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「腰痛やしびれで受診したら、椎間板ヘルニアと言われて今後が不安」 「若い女性でも椎間板ヘルニアになることはあるの?」 このような悩みや疑問をお持ちではありませんか。 椎間板ヘルニアとは、背骨の骨と骨の間にある「椎間板」という組織が変形して飛び出し、神経や脊髄を圧迫する病気です。比較的男性に多いと言われていますが、若い女性がかかるケースもあります。 当記事では、若い女性が椎間板ヘルニアになる原因や、治療法、やってはいけないことなどを詳しく解説します。記事を最後まで読めば、今後に必要な注意点がわかり、ヘルニアの治療をよりスムーズに進められるようになるでしょう。 若い女性に多い椎間板ヘルニアの原因【10代20代】 椎間板ヘルニアは、背骨にある椎間板への負担によって起こるケースが多く見られます。 若い女性によく見られる椎間板ヘルニアの原因は、以下のとおりです。 激しいスポーツによる首や腰への負荷 姿勢の悪さ たばこを吸う習慣 腰に負荷がかかる仕事 本章の内容をもとに、自分に当てはまるものがないかチェックしておきましょう。 なお、椎間板ヘルニアについては、以下の記事で詳しく紹介しています。 【関連記事】 胸椎椎間板ヘルニアとは?原因や症状を専門医が解説 頚椎椎間板ヘルニア!原因と症状 腰椎椎間板ヘルニアの症状レベルと種類を医師が解説!手術するべき? 激しいスポーツによる首や腰への負荷 激しいスポーツにより首や腰への負荷が続くと、椎間板ヘルニアを引き起こすケースがあります。(文献1) 女性の場合、格闘技や柔道、ラグビーなどの激しく身体をぶつけ合うスポーツを楽しむ方は比較的少ないでしょう。しかし、以下のようなスポーツは、若い女性における椎間板ヘルニアの原因となる可能性が考えられます。 スキー ゴルフ 器械体操 スノーボード 陸上競技(投てき) しかし、スポーツと椎間板ヘルニアの関連性は、明らかになっていない部分もあります。(文献2) 何が原因なのかははっきりしないケースもあるため、スポーツにおいても無理をしすぎず、違和感があれば早めに受診するようにしましょう。 スポーツと椎間板ヘルニアの関係については、以下の記事でも紹介しています。 姿勢の悪さ 以下のような日々の姿勢の悪さが積み重なり、椎間板ヘルニアにつながるケースもあります。 猫背 反り腰 長時間の前傾姿勢(スマートフォンやパソコンの操作時) また、座りっぱなしや立ちっぱなしなど、ずっと同じ姿勢でいることも椎間板ヘルニアの原因となります。 仕事上やむを得ない場合は、こまめに姿勢を変えて負担をやわらげると良いでしょう。 たばこを吸う習慣 喫煙は、全身の血流を悪化させたり椎間板を変性させたりするため、椎間板ヘルニアの原因となりえます。(文献3) 腰椎椎間板ヘルニアとたばこのリスクについて、いくつかの研究報告を紹介します。(文献2) 喫煙量が多いほどリスクが高い 過去に喫煙していた人よりも、現在も喫煙を続けている人の方がリスクが高い また、たばこは椎間板ヘルニアに限らず、高血圧や糖尿病、がんなどのリスク因子でもあります。(文献4) 将来の健康リスクを減らすためにも、たばこは早めにやめることをおすすめします。 腰に負荷がかかる仕事 「仕事で重いものを持ちあげる」「毎日のカバンが非常に重い」などの原因が、椎間板ヘルニアの発症につながるケースもあります。 若い女性が椎間板ヘルニアになりやすい仕事の例は、以下のとおりです。(文献5) 仕事 理由 引越し・物流業 重いものを持つ機会が多いため 医療職・介護職 人を持ち上げる、無理な姿勢を取るなどの機会が多いため タクシーやトラックの運転手 座りっぱなしになる機会が多いため 身体の負担をやわらげる器具の研究は進められているものの、仕事による負担を完全になくすことは難しいのが現状です。しかし、以下の工夫を取り入れれば、腰への負担を軽減しやすくなります。(文献6) 疲れをためない 作業しやすい衣服や靴を選ぶ 同じ姿勢が続かないようにする 必要に応じて腰部保護ベルトを使用する \まずは当院にお問い合わせください/ 若い女性の椎間板ヘルニアの治療法 椎間板ヘルニアは、数カ月で自然に改善するケースもあります。そのため、手術せずに回復するケースも珍しくありません。 代表的な治療法を、以下の表にまとめました。 治療方針 治療法 保存的治療 痛みをやわらげながら、症状が軽減するのを待つ 薬物治療 注射 リハビリ 手術療法 手術でヘルニア自体や椎間板の飛び出た部分を切除する 手術 再生医療 傷ついた脊髄を再生させて、痛みやしびれを改善する 幹細胞治療 本章では、若い女性によくおこなわれる椎間板ヘルニアの治療法について順番に説明していきます。 薬物治療 薬物治療とは、痛みや炎症を抑え、ヘルニアが自然に小さくなるのを待つ方法です。良く使われる薬は、以下のとおりです。 消炎鎮痛薬(NSAIDs)や神経障害性疼痛治療薬 消炎鎮痛薬の湿布や塗り薬 薬は1種類でなく、組み合わせて使用するケースもあります。 ブロック注射 飲み薬で十分な効果が得られない場合、麻酔薬やステロイドで神経の痛みや炎症をやわらげる「神経ブロック治療」と呼ばれる注射をおこなうケースがあります。 ブロック注射も、飲み薬と同様にヘルニア自体を小さくするものではなく、痛みをやわらげて自然な回復を待つ治療法です。 ブロック注射については、以下の記事で詳しく解説しています。 リハビリ 椎間板ヘルニアでは、痛みや痺れをやわらげる「リハビリ」をおこなうケースもあります。 よくおこなわれるリハビリは、以下のとおりです。 運動療法:筋肉をやわらげるストレッチやトレーニング 物理療法:電気療法・温熱療法・冷却療法・牽引療法など 生活指導:負担のかからない生活を送るための指導 リハビリは、薬物療法と一緒におこなうケースもあります。 椎間板ヘルニアのリハビリについては、以下の記事で詳しく紹介しています。 【関連記事】 頚椎ヘルニアに効くストレッチ5選!予防ポイントも解説【医師監修】 頸椎椎間板ヘルニアのリハビリ方法|目的や期間・注意点を徹底解説 胸椎椎間板ヘルニアの保存療法!リハビリの種類や具体的な内容を解説 手術 飲み薬や注射、リハビリなどの保存療法で良くならない場合は、手術を検討します。また、足に力が入らない、排尿・排便障害があるなどの場合は早急な手術が必要になるケースもあります。 椎間板ヘルニアの代表的な手術は、以下のとおりです。 手術名 特徴 MED(内視鏡下ヘルニア摘出術) 一般的に広くおこなわれている手術 「内視鏡」というカメラ付きの器具を使用して、ヘルニアを取り除く PELD(経皮的内視鏡下 腰椎椎間板切除術) MEDよりも筒の細い内視鏡を使用する手術 ヘルニアが小さい、椎体の変形が少ない場合に適用可能 局所麻酔での手術も可能 日帰りで済むこともあり、身体への負担が少ない PLDD(経皮的レーザー椎間板減圧術) レーザーで椎間板の内部を焼き、圧力を下げて神経の圧迫を軽減する手術 メスを使わない手術方法 健康保険の適用外 それぞれの手術については、以下の記事で詳しく説明しています。 【関連記事】 椎間板ヘルニアの内視鏡手術|PELD(PED)とMEDの違いとは ヘルニア治療:PELD手術のリスクと副作用 胸椎椎間板ヘルニア|入院期間や費用について 再生治療 椎間板ヘルニアによって神経が圧迫・損傷された場合、再生医療(幹細胞治療)も選択肢のひとつです。 飛び出たヘルニアによって神経が傷付くと、強い炎症を起こしたり、痛みや痺れが起こったりします。再生医療(幹細胞治療)とは、損傷した組織の修復をうながす「幹細胞」を使い、神経の回復を試みる治療法です。 手術をしても痛みやしびれが治まらない方は、検討してみてはいかがでしょうか。 当院「リペアセルクリニック」では、椎間板ヘルニアによる脊髄損傷に対して、再生医療(幹細胞治療)を提供しています。治療にご興味のある方は、「メール相談」または「オンラインカウンセリング」まで、気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 椎間板ヘルニアの再生医療については、以下の記事で詳しく説明しています。 若い女性の椎間板ヘルニアでやってはいけないこと 若い女性の椎間板ヘルニアでやってはいけないことは、以下のとおりです。 重いものを持つなど、腰・背中に大きな負担を掛ける 腰・背中に負担のかかる姿勢で長時間過ごす 無理な運動や激しいスポーツをする たばこを吸う 若い女性は、日常生活のなかで気付かないうちに椎間板に負担を掛けているケースがあります。 医師の指導に従い、生活習慣を見直すことが回復につながるでしょう。 椎間板ヘルニアの治療中や治療後にやってはいけないことは、以下の記事でも紹介しています。 【関連記事】 腰椎椎間板ヘルニアの治療中にやってはいけないことは?避けたい習慣も医師が解説 頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと5つ【首の負担を減らす】 まとめ|若い女性の椎間板ヘルニアは早めに受診しよう 椎間板ヘルニアは比較的男性に多い病気ですが、若い女性がかかるケースもあります。「若いから大丈夫」「仕事が忙しい」などと違和感を放置すると、症状の悪化につながり、大きな後遺症が出るケースも考えられます。 違和感に気付いたら、早めに整形外科を受診して悪化を防ぎましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、椎間板ヘルニアによる神経損傷に対して再生医療(幹細胞治療)をおこなっています。傷ついた神経が修復できれば、痛みやしびれの軽減が期待できます。 手術をしても良くならない、後遺症が出て困っているなどの方は、「メール相談」または「オンラインカウンセリング」まで、気軽にご相談ください。 若い女性の椎間板ヘルニアによくある質問 若い女性で椎間板ヘルニアになるのは珍しいですか? 椎間板ヘルニアは、男性に多く見られる病気ですが、若い女性でも日常生活や仕事の関係で発症するケースもあります。 一度治っても、負担のかかる生活習慣を続けると再発する可能性もあります。一度椎間板ヘルニアになったら生活の見直しをおこない、負担の少ない生活を心がけましょう。 椎間板ヘルニアになると一生治らないのですか? 椎間板ヘルニアは、症状が軽ければ自然に軽減して治るケースもあります。 しかし、症状が重くなって神経を傷めると、しびれや痛み、排尿障害などが長く続く可能性も考えられます。 症状が続いている方や、歩けないほどの強い痛みやしびれなどがある方はすぐに受診しましょう。 椎間板ヘルニアを早く治す方法はありますか? 椎間板ヘルニアは、数カ月で自然に吸収されるケースもありますが、早く治すための方法は症状・原因によって異なります。 医師の指示した服薬やリハビリ、生活上の注意を守ることが、早い回復の近道といえるでしょう。 参考文献 (文献1) 日本ペインクリニック学会「ペインクリニック治療指針改訂第6版」 https://www.jspc.gr.jp/Contents/public/pdf/shishin/6-17.pdf(最終アクセス:2025年2月21日) (文献2) 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会,腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン策定委員会「腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン2021改訂第3版」 https://minds.jcqhc.or.jp/common/wp-content/plugins/pdfjs-viewer-shortcode/pdfjs/web/viewer.php?file=https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00645.pdf&dButton=false&pButton=false&oButton=false&sButton=true#zoom=auto&pagemode=none&_wpnonce=3b871a512b(最終アクセス2025年2月21日) (文献3) くまもと禁煙推進フォーラム「腰と骨のために「禁煙を!」https://square.umin.ac.jp/nosmoke/material/TS_bone.pdf(最終アクセス:2025年2月21日) (文献4) 厚生労働省「喫煙と糖尿病」e-ヘルスネット,2024年03月18日 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/tobacco/t-03-004.html(最終アクセス:2025年2月21日) (文献5) Chan,Feng-Kai.Physicians as well as nonphysician health care professionals in Taiwan have higher risk for lumbar herniated intervertebral disc than general population. Medicine vol. 97,1 (2018). https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29505537/(最終アクセス:2025年2月21日) (文献6) 中央労働災害防止協会,介護事業・運送事業における腰痛予防テキスト作成委員会「介護業務で働く人のための腰痛予防のポイントとエクササイズ」平成22年10月 https://jsite.mhlw.go.jp/kumamoto-roudoukyoku/content/contents/001179217.pdf(最終アクセス:2025年2月21日)
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「椎間板ヘルニアは自然に治るの?」「どれくらいの期間かかる?」 このような疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。 多くの人が悩む椎間板ヘルニアですが、実は自然治癒するケースも少なくありません。しかし、放置していると症状を悪化させる危険性もあるため注意が必要です。 本記事では、自然治癒までの期間や、治癒を早める方法を解説します。 また、自然治癒が難しいケースも紹介しているので、症状が気になる方はぜひ最後までご覧ください。 椎間板ヘルニアが自然治癒するまでの期間は「約3カ月」 椎間板ヘルニアは、軽度であれば手術をせずに自然治癒するケースが多く、一般的に症状が落ち着くまでの期間は約3カ月とされています。(文献1) ただし、痛みの程度や生活習慣によって回復のスピードには個人差があります。 60%以上が自然に回復する 自然治癒後も再発の可能性がある ここでは、自然治癒の可能性や再発のリスクについて詳しく解説します。 60%以上が自然に回復する 椎間板ヘルニアは、必ずしも手術が必要な疾患ではありません。 研究によると、約60%以上の人が自然に回復するとされています。(文献2) これは、飛び出した椎間板が体内で吸収され、炎症が治まることで神経の圧迫が軽減されるためです。 時間の経過とともに痛みが和らぎ、日常生活に支障がなくなるケースも多く見られます。 ただし、すべてが自然治癒するわけではないため、症状が継続する場合は医療機関を受診しましょう。 胸椎椎間板ヘルニアの症状レベルをセルフチェックする方法は、以下の記事も参考にしてください。 自然治癒後も再発の可能性がある 椎間板ヘルニアが自然に治ったとしても、再発のリスクは残ります。 これは、一度ダメージを受けた椎間板が完全に元の状態に戻るわけではなく、再びヘルニアが発生しやすい状態になっているためです。 再発の主な原因としては、姿勢の悪さ・運動不足・腰への過度な負担が挙げられます。 とくに、デスクワークが多い人や重い荷物を持つ機会が多い人は注意が必要です。 椎間板ヘルニアの自然治癒が難しい2つのケース 椎間板ヘルニアは多くの場合、自然治癒に期待できます。 しかし、すべての椎間板ヘルニアが自然治癒するわけではありません。以下のようなケースでは自然治癒が難しく、適切な治療が求められることがあります。 長期的に症状が続き慢性化している場合 急激な進行で麻痺や排尿・直腸障害がある場合 本章では、自然治癒が難しい2つのケースについて詳しく解説します。 長期的に症状が続き慢性化している場合 椎間板ヘルニアの症状が長期間続く場合、自然治癒が難しい場合があります。(文献2) とくに、3カ月以上経っても痛みやしびれが改善しない場合は、慢性化しているかもしれません。 椎間板ヘルニアが慢性化すると、神経の圧迫が長期化し、回復が遅れるリスクが高まります。 長期間症状が続く場合は、整形外科で診察を受けることが重要です。 急激な進行で麻痺や排尿・直腸障害がある場合 椎間板ヘルニアの症状が急激に悪化し、麻痺や排尿・直腸障害が現れた場合は、自然治癒を待つのは危険です。 神経が強く圧迫されている状態であり、放置すると後遺症が出るリスクがあるためです。 また、排尿や排便が困難になる場合は「馬尾(ばび)症候群」(神経の束が障害を受けることで起こる症状)の可能性があり、緊急手術が必要になるケースもあります。(文献1) このような症状が現れたら、一刻も早く医療機関を受診しましょう。 椎間板ヘルニアで自然治癒を早めるセルフケア4選 椎間板ヘルニアの自然治癒には時間がかかりますが、正しいセルフケアを取り入れることで、回復を促せる可能性があります。 主なセルフケアは以下の4つです。 ストレッチ 負担の少ない運動 コルセットの着用 生活習慣の改善 ストレッチ ストレッチで筋肉をほぐし、血流を促進することで、神経の圧迫を和らげられます。 腰や太もも周りの筋肉を伸ばすストレッチは、自然治癒を促すだけでなく、痛みを軽減する効果も期待できるでしょう。 また、仰向けに寝て片膝を胸に引き寄せるストレッチや、ゆっくりと前屈するストレッチも椎間板ヘルニアに効果的です。 胸椎椎間板ヘルニアに効果的なストレッチのやり方は、以下の記事でも解説していますので参考にしてください。 負担の少ない運動 適度な運動は筋力を維持し、症状の悪化を防ぐのに役立ちます。 とくに、水中ウォーキングやヨガなどの負担が少ない運動が効果的です。 また、運動によって腹筋や背筋を鍛えられれば、腰の負担を軽減でき、ヘルニアの再発防止にもつながるでしょう。 急な動きや重い負荷をかける運動は逆効果になる可能性があるため、無理のない範囲で行うことが重要です。 コルセットの着用 コルセットの着用で腰が安定し、椎間板ヘルニアの自然治癒を促せる可能性があります。 また、ヘルニアの痛みが強いときにコルセットを使えば、姿勢をサポートしてくれるため、楽に過ごせるでしょう。 コルセットの圧迫により腰の動きが制限され、ヘルニア部分への負荷を抑えられるのもメリットです。 生活習慣の改善 椎間板ヘルニアの自然治癒を早めるには、生活習慣の見直しも欠かせません。 日常生活の姿勢に注意し、腰に大きな負担をかけないようにしましょう。長時間のデスクワークや猫背の姿勢は、椎間板ヘルニアの症状を悪化させるため注意が必要です。(文献3) また、喫煙は椎間板ヘルニアの症状を悪化させることがわかっています。(文献1) 椅子に座る際は、背筋を伸ばし、腰をサポートするクッションを活用すると負担を軽減できます。 まとめ|椎間板ヘルニアは自然治癒までの期間を理解して受診を検討しよう 椎間板ヘルニアは、多くの場合、約3カ月で自然治癒するとされています。 しかし、回復のスピードには個人差があり、適切なセルフケアによって症状の軽減が期待できます。 ストレッチや軽い運動、コルセットの着用、生活習慣の改善を取り入れることで、症状の悪化を防ぎながら回復を促せます。 ただし、症状が長引いたり、麻痺や排尿障害などの異常が現れたりした場合は、早めに医療機関を受診してください。 自然治癒を目指しながら、適切な対処法を実践し、健康的な生活を取り戻しましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による治療も行っております。 椎間板ヘルニアの手術後に、後遺症にお悩みの方は、お気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 椎間板ヘルニアの自然治癒に関するよくある質問 椎間板ヘルニアでやってはいけないことは何ですか? 椎間板ヘルニアの回復を妨げる行動として、無理な動作や長時間同じ姿勢を続けることが挙げられます。 とくに、腰に負担のかかる動作には注意が必要です。 たとえば、重い荷物を持ち上げる、急な動きをする、長時間座り続けるといった行動は、症状を悪化させる可能性があります。 また、激しい運動や無理なストレッチも、神経を圧迫し痛みを悪化させる原因となるため避けるべきです。 腰椎椎間板ヘルニアでやってはいけないことは以下の記事でも解説しています。気になる方は、あわせてチェックしておきましょう。 椎間板ヘルニアで休職期間は平均どのくらい必要ですか? 休職期間は、症状の程度や仕事の内容によって異なります。 保存療法で仕事にも影響がでない場合は、数日から数週間で復帰できる可能性もあるでしょう。 ただし、重度の場合や手術が必要になった際には入院期間やリハビリも含めると、平均で3〜6週間ほどと考えられます。 椎間板ヘルニアで手術したあとの休職期間については以下の記事で解説しているのでチェックしてみてください。 リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。 椎間板ヘルニアの手術や、術後のお悩みがある方は、お気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 参考文献 (文献1) 一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会_腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン改訂第3 版 https://ssl.jssr.gr.jp/assets/file/member/topics/cervical_spine_200915.pdf (最終アクセス:2024年2月21日) (文献2) 春日井市民病院_腰椎椎間板ヘルニアの治療 春日井市民病院 情報誌Vol.16 平成26年11月25日https://www.hospital.kasugai.aichi.jp/byouin/torikumi/kohoshi/documents/trinity_vol16.pdf (最終アクセス:2024年2月21日) (文献3) 時津直子ほか.「腰椎椎間板ヘルニア患者における姿勢と疼痛について」『第43回日本理学療法学術大会 抄録集』2008年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2007/0/2007_0_C0989/_article/-char/ja/(最終アクセス:2024年2月23日)
2025.02.28 -
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胸椎椎間板ヘルニア|入院期間や費用について 背中の痛みや胸の痛み、足のしびれなどの症状がある場合、胸椎椎間板ヘルニアを発症しているかもしれません。 他の椎間板ヘルニアよりも発症するのは珍しいですが、放置すると足が動かない、尿や便が出ないなどの重い症状が現れる疾患です。症状によっては手術で治療を行います。 本記事では、胸椎椎間板ヘルニアに対する手術方法や入院期間、入院費用について解説します。特に胸椎椎間板ヘルニアと診断されて治療法が気になる方、さまざまな手術方法の違いを知りたい方はぜひ参考にしてください。 胸椎椎間板ヘルニアとは 私たちの背骨は、脊椎と医学的には呼ばれます。脊椎は、椎骨という骨が集まってできています。脊椎と脊椎の間には、クッションの役割がある椎間板と呼ばれる組織があります。 胸椎椎間板ヘルニアとは、年をとったり強い衝撃が加わることで、胸の部分にある椎間板が飛び出てしまい、周りの神経や背中にある脊髄を圧迫してさまざまな症状が現れる疾患です。女性よりも男性に発症しやすく、特に40〜50歳の方が発症しやすいです。 胸椎椎間板ヘルニアの症状 胸椎椎間板ヘルニアの代表的な症状は、足や胸部、背中のしびれやだるさ、痛みなどです。ひどい場合には、尿を貯める膀胱に影響がでて尿が出にくくなるなどの症状が見られます。 胸椎椎間板ヘルニアの治療法 胸椎椎間板ヘルニアの治療は、症状の強さに合わせてさまざまな治療法を行います。治療法には大きくわけて、手術なしで治療する保存的療法と、手術療法があります。ここではそれぞれの治療法について解説します。 手術なしの保存的療法 手術なしの治療法には、温熱療法、運動療法、薬物療法、ブロック療法などがあります。 温熱療法 温熱療法は、痛みやしびれがある部位を温めて、血の流れを改善することで緊張をとり、痛みをおさえる治療法です。症状が現れている部位に対して行う対症療法であるため、根本的に胸椎椎間板ヘルニアが治るわけではありません。 運動療法 運動療法は、ストレッチや体操などによって血の流れを改善し痛みをとる治療法です。病院以外でも接骨院などでも行われています。こちらも根本的に胸椎椎間板ヘルニアが治るわけではありません。 薬物療法 お薬を飲んだり、湿布などのはり薬を用いて症状をやわらげます。これも痛みなどがある部位に合わせて行う治療法であり、胸椎椎間板ヘルニアそのものを治療する方法ではありません。 ブロック療法 ブロック療法は、ブロック注射により痛みを改善させる治療法であり、胸椎椎間板ヘルニア自体を治すわけではありません。また、ブロック注射を行っても効果が乏しいこともあります。 手術療法 手術は、昔ながらの方法で手術をする観血的手術、内視鏡と呼ばれるカメラを使いながら行う内視鏡手術、そしてレーザー手術があります。 観血的手術 観血的手術とは、昔から行われている手術方法です。LOVE法、椎弓切除術、脊椎固定術などがあります。手術前には胸椎椎間板ヘルニアの状態を把握するためにさまざまな検査を行います。 LOVE法 LOVE法は、直接目で見て行う切開手術であり、日本で一番多く実施されている治療法です。背中側から切り始め、骨の一部を削ることでヘルニアを切除する治療法です。手術自体は約1時間で終わりますが、全身麻酔で手術を行うため、入院期間は約2週間ほどかかります。 椎弓切除術 従来から実施されている治療法であり、ヘルニアが大きい場合に行うことが多いです。 椎骨の後ろにある椎弓と呼ばれる部位を部分的に切り取って圧迫されていた神経を解放します。手術後はコルセットを1〜3ヶ月間身につけなくてはいけません。入院期間は2〜3週間程度です。 脊椎固定術 骨を削った後に、その骨や金属プレートを使って脊椎を固定する治療法です。入院期間は2ヶ月ほどと長くかかります。脊椎が完全に固定されるまでは3〜6ヶ月必要です。 内視鏡手術 従来の観血的手術とは違って、細長い内視鏡(カメラ)を用いて手術を行う治療法です。MED法、PED法などがあります。 MED法(内視鏡下椎間板摘出術) LOVE法と同じ手法を用いますが、目で見て行うのではなく内視鏡を用いてヘルニアを取り除く治療法です。内視鏡は小さい傷で行えるため、手術後の痛みも少ないというメリットがあります。手術は全身麻酔で行うため、入院期間は4〜7日間程度かかります。 PED法(経皮的髄核摘出術) 胸椎椎間板ヘルニアが発症している部位に局所麻酔を行い、特殊な細長い器具を入れてレントゲンでチェックしつつ、脱出した髄核を部分的に取り除いて神経への圧迫を解放し、ヘルニアによる症状を和らげる治療法です。日帰りもしくは数日間入院して行うことが多いです。保険診療で行うこともあれば、自費診療で行う場合もあります。 レーザー手術(PLDD) 椎間板内にレーザーを照射し、ヘルニアを部分的に蒸発させ縮小させることで神経の圧迫を弱める治療法です。入院期間は約1〜2日です。 胸椎椎間板ヘルニアの入院費用 胸椎椎間板ヘルニアに対する入院費用(3割負担)は次の通りです。 手術内容 入院費用 LOVE 約15〜30万円 椎弓切除術 約30〜40万円 脊椎固定術 約30〜40万円 MED法 約20〜25万円 PED法 約15〜20万円 これらの金額はあくまで目安であり、入院日数や医療費控除額などによって支払う金額が異なる場合があるのでご注意ください。 まとめ ・胸椎椎間板ヘルニア|入院期間や費用について 胸椎椎間板ヘルニアの症状がひどい場合などには治療として手術を行うことがあります。現代はさまざまな手術方法があるため、それぞれの手術方法についてよく医師と話し合って決めることが重要です。 入院期間や入院費用なども手術方法を選ぶ時に大切なポイントです。胸椎椎間板ヘルニアと診断された場合は、手術治療を含めてきちんと医師と相談し治療方法を決めましょう。 ▼万が一、手術後に後遺症が残ってしまった場合には、再生医療である幹細胞治療が適応になります。もし術後の後遺症にお困りであれば、ぜひ一度当院にご相談ください。 https://www.youtube.com/watch?v=0hyJR5VW3oY&t=63s ▼以下もご覧になりませんか 胸椎椎間板ヘルニア症状レベルと自然治癒の可能性について
2024.02.14 -
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「背中が痛い」「胸が痛む」などの症状でお悩みの場合、実は「胸椎椎間板ヘルニア(きょうついついかんばん)」の可能性があるのはご存知でしょうか。 胸椎椎間板ヘルニアは、老化が原因の1つだと考えられています。 他の椎間板ヘルニアと比べて発症する確率は少ない珍しい疾患ではあります。 しかし痛みを放置すると「足が動かない」「尿や便が出なくなる」など、重大な問題が発生する疾患でもあります。 本記事では、胸椎椎間板ヘルニアとは、どのような疾患なのか、予防策や治療法などを解説します。 背中や胸の痛みが気になる方、最近になって足に力が入らない、しびれがあるなどで歩きにくさを感じている方はぜひ参考にしてください。 胸椎椎間板ヘルニアとは 胸椎椎間板ヘルニアとは、老化や強い衝撃を受けて脊椎の胸部にある椎間板が飛び出た状態を指した症状です。椎間板とは、脊椎と脊椎の間にあるクッションのような組織であり、飛び出ると周囲の神経や脊髄を圧迫して脱力感やしびれなどの症状が出ます。 胸椎椎間板ヘルニアが発症する年齢は40~50歳、かつ男性が多い傾向にあります。 胸椎椎間板ヘルニアは「椎間板ヘルニア」の中でも起こりにくい疾患です。 胸椎は肋骨とつながっており安定しているため、椎間板ヘルニアになりにくいと考えられています。 痛みの原因 胸椎椎間板ヘルニアで痛みを感じる原因は、以下の要因が考えられます。 老化 過度なスポーツ 肉体労働 長時間の運転 など どれも姿勢の悪さや背中の筋肉、背骨に問題が生じると胸椎椎間板ヘルニアが発症します。 そもそも胸椎とは「胸」とあるので胸部をイメージする方が多いのですが、実は背骨の一部分が胸椎です。 背骨は首から腰まで合計24個あり、胸部分にある8本の骨が胸椎です。 多くの患者様が外傷は見られないため、背中を押すと痛みを感じたり、太ももやふくらはぎが痛み出したりします。 痛みを放置すると歩行障害や重症化の恐れがあるため、早期の発見と治療が大切です。 「胸椎の痛みかわからないけれど、これって胸椎椎間板ヘルニアなの?」と少しでも気になる点がある方は、当院へ気軽にご連絡ください。 診断方法 胸椎椎間板ヘルニアを診断するにはMRI検査が有効です。 レントゲン検査ではとくに異常が目立たなくても、MRI検査を行えば椎間板ヘルニアの有無や脊髄の圧迫具合などが確認できます。 また、手術を行う場合には、CT検査などを行うケースもあります。 症状を具体的に把握し、適切な診断を受けるためにも、まずはMRI検査を行うのがおすすめです。 以下の記事では、現役医師の立場からMRI検査が必要な理由をまとめているので、あわせてご覧ください。 胸椎椎間板ヘルニアの予防策や治療法 ここからは胸椎椎間板ヘルニアで感じる痛みを避けたい方に向け、予防策を解説します。 胸椎椎間板ヘルニアの進行度によって異なる治療法についても紹介していきます。 安静にしておくのが無難 胸椎椎間板ヘルニアを予防するために、痛みを感じてもストレッチせず安静にしておくのが無難です。 自宅でできる予防法はなく、自己判断でストレッチを実施すると、炎症の悪化や骨折するリスクが高まるからです。 胸椎に痛みがあり、整骨院で施術をしたいと考える方もいるかも知れません。 しかし胸椎椎間板ヘルニアは、進行度によって治療法が異なるため、MRI検査で適切な診断を行う必要があるのです。 歩行障害が進行している場合、手術せず放置すると歩けなくなる事態まで発展する恐れがあります。 適切な診断が終わるまでは、自己判断で胸椎の痛みを改善しようとせず、安静にしておきましょう。 予防におすすめのストレッチ法 現役医師の立場から胸椎椎間板ヘルニアの予防が期待できるストレッチを紹介します。 今回は横になった状態でできるストレッチをお伝えします。 胸椎椎間板ヘルニアに罹患していると猫背になりやすいので、以下のストレッチを実施してみてください。 左側が下になるよう両膝を抱える(背筋を伸びているかを意識する) 両肘を胸の前でまっすぐ伸ばし両手を合わせる 右手で頭上を通りながら半円を描くイメージで動かす 3の動きに合わせて頭も動かす 水平に後ろまで動かした手の動きを5回繰り返す 反対側(左側)も同様の動きを5回繰り返す 胸椎椎間板ヘルニアの痛みを悪化させないためにも、痛みがない程度にゆっくりストレッチを行いましょう。 以下の記事では、今回紹介したストレッチ以外の予防策をまとめています。 胸椎椎間板ヘルニアの治し方や、より詳しいストレッチ法が気になる方は、ぜひご一読ください。 胸椎椎間板ヘルニアの治療法 胸椎椎間板ヘルニアの治療法は、大きく分けると「保存療法」と「手術療法」の2つがあります。 進行度によって異なる治療法の違いは、以下の通りです。 症状の程度 治療内容 保存療法 比較的軽度 膝の筋肉低下や排尿障害がない場合適用 コルセットや内服薬 手術療法 痛みが進行している 歩行障害やしびれがある場合適用 背骨の一部を除去 以下の記事では、胸椎椎間板ヘルニアの治療後に実施するリハビリ内容を解説しているので、あわせてご一読ください。 なお、現在は胸椎椎間板ヘルニアが進行していても、手術なしで治療できる時代になっています。 胸椎椎間板ヘルニアの代表的な症状 ここからは胸椎椎間板ヘルニアの症状について解説します。 自身に当てはまる症状があれば医師に相談するようにしましょう。 背中や胸の痛み 胸椎椎間板ヘルニアが発症したときの代表的な症状が背中や胸の痛みです。 しかし、ヘルニアが発生する部位によって圧迫される神経やダメージを受ける神経が異なるため、痛みやしびれを感じる部位も異なります。 また、胸椎椎間板ヘルニアが肋間神経を圧迫すると「肋間神経痛」の痛みが現れるので注意してください。 肋間神経は背中から胸に向けて走っているため、背部痛や胸痛、わきの下あたりの痛みやしびれなどを引き起こします。 肋間神経痛の痛みは、ぴりぴりと焼けつくような感覚であったり、鈍い痛みとして感じる症例が大半です。 肋間神経痛による胸の痛みは、心臓が原因の胸痛と間違えられる場合があります。 しかし、胸椎椎間板ヘルニアによる胸の痛みは、体の動きや姿勢の変化により変動するため、多くのケースで心臓が原因の胸痛と区別できます。 以下の記事では胸椎椎間板ヘルニアの症状を、より詳しく解説しているのであわせてご覧ください。 その他の症状 胸椎椎間板ヘルニアが発症すると、背中や胸の痛み以外にも、以下の症状が伴う可能性があります。 太ももやふくらはぎの痛み、しびれ、脱力感 歩行障害(ふらつきや足のもつれ) 膀胱直腸障害 排便障害 など とくに太ももやふくらはぎの痛みは、胸椎椎間板ヘルニアの初期症状として認められるケースが大半です。 痛みを放置すると急激に足が動かしにくくなり、歩行障害につながる恐れがあります。 歩くときに足がもつれ、階段を昇り降りで手すりを持つようになった方は、胸椎椎間板ヘルニアの可能性があるため注意しましょう。 また、胸椎椎間板ヘルニアを発症すると、力をこめて便や尿を出そうとしても出せない状態(膀胱直腸障害)になる場合もあります。 胸椎の背中側にある脊髄は、便や尿を出す自律神経をコントロールする神経が走っています。 胸椎椎間板ヘルニアによって神経が圧迫されると、突然便や尿が出ない症状が起こるのです。 胸椎椎間板ヘルニアと神経痛の違いについては、以下の記事で詳しくまとめているので、ぜひご一読ください。 まとめ・胸椎椎間板ヘルニアで背中や胸が痛みを感じたなら早めの受診を! 胸椎椎間板ヘルニアは40~50歳の方に多く発症する疾患です。 代表的な症状として背中の痛みや胸の痛みがあげられ、肋間神経痛による焼けつくような痛みや鈍痛も認めています。 初期症状としては下肢のしびれや痛みなどがあり、薬物治療やリハビリなどでは歩きにくさを改善できません。 歩きにくさを感じている方は、手術療法を検討してください。 手術には神経麻痺や手術後の痛み、しびれなど術後後遺症の恐れもありますが、放置すると病状が進行して歩けなくなる可能性があります。 少しでも胸椎椎間板ヘルニアを疑う症状に気づいた方は、速やかに専門の医療機関で受診するようにしましょう。
2024.01.04 -
- 脊椎
- 胸椎椎間板ヘルニア
「ヘルニアに効果的な筋トレはある?」「ヘルニアは筋トレをしないほうがいい?」と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。 ヘルニアと診断されると、運動や筋トレを控えるべきか不安になる方も多いかもしれません。 結論からいえば、適切な筋トレを行うことでヘルニアの症状の改善・緩和が期待できます。 この記事では、ヘルニアの負担を軽減する筋トレメニューや、筋トレを行うときの注意点を解説します。 記事を最後まで読めば、ヘルニアに効果的な筋トレ方法が分かり、症状の緩和・改善を目指せるでしょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による治療も行っております。ヘルニアの辛い症状でお悩みの方は、お気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 【目的別】ヘルニアの改善に効果的な筋トレメニュー 筋トレを行う際には、自分の目的にあったメニュー選びが重要です。ヘルニア改善に役立つ筋トレメニューは以下の通りです。 種類 効果 負担の大きさ おすすめの運動 体幹トレーニング 腰を支える筋力を強化し、負担を軽減 低い ・ドローイン ・プランク ・バードドッグ 下半身トレーニング 下半身を鍛えて腰の負担を分散 中程度 ・ヒップリフト ・レッグプレス ・ウォールシット 本章を参考に、自分に必要な筋トレメニューを取り入れてみましょう。 体幹を安定させる筋トレメニュー ヘルニアの症状を軽減するには、体幹を鍛えることが重要です。 体幹を鍛える具体的な筋トレメニューの一例は以下のとおりです。 トレーニング名 やり方 ポイント ドローイン 仰向けで膝を立て、深く息を吸ったあと、息を吐いてお腹をへこませてキープ 1回5秒キープし10回繰り返す プランク うつ伏せで肘をつき、体を一直線にキープ 20〜30秒キープを目安に実施 バードドッグ 四つん這いの状態で対角の手足を伸ばす 片側10回ずつゆっくり行う これらの運動は、腰に大きな負担をかけずに体幹を鍛えられるため、ヘルニアの改善に適しています。 最初は短時間から始め、徐々に時間を延ばしていくと良いでしょう。 下半身を強化する筋トレメニュー 下半身の筋力を強化すると、腰への負担を分散できるため、ヘルニアの痛みを軽減しやすくなります。 とくに、太ももやお尻の筋肉を鍛える運動が効果的です。 下半身トレーニングメニューの一例は以下のとおりです。 トレーニング名 やり方 ポイント ヒップリフト 仰向けで膝を立て、お尻を持ち上げる お尻を締めながらゆっくり上げ下げ レッグプレス ジムのマシンを使い、足でプレートを押す 負荷は軽めで、ゆっくり押し戻す ウォールシット 壁にもたれながら膝を90度に曲げ静止 20〜30秒キープし3セット実施 これらの運動は、スクワットのように腰に大きな負担をかけず、効率よく筋力を鍛えられます。 無理のない範囲で継続し、ヘルニアの痛みを和らげる習慣を作りましょう。 ヘルニアの症状は筋トレで緩和できる可能性がある 適切なトレーニングによって筋力を強化すれば、椎間板への負担を軽減し、ヘルニアの症状を改善できる可能性があります。 また、血行促進により、ヘルニアの症状の回復を促す効果も期待できます。 ただし、過度な負荷は症状を悪化させる可能性もあるため、やり方に注意しましょう。 本章では、筋トレによるヘルニアの症状改善の効果について解説します。 筋力の強化で椎間板への負担軽減が期待できる ヘルニアの症状を和らげるためには、腰を支える筋肉を鍛えることが重要です。 腹筋や背筋の強化によって、椎間板への負担を分散させ、痛みの軽減が期待できます。 ヘルニアの症状改善を目指して筋トレをする場合は、腰に過度な負担をかけず体幹や下半身を鍛えられるメニューを取り入れましょう。 また、最初は軽めの負荷から始めるなど、正しい筋トレを習慣化し、椎間板への負担を減らすことが大切です。 血流が良くなりヘルニアの回復が促進される 筋トレを行うと、血流が良くなりヘルニアの回復を助ける効果が期待できます。 血流が滞ると、筋肉が硬くなり、腰への負担が増えヘルニアが悪化する場合があります。 運動によって血流が改善されると、酸素や栄養が筋肉に行き渡りやすくなり、炎症の鎮静や組織の回復促進が期待できるでしょう。 ウォーキングやストレッチ、ヨガなど、血流を良くしながら無理なく筋力を鍛えられるトレーニングがおすすめです。 こうした運動は関節や筋肉に負担をかけにくく、継続しやすいというメリットもあります。 過度な負荷は症状を悪化させる可能性も 筋トレはヘルニアの症状を和らげる効果が期待できますが、過度な負荷をかけると逆効果になります。 とくに、重い負荷をかける筋トレや誤ったフォームでのトレーニングは、椎間板に余計な圧力をかけ、症状を悪化させる原因になります。 たとえば、バーベルを使ったスクワットやデッドリフトは、腰に大きな負担がかかるため注意が必要です。 また、反動をつけた腹筋運動や、腰を大きく反らす動作も、椎間板を圧迫しやすく、痛みを悪化させる可能性があります。 トレーニングを行う際は、まず低負荷のメニューから始め、体の状態を確認しながら徐々に強度を上げるのが理想的です。 痛みを感じたらすぐに中断し、無理なく続けられる範囲でトレーニングを進めましょう。 ヘルニアで筋トレを行うときの注意点 ヘルニアを抱えている場合、筋トレのやり方には十分な注意が必要です。 間違ったフォームや過度な負荷は、症状を悪化させる原因になります。 高負荷なスクワットやデッドリフト 腹筋運動(状態起こし) 腰を強く反らす運動 ここでは、避けるべきトレーニングとその理由について解説します。 高負荷なスクワットやデッドリフトは正しいフォームを意識する スクワットやデッドリフトは全身を鍛える効果がある一方で、腰に大きな負担をかけるため注意が必要です。 ヘルニアの症状がある場合、無理な動作が炎症を悪化させる可能性があります。 とくに、重いバーベルを使用するスクワットやデッドリフトは、腰椎への圧力が強く、ヘルニアの症状を悪化させる原因になります。 これらの動作を行う際は、軽い負荷で正しいフォームの意識が大切です。 腰をしっかり支えられない場合は、マシンを使ったレッグプレスなどの代替運動を選ぶのが良いでしょう。 腹筋運動(上体起こし)は避ける 腹筋を鍛えるのは大切ですが、クランチやシットアップなどの状態起こしの動作は、腰への負担が大きいため注意が必要です。 とくに、勢いをつけた腹筋運動はNGです。 腰椎に強い圧力がかかり、痛みや炎症を引き起こす原因になります。 代わりに、ドローインやプランクといった体幹を安定させるトレーニングを取り入れると、安全に腹筋を強化できます。 腹筋を鍛えたい場合は、腰に負担をかけない方法を選び、無理のない範囲で継続しましょう。 腰を強く反らす運動は無理に続けない 腰を大きく反らす動作は、椎間板に過度な圧力をかけるため、ヘルニアの悪化につながる可能性があります。 とくに、ブリッジやバックエクステンションなどの運動は注意が必要です。 腰を反らしすぎると、椎間板が圧迫されて神経を刺激し、痛みが強くなる場合があります。 代わりに、軽いストレッチや腰に優しい体幹トレーニングを取り入れると良いでしょう。 痛みを感じた場合はすぐに運動を中止し、無理に続けないことが大切です。 ヘルニアの再発を防ぐための3つの対策 ヘルニアは症状が落ち着いても、再発のリスクは残ります。(文献1) 再発を防ぐためには、日常生活での姿勢や負担のかかり方に注意し、適切な筋トレやストレッチを取り入れることが大切です。 本章では、ヘルニアの再発を防ぐための具体的な対策を3つ紹介します。 普段から姿勢や腰への負荷に注意する 無理のない範囲で筋トレを習慣化する ストレッチで柔軟性もUPする それぞれ詳しく解説するので、参考にしてください。 普段から姿勢や腰への負荷に注意する ヘルニアの再発を防ぐには、普段から姿勢を意識しておくのも重要です。 猫背や反り腰などの悪い姿勢は、腰に過度な負担をかけ、再発の原因になります。 たとえば、デスクワーク中は背筋を伸ばし、椅子の背もたれを活用するなどの意識付けが大切です。 また、長時間同じ姿勢を続けると筋肉が硬くなるため、1時間に1回は立ち上がり、軽いストレッチを行うと良いでしょう。 また、重いものを持つときは、膝を使い、腰に負担をかけないよう注意してください。 ヘルニアの再発を防ぐポイントについては、以下の記事も参考にしていただければ幸いです。 無理のない範囲で筋トレを習慣化する 適度な筋トレを続けることで、腰を支える筋肉を強化し、ヘルニアの再発リスクの軽減に期待できます。(文献2) ただし、無理な負荷をかけると逆効果になるため、自分に合ったメニュー選びが大切です。 おすすめは、体幹を鍛えるプランクやバードドッグです。 これらのトレーニングは、腰に負担をかけずに筋力を高められるため、初心者でも取り組みやすいでしょう。 また、下半身を鍛えるヒップリフトも、腰への負担を減らす効果が期待できます。 大切なのは、無理なく続けることです。週に数回、短時間でも良いので、習慣化する意識を持ちましょう。 ストレッチで柔軟性もUPする 筋肉の柔軟性が低下すると、腰への負担が増え、ヘルニアの再発リスクが高まります。 そこで、日常的にストレッチを取り入れ、筋肉を柔らかく保つことが重要です。 とくにおすすめなのが、ハムストリング(太もも裏)を伸ばすストレッチや、キャット&カウ(四つん這いで背中を丸めたり反らしたりする動作)です。 これらのストレッチは、腰周りの筋肉をほぐし、負担を軽減する効果があります。 筋肉を柔らかくすることで、腰を支える力が向上し、ヘルニアの再発を防ぎやすくなります。 ヘルニアに効果的なストレッチのやり方は、以下の記事を参考にしてみてください。 【関連記事】 胸椎椎間板ヘルニアの痛みに!ストレッチで痛みを和らげる方法 頚椎ヘルニアに効くストレッチ5選!予防ポイントも解説【医師監修】 腰椎椎間板ヘルニアのストレッチ5選!悪化・再発防止になる方法を医師が解説 まとめ|ヘルニアで筋トレする際は無理のない範囲で行おう ヘルニアの症状を緩和し、再発を防ぐには、適切な筋トレやストレッチを取り入れることが大切です。 とくに、体幹や下半身を鍛えると、腰への負担を軽減できます。ただし、誤ったトレーニングは症状を悪化させる原因になります。 無理をせず、正しい方法で筋トレを続けることが重要です。日常生活の姿勢や習慣にも気をつけながら、ヘルニアと上手に付き合っていきましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による治療も行っております。 ヘルニアの手術後に、後遺症でお悩みの方は、お気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 ヘルニアの筋トレに関するよくある質問 ヘルニアで筋トレはいつからできますか? ヘルニアの回復状況によりますが、痛みがなくなり、日常生活に支障がない状態になってから始めるのが理想です。 一定の安静期間を設け、その後、医師やリハビリ専門家と相談しながら再開するのが安心でしょう。 体幹を鍛える軽めの運動から始めると、安全に筋力の回復に期待できます。 痛みが残っているうちに無理をすると、症状が悪化する恐れがあります。 焦らずに、軽いストレッチやウォーキングから始めることを意識しましょう。 ヘルニアでも筋トレマシンは使用できますか? ヘルニアでも適切なマシンを選べば、安全に筋トレを行うことができます。 ただし、腰に負担がかかるマシンは避ける必要があります。 そのため、筋トレを行う際は、負荷を軽めに設定し、正しいフォームを意識することが重要です。 リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。 ヘルニアの手術や術後のお悩みがある方は、お気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 参考文献 (文献1) 一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会「腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン改訂第 3 版」 https://ssl.jssr.gr.jp/assets/file/member/topics/cervical_spine_200915.pdf (最終アクセス:2025年2月19日) (文献2) 伊佐整形外科「腰椎椎間板ヘルニア(リハビリテーション)」 https://www.isaseikei.or.jp/img/disease/kosi/010.pdf (最終アクセス:2025年2月19日)
2023.12.29 -
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- 胸椎椎間板ヘルニア
- 脊椎、その他疾患
この記事を読んでいる方は、背中や胸の痛みが肋間神経痛なのか分からず悩んでいるのではないでしょうか。 肋間神経痛は「背中や胸の痛み」が特徴です。しかし胸椎椎間板ヘルニアの症状と見分けがつきにくく、セルフチェック方法を知りたい方も多いかもしれません。 肋間神経痛のチェックには、背中だけでなく体幹や下半身にも痛みやしびれがないかを確認することが大切です。 肋間神経痛は背中や脇腹、胸の痛みが特徴ですが、胸椎椎間板ヘルニアの場合は太もも・ふくらはぎにも痛みやしびれを感じる場合があります。 本記事では、肋間神経痛および胸椎椎間板ヘルニアの症状について解説し、症状の違いについて解説します。 記事を最後まで読めば、肋間神経痛の原因や症状についての理解を深められるでしょう。 肋間神経痛の原因と症状をチェック! 肋間神経痛とは、胸椎椎間板ヘルニアのような病名ではありません。「肋間神経」という肋骨に沿って走っている神経が、何らかの要因で障害を受けたことで突発的に生じた痛みのことを指します。 痛みは身体の片側に起こることが多く、深呼吸や咳、そして身体の向きや位置を変えたりすることでも強くなることがあります。 帯状疱疹や神経の圧迫により起こることが多い 肋間神経痛の主な原因は、水痘・帯状疱疹ウイルスによって起こる「帯状疱疹」です。 水痘・帯状疱疹ウイルスは、肋間神経の神経節という部分に潜んでおり、免疫力の低下によって再活性化し、痛みを引き起こします。帯状疱疹による肋間神経痛は、鋭く激しい痛みが片側の肋骨に沿って現れ、水ぶくれを伴う、赤い発疹もできるのが特徴です。 また、胸椎椎間板ヘルニアや側弯症で脊髄から肋間神経が出る部分が圧迫された場合や、肋骨骨折で肋間神経が妨げられた場合も、肋間神経痛が起こることがあります。 さらに、まれではありますが、肺がんなどの胸の手術時に使用した器具が肋間神経を圧迫し、術後に肋間神経痛として残ることもあります。 肋間神経痛の治療は、原因がある場合にはその病気の治療をしていきます。一方で、特に原因となるような病気がない場合には、肋間神経ブロックという痛み止めの注射を行ったり、鎮痛薬の内服をしたりなどして症状を抑えることとなります。 胸椎椎間板ヘルニアとの違いは「体幹や下半身の異常の有無」 肋間神経痛と胸椎椎間板ヘルニアの違いは「背中や胸だけでなく、体幹・下半身にも症状があるか」です。 肋間神経痛は背中や胸の痛みを指すため、体幹や下半身の痛みやしびれを感じることはありません。 一方、胸椎椎間板ヘルニアでは、背中や胸部の痛みが出るケースもありますが、主な症状は「体幹から下半身にかけての筋力低下や感覚の異常」です。 したがって、肋間神経痛と胸椎椎間板ヘルニアの痛みを見分けるときは、背中や胸以外に違和感があるかをチェックしてみましょう。 \まずは当院にお問い合わせください/ 【セルフチェック】肋間神経痛・胸椎椎間板ヘルニアの症状一覧 胸椎椎間板ヘルニアと肋間神経痛は、同じように背中や胸部の痛みを引き起こします。 しかし2つの症状には違いもあるため、自分の症状がどちらに近いか以下のチェックリストで確認してみましょう。 《肋間神経痛が疑われる症状・特徴》 □背中から脇腹にかけての鋭い痛みがある □呼吸をすると痛みが強い □姿勢を変えると痛みが強い □胸や背中に帯状の発疹や水ぶくれが見られる(帯状疱疹による症状) □肋骨骨折の既往がある □胸や背中の手術経験がある 《胸椎椎間板ヘルニアが疑われる症状・特徴》 背中の痛みがある(ない場合も) □太ももやふくらはぎのしびれがある □足の脱力感がある □歩くときに足がもつれる □階段を降りるときに不安で手すりを持つ □用を足そうとしてもすぐに尿が出ない、残尿感がある ただし上記はあくまでもセルフチェックに留め、背中や胸の痛みが続く場合は早めに医療機関を受診しましょう。 肋間神経痛は放置せず、早めの受診を! 肋間神経痛だと思っていても、別の疾患が隠れているケースがあります。 たとえば、以下のような病気が挙げられます。 狭心症・心筋梗塞などの心臓の病気 肺梗塞・気胸などの肺の病気 逆流性食道炎 胃・十二指腸潰瘍 大きな病気を見逃さないためにも、自己判断で終えず、早めに医療機関へ相談することが大切です。 まとめ|自分の痛みを知り、早めの対処を 肋間神経痛は、背中や胸の痛みを指します。胸椎椎間板ヘルニアの症状と見分けるときは、体幹や下半身の痛みがあるかをチェックすることが大切です。 また、症状が続く場合や痛みが強い場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」は、再生医療専門クリニックです。 椎間板ヘルニア術後の脊髄の障害に対しても、脂肪由来間葉系幹細胞治療を行っています。幹細胞治療とは、自分の脂肪から培養した幹細胞を脊髄腔内に注射または点滴投与するものです。 胸や背中の痛みの治療において、再生医療を検討している方はぜひメール相談やオンラインカウンセリングもご活用ください。 また、胸椎椎間板ヘルニアについては以下の記事でさらに詳しく解説しています。あわせてご覧いただければ幸いです。 【関連記事】 胸椎椎間板ヘルニアの症状レベルは?チェックリスト付きで医師が解説 肋間神経痛についてよくある質問 肋間神経痛は何科に行くべきですか? 症状によって異なります。 もし過去に胸や背中にけがをしたことがある場合は整形外科、帯状疱疹のような赤い発疹があれば、皮膚科を受診しましょう。 肋間神経痛のとき、やらない方がいいことはありますか? 体を急激に動かしたり、ストレスが溜まったりすると痛みが強くなる可能性があります。安静にし、体を休めましょう。
2023.12.25 -
- 脊椎
- 胸椎椎間板ヘルニア
胸椎椎間板ヘルニアの症状とはどのような病気? どのような症状があるの? 今の症状がどのようなレベルか知りたい このように思っている方は多いのではないでしょうか? 胸椎椎間板ヘルニアの症状はさまざまで、程度にも振れ幅があります。 さらにほかの疾患とも見分けにくく、発症に気づかないことも。 この記事では胸椎椎間板ヘルニアの症状や特徴、症状レベルやチェックリストを解説します。 同疾患に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。 【予備知識】胸椎椎間板ヘルニア症状の特徴と症状 まず、胸椎椎間板ヘルニアの特徴と症状に関して解説します。 胸椎椎間板ヘルニアとは、胸椎と胸椎(あるいは一番下の胸椎と一番上の腰椎)の間にある「椎間板」の成分が胸椎の後ろに飛び出してしまうことを示します。 腰椎や頚椎の椎間板ヘルニアと比べると、症例が少なく、稀な疾患です。 椎間板は、椎骨が動くときに衝撃を吸収するクッションの役割があります。 体をひねる・前に曲げる・後ろに反るなどの動作ができるのは、一つ一つの椎骨が滑らかに動くから。 ところがヘルニアを発症すると、椎間板の変性により線維輪が壊れて中の髄核が飛び出してしまいます。 特に胸椎椎間板ヘルニアでは、髄核はまっすぐ真後ろに飛び出すことが多いことがわかっています。 飛び出した髄核は、ときに真後ろに走る脊髄を圧迫し、足の痺れや感覚の低下が起こります。 病状が進行すれば歩行障害が起こることも。 なお、腰椎や頚椎では後側方に飛び出したヘルニアが、脊髄から伸びる神経の根本を圧迫して「神経根痛」とされる、「ビリビリッ」とした痛みを起こすことがあります。 一方の胸椎椎間板ヘルニアでは神経根痛が目立ちません。 その原因となる横方向に飛び出すことが多くないからです。 ただし、肋間神経痛(脇腹の痛み)が生じることもあります。 ただし、患者さん全員にすべての症状が起こるわけではありません。 また、特異的な症状はなく、別の病気でも同様の症状が起こることがあります。 胸椎椎間板ヘルニアの症状レベル【チェックリスト付き】 胸椎椎間板ヘルニアの症状には振れ幅があり、程度によって取るべき対応が異なります。 しかし程度を判断できず、適切な対応が取れない場合も。 また胸椎椎間板ヘルニアはほかの病気と見分けにくく、発覚が遅れ、早期に治療できないケースもあります。 そこで今回は、胸椎椎間板ヘルニアの症状レベル一覧と、症状チェックリストを紹介します。 胸椎椎間板ヘルニアの症状レベル 胸椎椎間板ヘルニアの症状レベルは、大まかに初期、中期、後期にわけられます。 各期で生じる症状は以下のとおりです。 症状レベル 具体的な症状 初期 わずかな下半身の痛み わずかな感覚の鈍麻 太ももの軽度の痺れ 腰痛 中期 背中の痛み 脇腹の痛み(肋間神経痛) はっきりとしたしびれ 後期 下半身の筋力低下 歩行困難 排尿障害 感覚の喪失 重大な麻痺 初期では無症状であり、発見が遅れることがあります。 症状があれば、痛み止めの投与などがおこなわれます。 この段階では、活動や運動はさほど制限されません。 中期になると、痛みやしびれをはっきりと感じます。 運動の困難などを感じることもあるでしょう。 後期になると症状は重篤になり、歩くのもむずかしくなります。 また保存療法が意味をなさず、日常生活にも影響します。 後期に入る前に治療するのが重要でしょう。 重篤な症状は手術で治すのが一般的ですが、現在では再生医療を用いて、より負担が軽い方法で完治を目指すことも増えてきました。 興味がある方はぜひ再生医療に関して学びましょう。 \まずは当院にお問い合わせください/ 胸椎椎間板ヘルニアの症状チェック 続いて、胸椎椎間板ヘルニアの症状をチェックしましょう。 背中が痛む 脇腹が痛む 腰が痛む 体のどこかの感覚が鈍い 何となく力が入りにくい 足がもつれて歩きにくい 階段を降りるのが不安定で怖くなった 排尿がむずかしい 尿漏れがある 排便がむずかしい 胸や背中に不快感がある 一つでも当てはまれば、胸椎椎間板ヘルニアを発症している可能性があります。 該当する場合は速やかに医師の診察を受けるのをおすすめします。 診断はどのようにしておこなうか 疑わしい症状があれば、MRIを撮影して椎間板の脱出がないかを調べます。 レントゲンでは診断はつきませんが、骨折など他の病気を探すためにMRIに先行しておこなうことが多いです。 ただし、胸椎椎間板ヘルニアは非常に稀な病気である上に、腰椎の病気と似た症状を起こすことが多いです。 そのため、最初は腰椎の検査をされ、のちに胸椎椎間板ヘルニアだったと判明することもあります。 胸椎椎間板ヘルニアは自然治癒するの?可能性と注意点 結論から言うと、椎間板ヘルニア全般に自然治癒はあり得ます。 もちろん胸椎椎間板ヘルニアも、ごく軽症であれば自然と治るかもしれません。 しかし胸椎椎間板ヘルニアは症例が少なく、自然治癒の事例もさほど多くありません。 自然治癒を期待して、治療を受けず放置していると症状が悪化し、歩行・排尿機能の障害が生じるリスクがあります。 したがって自然治癒に期待しすぎず、医師の診断を受け、指導のもと治療に臨むようにしましょう。 胸椎椎間板ヘルニア|自然治癒の可能性と注意点 ▼可能性 胸椎椎間板ヘルニア:稀な疾患、自然治癒の報告例僅か 腰椎や頚椎の椎間板ヘルニア:自然消失例の報告例有 胸椎椎間板ヘルニア:一部の軽症例で自然治癒の可能性がある ▼注意点 ✕ 自然治癒を過剰に期待するのはNG ✕ 自己判断で放置すると歩行・排尿障害に陥る「リスクが大きい」 定期的な受診を怠らず、歩きづらさを感じたら、早急な受診をお勧めします。 <関連記事> 胸椎椎間板ヘルニアの保存療法!リハビリの種類や具体的な内容を解説 胸椎椎間板ヘルニア|症状と自然治癒の可能性について 胸椎椎間板ヘルニアは予防できる? 胸椎椎間板ヘルニアの発症を予防するのはむずかしいです。 できることとして以下があげられるでしょう。 普段から正しい姿勢を保つ 中腰での作業を避ける 重たい荷物を持ち上げるなど腰に負担のかかる運動を避ける 同じ姿勢を取り続けないようにする 背筋を鍛える このような工夫により、多少は発症を予防できます。 とはいえ胸椎椎間板ヘルニアは突発的に起こるものであり、完全な予防は困難であることを知っておきましょう。 まとめ・胸椎椎間板ヘルニア症状と自然治癒の可能性について 胸椎椎間板ヘルニアはまれな病気です。 軽症の場合は対症療法のみで様子を見ることができる一方、足の麻痺などが出てしまうと手術を行わなければいけないことがあります。 自然治癒の可能性もありますが、一方で急激な進行を認めるケースがあるのも事実です。 すぐに手術しない場合でも通院を怠らず、症状の変化に気をつけて過ごしてください。 この記事が参考になれば幸いです。 \まずは当院にお問い合わせください/ ▼こちらも参考にされませんか 胸椎椎間板ヘルニアの痛みに!ストレッチで痛みを和らげる方法 ヘルニアの種類と後遺症に再生医療という新たな治療法 参考文献 大場哲郎, 波呂浩孝.日本医事新報 (5084): 42-42, 2021. 岡田英次朗.日本医事新報 (4994): 40-40, 2020. 小西明, 藤井基広, 増本眞悟, 石井秀典, 今井健, 角南義文. 整形外科と災害外科 48:(1) 10-12, 1999. 公益社団法人日本整形外科学会|「胸椎椎間板ヘルニア」
2023.12.21 -
- 脊椎
- 胸椎椎間板ヘルニア
- 脊椎、その他疾患
「背骨を押すと痛い」「背骨の胸あたりを押すと痛む」部分を胸椎(きょうつい)といいます。 首と腰の間にある部分で、胸椎は12個の骨から成り立っており、それぞれが左右12本ずつある肋骨(ろっこつ)とつながっています。 背骨を押すと痛みを感じるとき、ただの疲れや姿勢の問題だと考えられがちですが、実は神経や骨に関連する病気の可能性もあります。 本記事では、背骨に痛みを感じたときに考えられる5つの病気や改善方法などを専門医ができるだけわかりやすく解説します。最後まで読めば、痛みが悪化する前に適切な行動ができるようになるはずです。 背骨(胸椎)を押すと痛い原因 背骨を押すと痛い原因はさまざまですが、姿勢の悪さや筋肉、骨の問題であることがほとんどです。 例えば、主婦や事務労働をする方であれば、背中が丸まったような悪い姿勢(猫背)が主な原因として考えられるほか、年齢に伴う椎間板の老化なども挙げられます。 冒頭でもお伝えしましたが胸椎は肋骨と繋がっています。背中の真ん中あたり、肋骨に近い背骨を押すと、胸椎の後ろにある突起部分(棘突起:きょくとっき)に圧力がかかり、痛みの原因となるのです。 特に胸椎のあたりに痛みがある場合は、神経や筋肉、骨に関わる病気の可能性があります。 背骨(胸椎)を押すと痛いときに考えられる5つの病気 背骨(胸椎)を押すと痛いときに考えられる5つの病気は以下の通りです。 脊椎過敏症 胸椎椎間板ヘルニア 肋間神経痛 強直性脊椎炎 胸椎骨折 各疾患の症状などをできるだけ簡単に説明します。痛みがどの症状に当てはまるのか、チェックしながら読み進めていきましょう。 ①脊椎過敏症(せきついかびんしょう) 背骨を押すと圧痛が生じる病態として、脊椎過敏症があります。この病気の症状としては、背部や棘突起のあたりの痛みや押した際の痛み(圧痛)が出ます。 脊椎過敏症では、背部の痛み以外には特に症状はなく、予後も比較的良好です。この脊椎過敏症は、20歳代の女性、特に事務労働者や主婦に多く、背中が丸まったような悪い姿勢などの原因が あるのではないかと考えられています。数ヶ月から数年の間で自然に治っていくことが普通です。 ②胸椎椎間板ヘルニア(きょうついついかんばんヘルニア) 胸椎椎間板ヘルニアは、胸椎の椎体と椎体との間にあるクッションのような構造である椎間板が変性し、脊椎の外側に飛び出し、脊髄を圧迫する病気です。 胸椎椎間板ヘルニアの症状として、背部痛(背中の痛み)が生じることもあります。その他の症状として、体幹から下半身の感覚が低下することや、筋力低下がみられます。胸椎椎間板ヘルニアは、外傷などの明らかな原因がない場合がほとんどです。 また胸椎椎間板ヘルニアは腰椎や頚椎の椎間板ヘルニアと比べてその頻度は少なく、歩行障害などの症状が現れた場合には手術を要することが多いです。 放置すると重症化の恐れがある胸椎椎間板ヘルニアの概要や症状について、以下の記事でさらに詳しく解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。 なお、胸椎椎間板ヘルニアなどの痛みは、手術を必要としない再生医療によって改善が期待できます。興味のある方は、再生医療による回復の事例などを紹介した以下の動画もご覧ください。 ③肋間神経痛(ろっかんしんけいつう) 胸椎椎間板では、椎間板の中にある髄核(ずいかく)という構造が脊髄の真ん中を圧迫するですが、左右方向に髄核が飛び出すと神経根という脊髄から神経が出ていく部分を圧迫することもあります。すると、肋間神経痛の症状が現れます。肋間神経痛の症状としては、背中から胸にかけて、肋骨に沿ったような鋭い痛みが生じるというものです。 なお前述の胸椎椎間板ヘルニアと肋間神経痛は、いずれも背中に痛みが出ますが、痛みの場所であったり症状だったりが異なります。 以下の記事で胸椎椎間板ヘルニアと肋間神経痛の違いについて詳しく解説したので、こちらも合わせてご覧ください。 ④強直性脊椎炎(きょうちょくせいせきついえん) 強直性脊椎炎は、仙腸関節という関節や腰、背中、首の脊椎の靱帯付着部に炎症が生じる病気です。さらに、胸椎の椎間関節にも炎症は起こります。 症状の多くは腰痛やお尻の痛みから始まり、徐々に背中全体や首にまで広がっていきます。症状が進むと、体を曲げ伸ばしすることが難しくなり、前屈みの姿勢となっていきます。 体のだるさや疲れやすさ、体重減少、微熱、高熱などの全身の症状がでることもあります。 また、4人に1人の確率で目の病気である虹彩炎(こうさいえん)が起こりますが、早めに眼科治療を受ければ予後は良好です。 ⑤胸椎骨折(きょうついこっせつ) 骨粗鬆症や、腫瘍が骨に転移した際に、背骨が圧迫骨折をきたすことがあります。この場合にも、圧痛や体動時痛といった症状が生じることがあります。 骨折の程度によっては、脊髄損傷をきたすこともあり、胸椎と腰椎の移行部に骨折が生じた場合には、両下肢の麻痺症状などを引き起こす可能性もあります。 骨折の原因が骨粗鬆症などで軽度の圧迫骨折を来している際には、安静と簡易コルセットなどの外固定をすることで、3〜4週間でほとんどの症状が改善するとされています。 転移性骨腫瘍が原因である場合には、癌そのものに対する化学療法やホルモン治療が行われます。骨転移による痛みが強い場合には、放射線治療が有効な場合もあります。骨破壊が進行しており、脊髄への圧迫がみられるような際には、脊椎固定術も行われます。 脊髄の損傷は手術しなくても治療できる時代です。 背骨(胸椎)を押して痛いときの改善方法 背骨(胸椎)を押して痛いときの改善方法として以下の3つが挙げられます。 医療機関を受診する 正しい姿勢を意識する 普段の姿勢やストレッチなどで痛みを緩和できるかもしれませんが、まずは専門医の診断を受けることをおすすめします。 医療機関を受診する 前述してきたとおり、背骨の胸のあたりにある「胸椎」を押して痛い場合にはさまざまな原因があります。脊椎過敏症のように、胸椎を押したときの痛み以外に特に症状がなく、治療をしなくても自然に改善していくこともあります。 一方で、胸椎椎間板ヘルニアなどは、下半身の筋力低下や感覚低下といった神経症状がみられます。こうした場合、基本的には手術が必要となりますので、早めに整形外科などの専門医療機関を受診することをお勧めします。 背骨(胸椎)を押して痛いときは、自己判断せずに医療機関に相談しましょう。当院「リペアセルクリニック」では、胸椎の痛みなどに関する再生医療や幹細胞治療を得意としていますので、まずはお気軽にご相談ください。 正しい姿勢を意識する 正しい姿勢は背骨にかかる負担を減らすことができます。特に猫背は背骨に負担がかかるので、背筋を適切に伸ばした状態をキープするようにしましょう。 日常の中で特に猫背になりやすい体制として、以下の3つが挙げられます。 スマホを操作するとき デスクワークをするとき 寝るとき 日常生活には背骨への負担がかかる場面が多くあるので、上記を参考にできることからはじめていきましょう。 まとめ|背骨(胸椎)に痛みを感じたらすぐに受診を! 本記事では、背骨(胸椎)を押して痛い原因や5つの病気、治療などについて解説しました。 胸椎椎間板ヘルニアなどの神経を圧迫する疾患では、治療が遅れると脊髄の神経が傷つき、麻痺が完全に治らない場合もあります。現在の医療では、一度傷ついた神経細胞を完全に修復することは難しいですが、当院は自己脂肪由来幹細胞を用いた再生医療を、脊髄損傷にも応用しています。 背骨(胸椎)を押して痛い病気の中には、後々まで症状が残る場合もあるため、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。 再生医療に少しでもご興味のある方は、当院「リペアセルクリニック」までご相談ください。 背骨(胸椎)の痛みに関するよくある質問 Q.背骨(胸椎)が痛むときにストレッチをしても大丈夫ですか? A.痛みや症状によってはストレッチを避けて安静にするのが良いです。 例えば、胸椎自体の痛みがある場合は、骨折や脊椎炎などが考えられ、このような場合はストレッチは避けるのが無難です。 また、胸椎椎間板ヘルニアの場合は、ヘルニアを押し戻すような効果として、猫のポーズが有効な場合があります。 このように、自己判断でストレッチをすると症状を悪化させてしまいかねませんので、医療機関を受診しましょう。 なお、胸椎椎間板ヘルニアの痛みを予防するストレッチについては、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。 参考文献 胸背部痛.日内会誌.2010;99:1686-1689. 脊椎過敏症 (medicina 14巻13号) | 医書.jp 胸椎(せなか)の症状一覧 - 日本整形外科学会 強直性脊椎炎(指定難病271) - 難病情報センター 「脊椎椎体骨折」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる 「転移性脊椎腫瘍」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる
2023.12.18 -
- 脊椎
- 胸椎椎間板ヘルニア
胸椎椎間板ヘルニアは、痛みやしびれを引き起こし、日常生活に大きな影響を与えます。「動くたびに痛む」「肩こりと勘違いして放置していたら悪化した」「手術しないと治らないのか」と悩む人も多いでしょう。 しかし、適切な治療とストレッチを取り入れると、症状の軽減が可能です。この記事では、胸椎椎間板ヘルニアの治し方や痛みを和らげるストレッチ方法を解説します。 胸椎が痛む場合は、胸椎椎間板ヘルニアが疑われる可能性があるため、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 「胸椎椎間板ヘルニア」とは?背中から胸にかけて痛みが出る疾患 背中から胸にかけて痛みや、脚のしびれなどの症状がある場合は、胸椎椎間板ヘルニアの疑いがあります。(文献1) 背骨の首の部分を頚椎、腰の部分を腰椎、頚椎と腰椎に挟まれた背中の部分が胸椎です。そして、椎骨と椎骨の間には、衝撃を吸収するクッションの役割をもつ椎間板があります。 ヘルニアは、椎間板の中にあるゼリー状の髄核(ずいかく)が、椎間板から飛び出てしまい、近くの神経を圧迫している状態です。そのため、胸椎の椎間板で生じるヘルニアを胸椎椎間板ヘルニアと呼びます。 ただし、胸椎は首や腰に比べて動きが少ない部分のため、実はヘルニアになりにくい場所でもあります。 胸椎椎間板ヘルニアの原因 椎間板ヘルニアは加齢や繰り返しかかる負担で椎間板が変化したり断裂したりして起こる疾患です。繰り返し椎間板に負担がかかる作業といえば、重い荷物を抱えたり、運転など長時間座ったりする作業があります。 また動きや接触の激しいスポーツ、事故などの衝撃もヘルニアの原因です。 前述のように胸椎は動きが少なく、頚椎や腰椎に比べると上記のような原因でヘルニアになるケースは少ないです。 胸椎椎間板ヘルニアの症状チェックリスト 胸椎椎間板ヘルニアの症状は以下のようなものがあります。 症状例 脚がしびれる 脚に力が入らない 歩くとふらつく お腹がしめつけられる 背中や脇腹が痛む 背中から胸にかけて痛む おしっこや便が出にくい、漏らしてしまう 太ももやふくらはぎに痛みがある 胸椎椎間板ヘルニアによってうまく歩けなかったり、ふらついたりするのは、脚の筋力が低下してしまい、力が入りにくいためです。 筋力低下が起こる原因は、ヘルニアにより背骨を通る神経が圧迫されて筋肉に指令が伝わりにくくなるからです。 麻痺が進行すると、排尿を支配する神経も障害されるため、尿が出にくいなどの症状が出ます。しびれなどの感覚障害も症状の1つですが、痛みを伴うケースは少ないです。まれに、神経の障害の影響で背中や脇腹のあたりが痛む場合もあります。このような痛みを肋間神経痛(ろっかんしんけいつう)と呼びます。 腰椎のヘルニアでよく見られるような、腰から脚に広がる神経痛は胸椎椎間板ヘルニアでは少ないです。 【関連記事】 胸椎椎間板ヘルニアで背中や胸が痛み始めた方へ!症例や予防策を医師が解説! 胸椎椎間板ヘルニアの症状レベルは?チェックリスト付きで医師が解説 胸椎の痛みが胸椎椎間板ヘルニアであるかを診断する方法 胸椎椎間板ヘルニアの診断にはMRI検査が有効ですが、CTが用いられるケースもあります。 MRIでは椎間板、神経、靭帯を詳細に抽出できるため、椎間板の状態や神経の圧迫の有無を詳しく調べられます。しびれや痛みなどの症状がある際に、MRIを用いて脊椎の状態を確認可能です。放射線を使用せずに軟部組織を抽出できます。 一方、CT検査は骨の詳細な構造を短時間で確認が可能です。そのため、手術を行う場合にはCT検査を用いて骨の異常や椎間板の位置を把握する場合があります。 胸椎椎間板ヘルニアの痛みの治療方法 胸椎椎間板ヘルニアの治療方法は「保存療法」と「手術療法」があります。治療の概要は表の通りです。 治療方法 内容 保存療法 胸椎をできるだけ動かさないように安静にします。 また、猫背を軽減するためのストレッチを実施します。 手術療法 背骨の一部を除去し、症状の軽減を図ります。 痛みや歩行障害がある場合に適用されます。 保存療法と手術療法の具体的な内容は、以下で解説します。 保存療法 ヘルニアがあっても症状が軽く、脚の筋力低下や排尿の障害などが伴わない場合は、コルセットや内服薬で痛みの軽減を図ります。ヘルニアは症状が自然に治る場合もあり、症状が軽い場合は、まず保存療法で様子を見ます。 手術療法 胸椎椎間板ヘルニアの症状が進行し、麻痺の症状が見られると保存療法での治療は困難です。放置すると症状が徐々に進行するため、早めに手術が行われます。 手術は側方から椎間板を摘出して骨を移植する「前方固定術」、後方から椎間板を切除する「後方除圧術」を実施します。症状の悪化が見られる場合、手術も視野に入れましょう。 再生医療 再生医療は、身体の治癒力を利用した新しい医療です。 再生医療のうち「幹細胞治療」は、さまざまな細胞に変化できる幹細胞を患者様から採取・培養した後、患部に戻します。自分の身体から採取した細胞なので、アレルギーや拒絶反応が起こりにくいのがメリットです。 当院「リペアセルクリニック」では、椎間板ヘルニアの後遺症に対して幹細胞治療を行っています。一般的に用いられる方法では、幹細胞を一度にまとめて培養後、冷凍したものを複数回に分けて投与します。しかし、当院では投与の度に幹細胞を培養するため、新鮮な幹細胞の投与が可能です。 再生医療について興味がある方は、無料のメール相談やオンラインカウンセリングを承っておりますので、お気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 胸椎椎間板ヘルニア(予防)におすすめのストレッチ2選 胸椎椎間板ヘルニアの予防や、痛みの緩和をするためにおすすめのストレッチを2つ紹介します。 特別な道具も必要なく自宅でも簡単にできる方法ですので、日頃の生活に取り入れてみましょう。 横になってする胸椎ストレッチ まずは寝た状態でできる胸椎のストレッチです。 胸椎が固くなると猫背になり、胸の前側が固くなります。 このストレッチでは胸の前側の筋肉を伸ばし、姿勢の改善が期待できます。 横になって行う胸椎ストレッチ 1. 左側が下になるように両膝を曲げて背筋を伸ばした状態で横になる 2. 両肘を胸の前でまっすぐ伸ばし、両手のひらを合わせる 3. 右手を大きな半円を描くように頭上を通りながら水平に後ろまで動かす (このとき手の動きを追うように頭も動かす) 4. 右手を元の位置に戻して5往復程度繰り返す 5. 反対も同様に行う ゆっくりと動作を行い痛みが出ない程度の範囲で行いましょう。 四つ這いでする胸椎のストレッチ 四つ這いになって背骨の柔軟性を高めるストレッチを紹介します。 胸椎のストレッチに加えて、背骨を支える筋肉を働かせるためトレーニングの効果も期待できる運動です。 四つ這いで行う胸椎ストレッチ 1. 背中をまっすぐにして四つ這いになる 2. おへそをのぞき込みながら背中を丸めるようにゆっくり動かす 3. 目線を少し上にして両方の肩甲骨寄せながら背中をそらすようにゆっくり動かす 4. 5往復程度繰り返す 最初の姿勢では肩の下に両手を肩幅に広げておき、腰の真下に膝がくるように動かします。また背骨を一つずつ動かすような意識でゆっくりと実施するのがポイントです。 胸椎椎間板ヘルニアが疑われる際にやってはいけないこと 胸椎椎間板ヘルニアでは、身体を丸める動きに注意が必要です。たとえば、中腰姿勢、重い荷物を持ち上げる、猫背の姿勢を続けるなどは椎間板に負担がかかります。 身体を丸める動作は、椎間板や髄核が飛び出る方向に動いてしまうため、できるだけ避けましょう。 胸椎の痛みの正しい治し方・ケア方法を知って適切に対処しよう 胸椎椎間板ヘルニアは症状が進行すると歩くのが難しくなり、排尿・排泄が障害される疾患です。 症状が軽い場合は安静や薬による治療を行いますが、症状が重い場合は手術を検討します。 また、椎間板ヘルニアの後遺症に対しては、再生医療という治療方法も選択肢のひとつです。 当院「リペアセルクリニック」では、椎間板ヘルニアに対して再生治療を行っています。ヘルニアの症状や術後後遺症でお悩みの方は、ぜひ一度リペアセルクリニックへご相談ください。 参考文献 文献1 公益社団法人 日本整形外科学会「胸椎椎間板ヘルニア」 https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/thoracic_disc_herniation.html (最終アクセス:2025年2月22日)
2023.12.14 -
- 幹細胞治療
- 再生治療
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 脊椎
- 胸椎椎間板ヘルニア
ヘルニアの種類と後遺症に再生医療という新たな治療法を解説 ヘルニアには数多くの種類があります。代表的なヘルニアは椎間板ヘルニアです。 椎間板ヘルニアは、誰しも発症する可能性がある疾患の1つです。椎間板ヘルニアでは強い症状で悩んでいる場合などに手術療法を行います。しかし、場合によっては手術よりも、その後の後遺症に困ることがあり、注意が必要です。 本記事では、ヘルニアの種類と症状、そして再生医療と呼ばれる最新の治療方法について解説します。特に椎間板ヘルニアに不安がある方や、手術後の後遺症でお困りの方はぜひ参考にしてください。 ヘルニアの種類 ヘルニアとは、体の中にある臓器や器官などが本来あるべき部位から出てきてしまった状態です。さまざまな種類のヘルニアがありますが、ここでは代表的なヘルニアについて紹介します。 椎間板ヘルニアとは 椎間板ヘルニアとは、数多くある背骨の骨と骨の間の、椎間板と呼ばれる組織が飛び出した状態です。若い男性に比較的多い疾患であり、タバコを吸うことで発症しやすくなります。 椎間板には骨と骨とをつなぐクッションのような役割がありますが、飛び出すと周りにある神経を圧迫してさまざまな症状が出現します。 椎間板ヘルニアの症状 首(頚)にある椎間板が飛び出せば頚椎椎間板ヘルニアと呼ばれ、手のしびれや痛みなどの症状が現れます。 また、胸部や腰部の椎間板ヘルニアはそれぞれ胸椎椎間板ヘルニア、腰椎椎間板ヘルニアと呼ばれます。 椎間板ヘルニアの検査 椎間板ヘルニアを診断するためにはMRI検査やCT検査、レントゲン検査などを行います。MRI検査は神経の状態をチェックするのに優れており、椎間板ヘルニアを診断するために最も重要な検査です。 椎間板ヘルニアの治療方法 椎間板ヘルニアの治療は、手術以外の治療(保存療法)と手術療法の大きく2つに分けられます。 保存療法 一般的に、椎間板ヘルニアは痛み止めの飲み薬や注射、コルセットなどの装具療法やリハビリなどで改善することが多いです。 椎間板ヘルニアの治療 痛み止めの飲み薬や注射 コルセットなどの装具療法 リハビリ しかし、椎間板による神経圧迫の根本的な治療ではないため、再発する可能性が高いです。 手術療法 しびれや痛みなどの症状が強い場合や保存療法では改善しない場合などには手術療法を検討します。 手術療法は、目で見て確認しながら治療できるというメリットがありますが、体にかかる負担や入院が必要となるケースも多く、患者さんの苦痛になりやすいというデメリットもあります。 また、椎間板ヘルニアの手術にはリスクがある場合もあります。手術の際に脊髄と呼ばれる背中の神経を傷つけてしまうと、手や足のしびれ、感覚異常などの脊髄損傷による症状が現れます。 当クリニックでは脊髄損傷に対して有効な最新の再生医療を用いた治療を行っています。 鼠径ヘルニア 鼠径ヘルニアは、いわゆる脱腸の状態です。症状としては、太ももの付け根にある筋肉のすき間から腸がお腹の外に飛び出して、膨らみや痛みを感じる疾患です。 先天性により生まれつき鼠径ヘルニアがある場合や、重い荷物を持つ、排便する時にお腹に力を入れる、年を取ることなどが原因で発症する場合もあります。 鼠径ヘルニアは、触診や超音波検査、CT検査などで診断します。そして基本的には手術療法でのみ治療できます。 発見したら速やかに手術をしないといけないわけではありませんが、脱腸がお腹の中に戻らなくなる嵌頓(かんとん)という状態となり、激しい痛みが出て腸が腐ってしまう場合があるため、早めに手術をしておくのがおすすめです。 原因 先天性(生まれつき) 重い荷物を持つ 排便時にお腹に力を入れる 加齢 大腿ヘルニア 大腿ヘルニアの症状は、鼠径ヘルニアの近くから腸がお腹の外に脱出する疾患です。やせ型の高齢女性に多く見られます。 鼠径ヘルニアよりも嵌頓する危険性が高いため、速やかな手術療法が望ましいです。 臍ヘルニア 臍ヘルニアは、一般的に「でべそ」と呼ばれる状態です。 子どもの場合、産まれた時にへその緒がついている部位が閉じきれなかった場合に臍ヘルニアになります。また、大人では肥満、妊娠などが原因で臍ヘルニアを発症することもあります。 子どもでは成長とともに改善する場合も多いです。一方で大人の場合は改善することはほとんどなく嵌頓する危険性も高いため、基本的には手術を行います。 原因 子供:出産時、へその緒が閉じきれなかった場合 大人:肥満、妊娠など 再生医療 再生医療とは、自身の体を再生する力(治癒力)を利用した最新医療です。例えば、怪我をした時に自然にかさぶたができてやがて元の状態に戻っていきますが、再生医療ではこのような自然治癒力を利用しています。 近年、さまざまな医療分野の最先端の治療法として再生医療が用いられています。当クリニックでは、椎間板ヘルニアの術後後遺症に対して再生医療である幹細胞治療を行っています。 再生医療「幹細胞治療」とは 幹細胞とは、さまざまな細胞に変化できる細胞のことです。まわりの細胞が傷ついたり細胞の個数が減ったりした時に、幹細胞が分裂してその細胞の代わりとなります。 幹細胞には、軟骨や皮膚などさまざまな細胞に変化できる分化能と呼ばれる機能があります。 当クリニックでは、お腹の脂肪(米粒2粒程度)を採取して幹細胞を培養し、規定量にまで増やしてから患部に戻す体への負担も少ない方法です。 自身の脂肪や血液を用いて再生医療を行うため、アレルギーや拒絶反応が起こりにくく、安全性が高いというメリットがあります。 当院独自の培養方法 当クリニックの幹細胞の培養方法は、一般的な医療機関で行われる冷凍して保存する方法とは異なり、冷凍せずに都度培養することで新鮮な幹細胞を投与することが可能です。 新鮮で元気、質の良い幹細胞を多く投与するほど治療効果が高いと報告されています。当クリニックは、独自の技術により幹細胞を1億個以上、増やせるため、高い治療効果を見込むことができます。 また、培養には余分な薬剤や不純物を使いません。さらに牛などの代替血液を用いません。ご自身の血液を用いて細胞を培養するためアレルギーや拒否反応などの合併症も極めて少ないです。 椎間板ヘルニアの術後後遺症に再生医療という選択肢 代表的なヘルニアの1つが椎間板ヘルニアです。椎間板ヘルニアは手足の痛みやしびれなどの症状が現れ、日常生活を送りにくくなる疾患です。 まずは保存療法を行いますが、改善が見られない場合や強い症状に悩む時には手術療法を選択するのですが手術後に手や足のしびれが残存したり、感覚異常などの術後、後遺症が出ることがあるため注意が必要です。 当クリニックでは、幹細胞を脊髄損傷部位に直接投与する脊髄腔内ダイレクト注射療法という国内でもほとんど行われていない最新の治療法で神経を再生することを目指しています。 一般的な再生医療では点滴によって細胞を体に戻しますが、損傷部位に到達する細胞は少なくなってしまいます。当クリニックの治療法では細胞を直接投与するためすべての細胞が損傷部位に到達でき、再生医療による効果がより期待できます。 治療自体は注射を行うのみであり数分で終了します。注射にともなう痛みも強くないため気軽に受けられる治療法です。また、幹細胞の点滴も同時に行えばさらに治療効果を期待できます。 椎間板ヘルニアの術後後遺症には、最新の再生医療である幹細胞治療がおすすめです。当クリニックでは独自の培養技術により高い安全性と効果をかねそなえた治療を数多く行っています。ご不明点がございましたらご遠慮なくお問合せ下さい。 https://youtu.be/4AOGsB-m63Y?si=sQ9ws8CluU_SRVWQ まとめ・ヘルニアの種類と再生医療の適応について ヘルニアは様々な種類があり、その中でも代表的な椎間板ヘルニアは比較的発症する可能性が高い病態です。保存療法での治療もできるものの、症状が強い場合には手術が必要となることもあります ただ手術は、術後に後遺症が残るケースも少なくありません。 そこで、注目されているのが再生医療です。再生医療はご自身の幹細胞を培養し、身体の治癒力を活用して再生を即す治療法です。当クリニックでは、椎間板ヘルニアの術後後遺症に対して、最新の再生医療である幹細胞治療をお勧めしています。 この治療法は、幹細胞を直接損傷部位に投与することで高い効果を期待できます。また、治療自体は注射のみであり、身体にも優しく、安全性が高いとされています。 椎間板ヘルニアの術後後遺症に悩む方にとって、再生医療は新たな希望となるかもしれません。当クリニックでは独自の技術と豊富な経験を活かし、患者様の健康と快適な生活のために最善の治療を提供しています。 気になる点やご相談事がありましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。 椎間板ヘルニアの術後後遺症にお困りの方はぜひご相談ください。 ▼ヘルニアの手術の後遺症についても参考にされませんか 椎間板ヘルニアと手術後、後遺症の治療法について
2023.11.20 -
- 脊椎
- 胸椎椎間板ヘルニア
胸椎椎間板ヘルニアとはどのような病気なのか、どのような対応が必要なのか知りたい方はいませんか。 この病気は、背骨の椎間板と呼ばれる組織が外に飛び出ている状態のことで、痛みやしびれなどの症状が現れるのが特徴です。 このヘルニアを放置すると症状が悪化し、日常生活に大きな支障をきたす恐れがあります。 この記事では、胸椎椎間板ヘルニアの原因や症状についてご紹介します。ヘルニアの危険性を知ることで、発症した際にすぐ対処するきっかけとなるでしょう。 胸椎椎間板ヘルニアとは? 胸椎椎間板ヘルニアとは、胸の背骨の間にある「椎間板」が外へ飛び出てしまうことです。ヘルニアには、「飛び出る」という意味があります。 椎間板とは、背骨の間にあるクッションのような組織です。人の背骨は全部で24個あります。これらのうち首(頸椎)の部分が7個、胸(胸椎)が12個、腰(腰椎)が5個あり、それぞれに椎間板があります。 椎間板がつぶれたり変形したりすると、その負担に耐えられなくなり、外へ飛び出してしまうのです。 ここでは、胸椎椎間板ヘルニアの原因や症状について解説します。 胸椎椎間板ヘルニアの特徴 胸椎のヘルニアは珍しい疾患で、頸椎や腰椎よりも起こりにくいとされています。これは、胸椎は肋骨とつながって安定しているからです。胸椎は首や腰に比べて椎間板にかかるストレスが少ないため、ヘルニアが起こりにくいのです。 背骨は前後に曲がってバネのような形状になっており、胸椎の下はちょうどストレスがかかりやすい位置にあります。そのため、胸椎椎間板ヘルニアは胸椎の下側に発症しやすいといわれています。 胸椎椎間板ヘルニアの特徴について、以下の記事で詳しく解説しているので、興味がある方はぜひこちらもご覧ください。 胸椎椎間板ヘルニアの原因 胸椎椎間板ヘルニアの原因は、おもに以下があげられます。 加齢による老化 過度なスポーツ 車の長時間の運転 肉体労働 これらは背骨にかかる負担を高める要因となり、胸椎椎間板ヘルニアの発症につながります。 また高齢者だけでなく、働き盛りの20〜40代の方も発症する可能性がある点に注意しましょう。 胸椎椎間板ヘルニアを予防するには、背骨に負担を長時間かけないような工夫が重要です。 胸椎椎間板ヘルニアの症状 胸椎椎間板ヘルニアの症状は、おもに脚に現れます。具体的な症状としては、以下のとおりです。 太ももやふくらはぎのしびれ 太ももやふくらはぎの痛み 脚の脱力感 歩きにくさ 症状が進行すると、最悪の場合歩けなくなることもあるので注意が必要です。脚だけでなく、背中に痛みを感じることもあります。 さらに、脇に放散する痛みが出ることもあり、これを肋間神経痛(ろっかんしんけいつう)と呼びます。中には背中や肋間神経痛が現れず、脚の症状だけが出現する人もいるでしょう。 胸椎椎間板ヘルニアと似た症状の肋間神経痛とは 胸椎の椎間板には脇から肋骨に沿って神経が出ており、これを肋間神経と呼びます。この肋間神経が圧迫されると、肋骨に沿ったしびれや痛みが現れます。 胸椎椎間板ヘルニアによって肋間神経が圧迫されると、神経に沿ってしびれや痛みを伴うことも少なくありません。脇の下がしびれることが多くなったら、胸椎椎間板ヘルニアを疑いましょう。 胸椎椎間板ヘルニアと肋間神経痛の違いについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。 胸椎椎間板ヘルニアを放置する危険性 胸椎椎間板ヘルニアを放置すると、以下のような危険が伴うことがあります。 足が急に動かなくなる 尿や便が出なくなる ここでは、それぞれの症状について詳しく解説します。 急に足が動かなくなる可能性がある 胸椎椎間板ヘルニアを放っておくと、急に脚が動かなくなる可能性があります。 胸椎椎間板の後ろには、脊髄があります。脊髄とは身体を動かす神経の大もとで、これが椎間板によって圧迫されると、急に脚が動かなくなることがあるのです。 胸椎はもともと神経の通り道がせまいため、軽い椎間板ヘルニアでも症状が出やすいといわれています。 急に尿や便が出なくなる可能性もある 胸椎椎間板ヘルニアになると、尿や便が出なくなる恐れもあります。これは胸椎の後ろを通る脊髄に、尿や便をコントロールする神経があるからです。 その神経が椎間板ヘルニアによって圧迫されると、排尿・排便障害が現れる可能性があります。 胸椎椎間板ヘルニアの診断方法 適切な治療を受けるためには、診断が必要です。胸椎椎間板ヘルニアは診断が難しく、見逃されてしまうケースも多い病気です。 診断を受けるためには、症状に気付いたら早めに整形外科を受診しましょう。 胸椎椎間板ヘルニアの診断で行われるのが、レントゲン撮影やMRI画像検査です。とくにMRIは椎間板がはっきりと確認できるので、確定診断につながります。 胸椎椎間板ヘルニアの入院期間や費用については、以下の記事で詳しく解説しています。興味がある方は、ぜひこちらもご覧ください。 まとめ|胸椎椎間板ヘルニアは専門的な医療機関と相談しながら治療をしよう 胸椎椎間板ヘルニアは、背骨の胸の部分にある椎間板が飛び出すことで引き起こされ、脚や背中、脇のしびれ・痛みなどの症状が現れます。胸椎椎間板ヘルニアは椎間板の加齢による老化や、過度なスポーツが原因で発症します。 胸椎は肋骨で固定されているため、首や腰に比べてヘルニアが起こりにくいですが、一度発症すると身体に深刻な影響を及ぼしかねません。 症状が進行すると脚に力が入りにくくなったり、尿や便が出にくくなったりして、日常生活に大きな支障をきたす恐れもあります。足や背中に違和感を覚えたら、胸椎椎間板ヘルニアを疑ってみましょう。 軽い椎間板ヘルニアであっても、症状が出た場合は早期の診断(検査)と治療が重要です。気になる方は医療機関を受診し、専門的な診断と治療を受けましょう。 胸椎椎間板ヘルニアのよくある質問 ここでは、胸椎椎間板ヘルニアに関するよくある質問に対して、当クリニックの観点からお答えいたします。胸椎椎間板ヘルニアに関して疑問を抱えている方は、ぜひ参考にしてみてください。 胸椎椎間板ヘルニアは予防できる?薬で治るの? 残念ながら、胸椎椎間板ヘルニアに対して有効とされる予防方法はありません。ヘルニアを治す薬もないのが現状です。 また、症状が悪化している場合は手術となるケースが多く、脚の運動障害は薬や運動、鍼灸などでは改善が期待できません。 そのため、胸椎椎間板ヘルニアの疑いがある場合は、早めに病院へ受診しましょう。 胸椎ヘルニアでやってはいけないことはありますか? 胸椎椎間板ヘルニアでやってはいけないことは、以下のとおりです。 中腰の姿勢を続ける 重い荷物を持つ 長時間のデスクワークをする スマホを長時間操作する このような動作は、姿勢が丸まって椎間板への負担を高める原因となります。 とくにデスクワークやスマホの長時間の操作は、猫背につながり、肩こりや腰痛などの身体の不調につながる恐れもあります。姿勢が崩れやすい動作はなるべく避けて、椎間板の負担を減らしましょう。 胸椎椎間板ヘルニアの保存療法について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。 胸椎ヘルニアで入院すると期間はどれくらい? 胸椎椎間板ヘルニアで入院した際の期間は状態によって異なり、2週間〜2カ月ほどです。症状が強く、手術の必要性がある場合に入院が検討されます。 おもな手術としては、以下のとおりです。 LOVE法:背骨の一部を削って椎間板を切除する方法 椎弓切除術:背骨の椎弓と呼ばれる骨を切り取って神経の圧迫を防ぐ方法 脊椎固定術:背骨を削った後にプレートで固定する方法 LOVE法と椎弓切除術では2〜3週間ほどの入院期間で済みますが、脊椎固定術では2カ月かかることもあります。 胸椎椎間板ヘルニアの入院期間や費用についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
2022.09.27