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胸椎椎間板ヘルニア、リハビリや運動の方法を医師が解説!

胸椎椎間板ヘルニア、リハビリや運動の方法を医師が解説!

足のしびれや脱力感といった麻痺の症状を引き起こす胸椎椎間板ヘルニア。腰や首の椎間板ヘルニアに比べて稀な病気ですが、症状が進行すると病院での手術が必要な場合があります。

麻痺がなく症状が軽い場合は、いきなり手術をするのではなく薬物療法やリハビリなどの保存療法が選択されます。

本記事では胸椎椎間板ヘルニアの保存療法として、リハビリや運動の方法について解説します。

胸椎椎間板ヘルニア training

胸椎椎間板ヘルニアの保存療法について

胸椎椎間板ヘルニアは症状が進行すると筋肉を動かす神経まで圧迫され、脚の力が入りにくくなり歩くのに支障をきたします。

そうなるとリハビリや運動では治療は難しく手術が必要です。症状が軽い場合はまず手術を伴わない保存療法が選択されます。

ここではリハビリを含む保存療法の種類について紹介します。

薬物療法

ヘルニアによる痛みがある場合は、痛み止めの内服薬が利用されます。

また痛みや炎症により生じる筋肉の緊張に対して、筋弛緩薬が利用されることもあります。

内服薬のほかの薬物療法は注射を使った神経ブロックです。痛みの原因となっている神経を一時的に麻痺させることで、痛みの軽減を図ります。

装具療法

背骨が動くことによりヘルニアの症状が悪化する場合は、コルセットにより背骨の動きを制限して症状の悪化を防ぎます。

長期間のコルセットの装着は、背骨の周辺にある筋肉を弱めてしまうため、適切な装着時期は医師の指示を聞きましょう。

胸椎椎間板ヘルニアのリハビリテーション

リハビリには胸椎の椎間板にかかる負担を減らすための運動療法や日常生活の指導、痛みの緩和を目指す物理療法があります。

胸椎椎間板ヘルニアのリハビリとして以下のようなものがあります。

  • ・運動療法
  • ・物理療法
  • ・生活指導

それぞれ具体的な方法を解説します。

運動療法

運動療法は椎間板にかかる負担を減らすため、周辺の関節の柔軟性を高めたり筋肉の疲労を軽減したりするストレッチや筋力トレーニング(以下筋トレ)があります。

また痛みやしびれによる運動不足で低下した体力を向上するための有酸素運動も運動療法の1つです。

ストレッチ

ストレッチでは胸椎の動きをスムーズにして痛みを和らげたり、腰や股関節といった周辺の関節が固まらないようにして胸椎の椎間板にかかる負担を減らしたりします。

具体的なストレッチの方法は「胸椎椎間板ヘルニアの痛みに!ストレッチで痛みを和らげる方法」で詳しく紹介しています。

筋トレ

筋トレにより背骨を支える体幹の筋肉を鍛えて椎間板にかかる負担を減らします。

具体的な方法は以下のようなものがあります。

体幹トレーニングの方法①
  • 1.肩の真下に両手をつき、骨盤の真下に両膝をついて四つ這いになる
  • 2.左手と右足を、体と水平になるようにあげる
  • 3.手と足が離れるように伸ばした状態で10秒キープする
  • 4.反対の手足も同様に行う

体を反ったり、ひねったりしないように意識しましょう。お腹に力を入れながら行うとより効果的です。

体幹トレーニングの方法②
  • 1.両膝を立てた状態で仰向けになる
  • 2.息をできるだけ吸い込む
  • 3.口をすぼめてゆっくり息を吐きながらお腹を凹ます
  • 4.できるだけお腹を凹ませた状態をキープしながら呼吸を繰り返す
  • 5.30秒キープして力を抜く

先ほどの運動が背筋を鍛えるのに対して、今回の運動では腹筋を鍛える運動になります。

どちらも背骨により近い部分にある筋肉であるインナーマッスルを鍛える運動です。

インナーマッスルは体を動かすより、姿勢を安定させる働きがあり、背骨や椎間板にかかる負担を軽くしてくれます。

有酸素運動

有酸素運動により全身の筋力を維持して、健康な体を保ったり、低下した体力を向上させたりすることができます。

有酸素運動の種類としては以下のようなものがあります。

  • ・ウォーキング
  • ・自転車こぎ
  • ・水泳
  • ・軽いジョギング
  • ・ハイキング

ヘルニアだからといって症状が軽いのに安静にしすぎると全身の筋力や体力の低下を引き起こすため、かえって症状が悪化する危険性があります。

軽めの有酸素運動で良いので、少しでも体を動かすようにしましょう

物理療法

電気や熱の力を利用して血行を良くして、筋肉をほぐしたり、痛みを緩和したりする治療が物理療法です。

生活指導

椎間板へ負担のかかる作業や動作、姿勢は極力控えるようにしましょう。例えば中腰の姿勢を続けたり、重い荷物を上げ下ろししたりする動作です。

また猫背の姿勢は椎間板に負担をかけます。長時間のデスクワークやスマホの使用は猫背の姿勢を助長するので、適宜休憩を挟んで腰を反らすなどのストレッチを実施しましょう。

胸椎椎間板ヘルニアでリハビリする上での注意点

胸椎椎間板ヘルニアで歩行が難しくなるような症状が出ている場合、リハビリでは治療は難しく手術をしなければ回復は困難です。症状があるからといって自己判断で運動を行わず、整形外科を受診して医師の指示を仰ぎましょう。

やってはいけない筋トレは体を丸めるように腹筋運動です。椎間板を圧迫するようなストレスがかかるため注意しましょう。

また、筋トレをいつから行うかは大切なポイントです。痛みが強まるときは控えて、症状が落ち着いてきてから始めるようにしましょう。

せっかくのリハビリをしても症状が悪化してはいけないので、注意点に気をつけて正しく実施しましょう。

胸椎椎間板ヘルニアのリハビリは症状が軽い場合に実施|麻痺がある場合はすぐに病院を受診しよう

胸椎椎間板ヘルニアは症状が軽い場合は、リハビリを含む保存療法を実施して改善を待ちます。

リハビリには筋トレやストレッチ、有酸素運動などの運動療法や物理療法があります。できるだけ整形外科を受診して医師や理学療法士などの専門家に指導を仰いで実施するようにしましょう。

足に力が入らないような麻痺がある場合は、リハビリも有効ではありません。放置せずに病院を受診して必要な治療を受けるようにしましょう。

 

No.164

監修:医師 坂本貞範

脊髄の損傷は手術しなくても治療できる時代です。

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参照資料

標準整形外科.医学書院,東京,2020,pp550.

日本整形外科学会「胸椎椎間板ヘルニア」

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