胸椎椎間板ヘルニアとは?その症状と原因、治療について!
目次
胸椎椎間板ヘルニアとは?その症状と原因、治療について
胸椎椎間板ヘルニアをご存知でしょうか?
椎間板とは、背骨の間のクッションとなる組織です。それが、つぶれたり、変形したりして飛び出てしまうことを、椎間板ヘルニアと呼びます。ヘルニアとは、“飛び出る”という意味です。
人の背骨は全部で24個あります。これらのうち、首(頸椎)の背骨が7個、胸の背骨が12個、腰の背骨が5個あります。この胸の背骨の間にある椎間板がこわれて飛び出てしまうことを、❝胸椎椎間板ヘルニア❞と呼びます。
今回は、そんな胸椎椎間板ヘルニアについて解説していきます。
胸椎椎間板ヘルニアの原因と症状は?
椎間板の加齢による老化や、過度なスポーツが原因で引き起こる、胸椎椎間板ヘルニア。
胸椎椎間板ヘルニアの症状は、脚に出てきます。太ももやふくらはぎのしびれ、痛みが出ることがあります。脚の力が入らなくなったり、歩き方がおぼつかなくなったりします。最悪、歩けなくなることもあるので注意が必要です。
また、背中の痛みを感じることもあります。さらに、脇に放散する痛みがあることもあります。これを、肋間神経痛(ろっかんしんけいつう)と呼びます。中には、背中や肋間神経痛は出ず、脚の症状だけが出ることがある人もいます。
胸椎椎間板ヘルニアの特徴は?
胸椎椎間板は、胸の背骨(胸椎)にできます。実は、胸椎のヘルニアは珍しい疾患で、首や腰のヘルニアよりも起こりにくい疾患です。
これは、胸椎が、肋骨とつながっていて安定している為です。その為、胸椎は首や腰にくらべて椎間板のストレスが少なく済み、椎間板ヘルニアが起こりにくいのです。
胸椎椎間板ヘルニアは、胸椎の下の方に多いと言われています。これは、背骨が前後に曲がって、バネのようになっているからです。
背骨は曲がっていることで、上下方向にバネのように動かすことができます。ちょうど、胸椎の下はバネが曲がるところなので、ストレスが多くかかります。その為、胸椎椎間板ヘルニアの好発部位となります。
肋間神経痛(ろっかんしんけいつう)について?
胸椎の椎間板の脇から、肋骨に沿って神経が出ています。この神経を肋間神経とよびます。この肋間神経が圧迫されると、肋骨に沿ったしびれや痛みが出ます。
よって、胸椎椎間板ヘルニアが肋間神経を圧排すると、肋間神経に沿ってしびれや痛みを生じます。その為、脇の下にしびれが走ることが多くなったら、胸椎椎間板ヘルニアを疑いましょう。
実はこわい、胸椎椎間板ヘルニア!?
実は、胸椎椎間板ヘルニアはとてもこわい病気でもあります。放っておくと、急に脚が動かなくなる可能性すらあります。
胸椎椎間板の後ろには、脊髄があります。脊髄は手足を動かす神経の大もとです。これが、椎間板ヘルニアで押されると、急に脚が動かなくなることがあります。しかも、胸椎はもともと神経の通り道がせまいのです。その為、軽い椎間板ヘルニアであっても、症状が出やすく悪化しやすいと言われています。
急に尿や便が出ないことも!?
また、胸椎椎間板ヘルニアの特徴として、尿を出したり、便を出したりする力がだめになることがあります。これは、胸椎の後ろを通る脊髄に、尿を出したり、便を出したりする自律神経を扱う部位がある為です。その神経を障害されると「急に尿や便がでない!」といった症状が出ます。
胸椎椎間板ヘルニアの診断方法は?
適切な治療を受ける為には、適切な診断が必要です。実は、胸椎椎間板ヘルニアは診断が難しく、見逃されてしまうケースも多い病気です。診断には整形外科を受診しましょう。レントゲン撮影やMRI画像検査で診断をおこないます。特に、MRIは椎間板がよく見えるので、確定診断につながります。
胸椎椎間板ヘルニアって、予防できる?薬で治るの?
残念ながら、有効とされる予防方法はありません。また、ヘルニアを治すのみ薬も現在ありません。
また、脚の動きが悪い場合は手術となるケースも多く、脚の運動障害は、薬や運動、鍼灸などでは改善することはできません。ですので、早めの病院への受診をしましょう。。
まとめ・胸椎椎間板ヘルニアとは?その症状と原因、治療について
椎間板の加齢による老化や、過度なスポーツが原因で引き起こる、珍しい疾患の胸椎椎間板ヘルニア。
太ももやふくらはぎのしびれ、痛みが脚に出てきたり、脚の力が入らない、歩き方がおぼつかないなどの症状を感じたら、胸椎椎間板ヘルニアを疑ってみましょう。軽い椎間板ヘルニアであっても、症状が出やすく悪化しやすいと言われています。
放っておくと、急に脚が動かなくなる可能性すらある怖い胸椎椎間板ヘルニア。症状を感じたら、早めの整形外科の受診をお勧めします。
No.S086
監修:医師 加藤 秀一