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胸椎椎間板ヘルニア症状レベルと自然治癒の可能性について

胸椎椎間板ヘルニア症状レベルと自然治癒の可能性について

「胸椎椎間板ヘルニアといわれたが、詳しいことがよくわからない」「今の重症度はどのくらい?」「自然に治る可能性はあるの?」

とお悩みではありませんか?

胸椎椎間板ヘルニアは非常に稀な病気のため、腰椎や頚椎のヘルニアよりも情報が少ないのが現状です。

本記事では胸椎椎間板ヘルニアについて解説していきます。特に症状レベルや自然治癒の可能性について知りたい方はぜひ最後までお読みください。

胸椎ヘルニア

胸椎とはどこの骨?

胸椎とはいわゆる「背骨」=椎骨のなかでも、首の骨(頚椎)と腰の骨(腰椎)の間にあるものです。他の椎骨と異なり、胸椎は肋骨と繋がっているのが特徴です。

第一胸椎には第一肋骨、第二胸椎には第二肋骨…というように合計で十二の胸椎があり、それぞれの左右から肋骨が伸びています。

胸椎椎間板ヘルニアとは?

胸椎と胸椎(あるいは一番下の胸椎と一番上の腰椎)の間にある「椎間板」の成分が胸椎の後ろに飛び出してしまうことを「胸椎椎間板ヘルニア」と呼びます。腰椎や頚椎の椎間板ヘルニアと比べると、非常に稀な疾患です。

椎間板は、椎骨が動くときに衝撃を吸収するクッションの役割があります。椎間板の外側は強固な線維の束(線維輪)に覆われ、内側には柔らかいゼリーのような「髄核」があります。体をひねる・前に曲げる・後ろに反るなどの動作のとき、一つ一つの椎骨が滑らかに動いています。これが可能なのは、間にある椎間板が衝撃を吸収しているからです。

ところがヘルニアの方では、椎間板の変性により線維輪が壊れて中の髄核が飛び出してしまっているのです。胸椎椎間板ヘルニアでは、髄核はまっすぐ真後ろに飛び出すことが多いことがわかっています。

飛び出した髄核は、ときに真後ろに走る脊髄を圧迫します。すると、足の痺れや感覚の低下が起こります。病態が進行すれば歩行障害が起こることもあるのです。

なお、腰椎や頚椎では後側方に飛び出したヘルニアが、脊髄から伸びる神経の根本を圧迫して「神経根痛」という「ビリッとした」痛みを起こすことがあります。一方の胸椎椎間板ヘルニアでは神経根痛は多くありません。横方向に飛び出すことが多くないからです。しかし、ときに肋間神経痛(脇腹の痛み)を起こす方がいます。

胸椎ヘルニアの症状チェック!こんな症状があるときに疑います

多い症状は足のしびれや脱力です。そのほかにも、以下のような症状が起こることがあります。

  • ☐背中が痛む
  • ☐脇腹が痛む
  • ☐足の感覚が鈍い
  • ☐足がもつれて歩きにくい
  • ☐階段を降りるのが不安定で怖くなった

ただし、患者さん全員にすべての症状が起こるわけではありません。また、特異的な症状というものはなく、別の病気でも同様の症状が起こることがあります。

胸椎椎間板ヘルニアの診断はどのようにして行うか

疑わしい症状があれば、MRIを撮影して椎間板の脱出がないかを調べます。レントゲンでは診断はつきませんが、骨折など他の病気を探すためにMRIに先行して行うことが多いです。

ただし、胸椎椎間板ヘルニアは非常に稀な病気である上に、腰椎の病気と似た症状を起こすことが多いです。そのため、最初は腰椎の検査をされ、のちに胸椎椎間板ヘルニアだったと判明することもあります。

胸椎椎間板ヘルニアの症状レベル~軽症から重症まで~

軽症例ではヘルニアはあるものの、後ろに走る脊髄の圧迫による症状はありません。背中の痛みが起こることがあります。また、脇腹に「ビリッ」と走るような肋間神経痛を感じる方もいます。無症状で、たまたま画像検査などで発見されることもあります。症状がなければとくに治療の必要はありません。痛みがあれば痛み止めなどを使います。

脊髄の圧迫の初期では足が痺れたような感じがあります。また、足の感覚が鈍くなってくる方もいます。このような症状が出てくると要注意です

さらに進行すると、運動神経が侵されて足の筋力が落ちてきます。そして、段々と歩けなくなってきます。また、排尿に関わる神経が侵され、尿が出にくい、頻尿になるといったことも起こるのです。ひどい場合は全く尿が出ない「尿閉」となります。

歩行障害や排尿障害が進行すると、薬やリハビリなどの保存療法では良くなりません。放置すると日常生活に差し障るため、早期に手術を行う必要があります。

人によっては急激に麻痺が進行することもあります。歩きづらさを感じたら早いうちに受診をすることをお勧めします。

脊髄の損傷は手術しなくても治療できる時代です。

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胸椎椎間板ヘルニアは自然治癒するの?可能性と注意点

一般的に椎間板ヘルニアは自然に消失することのある疾患です。胸椎椎間板ヘルニアも自然経過で良くなる可能性は充分にあると言えるでしょう。その一方で注意しなければいけないこともあります。

胸椎椎間板ヘルニアは疾患自体が非常に稀なので、自然治癒の報告も限られています。ただし、同様の病態である腰椎や頚椎の椎間板ヘルニアでは自然消失例が多数報告されているのです。このことから、胸椎椎間板ヘルニアについても一部の軽症例であれば自然によくなる可能性があります。

しかしながら、自然に良くなるのを過剰に期待して自己判断で放置してしまうと、取り返しのつかない歩行・排尿機能の障害に陥ってしまうリスクがあります。手術を受けない場合でも、定期的な経過観察のための受診は怠らないようにしましょう。そしてもし、歩きづらさなどを感じたら、早期に主治医に相談するべきです。

胸椎椎間板ヘルニアは予防できる?

胸椎椎間板ヘルニアは外傷などの特定の原因があって発症する疾患ではありません。そのため、現時点ではっきりとわかっている予防方法などもありません。

また、麻痺が出てしまうと、いくらリハビリテーションなどを行っても進行を予防することはできません。

まとめ・胸椎椎間板ヘルニア症状レベルと自然治癒の可能性について

胸椎椎間板ヘルニアは非常にまれな病気です。

軽症の場合は対症療法のみで様子を見ることができる一方、足の麻痺などが出てしまうと手術を行わなければいけないことがあります。

自然治癒の可能性もありますが、一方で急激な進行を認めるケースがあるのも事実です。すぐに手術しない場合でも通院を怠らず、症状の変化に気をつけて過ごしてください。

この記事が参考になれば幸いです。

 

No.163

監修:医師 坂本貞範

参考文献

大場哲郎, 波呂浩孝.
日本医事新報 (5084): 42-42, 2021.

岡田英次朗.
日本医事新報 (4994): 40-40, 2020.

小西明, 藤井基広, 増本眞悟, 石井秀典, 今井健, 角南義文. 整形外科と災害外科 48:(1) 10-12, 1999.

公益社団法人日本整形外科学会|「胸椎椎間板ヘルニア」

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