温めるウォーキングや、水の浮力を使って背中に体重をかけない水泳を試してみてください。 前かがみにならない 前かがみの姿勢で物を取ろうとすると、背骨にかかる力が増えてしまいます。 さらに、持ち上げようとしている物の重さが組み合わさると靭帯、骨、椎間板に負荷がかかり、坐骨神経痛が悪化する可能性があります。 前かがみの動作をするときの対処法として、まずは背骨をまっすぐにして、そのままの姿勢で膝を曲げて腰を落とすのがポイントです。 たとえば、以下のようなシチュエーションがあげられます。 地面に落ちている物を拾うとき 洗濯機から洗濯物を出し入れするとき など また、日常生活の家事では、洗濯機から洗濯物を取り出すときなどは、一気にまとめて行わずに少しずつ行うのが大切です。 腰に負担がかかるのを避けるために、家事などにおいても、重い物の持ち運びを避けてみてください。 間違ったサイズの椅子に座らない 座り心地の悪い椅子は、腰椎(ようつい)を支えきれず、坐骨神経痛の症状を悪化させる可能性があります。逆に沈み込み過ぎるような椅子も避けたいものです。 坐骨神経痛のときにおすすめの椅子は、背骨を伸ばしたままでニュートラルな姿勢を保てるような、人間工学に基づいた椅子があげられます。 股関節と膝の角度が90度の状態で、足の裏を床にフラットにつけて座っていられる椅子が良いでしょう。 背骨をねじりすぎない 背骨をひねる動作を始め、前屈(上半身を前に曲げる動作)や側屈(上半身を左右に曲げる動作)など、他の動作を組み合わせると、腰の痛みを悪化させる場合があります。 たとえば、冬の期間なら雪かきの動作や、間違った方法で物を持ち上げるといった内容があげられます。 重いものを持ち上げないの項目でも説明したように、まずは腰に負担をかけない物の持ち上げ方を学ぶのが大切です。 あわせて体幹のコアマッスルを強化するエクササイズを行い、柔軟性や可動域を向上させましょう。 また、怪我を防ぐために運動や活動をする前は、無理のない範囲でストレッチを行ってみてください。 柔らかすぎるマットレスで寝ない 柔らかいマットレスも腰に負担がかかるため、ある程度硬いマットレスのほうが良いでしょう。 マットレス以外の注意点として、ベッドで仰向けになると腰に負担がかかります。ベッドで休むときは横向きになるのがおすすめです。 また、ベッドから立ち上がるときは、ゆっくりと起き上がるだけでなく、腰に負担がかからない動作を意識します。 とくにベッドから腰を上げるときは、両手を膝につきながら、膝の力を使って動作を行うのも有効でしょう。 体を冷やしすぎない 腰や足を冷やしすぎると自律神経が興奮し、つねに体が緊張状態になってしまいます。 そのため、筋肉が固まってしまい、さらに神経を圧迫してしまうと考えられています。 とくに夏場は、冷房の効いた部屋に長くいると症状が悪化しやすいので、ブランケットや薄手の上着を持ち歩くなど、冷え対策を行いましょう。 太ってはいけない 体の脂肪をつけすぎず、太らないように配慮するのも、坐骨神経痛の症状を悪化させないために重要です。 食べすぎや運動不足により、上半身に脂肪が付きすぎると、腰に大きな負担がかかります。 坐骨神経痛の症状がある方は、医師などに相談しながら食事量や運動量を調節して、脂肪がつきすぎないように注意しましょう。 坐骨神経痛でやったほうが良いこと【無理のない軽めの運動】 坐骨神経痛のときにやったほうが良いことには、腰に負担がかからないような軽めの運動があげられます。 無理のない範囲で軽いストレッチや体操を行うと、体の筋力を低下させない働きかけにつながります。 また、間違った運動で腰に負担をかける状況を避けるためにも、理学療法士など、医療の専門家に相談しながら行ってみてください。 まとめ|坐骨神経痛でやってはいけないことを知って悪化を防ごう 坐骨神経痛は、腰の神経が圧迫されて引き起こされる症状で、背中や足、臀部に激しい痛みやしびれをともないます。 症状を改善するには、日常生活において、以下のやってはいけない9つのことに注意しましょう。 【坐骨神経痛でやってはいけないこと9つ】 重いものを持ち上げない 長時間の座りっぱなしは良くない ハムストリングスのストレッチをしない 前かがみにならない 間違ったサイズの椅子に座らない 背骨をねじりすぎない 柔らかすぎるマットレスで寝ない 体を冷やしすぎない 太ってはいけない 以上のポイントに気をつけると、坐骨神経痛の症状を軽減できるでしょう。しかし、注意点を意識するだけでは、根本的な解決にはなりません。 坐骨神経痛の原因は人それぞれで異なりますので、医師や理学療法士などの専門家に相談し、適切な治療を受けるのが重要です。 とくに腰への負担を減らす立ち方や、物の持ち上げ方は、専門家からアドバイスや訓練を受けるとより効果的に行えるようになります。 ぜひかかりつけの整形外科医やリハビリの担当者に相談してみてください。 坐骨神経痛でやってはいけないことに関するQ&A 坐骨神経痛でやってはいけないことに関して、よくある質問と答えをまとめました。 Q.坐骨神経痛の原因は? A.坐骨神経痛は一般的に「腰椎椎間板ヘルニア」もしくは「腰部脊柱管狭窄症」などが原因です。 どちらも腰椎の部分に引き起こされる異常により、脊髄の神経根が圧迫されてしまい、下半身などに痺れるような痛みを引き起こすと考えられています。 坐骨神経痛は、重労働やスポーツ、長時間のデスクワークなどがきっかけになる場合もあります。 Q.坐骨神経痛の治療法は? A.坐骨神経痛の治療法はさまざまですが、まずは保存療法などを中心に行う傾向にあります。 たとえば、薬物療法や神経ブロック療法、理学療法や物理療法など、状態に応じて治療を進めます。 坐骨神経痛の治療法については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
2022.08.03 -
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 脊椎
「頚椎ヘルニアの手術をすると後遺症が出るの?」「後遺症が出たら手術は失敗?」といった疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。 頚椎ヘルニアの手術を受けるべきか検討していても、後遺症のリスクが頭をよぎり、なかなか踏み切れない人もいるかもしれません。 結論からいえば、頚椎ヘルニアの手術を受けて後遺症が出る可能性はゼロではありません。ただし、後遺症は手術の失敗によるものではなく、ヘルニアの症状によって神経が損傷したため起こるものです。 後遺症リスクを抑えるためには、ヘルニアによって神経が損傷する前に、早い段階で手術をした方が良いといえるでしょう。 本記事では頚椎ヘルニアの手術後に起こりうる後遺症に焦点を当てて、詳しく解説していきます。 頚椎ヘルニアの手術を検討している人は、ぜひ最後までチェックしてみてください。 頚椎ヘルニア|しびれを含む手術後の後遺症 頚椎ヘルニアの手術後に起こりやすい後遺症は以下の3つです。 神経障害による「しびれ・痛みや筋力低下」 硬膜損傷による「頭痛や吐き気」 血腫(血のかたまり)による「しびれや痛み」 これは手術によるものではなく、頚椎ヘルニアによる神経の損傷で起こる場合もあります。しかし手術によって神経周囲の組織が損傷するリスクもゼロではないため、事前に理解しておきましょう。 本記事では頚椎ヘルニアの手術後に起こりうる後遺症について詳しく解説します。 なお、頚椎ヘルニアの症状や原因については別の記事でご紹介していますので、そちらもぜひご確認ください。 神経障害による「しびれ・痛みや筋力低下」 頚椎ヘルニアの後遺症として、しびれや痛み・筋力低下がみられることがあります。 頚椎ヘルニアの手術では、神経の圧迫を取り除くことのみ行い、損傷自体は元に戻せません。そのため、ヘルニアの神経損傷によるしびれや痛みなどは、手術後も残る場合があることはガイドラインでも注意喚起されています(文献1)。 神経は自然治癒が難しい組織であり、損傷すると関与する部位のしびれ・痛みが出やすいのが特徴です。 また、しびれによって手指がうまく動かせず、細かい動作が難しくなる巧緻運動障害(こうちうんどうしょうがい)がみられることもあります。過去の手術事例でも巧緻運動障害が報告されていて、頚椎ヘルニアの手術後には注意が必要です。(文献2)。 なお、頚椎ヘルニアの手術前から筋力低下が起こっている場合は、術後も筋力が戻らない後遺症もあります。 硬膜損傷による「頭痛や吐き気」 頚椎ヘルニアの手術によって、頚椎の硬膜(こうまく)が損傷し、頭痛や吐き気がみられるケースもあるでしょう。 硬膜とは頚椎の中にある骨髄を覆う膜であり、硬膜の中には髄液(脊髄の水分量をコントロールする液体)が満たされています。 手術によって硬膜に傷がつくと、髄液が外に漏れ出て頭痛や吐き気を起こすことがあります(髄膜漏:ずいまくろう)。髄膜炎に至るケースもあるため、術後に不調がみられる場合は早めに主治医に相談することが大切です。 髄膜漏は穴のカ所をみつけることが難しい疾患ですが、過去の報告ではMRIなら部位を特定が可能と報告しています。MRIで場所を特定した上で再度手術を行えば、髄膜漏の症状緩和が図れるでしょう(文献3)。しかし穴が小さい場合には手術をせず、症状の経緯をみながら自然に塞がるまで待つこともあります。 血腫(血のかたまり)による「しびれや痛み」 手術時の出血でできた血腫(血のかたまり)が神経を圧迫してしまい、しびれや痛みにつながるケースもあります。24時間以内にできることが多く、万が一血種がみられた場合は取り除く手術が必要です。 血種はすべてに発症するわけではありません。しかし、高血圧の治療などで血液をサラサラにする薬を飲んでいる人は、血腫ができるリスクが高くなることを理解しておきましょう。 頚椎ヘルニア手術の後遺症リスクを軽減する方法 頚椎ヘルニアの手術による後遺症リスクを抑えるには、以下2つの方法が有効といえます。 ヘルニアが重症化する前に手術を受ける 実績が豊富な医師に相談する 本章が、リスクを踏まえて頚椎ヘルニアの手術を受けるか検討するときの参考になれば幸いです。 ヘルニアが重症化する前に手術を受ける ヘルニアによって神経が損傷する前の段階で手術を受ければ、後遺症を回避できる可能性があります。 頚椎ヘルニアの後遺症に多くみられる「しびれ」「痛み」「筋力低下」は、手術ではなくヘルニアそのものが原因で起こるものです。 よって、重症化して神経が損傷する前に手術すれば、このような後遺症リスクも抑えられるといえます。 また、手術を受ける年齢が早いほど、手術後のしびれなどが元に戻りやすい傾向にあります。 後遺症のリスクを少しでも抑えたいと考えているのではあれば、早めに手術を受けることを検討してみましょう。 実績が豊富な医師に相談する 頚椎ヘルニアの手術実績が豊富な医師に相談するのも、手術後後遺症を出さないためには重要なことです。 とくに前述の硬膜損傷や出血による血腫は、技術の高い医師であれば最小限にとどめられるリスクといえます。 また、術前・術後のフォローが手厚い方が心に余裕が持てるでしょう。術式や手術後の予定などの説明がしっかりしていて、サポート体制が整っているかどうかもしっかりと見極めてください。 頚椎ヘルニア手術の後遺症における3つの治療法 頚椎ヘルニアの手術による後遺症リスクはゼロではありません。万が一後遺症が出た場合の治療法は以下の3つです。 リハビリ 内服や注射 再生医療 後遺症は手術前の神経損傷の程度によりますが、とくにしびれは取れにくい傾向があります。上記3つの治療法で緩和を図りつつ、しびれに慣れることも大切です。 リハビリ 頚椎ヘルニアの後遺症によるしびれは、リハビリが効果的です。 リハビリで姿勢や体の動かし方を変えていければ、頚椎ヘルニアの原因となる首への負担が減りしびれなどの症状改善や再発予防につながるかもしれません。 また、巧緻運動障害で動かしにくくなった指の動きを練習すれば、日常生活動作も楽にできる可能性があります。 頚椎ヘルニアの後遺症でどのようなリハビリをおこなうかは、以下の記事でも解説しているので、ぜひ目を通してください。 注射や内服 神経症状を抑える注射や内服も、頚椎ヘルニアの後遺症に対しておこなわれます。 注射では麻酔薬を神経に向かって打つブロック注射が主流で、神経活動が麻痺するためしびれなどの後遺症軽減効果が期待できるでしょう。 同様に内服でも神経の活動を抑えたり、痺れや痛みを抑える薬を使用します。このような注射や内服による治療は、手術前からおこなわれることも多い治療方法です。 再生医療 神経は損傷したら元に戻りにくいと言われている組織ですが、再生医療で修復できる可能性があります。 再生医療は厚生労働省から認可を受けたばかりでまだ認知度も低い治療法ですが、神経に直接働きかけて根本からの改善を目指せるのがメリットです。 ちなみに当院「リペアセルクリニック」でも再生医療に取り組んでいます。 当院では神経に直接働きかける「脊髄腔内ダイレクト注射療法」という方法をおこなっています。もし興味がある人はお気軽にメール相談もしくはオンラインカウンセリングからご相談ください。 また、過去の治療例で実際に後遺症が緩和した症例もあります。以下の記事で詳しくご紹介しています。 頚椎ヘルニアの手術を検討するならセカンドオピニオンもおすすめ 頚椎ヘルニアの手術を検討する際は、セカンドオピニオンとして他の医師に相談の上で決断しても良いでしょう。 頚椎ヘルニアに限らずいえることですが、手術療法は少なからずリスクが伴います。 そのため、現在の症状の重症度や手術の必要性、他の治療法の選択肢、後遺症のリスクなど、自分が納得できるまで説明を受けることが大切です。 事前に不明点や不安なことがあれば医師に確認し、手術をすべきかどうかを適切に判断・決断してください。 まとめ|頚椎ヘルニアの手術は後遺症リスクもある!慎重に検討しよう 頚椎ヘルニアの手術では、後遺症としてしびれや痛み・筋力低下が起こることがあります。ただしこれらの後遺症は、手術をしたから起こるものではなく、頚椎ヘルニアの症状として発生するケースが多いです。 頚椎ヘルニアが重症化する前に手術を受けるなど、後遺症リスクを軽減することは可能ですが、ゼロにすることは難しいといえます。 そのため、セカンドオピニオンも取り入れながら、自分が納得できるまで手術を受けるべきか検討することが大切です。 なお、「当院リペアセルクリニック」では、損傷した神経の再生が期待できる治療法として、再生医療を行っています。 気になる方はお気軽にメール相談もしくはオンラインカウンセリングからご相談ください。 この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。 \まずは当院にお問い合わせください/ 頚椎ヘルニアについてよくある質問 頚椎ヘルニアの手術による後遺症はありますか? 痛みやしびれ・筋力低下といった後遺症があります。 これらは手術前から頚椎ヘルニアによって神経が損傷していた場合や、手術による出血が原因で起こる可能性もあります。 頚椎ヘルニアの手術による後遺症は治りますか? リハビリやブロック注射、再生医療で症状が緩和できる可能性があります。 手術を受けた医療機関や、セカンドオピニオンも含めて自分に合った治療法を検討することが大切です。 参考文献一覧 文献1 乾敏彦 et al 頚椎症性神経根症(椎間板ヘルニア含む)の外治療に関する指針 脊髄外科 29巻 3号 2015 文献2 土屋邦喜 et al 頚椎手術における術後神経合併症の検討 整形外科と災害外科 60巻 3号 2011 文献3 福澤文駿 et al 頸髄 MRI 検査で漏出部位が判明した 脳脊髄液漏出症の一例 日病総診誌 15巻 2号 2019
2022.07.23 -
- 脊髄損傷
- 脊椎
脊髄損傷とは?その原因と症状、治療法について 脊髄損傷という言葉(あるいは「脊損(せきそん)」)を耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。大まかなイメージはあったとしても、どういった原因で脊髄損傷になるのか、脊髄損傷になると、どのような症状が出現するのか?また、脊髄損傷の治療法についてよく分からない人がほとんどではないでしょうか。 この記事では、脊髄損傷とその症状および治療法について医師が解説します。なお、本記事では一般的な注意点について解説しておりますので、個別の事象については各自で判断せず医療機関に相談するようにしましょう。 脊髄損傷とは そもそも脊髄損傷の脊髄とは何でしょうか?脊髄は、脳と体をつなぐ神経の束を含む組織で、脊椎と呼ばれる背骨の中を通っています。脳と身体中の神経をつなぐ重要な役割を担っているため、この脊髄がなんらかの原因によりダメージ、損傷を受けるとさまざまな、そしてしばしば重篤な症状を引き起こすことになります。 これが脊髄損傷と呼ばれるものです。 脊髄損傷の原因 脊髄損傷の原因には様々なものがありますが、その原因が脊髄そのものにある場合と、脊髄の外にある場合といった大きく二つに分けることができます。 ① 原因が脊髄そのものにある場合: 脊髄は様々な神経の束を含みますが、この神経の束に栄養を与える血管が詰まったり破れたりする病態をそれぞれ脊髄梗塞、脊髄出血などと呼びます。またHIVや梅毒など脊髄に感染を起こすものもあります。 さらに脊髄の栄養となるビタミンB12の欠乏症、脊髄腫瘍なども脊髄損傷を引き起こします。しかし、脊髄損傷の原因が脊髄そのものにある場合は稀で、ほとんどの場合は原因が脊髄の外にあります。 ② 原因が脊髄の外にある場合: 脊髄は脊椎とよばれる骨組織のなかに存在し、周囲は脊髄液と呼ばれる液体で満たされています。この脊椎周囲組織の感染や出血により、脊髄が外から圧迫されて脊髄損傷を起こすことがあります。 また、感染や出血以外にも椎間板ヘルニアや放射線、交通事故などの外傷により脊髄の外から脊髄に障害を引き起こすことがあります。 脊髄損傷の症状 脊髄損傷はその原因が様々であるのと同様に、その原因やダメージを受ける部位によって症状が大きく異なります。筋肉を動かす運動神経、触れている・熱い・冷たいなどを知覚する感覚神経といった神経の種類によって脊髄の中での分布が違います。 先に述べた脊髄そのものの原因により脊髄損傷が起きた場合にはこの脊髄の中の特定の領域が影響を受け、感覚のみが傷害される、運動のみが傷害されるといった神経の種類による障害が起きることがあります。 一方で、脊髄の特定の部位が損傷すると、脊髄の中での分布にかかわらず特定の部位の全ての種類の神経が障害されることがあります。その場合は、損傷部位より下に出ていくまたは損傷部位より下から入ってくる全ての神経の伝達が不可能になるため、下半身の運動・感覚など全てが障害を受けるいわゆる下半身不随などが起きることがあります。 脊髄損傷の治療法 脊髄損傷の治療は、その原因および目的によって多岐にわたります。今回の記事ではその治療法を、下記の3つに分けて解説します。 原因に対する治療 救命のための治療 障害の影響を減らすための治療 (1) 原因に対する治療 先に述べたように、脊髄感染症やビタミン欠乏、腫瘍などの原因がある場合はそれぞれに応じた治療を検討することになります。椎間板ヘルニアや血腫(血溜まり)・膿瘍(膿溜まり)などが原因の場合、脊髄の圧迫を減らすために手術で原因を除去することもあります。 (2)救命のための治療 頸髄など頭に近い部位の脊髄は、呼吸や血液循環など生命を維持するために必要不可欠な臓器を制御する神経を含んでいます。そのため、こういった部位で脊髄損傷が起きた場合、生命の維持が危機に晒されることになります。 その場合には原因の検索や治療に先行して、人工心肺・人工呼吸器などを使って生命の維持を目的とした治療を行うこともあります。 (3) 障害の影響を減らすための治療 最大限の治療を尽くしても、残念ながら障害が残ってしまうことがありますが、そういった場合でも、とても重要な治療があります。それがリハビリテーションを中心とした、障害とともに暮らしていくための治療です。 リハビリテーションを行うことで、障害を受けた機能をほかの機能で代替することができたり、行政や医療サポートを受けながら脊髄損傷を発症する前により近い生活を送ることができたりする可能性があります。 ▶万が一、手術後に後遺症が残ってしまった場合には、再生医療である幹細胞治療が適応になります。もし術後の後遺症にお困りであれば、ぜひ一度当院にご相談ください。 https://www.youtube.com/watch?v=5HxbCexwwbE まとめ・脊髄損傷とは?その原因と症状、治療法について 今回の記事では脊髄損傷とその症状および治療法について解説しました。 脊髄損傷と聞くと一般的には重篤な病態でしばしば身体障害を伴うなどのイメージがあると思いますが、実際にはその原因や治療法が多岐にわたることをご理解いただけたと思います。 そのため、個々の事例によって状況が大きく異なるため、より詳しく知りたい場合は既に受診している、または最寄りの医療機関に問い合わせることを推奨します。 ▼ 脊髄損傷の再生医療|最新の幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、脊髄損傷の新たな治療法として注目を浴びています
2022.06.24 -
- 脊椎
- 腰椎分離すべり症
腰椎すべり症のつらい症状に悩まされ「治らないのだろうか」「手術はしなければならないんだろうか」と不安を抱える方も多いでしょう。 結論からいえば、腰椎すべり症は自然には治らないものの、適切な治療によって改善する可能性があります。 非外科的治療で効果がみられない場合のみ、手術も検討します。 本記事では、腰椎すべり症の症状や治療法などについて具体的に解説します。 ぜひ本記事を参考に、腰椎すべり症の治療を前向きに検討してみてください。 【結論】腰椎すべり症は自然に治ることはないが治療によって症状を緩和できる 腰椎すべり症は自然に治ることはほとんどありません。 しかし、医療機関にて適切な治療をすることで症状を緩和できる病気です。 腰椎すべり症の方が医療機関で行える治療は、次の2つあります。 非外科的(手術しない)治療 外科的(手術する)治療 それぞれ詳しく解説します。 腰椎すべり症の非外科的治療 腰椎すべり症の治療は、手術しない「非外科的治療法」から始めるのがほとんどです。 主に、以下の方法で症状を緩和させます。 安静にする:腰の負担を軽減し、必要に応じてコルセットを併用 鎮痛薬を使用する:通常は非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAID)を使用 神経根ブロック(注射)を行う:神経の根元に局所麻酔薬やステロイド薬を注射し、症状を緩和 つらい症状が落ち着いてきたら、お腹と背中を鍛える筋肉トレーニングやストレッチを行い、病状の進行を防ぎます。 腰椎すべり症(腰椎分離症)で注意すべきことは以下の記事でも解説しているので参考にしていただければ幸いです。 腰椎すべり症の外科的治療 以下のいずれかに該当する場合は、手術による治療も検討が必要です。 腰椎すべり症の程度が非常に強い 非外科的治療を行っても症状が改善されない 腰椎すべり症の治療で行われる手術は、主に以下の2つです。 脊椎の減圧術:神経の圧迫をとり、症状を和らげることで腰椎の回復を目指す 腰椎の固定術:腰椎を固定し、不安定な腰椎の安定と骨同士をくっつける(文献1) どのような手術の方法を選ぶのかは、医師が骨の状態をみて判断します。手術が不安である際は、一度医師に相談してみましょう。 腰椎すべり症とは「腰椎の骨同士がずれてしまう病気」 腰椎は腰の骨です。5つの小さな骨が縦にくっつき、腰を支えています。 腰椎をつくっている小さな骨同士がずれてしまう病気が「腰椎すべり症」です。 ここからは、腰椎すべり症の症状と原因、診断について詳しく解説します。 腰椎すべり症の主な症状 腰椎すべり症の主な症状は腰痛です。 腰椎が必要以上に動くため脊髄神経が圧迫され、腰痛や足の痛みを引き起こす可能性があります。 個人差はありますが、脊髄神経が圧迫されることで以下の症状も伴う場合があります。 太もも裏の筋肉のけいれん 背中のこわばり 歩行や立つことが困難 足のしびれ 腰椎すべり症の初期は、症状が現れない場合もあります。 腰椎すべり症の原因 腰椎すべり症の原因は、主に次の2つです。 変形すべり症:椎骨のクッションである椎骨板の水分が加齢により失われ薄くなり、椎骨がずれやすくなる病気 分離すべり症:生まれつき脊椎の一部が不完全、または体操のような腰に負担をかける運動の繰り返しで、脊椎の分離が起こりやすくなる病気 腰椎すべり症(腰椎分離症)の原因については以下の記事でも解説しているので参考にしてください。 腰椎すべり症の診断 問診や診察によって腰椎すべり症が疑われる場合、画像検査を行い腰椎すべり症かどうかを判断します。 医療機関では、一般的に以下のような画像検査を行います。 X線検査(レントゲン):腰椎のずれがあるかどうかを確認 CTスキャンやMRI:脊椎の様子をより詳しく観察、あるいは椎間板や神経組織の状態を確認 まとめ|適切な治療で腰椎すべり症の症状を緩和しよう 腰椎すべり症は適切な治療を行えば、症状が改善して以前の生活に戻れることも期待できます。 腰椎すべり症の初期は症状が出ない場合もあるため、今回解説した症状が出たら早めに受診しましょう。 腰椎すべり症に関してよくある質問 腰椎すべり症は手術が必要ですか? 腰椎すべり症の治療では、必ず手術するわけではありません。 最初は鎮痛剤やブロック注射で症状を緩和し、腰の負担を減らすために安静に過ごして様子をみる場合がほとんどです。 症状の度合いが強すぎる、または鎮痛剤や静養で改善されない場合は手術の必要性があります。 手術に不安を感じる場合は、治療法について一度主治医に相談してみましょう。 腰椎すべり症は発症からどのくらいで治りますか? 腰椎すべり症は自然に治らないため、一度発症したら継続的に通院や治療が必要です。 個人差はありますが、腰椎すべり症で手術した場合は約10日間で退院する場合がほとんどです。 退院後も約2週間は自宅で静養し、手術から約1カ月間経過してから通勤・通学が許可されます。 ただし、入院期間や通勤・通学の再開時期は個人差があります。
2022.06.09 -
- 脊椎
- 脊椎、その他疾患
腰に小さな痛みや違和感があり、「ぎっくり腰なのではないか」と不安を覚えていませんか? ぎっくり腰は、歩けなくなるほど痛いと言われることも多く、できれば悪化させたくないと考えている人もいるでしょう。 結論、「なんとなく腰が痛くなりそうな違和感」は、ぎっくり腰の前兆の可能性があります。 この記事では、ぎっくり腰になりそうなときの対処法や、病院を受診したほうが良いケースを解説します。 ぎっくり腰の不安の解消や、症状の緩和にお役立てください。 ぎっくり腰の前兆は「なんとなく腰が痛くなりそうな違和感」 ぎっくり腰の前兆については、明らかなものがないと言われています。 しかし、以下のようなタイミングで「なんとなく腰が痛くなりそうな違和感」があれば、ぎっくり腰の前兆の可能性があります。 重いものを持ち上げたとき 座ったり歩いたりしているとき 前かがみになったとき 咳やくしゃみをしたとき 寝ているとき 身体を起こしたとき 前兆を見過ごしてしまうと、症状が悪化してぎっくり腰になってしまうかもしれません。 ぎっくり腰を未然に防ぐためにも、次の章で解説する対処法を試してみましょう。 【前兆】ぎっくり腰になりそうなときの対処法4つ 腰に違和感があり、ぎっくり腰になりそうなときには、以下4つの対処法を試してみてください。 無理な姿勢を避ける 痛みがある場合は冷やす 身体を軽く動かす ストレスを解消する 各対処法について、ぎっくり腰の原因とともに詳しく解説していきます。 無理な姿勢を避ける ぎっくり腰になりそうなときは、無理な姿勢を避けましょう。 ぎっくり腰の正式名称は「急性腰痛症」といい、腰や背骨を支える組織に傷が付いて痛みを引き起こすと言われています。 腰や背骨を支える組織は、椎間板、椎間関節、骨膜、筋肉・筋膜、靭帯、血管などさまざまで、どの部分に原因があるかは感覚だけではわかりません。 そのため、まずは無理な姿勢を避けて、腰周りに負担をかけないことが大切です。 痛みがある場合は冷やす ぎっくり腰の前兆である「なんとなく腰が痛くなりそうな違和感」を通り越して、すでに痛みがある場合は、湿布や氷枕などで患部を冷やしましょう。 痛みの原因は腰周りの組織の炎症であるため、冷やすことで症状の改善に効果があると言われています。 ただ、冷やしすぎると皮膚を刺激し、かえって痛みが悪化してしまうおそれがあるため注意しましょう。 身体を軽く動かす ストレッチなどで身体を軽く動かすのも、ぎっくり腰になりそうなときの対処法として有効だと言われています。 ぎっくり腰の症状は、安静にしすぎると治りが遅くなる可能性があるためです。 ストレッチで腰周りにある筋肉の緊張をほぐし、血行が促進されたり可動域が広がったりすることで、腰椎への負担を減らせます。 痛みがない、または痛みが引いたら、無理のない範囲で身体を動かしてみましょう。 また、マッサージの良否は症状によって異なるため、自己判断で実施せず医師に相談してください。 ストレスを解消する ぎっくり腰になりそうなときは、ストレスを解消することも大切です。 ストレスは筋肉の緊張や血流の悪化を引き起こすため、ぎっくり腰の原因のひとつだと考えられています。 すべてのストレスを解消することは難しいかもしれませんが、十分な睡眠や休息を取るなど、リフレッシュできるよう心がけてみてください。 ぎっくり腰になると「耐えられないほどの激痛」が走ることも 前兆を放置し、ぎっくり腰になってしまうと「耐えられないほどの激痛」が走ることもあります。 正式名称である「急性腰痛症」という文字のとおり、急激に発症するのが、ぎっくり腰の怖いところです。 重いものを持ち上げたときや、前かがみになったときなどのタイミングで腰に激痛が走った場合、ぎっくり腰の可能性が高いでしょう。 ぎっくり腰の症状や原因については、以下の記事でも解説しているので、あわせてご覧ください。 ぎっくり腰ではない?病院を受診したほうが良い3つのケース ぎっくり腰やその前兆のような症状が出ており、以下のような状態の場合は、一度病院を受診してください。 痛みが2週間以上続いている・しびれがある 高齢である 発熱がある 「ぎっくり腰かと思いきや、骨折や他の病気だった」という可能性があります。 それぞれの症状について、詳しく解説します。 痛みが2週間以上続いている・しびれがある 腰周りの痛みが2週間以上続いている、またはしびれがある場合は、以下の病気が隠れている疑いがあります。 椎間板ヘルニア 脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう) そのままにしておくと痛みが長引いたり、手術が必要になったりするおそれがあるため、早めに病院を受診することが大切です。 高齢である 高齢でぎっくり腰のような痛みがある場合、「圧迫骨折」で背中の骨が折れている可能性があります。 高齢者は「骨粗しょう症」の人が多く、骨が折れやすいためです。 骨折が原因で寝たきりになってしまうこともあるため、ただのぎっくり腰だと自己判断せず、一度背中や腰の状態を診てもらいましょう。 発熱がある 腰の痛みに加えて発熱がある場合に考えられるのは、細菌やウイルスへの感染です。 脊椎が細菌に感染する「化膿性脊椎炎(かのうせいせきついえん)」の可能性もあります。 感染は抗生物質などの薬で治療する必要があるため、発熱がある場合は病院を受診しましょう。 そのまま入院となるような、重大な病気が隠れているケースもあります。 以下の記事では、ぎっくり腰で病院を受診する目安に加えて、病院に行く前の応急処置を紹介しています。 まとめ|ぎっくり腰の前兆は4つの対処法で乗り切ろう 「なんとなく腰が痛くなりそうな違和感」は、ぎっくり腰の前兆の可能性があります。 重いものを持ち上げたときや前かがみになったとき、咳やくしゃみをしたときなど、前兆が現れるタイミングはさまざまです。 ぎっくり腰になりそうなときには、無理な姿勢を避けるなど、この記事で解説した4つの対処法で乗り切りましょう。 2週間以上続く痛み・しびれ・高齢者・発熱を伴うなどの場合は、ぎっくり腰ではない病気が隠れているおそれがあるため、一度病院を受診してみてください。 当院「リペアセルクリニック」では、腰痛治療の選択肢として再生医療を提供しています。 ぎっくり腰の前兆についてよくある質問 ぎっくり腰の前兆を感じたらどうしたらいいですか? ぎっくり腰の前兆に有効な対処法は、「無理な姿勢を避ける」「身体を軽く動かす」「ストレスを解消する」です。 痛みがある場合は、まず患部を冷やし、腰回りの組織の炎症を抑えましょう。 ぎっくり腰になりそうなときにやってはいけないことは? 重い物を持ち上げたり、痛みがあるのに無理に動いたりと、腰に負担がかかることは避けましょう。 症状が悪化し、激痛が走るぎっくり腰になってしまうおそれがあります。
2022.06.06 -
- ひざ関節
- 脊椎
- 股関節
- 肩関節
- 肘関節
- 手部
- 足部
「MRI検査って結果が出るまでの時間はどのくらいなのか」 「時間がかかるなら予定を組みたいから事前に知っておきたい」 人間ドックでも使用する機会が増えてきたMRI検査ですが、人によっては所要時間以前に検査を受けることが難しい場合があります。 本記事ではMRI検査でできる内容や、注意点について解説します。MRIを用いた検査を予定している人で、本記事で記したMRI検査の注意事項に当てはまる人は、検査の前に担当の医師に申告するための準備ができるので、ぜひ参考にしてください。 MRI検査とは MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像診断)検査とは、強力な磁場を発生させるトンネルのような装置の中で、身体の内部の断面をさまざまな方向から撮影する検査です。 MRI検査は、ベッドに横たわり検査が始まるとベッドが自動で動いてトンネルのような装置の中に入っていきます。磁場が発生するときは工事現場のような大きな音がするため、ヘッドホンや耳栓をして検査を行う場合もあります。 工事現場の音 80〜85デジベル MRI検査の音 120デシベル程度 MRI検査でわかること MRI検査は、全身の疾患について調べられますが、以下の部位における高い検査能力が特徴的です。 四肢(両手、両足) 関節軟部組織 脊椎 脳 膝 肩 子宮 卵巣 血管 など 骨や、その周辺にある軟骨の状況も精査できるほか、脳を含む頭部や骨盤内の臓器などを検査する際に使われます。 MRI検査とCT検査との違い MRI検査と同じように身体の内部を撮影する検査として「CT検査」があります。MRI検査と同様にトンネルに入って行うもので装置の見た目も似通っているのですが、大きな違いがあります。 それは「CT検査は放射線を使った検査」「MRI検査は磁場と電波を使った検査」の違いです。放射線を使わないMRI検査の方が身体への負担が少ないと考えられます。検査の原理や得意な部位の違いは以下の表でまとめました。 検査原理 得意な部位 MRI検査 磁場と電波 整形外科の主な症状 腱板損傷、腱板断裂、関節損傷、靭帯損傷、半月板損傷、頸椎症、胸椎・腰椎ヘルニア、頸椎ヘルニア、脊髄腫瘍、骨軟部腫瘍、その他 脊髄、関節、脳、骨盤腔内臓器 ※関節軟部組織の描出が得意 CT検査 放射線 骨、脳、肺、腹部 MRI検査の結果が出るまでの所要時間 MRI検査の所要時間は20~45分です。似ている検査方法のCT検査は10~15分なので、比較すると少し長い時間がかかります。身体を動かすと画質が落ちてしまうため、検査中はなるべく身体を動かさないことが重要です。 また、MRI検査の結果が出るまでの期間は、検査当日すぐに出る場合もあれば、7~10日間ほどかかる場合もあります。医療機関によって変わるため事前にご確認ください。 MRI検査当日の所要時間:20〜45分 MRI検査の結果が出るまでの期間:当日または7〜10日 MRI検査の全体的な流れ MRI検査の当日は以下の流れで検査が行われています。 受付しつつ注意事項の確認 問診完了後、検査着にお着替え 検査室に移動しMRI検査の実施 MRI検査終了後、来院時の服にお着替え お会計 MRI検査の結果は郵送でお知らせするケースが大半ですが、必ず担当医に「どのような方法で検査方法が知らされるのか」を確認しておきましょう。 MRI検査の注意点 MRI検査は、強力な磁石と電磁波を使用するので、MRIの検査室内には金属類の持ち込みを一切禁止しています。たとえば金属類が該当し、ファスナーやチャック、金属製のボタンなどが付いた服装では検査できません。 また、女性の方はホック付きのブラジャーも着用できない可能性があるため注意が必要です。その他、バッグはもちろん、携帯電話や腕時計、財布などの貴重品、身に付けているアクセサリーを含めた金属類はすべて取り外してもらうのが必須です。ヘアピンなども忘れがちですので注意してください。 医療機関では、MRI検査で検査着に着替える場合が多いため、なるべく金属が付いておらず着替えやすい服装で来院するとスムーズに検査を受けられます。 金属が付いていなくても発熱系素材の下着なども注意が必要です。 インプラントも素材によっては難しい場合があるので、入れ歯も外してもらう必要があります。 身につけてはいけないものや注意が必要なもの一覧 MRI検査当日は、以下の服装やアクセサリー類などを身につけて来院される場合は注意が必要です。 MRI検査時に注意が必要なもの一覧 身に着けてはいけないもの、注意が必要なもの ファスナー、金属ボタンのついた衣類 メイク、マニキュア(アイシャドウ、マスカラ、ネイルアートに注意) 入れ歯、(インプラントは事前相談が必要です) 腕時計、メガネ、へアピンなどのアクセサリー類 コンタクトレンズ(事前相談が必要です) コルセット系の下着、ホックが付いた下着・衣類 金属のついている服や下着 発熱保温機能付の衣料(ヒートテック等) など 体内にペースメーカーなどを埋め込んでいる人 MRI検査は、強力な磁石や電波を使うため、火傷などの事故が起こらないよう十分に気を付けなければなりません。人によっては、身体の状態や状況によってMRI検査を受けるのが難しいと判断されるケースがあります。 以下の事項に当てはまる人は、MRI検査を受けられない場合があるため注意が必要です。 体内に金属(インプラント、ペースメーカーなど)を埋め込んでいる人 手術などで体内に金属、プレートやボルトを埋め込んでいる人は、MRI検査で使用する磁石と金属が反応して検査画像の乱れや火傷の原因となる可能性があります。 金属を体内に埋め込んだ症歴がある場合は、検査を受ける前に必ず申告し「MRI検査が可能であるか」を確認しておきましょう。治療を受けた病院で、金属の種類を事前に確認を求められるケースもあります。 体内に金属類を埋め込んでいる人で注意が必要なケース一覧 心臓ペースメーカー 骨折で体内に金属が入っている 脳動脈クリップ 血管ステント挿入 人工内耳、人工中耳 脳深部刺激装置 入れ墨、アートメイク リフトアップを金糸で行った場合・ 妊娠中、または妊娠の可能性 金属片が飛び散る職場での勤務 閉所恐怖症 ※上記でもチタンを用いたら、検査を受けられる場合もあります 刺青やアートメイクをしている人 刺青やタトゥーで検査ができないケースについて不思議に思う人も少なくないでしょう。実は刺青やタトゥーの色素に鉄などの金属が含まれている場合があり、MRI検査の強力な磁石と反応すると火傷を引き起こす可能性があるからです。 アートメイクの場合も、使用される金属の量はわずかですが、ごくまれに刺青と同様に検査画像が乱れてしまいます。火傷を引き起こす可能性もあるため、同じく注意が必要となります。たとえばマグネットネイルやミラーネイルなども変色の恐れがあるので注意しましょう。 刺青やアートメイクをしている人は、MRI検査を受ける前に必ず担当医師へ申告しましょう。 閉所恐怖症/狭いところが苦手な人 MRI検査は、狭いトンネルのような空間で行われるため、狭いところが苦手な人や閉所恐怖症の人は事前に申し出るのをおすすめします。MRI検査の検査時間は、長いと40分ほど必要になるため、閉所恐怖症の人は注意が必要です。 狭いところが苦手なのを事前に伝えておけば、医療機関によってはMRI機器の明るさを調整したりできる場合があります。検査機関によっては、オープン型のMRIを使用できるので事前に確認しておきましょう。 また、我慢できない場合は検査員に知らせるためのスイッチがあるので、気持ちを楽にしてお受けください。MRI検査について不安な点があれば、たとえ些細なことであっても検査を行う前に医療機関へ相談しましょう。 メイクやコンタクトレンズを着用をしている人 MRI検査を受ける際は、通常のメイクであっても注意が必要です。メイクをしたままMRI検査を受けるのは大きなリスクが伴います。 アイシャドーやマスカラ、アイラインなどの化粧品は、種類によって金属が含まれている場合があるため、検査画像の乱れや火傷を引き起こす恐れがあります。 正しく検査を終えられるように、MRI検査が始まる前までにメイクを落としておきましょう。 コンタクトレンズ(とくにカラーコンタクトレンズ)も注意が必要です。コンタクトレンズには鉄成分が含まれている場合があるため、コンタクトレンズをつけたままMRI検査を受けると検査画像への影響や火傷の危険があります。 コンタクトレンズを使用している人はMRI検査の前に外しておくか、検査の日は眼鏡をかけて来院し、検査中は眼鏡を外すような対応を行うのが無難です。 その他食事などにおける注意事項 MRI検査で腹部や骨盤の検査をする人は「食事の制限はしておくべきか」気になる人も多いでしょう。腹部や骨盤のMRI検査では、約6時間前までに食事を済ませてもらうよう案内しています。 水の摂取に関しては、MRI検査の直前までは問題ありません。とくに骨盤のMRI検査を受ける人は、来院の1時間前までに排尿を済ませておいてもらう必要があります。仮に来院1時間を過ぎたタイミングで排尿された場合は、300ml程度の水を摂取してから検査を受けましょう。 まとめ・MRI検査と検査を受ける際の注意点を把握しておこう MRI検査の造影剤は、被ばくの危険性がないため、CT検査よりも身体に負担の少ない検査であると言われています。しかし、体内に金属を埋め込んでいる人や刺青をしている人は危険が伴うため検査が受けられない場合があることを把握しておきましょう。 メイクをしたままやコンタクトレンズを付けたままの状態でMRI検査を受けるのも大きなリスクが伴います。必ずMRI検査を受ける前に注意事項を確認しておきましょう。
2022.04.18 -
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 脊椎
- 腰部脊柱管狭窄症
- 脊椎、その他疾患
「坐骨神経痛で死ぬほど痛い」と感じる場合の治療法や対処法について知りたいという方は多いのではないでしょうか。 坐骨神経痛は、薬物療法やリハビリなどの手術を行わない保存療法で症状が緩和する可能性があります。 「死ぬほど痛い」と感じるほど重症の坐骨神経痛は、適切な治療を受けないと歩行困難になる可能性もあるため、まずは電話でご相談ください。 また、今までは手術によって痛みやしびれを取る治療が一般的とされてきましたが、近年では神経損傷を改善する可能性がある治療法として再生医療が注目されています。 「坐骨神経痛が死ぬほど痛いからなんとかしたい」という方は、どんな些細なことでもお気軽にご質問くださいね! >>今すぐ電話してみる 坐骨神経痛の辛い痛みを和らげる7つの治療法 坐骨神経痛の辛い痛みを和らげるための治療法は主に以下の7つです。 痛みを緩和する薬物療法 神経ブロック療法 筋肉をほぐす理学療法とリハビリ 認知行動療法 装具療法 重度の場合に行われる手術療法 再生医療 自分にあった症状に合わせて、治療法も検討していきましょう。 痛みを緩和する薬物療法 坐骨神経痛の痛みに対して、まず試される治療法が薬物療法です。痛み止めや炎症を抑える薬を服用することで、辛い症状を和らげる効果が期待できます。 最初は市販の痛み止めから始め、症状が重い場合は医師が処方する鎮痛剤や抗炎症薬を使用するケースもあります。 薬には副作用のリスクもあるため、自己判断での服用は避けて必ず医師に相談しましょう。 ▼神経損傷の治療に再生医療が注目 >>【無料】公式LINE限定の再生医療ガイドブックを見てみる 神経ブロック療法 痛みの原因となっている神経に直接アプローチするのが神経ブロック療法です。 局所麻酔薬を注射して、痛みを伝える神経の働きを一時的に抑制します。 神経ブロック療法は、比較的即効性があり重度の痛みにも効果を期待できるのが特徴です。 また、効果の持続時間には個人差があり、数時間から数カ月以上継続する方もいます。(文献1) 筋肉をほぐす理学療法とリハビリ 理学療法により、坐骨神経周辺の筋肉をほぐし血行を改善するのも、坐骨神経痛に効果が期待できます。 理学療法を受ける場合は、専門家の指導のもとストレッチや運動療法を行います。温熱療法やマッサージなども組み合わせることで、こわばった筋肉がリラックスし痛みの軽減につながるでしょう。 また、リハビリでは痛みの少ない範囲で軽い運動から始め、徐々に負荷を上げていく段階的なプログラムを実施します。 自宅でも医師や理学療法士の指導のもと、簡単なストレッチや運動を続けることで、より早い回復が期待できます。 認知行動療法 認知行動療法とは、物事の考え方・捉え方や行動に働きかけてストレスを軽減する治療法です。 専門家との定期的な面談を通じて、痛みと上手に付き合うコツを学びます。また、リラックス法や呼吸法なども取り入れるとより効果的です。 継続的な取り組みが必要ですが、痛みへの不安が軽減されることで生活の質の向上も期待できます。 装具療法 坐骨神経痛が辛いときは、腰椎を安定させて痛みを和らげるために、コルセットなどの装具を使用することがあります。 ただし、長期の装着は体力低下を引き起こす可能性があるため、医師に相談しながら、使用期間は1カ月程度を目安に調整しましょう。 装具の使用で痛みが改善したら、徐々に体を動かし筋力の回復を目指すのがおすすめです。 重度の場合に行われる手術療法 保存的治療で改善が見られない重症例では、神経を圧迫している椎間板や骨を取り除き、症状の改善を目指す手術療法が検討されます。 近年は、内視鏡手術など身体への負担が少ない手術方法も発達してきており、比較的早い段階で退院や日常生活への復帰ができる傾向があります。 ただし、手術にはリスクも伴うため慎重な判断が必要ですので、医師と十分に相談し手術の必要性を見極めましょう。 再生医療 再生医療とは、患者さま自身の細胞を利用して損傷した組織の再生・修復を促進する治療法のことです。 患者さま自身の細胞を使うため、拒絶反応やアレルギー反応などの副作用リスクが少ない点も魅力の一つといえるでしょう。 手術せずに損傷した坐骨神経の症状改善に期待できる新たな選択肢として再生医療が注目されています。 「坐骨神経が死ぬほど痛くて日常生活もままならない」という方は、ぜひ再生医療による治療をご検討ください。 当院の公式LINEでは、坐骨神経痛の痛み症状が改善できる可能性がある再生医療の治療法についてご覧いただけます。 ▼LINEでしか見られない限定情報を配信中 >>【公式LINE限定】再生医療に関する情報を見てみる そもそも坐骨神経痛とは?辛い3つの症状 坐骨神経痛とは、体の中で最も太い神経である坐骨神経に沿って痛みが走る症状です。 主な症状としては以下3つが挙げられます。 腰から足先にかけての鋭い激痛やしびれ お尻から脚にかけての持続的な痛み 座位や歩行で悪化する下半身の違和感や麻痺感 人によって症状は異なりますが「死ぬほど痛い」と表現されるケースもあり、日常生活に支障をきたすほどの痛みもあります。 本章では、坐骨神経痛の主な症状を解説します。 腰から足先にかけての鋭い激痛やしびれ 坐骨神経に沿って走る電気が走るような鋭い痛みは、最も特徴的な症状の1つです。 突然襲ってくる激痛は、まるで雷に打たれたかのような衝撃を伴います。多くの方が「今まで経験したことのない痛さ」と表現するほどです。 さらに、痛みの強さは時間帯や動作によって変化し、夜間に悪化する場合もあります。 もしも我慢できないほどの痛みに襲われたら、すぐに医療機関での受診をおすすめします。 お尻から脚にかけての持続的な痛み 坐骨神経痛特有の「ズキズキ」「ジンジン」した痛みは長時間続くのが特徴です。 お尻から太ももの裏側、ふくらはぎにかけて痛みが持続し、座る姿勢がとくにつらくなります。 また、痛みで姿勢が崩れてさらに症状が悪化する可能性もあるため、早期の段階で適切な治療を受けて慢性化を防ぎましょう。 座位や歩行で悪化する下半身の違和感や麻痺感 座っているときや歩行時に増す「違和感や麻痺感」も見逃せない重要な症状です。 たとえば長時間の座位で痺れが強くなったり、歩行時にふらつきを感じたりする場合もあります。 また、日常生活での何気ない動作が困難になり、仕事や家事に支障も出てきます。そのため、症状の進行を防ぐためにも、早めの対策と生活習慣の見直しが重要です。 坐骨神経痛の主な原因3選! 坐骨神経痛の代表的な原因は以下の3つが挙げられます。 椎間板ヘルニア 脊柱管狭窄症 加齢や筋力低下 主な原因を理解してから適切な治療法を選択できます。 ここでは症状との関連性や予防法を含めて詳しく解説します。 椎間板ヘルニア 椎間板ヘルニアとは「加齢」や「日常的に腰部に負担をかける」ことにより、クッション役である椎間板が飛び出し神経を圧迫する症状です。 デスクワークが多い30〜50代の方が発症しやすく、座っているだけでも激痛に襲われるケースもあります。 早期発見・早期治療が重要であり、適切な治療を受ければ多くの方が症状改善を実感できます。 また、腰椎椎間板ヘルニアの詳しい症状や重症度が気になる方は以下の記事もチェックしてみてください。 脊柱管狭窄症 脊柱管狭窄症は、年齢とともに脊柱管が狭くなり、神経が圧迫される症状です。 とくに50代以降の方に多く見られ、立ち仕事や長時間の歩行で症状が悪化します。 また、前かがみで痛みが和らぎ、背筋を伸ばすと痛みが強くなるのが特徴です。 しかし、多くの場合が適切な治療と生活習慣の改善で症状をコントロールできます。 脊柱管狭窄症で注意すべきポイントや、症状と治療法については以下の記事も参考にしてみてください。 加齢や筋力低下 加齢による筋力低下も坐骨神経痛の原因の1つです。 腰回りの筋肉が衰えると、背骨を支える力が弱まり神経への負担が増加するため、日常生活での些細な動作で激痛が走ることもあります。 しかし、正しい運動習慣と筋力トレーニングの継続で症状の改善や予防が期待できます。 また、加齢や筋力低下で気になる症状があれば「メール」や「オンラインカウンセリング」でのご相談も受け付けておりますので、お気軽にお問合せください。 坐骨神経痛の予防法とセルフケア 坐骨神経痛の痛みは日々のケアで和らげることができます。 ここでは、痛みに悩まされている方にも効果的な3つの予防方法をご紹介します。 日常的にできる簡単なストレッチ 正しい姿勢を保つための意識づけ 適度な運動で筋力を強化する 継続的に行うと辛い症状の改善や予防に期待できるでしょう。 日常的にできる簡単なストレッチ 朝晩5分から始められるストレッチで、硬くなった筋肉をほぐしていきます。 とくに効果的なのが、仰向けで行う膝抱えストレッチです。 背中を床につけ、片膝を胸に向かってゆっくり引き寄せます 反対側の足はまっすぐ伸ばしたまま30秒キープ 左右2セットずつ行うのがおすすめです。 無理のない範囲で継続していると、徐々に筋肉の柔軟性が高まり痛みの予防につながります。 正しい姿勢を保つための意識づけ 猫背やストレートネックは坐骨神経痛の原因になりやすいため要注意です。 デスクワークが多い方は背筋を伸ばし、足裏を床につけた姿勢を心がけましょう。 長時間同じ姿勢も避けたいポイントですので、1時間に1回は立ち上がって軽く体を動かすことをおすすめします。 正しい姿勢を保っていれば、神経への負担が軽減され痛みの予防に効果的です。 適度な運動で筋力を強化する 急激な運動は逆効果ですが、適度な運動は予防にも効果的です。 ウォーキングや水中歩行から始めるのがおすすめで、とくに体幹を鍛えると腰への負担が軽減されます。 まずは1日10分からでもOKですので、徐々に時間を延ばして体を強化していきましょう。 まとめ|死ぬほど痛い坐骨神経痛は適切な治療法で改善しよう 坐骨神経痛の痛みは確かに辛いものですが、適切な治療とケアで改善に期待できます。まずは専門医に相談し、あなたに合った効果的な治療を検討してみてください。 治療には薬物療法や神経ブロック、リハビリなど症状に合わせて選択できます。 本記事を参考に簡単なセルフケアも取り入れつつ、日常的に予防も意識してみてください。 近年の治療では、手術をしない新たな選択肢として「再生医療」が注目されています。 痛みでできなかったことが再びできるようになる可能性がある再生医療について「どのような治療を行うか」ぜひ知っておきましょう。 ▼LINEでしか見られない限定情報を配信中 >>【公式LINE限定】再生医療に関する情報を見てみる 坐骨神経痛が死ぬほど痛いときによくある質問 Q:坐骨神経痛と間違える病気はありますか? 坐骨神経痛に似た症状に「梨状筋症候群」や「変形性股関節症」があげられます。 いずれも神経損傷や関節軟骨がすり減ってしまい従来の治療では元に戻らないと言われています。 しかし、近年では損傷した神経や関節軟骨に対して再生医療による治療も選択肢の一つです。 今まで元に戻らないとされていた神経や組織の改善が期待できる治療法なので、この機会にぜひ知っておきましょう。 ▼神経損傷の治療に再生医療が注目 >>【無料】公式LINE限定の再生医療ガイドブックを見てみる Q:坐骨神経痛でやってはいけないことは何ですか? 坐骨神経痛の症状を悪化させないために、主に以下の動作が挙げられます。 長時間の同じ姿勢 無理な運動 重いものを持ち上げる とくに急激な動きや、ねじる動作は症状を悪化させる原因となります。 また、坐骨神経痛でやってはいけないことについては、以下の記事でさらに詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。 参考文献一覧 文献1 日本ペインクリニック学会_第Ⅰ章 ペインクリニックにおける神経ブロック
2022.04.13 -
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 脊椎
「頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないことはある?」 「頚椎椎間板ヘルニアの予防で注意したいポイントは?」 頚椎椎間板ヘルニアを始め、頚椎疾患は、日常診療のなかでも多い病気のひとつです。頚椎疾患自体は、30~50代前後の中年層に患者数が多い傾向にあります。 ときには訳もなく発症するケースがあるものの、多くは日常生活で悪い姿勢のまま作業をしたり、首に負担のかかりやすい運動(スポーツ)をしたりすると起きやすくなります。 また、頭の重さは5~6Kgほどです。要はボーリングの球が首に乗っている様子をイメージしてみてください。いかに首への負担がかかっているのか、ご理解いただけるでしょう。 そのため、日常生活において大きな衝撃がないときでも、ほんの数センチ頭が傾くだけで、首に負担がかかってしまうのです。 今回は頚椎椎間板ヘルニアを患った方が、日常生活においてやってはいけないことを解説します。最後までお読みいただければ、注意点や予防法を理解できるはずです。 先に主要ページに飛びたい方は、頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと5つの項目を参考にしてみてください。 頚椎椎間板(けいついついかんばん)ヘルニアについて 頚椎椎間板ヘルニアは、椎間板の一部が本来の正常な位置から逸脱し、後方・背中側に向けて突出してしまう病気をいいます。 ちなみに「椎間板(ついかんばん)」とは、脊椎(せきつい)領域において、骨と骨の間にあるクッションの役割を担っている軟骨のことです。 首の骨は「頚椎(けいつい)」と呼ばれ、7つの骨で構成されています。 特に、頭側に位置する上位頚椎椎間板ヘルニアは、加齢にともなう下位頚椎の変形などにより、上位頚椎に負荷がかかって引き起こされるのが一般的です。 若年者から中年層にかけて幅広く発症し、多くは悪い姿勢でのデスクワークが原因で起こる傾向にあります。 あるいは頚部に重い負担や、大きな衝撃がかかる以下のようなスポーツで発症する可能性もあるでしょう。 ・ラグビー、アメフト ・柔道 ・レスリング、ほか格闘技など ・スキー、スノーボードなど(ウインタースポーツ) また、頚椎椎間板ヘルニアになったときにあらわれる症状は、以下のとおりです。 ・首や肩、腕にかけて広範囲に痛みやしびれが出てくる ・食事中に箸が持ちづらくなる ・服を着るときにボタンがかけづらくなる ・歩くときに足がもつれる 医療機関などで頚椎椎間板ヘルニアの患者さんを診療するときは、手足の感覚や筋力が通常より低下していないかを確かめます。 あるいは四肢の腱(けん)反射異常などを観察したうえで、MRI検査(核磁気共鳴装置)で画像を確認し、脊髄の圧迫状態を確認します。 頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと5つ【予防法も解説】 前項で触れた通り、頚椎椎間板ヘルニアという病気は、スポーツなどが契機となって発症しやすい傾向にあります。 頚部のしびれや痛みなどの症状がみられる場合には、運動を一旦中止し、医療機関の受診を検討しなければなりません。 以下では、日常生活で注意するためにも、頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと5つをご紹介いたします。動画の解説もあわせてご確認をいただけるとうれしいです。 https://www.youtube.com/watch?v=xbxEK7kz0y0 ・スポーツでの違和感は放置しない ・姿勢が良くないまま過ごさない ・体重管理をせず体に負担をかけない ・自転車・バイクなどに乗って負担をかけない ・喫煙を習慣化しない スポーツでの違和感は放置しない アメリカンフットボールやラグビー、格闘技系など、激しいコンタクトを要求されるスポーツ選手は特に注意が必要です。 また、体操選手などは、体に対して急激で強い外力が頻繁に加わる動作をおこない、長時間同じような動作を反復するので頚椎椎間板ヘルニアを発症するリスクがあります。 とくに年齢を重ねると椎間板が劣化しやすいため、激しい動きがある種目は行わないようにするか、可能な限りリスクに注意して行うなどの対策を取ってみてください。 ほかにも、症状が軽度な場合に「この程度なら大丈夫」と自己判断して放置し、治療をしないままスポーツや生活を続けるのは避けましょう。 頚椎椎間板ヘルニアは自然に良くならないので、違和感を放置すると症状を悪化させる原因に繋がりかねません。 首に痛みや違和感があるときは、早めに医療機関で診察を受けて、医師から適切な判断を仰いでみてください。 姿勢が良くないまま過ごさない 頚椎椎間板ヘルニアを引き起こしやすい例としては、日常的な姿勢の悪さがあげられます。 たとえば、腰の部分が反ってしまう「そり腰」を始め、腹部に体幹を支える力が入っていない状態の「猫背」が代表例です。 頚椎椎間板ヘルニアの発症防止や、発症後に症状を悪化させないためにも、日常生活で背筋を伸ばすなど「正しい姿勢を意識する」ことが大切です。 以下では、姿勢が崩れていないかの確認方法を解説いたします。 【姿勢の確認方法】 まずは、大きな鏡の前で自身の姿勢を確認しましょう。 もしくは自然に壁の後ろに立ち、かかとを壁に付ける形で確認します。 その際、お尻・肩・頭は、壁に軽くついているかを始め、背中は手のひら1枚分ほどの隙間があるかも確かめましょう。 準備が整ったら、姿勢が悪いときに当てはまる以下のポイントをチェックします。 ・お尻、肩、頭が壁につかない部分がある ・頭の後頭部がつかない(頚椎に負担がかかっている) 姿勢の悪さに気づいたときは、背筋を伸ばすなど、日頃から正しい姿勢を意識するように注意しましょう。 正しい姿勢を知って維持したい方は、正しい歩き方を含めて解説している以下の記事も参考になります。 体重管理をせず体に負担をかけない 平均的な体重の成人は、上半身の重さが全体重の6割ほどといわれています。 体重が重い肥満傾向の場合は、そのぶん頚椎椎間板にかかる負荷が大きくなります。 身長に対して過剰な体重にならないためにも、適度な運動や食生活の見直しをおこない、体重を管理することが大切です。 自転車・バイクなどに乗って負担をかけない すでに頚椎症の疑いや症状がある場合は、自転車やバイク、自動車などに乗るのは控えるほうが良いでしょう。 特に自転車やバイクの転倒時には、急激に首に力が入ってしまいます。リスクを避けるためになるべく運転を控えましょう。 それでも自転車に乗る場合は、停止時はすぐに地面に足が着くようサドルを調整し、無理のない走行を心がけます。 また、自動車でほかの人に運転してもらう場合は、乗る前に事情を説明しておき、安全運転をお願いしましょう。 乗り物に乗るときは、以下の点にご注意ください。 【自転車・バイク・自動車などに乗るときの注意点】 ・発進や停止するときは、首に大きな負担がかかる点を意識する ・急発進や急ブレーキも、首に大きな負担がかかるので避ける 乗り物以外では、重い荷物を持ち上げるなど、首に負担がかかる動作は控えてみてください。 どうしても持ち上げる必要があるときは、腰を曲げてかがむのではなく、膝を折ってかがめば首にかかる負担を減らして持ち上げやすくなります。 正しい姿勢を意識しながら、何らかの動作が必要なときは、首に負担がかからないようご注意ください。 喫煙を習慣化しない 何より注意すべきは喫煙です。喫煙は、全身の毛細血管の血流を悪化させて、椎間板の劣化が起こりやすくなると考えられています。 頚椎椎間板ヘルニアを患っているにも関わらず、喫煙習慣があるのなら、なるべくタバコを吸わないようにしましょう。 もしくは大幅に減らすなど、できる限り禁煙するといった努力を心がけてみてください。 ご存知のように、タバコは万病のもとといわれるため、この機会に禁煙されてはいかがでしょうか。 最近は電子タバコなどもあり、切り替えながら少しずつでも減らしていければベストですね。 頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと【まとめ】 ・激しいスポーツを避ける(それ以外のスポーツも要注意) ・重い荷物を持つなどの重労働は避ける ・腰を曲げてお辞儀するようにかがまない(首に負担がかかる) ・猫背、そり腰を避ける(正しい姿勢を知る) ・太らないこと、体重の増加に注意する ・自転車やバイク、自動車の急発進や急停止などに注意する ・スマホを悪い姿勢で見ない(首への負担を意識する) ・禁煙が望ましい 【頚椎椎間板ヘルニアの予防法】 ・正しい姿勢を知って維持する ・腹部で体幹を支えるように意識して姿勢を正す 頚椎椎間板ヘルニアを予防するには、ストレッチ方法を知っておくのもおすすめです。詳細については、以下の記事で詳しく解説しています。 まとめ|頚椎椎間板ヘルニアは姿勢を意識して負担を減らそう 椎間板が劣化する原因は、加齢などを含めてさまざまです。 頚椎椎間板ヘルニアになる要因やリスクを避けるために、以下のポイントを押さえておきましょう。 ・肥満 ・喫煙習慣 ・悪い姿勢 ・激しいスポーツ活動 など 普段の生活における環境要因(乗り物の運転など)を始め、頚椎椎間板ヘルニアの予防は正しい姿勢を知ることが第一です。 ほかにも、正しい姿勢で散歩したり、泳ぐのが好きな方はスイミングを取り入れたりするなど、持続的に無理のない範囲で運動する習慣を持つことも大切です。 現在、頚椎椎間板ヘルニアの治療中で、本記事をお読みいただいている方は、無理をなされないよう気をつけてお過ごしください。 頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないことを知る上で、少しでも参考になれば幸いです。 頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないことに関するQ&A 頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないことに関して、よくある質問と答えをご紹介いたします。 Q.頚椎椎間板ヘルニアの治療法は? A.頚椎椎間板ヘルニアでは「保存的治療」もしくは「外科的治療」を行います。 保存的治療において、主な治療方法は以下の3つです。 ・薬物治療:鎮痛薬の内服、神経ブロックなど(安静保持を含む) ・牽引治療:頚椎カラー装具で首を固定、首の牽引治療など ・理学療法:マッケンジー法、首のエクササイズなど ただ、保存的治療では顕著な症状改善を見込めず、手や足の筋力低下が続いて悪化するケースもあるかもしれません。 もしくは、スムーズに歩けないなどの歩行障害、尿失禁を始めとする排尿障害を合併する場合には、外科的治療(手術)を検討するケースもあります。 頚椎椎間板ヘルニアの治療法における詳細は、以下の記事で解説しているので参考にしてみてください。 Q.頚椎椎間板ヘルニアの初期症状は? A.初期症状は、主に以下の3つがあげられます。 ・首の痛み(最初期の症状) ・片方の腕や手の痛み、痺れ ・両手の痺れ、感覚障害 進行すると症状が悪化する可能性があります。少しでも違和感があるときは、早い段階で医療機関を受診してみてください。 頚椎椎間板ヘルニアにおける初期症状の詳細は、以下の記事も参考になります。 Q.頚椎椎間板ヘルニアの入院期間・休業期間はどのくらい? A.手術を受けた場合、入院期間の目安は、リハビリなどを含めて10~14日ほどです。休業期間の目安は、2~3週間ほどになります。 頚椎椎間板ヘルニアの入院期間や休業期間の詳細を知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。 Q.頚椎椎間板ヘルニアのリハビリ方法は? A.患者さまの状態や生活習慣に応じて、運動療法や物理療法などを行います。 また、専門家からセルフケアの方法や動作に関するアドバイスも受けられます。 リハビリの目的などを含めて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
2022.04.04 -
- ひざ関節
- 脊椎
- 股関節
- 肩関節
- 肘関節
- 手部
レントゲン検査やCT検査で股関節の痛みや違和感の原因が特定できない場合、MRI検査が必要となるケースがあります。 MRI検査では、レントゲンやCTでは映し出せない神経や筋肉の異常を詳しく調べられるからです。 本記事では、股関節に異常がないかを調べるMRI検査について詳しく解説します。 MRI検査で発見できる病名・疾患や、MRIの撮り方も紹介しているので、股関節の痛みや違和感に悩み詳しい検査を検討されている方は参考にしてみてください。 MRIを含む股関節を調べる画像検査3種【費用相場】 股関節の異常を調べるときに実施される画像検査は、主に以下の3種類です。 レントゲン検査 CT検査(Computed Tomography) MRI検査(Magnetic Resonance Imaging) 検査の内容や費用をそれぞれ見ていきましょう。 1)レントゲン検査 レントゲン検査は、多くの方にとってなじみのある放射線の一種であるエックス線を用いた検査方法です。短時間で簡単におこなえますし、苦痛もほとんどないため、まずはレントゲンを撮る病院が多いかと思います。 レントゲン検査は、骨の状態、部分を詳しく見るのに適しています。 たとえば骨折や、骨の変形などがその代表です。しかし、筋肉・軟骨・神経などの骨より柔らかい組織は撮影できません。 最近はデジタル化の影響で線量が格段に少なくなっているため通常の検査であれば問題はありません。ただ、放射線を用いる検査ですので、何度も繰り返して検索をおこなうなどの場合は被曝の可能性については気になるところです。 【検査費用の目安】 検査費用:600〜2,000円 ※撮影枚数2枚で3割負担の料金を想定 2)CT検査(Computed Tomography) CT検査は、レントゲンと同じエックス線を用います。 このエックス線をあらゆる方向から照射することで、体の輪切りした画像撮影が可能になります。レントゲンと違って体の内部まで輪切りにした状態で確認ができます。 輪切り画像を重ね合わせて他の断面の画像を構築したり、三次元(3D)の立体画像で確認したりできる検査です。 レントゲン検査よりもさらに詳しく骨の状態を評価できますが、レントゲンと同じく筋肉・軟骨・神経などの骨より柔らかい組織については判断しにくい特徴があります。 【検査費用の目安】 検査費用:5,000〜15,000円 ※3割負担の料金を想定 3)MRI検査(Magnetic Resonance Imaging) MRI検査とは、大きな磁石(磁場)を利用して体の内部を画像化する検査です。 レントゲン検査や、CT検査ではわからない筋肉や神経などの柔らかい組織を写し出す作業を得意としています。また、何より放射線を使用しないため被曝もなく、患者さんの人体に無害な検査という点で優れています。ただ、装置自体が大きく、とても高価なため、大学病院をはじめとした一部の施設にしか配置されていません。 また、誰でもできる訳ではありません。仕組みとして非常に強力な磁石を用いた装置なので、体内に金属があると検査できない場合があります。 MRI検査の注意点はこちら▼ 【検査費用の目安】 検査費用:5,000〜17,000円 ※3割負担の料金を想定 股関節のMRI検査でわかる主な3つの病名 ここでは、MRI検査で発見できる主な股関節の疾患を3つ紹介します。 ・変形性股関節症 ・関節リウマチ ・大腿骨頭壊死 順番に見ていきましょう。 変形性股関節症 変形性股関節症とは、股関節にある軟骨がすり減って、骨が変形する疾患です。変形性股関節症を発症し、症状が進行すると股関節に痛みが生じます。 また、股関節の可動域が制限されるようになり、立ち上がる動作や靴下をはく動作などに支障をきたすようになります。 変形性股関節症の詳細はこちら▼ なお、変形性股関節症の治療には、人間の自然治癒力を活用した「再生医療」が有効です。 幹細胞を股関節に注射すれば、すり減った軟骨が再生されます。徐々に痛みが軽減し、手術を回避できる可能性が高まります。 期待できる治療効果が知りたい方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 関節リウマチ 関節リウマチとは、免疫システムの異常により、炎症を起こし痛みや腫れが生じる疾患です。股関節で発症した場合、リウマチ性股関節症と呼ばれます。 症状が進行または慢性化すると、関節が変形したり、こわばり・痛みによって日常生活に支障をきたしたりします。 また、炎症による発熱や、免疫システムのエラーによる臓器障害なども発生する可能性があるので、視野を広げた治療アプローチが必要です。 関節リウマチの詳細はこちら▼ 大腿骨頭壊死 大腿骨頭壊死は、股関節を形成する骨の一部である大腿骨頭への血流が低下して骨組織が壊死する疾患です。原因が不明な場合は「特発性大腿骨頭壊死」と呼ばれ、難病に指定されています。 症状が軽度で壊死の範囲が狭い場合は、経過観察も可能です。 しかし、壊死範囲が広く、症状が著しく進行している場合は、骨切り術や人工股関節置換術の手術が視野に入ってきます。 大腿骨頭壊死の詳細はこちら▼ 股関節を調べるときのMRIの撮り方 股関節を調べるときのMRIの撮り方を以下の表にまとめました。検査の流れを把握しておきたい方は参考にしてみてください。 流れ 検査内容 1.磁性体の装飾品を外す 磁場を発生させるMRIの故障の原因となるため、アクセサリーや時計などの金属類は事前に外しておく 2.検査着に着替える 必須ではないが安全性を考慮して推奨されている(参考1) 3.ヘッドホンや耳栓を装着する 検査中に騒音が発生するため、専用のアイテムで耳をふさぐ 4.ベッドに横たわる 指示に従って体勢を整える。撮影部位を固定する必要があるため患部によって多少体勢が変わる 5.検査開始 トンネル型の機械に入って検査を受ける。検査時間は撮影部位や撮影方法にもよるが、20〜45分 検査結果は、早くて当日中に出ます。詳細な分析を要する場合は、7〜10日ほどかかります。 MRI検査の全体像を解説した記事はこちら▼ まとめ|股関節に異常を感じたらMRI検査を検討しよう MRI検査は、レントゲン検査やCT検査ではわからない筋肉や神経などの組織の異常を詳細に映し出せます。 原因がはっきりわからない痛みや違和感が股関節に現れたら、MRI検査を受けて病名や疾患名を調べると良いでしょう。 早期に原因がわかれば、適切な治療を開始して早い回復を目指せます。 変形性股関節症を含む膝の痛みに対する根本的治療には「再生医療」を推奨します。再生医療は、人間の自然治癒力を活用した最新の医療技術で、すり減った膝軟骨の再生を図ります。 「再生医療に興味があるけど具体的なイメージがつかめなくて不安…」という方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 股関節のMRI検査に関するよくある質問 最後に股関節のMRI検査に関するよくある質問と回答をまとめます。 MRIの画像に映る白い影は何ですか? MRI画像に映る白い影の原因は、以下のように複数考えられます。 ・小出血 ・骨髄の浮腫 ・組織や骨の損傷 ・レントゲンには映らないような微小な骨折 医師の話を聞いて、白い影の正確な原因を確認しましょう。 股関節のMRI検査で異常なしでも痛みが生じるのはなぜですか? 小さな組織の損傷は、MRIに映らない場合もあります。そのため、実際には損傷が起きていても、検査結果では「異常なし」と診断されるケースもゼロではありません。 また、股関節の靭帯が緩んで、痛みを伴う場合もあります。靭帯の緩みはMRIでは確認が難しく、検査では異常が見つからないケースもあります。 【参考文献】 参考1:http://fms.kopas.co.jp/fmdb/JJMRM/27/4/230.pdf
2022.03.30 -
- 脊髄損傷
- 脊椎
脊髄損傷を負ったあと「リハビリでどこまで回復できるのか?」「効果的なトレーニング方法は?」とお悩みの方もいるのではないでしょうか? リハビリは早期に始めるほど効果が高く、適切なトレーニングを継続すれば日常生活の質向上が期待できます。 本記事では、脊髄損傷におけるリハビリやトレーニングについて詳しく解説します。リハビリの回復見込みや注意点も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。 脊髄損傷のリハビリ内容【主な部位へのアプローチポイント】 さっそく、脊髄損傷のリハビリ内容を解説します。脊髄損傷におけるリハビリでは以下の訓練や療法がよくおこなわれます。 可動域訓練 筋力トレーニング 歩行訓練 電気刺激 順番に見ていきましょう。 可動域訓練|全身へのアプローチが可能 脊髄損傷後のリハビリでは、早期から関節の可動域訓練を行います。 脊髄を損傷すると「正常な筋肉」「麻痺がある筋肉」「筋力低下した筋肉」が混在します。その結果、筋肉のバランスが崩れることで拘縮(こうしゅく:関節が固くなり動きが制限される状態)が発生しやすくなるため、早期の訓練開始が重要です。 下部頸髄損傷による拘縮では、肘・膝・足の関節が屈曲位で固定されるだけでなく、全身の柔軟性が低下します。 拘縮が進行すると、座位の維持や寝返り、起き上がり、移乗(車椅子への移動など)にも支障が出るため、可動域訓練は全身の機能維持において欠かせない訓練といえます。 筋力トレーニング|上肢・下肢の筋力強化に有効 脊髄損傷のリハビリを目的とした筋力トレーニングは、麻痺を負った筋肉とのバランスを整えるほか、残存した機能を活用して日常生活を送るために欠かせない取り組みです。 たとえば、呼吸筋を鍛える「バルサルバ法」(バルサルバ手技とは異なる)は、呼吸機能の回復に有効であり、生活の質(QOL)の向上につながります。このトレーニングは、息を止めて腹部に力を入れることで呼吸筋を鍛える方法で、推奨時間は30秒未満です。 適切な筋力トレーニングを継続すれば、上肢・下肢の筋力を維持・向上させ、日常動作の改善を図れます。 歩行訓練|下肢の機能回復に有効 歩行訓練を早期から実施すると、歩行機能の向上だけでなく、身体機能も高まります。 脊髄損傷のリハビリでは「吊り上げ式免荷歩行」がよく採用されます。 これはジャケットを装着して体を上方へ牽引し、体重負荷を軽減しながら安全に歩行訓練をする方法です。 吊り上げ式免荷歩行を実施するメリットは以下の4つです。 早い段階から歩行練習ができる 身体の一部を支え負担を軽減できる 転倒のリスクを減らし安全に訓練できる 歩く動作に近い運動ができ意欲が向上する この方法により、安全性を保ちながら下肢の機能回復を促進します。 電気刺激|指先への細やかなアプローチも可能 機能的電気刺激(FES:functional electric stimulation)では、電気刺激により、麻痺を起こした筋肉を動かすことで身体機能の回復を図るリハビリ手法です。 具体的には、体の表面に装着もしくは体内に埋め込んだ電極から電気信号を送り筋肉を収縮させる方法です。 電気刺激により、歩行や起立動作などの日常生活動作の改善に加え、高位脊髄損傷者では人工呼吸器が不用になった報告があります。動作の向上は脊髄損傷を負った方にとって、リハビリ意欲の向上につながるでしょう。 電気刺激は、手指や手首の動作改善にも有効であり、握力の向上や指先の細かな動作の回復を促します。これにより、食事や着替え、筆記といった日常生活動作の自立支援にも貢献します。 再生医療|脊髄損傷の後遺症に対する新たな治療法 従来の治療法は主にリハビリで、症状が悪化すれば手術を受けるのが一般的でした。 しかし近年、幹細胞を用いた「再生医療」が新たな選択肢として注目されています。 幹細胞には損傷した組織を修復する働きがあり、筋力の回復や歩行の安定、感覚の改善などが期待されています。 点滴や患部に直接注射することで幹細胞が体内に投与され、血液を介して脊髄へ届けられる仕組みです。 再生医療は、手術のように傷跡が残る心配がなく、体への負担が少ない点も大きなメリットです。 「再生医療に興味があるけど具体的なイメージがつかめなくて不安…」という方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 脊髄損傷におけるリハビリの回復見込みは? 脊髄損傷後のリハビリによる回復の見込みは、損傷の程度や種類によって異なります。 脊髄損傷は、大きく分けて以下の2つに分類されます。 分類 症状 完全麻痺 脊髄の神経伝達が完全に断たれた状態で、運動機能や感覚が完全に失われた状態 不全麻痺 脊髄の神経伝達が部分的に残っており、運動機能や感覚の一部が残っている状態 一般的に、完全麻痺の場合、失われた機能の完全な回復は難しいとされています。一方で、不全麻痺の場合は、早期にリハビリを開始して適切な治療を継続すれば、機能回復が期待できます。 リハビリだけでなく、脊髄損傷の後遺症には、再生医療という選択肢もあります。 幹細胞を採取・培養する再生医療は、自己再生能力を持つ幹細胞を利用して、損傷した組織の修復を目指す治療法です。 詳しい治療法については、下記のページをご覧ください。 脊髄損傷のリハビリに関する2つの注意点 脊髄損傷におけるリハビリ時の注意点を2つ解説します。 受傷後すぐは廃用症候群の発症に注意する 脊髄ショックのリスクも念頭に置いておく これらの点を理解した上で、安全なリハビリに取り組みましょう。 受傷後すぐは廃用症候群の発症に注意する 受傷直後は、安静にする必要があるため、ベッド上で過ごす時間が長くなります。 そこで注意したいのが、廃用症候群の発症です。 廃用症候群とは、安静状態が長時間続くことで起こる心身機能のトラブルや疾患の総称です。 たとえば、以下のような症状が現れます。 床ずれ 関節拘縮 尿路結石 起立性低血圧 睡眠覚醒リズム障害 褥瘡(じょくそう:長時間同じ姿勢により身体が圧迫されて皮膚や組織が損傷する状態)を防ぐためには、こまめに体位を変え、圧を分散させるマットやクッションを活用することが必要です。 脊髄ショックのリスクも念頭に置いておく 脊髄損傷のリハビリを進める際には、脊髄ショックのリスクを考慮する必要があります。 脊髄ショックとは、脊髄に損傷を受けた際に、損傷部位だけでなく脊髄全体に影響が及ぶ現象です。 脊髄と脳の連絡が絶たれることで発生し、運動や感覚が麻痺するだけでなく、脊髄反射が完全に消失する特徴があります。 脊髄ショックは通常、1日から2日で急性期を抜けますが、重症の場合は数日から長くて数週間続きます。 その間、体を動かすことができず、安静にして過ごさなくてはなりません。また、回復後も症状が重い場合は、予後が厳しくなる可能性が高くなります。 リハビリを開始する際には、脊髄ショックの発生を念頭に置き、医師の指示に従いながら慎重に治療を進める姿勢が大切です。 まとめ|脊髄損傷におけるリハビリのトレーニングで機能回復を目指そう 脊髄損傷は、体の中枢にある神経が損傷することです。脊髄を損傷すると、損傷した部位や程度により違いがあるものの麻痺が発生します。 損傷する脊髄レベルが高いほど重症度も高くなり、頸髄が横断される形で損傷する完全麻痺では、体を動かせなくなったり、感覚が感じ取れなくなったりします。 脊髄損傷後の主な治療法はリハビリです。リハビリでは、回復・残存した神経機能を日常生活に結び付けるため、体位変換・可動域訓練・筋力トレーニング・歩行訓練・電気刺激などに取り組みます。 また、リハビリで思ったような効果がみられない場合は、「再生医療」も選択肢としてご検討ください。 再生医療は、これまで困難とされていた脊髄の損傷修復や再生を目指す治療法です。 無料のメール相談・オンラインカウンセリングも受け付けていますので「再生医療で脊髄損傷をどうやって治療するの?」と気になる方は当院「リペアセルクリニック」にお気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/
2022.03.28