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骨粗しょう症は、骨がもろくなり骨折しやすくなる病気です。骨折は要介護状態となる原因の1つとされているため、引き起こさない予防が重要になります。 しかし、なかには骨粗しょう症がなぜ起こるのか原因がわからないと感じる方もいるのではないでしょうか。骨粗しょう症を防ぐ対策には、骨がもろくなる原因を理解しておくことが大切です。 本記事では、骨粗しょう症の主な原因を解説します。骨量を上げる予防策もまとめているので、骨粗しょう症にならないよう骨を強くしたい方は参考にしてください。 骨粗しょう症の原因は骨量の減少 骨粗しょう症の原因には、骨に含まれるミネラルの総量の減少が考えられます。骨量は年齢によって減少していくだけでなく骨の強度が低下していくため、次第に骨がもろくなり、骨粗しょう症を発症します。 また、骨粗しょう症の種類は以下の2つです。 原発性(一次性)骨粗しょう症 自然に発生 続発性(二次性)骨粗しょう症 ほかの病気や薬などが原因で発生 一般的に、骨粗しょう症は自然に発生する原発性が原因となるケースがほとんどです。続発性はきわめて稀な点についても、あわせて覚えておきましょう。 なお、リペアセルクリニックではメール相談やオンラインカウンセリングを受け付けております。骨粗しょう症に関する疑問をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 【骨粗しょう症】骨がもろくなる主な原因 骨粗しょう症の原因は骨量の減少ですが、骨がもろくなる要因は複数あります。主な原因は、以下の6つです。 加齢 閉経による女性ホルモンの低下 無理なダイエットや運動不足 特定の疾患 ステロイド薬 ビタミンD不足 骨粗しょう症予防として、原因について理解を深めましょう。 加齢 骨粗しょう症は、加齢に伴い増加傾向にあります。骨量は幼少期から増加し、20歳頃にはピークに達します。 40歳頃までは横ばい状態となりますが、50歳近くになると次第に減少していくのが一般的な流れです。そのため、年齢を重ねていくごとに骨粗しょう症のリスクが高まります。 加齢に伴い、食事量や運動量が減る点も原因といえます。筋力が低下していくため、骨は徐々にスカスカな状態になり、もろくなってしまうのです。 閉経による女性ホルモンの低下 骨粗しょう症が女性に多いといわれる理由は、エストロゲンと呼ばれる女性ホルモンが減少するためです。エストロゲンには、骨を作る細胞と壊す細胞のバランスを調整する機能があります。 しかし、女性は閉経するとエストロゲンの分泌量が減少します。エストロゲンが減少すると、骨を壊す細胞が活性化し、結果として骨量の減少により骨粗しょう症を引き起こしてしまうのです。 実際に、60代の日本人女性は22.8%、80代の56.2%が骨粗しょう症といわれています。(文献1)骨折すると、要介護のリスクが高まるため注意が必要です。 無理なダイエットや運動不足 ダイエットや運動不足などの生活習慣によっては骨量が減少し、骨粗しょう症を引き起こしやすくなります。骨を作る細胞は負荷がかかるほど活性化するため、運動の習慣がなければ次第にもろくなります。 また、過度なダイエットは骨を作るのに欠かせない栄養素が不足しがちです。骨を作る栄養素の1つとなるカルシウムが不足すると、骨が弱くなってしまいます。 とくに20代は骨量がピークを迎える時期となるため、若いうちに骨を作っておくことが大切です。若いうちから無理なダイエットをしていると骨がボロボロになり、年齢を重ねるにつれて骨粗しょう症を引き起こすリスクが高くなります。 特定の疾患 骨粗しょう症は、特定の疾患により引き起こされる可能性があります。原因となる主な疾患は、以下のとおりです。 関節リウマチ 副甲状腺機能亢進症 糖尿病 動脈硬化 慢性腎臓病 慢性閉塞性肺疾患 特定の疾患を発症すると、骨代謝や骨形成に必要な細胞などが異常をきたして骨がもろくなる場合があります。また、骨質を劣化させる物質が増加し、骨が弱くなるケースも珍しくありません。 骨粗しょう症の原因を理解するためには、骨密度や骨の質が低下する疾患についても、あわせて覚えておきましょう。 ステロイド薬 骨粗しょう症には、ステロイド薬が原因となるステロイド性骨粗しょう症があります。ステロイド性骨粗しょう症とは、ステロイド薬の服用により引き起こされる骨粗しょう症です。 ステロイド薬は炎症を抑制する一方で、骨を作る細胞の働きを弱める作用があります。また、骨を吸収する細胞の働きを強めて、骨を弱くするのもステロイド薬の作用です。 使用するステロイド薬の量が多いほど骨はもろくなってしまうほか、3カ月以上継続して使う場合は骨強度の低下を引き起こします。ステロイド薬の長期的な使用は、日常生活における些細な動作でも骨折してしまうほど骨を弱める可能性があります。 ビタミンD不足 ビタミンDが極端に不足した場合、骨がもろくなってしまい骨粗しょう症を引き起こします。ビタミンDにはカルシウムやリンなどの吸収をサポートする役割があり、欠乏すると骨が弱くなってしまいます。 また、骨が弱くなるだけでなく、下肢の筋力が衰えて転倒しやすくなるケースも少なくありません。ビタミンDは骨粗しょう症の予防に欠かせない栄養素で、加齢に伴い必要量も増加します。骨を守るためには、ビタミンD不足を防ぐことが重要です。 骨粗しょう症の予防法 骨粗しょう症を防ぐためには、骨を強くする必要があります。主な予防法は、以下の5つです。 骨粗しょう症予防に適した栄養をとる 骨密度を上げる運動を取り入れる 日光を浴びる 禁煙する 骨密度検査を定期的に受ける 骨を強くする方法について理解を深め、骨粗しょう症を予防しましょう。 骨粗しょう症予防に適した栄養をとる 骨粗しょう症予防には、骨を強くする栄養を積極的に摂取するのが効果的です。骨を強くする栄養の摂取は、骨量の維持や改善が期待できます。 骨粗しょう症予防に適した栄養素は、以下のとおりです。 栄養素 役割 主な食材 カルシウム 骨を作る 牛乳 乳製品 小魚 小松菜 チンゲン菜 ビタミンD カルシウムの吸収を促進 鮭 ウナギ サンマ シイタケ キクラゲ 卵 ビタミンK カルシウムが骨に沈着するのをサポート 納豆 ほうれん草 小松菜 ブロッコリー キャベツ 予防策には骨を強くする栄養素だけでなく、バランスの良い食生活が重要です。なお、スナック菓子やインスタント食品は、カルシウムの吸収を妨げる食塩の含有量が多いため、食べ過ぎないようにしましょう。骨粗しょう症予防策として、バランス良く栄養を取り入れるのがポイントです。 骨密度を上げる運動を取り入れる 運動は、骨密度の向上に効果的です。骨を強化するためには、負荷をかけて細胞を活性化させる必要があります。 骨密度を上げるのにおすすめの運動は、以下のとおりです。 片足立ち つま先立ち スクワット ウォーキング 水泳 バレーボール 負荷がかかる運動を取り入れると骨が強くなるため、継続的に行うのが重要です。なお、足や腰に痛みがあって運動ができない場合は、仰向けになった状態で腰を持ち上げる体操など無理のない範囲で進めていきます。 運動の習慣がない場合は、軽い体操やウォーキングからスタートして、骨密度の低下を予防しましょう。 日光を浴びる 日光浴はビタミンD活性化に良い効果をもたらすため、骨粗しょう症予防に適しています。ヒトの皮膚の下に位置する皮下脂肪には、コレステロールの一種が含まれています。 コレステロールは紫外線に当たると化学反応を起こし、ビタミンDが生成されるため、日光浴は骨作りに効果的です。夏場は、長時間の日光浴を避けて15分〜30分ほどを目安にします。 また、冬場は30分〜1時間ほどを目安に日光浴をするのがおすすめです。洗濯物を干したりウォーキングしたりと、日光が出ているタイミングで外に出てビタミンD生成のサポートを行いましょう。 禁煙する たばこは骨をもろくする要素を多く含んでいるため、禁煙を推奨します。喫煙による骨のリスクは、以下のとおりです。 骨密度の低下 骨形成に必要な細胞の減少 骨を吸収する細胞の増加 骨折のリスク上昇 ビタミンDやカルシウムの吸収を阻害 ホルモンバランスの乱れ 実際に、喫煙における股関節骨折のリスクは女性31%、男性40%の割合で増加すると推定されています。(文献2)たばこは要介護の原因となる骨折リスクに影響するため、骨がもろくなるのを防ぐ方法として禁煙を検討するのがおすすめです。 骨密度検査を定期的に受ける 骨粗しょう症の予防策には、定期的に骨密度検査を受ける方法があります。骨密度検査ではどのくらい骨量が減少しているか、X線を使用して測定します。 主な骨密度検査は、以下のとおりです。 主な骨密度検査 特徴 DXA(デキサ法) 背骨や太ももの付け根、前腕などの骨密度をX線で測定 MD法 手の骨密度を測定 QUS法(定量的超音波測定法) かかとの骨に超音波を当て、骨の強さを測定 レントゲン検査 背骨のX線写真を撮影し、骨折や変形を確認 MRI検査 X線検査では見分けがつきにくい、骨折を詳しく確認 血液・尿検査 骨代謝を測定 骨密度検査は、症状がなくても50歳以上になったら定期的に受けましょう。リペアセルクリニックではメール相談やオンラインカウンセリングを受け付けております。骨粗しょう症に関する疑問や悩みをお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 骨粗しょう症の原因から骨量を上げる予防法を実施しよう 骨粗しょう症の原因は、加齢や女性ホルモンの減少、無理なダイエットなどさまざまです。骨は50歳あたりから徐々に減少するため、骨粗しょう症のリスクが高まります。 骨粗しょう症になると骨折しやすくなるので、骨量を上げる予防法の実施が重要です。骨を強くする栄養素や運動を取り入れ、骨粗しょう症を予防しましょう。 なお、骨粗しょう症の骨折は手術を伴う可能性があります。万が一、手術を伴う骨折をした場合は身体の負担が少ない再生医療を検討するのも手段の1つです。発症する原因を理解して、骨粗しょう症を予防しましょう。 参考文献 (文献1) 厚生労働省「女性向け 知ってほしい健診・検診」健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~2024年 https://kennet.mhlw.go.jp/tools/wp/wp-content/themes/targis_mhlw/pdf/leaf-checkup-female.pdf(最終アクセス:2025年4月24日) (文献2) PubMed「A meta-analysis of the effects of cigarette smoking on bone mineral density」NationalLibraryMedicine2001年 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11683532/(最終アクセス:2025年4月24日)
2025.04.30 -
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「手足が冷えていないのに、ジンジンと冷たく感じる」 「暖かい季節なのに、手足が冷える」 原因不明の違和感は、神経障害の症状かもしれません。手足が冷えていないのに冷たく感じ、さらに神経障害の疑いがあると不安は大きくなるでしょう。 本記事では、以下について解説します。 冷えてないのに冷たく感じるのは神経障害が関係している理由 冷えてないのに冷たく感じる原因 冷たく感じる症状の治療法 【自分でできる】冷たく感じる症状の対処法 記事の最後には、冷たく感じる症状についての質問をまとめました。ぜひ最後までお読みいただき、症状改善にお役立ていただければ幸いです。 冷えてないのに冷たく感じるのは神経障害が関係している 冷たく感じる要因 メカニズム 血管の収縮 交感神経が過剰に働き、血管が収縮する、手足への血流が減って冷たく感じる 体温調節機能の異常 自律神経が乱れ、気温変化にうまく対応できず、寒くなくても冷えを感じる 感覚の異常 温度を感じる神経が過敏になり、実際よりも冷たく感じるようになる 冷えていないのに冷たく感じる症状は、神経障害が関係している可能性があります。この原因不明に思える不快な感覚は、身体の隠れた変化や不調のサインです。 皮膚の神経が誤作動を起こし、冷たさを誤って脳に伝えることで、実際には冷えていなくても冷感を覚えるのです。 神経障害が引き起こされる原因としては、ストレスや睡眠不足、不規則な生活習慣、ホルモンバランスの乱れなどが挙げられます。 また、糖尿病や自律神経性ニューロパチーなど、重大な疾患の初期症状の可能性もあります。冷える季節でないのに手足が冷たいと感じる場合は、重症化する前に医療機関を受診しましょう。 冷えてないのに冷たく感じる原因 手足が実際には冷えていないのに冷たく感じる原因には、さまざまな身体の異常が関係しています。単なる冷え性だと思い、放置すると重症化する恐れがあります。 主な原因として、以下の5つが考えられます。 自律神経の乱れ 血管の病気の可能性 末梢神経障害の可能性 糖尿病の疑いの可能性 更年期障害の影響 冷たく感じる原因を特定し、早期に異変に気づき、適切な対処が重要です。 自律神経の乱れ 要因 説明 早期発見するためのサイン ストレス 仕事や人間関係などのプレッシャーが続くと、自律神経のバランスが崩れやすくなる イライラ、不安感、集中力の低下、過呼吸、動悸 睡眠不足 十分な睡眠がとれないと、心と体を休ませる神経(副交感神経)が働きにくくなる 朝起きられない、疲れが取れない、眠りが浅い、寝つきが悪い 不規則な生活習慣 食事の時間がバラバラだったり、夜更かしや昼夜逆転の生活は、自律神経を乱す原因になる 食欲不振、便秘・下痢の繰り返し、だるさ、頭痛 ホルモンバランスの乱れ(更年期など) 年齢や体調の変化でホルモンのバランスが崩れると、自律神経にも影響を与える ホットフラッシュ(ほてり)、汗が出やすい、気分の浮き沈み、不眠 自律神経に関わる病気(糖尿病、自律神経性ニューロパチーなど) 一部の病気は、自律神経に直接影響を与えることがある 手足のしびれ、立ちくらみ、胃もたれ、便秘・下痢、発汗異常 自律神経は体温調節や血流のコントロールに関わっています。ストレスや不規則な生活でバランスが乱れると、実際の温度を正しく感じにくくなり、とくに交感神経が優位になると血管が収縮して手足が冷たく感じやすくなります。 こうした症状は、糖尿病や自律神経性ニューロパチーの初期サインの可能性も考えられるため、早めの受診が大切です。 血管の病気の可能性 病名 原因・特徴 症状 下肢閉塞性動脈硬化症(ASO) 足の動脈が動脈硬化で狭くなり、血流が悪くなる病気。中高年男性に多い 足の冷え、しびれ、歩くと足に違和感がある(間欠性跛行) レイノー症候群 寒さやストレスで手足の血管が強く収縮し、一時的に血流が止まる 指先の冷え、色が白→青→赤と変化する、しびれや違和感 混合性結合組織病(MCTD) 自己免疫の異常で、血管や関節、筋肉などに炎症が起きる 指先の冷えやしびれ、関節痛、筋肉のこわばり (文献1)(文献2)(文献3) 手足が冷たく感じる原因には、血流が悪くなる血管の病気も考えられます。動脈硬化で足の血管が狭くなる閉塞性動脈硬化症や、手足の細い血管に炎症が起こるバージャー病などがあります。 進行すると皮膚の変色や傷が治りにくくなることもあるため、歩くと足が重くなる、皮膚が青白いなどの症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。 末梢神経障害の可能性 原因 説明 糖尿病 血糖値が高い状態が続くと、神経にダメージを与えることがある ビタミンB12欠乏症 神経の修復や維持に必要なビタミンB12が不足すると、障害が起こりやすくなる アルコール多飲 長期間の大量飲酒は、神経に悪影響を及ぼす 自己免疫疾患 体の免疫システムが誤って自分の神経を攻撃してしまうことがある 感染症 帯状疱疹やライム病など、一部の感染症が神経に影響を与えることがある 薬剤 抗がん剤や抗HIV薬など、一部の薬が副作用として神経にダメージを与えることがある 外傷 骨折や事故による神経の圧迫・切断が原因となることがある 遺伝性疾患 生まれつき神経の異常。シャルコー・マリー・トゥース病などが知られている (文献4) 末梢神経は皮膚の感覚や筋肉の動きなどを司る神経で、損傷や障害が起こると、温度や痛覚の感知ができなくなります。実際には冷えていないのに冷たく感じる、あるいは触ったものの温度がわかりにくくなる症状が現れます。 末梢神経の原因は、外傷、感染、薬剤、糖尿病などです。慢性的な違和感がある場合は、重症化する前に早期発見が大切です。 以下の記事では、末梢神経障害の症状について解説しております。 糖尿病の疑いの可能性 項目 内容 神経へのダメージ 高血糖が続くと神経にブドウ糖が蓄積し、機能が低下 末梢神経の障害 足の神経は長いためダメージを受けやすく、冷えやしびれが出やすくなる 自律神経の障害 血流を調整する自律神経が障害され、冷えを感じやすくなる 冷えの特徴 足先から始まり、左右対称に出やすい。しびれや違和感を伴うことも。血糖コントロールが悪いと悪化しやすい 受診の目安 冷えに加えてしびれや違和感、感覚の低下がある場合や、糖尿病が疑われる場合は医療機関へ (文献4)(文献5) 糖尿病になると、高血糖の状態が続きます。手足の冷感やしびれ、違和感が生じやすくなり、温度感覚が鈍ることもあります。糖尿病は自覚症状が少なく進行するため、冷たい感じが初期のサインである可能性も否定できません。 健康診断などで血糖値の高さを指摘されたことがある方や、口の渇き、多飲多尿などの症状がある方で、手足の冷感やしびれを感じる場合は、糖尿病の可能性も視野に入れ、早めに医療機関を受診しましょう。 以下の記事では、糖尿病の初期症状について詳しく紹介しています。 更年期障害の影響 更年期に入ると女性ホルモンのバランスが急激に変化し、自律神経の調整機能が不安定になります。血流が不規則になると、実際の体温とは異なる冷感を覚えることもあります。 更年期障害は心身に影響を与えるため冷感だけでなく、のぼせやイライラ、睡眠障害などの症状が現れることも多いです。 症状の出方には個人差があるものの、少しでも違和感を覚えた際は早めに医師に相談しましょう。 冷たく感じる症状の治療法 治療法 内容 薬物療法 神経の過敏さを抑える薬(抗うつ薬や抗てんかん薬など)を使い、感覚異常を和らげる 運動療法 血流をよくするために、軽いストレッチやウォーキングなどを取り入れる 精神療法 ストレスや不安が神経の働きに影響するため、必要に応じてカウンセリングや認知行動療法を行う 再生医療 損傷した神経の修復を目的とした幹細胞治療などが一部の医療機関で実施される 冷えていないのに冷たく感じる症状の治療法は、原因や進行具合によって変わります。また、一つだけでなく、複数の治療法を組み合わせて行われるのが一般的です。 薬物療法 運動療法 精神療法 再生医療 どの治療法でも自己判断は避け、医師へ相談・指導のもと行いましょう。 薬物療法 薬物療法に関する項目 内容 目的 神経の修復、血流改善、異常な感覚(冷感・しびれ)の緩和 主な治療薬 血糖コントロール薬、免疫抑制薬、プレガバリンなど症状によって異なる 効果 神経の働きを整え、冷たく感じる症状や違和感を軽減 注意点 薬は症状や体質により調整が必要、副作用に注意する、必ず医師の指示に従う (文献6) 薬物療法は、冷たく感じる症状の原因や症状緩和のために用いられる治療法の一つです。症状や原因によって処方される薬は異なります。また、症状の種類や体質によって薬物療法の効果に差があるため、医師による適切な診断と薬の服用が必要です。 薬物療法を行う際は、自己判断で薬の量や使用頻度を変えず、副作用や異変が出た場合には医師に相談するようにしましょう。 運動療法 運動療法の効果 内容 血流の改善 筋肉を動かすことで血液の流れが促進する 筋肉量の維持・増加 運動で筋肉量が増えると基礎代謝が上がり、冷えの改善につながる 神経機能の回復支援 運動により神経への酸素供給が増え、修復が促される 具体的な方法 つま先立ち・足首ストレッチ、30分程度のウォーキングなど 冷たく感じる症状には、運動療法が効果的です。とくにふくらはぎなどの筋肉を動かすと血流が促進され、冷えや神経の不調を和らげる助けになります。身体を動かす場合は、無理のない範囲で行いつつ、違和感を感じた際は運動を中止しましょう。 運動は身体に合ったメニューで実践するのが大切で、無理をすると逆効果になることもあります。医師の指導を受け、自分の体調に合わせて取り入れましょう。 精神療法 精神療法に関する項目 内容 精神療法が必要な理由 ストレスや不安が原因で、実際の温度とは異なる「冷たい」感覚が生じることがある 精神療法の治療法 患者の不安や感覚を否定せず共感的に受け止め、誤った思い込みを修正する (文献6)(文献7)(文献8) 冷感の原因は神経や血流の異常だけでなく、ストレスや不安など心の要因によることもあります。精神療法では、心理的な影響を和らげることで、冷たく感じる症状を軽減させます。 冷感を感じている方の中には、原因不明の不安からさらに症状が強まってしまうケースもあるため、心身のケアは大切な要素です。生活リズムを整え、ストレスを受け流す習慣をつけることで、改善の糸口が見えてくることもあります。 再生医療 冷たく感じる原因が、難治性の末梢神経障害などの場合、再生医療は有効な治療法です。再生医療は、神経の再生を促す治療法であり、手術を必要としないため、術後の後遺症に悩まされるリスクが少ないのが特徴です。 再生医療に関しては、実施している医療機関が限られている上に、症状に対して適応できるかを医師へ相談する必要があります。 以下の記事では、当院「リペアセルクリニック」の再生医療について詳しく解説しています。 【自分でできる】冷たく感じる症状の対処法 冷えていないのに冷たく感じる症状が神経の障害によるものであれば、医療機関での診断と治療が必要ですが、同時に自分でできる対処法を取り入れることで症状の軽減が期待できます。 自分でできる対処法は以下の3つです。 軽い運動や入浴で血流を促進 食生活の見直し ストレスケア 冷たく感じる症状の対処法を解説します。 軽い運動や入浴で血流を促進 対処法 方法と効果 足踏み運動 座ったまま1分間足踏みをし、ふくらはぎの筋肉への血流を促進させる ウォーキング 1日30分程度の早歩きが目安。有酸素運動は血管の柔軟性を保ち、全身の血流や代謝を改善 ぬるめの全身浴 40℃のお湯に10〜15分浸かると、血管が広がり血流が良くなるとともに、自律神経の緊張が緩和される 半身浴 みぞおちまで湯に浸かって15分程度。心臓への負担を抑えつつ、持続的な温熱効果が期待できる 手足の冷感に対しては、血行促進が有効な場合があります。日常生活の中で簡単に取り入れられる方法として、軽い運動や入浴が有効です。 外出しての運動が難しい方は、デスクワーク中に時々足首を回したり、かかとの上げ下ろしをしたりすると良いでしょう。また、ぬるめのお湯(38~40℃程度)にゆっくり浸かる入浴も効果的です。リラックス効果により副交感神経が優位になり、血管が広がって血行が改善します。 無理な運動は症状の悪化につながる可能性があるため、負担にならない範囲で実践するようにしましょう。 食生活の見直し 対処法 内容 バランスの良い食事 主食・主菜・副菜をそろえた食事を心がけ、ビタミンB群(豚肉、玄米)や鉄分(赤身肉、ほうれん草)をしっかり摂る 身体を温める食品の摂取 ショウガ入りのスープや味噌汁など、温かい料理を意識的に取り入れる。発酵食品で腸内環境も整える 冷たいものを控える アイスや冷たい飲み物は避け、常温〜温かい飲み物(お茶、生姜湯など)を選ぶようにする 栄養バランスの乱れは、自律神経や血流に悪影響を及ぼします。ビタミンB群やE、鉄分など、神経の働きや血液循環を助ける栄養素を意識して摂ることが大切です。アイスや冷たい飲み物は避け、温かい食事を中心にすると内臓の冷えを防止できます。 極端な食事制限や偏食は神経系に負担をかけるだけでなく、ストレスを溜め込む原因になります。ストレスを溜め込まないようにしつつ、普段から規則正しい食生活を意識しましょう。 以下の記事では、身体を温める食べ物などを詳しく紹介しています。 ストレスケア ストレスケアの効果 内容 自律神経の安定 ストレスを減らすことで自律神経のバランスが整い、血管の過剰な収縮が抑えられる ホルモンバランスの改善 ホルモンの乱れが整い、体温調節機能が正常に保たれる 筋肉の緊張緩和 ストレスが軽減されることで筋肉のこわばりがほぐれ、血行が良くなる 睡眠の質向上 良質な睡眠がとれるようになり、体の冷えやすさを改善する効果が期待できる ストレスは自律神経のバランスを乱す大きな要因の一つです。とくに慢性的なストレスは交感神経を刺激し続け、血流の悪化を招きやすくなります。 ストレスケアの方法としては、読書や音楽鑑賞、入浴や負荷のかからない軽い運動などがおすすめです。また、睡眠不足もストレスの蓄積や神経の過敏化を引き起こすため、睡眠の質を高めるようにしましょう。 冷えてないのに冷たく感じる際は医療機関で診てもらおう 冷えてないのに冷たく感じる症状は神経障害の可能性があり、その背景に糖尿病や感染症が隠れていることもあります。放置すると重症化する恐れがあるため、このような症状でお悩みの方は早めに医療機関を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、神経障害の症状に対して、幹細胞を活用した再生医療を提供しています。冷えていないのに冷たく感じる症状でお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にて、当院へお気軽にご相談ください。 冷たく感じる症状についてよくある質問 冷えてないのに冷たく感じる時、病院を受診する目安はありますか? 見た目に異常がなく、周囲の人と比べても寒くないのに冷たく感じる状態が続く場合、自己判断で放置するのは危険です。症状を放置すると慢性化や重症化する恐れがあるため、気になる症状が少しでもあれば、医療機関を受診しましょう。 冷え性との違いはありますか? 冷え性は気温の低下や血行不良によって起こる一時的な状態で、温めると改善しやすい特徴があります。一方、冷えていないのに冷たく感じる症状は、神経の異常による感覚の誤認である可能性が高いため、温めても改善しないことが多いです。 改善しない原因不明の冷感は、冷え性ではなく神経障害や病気の可能性があるため、医療機関への受診をおすすめします。 病院に行くほどではないと思っても受診すべきですか? 病院に行くほどの症状でなくとも、医療機関への受診をおすすめします。軽度だと感じていても神経系の病が徐々に進行している可能性があるため、自己判断はせず、医師の診断を受けるようにしましょう。 何科に相談すれば良いですか? まずは内科または神経内科の受診をおすすめします。医師に症状をできるだけ具体的に伝えることで、適切な診療科に案内してもらえる場合があります。 参考文献 (文献1) Kinanah Yaseen, et al.(2024).Mixed Connective Tissue Disease (MCTD).MSD MANUAL consumer Version https://www.msdmanuals.com/home/bone-joint-and-muscle-disorders/systemic-rheumatic-diseases/mixed-connective-tissue-disease-mctd?query=%E6%B7%B7%E5%90%88%E6%80%A7%E7%B5%90%E5%90%88%E7%B5%84%E7%B9%94%E7%97%85(Accessed: 2025-04-11) (文献2) Koon K. Teo, et al.(2023).Raynaud Syndrome.MSD MANUAL consumer Version https://www.msdmanuals.com/home/heart-and-blood-vessel-disorders/peripheral-arterial-disease/raynaud-syndrome(Accessed: 2025-04-11) (文献3) 日本自律神経学会総会 「冷え性と自律神経」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/ans/60/2/60_71/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年4月11日) (文献4) Erika F. Brutsaert, et al.(2023).Diabetes Mellitus (DM).MSD MANUAL Professional Version https://www.msdmanuals.com/professional/endocrine-and-metabolic-disorders/diabetes-mellitus-and-disorders-of-carbohydrate-metabolism/diabetes-mellitus-dm(Accessed: 2025-04-11) (文献5) Erika F. Brutsaert, et al.(2023).Diabetes Mellitus (DM).MSD MANUAL consumer Version https://www.msdmanuals.com/home/hormonal-and-metabolic-disorders/diabetes-mellitus-dm-and-disorders-of-blood-sugar-metabolism/diabetes-mellitus-dm(Accessed: 2025-04-11) (文献6) 橋本法修ほか「両下肢灼熱感に対し支持的精神療法が有効であった 身体症状症の 1 症例」『日本ペインクリニック学会誌』, pp.1-4, 2023年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspc/27/4/27_20-0002/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年4月11日) (文献7) 花澤 寿.「ポリヴェーガル理論からみた精神療法について」『千葉大学教育学部研究紀要』, pp.1-9, 2019年 https://opac.ll.chiba-u.jp/da/curator/106084/S13482084-67-P329.pdf(最終アクセス:2025年4月11日) (文献8) 公益社団法人 日本精神神経学会「日本精神神経学会 精神療法委員会に「精神療法について」を訊く」公益社団法人 日本精神神経学会, 2021年7月20日 https://www.jspn.or.jp/modules/forpublic/index.php?content_id=58(最終アクセス:2025年4月11日)
2025.04.30 -
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ロコモティブシンドロームとは、移動機能が低下した状態です。認知は低く、どのような状態か理解していない方も珍しくありません。しかし、ロコモティブシンドロームが進行すると介護リスクが高まるため早期改善が大切です。 本記事では、ロコモティブシンドロームとはどのような状態か、症状や原因をわかりやすく解説します。理解しておくべき理由もまとめているので、ロコモティブシンドロームについて知識を深めたい方は参考にしてください。 ロコモティブシンドロームとは簡単にいうと移動機能が低下した状態 ロコモティブシンドロームとは身体運動に関わる骨や関節、筋肉などの運動器の障害により、移動機能が低下した状態で「ロコモ」とも略されます。2007年9月に日本整形外科学会が提唱した症候群で、ロコモティブシンドロームにより、要介護や寝たきりになるリスクが高まります。 なお、ロコモティブは移動を意味する英語の「locomotive」が語源です。日常生活に支障がなくても、ロコモティブシンドロームを発症していたり進行していたりする可能性があるため、知識を深めて適切な治療を受けましょう。 ロコモティブシンドロームの主な症状 ロコモティブシンドロームの主な症状は、以下のとおりです。 立ったり歩いたりするのがしんどい 階段の上り下りがつらい 関節や筋肉が痛い 身体のバランスが上手くとれない 関節の動きに違和感が生じやすい 一般的に、ロコモティブシンドロームは下半身の筋力低下や関節の痛みからはじまります。 階段を利用する際に、手すりがないと大変、もしくは片足で靴下が履けないといった場合はロコモティブシンドロームの可能性が考えられます。関節や筋肉に関する症状が見られた場合はロコモティブシンドロームの疑いがあるため、専門機関に相談してみましょう。 ロコモティブシンドロームの主な原因 ロコモティブシンドロームの原因は、運動器の病気や衰え、痛みなどが挙げられます。主な原因は、以下のとおりです。 加齢による筋力・バランス低下 変形性関節症や脊柱管狭窄症、骨粗しょう症などの運動器疾患 運動不足 肥満や痩せすぎ 過度なスポーツ 不調の放置(腰や膝など) ロコモティブシンドロームは、加齢が原因で発症しやすいですが、なかでも体幹や下肢筋力の低下によって起こります。また、加齢だけでなく、スポーツによる負担もロコモティブシンドロームの原因といえます。 予防策には、運動器疾患や腰・膝などの不調を放置せず、適切な治療を受けることが大切です。 なお、リペアセルクリニックではロコモティブシンドロームの原因となる変形性関節症の治療法となる再生医療を行っています。 メール相談やオンラインカウンセリングも受け付けておりますので、治療法について知りたい方はお気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ ロコモティブシンドロームについて理解を深める重要性 ロコモティブシンドロームは、進行しないよう対策を講じるのが大切です。理解を深めるのが重要といわれる理由は、以下の4つです。 進行すると介護のリスクが高まる 運動機能障害が要介護の原因とされている フレイルと深く関係している 健康寿命を延ばすにはロコモ対策が重要になる 進行によるリスクが知りたい方は、参考にしてください。 進行すると介護のリスクが高まる ロコモティブシンドロームが進行すると、歩行障害が起こり介護のリスクが高まります。進行の流れは、以下のとおりです。 加齢やスポーツ、肥満などによる膝や関節へ負荷がかかる 炎症やしびれ、痛みにより運動機能が衰える 運動や日常動作の制限により、症状が進行する 歩行をはじめとする自立した日常生活を送ることが困難になる 要介護認定や寝たきりになる 運動器は、骨や筋肉、観察など各部位が連動して成り立っています。そのため、いずれかの部位が1つでも悪くなると身体が上手く動かず、日常生活に影響を及ぼします。運動器の健康度が悪化し、日常生活の自立度が低下すると介護のリスクが高まるため注意しましょう。 運動機能障害が要介護の原因とされている 関節疾患や骨折、転倒などの運動機能障害は要介護の原因となるため、ロコモティブシンドロームの予防が重要です。 「令和3年版高齢社会白書」によると、65歳以上の人が介護を必要とする主な原因として運動機能障害が約2割を占めています。 出典:内閣府|2 健康・福祉|令和3年版高齢社会白書(全体版) 介護の原因には認知症や脳血管疾患だけでなく、運動機能障害も挙げられます。なお、運動機能が原因で介護が必要になったのは、男性より女性の方が多い傾向です。女性は加齢に伴い、ロコモティブシンドロームの予防がとくに必要になります。 フレイルと深く関係している ロコモティブシンドロームは、フレイルに相当する段階となるため注意が必要です。フレイルとは加齢に伴い、心身の活力が低下し、健康と要介護の中間的な状態をいいます。 一般的にロコモティブシンドロームは、3つの段階に分類されます。 段階 状態 ロコモ度1 移動機能の低下がはじまった状態 ロコモ度2 移動機能の低下が進行した状態 ロコモ度3 移動機能の低下により社会参加に支障をきたしている状態 身体的や精神的、認知的など、フレイルの種類はさまざまです。ロコモ度3は、骨格筋などの運動器がもろくなった状態の身体的フレイルに該当するため、進行しないよう対策しましょう。 健康寿命を延ばすにはロコモ対策が重要になる ロコモティブシンドローム対策は、健康寿命を延ばすきっかけにつながります。健康寿命とは、自立した生活ができる期間のことです。 平均寿命と健康寿命の差は健康ではない期間を意味するため、要支援や介護状態をいいます。日本における健康寿命の差は、男性が8.49年、女性は11.63年です。(文献1) つまり、10年前後は自立した生活を送れていない状態になるため、平均寿命と健康寿命の差を縮める必要があります。ロコモティブシンドロームの進行は健康寿命を短くする要因となるため、自立した生活を送れるよう関節や筋肉など運動器を鍛えることが重要です。 日本におけるロコモティブシンドローム罹患数の割合 日本におけるロコモティブシンドローム罹患数は、4,700万人ほどです。つまり、日本人の約4割が発症していると考えられます。 罹患数は少ないとはいえないものの、認知度は低い傾向にあります。介護リスクを高めないためには、認知度を向上させることが大切です。 認知向上策として、日本ではロコモティブシンドロームサポートドクター認定制度の運用をはじめました。また「ロコモティブシンドローム 診療ガイド2021」の出版などを展開し、認知拡大を図っています。 ロコモティブシンドロームを進行させない改善策 ロコモティブシンドロームを進行させないためには、改善に向けた取り組みの実施が重要です。主な改善策は、以下の3つです。 運動機能の衰えをチェックする 早期に予防策をとる 医療機関を受診する 改善策を解説するので、予防法が知りたい方は参考にしてください。 運動機能の衰えをチェックする ロコモティブシンドロームを進行させないためには、自身の運動機能の衰えをチェックし、把握しておく必要があります。ロコチェックと呼ばれるチェックリストを活用すると、セルフチェックが可能です。 また、ロコモティブシンドロームのチェックには、以下の方法もあります。 立ち上がりテスト 2ステップテスト ロコモ度テスト セルフチェックをもとに自身の状態を把握すると、どのような対策をとるべきか検討できます。 早期に予防策をとる ロコモティブシンドロームを進行させない方法には、早期に予防策をとることが大切です。予防策により、進行抑制が期待できます。 予防には、基本的に運動習慣とバランスの良い食事が重要です。主な予防策には、以下の運動があります。 ロコモーショントレーニング 腰痛の緩和を図れる体操 膝痛の緩和を図れる体操 また、食事面では骨や筋肉をつくる栄養を取り入れることがポイントです。ロコモティブシンドロームの改善策には、カルシウムやたんぱく質、ビタミンDなど栄養を意識した食生活を心がけましょう。 医療機関を受診する ロコモティブシンドロームのセルフチェックで1項目でもチェックがついた場合は、医療機関の受診を検討しましょう。治療法は状態によって異なりますが、進行を改善する方法には、薬物療法や運動療法、手術などがあります。 ロコモティブシンドロームは症状回復が見込まれるため、早期に適切な治療を受けることが重要です。症状を進行させないよう、自身で判断せず医療機関に相談しましょう。 なお、リペアセルクリニックではメール相談やオンラインカウンセリングを受け付けております。ロコモティブシンドロームに関する疑問や悩みをお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ ロコモティブシンドロームとは何か理解を深めて早期対策を図ろう ロコモティブシンドロームとは移動機能が低下した状態で、介護リスクを高める要因になります。日本における認知度は低いものの、日本人の約4割がロコモティブシンドロームを発症しています。 進行させないためには、セルフチェックや予防策の実施が重要です。また、ロコモティブシンドロームは適切な治療により症状回復が期待できます。 症状回復には、医療機関を受診して適切な治療を受けることが大切です。リペアセルクリニックは、ロコモティブシンドロームの原因となる変形性関節症の再生医療を行っているため、改善策の1つとして検討するのもおすすめです。ロコモティブシンドロームとはどのような状態か理解を深めて、早期対策を図りましょう。 参考文献 (文献1) 厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」第4回健康日本21(第三次)推進専門委員会資料2024年 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_47780.html(最終アクセス:2025年4月24日)
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「最近になって足腰の衰えが気になる」「将来寝たきりになるのは避けたい」といった不安を抱えている方もいるでしょう。 ロコモティブシンドロームとは、運動器の障害によって移動機能が低下した状態のことです。ロコモティブシンドロームが進行すると、将来介護を必要とする可能性が高まるため、できるだけ早いうちから予防に努めることが大切です。 今回は、ロコモティブシンドロームの予防法を解説します。運動や体操、食事法など、日常生活で取り入れられる方法をまとめているので、ロコモティブシンドロームの予防に努めたい方は参考にしてください。 ロコモ予防の基本は運動習慣とバランスの良い食事 ロコモティブシンドロームを予防するために重要なのは、運動習慣と栄養バランスの取れた食事です。とくに中高年以降は、加齢とともに筋力や骨密度が自然に低下していきます。この自然な衰えにブレーキをかけるためには、筋肉量や骨量の維持・増加が不可欠です。 運動であれば、筋力や柔軟性、バランス能力を保つトレーニングが効果的です。また、食生活においては、筋肉や骨を強くするための栄養素を摂取する必要があります。 年齢を理由にあきらめるのではなく、今からできることを少しずつ継続していくと、ロコモティブシンドロームの予防につながります。 ロコモティブシンドロームの原因と症状 ロコモティブシンドロームを引き起こす生活習慣や身体的な要因は、以下の通りです。 運動習慣のない生活 肥満や痩せすぎ 活動量の低下(エレベーターや自動車などの利用) 腰や膝などの痛みや痺れの放置 変形性膝関節症・変形性脊椎症・骨粗しょう症などの運動器疾患 過度なスポーツによる怪我や障害 「階段の昇り降りがしんどい」「家の中でもつまずくようになった」といった症状が見られる場合は、ロコモティブシンドロームが進行している可能性があります。 なお、ロコモティブシンドロームは、健康的な体づくりを心がければ、進行を止めたり症状を改善させたりすることも可能です。 ロコモティブシンドロームの予防|運動習慣 ロコモティブシンドロームの予防には、運動習慣が不可欠です。ロコモティブシンドロームの予防に効果的な運動として、主に以下の3つが挙げられます。 ロコモーショントレーニング 腰痛に効く体操 膝痛に効く体操 それぞれ詳しく見ていきましょう。 ロコモーショントレーニング 日本整形外科学会は、元気な足腰を維持するための方法として、「ロコモーショントレーニング(ロコトレ)」を提唱しています。ロコトレの内容は「片脚立ち」と「スクワット」の2つの運動です。 片脚立ち 片脚立ちは、バランス能力を鍛えるためのシンプルなトレーニング方法です。 姿勢をまっすぐにする 床につかない程度に片脚を上げる 左右の脚で1分間ずつを1セットとし、1日に3セットほど取り組みましょう。なお、片脚立ちをする際は、転倒防止のために必ずつかまるものがある場所でおこなってください。支えを必要とする方は、無理をせず、机に手や指を置いて取り組んでも構いません。 スクワット スクワットは、下肢筋力を鍛えるためのトレーニングです。 脚を肩幅に広げて立つ お尻を後ろに引くように、2〜3秒かけてゆっくりと膝を曲げる ゆっくり元に戻る 5〜6回を1セットとして、1日3セットを目安におこないます。また、膝を曲げるときは、膝がつま先より前に出ないように意識してください。 なお、支えが必要な方は、椅子に腰かけ、机に手をついて立ち座りの動作を繰り返すだけでも効果的です。楽にスクワットできる方は、回数やセット数を増やして取り組みましょう。 腰痛に効く体操 ロコモティブシンドロームの予防には、腰痛に効く体操がおすすめです。ここでは、腰痛に効く体操として、「背筋体操」と「腹筋体操」の2つを紹介します。 背筋体操 背筋体操は、うつ伏せの体勢になり、以下のステップでおこないます。 お腹の下に枕を置き、うつ伏せに寝る 背中の筋肉を使って上半身をゆっくりと10cmほど持ち上げる 5〜10秒間キープする 上半身をゆっくりと元の位置に戻す 10回を1セットとして、1日3セットを目安に取り組みましょう。上半身を持ち上げるときは、反動を使わず、背筋を意識しながらゆっくりと動かすことがポイントです。 背筋体操によって腰回りの筋肉が安定すると、上半身の動きがスムーズになります。なお、腰や背中に痛みや違和感を感じる場合は、無理をせず体操を中止してください。 腹筋体操 腹筋体操はお腹周りの筋肉を鍛えるための体操です。 膝を曲げて仰向けに寝る お腹の力を使い、背中を丸めるように頭と両肩をゆっくりと上げる 5〜10秒間キープする 頭と両肩をゆっくりと下ろす 10回を1セットとして、1日3セットを目安におこないます。腹筋が鍛えられると、体幹が安定しやすくなり、バランス感覚を維持できるようになります。 腹筋体操に限らず、トレーニングや体操時には自然な呼吸を意識するのがポイントです。毎日取り組むことでさらなる効果が期待できるものの、体に負担を感じるときは休みながら体操を続けるようにしてください。 膝痛に効く体操 膝痛に効く体操として、大腿四頭筋訓練があります。大腿四頭筋が鍛えられると、脚力の維持・向上が期待でき、膝痛の改善やロコモティブシンドロームの予防につながります。 大腿四頭筋訓練の方法は、以下の通りです。 仰向けに寝る 片脚を軽く曲げ、もう一方の脚は太ももに力を入れて伸ばす 力を入れたまま、10cmの高さまでかかとをゆっくり上げる 5〜10秒キープする かかとをゆっくりと下ろす 左右各10回を1セットとして、1日3セットを目安におこないましょう。脚を持ち上げるときは、反動を使わず、筋肉を使ってゆっくりと動かすことがポイントです。背中や腰への負担を減らせるよう、柔らかいマットや布団の上でおこなうようにしてください。 ロコモティブシンドロームの予防|バランスの良い食事 ロコモティブシンドロームの予防には、運動だけではなく、毎日の食事管理も重要です。丈夫な骨や十分な筋肉量を保つためにも、必要な栄養素を意識的に摂取しましょう。 骨を丈夫にする食事 骨を強くするためには、以下の栄養素をバランス良く摂取する必要があります。 栄養素 主な働き 食材の例 カルシウム 骨をつくる 牛乳、チーズ、小魚 たんぱく質 骨のコラーゲン基質を構成する 肉、魚、卵、大豆製品 ビタミンD カルシウムの吸収を助ける 魚類、きのこ ビタミンK カルシウムの骨への定着を助ける 緑黄色野菜、納豆 食事を通してこれらの栄養素をバランス良く取り入れられると、骨密度の低下を防ぎ、骨折リスクを減らせます。 筋肉をつくる食事 筋肉量や質の維持は、ロコモティブシンドロームの予防に不可欠です。筋肉をつくるためにも、以下の栄養素を意識して摂取しましょう。 栄養素 主な働き 食材の例 たんぱく質 筋肉の材料をつくる 肉、魚、卵、大豆製品 ビタミンD 筋力の低下を防ぐ 魚類、きのこ ビタミンB6 タンパク質の代謝をサポートする 鶏肉、レバー、カツオ、マグロ 炭水化物 筋肉を動かすエネルギー源になる 米、パン、根菜類 脂質 筋肉を動かすエネルギー源になる 油脂類、乳製品、肉、魚 筋肉は鍛えるだけでなく、栄養補給と回復のセットで維持・増強されます。ロコモティブシンドロームを予防するためにも、バランスの良い食事を意識しましょう。 ロコモティブシンドロームの予防|定期検診 定期検診もロコモティブシンドロームの予防に役立ちます。 ロコモティブシンドロームの進行を防ぐためには、早期発見と適切な対応がポイントです。以下のような定期検診を受けることで、移動機能が低下している前兆に気づきやすくなります。 骨密度測定(骨粗しょう症のリスクを早期に把握できる) 筋力測定(握力や下肢筋力といった筋力の低下を客観的に評価できる) 歩行機能テスト(歩行速度やバランス能力などを確認できる) ロコモティブシンドロームの予防として、無理のない範囲で年に1〜2回の定期検診を受けておくことをおすすめします ロコモティブシンドロームのチェック方法 自分の状態を知ることは、ロコモティブシンドロームを予防する第一歩です。セルフチェックをしたり、ロコモ度テストをおこなったりすると、ロコモティブシンドロームかどうかを確認できます。 なお、ロコモティブシンドロームは自覚症状がないまま進行してしまうケースも珍しくありません。以下で、それぞれのチェック方法を解説するので、ぜひ参考にしてください。 7つのセルフチェック項目 ロコモティブシンドロームのセルフチェック項目は、以下の7つです。 片脚立ちで靴下がはけない 家の中でつまずいたりすべったりする 階段を上がるのに手すりが必要である 家のやや重い仕事が困難である(掃除機の使用・布団の上げ下ろしなど) 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である 15分くらい続けて歩けない 横断歩道を青信号で渡りきれない 日常動作における困難さを確認し、1つでも該当する項目があれば、ロコモティブシンドロームが疑われます。 ロコモ度テスト ロコモティブシンドロームが疑われる場合は、ロコモ度テストの実施がおすすめです。ロコモ度テストは以下の3つで構成されており、移動機能の低下がどの程度進行しているかを確認できます。 立ち上がりテスト 2ステップテスト ロコモ25 ロコモ度テストは、医療機関や自治体の健康診断などでも実施されています。ロコモティブシンドロームに該当するかどうか気になる方は、専門家の指導のもとでテストを受けてみると良いでしょう。 ロコモティブシンドロームの改善方法 運動器の痛みや衰えなど、ロコモティブシンドロームの要因はさまざまです。複数の要因がつながったり重なったりするとロコモティブシンドロームになり、症状が進行すると普段の生活に支障をきたします。 ロコモティブシンドロームの予防・改善方法は、運動や食事以外にも、投薬や手術などがあります。諸要因に対する主な改善方法は、以下の通りです。 痛み・痺れ 運動・投薬・手術 関節可動域制限 運動・手術 柔軟性低下 運動 姿勢変化 運動・手術 筋力低下・麻痺 運動・栄養・手術 バランス能力低下 運動 なお、リペアセルクリニックでは、ロコモティブシンドロームの原因となる運動器疾患に対する再生医療をおこなっています。メール相談やオンラインカウンセリングも実施しているので、ぜひ気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 運動習慣とバランスの良い食事でロコモの予防に努めよう ロコモティブシンドロームは予防できます。ロコモティブシンドロームは運動器の疾患や衰えだけではなく、運動不足や栄養の偏りといった生活習慣による影響が大きく、健康な体づくりが予防につながります。 無理のない範囲で日頃からロコモーショントレーニングや簡単な体操を取り入れると、筋力や柔軟性が高まり、移動機能の低下を防げます。また、筋肉量や骨量を維持するためには、バランスの良い食事も不可欠です。 ロコモティブシンドロームの予防で大切なのは、無理せずできることから取り組むことです。将来介護が必要になるリスクを少しでも減らせるよう、適度な運動習慣とバランスの良い食事を心がけましょう。
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「最近つまずきやすくなった」「階段の昇り降りがつらい」など、日常生活で移動機能の低下を感じるようになったら、ロコモティブシンドロームが疑われます。ロコモティブシンドロームとは、加齢や病気によって骨や関節、筋肉といった運動器の機能が低下し、立つ・歩くなどの移動能力が衰える状態のことです。 今回は、ロコモティブシンドロームの診断に役立つチェック方法を解説します。ロコモ度テストと呼ばれる方法や判定基準をまとめているので、ぜひ参考にしてください。 ロコモティブシンドロームのセルフチェック7項目 ロコモティブシンドロームを疑う場合は、まずセルフチェックを実施しましょう。以下の7項目のうち、1つでも該当する場合はロコモティブシンドロームが疑われます。(文献1) 片脚立ちで靴下がはけない 家の中でつまずいたりすべったりする 階段を上がるのに手すりが必要である 家のやや重い仕事が困難である(掃除機の使用・布団の上げ下ろしなど) 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である 15分くらい続けて歩けない 横断歩道を青信号で渡りきれない ロコモティブシンドロームと一言でいっても、症状や程度は人それぞれで異なります。なお、ロコモティブシンドロームが疑われる場合は、医師の指導のもと予防や治療をおこなうことが一般的です。 ロコモ度テストによるチェック方法と3段階の判定基準 ロコモティブシンドロームのリスクをより詳しく評価するためには、「ロコモ度テスト」と呼ばれる以下の身体機能検査を実施します。 立ち上がりテスト 2ステップテスト ロコモ25 ロコモ度テストとは、日本整形外科学会が提唱するチェック方法で、それぞれの結果に基づき、進行度合いを3段階で評価します。(文献2) ロコモ度の判定基準 ロコモ度1 移動機能の低下が始まっている状態 ロコモ度2 移動機能の低下が進行している状態 ロコモ度3 移動機能の低下によって、日常生活に支障をきたしている状態 自覚症状がない場合でも、ロコモ度テストによってリスクの早期発見が可能です。 【ロコモ度テスト1】立ち上がりテスト 立ち上がりテストは、太ももを中心とした下肢の筋力を評価する検査です。10〜40cmまでの高さが異なる台を用意し、座った状態からの立ち上がり方法を確認します。 立ち上がりテストのチェック方法 立ち上がりテストは、両脚または片脚で実施します。まずは40cmの台に座って両脚テストを始めましょう。テスト中は無理をせず、膝に痛みを感じる場合は中止してください。 両脚テスト 立ち上がりテストは、まず40cmの台を使って両脚でおこないます。 両腕を組んで台に腰掛ける 反動をつけずに立ち上がる そのまま3秒間キープする 台に腰掛ける際は、両脚を肩幅に広げ、床に対して脛(すね)がおよそ70度(40cmの台の場合)になるようにします。なお、反動をつけると後方に転倒する恐れがある点に注意してください。 片脚テスト 40cmの台を使って両脚で問題なく立ち上がれたら、次は片脚テストを実施します。 両腕を組んで台に腰掛け、左右どちらかの脚を上げる(上げた脚は軽く曲げる) 反動をつけずに立ち上がる そのまま3秒間キープする 40cmの台を使って左右どちらの脚でも立ち上がれたら、台の高さを10cmずつ低くし、片脚テストを続けます。なお、40cmの台で片脚テストができなかった場合は、両脚テストに戻り、30cmから10cmずつ低い台に座ってどこまで立ち上がれるかチェックしましょう。 立ち上がりテストによるロコモ度の判定基準 立ち上がりテストによるロコモ度の判定基準は、下表の通りです。 立ち上がりテストによる判定基準 ロコモ度1 どちらか一方の片脚で40cmの台から立ち上がれないが、両脚で20cmの台から立ち上がれる ロコモ度2 両脚で20cmの台から立ち上がれないが、30cmの台から立ち上がれる ロコモ度3 両脚で30cmの台から立ち上がれない 40cmの台を使った片脚テストができた場合、左右とも片脚で立ち上がれた最も低い台がテスト結果です。40cmの台を使った片脚テストができなかった場合は、両脚で立ち上がれた最も低い台を基準に判定します。 各年代別の立ち上がれる台の高さは、20代が片脚20〜30cm、30~60代は片脚40cm、70台なら両脚10cmが目安になります。(文献3) 【ロコモ度テスト2】2ステップテスト 2ステップテストとは、歩幅の広さから下肢の筋力やバランス能力を測る検査です。 2ステップテストのチェック方法 2ステップテストは、以下の方法で値を算出します。 スタート位置を決め、両脚のつま先を合わせる できる限り大股で2歩踏み出し、両脚を揃える 2歩分の歩幅を測る 2回実施し、長いほうの記録を採用する 「2歩幅(cm)÷身長(cm)」の計算式で「2ステップ値」を算出する 2ステップテストは、介助者のもと、滑りにくい床で実施してください。また、無理をせず、バランスを崩さない範囲でおこないましょう。 2ステップテストによるロコモ度の判定基準 2ステップテストによるロコモ度の判定基準は、下表の通りです。 2ステップテストによる判定基準 ロコモ度1 2ステップ値が1.1以上1.3未満 ロコモ度2 2ステップ値が0.9以上1.1未満 ロコモ度3 2ステップ値が0.9未満 なお、2ステップ値は年齢別・性別の平均値が数値化されています。(文献3) 年齢別 男性 女性 20〜29歳 1.73〜1.64 1.68〜1.56 30〜39歳 1.68〜1.61 1.58〜1.51 40〜49歳 1.62〜1.54 1.57〜1.49 50〜59歳 1.61〜1.56 1.55〜1.48 60〜69歳 1.58〜1.53 1.52〜1.45 70〜79歳 1.52〜1.42 1.48〜1.36 ロコモ度に該当していなくても、年齢別の平均値から大きく外れている場合は、将来的にロコモティブシンドロームの状態になるリスクがあると考えられます。 【ロコモ度テスト3】ロコモ25 ロコモ25とは、専用の質問票で自身の身体機能や生活状況について回答し、ロコモ度を自己評価するチェック方法です。 ロコモ25のチェック方法 ロコモ25では、身体の痛みや普段の生活に関する25個の質問が用意されています。以下は主な質問内容です。 頚・肩・腕・手のどこかに痛み(しびれも含む)がありますか 背中・腰・お尻のどこかに痛みがありますか 下肢のどこかに痛み(しびれも含む)がありますか 普段の生活で身体を動かすのはどの程度つらいと感じますか ベッドや寝床から起きたり、横になったりするのはどの程度困難ですか 腰掛けから立ち上がるのはどの程度困難ですか 家の中を歩くのはどの程度困難ですか シャツを着たり脱いだりするのはどの程度困難ですか など 各質問に5段階(0〜4点)で回答し、合計点数を算出します。 全てのチェックリストを確認したい方は、ロコモonlineの「ロコモ度テスト結果記入用紙」をご覧ください。 ロコモ25によるロコモ度の判定基準 ロコモ25によるロコモ度の判定基準は、下表の通りです。 ロコモ25による判定基準 ロコモ度1 7点以上16点未満 ロコモ度2 16点以上24点未満 ロコモ度3 24点以上 「立ち上がりテスト」「2ステップテスト」「ロコモ25」の3つのテスト結果をもとに、ロコモ度を判定します。各テストの結果がどの段階に該当するかチェックし、該当するロコモ度の最も進行している段階が最終的な判定結果となります。 なお、いずれのテストでロコモ度の判定基準に該当しない場合は、現時点でロコモティブシンドロームが疑われる状態ではありません。 ロコモティブシンドロームの3大原因疾患 ロコモティブシンドロームの背景には、加齢に伴う運動器の疾患が関わっています。なかでも、以下の疾患は、ロコモティブシンドロームの3大原因疾患として知られています。(文献4) 変形性膝関節症 変形性腰椎症 骨粗しょう症 変形性膝関節症は膝関節の軟骨がすり減り、関節に炎症や変形が起こる疾患です。歩行時の痛みや階段の昇降困難など、移動機能の低下を直接的に引き起こします。 また、変形性腰椎症は、加齢や長年の負担によって腰の骨に変形やすり減りが生じ、腰痛などの症状を引き起こす疾患です。とくに中高年以降に多くみられ、運動器の老化現象の一つとされています。 骨粗しょう症を発症して骨密度が低下すると、骨折のリスクが高まります。とくに大腿骨や脊椎を骨折してしまうと、歩行困難や寝たきりの原因になりかねません。 いずれの疾患も放置すると症状が悪化し、移動機能の低下を進行させるリスクがあります。ロコモチェックの結果に限らず、普段の生活で気になる症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。 なお、リペアセルクリニックでは、ロコモティブシンドロームの原因疾患にあたる変形性膝関節症や変形性腰椎症に対する再生医療をおこなっています。メール相談やオンラインカウンセリングも実施しているので、ぜひ気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ ロコモティブシンドロームのチェック項目を把握し早期診断につなげよう ロコモティブシンドロームは、移動機能の低下を示す重要なサインです。日常生活において、よくつまずくようになったり、続けて家事をするのがしんどいと感じたりする場合は、ロコモティブシンドロームを疑いましょう。 自覚症状がロコモティブシンドロームに該当するかどうかは、7つのセルフチェック項目や3つのロコモ度テストを用いて判断できます。移動機能低下の進行を遅らせるためには、医師の指導のもと、予防や治療に取り組むと効果的です。 健康的な生活を続けるためにも、定期的にロコモティブシンドロームのチェック項目を確認し、必要に応じて医療機関を受診しましょう。 参考文献 (文献1) 日本整形外科学会「ロコチェック」ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト https://locomo-joa.jp/check/lococheck(最終アクセス:2025年4月17日) (文献2) 日本整形外科学会「ロコモ判定方法」ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト https://locomo-joa.jp/check/judge(最終アクセス:2025年4月17日) (文献3) ロコモチャレンジ!推進協議会ロコモ度テストサーキンググループ調査資料 https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2014/143031/201412014A/201412014A0002.pdf(最終アクセス:2025年4月17日) (文献4) 日本整形外科学会「もっと知ろう!ロコモティブシンドローム」 https://www.joa.or.jp/media/comment/locomo_more.html(最終アクセス:2025年4月17日)
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「足のしびれや自律神経の乱れを感じる」 「足にピリピリ感があり、日常生活に影響をきたしている」 最近、原因不明の足のしびれやピリピリ感はありませんか。日常生活や仕事にも影響が出始めると不安になりますよね。 とくに忙しい毎日を送っていると、足のしびれや自律神経の乱れがストレスによるものではないかと気になることでしょう。 それらの原因不明の症状は、末梢神経障害によるものかもしれません。 本記事では、末梢神経障害の症状とともに以下の内容について解説します。 末梢神経障害の原因 末梢神経障害の治療法 末梢神経障害を再発しないための注意点 末梢神経障害を放置せず、症状と原因を正しく理解し、早めに医療機関を受診しましょう。 末梢神経障害とは 区分 主な症状 感覚神経の障害 しびれ・冷感・灼熱感、感覚の低下、ピリピリ・チクチクする異常感覚 運動神経の障害 筋力低下、筋萎縮、歩行困難、運動機能の低下 自律神経の障害 発汗異常、立ちくらみ・めまい、便秘・下痢、排尿障害、動悸 症状の特徴 手足の先から始まる、左右対称に出る、徐々に進行する (文献1) 末梢神経障害とは、脳や脊髄から枝分かれした神経が傷つき、感覚や運動、自律神経の働きに異常が起きる状態のことを指します。 主に糖尿病やビタミン欠乏、ストレス、生活習慣の乱れなどが原因で引き起こされます。症状を放置すると徐々に進行し、重症化する恐れがあるため、早めに医療機関を受診しましょう。 以下の内容では、末梢神経障害に対してタリージェは効果があるのかを解説しております。 末梢神経障害の症状 症状の種類 概要 足のしびれ・冷感・灼熱感 足先にしびれや冷たさ、焼けつくような感覚が現れる 筋力低下 力が入りにくくなり、歩行時につまずきやすくなる 感覚の異常 触れた感覚が鈍くなる、逆に過敏になる 自律神経に異常をきたす 発汗や血圧、消化・排尿などの機能に影響が出ることがある 末梢神経障害の症状は多岐に渡ります。主な症状は以下の4つです。 足のしびれ・冷感・灼熱感 筋力低下 感覚の異常 自律神経に異常をきたす 少しでも違和感を覚えた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 足のしびれ・冷感・灼熱感 症状 内容の概要 足のしびれ 神経の障害で足の感覚が鈍くなり、しびれが起こる 足の冷感 自律神経の障害により血流が悪化し、冷たく感じる 足の灼熱感 足が焼けるように熱く感じられる 感覚神経がダメージを受けると現れる代表的な症状です。足先や足裏にジンジン、ピリピリといったしびれを感じたり、正座の後のような感覚が続いたりします。 また、実際の温度とは関係なく、足が冷たく感じたり熱く感じたりする症状が現れることもあります。 症状の持続性には個人差がありますが、少しでも違和感を覚えた場合は、医療機関を受診しましょう。 筋力低下 症状 内容の概要 筋肉の萎縮 神経の損傷によって筋肉が細くなり、見た目にも痩せてくることがある 歩行困難 足の筋力が低下し、ふらつきや転倒が起きやすくなる 日常生活動作の困難 手の筋力が弱まり、物をつかむ・ボタンを留めるなど細かな作業がしにくくなる (文献2)(文献3) 運動神経がダメージを受けると、筋肉を動かす指令がうまく伝わらなくなり、筋力が低下します。筋力が低下すると足の場合、スリッパが脱げやすくなったり、つま先が上がらずにつまずきやすくなります。 手の筋力であれば、物を落としやすくなり、私生活に支障をきたすでしょう。進行すると、歩行が不安になったり、物を持つことが困難になったりする可能性があります。 感覚の異常 症状 概要 しびれ(感覚鈍麻) 触れた感覚が鈍くなり、とくに手足の先に出やすい 違和感 焼ける・刺す・電気が走るような違和感など、多様なタイプの症状が現れる 異常感覚(錯感覚) 触れていないのに触れたように感じる 感覚過敏 軽い刺激でも強い不快感を覚える 温度感覚の異常 冷たさ・熱さに対する感覚が鈍くなる、または過敏になる 振動感覚の異常 携帯のバイブレーションなど、小さな振動を感じにくくなる 位置感覚の異常 ふらつきや物にぶつかりやすくなることも (文献4) しびれや冷感・灼熱感以外にも、さまざまな感覚の異常が現れます。 触った感じが鈍くなる感覚鈍麻が起こると、やけどや怪我をしても気づきにくくなることがあります。逆に軽い刺激に対して過敏になるアロディニアと呼ばれる状態になることもあり、症状はさまざまです。 感覚の異常は、QOL(生活の質)を低下させる原因になるだけでなく、症状によっては後遺症が出る可能性があります。 自律神経に異常をきたす 自律神経は、血圧、体温、発汗、消化、排泄など、自分の意思とは関係なく体の機能を調整する神経のことを指します。 具体的な症状としては、起立性低血圧や発汗異常、消化器症状、排尿障害など、全体にさまざまな不調が現れるため、重症化する前に早期発見が必要です。 また、自律神経とストレスの因果関係に関して、現時点で明確なエビデンスがありません。 研究段階ではあるものの、ストレスが末梢神経障害を引き起こす原因であるといわれているため、生活習慣に気をつける必要があります。 末梢神経障害の原因 原因 概要 ストレス 自律神経の乱れが血流や神経機能に影響を与え、感覚異常やしびれを引き起こすことがある 糖尿病(糖尿病性神経障害) 高血糖状態が神経にダメージを与え、しびれや感覚異常、違和感などの症状を引き起こす 過度なアルコール・喫煙 長期的な摂取は神経の栄養不足や血流障害を引き起こし、神経の働きを低下させる ビタミンB12欠乏 免疫異常や遺伝性の神経疾患、ウイルス感染などが神経を攻撃・障害し、末梢神経に異常をきたすことがある 末梢神経障害の原因は、主に糖尿病や過度なアルコール摂取・喫煙など生活習慣から来るものや遺伝的なものといわれています。 これから紹介する内容が当てはまる方は、末梢神経障害を発症させないためにも生活習慣の見直しが必要です。 ストレス性によるもの 要因 概要 自律神経の乱れ ストレスにより交感神経が過剰に働き、血管収縮や筋緊張が起こり、神経への血流が悪化する 炎症反応の促進 ストレスが炎症性物質の分泌を促進し、慢性的な炎症が神経を傷つける可能性がある 違和感の感受性亢進 脳の違和感を汲み取る領域が影響を受け、症状を感じやすくなる 生活習慣の乱れ ストレスが睡眠・食事・運動に影響し、神経への負担や回復力低下を招くことがある 過度な精神的ストレスが、直接的に末梢神経障害を引き起こすエビデンスはありません。 しかし、ストレスは血行不良や免疫機能の低下、睡眠不足などを招き、間接的に神経の健康に影響を与える可能性が指摘されています。 他に明らかな原因がなく、精神的な負荷を感じる時期に症状が悪化するような場合は、ストレスの関与が疑われるでしょう。 精神的な負荷が引き金になり、末梢神経障害を引き起こしている可能性を感じた場合は、ストレス環境から距離を取り、休息を取りましょう。 糖尿病(糖尿病性神経障害) 障害の種類 概要 感覚障害 足先のしびれ、ピリピリするような違和感など 運動障害 足に力が入らない、筋力の低下など 自律神経障害 立ちくらみ、便秘、発汗異常など (文献4) 糖尿病で長期間、血糖値が高い状態が続くと、細い血管がダメージを受けて血流の悪化や、糖代謝の異常によって神経細胞そのものが変性する神経障害が引き起こされます。 足先のしびれや感覚鈍麻から始まることが多く、進行すると筋力低下や自律神経症状も現れ、日常生活に大きな支障をきたします。 糖尿病を患っている方は、とくに足先のしびれや感覚鈍麻の症状に注意が必要です。 過度なアルコール摂取・喫煙 要因 概要 アルコールの毒性 神経細胞に直接ダメージを与え、長期摂取で変性や破壊を引き起こす ビタミンB群の欠乏 吸収阻害により神経の維持に必要な栄養素が不足し、障害リスクが高まる 肝機能障害 栄養代謝が妨げられ、神経細胞に必要な成分の供給が不足する 血管収縮・血流低下 ニコチンが血管を収縮させ、神経への酸素・栄養供給が不足し機能が低下する 酸化ストレス増加 神経細胞が酸化ダメージを受けやすくなり、障害のリスクが上がる 長期間にわたる過度なアルコール摂取は、神経毒性やアルコール代謝に伴う栄養障害により、末梢神経障害を引き起こします。 また、喫煙もニコチンによる血管収縮作用や血行不良を引き起こし、神経への酸素や栄養の供給を妨げるため、末梢神経障害のリスクがあります。 普段からお酒を飲む習慣がある、タバコを普段から吸う方は、末梢神経障害の症状に注意が必要です。 ビタミンB12欠乏症 原因 概要 摂取不足 動物性食品を控えた食事や偏った食生活により、ビタミンB12が不足する 吸収不良 胃や小腸の疾患により、ビタミンB12の吸収がうまくいかなくなる 薬剤の影響 一部の薬(メトホルミン、PPIなど)がビタミンB12の吸収を妨げることがある (文献4) ビタミンB12は、神経細胞の髄鞘を維持したり、神経伝達物質の合成を助けたりする役割があります。 偏った食生活でビタミンBの不足や、胃の切除手術後、特定の胃腸疾患などによってビタミンB12の吸収が妨げられると、欠乏症となり末梢神経障害を引き起こす恐れがあります。 普段から偏った食事や胃腸に疾患を持つ方は、ビタミンB12が不足しないよう工夫しましょう。 自己免疫疾患・遺伝性疾患・感染症 分類 代表疾患 特徴・メカニズム 自己免疫性 ギラン・バレー症候群 感染後に免疫が神経を攻撃すると、急に手足が動かしにくくなることがある CIDP(慢性型) 髄鞘を慢性的に攻撃し、筋力低下やしびれがゆっくり進行する 遺伝性 CMT(シャルコー・マリー・トゥース病) 遺伝子の異常で筋力や感覚に障害が出る、手足の変形を伴うこともある 感染症 帯状疱疹 ウイルスが神経にダメージを与えることで、神経痛が起こる その他(HIV、ライム病など) 神経を直接傷つけたり、免疫を介して障害を起こすことがある (文献5)(文献6)(文献7) 自己免疫疾患である、ギラン・バレー症候群やCIDPは、免疫が誤って末梢神経を攻撃し、障害を引き起こします。 遺伝子異常による家族性ニューロパチーや帯状疱疹後神経障害、ライム病、HIV感染などの感染症も原因となることがあります。 自己免疫疾患が疑われる場合は、専門の医療機関での検査が必要です。 末梢神経障害の治療法 治療法 概要 薬物療法 神経の過敏性を抑える薬(抗てんかん薬、抗うつ薬など)や、違和感の軽減を目的とした薬を使用 栄養療法 ビタミンB群や必要な栄養素を補い、神経の修復や維持をサポート 手術療法 神経の圧迫が原因の場合、圧迫部位を除去・緩和するための手術が行われる 再生医療 幹細胞や再生因子を用いて、傷ついた神経の修復や機能回復をめざす治療法 末梢神経障害の改善には、複数の治療法を組み合わせた適切な治療が必要です。以下で詳しく解説します。 薬物療法 分類 主な薬剤 概要 糖尿病性神経障害 血糖コントロール薬(メトホルミンなど) 血糖値を管理し、神経への負担を軽減 メコバラミン(ビタミンB12製剤) 神経の修復や維持に必要なビタミンB12を補う 自己免疫性神経障害 免疫グロブリン製剤、ステロイド薬 自己免疫による神経の炎症を抑える 免疫抑制薬(アザチオプリンなど) 免疫の過剰な働きを抑制し、神経への攻撃を防ぐ ビタミン欠乏性神経障害 ビタミンB1、B12、葉酸など 不足しているビタミンを補い、神経の機能回復を促す 症状に対する治療薬 プレガバリン、ガバペンチン、デュロキセチン 神経の興奮を抑え、しびれや神経障害性疼痛を緩和 抗けいれん薬(カルバマゼピンなど) 神経の過剰な信号を抑え、不快感を軽減 (文献8) 症状緩和を目的とし、しびれや不快な感覚を抑える薬が用いられます。 末梢神経障害の症状によって処方される薬剤が異なり、服用は医師の指示に従いながら服用し、自己判断で量を増減させたり中止したりしてはいけません。 薬剤の服用でも改善が見込めない場合や副作用が出た場合は、医師に相談しましょう。 栄養療法 栄養素 主な役割 多く含まれる食品例 ビタミンB群 神経の修復・機能維持 豚肉、レバー、魚、卵、緑黄色野菜 タンパク質 神経や筋肉の材料となる 肉、魚、大豆製品、卵 食物繊維 血糖コントロールや便通の改善 野菜、果物、海藻、きのこ類 抗酸化物質 神経の酸化ストレスを軽減・保護 緑黄色野菜、果物、ナッツ類 ビタミンB12 神経の構造維持・修復に関与 レバー、貝類、魚、乳製品 シスチン・テアニン 疼痛の緩和に関与するとされるアミノ酸 肉類、魚介類、玉ねぎ、緑茶(※食品によって含有量に差) (文献9) 末梢神経障害では、ビタミンB群(B1、B6、B12など)の補給が大切です。医師や管理栄養士の指導のもと、個々の状態に合わせた栄養管理を行います。 栄養療法を行う場合は、医師の指導に従い、偏った栄養補充は行わないようにしましょう。 手術療法 項目 概要 目的 神経の圧迫除去、損傷した神経の修復 代表的手術 神経剥離術、神経縫合・移植術、脊椎手術、胸郭出口症候群手術 メリット 薬やリハビリで改善しない症状の改善、根本原因の除去が可能 デメリット 手術リスクあり(感染・出血など)、術後リハビリが必要な場合もある、手術が適応外の場合もある 手術の適応例 圧迫や損傷が明確、重度の麻痺、薬剤療法などで症状が改善しない場合 症状が改善しない場合、その圧迫を取り除くための手術が選択肢に入ります。手術療法では、神経圧迫の除去や、神経の修復などが行われます。 手術が適応となるケースは限定的であり、術後もリハビリや後遺症が出る可能性もあるため、患者と医師の慎重な判断が必要です。 再生医療 損傷した神経細胞や組織の修復・再生を目指す再生医療は、末梢神経障害に対して、有効な治療法です。再生医療では、骨髄や脂肪から採取した幹細胞を損傷した神経組織に移植し、症状の改善を目指します。 薬剤療法で起こりうる副作用や、手術を必要としないのが魅力です。 再生医療については、以下の記事で解説しております。 末梢神経障害を再発しないための注意点 注意点 概要 血糖のコントロール 高血糖を防ぐことで、神経へのダメージを抑える ビタミンB群と栄養バランス 神経の修復・維持に必要な栄養素を不足なく摂取する アルコール・喫煙を控える 神経への直接的ダメージや血流悪化を防ぐ 適度な運動 血流促進・筋力維持により神経の機能を保つ ストレス管理・良質な睡眠 自律神経のバランスを整え、神経への負担を軽減する 末梢神経障害の治療後や、症状を悪化させないためには、原因への対処を継続するとともに、神経に負担をかけない生活習慣を心がけることが重要です。 末梢神経障害が再発しないための注意点を解説します。 血糖のコントロールを徹底する 方法 内容の概要 食事療法 バランスよく規則正しく食べる、食物繊維・低GI食品を積極的に摂取する 運動療法 有酸素運動(例:ウォーキング、水泳)を無理なく継続する 薬物療法 医師の指示で血糖降下薬を服用 定期検査 血糖値やHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)を定期的に測定 糖尿病性神経障害の予防・進行抑制において重要なのは、血糖値を良好な範囲に維持することです。 医師の指示に従い、食事療法、運動療法、必要であれば薬物療法を継続し、定期的に血糖値をチェックしましょう。 継続的な血糖コントロールは、末梢神経障害の再発予防だけでなく、糖尿病との合併症などへの予防にもつながります。 ビタミンB群の摂取と栄養バランスを整える ビタミン 主な働き 不足時のリスク B1(チアミン) 糖質をエネルギーに変換、神経細胞のエネルギー源を供給 神経の炎症など B6(ピリドキシン) 神経伝達物質の合成、神経の興奮を抑制 しびれの発生など B12(コバラミン) 神経細胞の修復・再生をサポート 神経の変性・破壊、重度な神経障害のリスク ビタミンB群(とくにB1、B6、B12)は神経の機能維持に重要な役割を果たします。これらのビタミンを多く含む食品(豚肉、レバー、魚介類、豆類、緑黄色野菜など)を意識的に摂取しましょう。 特定の栄養素に偏った食事ではなく、全体的な栄養バランスが取れた食事を心がけることが大切です。 アルコール摂取と喫煙を控える アルコールは神経に直接的なダメージを与える可能性があります。喫煙は血行を悪化させ神経への栄養供給を妨げます。神経の健康を維持するためには、できる限りアルコール摂取を控え(節酒)、禁煙が大切です。 末梢神経障害の予防と症状改善のためにも、神経細胞を傷つける過度のアルコール摂取や、血管を収縮させるタバコは控えましょう。 適度な運動を日常に取り入れる 運動による効果 概要 血行促進 神経に酸素と栄養を届け、機能低下を防ぐ 筋力維持 筋力低下を防ぎ、神経への負担を軽減 血糖コントロール 血糖値を安定させ、神経へのダメージを軽減 ストレス軽減・自律神経調整 ストレスを和らげ、自律神経のバランスを整える 神経再生の促進 神経成長因子(NGF)の産生を促し、神経の修復や再生を助ける ウォーキングや軽いジョギング、ストレッチなどの適度な運動は、血行を促進し、神経への酸素や栄養の供給を改善する効果が期待できます。 運動を行う場合は、怪我に注意し、無理のない範囲で行うことが大切です。運動の内容は、医師の指示に従うようにしましょう。 ストレス管理や睡眠の質を高める 項目 主な方法 ストレス管理 リラックス時間の確保(入浴・音楽など)、適度な運動、専門家への相談 睡眠の質向上 規則正しい生活リズム、寝る前のスマホ・カフェイン・アルコールを避ける 過度なストレスや睡眠不足は、自律神経の乱れを招き、血行や免疫力を低下させ、神経症状を悪化させる原因になります。 趣味や入浴、瞑想など、自分に合った方法でリラックスし、ストレスをため込まないことが大切です。 規則正しい生活と十分な睡眠で、神経の修復を促しましょう。 末梢神経障害の症状がある方は早めに医療機関を受診しよう 足のしびれや感覚の異常、力の入りにくさなど、末梢神経障害を疑う症状がある場合は、自己判断せずに早めに医療機関を受診しましょう。 末梢神経障害は放置すると症状が進行し、悪化する恐れがあります。 少しでも末梢神経障害の疑いのある方は当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。「再生医療」で末梢神経障害の改善を促します。 末梢神経障害の症状でお悩みの方は、「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にお問い合わせください。 参考記事 (文献1) 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「末梢神経障害」 https://www.pmda.go.jp/files/000145962.pdf(最終アクセス:2025年4月9日) (文献2) Michael C. Levin, et al.(2023)Weakness.MSD MANUAL Professional Version https://www.msdmanuals.com/professional/neurologic-disorders/symptoms-of-neurologic-disorders/weakness (Accessed: 2024-04-09) (文献3) Michael Rubin, et al. (2022).Peripheral Neuropathy.MSD MANUAL Professional Version https://www.msdmanuals.com/professional/neurologic-disorders/peripheral-nervous-system-and-motor-unit-disorders/peripheral-neuropathy (Accessed: 2024-04-09) (文献4) Larry E. Johnson, et al. (2024). Vitamin B12 Deficiency.MSD MANUAL Consumer Version https://www.msdmanuals.com/home/disorders-of-nutrition/vitamins/vitamin-b12-deficiency (Accessed: 2024-04-09) (文献5) Michael Rubin, et al. (2024). Guillain-Barré Syndrome (GBS).MSD MANUAL Consumer Version https://www.msdmanuals.com/home/brain-spinal-cord-and-nerve-disorders/peripheral-nerve-and-related-disorders/guillain-barr%C3%A9-syndrome-gbs(Accessed: 2024-04-09) (文献6) Michael Rubin,et al. (2022). Charcot-Marie-Tooth Disease.MSD MANUAL Consumer Version https://www.msdmanuals.com/home/brain-spinal-cord-and-nerve-disorders/peripheral-nerve-and-related-disorders/charcot-marie-tooth-disease(Accessed: 2024-04-09) (文献7) Kenneth M. Kaye, et al. (2023). Shingles.MSD MANUAL Consumer Version https://www.msdmanuals.com/home/infections/herpesvirus-infections/shingles(Accessed: 2024-04-09) (文献8) ガン科学療法を受ける患者さんへ末梢神経障害『東邦大学医療センター薬学部』, pp.1-2, 2020年 https://www.sakura.med.toho-u.ac.jp/sinryoka/yakuzai/ue7s91000000a3px-att/massyousinnkeisyougai.pdf(最終アクセス:2025年4月9日) (文献9) 木田 耕太「神経疾患における栄養療法,その基礎知識」, pp.1-5, 2020年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnt/39/1/39_8/_pdf(最終アクセス:2025年4月9日)
2025.04.30 -
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「電気が走るような違和感に悩まされている」 「違和感のせいで日常生活に支障をきたしている」 神経障害性疼痛の症状は、身体に電気が走るような違和感が特徴です。神経障害性疼痛への対処法に悩んでいる方は少なくありません。 しかし、神経障害性疼痛は、適切な薬である程度改善が見込めます。本記事では、以下について詳しく解説します。 神経障害性疼痛とはどんな症状なのか 神経障害性疼痛は市販の薬や漢方薬では治らない理由 神経障害性疼痛の治療で使用される薬剤一覧 神経障害性疼痛薬を処方する際の注意点 神経障害性疼痛薬以外の治療法 最後には神経障害性疼痛薬についての質問をまとめておりますので、最後まで読み進めていただければ幸いです。 神経障害性疼痛とは 項目 内容 症状(違和感の特徴) 焼けるような感覚、刺すような感覚、電気が走るような感覚、触れただけで激しい感覚(アロディニア)など 原因 脊髄損傷や脳卒中などの中枢神経の障害、糖尿病や帯状疱疹による末梢神経の損傷、手術や外傷による神経損傷など 種類 脳や脊髄などの中枢神経の障害、末梢神経の障害など (文献1) 神経障害性疼痛は、神経系の損傷や機能異常によって生じる慢性的な違和感を指します。神経障害性疼痛の原因はさまざまで糖尿病、帯状疱疹、椎間板ヘルニア、多発性硬化症などが挙げられます。 症状も多岐に渡り、灼熱感、刺すような違和感、しびれ、知覚過敏などが現れるため、市販の薬では効果が薄く、治療には専門的な薬の処方が必要です。 神経障害性疼痛の症状は多岐に渡る上に、脳卒中などの重大な病気のサインである可能性も高いため、少しでも違和感を覚えたら、早めに医療機関を受診しましょう。 神経障害性疼痛は市販の薬や漢方薬では治らない 神経障害性疼痛は、神経系の損傷や機能異常が原因であるため、市販の鎮痛薬や漢方薬では根本的な治療につながりません。 市販の鎮痛薬(NSAIDsなど)は神経障害性疼痛に対して効果が限定的で、一時的な症状緩和に役立つ場合もありますが、神経系の損傷や機能異常に直接作用しません。 また、漢方薬は一部で用いられることはあるものの、科学的根拠に乏しく、十分なエビデンスがありません。 厚生労働省の資料においても、神経障害性疼痛の症状に対しては、市販の薬や漢方薬ではなく、神経障害性疼痛に対して処方薬が推奨されています。(文献2) 神経障害性疼痛の治療には、専門医による適切な診断と、病態に合わせた薬物療法やその他の治療が必要です。自己判断での薬の服用は避け、医師の診断に従うようにしましょう。 以下の記事では痛み止めについて紹介しています。市販の鎮痛薬の効果は一時的なものであることを念頭に入れた上でお読みいただければ幸いです。 神経障害性疼痛の治療で使用される薬剤一覧 神経障害性疼痛の治療で使用される主な薬剤は以下の5つです。 以下はすべて医療機関で処方される薬剤です。薬剤は医師の指示に従い、服用するようにしましょう。 プレガバリン(リリカ) デュロキセチン(サインバルタ) 三環系抗うつ薬(アミトリプチリンなど) カルバマゼピン(テグレトール) トラマドール(トラマール、トラムセット) 各薬剤の特徴・効果・副作用について解説します。 プレガバリン(リリカ) 項目 内容 薬剤の特徴 神経の過剰な興奮を抑制 効果 持続する神経痛の軽減、睡眠の質の改善 副作用 眠気、めまい、ふらつき、体重増加など 服用時の注意点 医師の指示に従って適切に服用し、自己判断による中止や用量変更は行わない (文献2)(文献3) プレガバリンは、神経の興奮を抑え、違和感を緩和する薬剤です。神経障害性疼痛の症状に有効な薬剤として使用されます。(文献4) 主に糖尿病性神経障害や帯状疱疹後神経痛の治療に使用されます。 副作用としては眠気やめまい、ふらつきが起こる可能性があるため、医師の指示に従い適切に服用しましょう。 デュロキセチン(サインバルタ) 項目 内容 薬剤の特徴 セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)に分類される抗うつ薬。神経障害性疼痛にも有効。 効果 違和感の伝達を抑制する下行性疼痛抑制系を活性化、神経の過敏状態を緩和、慢性的な違和感を軽減 副作用 吐き気、口の渇き、眠気、めまい、便秘、食欲低下など。服用初期に副作用が現れやすいため注意が必要 服用時の注意点 抗うつ薬としての作用もあるため、急な中止は避ける。医師の指示に従って、用量を段階的に調整する (文献5) デュロキセチンは、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)と呼ばれる抗うつ薬の一種であり、脳内および脊髄におけるセロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害します。気分の調整だけでなく、神経障害性疼痛の違和感に対しても有効です。 服用初期に副作用(吐き気や口の渇き、眠気など)が現れる可能性があるため、医師の指示に従い用量を段階的に調整しながら服用しましょう。 三環系抗うつ薬(アミトリプチリンなど) 項目 内容 薬剤の特徴 セロトニンおよびノルアドレナリンの再取り込みを阻害する、神経障害性疼痛の緩和にも使用される 効果 下行性疼痛抑制系を活性化し、違和感の伝達を抑制 副作用 眠気、口渇、便秘、排尿困難、起立性低血圧、体重増加など 服用時の注意点 眠気などの副作用が出やすいため、少量から使用し、医師の指導のもとで用量調整を行うこと 三環系抗うつ薬は、神経障害性疼痛の治療に使用されている薬剤です。主にうつ病の治療薬として用いられますが、神経障害性疼痛の緩和にも効果があります。 三環系抗うつ薬は神経伝達物質の働きを調整し、神経障害性疼痛の症状を和らげます。 眠気などの副作用がでやすいため、医師の指導のもと少量から使用し、自己判断での用量調整は行わないようにしましょう。 カルバマゼピン(テグレトール) 項目 内容 薬剤の特徴 主に三叉神経痛などの発作性神経痛に効果あり 効果 発作性の激しい神経痛(とくに三叉神経痛)の抑制、異常な神経の興奮の沈静化による違和感を軽減 副作用 眠気、めまい、ふらつき、吐き気、肝機能障害、低ナトリウム血症、皮疹など 服用時の注意点 服用時の注意点 効果と副作用のバランスに注意。とくに高用量時や併用薬がある場合は、医師の指導のもと慎重な管理が求められる (文献3)(文献6)(文献7) カルバマゼピンは、抗てんかん薬の一種ですが、三叉神経痛などの神経障害性疼痛にも使用されます。 カルバマゼピンは、神経細胞のナトリウムチャネル(細胞膜に存在する膜タンパク質)を遮断し、神経の過剰な興奮を抑制します。 三叉神経痛のような発作性の激しい違和感に効果を発揮するのは、ナトリウムチャネル遮断作用が、異常な神経の興奮を鎮めるためです。(文献6) カルバマゼピンの服用には、医師の指導のもと慎重な管理が求められます。 トラマドール(トラマール、トラムセット) 項目 内容 薬剤の特徴 オピオイド系鎮痛薬の一種であり、中枢神経に作用し、比較的弱いながらも多機能な鎮痛効果を発揮する 効果 μオピオイド受容体への結合による鎮痛作用、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害による違和感の抑制 副作用 吐き気、便秘、眠気、めまい、発汗、依存性のリスクなど。高用量や長期使用では注意が必要 服用時の注意点 オピオイドとしての特性を持つため、依存や副作用への十分な注意が必要 (文献3)(文献6) トラマドール(トラマール、トラムセット)は、オピオイド系の鎮痛薬です。トラマドールは神経障害性疼痛の治療に用いられることがあります。 神経障害性疼痛の症状は、神経の損傷や機能異常によって生じる違和感が特徴です。 トラマドールは、オピオイド受容体への作用とセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害作用の2つの異なるメカニズムを介して神経障害性疼痛の不快感を緩和する効果が期待できます。 吐き気や依存性のリスクがあるため、医師の診断のもと服薬するのが基本です。 神経障害性疼痛薬を処方する際の注意点 神経障害性疼痛薬の処方には、いくつかの注意点があります。 神経障害性疼痛薬には副作用があるため、これから紹介する注意点を守りながら服用しましょう。 診察時に症状について正確に伝える 服薬管理と副作用を理解しておく 身体に異常が出た場合は薬の使用を中止する 神経障害性疼痛薬だけに頼らない 神経障害性疼痛薬の処方で注意すべき点を解説します。 診察時に症状について正確に伝える 伝えるべき情報 医師が得られる情報 治療への影響 違和感の種類 違和感の特徴を把握し、原因となる神経の損傷部位を特定 より適切な診断と、原因に応じた治療計画の策定 違和感の部位 違和感の原因となる神経の損傷部位を特定 原因に応じた適切な薬剤の選択 違和感の程度 治療効果の評価、投与量の調整 治療効果の最大化、副作用の最小化 症状の頻度 治療計画の策定、投与量の調整 患者の生活リズムに合わせた治療計画の策定 症状の変化 治療効果の評価、投与量の調整、生活指導 より効果的な治療の継続、症状の改善 違和感に伴う症状 症状の原因となる神経の損傷部位や程度を特定 原因に応じた適切な治療計画の策定 飲んでいる薬、アレルギー、既往歴 薬剤の選択、副作用のリスク評価 薬剤の選択、副作用のリスク評価 治療への希望や不安 患者の意向を考慮した治療計画の策定、精神的なサポート 患者が納得できる治療の提供 神経障害性疼痛の症状を正確に伝えることで、適切な治療を受けやすくなります。 医師は患者の情報をもとに、原因となる神経の損傷部位を特定し、症状にあった薬剤を処方するため、少しでも気になったことは隠さずに伝えましょう。 また薬剤の服用後は、副作用の有無や変化を伝えることで、より効果的な改善が望みやすくなります。適切な治療を受けるためにも、症状を詳しく伝えることを意識しましょう。 服薬管理と副作用を理解しておく 気を付けるべき項目 内容 服薬管理の徹底 薬は医師の指示どおりに正しく服用、飲み忘れ防止の工夫、服薬の記録をつけておく 副作用への対応 副作用(眠気、めまい、ふらつきなど)を事前に確認、体調の変化があればすぐ医師に相談、副作用を記録しておく 医師との情報共有 症状の変化や副作用を正確に伝える、生活習慣も治療に影響するため共有しておく 治療への姿勢 治療目標を医師と共有し前向きに取り組む、セルフケア(ストレッチ、リラックスなど)も積極的に実践 (文献8) 神経障害性疼痛薬の服用は服薬管理と副作用の理解を深めることが大切です。薬は医師の指示通りに正しく服用し、飲み忘れを防ぐ工夫や服薬の記録をつけましょう。 神経障害性疼痛薬は副作用が出る可能性もあるので、体調の変化に注意し、少しでも気になる症状があればすぐに医師へ相談しましょう。 症状の変化や生活習慣についても医師と共有し、治療目標に向けて前向きに取り組むことで、症状の改善につながります。 身体に異常が出た場合は薬の使用を中止する 気を付けるべき項目 内容 重大な副作用の回避 異常に気づいたらすぐに服用を中止し、医療機関を受診する 副作用に対しての心得 異変があった場合は使用を中止し、医師へ相談する 適切な治療の継続 副作用が出た場合でも、医師に相談し、薬の種類や量の調整を行えば、適切な治療を継続できる可能性がある (文献9) 神経障害性疼痛の薬を使用した際に、発疹やめまい、息苦しさなど身体に異常を感じた場合はすぐに服用を中止し、医師に相談しましょう。 まれに重い副作用が出ることがあり、早い段階で異変に気づくことで、重症化を防げます。 自己判断で薬を飲み続けることは危険ではあるものの、逆に勝手に中止するのも症状の悪化につながる可能性があります。 異常があれば中止と相談を徹底し、適切な治療を続けることが大切です。 神経障害性疼痛薬だけに頼らない 神経障害性疼痛は、神経の損傷や機能異常による複雑な違和感であり、薬だけでは根本的な解決に至らない場合があります。 神経障害性疼痛薬は症状を緩和する役割がある一方、副作用のリスクや効果には個人差があります。(文献2)(文献10) 心理療法、神経ブロック療法など、他の治療法と組み合わせることで、症状の緩和だけでなく、機能回復や生活の質の向上も期待できるでしょう。 他の治療法を行う場合は医師へ症状を正確に伝えつつ、指示に従いながら実践するのが大切です。 神経障害性疼痛薬以外の治療法 治療法 内容 期待できる効果 注意点 神経ブロック療法 違和感の原因となる神経に局所麻酔薬などを注射し、一時的に症状を和らげる 症状の緩和など 効果が一時的な場合もある 理学療法 専門家の指導のもとでストレッチや運動を行い、身体の機能を改善させる 筋力・柔軟性の回復、こわばりの軽減など 無理に動かすと症状が悪化する可能性があるため、医師の指導に従う 手術療法 圧迫されている神経の開放や、異常な神経の伝達を遮断するための手術です 症状の原因を根本から取り除ける可能性がある 手術後の回復などの兼ね合いから、慎重な判断が必要 再生医療 自分の細胞や成長因子を使って、傷ついた神経の回復を促す 神経の回復が望める 現段階では、取り扱っている医療機関が限られているため、事前に相談する必要がある 神経障害性疼痛は薬物療法だけでの完治が困難なため、他の治療法も組み合わせることが重要です。 薬物療法以外の治療法として有効なのは以下の4つです。 神経ブロック療法 理学療法 手術療法 再生治療 治療法について解説します。 神経ブロック療法 神経ブロック療法の種類 注入部位 適応疾患 硬膜外ブロック 脊髄を覆う硬膜の外側 腰痛、坐骨神経痛、帯状疱疹後神経痛など 神経根ブロック 脊髄から枝分かれした神経根の近く 椎間板ヘルニアによる神経根痛など 末梢神経ブロック 末梢神経 手足の神経痛など 星状神経節ブロック 首の付け根にある星状神経節 顔面痛、肩こり、頭痛など トリガーポイント注射 筋肉のコリや違和感があるトリガーポイント 筋筋膜性疼痛症候群など (文献11) 神経ブロック療法は、違和感を伝える神経に麻酔薬などを注射し、伝達を遮断することで症状を和らげる治療法です。硬膜外ブロックやトリガーポイント注射など、症状や部位によってさまざまな治療法があります。 神経ブロック療法の注意点として、効果は一時的な場合が多く、神経損傷、出血、感染などの合併症や、注射部位の痛み、腫れ、発赤、血圧低下、吐き気などの副作用が起こる可能性もあります。 神経ブロック療法は、根本的な治療ではなく、症状の緩和を目的とした対症療法です。そのため、原因疾患に対する治療も並行して行う必要があります。 治療内容と注意点をしっかり理解した上で、医師とよく相談して受けましょう。 理学療法 治療法 内容 効果 注意点 運動療法 ストレッチ、運動 柔軟性向上、血行促進 違和感があった際は、中止する 物理療法 温熱、寒冷、電気刺激 違和感の緩和、炎症抑制 温度や刺激に注意 徒手療法 マッサージ、関節調整 筋肉の緊張緩和 専門技術が必要 感覚再教育 感覚刺激訓練 違和感の改善 根気強く継続 心理療法 認知行動療法、瞑想 違和感の捉え方を改善 専門家が必要 (文献11) 理学療法では、運動やマッサージ、精神のケアを取り入れながら、症状の緩和を目指します。 理学療法では多様な方法で治療を行うため、患者の状態や環境に合わせて適切な方法を選ぶ必要があります。 患者の状態に合わせつつ、個別に組み合わせることで、より高い効果が期待できる治療法です。注意点として、自己判断で行わずに医師の指示に従いながら実践しましょう。 手術療法 手術法 内容 適応疾患 脊髄刺激療法(SCS) 脊髄を電気刺激し、違和感の伝達を抑制 慢性腰痛、CRPS、帯状疱疹後神経痛など 脊髄後根進入部破壊術(DREZ手術) 脊髄後角の神経細胞を破壊し、違和感の伝達を遮断 三叉神経痛、腕神経叢引き抜き損傷後疼痛など 定位脳手術 違和感の伝達に関わる脳の特定部位を刺激または破壊 中枢性疼痛、三叉神経痛など 末梢神経刺激療法(PNS) 末梢神経に電気刺激を与える 特定の末梢神経が原因の神経障害性疼痛 神経剥離術 神経周囲の癒着を剥離し、神経の圧迫を解除 外傷後の神経絞扼障害など (文献11) 手術療法は、薬物療法や神経ブロック療法などで効果が不十分な場合に検討されます。脊髄や末梢神経、脳を電気で刺激するなどの方法があります。 ただし、手術には出血や感染、神経損傷といったリスクが伴う上に、術後新たな違和感が出てくる可能性があるでしょう。 手術の結果には個人差があります。(文献11) 手術療法を実践する場合は、医師と十分に相談し、リスクと効果を理解した上で慎重に判断しましょう。 再生治療 再生医療は、幹細胞などを用いて、損傷した神経の修復や再生を目指す治療法です。神経障害性疼痛は、神経の損傷や機能異常によって生じます。 再生医療は、幹細胞や神経成長因子などを用いて、損傷した神経組織の修復や再生を促すため、長期的な疼痛緩和や機能回復が期待できるでしょう。 薬物療法や手術療法と違い、副作用や後遺症の出るリスクが少ないのが魅力です。 以下の記事では再生治療について詳しく解説しています。 神経障害性疼痛薬で改善しない症状は医療機関へ 神経障害性疼痛にはさまざまな症状があります。神経障害性疼痛の症状の中には、脳卒中などの中枢神経の障害や糖尿病が起因しているものもあります。 そのため、神経障害性疼痛薬で症状が改善しない場合は、重症化する前に医療機関を受診するのが大切です。 少しの違和感でも医療機関を受診したことで、重大な病気を発見できる可能性があります。 神経障害性疼痛薬を飲み続けているのに改善しない症状は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 神経障害性疼痛薬を飲み続けているのに治らない症状でお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にお問い合わせください。 神経障害性疼痛薬についてよくある質問 薬はいつまで飲み続ける必要がありますか? 神経障害性疼痛の症状や進行具合によって異なります。 多くの場合、医師は症状に対して治療計画を立てるため、自己判断で薬の量を増やしたり減らしたり途中で服用をやめるのは厳禁です。(文献12) 薬をいつまで飲み続ける必要があるのか不安を抱えている方は、医師に相談しましょう。 薬の服用中に日常生活で注意すべきことはありますか? 日常生活に関しては、医師の指示に従いましょう。服用管理の徹底や副作用への注意を怠らないことが大切です。 また、治療は薬だけに頼るのではなく、バランスの良い食事や十分な睡眠なども取り入れるようにしましょう。 神経障害性疼痛の薬が効かない場合はどうすれば良いですか 医師に相談し、指示に従いましょう。 薬剤の変更や別の治療法を提案される可能性があるので、処方期間に感じた疑問や悩みを正直に伝えましょう。 参考文献 (文献1) James C. Watson, et al.(2022).Neuropathic Pain.MSD MANUAL consumer Version https://www.msdmanuals.com/home/brain-spinal-cord-and-nerve-disorders/pain/neuropathic-pain (Accessed: 2025-04-07) (文献2) 慢性疼痛治療ガイドライン作成ワーキンググループ「慢性疼痛治療ガイドライン」2018年 https://www.mhlw.go.jp/content/000350363.pdf(最終アクセス:2025年4月7日) (文献3) 「Ⅳ.神経障害性疼痛を呈する疾患」『日本ペインクリニック』,pp.1-34 https://www.jspc.gr.jp/Contents/public/pdf/shi-guide08_12.pdf(最終アクセス:2025年4月7日) (文献4) 「疼痛治療剤(神経障害性疼痛・線維筋痛症)処方箋医薬品注)プレガバリン口腔内崩壊錠」『日本ケミファ株式会社』,pp.1-9, 2024年 https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00068934.pdf(最終アクセス:2025年4月7日) (文献5) Jaberpreet S. Dhaliwal, et al. (2023)Duloxetine, PubMed https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31747213/(最終アクセス:2025年4月7日) (文献6) 「神経障害性疼痛に対する薬剤」『MSD マニュアルプロフェッショナル版』 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/multimedia/table/%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E6%80%A7%E7%96%BC%E7%97%9B%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E8%96%AC%E5%89%A4(最終アクセス:2025年4月7日) (文献7) 「日本ペインクリニック学会誌 三叉神経痛におけるカルバマゼピン療法の現状」J-STAGE, 2019年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspc/26/1/26_17-0032/_html/-char/ja(最終アクセス:2025年4月7日) (文献8) 「神経障害性ガイドライン」, pp.11-39, https://www.jspc.gr.jp/Contents/public/pdf/shi-guide02_08.pdf(最終アクセス:2025年4月7日) (文献9) 厚生労働省「がんの痛みの治療における医療用麻薬の自己管理マニュアル~ 医療従事者の役割~」 https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001245822.pdf(最終アクセス:2025年4月7日) (文献10) 「Ⅱ.神経障害性疼痛の診断と治療」『日本ペインクリニック』,pp.1-13 https://www.jspc.gr.jp/Contents/public/pdf/shi-guide08_10.pdf(最終アクセス:2025年4月7日) (文献11) 「Ⅳ‒B 神経障害性疼痛」『p138-159 治療指針6版 第04章A-B.indd』, pp.1-17, https://www.jspc.gr.jp/Contents/public/pdf/shishin/6-11.pdf(最終アクセス:2025年4月7日) (文献12) 坪谷綾子.「その痛み止め,いつまで続けるか?」pp.1-4, 2023年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/chiikiigaku/37/8/37_45/_pdf/-char/en(最終アクセス:2025年4月7日)
2025.04.30 -
- その他、整形外科疾患
太ももに違和感がある 動けなくなるほどの違和感があった スポーツやトレーニング中に突然、足元に強い違和感はありませんか。 その症状は、肉離れの可能性があります。 肉離れは、スポーツだけでなく、日常生活でも起こりうる症状です。 太ももの肉離れの原因 太ももの肉離れの症状 肉離れの重症度 肉離れのチェックリスト 太ももの肉離れを起こしたときの対処法 肉離れの原因や症状を解説し、発症した場合の対処法も合わせて紹介します。 肉離れは、早期発見で改善できる症状です。ぜひ最後まで読み進めていただければと思います。 太ももの肉離れの原因 原因 説明 チェック項目 急激な動作による筋肉への過度な負荷 ダッシュやジャンプなど、急激な動作で筋肉に大きな力がかかり、筋肉が耐えきれずに損傷してしまう 急なダッシュが多い、ジャンプが多い、急な方向転換が多いなど 筋肉の疲労 運動などで筋肉が疲労している状態で、さらに負荷をかけると、筋肉が損傷しやすくなる 運動する機会が多い、疲労が溜まっていると感じるなど ウォーミングアップ不足 筋肉が温まっていない状態で運動を始めると、筋肉が伸びにくく、損傷しやすくなる ウォーミングアップ不足だと感じるなど 筋肉の柔軟性不足 筋肉が硬いと、急な動作に対応できず、損傷しやすくなる 身体が硬いと感じる、ストレッチ不足だと感じるなど 筋力低下 筋肉が弱いと、大きな力に耐えられず、損傷しやすくなる 運動不足だと感じる、以前より力が弱くなったと感じるなど (文献1) 太ももの肉離れの主な原因は、運動によって引き起こされるものです。 太ももに急激なストレスや、筋肉が硬直した状態での走り込みや、ジャンプが肉離れを引き起こす要因になります。 以下の記事では肉離れの症状について、詳しく解説しています。 急激な動作による筋肉への過度な負荷 原因となる動作 筋肉への負荷 具体例 急なダッシュやストップ 筋肉が急激に伸び縮みし、耐えきれずに損傷する スポーツでの全力疾走、急ブレーキ ジャンプや踏み込み動作 筋肉が強く縮んだり、急激に引き伸ばされたりする バスケットボールのジャンプ、サッカーの着地 方向転換(急な切り返し) 片足に強い力がかかり、筋肉が急激に引き伸ばされる テニスの方向転換、サッカーのドリブル 急な走り込みや、急ブレーキは太ももの肉離れを誘発します。 筋肉疲労や十分な準備運動ができていない状態で、急激な動作を繰り返すと、筋肉が急な衝撃に適応できません。結果、太ももの筋肉が衝撃に耐えられなくなります。 スポーツを行う以上、ある程度の負荷は避けられません。十分な準備運動やウォーミングアップを行い、筋肉への負担を軽減しましょう。 筋肉の疲労 疲労の種類 筋肉の状態 肉離れのリスク エネルギー不足 筋肉を動かすエネルギーが足りない 力が入らず、無理に動かすと筋肉が損傷しやすい 疲労物質の蓄積 筋肉に疲労物質がたまり、動きが鈍くなる 筋肉が硬くなり、急な動作に対応できない 血流の低下 筋肉への酸素や栄養が不足する 筋肉の修復力が低下し、柔軟性も失われる (文献2) 筋肉に疲労が蓄積した状態は、柔軟性が低下し、筋肉組織の損傷を起こします。 エネルギー不足や、疲労物質の蓄積、血流の低下が筋肉の活動を低下させ、肉離れを引き起こす要因になります。 筋肉疲労を起こさないためには、適度な休息や、運動前後のストレッチ・マッサージ、水分補給・栄養摂取を怠らないことが大切です(文献2) ウォーミングアップ不足 ウォーミングアップの役割 ウォーミングアップが不足した状態 肉離れのリスク 筋肉を温める 筋肉が硬く、伸びにくい状態 急な動きに対応できず、筋肉が損傷しやすい 血流を促進する 筋肉への酸素や栄養が不足した状態 筋肉が固くなり、傷つきやすい 神経と筋肉の連携をスムーズにする 脳と筋肉の連携が乱れた状態 必要以上に筋肉へ負荷がかかり、損傷しやすい (文献2) ウォーミングアップは筋肉を温め、血流を促進する効果があります。 また、ウォーミングアップを行うことで、筋肉の硬直状態が解消され、運動で発生する太ももの負荷にも対応できます。 しかし、ウォーミングアップが不十分な状態での運動は、筋肉の収縮や脳と筋肉の連携が乱れてしまい、肉離れを引き起こすリスクが高いです。 運動前に軽いジョギングや、屈伸運動で身体を温めると、筋肉の柔軟性が向上し、肉離れを起こすリスクを減らせます。 筋肉の柔軟性不足 柔軟性 筋肉の状態 肉離れのリスク 柔軟性がある 筋肉が柔らかく、伸びやすい 急な動きにも対応しやすい 柔軟性がない 筋肉が硬く、伸びにくい 急な動きに対応できず、筋肉が損傷しやすい 筋肉の柔軟性が不足すると、急な動きや衝撃に太ももが耐えきれず、肉離れを引き起こす原因になります。(文献3) 筋肉の柔軟性不足は主に、準備運動不足や加齢、筋肉疲労の蓄積によって引き起こされます。 柔軟性不足を解消するために、日頃からストレッチや適度な運動を行い、運動後はマッサージや温浴で、筋肉をケアする習慣を取り入れましょう。 筋力低下 筋力低下の状態 筋肉への影響 肉離れのリスク 筋肉が支えきれない 急な動きや負荷に耐えられず、筋肉が損傷しやすい ダッシュやジャンプで、ピリッとした違和感が発生する 疲れやすい フォームが崩れ、無理な動きをしてしまう 長時間運動で足がもつれ、肉離れを起こしやすい 柔軟性も低下 筋肉が硬くなり、伸びにくくなる 急な動きに対応できず、筋肉が断裂しやすい (文献4) 筋力が低下すると、筋肉が運動時の負荷や、不意に足がもつれてしまった際に、肉離れを引き起こす可能性があります。 筋力低下は、太もも周囲を支える力が失われている状態であり、柔軟性も低い状態です。 筋力低下を防ぐには、日頃から準備運動やクールダウンを怠らないことが大切です。 太ももの肉離れの症状 症状 状態 具体例 激しい違和感に襲われる 突如、太ももに鋭い違和感や衝撃が走る 筋肉が引き裂かれるような感覚 患部の腫れ・内出血 太ももが著しく腫れ上がり、皮膚の下に青黒い変色がある 患部が大きく膨らみ、内側から変色している状態 筋肉が痙攣する 太ももの筋肉が、自らの意志とは無関係に収縮と弛緩を繰り返す 筋肉が断続的に強く握り締められるような状態 患部に熱が籠る 太ももの患部が、周囲の皮膚よりも明らかに高温になる 患部が内部から発熱しているような状態 太ももにいつもと違う違和感があれば、それは肉離れのサインかもしれません。早期発見が、症状の悪化を防ぎます。 太ももの肉離れを発症した時に現れる症状について解説します。 激しい違和感に襲われる 肉離れは、筋肉が切れたり裂けたりし、炎症や内出血で起こる症状です。 断裂の多くは、部分的に起こりますが、まれに筋肉が完全に断裂してしまうケースもあります。 とくに、太ももからブチッと音が聞こえ、違和感で立ち上がれない場合は、肉離れの可能性が高いです。 激しい違和感に襲われ、立てない状態の場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。 患部の腫れ・内出血 肉離れは、患部の腫れや内出血を引き起こします。 筋肉が急激な力で引き伸ばされたり、断裂したりすると、その部分の毛細血管が損傷し、内出血が起こります。 腫れの程度は損傷の大きさや、出血量によりますが、重度の場合だと広範囲にわたって腫れ上がり、内出血の症状も顕著です。 ブチッと異音を耳にし、上記の症状が現れた際は、炎症の進行を防ぎます。 炎症や腫れに対し、応急処置を行ったうえで医療機関を受診しましょう。 筋肉が痙攣する 原因 メカニズム 状態をたとえるなら 損傷部位の保護反応 損傷した筋肉を保護するため、周囲の筋肉が反射的に収縮する 筋肉が、これ以上動かないで!と叫んでいる状態 神経系の影響 筋肉の損傷が周囲の神経を刺激し、異常な信号が送られる 神経が、筋肉を動かせ!と誤った指令を出している状態 電解質バランスの乱れ 激しい運動や発汗により、筋肉の興奮性が高まる 筋肉が過剰反応してしまっている状態 (文献1) 太ももの肉離れが発症すると、筋肉の痙攣が起こります。 筋肉が痙攣する主な理由は、損傷した筋肉が神経系の異常な興奮を引き起こすためです。 筋肉の神経系が興奮すると、異常な信号が神経に伝達され、無意識に痙攣を起こします。 痙攣が頻繁に起こる場合は、運動を中止し、医療機関を受診しましょう。 患部に熱が籠る 肉離れによる炎症の影響で、部分的に温まると、患部に熱が籠った状態になります。 また、損傷した筋繊維や血管から漏れ出した血液が組織内に溜まることで、熱感を引き起こします。 重度の場合、自力での歩行が困難になるため、医療機関の受診が必要です。 肉離れの重症度 重症度 症状 具体例 Ⅰ型(軽症) 軽い違和感、腫れ、内出血 階段の昇り降りで多少、違和感がある程度 Ⅱ型(中等症) 強い違和感、腫れ、内出血、歩行困難 普段の歩行が困難になり、足を引きずった状態になる Ⅲ型(重症) 激しい違和感、広範囲の腫れ・内出血、歩行不能、筋肉の断裂 足に体重をかけられない 太ももの肉離れには、Ⅰ型(軽症)〜Ⅲ型(重症)の段階があります。 Ⅰ型(軽症)であれば、日常生活への大きな支障はありません。ですが、Ⅲ型(重症)になると、手術が必要になるケースもあります。 太ももの肉離れの重症度について、解説します。 Ⅰ型(軽症) 項目 状態 具体例 違和感 軽度の違和感 階段の昇り降りで多少の違和感が程度、日常生活での動作に支障は少ない 腫れ わずかな腫れ 患部を触ると、少し腫れているのがわかる程度 内出血 軽度の内出血 患部に薄い青あざが見られる程度 筋肉の状態 筋肉の損傷は軽微 筋肉の機能はほぼ正常、軽いストレッチで違和感がある 日常生活への影響 ほとんどなし 日常生活に支障はないが、運動は制限される 治療 安静、冷却、圧迫 数日から一週間程度の安静で回復が見込まれる Ⅰ型(軽症)の段階では、日常生活に大きな支障はないものの、運動の制限が必要です。 症状としては、患部に軽い違和感や、わずかな腫れがあります。 内出血も軽度であり、安静や冷却を適切に行えば、一週間程度で回復が見込めます。 以下の記事では、肉離れが軽度の場合について詳しく解説しています。 Ⅱ型(中等症) 項目 状態 具体例 違和感 強いの違和感 歩行時に強い違和感があり、足を引きずる必要がある 腫れ 明らかな腫れ 患部が大きく腫れ上がり、触ると熱を持っている 内出血 広範囲の内出血 患部に広範囲にわたって青黒い変色が見られる 筋肉の状態 筋肉の損傷が広範囲に及ぶ 筋肉の機能が低下し、力を入れることが困難 日常生活への影響 日常生活に支障が出る 普段の動作が制限され、安静が必要 治療 安静、冷却、圧迫、医療機関での治療 一週間以上の安静と、医療機関でのリハビリが必要になる場合がある Ⅱ型(中等症)では、筋繊維の部分的な断裂を伴い、日常生活にも支障をきたします。目立つ腫れが現れ、内出血も広範囲です。 Ⅱ型(中等症)の段階では、筋肉を伸ばしたり縮めたりする運動を行うと、強い違和感があります。 そのため、一週間以上の安静と、医師の指示に従ったリハビリテーションが必要です。 また、Ⅱ型(中等症)は適切な治療を行わないと後遺症が出る可能性があるので、医療機関を受診しましょう。 Ⅲ型(重症) 項目 状態 具体例 違和感 激しい違和感 患部に触れることすら困難なほどの激しい違和感 腫れ 広範囲の著しい腫れ 患部全体が大きく腫れ上がり、変形しているように見える 内出血 広範囲の著しい内出血 患部全体が青黒く変色し、皮下出血が広範囲に及ぶ 筋肉の状態 筋肉の完全断裂 筋肉に明らかなへこみや断裂が見られ、力を入れることが不可能 日常生活への影響 歩行不能 足に体重をかけられず、自力での歩行が不可能 治療 手術の検討が必要 手術による筋肉の修復が必要な場合や、長期のリハビリが必要 Ⅲ型(重症)まで進行すると、激しい違和感や著しい腫れ、内出血を引き起こし、私生活にも大きな支障をきたします。 医療機関の受診だけでなく、症状の進行によっては手術の検討が必要です。また、手術後は医師の指導のもと、長期のリハビリが必要になります。 【チェックリスト】1つでも当てはまったら太ももの肉離れを疑おう! 項目 例 運動中または運動後に太ももに急激な違和感を感じる ダッシュ中に「ピキッ」と音がした、運動後に太ももに急な違和感が走る 太ももの特定の部分を押すと違和感を感じる 太ももの裏側を押すと、ズキッとした違和感がある 太ももに腫れや熱感がある 太ももがいつもより太く感じる、触ると熱がある 「ブチッ」や「バチッ」のような断裂音や感覚があった 運動中に太ももで音がした、何か切れたような感覚があった 太ももに内出血(青あざ)がある 太ももの裏側に青黒いあざができている 太ももの筋肉にへこみや硬い部分がある 太ももの筋肉にへこんだ部分がある、触ると硬いしこりのようなものがある 股関節を伸ばすと違和感を感じる 太ももの前側を伸ばすと、太ももの裏側に違和感がある 歩行や階段の昇り降りがいつも以上に辛い 階段を一段上がるのも辛い、歩くのが困難 安静にしていても、太ももに違和感を感じる 寝ていても太ももがズキズキ痛む 過去に同じ部位で肉離れを起こしたことがある 以前肉離れしたところが、再発した これから紹介する肉離れのチェックリストに1つでも当てはまった場合、太ももの肉離れを疑いましょう。肉離れの早期回復は早期発見が大切です。 太ももの肉離れの症状がわかるチェックリストを紹介します。 運動中または運動後に太ももに急激な違和感を感じる 肉離れは筋肉にストレスや負担がかかることで、違和感を引き起こします。 運動中または、運動後に太ももに普段は感じない、急激な違和感を覚えた場合は肉離れの症状を疑いましょう。 太ももの特定の部分を押すと違和感を感じる 肉離れを起こした筋肉は、炎症を引き起こします。 炎症や断裂、腫れなどが発症し、その部分を押すと違和感があります。 太ももを押したときの違和感は、肉離れを疑いましょう。 太ももに腫れや熱感がある 太ももに腫れや熱感が現れるのも、肉離れの特徴です。肉離れは、筋肉の繊維が部分的または完全に断裂し、発症します。 断裂を引き起こすと、身体は自然治癒を促すために炎症反応を起こし、皮膚に熱感が現れます。 違和感のある箇所だけが、熱感を持つ場合、肉離れの症状を疑いましょう。 「ブチッ」や「バチッ」のような断裂音や感覚があった 肉離れを起こすと、普段耳にしない「ブチッ」や「バチッ」のような異音がします。必ず音が鳴るわけではありませんが、この断裂音は筋膜や筋線維が損傷、断裂した際に起こる音であり、強い違和感に襲われます。 断裂音や違和感が発生した場合は、すぐに運動を中止し、応急処置を行なった後、医療機関を受診しましょう。 太ももに内出血(青あざ)がある 太ももが損傷を起こすと、内出血(青あざ)の症状が現れます。 筋肉が急な力で引き伸ばされ、部分的に断裂すると、筋肉内の毛細血管が損傷します。 症状が軽度であれば、内出血が目立つことはありません。しかし重度の場合、広範囲に渡り、内出血(青あざ)ができます。(文献5) 太ももの筋肉にへこみや硬い部分がある 肉離れを起こした箇所の損傷が大きいと、断裂した部分がへこんで見えることがあります。 へこんで見える理由は、筋肉の修復過程で線維化(せんいか)が起こり、結合組織が硬直するためです。 筋肉にへこみがある状態を放置すると、筋肉の柔軟性が低下し、再発する恐れがあります。 股を伸ばすと違和感を感じる 太ももの肉離れが起こると、股を伸ばすと違和感があります。 股関節に違和感が生じるのは、損傷した筋肉が伸張されるためです。 股を伸ばした際に違和感がある場合は、無理に運動やストレッチをせず、安静などの適切な処置を行いましょう。 歩行や階段の昇り降りがいつも以上に辛い 歩行や階段の上り下りは、症状が太ももに顕著に現れます。 肉離れの症状を抱えた状態で、歩行や階段の上り下りを無理して続けることで、筋肉への違和感が増し、重症化する恐れがあります。 歩行や階段で問題なくとも、違和感があれば安静・治療を優先しましょう。 安静にしていても、太ももに違和感を感じる 原因 状態 具体例 瘢痕組織の形成 筋肉の修復過程で、柔軟性の低い瘢痕組織が形成される 長時間座った後に立ち上がると、太ももの裏側がつっぱる、以前のようにスムーズに足が上がらない 神経の過敏化 損傷部位周辺の神経が過敏になり、わずかな刺激でも違和感がある 寝返りを打つときや、太ももに軽く触れただけで、ピリッとした違和感がある 炎症の持続 筋肉の損傷部位で炎症が完全に治まらず、違和感が続く 安静にしていても、太ももの奥の方がズキズキする、患部が熱っぽく感じる 太ももの肉離れは、安静にしていても、違和感が改善されないことがあります。 肉離れで起きた筋肉の損傷や、炎症が治るまでに時間がかかります。 しかし、時間が経過しても違和感が改善しない場合は、医療機関を受診しましょう。 過去に同じ部位で肉離れを起こしたことがある 原因 状態 対策 筋肉の柔軟性低下 損傷部位の筋繊維が修復されても、元の柔軟性に戻らない 回復後も継続的なストレッチで柔軟性を維持する 筋力の低下 安静期間中に筋肉が弱まり、運動再開時に負荷が集中する リハビリで段階的に筋力を回復させ、運動再開後も筋力トレーニングを継続する 不完全な回復での復帰 違和感が残ったまま運動を再開し、筋肉の耐久力が十分に戻っていない 回復後もリハビリを継続し、筋肉の状態を十分に整えてから運動を再開する 肉離れは再発しやすい症状です。一度肉離れを引き起こすと、筋肉が損傷した部分を補うために瘢痕組織(はんこんそしき)が形成されます。 この組織は元の筋肉組織に比べて、柔軟性が低いため、再び同じ部位に負荷がかかると損傷しやすいのが特徴です。 肉離れ後は、安静期間で筋肉が弱まり、回復後も耐久力が低下するため、再発する恐れがあります。 太ももの肉離れを起こしたときの対処法 対処法 内容 目的 RICE処置 安静(Rest)冷却(Ice)圧迫(Compression)挙上(Elevation) 炎症と腫れを抑え、症状を軽減する リハビリテーション 専門家(医師や理学療法士)の指導の下、ストレッチや筋力トレーニングを行う 筋肉の柔軟性と筋力を回復させ、再発を予防する 再生医療(PRP療法) 自身の血液から抽出したPRP(多血小板血漿)を患部に注入し、組織の修復を促進する 自然治癒力を高め、回復を早める 太ももの肉離れは、適切な対処を早期に実施しましょう。 肉離れを起こしたときの対処法について解説します。 以下の記事では、肉離れが全治するまでの期間を詳しく解説しています。 RICE処置 項目 内容 理由 具体例 Rest(安静) 太ももを動かさないようにし、安静に保つ 損傷した筋肉の回復を促し、悪化を防ぐ 横になって足を高く上げる、松葉杖を使う Icing(冷却) 患部を氷や冷却パックで15~20分冷やし、数時間おきに繰り返す 炎症と腫れを抑え、症状を軽減する 冷凍した保冷剤や氷嚢をタオルで包み、患部に当てる Compression(圧迫) 弾性包帯などで患部を圧迫し、腫れを防ぐ 内出血と腫れを抑制する 太もも全体を覆うように弾性包帯を巻く(締めすぎに注意) Elevation(挙上) 患部を心臓より高い位置に保ち、腫れを軽減する 重力により腫れや内出血を抑制する クッションや椅子を使って太ももを高く上げる 太ももの肉離れの応急処置として、最初に行われるのがRICE処置です。 RICE処置では、Rest(安静)→Icing(冷却)→Compression(圧迫)→Elevation(挙上)の流れで応急処置を進めます。 RICE処置はあくまで、応急処置のため、対応後は早急に医療機関を受診しましょう。 以下の記事では、肉離れの応急処置について詳しく解説しています。 リハビリテーション 目的 内容 期間 筋肉の修復促進 ストレッチ、軽い運動 回復期(受傷後1週間~数週間) 筋力低下の防止・回復 段階的な筋力トレーニング 回復期、スポーツ復帰期 再発予防 正しい体の使い方、運動方法の習得 スポーツ復帰期 肉離れを起こした後は、医師の指導のもと、リハビリを開始します。 リハビリでは、筋力が衰えないようにストレッチや、軽い運動からスタートし、段階的にトレーニングを行います。 リハビリは無理せず、違和感があれば中止し、医師に相談しましょう。 以下の記事では、肉離れのストレッチについて詳しく解説しています。 再生医療(PRP療法) 再生医療(PRP療法)は自身の血液から抽出した、PRP(多血小板血漿)を活用し、太ももの肉離れで発生した組織の損傷に回復を促す治療法です。 PRP(多血小板血漿)に含まれる抗炎症作用は、炎症を抑制し、機能回復の向上を促進させます。 自身の血液を使用するため、アレルギー反応や感染症のリスクが低いのも利点です。 手術や長期リハビリに抵抗がある方には、再生医療(PRP療法)が有効です。 以下の記事では、再生医療(PRP療法)のメリット・デメリットを詳しく解説しています。 太ももの肉離れを疑う際は医療機関を受診しよう 太ももの肉離れが疑われる場合は、医療機関を受診しましょう。肉離れは早期発見が大切です。 また、太ももの肉離れをなるべく早く改善したい方は、再生医療を検討いただければと思います。 再生医療であれば、手術を必要とせず、太ももを始めとした肉離れの症状に、患者様自身から採取した血液『多血小板血漿(Platelet-Rich Plasma:PRP)』を抽出し、症状の回復を促します。 太ももの肉離れにお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にて、当院へお気軽にご相談にお問い合わせください。 参考文献 (文献1) 奥脇 透.「肉離れの診断と治療」『第26回 日本臨床スポーツ医学会 学術集会』pp.1-3.2016年 https://www.rinspo.jp/journal/2010/files/24-3/331-333.pdf(最終アクセス:2025年3月17年) (文献2) 久保田喬之,兵頭甲子太郎「運動後の筋疲労回復処置がストレスマーカーに及ぼす影響」『理学療法―臨床・研究・教育』, pp.1-3, 2014年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/ptcse/21/1/21_56/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年3月17年) (文献3) 「5.肉離れ」『スポーツ損傷シリーズ』pp.1-2 https://jsoa.or.jp/content/images/2023/05/s05.pdf最終アクセス:2025年3月17年) (文献4) 栄養コンサルタント社(NCco.)「炎症について最もわかりやすい解説」日本ビューティーヘルス協会,2022年4月18日 https://eiyo-c.com/ensho/(最終アクセス:2025年3月17年) (文献5) 公益社団法人日本整形外科学会「症状・病気をしらべる」公益社団法人日本整形外科学会. https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/pulled_muscle.html(最終アクセス:2025年3月17年)
2025.03.31 -
- その他、整形外科疾患
仙腸関節炎の原因を知りたい 仙腸関節炎のずれと症状の関係性について知りたい 腰や、下半身の違和感で毎日のデスクワークが辛いと感じていませんか。その症状は仙腸関節炎と呼ばれる関節の疾患かもしれません。 仙腸関節炎に馴染みがない方も多いことでしょう。仙腸関節炎は、腰と骨盤をつなぐ仙腸関節に炎症が生じる疾患です。 放置すると慢性的な違和感が続き、後遺症となる可能性があります。 仙腸関節炎の原因 仙腸関節炎の主な症状 【自宅でできる】仙腸関節炎の改善策 仙腸関節炎の治療法 仙腸関節炎の原因に関するよくある質問 記事の最後には、仙腸関節炎に関する質問にお答えしますので、ぜひ最後までご覧ください。 仙腸関節炎の原因 原因 詳細 長時間の座り仕事 デスクワークなどで長時間座り続けると、仙腸関節周辺の筋肉が硬くなり、関節への負担が増る。 重量物を持ち上げる 重い物を持ち上げる動作は、仙腸関節に大きな負荷をかけ、炎症を引き起こすことがある 体重の増加 体重が増加すると、仙腸関節への負担が増え、炎症のリスクが高くなる。とくに、腹部の脂肪は腰椎を前弯させ、仙腸関節への負担を増加させる 無理な姿勢 腰を捻る、足を大きく前後に開く、中腰などの無理な姿勢は、仙腸関節に過度の負担をかけ、炎症を引き起こす 足を組んで座る習慣 足を組むと骨盤が歪み、仙腸関節への負担が増る 筋力の低下 仙腸関節周辺の筋肉が弱いと、関節を十分に支えられず、負担が増加する 仙腸関節炎は、長時間の座り仕事や、重量物を持ち上げるなどの作業で発症します。 仙腸関節炎の原因について、詳細に解説します。 長時間の座り仕事 原因 仙腸関節への影響 症状への影響 血行不良と筋肉の硬直 仙腸関節周囲の筋肉・靭帯の血流阻害、組織硬化 炎症の誘発など 姿勢の悪化と関節への負担 骨盤歪曲、仙腸関節への過剰負荷 関節の不安定化、炎症の誘発 運動不足による筋力低下 体幹・骨盤周囲筋力低下、関節支持性低下 関節の不安定化、炎症の誘発 長時間の座り仕事は、仙腸関節へ負担をかける原因になります。長時間の座り仕事が習慣化している場合は、適度に椅子から立ち上がり、ストレッチを入れることで、仙腸関節炎の発症リスクを減らせます。 重量物を持ち上げる 要因 仙腸関節への影響 症状への影響 不適切な持ち上げ方 腰部・骨盤周囲への過剰な負荷、仙腸関節への過剰なストレス 炎症の誘発、関節の不安定化 背中を丸めた姿勢 仙腸関節への過剰なストレスが集中する 炎症の誘発、関節への違和感を誘発させる (文献1)(文献2) 重量物を不適切な持ち方で持ち上げたり、背中を丸めた姿勢で持ち上げたりすると、腰部・骨盤周囲に過剰な負荷がかかり、仙腸関節炎を誘発させます。 力仕事などで重量物を持ち上げる場合は、膝を曲げて腰を落とし、背筋を伸ばした状態で持ち上げるなど、仙腸関節にストレスを与えないのが大切です。 体重の増加 要因 仙腸関節への影響 症状への影響 体重の増加 関節への負荷増大、骨盤への負担増大 炎症の誘発、関節の不安定化など 腹部への脂肪蓄積 腰椎前弯増強(ようついぜんわんぞうきょう)、仙腸関節への負担増大 腰部の違和感の増加、姿勢悪化 仙腸関節は、上半身の体重を下半身で支えるための重要な関節です。体重が増加すると、仙腸関節にかかる負荷が大きくなり、筋肉は重さに耐えきれません。 仙腸関節は、わずかな動きで衝撃を吸収するクッションのような役割も担っていますが、負荷がかかると、その機能が低下し、仙腸関節炎を引き起こします。 仙腸関節炎を発症させないためには、体重管理や仙腸関節炎の予防や改善が大切です。 腰を捻る・足を大きく前後に開く・中腰などの無理な姿勢 姿勢 仙腸関節への影響 症状への影響 腰を捻る 関節への回転方向の過剰負荷 靭帯・筋肉への負担増大、炎症の誘発 足を大きく前後に開く 骨盤の前後への過剰伸長 骨盤の前後への過剰伸長 中腰 上半身の体重集中、関節への過剰負荷 炎症の誘発、腰部へのストレス 腰を捻る・足を大きく前後に開く・中腰などの無理な姿勢は、仙腸関節に過剰な負荷がかかります。この負荷が継続すると、仙腸関節に炎症を引き起こします。 座り・立ち仕事では、不安定な体勢は控え、正しい姿勢で仕事をしましょう。また作業の合間にストレッチや休憩を入れ、筋肉をほぐすのも効果的です。 足を組んで座る習慣 要因 仙腸関節への影響 症状への影響 骨盤の歪み 仙腸関節への負荷、関節の不安定化 炎症の誘発など 筋肉のアンバランス 骨盤の支持力低下、関節への負担増大 炎症リスクの増大 関節への圧力 片側股関節への過剰圧力、仙腸関節への負担 炎症の誘発など 足を組んで座る習慣は、仙腸関節炎のリスクを高める要因です。足を組むと、骨盤が左右どちらかに傾き、歪みが生じます。 歪みが慢性的に続くと、仙腸関節にかかる負荷が不均等になり、間接周囲の靭帯や筋肉に負荷がかかり、炎症を引き起こす原因になります。 仙腸関節炎を誘発させないために、足を組んで座る習慣はやめるようにしましょう。 筋力の低下 項目 説明 仙腸関節への影響 仙腸関節の安定性 仙腸関節は上半身と下半身をつなぎ、体重の支持や衝撃の吸収に関与する 周囲の筋肉が安定性を保つために重要 体幹筋機能の低下 体幹筋(コアマッスル)の機能低下は、腰痛のリスクを高める 仙腸関節への負荷が増加し、炎症や不快感の原因となる 仙腸関節障害患者の筋活動パターン 大臀筋の出力遅延、ハムストリングスの早期活動が見られる 筋力バランスが崩れ、関節への負荷が増加する 筋力の低下は、仙腸関節炎を引き起こします。筋力低下は、関節への負担を増やし、腰痛などの不調を引き起こす原因になります。 仙腸関節炎の予防には、適度な運動による筋力維持が大切です。定期的な運動で筋力を維持しましょう。 仙腸関節炎の主な症状 症状 詳細 片側の腰や臀部に違和感がある 腰の奥や臀部の片側に、ズキズキとした違和感や、重だるいような感覚がある 長時間座っていると負担を感じる デスクワークなどで長時間座っていると、腰や臀部に違和感やこわばりが強くなる 長時間立っていると辛い 長時間立っていると、腰や臀部の違和感が増し、立っているのが辛くなる 歩くのが辛い 歩く度に腰や臀部に違和感がある、歩幅が狭くなったり、歩くスピードが遅くなったりする 仰向けに寝れない 仰向けに寝ると、腰や臀部に違和感があり、横向きやうつ伏せでしか眠れなくなる (文献3) 仙腸関節炎の主な症状は、腰部や臀部に違和感を覚え、長時間の同じ姿勢が辛くなるなどが挙げられます。 仙腸関節炎で引き起こる症状について、解説します。 片側の腰や臀部に違和感がある 症状 原因 仙腸関節の不安定化 周囲の筋肉のサポート不足や、骨盤の歪みなど 仙腸関節への負担増加 衝撃吸収力の低下や、姿勢の悪化 筋力低下や仙腸関節のバランスが不安定になると、安定性が損なわれ、骨盤の歪みや炎症の原因になります。 腰や臀部の違和感防止のためにも、日頃から正しい姿勢を意識し、足を組む座り方などは控えましょう。 長時間座っていると負担を感じる 負担の要因 詳細 持続的な圧力 体重の集中、不良姿勢による骨盤歪み 筋肉の硬直と血行不良 同一姿勢による筋硬直、酸素・栄養供給阻害 骨盤の不安定化 周囲筋の弱体化、関節負担増加 長時間座位は、仙腸関節に持続的な圧力をかけ、周囲筋の硬直と血行不良を招きます。とくに長時間の同じ姿勢は、仙腸関節炎を引き起こす原因になります。 デスクワークが習慣の場合は、数分に一回は立ち上がるなど、体重が一点にかからない工夫が大切です。 長時間立っていると辛い 負担の要因 詳細 持続的な負荷 体重集中、関節圧迫による摩擦増加 筋肉の疲労と緊張 周囲筋の緊張、血行不良による炎症物質蓄積 関節の不安定性 可動域制限、衝撃吸収機能低下 長時間同じ姿勢での立位は、体重を仙腸関節に集中させ、持続的な負荷をかけます。仙腸関節に負荷がかかることで、関節の摩擦が増加し、炎症を引き起こしやすくなります。 長時間の立ち仕事の場合は、定期的にストレッチや座れるタイミングで数分座るなど、仙腸関節を休ませましょう。 歩くのが辛い 不快感の要因 詳細 体重移動時の負担 片足に体重移動で関節にズレ、炎症部位を刺激 歩行パターンの変化 関節の違和感回避で歩幅が狭まり、他の部位に負担増 階段・坂道での負担増 平地より関節への負荷が増大し、不快感が増強 仙腸関節炎は、歩行時の体重移動で関節にズレが生じます。ズレが炎症部位が刺激し、違和感を引き起こします。(文献4) 関節の違和感をかばって歩き方を変えると、他の場所に負担がかかり、悪化する可能性があります。歩くのが辛いと感じた場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。 仰向けに寝れない 仰向けに寝れない原因 詳細 体圧の集中と姿勢の歪み 体重が特定の部位に集中、骨盤や背骨の歪み 筋肉の過緊張 日中の姿勢不良、ストレスによる筋肉の硬直 睡眠環境の不適合 寝具の硬さや温度、騒音や光 仙腸関節炎を発症すると、体重が特定の部位に集中し、骨盤や背骨の歪みに歪みが生じます。また、筋肉の過緊張や睡眠環境が重なると、さらに仰向けに寝れず、安眠の妨げになります。 睡眠の妨げは、仙腸関節炎を悪化させるため、睡眠環境は日頃から整えましょう。 【自宅でできる】仙腸関節炎の改善策 改善策 詳細 姿勢の改善 正しい姿勢の保持、骨盤の安定性向上 ストレッチとエクササイズ 筋肉の柔軟性向上、筋力強化 体重管理 適切な体重維持、関節への負担軽減 仙腸関節炎の改善は、日常生活の中で、継続的に取り組むことが大切です。これから紹介する内容は医師の指導のもと行い、無理のない範囲で行いましょう。 以下の記事では、仙腸関節炎の治し方を詳しく解説しています。 姿勢の改善 改善ステップ 詳細 1. 仙腸関節炎への負担軽減 正しい姿勢と動作で負荷を分散し、骨盤を安定させ、炎症と違和感を抑制 2. 筋肉のバランス調整 筋肉を緩め、骨盤を強化し、関節を安定させる 3. 日常生活動作の改善 動作時の負担を減らし、正しい動作を習慣化 姿勢の改善は、日々の継続が大切です。骨盤を正しい位置に保ち、長時間同じ姿勢を避けることで、関節への負荷を抑制します。 日常生活では、立ち座りや歩行時の姿勢、重い物の持ち方など、動作時の負担を減らす工夫をしましょう。 ストレッチとエクササイズ 改善ポイント 詳細 筋肉の柔軟性向上と強化 ストレッチ:筋肉の柔軟性を高め、関節の可動域を広げる エクササイズ:関節を支える筋肉を強化し、安定性を高める 骨盤の歪み改善と姿勢の矯正 特定のストレッチやエクササイズで骨盤の歪みを矯正し、正しい姿勢を維持するための筋肉を強化する 血行促進と違和感の緩和 筋肉の血行を促進し、疲労物質の排出を促すことで、炎症を抑制し違和感を緩和 仙腸関節炎の改善には、ストレッチとエクササイズが効果的です。ストレッチは筋肉の柔軟性を高め、関節の可動域を広げます。エクササイズは関節を支える筋肉を強化し、安定性を向上させます。 自己流のストレッチとエクササイズは、無理な負荷や、間違った骨盤矯正の恐れがあります。ストレッチとエクササイズを実践する際は、医師の指示に従いましょう。 体重管理 改善ポイント 詳細 仙腸関節への負担軽減 体重増加による負荷を軽減し、骨盤の安定性を保つ 筋肉や関節への好影響 筋肉への負担を軽減し、関節の軟骨の磨耗を抑制する 全身への好影響 全身の炎症反応を抑制し、運動機能を向上させる 仙腸関節炎の改善には、継続的な体重管理が大切です。体重が増加すると、仙腸関節への負荷が増大し、炎症や違和感を悪化させる可能性があります。 適切な体重管理は、仙腸関節へ負荷を軽減し、骨盤の安定性を保ちます。体重管理は、過度なダイエットではなく、医師の指示に従った管理方法で行いましょう。 仙腸関節炎の治療法 治療法 詳細 薬物療法 鎮痛剤や湿布などを用いて、違和感を緩和する 神経ブロック(麻酔) 仙腸関節周辺に局所麻酔薬を注射し、違和感を遮断する 理学療法 専門家によるストレッチや運動療法で、関節の動きを改善し、違和感を軽減する 再生医療 PRP療法や幹細胞療法などを用いて、損傷した組織の修復を促す 仙腸関節炎の治療は、状態や症状によって治療法が異なります。各治療法は、医師の診察のもと行われます。 仙腸関節炎の治療法について、紹介します。 薬物療法 治療法 詳細 炎症と違和感の抑制 NSAIDsや鎮痛薬で炎症を抑え、違和感を緩和し、日常生活を改善 症状の緩和と機能回復 違和感を和らげ、運動療法やリハビリを促進し、日常生活の質を向上 薬物療法の種類 各種薬剤で炎症や違和感を抑制、筋肉を弛緩させ、強力な抗炎症作用で速やかに違和感を緩和 仙腸関節炎の薬物療法は、炎症と違和感を抑制し、症状の緩和を促します。NSAIDsや鎮痛薬は、炎症を引き起こす物質の生成を抑える効果があり、日常生活の改善に役立ちます。 NSAIDs、鎮痛薬、筋弛緩薬、ステロイド注射などの多様な種類が特徴です。薬物療法は、仙腸関節炎の状態や、薬剤の適正を考慮して行われます。 神経ブロック(麻酔) 治療ポイント 詳細 期待できる効果 違和感の悪循環を遮断 違和感の伝達経路を遮断し、筋肉の緊張を緩和 違和感の軽減、関節の動き改善 炎症の抑制 局所麻酔薬やステロイドで炎症を抑制 違和感の根本原因にアプローチし、症状を改善 診断と治療の併用 違和感の原因を特定し、同時に治療も行う 違和感の発生源を診断し、機能回復を促進 神経ブロック療法は違和感を遮断し、炎症の抑制を促します。局所麻酔薬やステロイドなどの抗炎症薬を併用し、根本的な原因の改善を目指します。 ブロック注射後は激しい運動は控え、入浴は避けましょう。 以下の記事ではブロック注射について詳しく解説しています。 理学療法 治療ポイント 詳細 期待できる効果 仙腸関節の機能改善 手技や運動療法で関節の可動域と安定性を向上 関節の柔軟性向上、負担軽減、違和感の緩和 違和感の緩和 マッサージやストレッチで筋肉の緊張を緩和させる 血行促進、動作時の違和感を軽減 再発予防 正しい姿勢や日常生活動作の指導で、関節への負担を軽減 負担を軽減、再発リスクの低減、日常生活での違和感の軽減 (文献5) 仙腸関節炎の理学療法は、関節の機能改善、違和感の緩和、再発予防を目的に行われます。 理学療法では、仙腸関節に負担のかからない動作を医師が指導し、日常生活で違和感の発症や再発の予防を目指します。 再生医療 治療ポイント 詳細 期待できる効果 組織の修復促進 PRP療法や幹細胞療法により、損傷した組織の修復を促進 関節や靭帯の修復、違和感の根本を改善 軽減と機能回復 成長因子や細胞の働きにより、炎症を抑制し、違和感を軽減 長期的な違和感の緩和、関節機能の回復、運動能力の向上 他の治療法との併用 理学療法や薬物療法と組み合わせて、相乗効果が期待できる 総合的な症状改善、再発予防 仙腸関節炎に対する再生医療は、損傷した組織の修復を促進し、違和感の根本的な改善を目指します。再生医療は、患者様自身の細胞を用いた治療法のため、副作用や感染症のリスクが低いのが利点です。 以下の記事では当院の再生医療について、詳しく解説しています。 仙腸関節炎の原因を理解し症状の悪化を防ごう 仙腸関節炎の原因は、長時間の座り仕事や体重の増加など、仙腸関節に対する負荷が挙げられます。仙腸関節炎の症状を改善するには、姿勢や負荷のかからないストレッチ・エクササイズを継続的に行いましょう。 改善しない仙腸関節炎には、再生医療も選択肢です。再生医療であれば、仙腸関節炎の原因を根本から取り除き、症状の改善が望める可能性があります。 リペアセルクリニックでは、再生医療以外にも、患者様に適した仙腸関節炎の治療法を提案します。 改善が見込めない仙腸関節炎でお悩みの方は、お気軽に「メール相談」や「オンラインカウンセリング」にお問い合わせください。 仙腸関節炎の原因に関するよくある質問 仙腸関節炎のずれと症状の関係性はありますか? 仙腸関節のずれと症状の関連性については、医学的に証明されていません。仙腸関節のずれは、画像検査で明確に確認するのは困難です。 症状の原因は、関節周囲の組織の炎症や神経の過敏化とされています。 仙腸関節炎はどのような人に多いですか? 仙腸関節炎は、長時間の同じ姿勢や、無理な体勢を日常的に行う人に多いです。 仙腸関節に負荷のかかる姿勢で負荷が積み重なり、炎症を引き起こします。無理な姿勢や体重の増加が気になる方は、ライフスタイルの改善を行いましょう。 スポーツや運動で仙腸関節炎になりますか? スポーツや運動で仙腸関節に負荷がかかると発症のリスクが高まります。 発症を予防するには、運動前に十分な準備運動とストレッチを日頃から取り入れ、筋肉や関節の柔軟性を保つようにしましょう。 仙腸関節炎は遺伝しますか? 仙腸関節炎を含む脊椎関節炎と呼ばれる疾患群は、HLA-B27遺伝子と関連がある可能性があります。しかし必ず発症するわけではありません。(文献6)(文献7) 遺伝以外の生活習慣や環境要因にも注意し、適切な予防を行いましょう。 仙腸関節炎は加齢が原因で起こることはありますか? 仙腸関節炎の主な原因は、姿勢の偏り、外傷、体重増加です。加齢も要因となります。しかし、仙腸関節炎の症状が現れた場合は、加齢と判断せず、医療機関を受診しましょう。 参考文献 (文献1) 腰痛予防指針「重量物取扱いなどによる腰痛を予防しましょう」 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000099336_3.pdf(最終アクセス:2025年3月18日) (文献2) 独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所「腰部負担からみた我が国の重量物持ち上げガイドラインについて」労働安全衛生総合研究所, https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/mail_mag/2024/187-column-1.html(最終アクセス:2025年3月18日) (文献3) 黒澤 大輔, 村上 栄一.「仙腸関節痛の発生・慢性化のメカニズム」『J-STAGE』2021年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspineres/12/6/12_2021-0604/_article/-char/ja(最終アクセス:2025年3月18日) (文献4) 松本守雄ほか.「腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン2021(改訂第3版)」pp.1-103, 2021年 https://minds.jcqhc.or.jp/common/wp-content/plugins/pdfjs-viewer-shortcode/pdfjs/web/viewer.php?file=https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00645.pdf&dButton=false&pButton=false&oButton=false&sButton=true#zoom=auto&pagemode=none&_wpnonce=3b871a512b(最終アクセス:2025年3月18日) (文献5) 羽田 清貴.「仙腸関節痛を有する症例に対する理学療法の一考察」『J-STAGE』2007年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/kyushuptot/2007/0/2007_0_161/_article/-char/ja/(最終アクセス:2025年3月18日) (文献6) 一般社団法人 日本リウマチ学会「脊椎関節炎(SpA)」一般社団法人 日本リウマチ学会,2022年5月22日 https://www.ryumachi-jp.com/general/casebook/sekitsuikansetsuen/(最終アクセス:2025年3月20日) (文献7) Copyright(C) 公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター「強直性脊椎炎(指定難病271)」難病情報センター」難病情報センター,2024年11月 https://www.nanbyou.or.jp/entry/4847(最終アクセス:2025年3月20日)
2025.03.31 -
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乾癬性関節炎が治った実例を知りたい 乾癬性関節炎と診断されたが、休むべきかを知りたい 乾癬性関節炎と診断され、不安を感じていませんか?皮膚の腫れや関節の違和感に悩み、治る見込みがあるのか・仕事を続けるべきかなど、さまざまな疑問を持つ方も多いでしょう。 結論、乾癬性関節炎は適切な治療と対策で症状が改善する見込みがあります。 乾癬性関節炎の治った事例について 乾癬性関節炎が治らないと言われる理由 乾癬性関節炎の活動性を抑える治療法 乾癬性関節炎を治したい方からよくある質問 本記事では、乾癬性関節炎の完治について言及したのち、対策案やよくある質問について解説します。 乾癬性関節炎が治った事例はないが緩和させることはできる 2025年現在、乾癬性関節炎が治った事例はありません。しかし、乾癬性関節炎の症状を緩和させることはできます。 乾癬性関節炎が改善したキャスリーンさんのインタビューでは、症状を治すのではなく、コントロールが大事であると答えています。乾癬性関節炎は治すのではなく、症状と向き合う姿勢が大切です。 乾癬性関節炎の治療は、症状の進行を抑え、日常生活や社会復帰を目指すことが目的です。適切な治療と生活習慣の改善により、多くの人が症状をコントロールしながら生活しています。(文献1)(文献2) 以下の記事では、乾癬性関節炎の症状を改善するために症状別で何科を受診するべきかを紹介しています。 乾癬性関節炎が治らないと言われる理由 乾癬性関節炎は現在の医学では治らない病気と言われています。治らない主な理由としては、乾癬性関節炎は自己免疫疾患であり、根本的に免疫異常を修正する治療法がありません。 乾癬性関節炎は自己免疫疾患のため 慢性疾患であり、寛解と再発を繰り返すため 関節のダメージは元に戻らないため 免疫抑制剤や生物学的製剤は完治させるわけではない 症状の程度が異なる 乾癬性関節炎が治らないと言われる理由について解説します。 乾癬性関節炎は自己免疫疾患のため 乾癬性関節炎は自己免疫疾患に分類されます。 免疫は本来、ウイルスや細菌などから身体を守る役割を担っていますが、何かしらの要因で誤って自分自身の組織を攻撃してしまうようになり、炎症や組織破壊を引き起こします。このような免疫異常を完全に元に戻す治療法は現時点では確立されていません。 乾癬性関節炎を治すことはできませんが、早期発見であれば適切な治療で症状の緩和や進行の抑制は可能です。 慢性疾患であり、寛解と再発を繰り返すため 乾癬性関節炎は、慢性疾患のため寛解と再発を繰り返します。免疫系の異常でおきた炎症は持続しやすく、傷ついた組織が腫れなどを引き起こすためです。 再発しないためには、ストレスや感染症、食生活の乱れなどに注意し、過度な負担は与えないことが大切です。 ある程度コントロール可能な病気ではあるものの、いつ再発してもおかしくないことを認識しておきましょう。(文献3) 関節のダメージは元に戻らないため 乾癬性関節炎の炎症が長期間続くと、関節や腱の損傷が進行し、変形が起こる可能性があります。関節へのダメージを元通りにする治療法はありません。 公益財団法人結核予防会 複十字病院 膠原病リウマチセンターの資料によると、早期の乾癬性関節炎の患者で2年後くらいの間に関節障害が増加し、発症から期間が長くなればなるほど、関節破壊が進行すると記載されてます。(文献4) 関節へのダメージを元通りに修復させるのは難しいですが、治療を行うことで日常生活への支障を減らすことはできます。 免疫抑制剤や生物学的製剤は完治させるわけではない 薬の種類 作用 特徴 NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬) 炎症を抑える 炎症をある程度抑えることはできるものの、症状の進行を止める効果はない DMARDs(抗リウマチ薬) 関節の破壊を抑える 関節の変形を防ぐが、免疫の異常を根本から止められない 生物学的製剤・JAK阻害薬 免疫の異常な働きを抑える 炎症を強力に抑えるが、病気を根本的に治すわけではない (文献2) 現在の治療薬では、ある程度症状のコントロールはできても、根本の解決はできません。治療薬は、免疫の異常な反応の抑制や、関節の炎症や腫れを軽減などを目的としています。 治療薬は症状の緩和、関節破壊の進行抑制、生活の向上のために服用するものです。また、治療薬を服用する際は自己判断で量を調整したり、中断したりしてはいけません。 医師の指示に従い、服用しましょう。 症状の程度が異なる 症状の程度 関節の症状 その他の症状 日常生活への影響 軽度 関節の腫れや違和感がわずか、こわばりが比較的軽い 皮膚の炎症が部分的で、発疹の範囲が狭い 日常生活にほとんど影響がない 重度 複数の関節に激しい炎症や、変形が進行してる 爪の変形や剥離などがある 日常生活に支障をきたす、または困難になる (文献2) 乾癬性関節炎の症状には、個人差があります。そのため、適切な治療法も改善スピードも人それぞれです。 軽度であれば、適切な治療で日常生活に支障がない状態を維持できます。しかし重度の場合、関節破壊が進み、日常生活がままならない状態になる可能性があります。 また、乾癬性関節炎の発見が遅れるほど関節破壊が進行し、症状が重症化します。(文献2) そのため、医師と相談しながら、自分に合った治療法を見つけることが大切です。 乾癬性関節炎の活動性を抑える治療法 治療法 作用 特徴 適用される症状 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) 炎症と違和感を軽減 症状の緩和を目的とし、症状の進行を抑える効果はない 軽度 生物学的製剤(免疫抑制剤) 免疫の過剰な働きを抑え、炎症をコントロールする 関節破壊の進行を抑制する効果が期待できる 中度〜重度 抗リウマチ薬(DMARDs) 関節の炎症を抑え、進行を遅らせる 関節破壊の進行を抑制し、長期的な効果が期待できる 中度〜重度 ステロイド剤(短期間の使用) 強い炎症を一時的に抑えるが、長期使用は副作用のリスクがある 炎症が急激に悪化した際に短期間使用し、医師の指示に従うことが大前提 症状が急に悪化したとき 生活習慣の改善(食事・運動) 栄養バランスの取れた食事や適度な運動が、症状の悪化を防ぐのに役立つ 肥満は関節への負担を増加させるため、体重管理も重要 すべての症状 (文献2) 乾癬性関節炎は、皮膚症状と関節症状(違和感や腫れ、こわばり)の両方に対応し、症状を最小限に抑えることが目標です。 以下の治療法はすべて医師と相談した上で行うことが大前提です。 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) 乾癬性関節炎の初期治療では、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が用いられます。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は関節の違和感や炎症を抑えますが、症状の進行を抑えるものではありません。 非ステロイド性抗炎症薬を3~6カ月間使用しても改善が見られない場合は、他の治療法を検討する必要があります。 生物学的製剤(免疫抑制剤) 生物学的製剤は、特定の炎症性物質(TNF-α、IL-17、IL-23など)の働きを阻害し、炎症を抑制します。生物学的製剤を使用するのは、既存の治療法での改善が難しい場合や、関節破壊のリスクが高いときです。(文献3) 関節症状の改善や関節破壊の進行抑制に効果があるとされているものの、使用は症状や患者の状態によって異なります。アレルギー反応などが見られた場合は、使用を中止し、医師へ相談しましょう。 抗リウマチ薬(DMARDs) 抗リウマチ薬(DMARDs)は、免疫システムの異常な働きを調整し、炎症を抑えることで、関節の腫れや違和感を軽減します。使用タイミングは中度〜重度のときに使用を検討します。 抗リウマチ薬(DMARDs)の中でも、とくにメトトレキサートは、乾癬性関節炎の治療で使用される代表的な治療薬です。 炎症や関節の違和感を抑えるのに役立つ反面、副作用として、吐き気、食欲不振、肝機能障害、骨髄抑制などが現れる可能性もあり、使用する際は定期的な血液検査や診察を受ける必要があります。 ステロイド剤(短期間の使用) ステップ 治療内容 薬剤例 期間 備考 1.初期治療 違和感・炎症の緩和 NSAIDs、ステロイド関節注射 症状に応じて 必要に応じてステロイド注射を併用 2.DMARDs(非ステロイド性抗炎症薬)導入 NSAIDsの効果不十分な場合 メトトレキサート、サラゾスルファピリジンなど 3~6カ月 メトトレキサートが第一選択、副作用で使用不可の場合は代替薬 3.DMARDs(非ステロイド性抗炎症薬)強化/生物学的製剤・JAK阻害薬導入 DMARDsの効果不十分な場合 追加のDMARDs、TNF阻害薬、JAK阻害薬など 3~6カ月 重症度や関節外症状に応じて生物学的製剤・JAK阻害薬を検討 4.生物学的製剤・JAK阻害薬変更 効果不十分な場合 他の生物学的製剤 症状に応じて 薬剤の切り替えを検討 (文献2) ステロイド初期治療では症状に応じて使用されますが、改善が見込めない場合にステップを進めていきます。 ステロイド剤は即効性がある一方、長期使用で骨粗しょう症や糖尿病、感染症のリスクが高まるため、医師の指示に従い最小限の量での服用が大切です。 以下の記事では、ステロイド剤の効果について詳しく解説しています。 生活習慣の改善(食事・運動) 項目 内容 積極的に摂るべき食品 オメガ3脂肪酸(青魚、亜麻仁油、チアシード)抗酸化ビタミン(柑橘類、ピーマン、ナッツ、アボカド)食物繊維(野菜、海藻、全粒穀物) 控えるべき食品 糖分・加工食品(清涼飲料水、お菓子、白米・白パン)トランス脂肪酸(ファストフード、スナック菓子)過剰なアルコール・カフェイン おすすめの運動 ウォーキング(20~30分)水中運動(関節の負担軽減)ヨガ・ストレッチ(可動域維持) 避けたほうが良い運動 高負荷筋トレーニング(スクワット・デッドリフト)過度なランニング (文献5)(文献6) 乾癬性関節炎は、生活習慣の改善で完治するものではありませんが、見直すことで症状の悪化をある程度防げます。 食事に関しては、極端に偏らないようにし、体重管理を怠らないようにしましょう。また運動も適度に行うことで、ストレスの軽減や血行促進に役立ちます。 食事も運動も直接的な改善にはならないものの、肥満やメタボリックシンドロームの併発が多いため、日頃の暴飲暴食や運動不足には注意しましょう。(文献6) 以下では糖尿病やメタボリックシンドロームを予防する食事について詳しく紹介しています。 乾癬性関節炎は早めの受診で活動性を抑えよう 乾癬性関節炎は早めの受診で活動性を抑えることが大切です。根本的な治療法は現在の時点では見つかっていないものの、症状のコントロールやある程度の改善は望めます。 乾癬性関節炎の症状にお悩みの方は、無理をせずに当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。再生医療を活用し、乾癬性関節炎の回復を促します。 治らない乾癬性関節炎に対しての不安や悩みは「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にお問い合わせください。 乾癬性関節炎を治したい方からよくある質問 乾癬性関節炎は難病指定されていますか? 2025年現在、乾癬性関節炎は難病指定されていません。乾癬性関節炎は難病指定の条件である患者数が少ないことに該当しないため、指定されていない可能性があります。(文献7) しかし、今後も研究が進むにつれて、将来的に指定難病に認定される可能性はあるでしょう。 乾癬性関節炎における仕事を休むべき基準はありますか? 症状が軽度で、職場環境が整っていれば、働き続けることは可能です。リモートワークや負担軽減策を活用できる環境であれば、利用を検討しましょう。 症状が重度の場合は、休職を検討する必要があります。休職する際は以下の手当てが支給される可能性があります。 傷病手当金 障害者年金 高額療養費制度 その他の支援制度 制度を利用するためには、それぞれ条件を満たす必要があります。申請方法や必要書類は、制度によって異なりますので、事前に以下の窓口で確認しましょう。 全国健康保険協会 日本年金機構 お住まいの地域の自治体の窓口 医療機関の相談窓口 参考文献 (文献1) 一般社団法人 日本リウマチ学会「乾癬性関節炎(PsA)」一般社団法人 日本リウマチ学会 ホームページ, 2022年5月22日 https://www.ryumachi-jp.com/general/casebook/kansenseikansetsuen/(最終アクセス:2025年3月13日) (文献2) 日本リウマチ学会「乾癬性関節炎(PsA)」 https://www.ryumachi-jp.com/general/casebook/kansenseikansetsuen/(最終アクセス:2025年3月14日) (文献3) Kinanah Yaseen, &Cleveland Clinic(2024)Psoriatic Arthritis,MSD MANUAL professional Version https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/06-%E7%AD%8B%E9%AA%A8%E6%A0%BC%E7%B3%BB%E7%96%BE%E6%82%A3%E3%81%A8%E7%B5%90%E5%90%88%E7%B5%84%E7%B9%94%E7%96%BE%E6%82%A3/%E9%96%A2%E7%AF%80%E7%96%BE%E6%82%A3/%E4%B9%BE%E7%99%AC%E6%80%A7%E9%96%A2%E7%AF%80%E7%82%8E(Accessed:2025-03-13) (文献4) 谷口 敦夫「乾癬性関節炎をよりよく理解いただくために」『アヴィ合同会社』 pp.1-12, 2023年 https://a-connect.abbvie.co.jp/health_care_workers_agreement.html?returnUrl=%2f-%2fmedia%2fassets%2fpdf%2fproducts%2fhumira%2fpatients_support%2fJP-HUMD-190144.pdf(最終アクセス:2025年3月13日) (文献5) 朝比奈昭彦ほか.「日本皮膚科学会ガイドライン」『乾癬性関節炎診療ガイドライン 2019』 pp.1-59, 2019年 https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/PsAgl2019.pdf(最終アクセス:2025年3月13日) (文献6) 株式会社ケアネット「乾癬患者に推奨される食事への介入とは」CareNet,2018年7月11日 https://www.carenet.com/news/general/carenet/46344(最終アクセス:2025年3月13日) (文献7) 厚生労働省「指定難病」2025年 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000084783.html(最終アクセス:2025年3月13日)
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関節がこわばり動かしにくい 肘や頭皮に赤みが出ている その症状は、乾癬性関節炎の初期症状かもしれません。関節の違和感や皮膚に出る赤みを放置しておくと重症化する可能性があります。 乾癬性関節炎を早期発見するには、初期症状と対策をしっかり行うことが大切です。 乾癬性関節炎の初期症状 乾癬性関節炎の初期症状を見抜くチェックリスト 乾癬性関節炎を重症化させないための対策 乾癬性関節炎における初期症状を理解したのち、適切な治療で乾癬性関節炎の進行を防ぎましょう。 乾癬性関節炎の初期症状 症状 詳細 爪の症状 点状のへこみ、変形、剥がれ 関節の腫れ・違和感 手足の指、肘、膝、足首など、左右非対称に腫れや違和感 皮膚の赤み・かゆみ 肘、膝、頭皮、腰、臀部などに赤い発疹、かゆみ 腰・背中の違和感 腰痛、背中のこわばり、起床時に症状が強く、日中は軽減 全身の症状 倦怠感、疲労感、発熱 (文献1) 乾癬性関節炎の初期症状には、通常では現れない違和感や腫れなどが発症します。初期症状は人によって現れ方が異なります。 気になる症状があれば、自己判断はせず、医療機関を受診しましょう。 爪に点状のへこみや変形が現れる 症状 詳細 点状のへこみ(点状陥凹) 爪の表面に小さな凹みが多数現れる 爪の変形 爪が分厚くなる、剥がれる、ボロボロになる 爪の色調変化 爪の色が黄色や茶色に変色する 爪の剥離 爪の先端が剥がれて浮き上がる 爪の肥厚 爪が厚く盛り上がる 乾癬性関節炎は皮膚の病気である乾癬と関節炎が合併して起こります。爪に起こる症状の特徴としては、点状のへこみや変形が現れます。 爪に症状が現れる原因は、免疫系の異常です。免疫系が体内組織を攻撃することで、爪の炎症や違和感が現れます。爪に表内記載の症状が現れた際は、早めに医療機関を受診しましょう。 手足の指の関節に腫れが起こる 乾癬性関節炎の種類 詳細 付着部炎(ふちゃくぶえん) 靭帯や腱が骨に付着する部分に炎症が生じ、違和感や腫れを伴う 指趾炎(ししえん) 手足の指全体が腫れ、ソーセージのような見た目になる 末梢関節炎(まっしょうかんせつえん) 関節リウマチと似た症状があるが、左右非対称に現れることが特徴 体軸関節炎(たいじくかんせつえん) 骨盤の関節や脊椎に炎症が生じ、背中・首・腰にこわばりや違和感が出る 乾癬性関節炎の初期症状として、手足の指の関節に腫れや違和感が出る場合があります。関節リウマチと似た症状が現れます。しかし、乾癬性関節炎は左右非対称に症状が出るのが特徴です。 乾癬性関節炎の中にも発症の種類があるため、症状が気になる方は、医療機関を受診しましょう。 肘や頭皮などに赤みが出る 乾癬性関節炎の初期症状として、肘や頭皮などに赤みが出ることがあります。赤みの出方に個人差はあるものの、症状としては、かゆみや赤い発疹などです。 赤みは関節炎より先に出ることもあれば、後から出ることもあります。 乾癬性関節炎は皮膚症状だけでなく、関節の腫れや違和感、爪の変形などが見られるため、複合的に現れた際は、注意が必要です。 腰や背中に違和感を覚える 腰や背中の違和感も、乾癬性関節炎のサインです。脊椎関節炎とも呼ばれており、背骨や仙腸関節(せいちょうかんせつ)に炎症が起こります。 また、背中・腰・首に違和感やこわばりが現れるのが特徴です。皮膚に赤みが出るなどの症状と比較すると、乾癬性関節炎であることに気づきにくく、腰痛と勘違いされやすいです。 症状は見逃しやすいだけでなく、進行すると強直して固まるので上を向く、前かがみになるなどの動作が困難になります。 気づきにくい症状のため、普段腰痛持ちの人や、日頃から腰に負担のかかる作業や仕事に従事している方は注意しましょう。 全身の倦怠感や疲労感 特徴 説明 持続的な疲労感 ほぼ一日中、疲れを感じることがある 発熱や悪寒 発熱や悪寒などの全身症状を伴うことがある 関節の違和感や腫れ 関節の炎症が進むと、違和感や腫れが生じ、倦怠感を伴う 乾癬性関節炎の症状として、全身の倦怠感や疲労感を伴うことがあります。関節の違和感や炎症、皮膚がボロボロになるなどの症状とともに身体の気だるさを感じた場合、乾癬性関節炎の疑いがあります。 生活に支障が出る場合は、無理をせずに医療機関を受診し、生活習慣の見直しやストレスを感じにくい環境に身を置くのが大事です。 乾癬性関節炎を初期から見抜こう!症状チェックリスト チェック項目 概要 関節に違和感を感じる 関節の動きにくさや違和感がある 3カ月間の間に週2回以上関節痛の薬を服用した 頻繁に違和感を抑制するための薬を使用している 腰の違和感で睡眠中に目が醒める 腰の不快感で睡眠が妨げられる 朝起きてから30分以上手指にこわばりがある 朝の手指のこわばりが長時間続く 手首や手指に違和感を感じる 日常の動作で手首や手指に違和感がある 足先や足首に違和感を感じる 足の関節に違和感を覚える ひじやおしりに違和感を感じる ひじやおしりの関節に不快感がある 手首や手指が腫れている 手首や手指の腫れが目立つ 手指が3日以上腫れや違和感を感じる 3日以上手指に腫れや違和感が続いている アキレス腱が腫れている アキレス腱が腫れて違和感もある状態 1日中疲れを感じている 常に倦怠感や疲労感が抜けない 乾癬性関節炎には、初期症状があります。これから紹介するチェックリストの内容が3つ以上当てはまった方は、乾癬性関節炎の疑いがあるため、医療機関の受診が必要です。 1.関節に違和感を感じる 症状 概要 軽いこわばりや違和感 朝起きたときや長時間同じ姿勢の後に、関節のこわばりや違和感がある 関節の動かしにくい 以前はスムーズに動かせた関節が、少し動かしにくく感じる 関節の腫れぼったさ 見た目には腫れがなくても、関節が腫れぼったく感じる 関節の熱感 関節が熱っぽく感じることがある 乾癬性関節炎の初期段階では、関節に違和感が出ることがあります。日常生活で関節の動かしにくさや、見た目は腫れていないのに腫れぼったさを感じる場合は、乾癬性関節炎の疑いがあります。 日常生活で多少不便に感じているものの、大きな支障がない場合はとくに要注意です。症状が進行すると関節の破壊や変形につながる恐れがあります。(文献2) 2.3カ月間の間に週2回以上関節痛の薬を服用した 3カ月間に週2回以上、関節痛の薬を服用しているにもかかわらず症状が改善に向かわないのは、単なる関節痛ではなく、乾癬性関節炎の可能性が高いです。(文献2) 薬を飲んでいるのに改善が望めない場合は、一度医療機関の受診をおすすめします。 3.腰の違和感で睡眠中に目が醒める 乾癬性関節炎は、関節だけでなく、脊椎や仙腸関節に炎症を起こすケースもあります。腰の違和感は腰痛や別の症状と勘違いされることも多く、初期症状としては気づきにくいです。 とくに腰に日常的に違和感を感じている方は、乾癬性関節炎に気づかず、睡眠中に目が覚めたとしても、日常的なことで済ませてしまいがちです。 腰に違和感があり睡眠の妨げになると、健康上でのリスクも懸念されるため、早めに医療機関を受診する必要があります。 4.朝起きてから30分以上手指にこわばりがある 朝の手指のこわばりは、関節に炎症が起きているサインです。関節に違和感や炎症が起きると手指がこわばり、症状によっては30分以上持続するケースもあります。 また、朝の手指のこわばりがストレスになり、症状を悪化させる可能性が懸念されます。朝起きてから30分以上、手指にこわばりが起こる場合は、一度医療機関で医師に相談しましょう。 5.手首や手指に違和感を感じる 症状 詳細 関節の腫れと違和感 指の第一関節(DIP関節)や指全体が腫れる、左右非対称に起こりやすい こわばり 朝起きたときに手首や手指がこわばるが、日中に身体を動かすと症状が軽くなる ソーセージ指 指全体がソーセージのように腫れ上がる 爪の変化 爪の凹み、変色、剥がれなどが起こる 手首や手指に普段見ない爪の変化や、ソーセージ指の症状が現れた場合、乾癬性関節炎を疑う必要があります。 症状が大きく進行している可能性があるため、医療機関への受診が必要です。 6.足先や足首に違和感を感じる 症状 詳細 関節の腫れと違和感 足の指、足首の関節が腫れて、違和感がある 足底の違和感 かかとや足の裏に違和感がある(足底筋膜炎、アキレス腱付着部炎を併発しやすい) 指の腫れ(ソーセージ指) 足の指全体がソーセージのように腫れ、違和感や熱感を伴う 関節のこわばり とくに朝に強く、日中動くと軽減する 乾癬性関節炎は、手指だけでなく、足先や足首の関節にも炎症が起こります。とくに足の指、足首、かかとなどの小さな関節に症状が出やすく、こわばりやソーセージのような腫れが現れます。 手首や手指同様に、症状が大きく進行している可能性があるので、医療機関への受診が必要です。 7.ひじやおしりに違和感を感じる 部位 症状 詳細 ひじ 違和感、腫れ、こわばりなど 外部からの刺激を受けやすく、乾癬の皮膚症状が現れやすい部位であり、関節炎も発症しやすい おしり 違和感、こわばり、坐骨神経痛のような症状 ひじと同様に、乾癬の皮膚症状が現れやすい部位であり、おしりの付け根部分(仙腸関節)は、炎症が起こりやすい ひじやおしりは、乾癬の皮膚症状と関節炎の両方が現れやすい部位です。ひじやおしりも該当箇所による違和感や炎症だけでなく、坐骨神経痛のような症状が出る場合もあります。 とくにおしりはケアがしにくい箇所なので、症状が出た場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 8.手首や手指が腫れている 症状 詳細 左右非対称性 関節リウマチとは異なり、左右対称ではなく、どちらか一方の手足に症状が現れることが多い 指趾炎(ソーセージ指) 指全体がソーセージのように腫れ上がり、違和感や熱感を伴う 末梢関節炎 手足の指先の小さな関節(末梢関節)に炎症が起こりやすく、腫れや違和感を起こす 爪の変化 爪の変形(凹み、変色、剥がれなど) 手首や手指が腫れる症状は、関節リウマチと似ています。しかし左右対称ではなく、どちらか一方の手足に症状が現れる部分が異なります。 また、爪の変形や指全体が腫れ上がるソーセージ指も、乾癬性関節炎のサインです。手首や手指に普段感じることのない、腫れや炎症が起きた場合は、自己判断はせずに医療機関を受診しましょう。 9.手指が3日以上腫れや違和感を感じる 手指の腫れや違和感が3日以上続く場合、乾癬性関節炎の可能性が高いです。3日以上腫れや炎症が引かない場合に放置しておくと、症状が悪化につながります。 放置や自己判断は、症状を進行させるだけでなく、後遺症になる可能性があるため、早めの治療が大切です。 10.アキレス腱が腫れている 乾癬性関節炎は、関節だけでなく腱や靭帯の付着部にも発症します。アキレス腱が腫れると、踵に違和感が生じ、重症だと歩行が困難になるケースもあります。 アキレス腱の腫れに加えて、関節のこわばりや指の腫れなど他の症状がある場合、乾癬性関節炎の疑いがあり、放置すると歩行が難しくなり、日常生活に支障をきたします。 症状が重くなる前に医師へ相談し、適切な治療を受けましょう。 11.1日中疲れを感じている 項目 詳細 原因 自己免疫疾患による慢性的な炎症や、精神的なストレス 症状 休息や睡眠で回復しない疲労感、日常生活困難なほどの倦怠感 日常生活への影響 仕事、家事、趣味への支障や睡眠の質低下、疲労感悪化 症状の特徴 単なる疲れとは異なる 乾癬性関節炎は、免疫系に異常が起こり、関節や皮膚だけでなく全身に悪影響を及ぼします。 乾癬性関節炎を発症すると、炎症性サイトカインと呼ばれる物質が過剰に産生され、疲労感や倦怠感を引き起こしやすくなります。 疲労感や倦怠感だけでは、乾癬性関節炎だと判断するのが難しいです。そのため、疲労感と合わせて関節や皮膚に症状が出ていないか確認しましょう。 乾癬性関節炎を重症化させないための対策 乾癬性関節炎は適切な対策を行うことで、活動性を抑えられます。 早めの受診を心がける 生活習慣の見直し ストレス管理を行う 感染予防に努める 乾癬性関節炎への対策を解説します。 早めの受診を心がける 乾癬性関節炎は、早期診断と適切な治療の開始により、関節破壊の進行を抑制できます。 2025年現在、乾癬性関節炎を完治する治療法はありません。しかし、症状の進行を遅らせつつ、重症化を避けることはできます。(文献2)(文献3) 皮膚の炎症や爪の変形などが症状として現れた際は、早めの受診が大切です。 以下の記事では、乾癬性関節炎は何科を受診するべきかを症状別で解説しています。 生活習慣の見直し 栄養素 効果 食材例 オメガ3脂肪酸 炎症抑制 青魚(サバ、イワシ、マグロなど)亜麻仁油、えごま油 抗酸化物質 関節ダメージ軽減 緑黄色野菜、果物、ナッツ類 ビタミンD 免疫機能調整、骨の健康維持 魚介類、卵、キノコ類 カルシウム 骨の健康維持 乳製品、小魚、緑黄色野菜 食物繊維 腸内環境調整、免疫機能調整 野菜、果物、海藻、きのこ (文献4)(文献5) 生活習慣の見直しは、乾癬性関節炎の症状の抑制に役立ちます。抗炎症作用のある食品(青魚、野菜、果物など)を中心とした食生活を始め、適度な運動や十分な睡眠と休息を行いましょう。 また、禁煙と過度な飲酒は、乾癬性関節炎のリスクを高める可能性があります。 生活習慣の改善はあくまでも、補助的なものなので、医師の指示に従い適切な治療を受けましょう。 以下では症状を予防する食事について詳しく紹介しています。 ストレス管理を行う ストレスや生活習慣などの環境要因で、乾癬性関節炎を悪化させる可能性があります。 ストレスは炎症性サイトカインと呼ばれる物質の分泌を促し、関節や皮膚の炎症を悪化させます。そのため、ストレスの少ない環境で治療を行うのが大切です。 精神的なもの以外にも暴飲暴食など、無意識に身体に与えるストレスにも注意が必要です。ストレスを抱え込まない、十分な睡眠やリラックスできる環境を行いましょう。 感染予防に努める 対策項目 詳細 手洗い・うがい 外出後、食事前、トイレ後などは徹底して行う マスクの着用 飛沫感染のリスクを軽減 予防接種 医師と相談の上、適切な予防接種を受ける 規則正しい生活 十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動など 早期受診 発熱、咳、喉の違和感などは、早めの受診を心がける 乾癬性関節炎は、免疫系の異常によって引き起こされる自己免疫疾患の1つです。免疫機能が過剰に活性化している影響で、感染症に対する抵抗力が低下している可能性があります。(文献2) 感染症を防止するには、手洗いやうがいを徹底し、規則正しい生活を送ることが大切です。 また、乾癬性関節炎の治療では免疫抑制薬が使用されることが多く、感染症にかかりやすくなるリスクがあるため、医師の指示に従った感染症対策が重要になります。 乾癬性関節炎に限らず、発熱、咳、喉の違和感が生じた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 乾癬性関節炎は初期症状の段階で受診しよう 乾癬性関節炎は初期症状の段階で、医療機関を受診するのが大切です。乾癬性関節炎を完治する治療法は確立されていませんが、症状の活動性を抑制し、進行を抑えることはできます。 乾癬性関節炎の初期症状だと感じた方は当院「リペアセルクリニック」へお気軽にご相談ください。 再生医療を活用し、乾癬性関節炎の進行を抑え、回復を促します。乾癬性関節炎ではないかとお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にお問い合わせください。 参考文献 (文献1) 高山かおるほか.「手湿疹診療ガイドライン」『日本皮膚科学会ガイドライン』pp.1-20,2008年 https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/Hand_eczema_GL.pdf(最終アクセス:2025年3月14日) (文献2) 日本リウマチ学会「乾癬性関節炎(PsA)」 https://www.ryumachi-jp.com/general/casebook/kansenseikansetsuen/#:~:text=%E4%B9%BE%E7%99%AC%E6%80%A7%E9%96%A2%E7%AF%80%E7%82%8E%EF%BC%88PsA%EF%BC%89%E3%81%A8,%E6%AF%94%E3%81%AF%E3%81%BB%E3%81%BC%E5%90%8C%E3%81%98%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82(最終アクセス:2025年3月14日) (文献3) 厚生労働科学研究費補助金「乾癬性関節炎の不可逆的関節破壊進行阻止のための早期発 見と治療を目指した診療ガイドライン策定に関する研究 」2019年 https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/download_pdf/2018/201811014B.pdf(最終アクセス:2025年3月14日) (文献4) S Upala,&A Sanguankeo(2015).Effect of lifestyle weight loss intervention on disease severity in patients with psoriasis: a systematic review and meta-analysis.PudMed https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25920774/ (Accessed: 2025-03-14) (文献5) Céline Phan, MD,et al.(2018)Association Between Mediterranean Anti-inflammatory Dietary Profile and Severity of PsoriasisResults From the NutriNet-Santé Cohort,JAMA,Network 10.1001/jamadermatol.2018.2127(Accessed: 2025-03-14)
2025.03.31 -
- その他、整形外科疾患
「歩けるけど痛い。これって肉離れなの?」と不安に思っていませんか? 肉離れは、筋肉が部分的に損傷するけがで、重症度によっては歩行が可能なケースもあります。しかし、「歩けるから大丈夫」と油断すると、悪化や再発のリスクが高まることもあるため要注意です。適切な処置を行うことで、早期回復につながります。 本記事では、肉離れで歩けるけど痛い場合の原因や対処法、早く治すためのポイントを詳しく解説します。正しい知識を身につけて、無理なく回復を目指しましょう。 【基礎知識】肉離れとは 肉離れは、筋肉が部分的または完全に損傷する怪我であり、急激な動きや過度の負荷によって発生します。スポーツ活動中に多く見られますが、日常生活の中でも突然の動作や無理な姿勢によって起こることがあります。 とくに太ももの裏側(ハムストリングス)やふくらはぎ(下腿三頭筋)に発生しやすく、急な痛みや腫れ、内出血などを伴います。症状の程度は軽度の筋繊維の損傷から完全断裂までさまざまです。 適切な初期対応としては、RICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上)が基本です。重症度によっては医療機関での診察が必要で、完全な回復には適切なリハビリテーションと十分な休養期間が欠かせません。再発予防のためには、ウォームアップやストレッチを習慣づけることが重要です。(文献1) 歩けるけど痛い肉離れの状態 歩行時に痛みを感じるものの歩ける状態は、軽度の肉離れの可能性が高いといえます。しかし、この段階で無理をすると症状が悪化する恐れがあるため、細心の注意が必要です。 肉離れは以下のように分類されます。 重症度 状態 軽度(1度) 筋肉のわずかな損傷 中度(2度) 筋肉、筋膜の一部断裂状態。皮下出血や患部のへこみが見られる場合がある 重度(3度) 筋繊維や筋膜の断裂。患部のへこみが明確に確認できる (文献2) 軽度であっても適切な処置を怠ると、より重症化する可能性があります。痛みを感じた場合は早めに安静にし、冷却などの応急処置を行いましょう。 自己判断で放置せず、専門医による適切な診断と治療を受けることが、完全回復への近道となります。痛みが持続する場合は、迷わず医療機関の受診をおすすめします。 肉離れで歩けるけど痛いときの対処法 肉離れを起こした際は、RICE処置が効果的な応急処置としておすすめです。 Rest(安静):無理に歩かず、患部を休ませる Iceing(冷却):アイシングを行い、炎症を抑制する Compression(圧迫):テーピングやサポーターで患部を固定する Elevation(挙上):足を心臓より高い位置に保ち、腫れを防ぐ 少し痛いけど歩けるから大丈夫といった考えは危険です。症状が軽いうちに適切な対応をしないと、再発リスクが高まります。痛みがあるにもかかわらず無理に活動を続けると、治癒が遅れる可能性があります。 軽度の肉離れであっても、初期の適切な対応が肝心です。痛みを感じたら早めに処置を行い、必要に応じて医療機関の受診が重要です。完全に回復するまで段階的に活動を再開するよう心がけましょう。 肉離れを早く治すポイント 肉離れは損傷の程度によって治療が異なりますが、回復を促進する重要なポイントがいくつかあります。効果的な回復を目指すためには、以下の3つの側面からのケアが不可欠です。 ストレッチやリハビリ 食事 再生医療(PRP療法) 損傷の程度や回復段階に合わせて適切に組み合わせると、早期回復を目指せます。 ストレッチやリハビリ 軽度から中度の肉離れでは、適切なタイミングで軽いストレッチを行うことで回復を促す効果があります。筋肉の柔軟性を維持し、血行促進や筋繊維の再生を促し、治癒を早めるのです。 しかし、ストレッチやリハビリテーションの開始時期や運動強度を、自己判断しないことです。不適切なタイミングや強度でのストレッチは、損傷した筋組織にさらなる負担をかけ、治癒を遅らせたり症状を悪化させたりする恐れがあります。 医師や理学療法士などの専門家に相談し、個々の状態に合わせた適切なリハビリテーションのプランを立ててもらうことが必須です。肉離れの回復のためには、専門家の指示に従いましょう。 食事 肉離れの予防および治療過程では、適切な栄養摂取が筋組織の修復と強化に重要な役割を果たします。タンパク質の十分な摂取は、損傷した筋繊維の再生と強化に不可欠です。良質なタンパク質源として鶏肉、魚、卵、乳製品、豆類などを積極的に食事に取り入れましょう。 ビタミン類も肉離れの回復をサポートします。ビタミンはコラーゲン生成を促進し、筋機能の維持を助けます。カルシウム、マグネシウム、亜鉛などのミネラルは筋肉の修復に必要不可欠です。(文献3)(文献4) 栄養素をバランスよく摂取すれば、肉離れからの回復が促されるだけでなく、再発リスクも低減できます。ただし、サプリメントに頼る前に、まずはさまざまな食品から自然な形での栄養摂取が基本です。 再生医療(PRP療法) PRP(多血小板血漿)療法は、患者自身の血液から抽出した血小板を高濃度に濃縮し、損傷部位に直接注入する再生医療の一種です。血小板には組織修復を促す物質が豊富に含まれており、患部に直接注射するため治療に効果が期待できます。 肉離れに対するPRP療法は、筋線維や筋膜の修復を加速させるでしょう。従来の保存療法で回復が遅い症例や、中度から重度の損傷に対して有効性が報告されています。PRP注入により、損傷部位の炎症を抑制しながら組織再生を促進し、修復と機能回復を目指します。 リペアセルクリニックでは、あなたの症状に合わせた治療プランをご提案します。再生医療による治療も行っておりますので、メール相談やオンラインカウンセリングをご利用の上、お気軽にお問い合わせください。 肉離れと間違えやすいケガ一覧 肉離れの症状は、ほかの部位のケガと似ている場合があり、適切な治療のためには正確な診断が重要です。注意すべき紛らわしいケガには以下の3つがあります。 筋肉痛 靭帯損傷 アキレス腱断裂 それぞれ発症の状況や治療法が異なるため、症状が似ていても医師による正確な診断が必要です。 筋肉痛 筋肉痛と肉離れは、しばしば混同されやすいものの、発症時期や症状に明確な違いがあります。 筋肉痛は、一般的に運動後の12〜48時間経過してから徐々に痛みが現れる「遅発性筋痛」の特徴を持ちます。これは筋繊維の微小損傷による炎症反応が原因で、外観上の変化はほとんど見られません。通常は数日間で自然に回復します。 肉離れは受傷と同時に即座に痛みを感じるのが特徴です。これは筋線維や筋膜が急激に損傷するために起こります。さらに特徴的なのは、皮下出血による紫色や青色の変色、また筋繊維の断裂により筋肉にくぼみが現れる場合があることです。 発症時期と外観の違いは、自己判断の場合のチェックポイントになります。即時に強い痛みを感じ、外観に変化がある場合は肉離れの可能性が高く、早急な医療的対応が必要です。 靭帯損傷 靭帯損傷は、関節を安定させる重要な結合組織が過度に伸びたり、部分的あるいは完全に断裂したりするために生じる外傷です。主な症状として、受傷直後からの強い痛みと、速やかに現れる腫れが特徴的です。 痛みは非常に強烈であるため、患者は損傷部位周辺の関節や筋肉をほとんど動かせないことがあります。このような可動域の著しい制限は、靭帯損傷の重要な特徴の1つです。(文献5) 損傷の程度によっては、関節の不安定性やきしみ音を伴うこともあり、足首や膝などの荷重関節では、体重をかけることが困難になることも少なくありません。 靭帯損傷が疑われる場合は、自己判断での運動再開を避け、医療機関での診断と治療を受けることが重要です。 アキレス腱断裂 アキレス腱断裂は、下腿三頭筋と踵骨(かかとの骨)を連結する人体最大の腱であるアキレス腱が切れる深刻な外傷です。受傷時には、非常に特徴的な症状が現れます。 多くの人は断裂瞬間に「バチッ」「パチン」といった音を聞く場合もあり、後ろからかかとを強く蹴られたような感覚を経験します。続いて足首からふくらはぎにかけての激痛が走ります。 動作の特徴として、通常の歩行は可能であっても、つま先立ちができなくなることが挙げられます。アキレス腱はつま先を下に向ける動きに必要であるためです。(文献5) このような症状がある場合は、早急に整形外科を受診しましょう。適切な治療が遅れると、回復に要する時間が長くなる可能性があります。 肉離れで歩けるけど痛いときに病院にいくべき判断ポイント 肉離れにおいて、歩けるから大丈夫といった自己判断は非常に危険です。たとえ歩行可能な軽度の肉離れであっても、医療機関での受診をおすすめします。理由は、適切な治療が回復に大きく影響するためです。 軽度と思われる症状であっても、専門家の目で評価されない限り、その損傷の状態を正確に判断するのは難しいためです。自己判断で経過観察を選択すると、治療の適切なタイミングを逃がし、症状が悪化する可能性があります。 以下のような場合は受診を考えましょう。 痛みが24時間以上続く 患部に腫れや内出血がある 通常の動作で痛みが増す 過去に肉離れを経験している 初期段階での適切な診断と処置は、回復期間の短縮や再発リスクの低減、筋肉の機能維持につながります。最終的には、専門家の判断に従いましょう。(文献6) 歩けるけど痛い肉離れでも病院を受診しよう 肉離れの疑いがある場合は、症状の程度にかかわらず、迅速な医療機関の受診をおすすめします。歩けるから大丈夫といった判断は、肉離れの治療において誤った判断となります。痛みを感じながら歩行可能な状態であっても、決して自己判断で経過観察をしてはなりません。 医師による適切な診断は損傷の正確な状態を把握し、患者本人に合った治療計画を立てる上で不可欠です。早期の適切な処置は、回復期間の短縮だけでなく、再発防止や今後の筋肉状態の維持にも関わります。 肉離れと思われる症状を感じたら、様子を見ようと考えるのではなく、早めの受診を心がけましょう。一見軽度に思える症状でも、医師が診察すると予想以上の損傷が見つかる場合もあります。 自分の身体を大切にし正しい判断を仰ぐことが、スポーツ復帰への最短ルートです。 肉離れでお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」のメール相談やオンラインカウンセリングにてお気軽にお問い合わせください。 参考文献 文献1 医療法人社団 信愛会 瀬戸整形外科クリニック「肉離れの応急処置、および、治療&予防方法」瀬戸整形外科クリニックホームページ https://setoseikei.com/2024/10/21/first-aid-for-separation-of-the-flesh/(最終アクセス:2025年3月16日) 文献2 MSD「捻挫およびその他の軟部組織損傷の概要」MSDマニュアルプロフェッショナル版,2023年7月 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/22-%E5%A4%96%E5%82%B7%E3%81%A8%E4%B8%AD%E6%AF%92/%E6%8D%BB%E6%8C%AB%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E3%81%9D%E3%81%AE%E4%BB%96%E3%81%AE%E8%BB%9F%E9%83%A8%E7%B5%84%E7%B9%94%E6%90%8D%E5%82%B7/%E6%8D%BB%E6%8C%AB%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E3%81%9D%E3%81%AE%E4%BB%96%E3%81%AE%E8%BB%9F%E9%83%A8%E7%B5%84%E7%B9%94%E6%90%8D%E5%82%B7%E3%81%AE%E6%A6%82%E8%A6%81?query=%E7%AD%8B%E6%8C%AB%E5%82%B7(最終アクセス:2025年3月16日) 文献3 城西大学「アスリート・運動をする人が摂るべき栄養素やサプリメントについて解説」JOSAI★LAB,2024年12月27日 https://www.josai.ac.jp/josai_lab/692/(最終アクセス:2025年3月16日) 文献4 TENTIAL「肉離れからいち早く回復するための食事とは?必要な栄養素を解説」TENTIALホームページ,2021年2月23日 https://tential.jp/journals/others/flesh_away/010(最終アクセス:2025年3月16日) 文献5 あらおと整形クリニック「靭帯損傷・腱断裂・肉離れ」あらおと整形クリニックホームページ http://www.araoto.net/wound/ligament.html(最終アクセス:2025年3月16日) 文献6 森整形外科リハビリクリニック「肉離れ」森整形外科リハビリクリニックホームページ https://www.moriseikei.or.jp/weaned-off-meat/(最終アクセス:2025年3月16日)
2025.03.31