-
- 幹細胞治療
- 脊椎
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 胸椎椎間板ヘルニア
- 再生治療
ヘルニアの種類と後遺症に再生医療という新たな治療法を解説 ヘルニアには数多くの種類があります。代表的なヘルニアは椎間板ヘルニアです。 椎間板ヘルニアは、誰しも発症する可能性がある疾患の1つです。椎間板ヘルニアでは強い症状で悩んでいる場合などに手術療法を行います。しかし、場合によっては手術よりも、その後の後遺症に困ることがあり、注意が必要です。 本記事では、ヘルニアの種類と症状、そして再生医療と呼ばれる最新の治療方法について解説します。特に椎間板ヘルニアに不安がある方や、手術後の後遺症でお困りの方はぜひ参考にしてください。 ヘルニアの種類 ヘルニアとは、体の中にある臓器や器官などが本来あるべき部位から出てきてしまった状態です。さまざまな種類のヘルニアがありますが、ここでは代表的なヘルニアについて紹介します。 椎間板ヘルニアとは 椎間板ヘルニアとは、数多くある背骨の骨と骨の間の、椎間板と呼ばれる組織が飛び出した状態です。若い男性に比較的多い疾患であり、タバコを吸うことで発症しやすくなります。 椎間板には骨と骨とをつなぐクッションのような役割がありますが、飛び出すと周りにある神経を圧迫してさまざまな症状が出現します。 椎間板ヘルニアの症状 首(頚)にある椎間板が飛び出せば頚椎椎間板ヘルニアと呼ばれ、手のしびれや痛みなどの症状が現れます。 また、胸部や腰部の椎間板ヘルニアはそれぞれ胸椎椎間板ヘルニア、腰椎椎間板ヘルニアと呼ばれます。 椎間板ヘルニアの検査 椎間板ヘルニアを診断するためにはMRI検査やCT検査、レントゲン検査などを行います。MRI検査は神経の状態をチェックするのに優れており、椎間板ヘルニアを診断するために最も重要な検査です。 椎間板ヘルニアの治療方法 椎間板ヘルニアの治療は、手術以外の治療(保存療法)と手術療法の大きく2つに分けられます。 保存療法 一般的に、椎間板ヘルニアは痛み止めの飲み薬や注射、コルセットなどの装具療法やリハビリなどで改善することが多いです。 椎間板ヘルニアの治療 ・痛み止めの飲み薬や注射 ・コルセットなどの装具療法 ・リハビリ しかし、椎間板による神経圧迫の根本的な治療ではないため、再発する可能性が高いです。 手術療法 しびれや痛みなどの症状が強い場合や保存療法では改善しない場合などには手術療法を検討します。 手術療法は、目で見て確認しながら治療できるというメリットがありますが、体にかかる負担や入院が必要となるケースも多く、患者さんの苦痛になりやすいというデメリットもあります。 また、椎間板ヘルニアの手術にはリスクがある場合もあります。手術の際に脊髄と呼ばれる背中の神経を傷つけてしまうと、手や足のしびれ、感覚異常などの脊髄損傷による症状が現れます。 当クリニックでは脊髄損傷に対して有効な最新の再生医療を用いた治療を行っています。 鼠径ヘルニア 鼠径ヘルニアは、いわゆる脱腸の状態です。症状としては、太ももの付け根にある筋肉のすき間から腸がお腹の外に飛び出して、膨らみや痛みを感じる疾患です。 先天性により生まれつき鼠径ヘルニアがある場合や、重い荷物を持つ、排便する時にお腹に力を入れる、年を取ることなどが原因で発症する場合もあります。 鼠径ヘルニアは、触診や超音波検査、CT検査などで診断します。そして基本的には手術療法でのみ治療できます。 発見したら速やかに手術をしないといけないわけではありませんが、脱腸がお腹の中に戻らなくなる嵌頓(かんとん)という状態となり、激しい痛みが出て腸が腐ってしまう場合があるため、早めに手術をしておくのがおすすめです。 原因 ・先天性(生まれつき) ・重い荷物を持つ ・排便時にお腹に力を入れる ・加齢 大腿ヘルニア 大腿ヘルニアの症状は、鼠径ヘルニアの近くから腸がお腹の外に脱出する疾患です。やせ型の高齢女性に多く見られます。 鼠径ヘルニアよりも嵌頓する危険性が高いため、速やかな手術療法が望ましいです。 臍ヘルニア 臍ヘルニアは、一般的に「でべそ」と呼ばれる状態です。 子どもの場合、産まれた時にへその緒がついている部位が閉じきれなかった場合に臍ヘルニアになります。また、大人では肥満、妊娠などが原因で臍ヘルニアを発症することもあります。 子どもでは成長とともに改善する場合も多いです。一方で大人の場合は改善することはほとんどなく嵌頓する危険性も高いため、基本的には手術を行います。 原因 ・子供:出産時、へその緒が閉じきれなかった場合 ・大人:肥満、妊娠など 再生医療 再生医療とは、自身の体を再生する力(治癒力)を利用した最新医療です。例えば、怪我をした時に自然にかさぶたができてやがて元の状態に戻っていきますが、再生医療ではこのような自然治癒力を利用しています。 近年、さまざまな医療分野の最先端の治療法として再生医療が用いられています。当クリニックでは、椎間板ヘルニアの術後後遺症に対して再生医療である幹細胞治療を行っています。 再生医療「幹細胞治療」とは 幹細胞とは、さまざまな細胞に変化できる細胞のことです。まわりの細胞が傷ついたり細胞の個数が減ったりした時に、幹細胞が分裂してその細胞の代わりとなります。 幹細胞には、軟骨や皮膚などさまざまな細胞に変化できる分化能と呼ばれる機能があります。 当クリニックでは、お腹の脂肪(米粒2粒程度)を採取して幹細胞を培養し、規定量にまで増やしてから患部に戻す体への負担も少ない方法です。 自身の脂肪や血液を用いて再生医療を行うため、アレルギーや拒絶反応が起こりにくく、安全性が高いというメリットがあります。 当院独自の培養方法 当クリニックの幹細胞の培養方法は、一般的な医療機関で行われる冷凍して保存する方法とは異なり、冷凍せずに都度培養することで新鮮な幹細胞を投与することが可能です。 新鮮で元気、質の良い幹細胞を多く投与するほど治療効果が高いと報告されています。当クリニックは、独自の技術により幹細胞を1億個以上、増やせるため、高い治療効果を見込むことができます。 また、培養には余分な薬剤や不純物を使いません。さらに牛などの代替血液を用いません。ご自身の血液を用いて細胞を培養するためアレルギーや拒否反応などの合併症も極めて少ないです。 椎間板ヘルニアの術後後遺症に再生医療という選択肢 代表的なヘルニアの1つが椎間板ヘルニアです。椎間板ヘルニアは手足の痛みやしびれなどの症状が現れ、日常生活を送りにくくなる疾患です。 まずは保存療法を行いますが、改善が見られない場合や強い症状に悩む時には手術療法を選択するのですが手術後に手や足のしびれが残存したり、感覚異常などの術後、後遺症が出ることがあるため注意が必要です。 当クリニックでは、幹細胞を脊髄損傷部位に直接投与する脊髄腔内ダイレクト注射療法という国内でもほとんど行われていない最新の治療法で神経を再生することを目指しています。 一般的な再生医療では点滴によって細胞を体に戻しますが、損傷部位に到達する細胞は少なくなってしまいます。当クリニックの治療法では細胞を直接投与するためすべての細胞が損傷部位に到達でき、再生医療による効果がより期待できます。 治療自体は注射を行うのみであり数分で終了します。注射にともなう痛みも強くないため気軽に受けられる治療法です。また、幹細胞の点滴も同時に行えばさらに治療効果を期待できます。 椎間板ヘルニアの術後後遺症には、最新の再生医療である幹細胞治療がおすすめです。当クリニックでは独自の培養技術により高い安全性と効果をかねそなえた治療を数多く行っています。ご不明点がございましたらご遠慮なくお問合せ下さい。 https://youtu.be/4AOGsB-m63Y?si=sQ9ws8CluU_SRVWQ まとめ・ヘルニアの種類と再生医療の適応について ヘルニアは様々な種類があり、その中でも代表的な椎間板ヘルニアは比較的発症する可能性が高い病態です。保存療法での治療もできるものの、症状が強い場合には手術が必要となることもあります ただ手術は、術後に後遺症が残るケースも少なくありません。 そこで、注目されているのが再生医療です。再生医療はご自身の幹細胞を培養し、身体の治癒力を活用して再生を即す治療法です。当クリニックでは、椎間板ヘルニアの術後後遺症に対して、最新の再生医療である幹細胞治療をお勧めしています。 この治療法は、幹細胞を直接損傷部位に投与することで高い効果を期待できます。また、治療自体は注射のみであり、身体にも優しく、安全性が高いとされています。 椎間板ヘルニアの術後後遺症に悩む方にとって、再生医療は新たな希望となるかもしれません。当クリニックでは独自の技術と豊富な経験を活かし、患者様の健康と快適な生活のために最善の治療を提供しています。 気になる点やご相談事がありましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。 椎間板ヘルニアの術後後遺症にお困りの方はぜひご相談ください。 ▼ヘルニアの手術の後遺症についても参考にされませんか 椎間板ヘルニアと手術後、後遺症の治療法について
公開日:2024.10.07 -
- 幹細胞治療
- 脊椎
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 再生治療
椎間板ヘルニアと手術後、後遺症の治療法について 椎間板ヘルニアは、高齢者はもちろんのこと、スポーツや重労働をする若い人もなりうる病気の1つです。手や足のしびれや痛みが出てくるので、生活の質を低下させてしまいます。 治療法として保存治療や手術がありますが、術後でも症状が残ってしまう可能性があります。 これまでは術後の後遺症に対しては、対症療法が中心でしたが、最新治療として再生医療(幹細胞治療)を用いた治療が注目されており、根治につながるのではないかと期待されています。 そこで、本記事では椎間板ヘルニアの概略から最新の治療までを紹介していきます。 椎間板ヘルニアとは 人間の背骨は、脊椎といわれる骨とその間にある椎間板という組織から構成されます。脊椎は場所により名称が変わり、頸椎・胸椎・腰椎・仙椎に分類されます。 また、椎間板は脊椎が柔軟に動くためのクッションの役割を果たしています。椎間板ヘルニアとは、何らかの原因で椎間板が変形してしまい後ろに飛び出してしまっている状態のことです。椎間板ヘルニアは先述したどの脊椎にも起こる可能性があり、生じた部位により名称が変わります。 椎間板ヘルニアの原因 原因は、加齢による椎間板の変性や、外力により椎間板に過度な負担がかかることが挙げられています。脊椎の中でも腰椎が最も外力による負担が大きいため、腰椎椎間板ヘルニアが最多です。 椎間板ヘルニアの症状 椎間板ヘルニアの症状としては、椎間板の脱出により脊椎内を通過している脊髄などの神経を刺激することで、痛みやしびれが生じます。どの部位の神経が刺激されるかにより、症状が生じる部位も変わります。 例えば、頚椎では首や肩、手のしびれや痛みが主に生じますが、腰椎では坐骨神経痛と呼ばれる足のしびれや痛みが生じます。 椎間板ヘルニアの治療法 椎間板ヘルニアの治療法は保存療法と手術療法とがあり、多くの場合、まずは保存療法が行われます。 保存療法 保存療法としては、椎間板にかかる負担が少なくなるように安静を保つことや、しびれや痛みを抑えるために鎮痛薬の内服や神経ブロック、リハビリをメインとした理学療法が行われます。 椎間板ヘルニア治療、保存療法の種類 ・鎮痛薬の内服 ・神経ブロック ・リハビリテーション これらの保存療法を行っても症状の改善が乏しい場合や症状が強い場合は手術を検討することになります。 手術療法 例えば、椎間板ヘルニアで最も多い腰椎の手術には、「顕微鏡下椎間板摘出術」や、「内視鏡下ヘルニア摘出術」、 「経皮的髄核摘出術」があります。 また、「経皮的レーザー椎間板減圧術」と呼ばれる治療法もあります。これは神経を圧迫しているヘルニアにレーザーを照射することで、ヘルニア内に空洞を形成します。それにより神経への圧迫を減らすことが出来るというものです。 各々アプローチは異なりますが、どの手術も脱出している椎間板を取り除くことで神経への刺激を軽減することが目的です。 椎間板ヘルニアの手術療法 ・顕微鏡下椎間板摘出術 ・内視鏡下ヘルニア摘出術 ・経皮的髄核摘出術 ・経皮的レーザー椎間板減圧術 手術後の後遺症について 先述した治療により、ヘルニアによる神経への刺激が軽減されることで手や足のしびれや痛みは改善することが多いです。 しかし、手術を受けたにも関わらず手足のしびれや痛みが残ったり、中には手術前よりも強い症状が見られる場合があります。このような後遺症を抱える原因としてはいくつかあります。1つはヘルニアの再発です。 1.ヘルニアの再発 腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン2021(改訂第3版)によると、症状の有無にかかわらず術後2年で23.1%(25/108)の患者が再発していたというデータがあります。 症状のない人も含めてですが、およそ4人に1人はヘルニアが再発してしまうということになります。仮にヘルニアが再発したとしても、症状がなければ様子をみるだけですし、症状があったとしても軽いものであれば保存療法がまず行われます。 しかし、保存療法でも奏功しない場合は再手術が必要となりますが、以前の手術による影響で難易度は高くなってしまうことが多いです。 2.脊髄神経の損傷 その他の後遺症が起こる原因としては脊髄の不可逆的な損傷があります。脊髄を含む神経は外力などの刺激により一度損傷が起こると、元通りに回復することはありません。 そのため、手術により神経を刺激する要因を取り除いたとしても、手術前に受けた損傷が激しい場合は、手術後も手足の痛みやしびれに悩まされる場合があります。 保存療法である鎮痛薬や神経ブロックなどが行われますが、どれも対症療法にしか過ぎません。そこで、最新の治療法として紹介したいのが、再生医療の1つである脊髄腔内幹細胞療法というものです。 この治療法を説明する前に、「再生医療」や「幹細胞」についてお話します。 再生医療による治療 再生医療とは、病気や外傷により失われた臓器や機能を正常な状態に回復させる医療のことです。その中でも特に注目されているのが、幹細胞を利用した再生医療です。 人間の体にある細胞は体細胞と生殖細胞に分けられます。体細胞は心臓や肺といった各臓器を構成する一般的な細胞で、生殖細胞は精子や卵子のように遺伝情報を伝えることの出来る細胞です。 この2つの細胞の元となるのが幹細胞で、その他の細胞と異なり自己複製能と多分化能をもちます。この2つの能力が再生医療に応用されているのです。 脊髄腔内 幹細胞療法 先に紹介した脊髄腔内幹細胞療法は幹細胞を直接脊髄に投与することで、損傷した神経の再生を促し、失った神経の機能を回復させることが期待できます。 幹細胞を用いた脊髄損傷の治療として血管内に点滴で幹細胞を投与することも行われていますが、その治療と比較すると脊髄に直接投与するため、損傷している神経に行き届く幹細胞が多くなります。 その結果、損傷した神経の再生効果を高めることが出来るのです。従来の対症療法に過ぎなかった治療法と異なり、脊髄腔内幹細胞療法は根本的な治療法になりえると考えられます。 まとめ・椎間板ヘルニアと手術後、後遺症の治療法について 今回は椎間板ヘルニアの術後後遺症と治療方法についてお話しました。 再生医療の1つである脊髄腔内幹細胞療法は、上述のように症状を根本的に改善させる可能性があり非常に期待されている治療法です。 https://www.youtube.com/watch?v=4AOGsB-m63Y&t=141s ▶椎間板ヘルニア術後の後遺症に悩んでいる方がいらっしゃいましたら、一度この治療法について検討してみてはいかかでしょうか。お困りの方はぜひ一度ご相談ください。 参考文献 腰椎椎間板ヘルニアガイドライン2021年版 ▼椎間板ヘルニアの手術について参考されませんか 椎間板ヘルニアの内視鏡手術|PELD(PED)、MEDの違いについて
公開日:2024.10.07 -
- 幹細胞治療
- 脊椎
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 再生治療
「腰椎椎間板ヘルニアの症状とはどのようなものか?」 「どの程度で手術が必要になるのか?」 このように疑問を抱く方は多いのではないでしょうか。 腰椎椎間板ヘルニアは、非常によく見かけるヘルニアの一種であり、症状やその重さは人によってさまざまです。場合によっては手術が必要となるケースもあります。 本記事では、腰椎椎間板ヘルニアの具体的な症状や程度、さらに治療法について詳しく解説します。 腰椎椎間板ヘルニアとは? 腰椎椎間板ヘルニアとは、背骨の各骨と骨の間に存在する椎間板と言われる部位が膨隆(膨らんで高くなった状態)や外へ飛び出して神経を圧迫することで、痛みや痺れといった症状が生じるものをいいます。 次章より、腰椎椎間板ヘルニアの症状レベルや治療、そして再生医療の可能性についても触れていきます。 腰椎椎間板ヘルニアの種類(分類) 腰椎とは、腰のあたりにある背骨のことで、5つの骨(椎体:ついたい)から成り立っています。 そもそも背骨は、椎体という骨が上下に積み重なっているような構造をしています。 この椎体と椎体の間には、椎間板(ついかんばん)というクッションのようなものがあり、衝撃を和らげるなどの働きをしています。 椎間板ヘルニアは、この椎間板の中身(髄核:ずいかく)やその中身を包む袋のようなもの(線維輪:せんいりん)が膨らんだり、また外に脱出、飛び出したりすることで、神経を圧迫した状態です。症状が出ていない場合でもヘルニアと診断されることもあります。 人口の約1%(100万人〜120万人)がこの腰椎椎間板ヘルニアに悩んでいるという報告もあり、決して珍しいヘルニアではありません。 男女比はやや男性の方が多く(約2〜3:1)、好発年齢は20〜40才代、好発部位はL4-L5、L5-S1(※)とされています。(※L=腰椎 S=仙椎) 椎間板ヘルニアは、椎間板がどの程度飛び出しているかによって、正中型ヘルニア・傍正中ヘルニア・外側ヘルニアの3種類に分類されます。 それぞれがどのようなヘルニアなのか詳しくみていきましょう。 正中型(せいちゅうがた)ヘルニア 正中型ヘルニアでは、椎間板の中央部で、脊柱の正中、つまり背骨に対してほぼ垂直に飛び出します。(脊柱管の内側に飛び出す) 正中型ヘルニアになると、脊髄や馬尾神経(ばびしんけい)が圧迫されます。 症状としては、まず腰痛があるでしょう。そのほか、両足の痺れや歩行障害、馬尾神経にまで影響があった場合には、排泄障害が伴う可能性があります。 傍正中(ぼうせいちゅう)ヘルニア 傍正中ヘルニアは、正中型よりもやや左右どちらかの外側にずれた方向へ、椎間板が突出する状態です。(脊柱管の内側に飛び出した状態) 症状として、腰の痛みが挙げられます。ただ、それ以外の症状が、正中型と異なる点に注意しましょう。 傍正中ヘルニアは、左右どちらかに寄っているだけあり、左右片方だけで症状が現れやすいです。 たとえば、片足だけが痺れる、痛むといった症状が現れます。 外側(がいそく)ヘルニア 外側ヘルニアは、椎間板が脊柱管の外側に飛び出すことを意味します。 上記ふたつは、背骨の方向、つまり脊柱管に収まる範囲で起こるヘルニアでした。 しかし外側ヘルニアは、脊柱管の外、つまり傍正中ヘルニアよりもさらに左右に偏った方向へ飛び出します。 症状として、左右どちらかの神経圧迫により、片足だけの痺れや痛みを感じやすいでしょう。また筋力低下や、坐骨神経痛なども伴いやすい傾向があります。 オンラインで相談する 腰椎椎間板ヘルニアの症状レベル 腰椎椎間板ヘルニアでは、椎間板の変性などの度合いによって症状を段階分けできます。 具体的には以下のようなレベル、段階があります。 ・軽度レベル ・中程度レベル ・重症レベル(手術するレベル) それぞれがどういうものか見ていきましょう。 軽症レベル 椎間板がわずかに飛び出しているものの、神経を圧迫するほどではない段階です。 この時の症状として、軽度の腰痛などが挙げられます。また、首にわずかな痛みを感じるケースもあるでしょう。 しかし軽症レベルでは、痺れや筋力低下などの症状はほとんど見られません。あったとしても、本人がほとんど知覚できない程度です。 軽症レベルでは、簡単な工夫による改善が期待できます。 たとえば簡単なストレッチや姿勢の改善によって、症状が楽になるかもしれません。 中等度レベル 中等度では、椎間板の突出が進み、神経が圧迫され始めます。さらに繊維輪を断裂するようになります。 この段階では以下の症状が表れるでしょう。 ・強い腰痛 ・両足または片足の痛み ・首周辺の痛み ・手足の痺れ ・坐骨神経痛 ・筋力の低下 中等度レベルでは、症状がより強くなります。 場合によっては、普段の仕事や家事がこなせなくなることもあります。 また特に痛みが強いため、状況に応じて痛み止めなどの服用が必要になるでしょう。もちろん根本的な解決を図るための治療も進めていく必要があります。 重症レベル 重度レベルになると、椎間板が大きく飛び出し、より強く神経を圧迫します。この状況を「脱出」あるいは「遊離」といいます。 症状として以下が挙げられるでしょう。 ・激しい腰痛や首の痛み ・足に限らない、幅広い部分での痺れ ・感覚の鈍麻 ・筋力の低下と麻痺 ・歩行困難 ・排泄障害 ・馬尾症候群 重症レベルでは、かなり重い症状が現れます。この段階で、通常通りの生活を送るのはほぼ不可能でしょう。 いわゆる「手術するレベル」の症状です。 このような状態になる前に、治療や改善を図るのが重要となるでしょう。 オンラインで相談する 腰椎椎間板ヘルニアの治療(治し方) 腰椎椎間板ヘルニアを治すためには、まずは画像検査が必要で、それにはMRIが最も有用です。 変性してしまった椎間板は正常なものと異なっているように写し出されるため、脱出した椎間板の部位や分類診断についても役立ちます。 椎間板ヘルニアは、自然治癒する可能性もあります。 時間の経過により、飛び出した椎間板が体の中に吸収され、外へ排出される場合があります。 そのため、排尿や排便にも影響が出るような膀胱直腸障害など重い神経障害がある場合を除いて、まずは保存療法が選択されます。 保存療法による改善が期待できない場合、手術療法や再生医療が選択されます。それぞれ治療法の詳細を見ていきましょう。 保存療法 保存療法としては、非副腎皮質ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの鎮痛薬を使用するケースが多いです。 その他、神経ブロック注射も選択肢にあがるでしょう。 また、体を柔らかくするストレッチやリハビリもとても効果的です。 手術療法 膀胱直腸障害や運動麻痺などの重い神経症状がある場合や、保存療法でも強い痛みが続く場合には、手術療法が行われます。 その場合は、症状の原因となっている椎間板を摘出するような方法が取られます。 手術の仕方によっていろいろな種類があり、内視鏡を使った最小侵襲の手術が今は主流となっています。 関連記事:ヘルニア治療のPLDD手術|失敗しないためのポイントとは 関連記事:椎間板ヘルニアの内視鏡手術|PELD(PED)とMEDの違いとは 再生医療 再生医療では幹細胞を用いて、傷ついた椎間板の修復や再生を目指します。腰椎椎間板ヘルニアの治療法としては最新のもの。 ヘルニアになった場合、脊髄が損傷している、炎症を起こしているケースが多々あります。そのままだと、痛みや痺れなどの症状が現れます。 しかし保存および手術療法では、十分な治療効果が得られないかもしれません。 そこで再生医療によって脊髄を再生させ、根本的な治療を図ります。 私たちは再生医療として、効果を高めるため「脊髄腔内ダイレクト注射療法」などを実施しています。 オンラインで相談する https://fuelcells.org/treatment/spinal_cord/ 腰椎椎間板ヘルニア|よくある質問 腰椎椎間板ヘルニアについて、よくご質問頂くことについて記しました。その他ご質問、再生医療の可能性などはお問い合わせください。 Q1:椎間板ヘルニアの際は安静にした方が良いですか? A1:絶対安静が必要ということではありません。 腰の痛みや足の痛み、痺れ感がある場合には安静にしておく方が良いといわれることも多いかと思います。 しかし、自宅で安静にした方が早く治るという科学的な根拠はありません。 痛みが強すぎて動けない場合は自宅で安静にしている他ありませんが、動けるのであれば腰や足の筋力が弱くならないように、少しずつ動くようにすると良いでしょう。 Q2:保存療法としてコルセットは効果がありますか? A2:試してみる価値はあると考えられます。 腰椎椎間板ヘルニアの患者さんは、立っている方が座った姿勢よりも痛みが楽に感じるケースが多いようです。それは立っている状態の方が姿勢を保持しやすいのが理由です。 コルセットを着用して姿勢の保持をしやすくするのは痛みを和らげるために効果があると言えます。 ただし、コルセットに頼りすぎると筋力が低下してしまい、コルセットがなければ生活ができないということもあるので注意が必要です。 コルセットをするなら必ず筋力トレーニングは必要となります。 まとめ・腰椎椎間板ヘルニアの症状レベルを把握して最善の治療を 今回は腰椎椎間板ヘルニアの症状や治療法などを解説しました。 腰椎椎間板ヘルニアで症状が重い方には手術療法が選択されます。 しかし、手術をおこなっても圧迫され続けた脊髄や神経根の損傷が完全に修復されないこともあります。すると、痺れや痛みといった症状が残るかもしれません。 そのような場合、当院の再生医療、幹細胞で治療するという方法をご検討ください。 脊髄腔内ダイレクト注射で投与という当院独自の方法を用いて、傷ついた神経の再生を試みます。これまで多くの症例を経験し、症状の改善がみられています。詳しくは以下の動画をご覧ください。 https://www.youtube.com/watch?v=4AOGsB-m63Y&t=132s ▶腰椎椎間板ヘルニアの手術を受けてもなかなか症状が改善しない、というような方は、一度当院までご相談ください。 オンラインで相談する 参考文献) 腰痛を診る.日本医科大学医学会雑誌.2006(2):42-46. p44 腰痛を診る.日本医科大学医学会雑誌.2006(2):42-46. p43 腰椎椎間板ヘルニアの治療 Mindsガイドラインアプリ p37 腰椎椎間板ヘルニアの治療 Mindsガイドラインアプリ p40 ▼腰椎ヘルニアの治療は以下も参考にしていただけます 腰椎椎間板ヘルニアの治療について|ブロック注射は有効か?
公開日:2024.10.28 -
- 幹細胞治療
- 大腿骨骨頭壊死
- 股関節
- 再生治療
大腿骨頭壊死の保存療法と骨切り術の予後について 大腿骨頭壊死とは股関節にある大腿骨頭が壊死してしまい潰れることで痛みを生じる原因不明の疾患です。 大腿骨頭を栄養している血管が障害されることが原因と考えられており、免疫を抑えるステロイドやアルコールなどが危険因子ですが、正確な原因は未だ明らかになっていない難病です。 一度壊死が起こってしまうと、その部分を再生させることは現代の医療でも不可能です。そのため、保存治療でも効果がない場合には骨を切って壊死した部分に体重がかからないようにする骨切り術や、人工関節での手術治療が行われてきました。また最近では、軟骨の再生を目的として自分の細胞を用いた再生医療も行われています。 この記事では、大腿骨頭壊死の保存療法と骨切り術の予後、また再生医療の可能性についても解説していきます。 大腿骨頭壊死の予後予測とは 予後というと“がん”のように生存できる期間のことを連想されると思いますが、大腿骨頭壊死自体で生命に危険が及ぶことはありません。 ここでいう予後とは壊死によって大腿骨が潰れてしまう割合や痛みのために、人工関節が必要になるまでの期間や割合のことを指します。 また大腿骨頭壊死は発症する年代や性別が様々であり、そういったもともとの患者さんの状態や壊死した領域の広さによっても予後が異なります。そのため、ここでご紹介する数値はあくまでも参考値であり、実際の予後については担当医と十分に相談することが必要です。 予後予測の重症度分類 原因不明である特発性大腿骨頭壊死では壊死の範囲によって重症度分類がありtype A~Cに分けられます。 重症になるほど壊死範囲が大きく、大腿骨頭が潰れてしまうリスクが高くなります。 保存治療の予後について 特発性大腿骨頭壊死症診療ガイドライン2019年版では保存治療を行なった場合の大腿骨頭の圧壊率について記載されています。 ガイドラインでは圧壊率は軽症であるtype Aで0%、type Bで0〜29%、type C1で13〜26%、type C2で50〜86%と報告されています。 大腿骨頭の圧壊率 ・type A 0% ・type B 0〜29% ・type C1 13〜26% ・type C2 50〜86% そのため、壊死領域が小さいtype Aでは圧壊がみられないので保存治療の予後は良好です。 保存治療では、安静にしたり、松葉杖やロフストランド杖を使ってできるだけ体重をかけないようにします。保存治療であれば基本的には入院は不要ですが、痛みのため自宅で生活ができない場合には病院に入院して治療を行う場合もあります。 骨切り術の予後について 骨切り術の目的は壊死した領域に体重がかかることで圧壊が進行しないように大腿骨を骨切りして移動・回転させ壊死範囲に体重がかからないようにすることです。 そのため、壊死した範囲によって術式が選択されますが、適切に術式を選択した場合には良好な成績が報告されています。 ガイドラインに記載されている代表的な骨切り術に、大腿骨内反骨切り術と大腿骨頭回転骨切り術があります。壊死範囲が比較的狭い場合には内反骨切り術が選択される傾向があり、壊死範囲の部位によっては大腿骨頭を回転させる骨切り術を行います。 一般的に回転骨切り術の方が手術侵襲(身体への負担)は大きく、可能であれば内反骨切り術が選択されます。 予後については様々な報告がありますが、目標通りの骨切り術が行えた場合は平均10年間観察して、関節温存率(人工関節が不要だった人の割合)は約90%と良好な成績が報告されています。 骨切り術は人工関節置換術と比べるとリハビリの期間や入院期間が長いのですが、自分の関節を残すことができるので若い方、スポーツを楽しみたい方などによい適応があると考えられます。 大体骨頭壊死症と再生医療 大体骨頭壊死症は原因不明の難病であり、これまで様々な治療が行われてきました。骨を移植したり、壊死した部分に穴を開けて減圧するなどの手術治療もありますが、ガイドラインでも効果については議論が分かれています。 そのため現時点では、保存治療と、保存治療では圧壊が危惧される広い範囲に壊死がある場合には「骨切り術」や「人工関節置換術」が選択されることが多くなっています。 しかし、最近になって最新の治療法である再生医療が導入されました。それが幹細胞治療です。 幹細胞は自分の細胞を採取して培養することで作成します。幹細胞を投与されると、その部分で組織の修復、再生が促されるため、大腿骨頭壊死にも行われ始めています。最新の治療なので、まだ医療保険の適応はありませんが、大きな手術が不要で、治る可能性があります。 治療法についてお悩みの方はぜひ一度ご相談ください。 まとめ・大腿骨頭壊死の保存療法と骨切り術の予後について 大腿骨頭壊死は何らかの原因で血管が障害されて起こり、現時点でも原因が不明の難病です。 壊死範囲が狭い場合は松葉杖などで体重がかからないようにする保存治療で症状がよくなる方もいます。しかし、壊死範囲が広い場合には骨切り術などの手術が必要となる場合があります。骨切り術の成績は良好ですが、手術の負担と、リハビリ、入院期間が長期間になるというデメリットがあります。 一方で自分の細胞を用いた幹細胞治療は最新の治療法であり、組織が再生されることで症状がよくなる可能性があります。 病院を受診して治らないと言われたり、手術しかないと言われてしまっていても、その他の選択肢として検討いただきたい治療法です。ご相談したいことがありましたら、いつでも当院にご連絡ください。
公開日:2024.10.07 -
- 幹細胞治療
- PRP治療
- 大腿骨骨頭壊死
- 股関節
- 再生治療
大腿骨頭壊死の治療法?従来の治療と再生医療の可能性 大腿骨頭壊死は、骨盤と股関節を形成している大腿骨頭という部分への血流が何らかの原因で低下、流れなくなった結果、骨が壊死してしまう病気です。 治療としては、股関節への負担を減らすような生活をする「保存療法」や、のちぽど説明する「手術療法」があります。 その他にも新しい流れとして、大腿骨頭壊死に対して「再生医療」という手術をせず、入院もしない治療方法が可能となり、新たな選択肢として注目されるようになってきました。 今回の記事では、大腿骨頭壊死の従来の治療法、また最新の再生医療を用いた治療について解説してまいります。 大腿骨頭壊死症と特発性大腿骨頭壊死? 大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)とは、大腿骨の股関節側、太ももの太い骨の先端である骨頭(こっとう)が、血流の低下によって壊死してしまう状態のことです。 また、大腿骨頭壊死の中でも、脱臼や骨折といった原因がはっきりしている場合以外のものを、「特発性大腿骨頭壊死」と呼びます。 ・大腿骨頭壊死:脱臼や骨折など原因がはっきりしている ・特発性大腿骨頭壊死:上記以外、原因がはっきりしないもの 特発性大腿骨頭壊死は、骨頭が壊死しているだけでは症状がでませんが、壊死が進行して骨頭の破壊が進むと次第に症状が出現するようになります。症状としては、急に生じる股関節痛が特徴的とされています。 骨頭壊死症の病期(ステージ)分類は以下のようになっており「*骨頭の圧潰」が進むにつれてステージが上がっていきます。 *骨頭の圧潰(あっかい)とは 大腿骨の骨頭が通常の球形が押しつぶされた状態をいい、骨頭が圧潰すると痛みといった明確な症状がでます。 以下、特発性大腿骨頭壊死について説明してまいります。 引用) 71 特発性大腿骨頭壊死症 特発性大腿骨頭壊死症の治療 特発性大腿骨頭壊死の治療法としては、早い段階、初期のステージであれば保存的治療も適応となります。具体的には、杖などでの免荷、つまり股関節にかかる体重を減らすことで負担を軽減し、痛みに対しては鎮痛剤を使用して対応します。 すでに症状があり、骨頭の圧潰が進行すると予想される場合には、手術が選択されます。 手術としては、若い方の場合、股関節を残す「骨切り術」が第一選択となります。一方、骨頭の壊死や圧潰が進んでいる方や、高齢者の場合には「人工骨頭置換術」が必要となることもあります。 保存療法の場合も、手術の場合にも、股関節の痛みを出さないような動作方法などを学ぶためのリハビリテーションが行われます。 特発性大腿骨頭壊死の治療方法 初期 ・保存的治療(杖などで股関節への荷重を減らし負担を軽減 ・痛みには鎮痛剤を使用 ・リハビリ 骨頭の圧潰が進行 ・若い方(股関節を残す「骨切り術」が第一選択) ・壊死や圧潰が進んでいる場合(「人工骨頭置換術」を検討) ・高齢者の場合(「人工骨頭置換術」を検討) ・リハビリ 特発性大腿骨頭壊死は治る?再生医療の可能性 特発性大腿骨頭壊死は、ステロイドの使用やアルコール多飲などの要因が考えられています。しかし、根本的な原因は未だ不明で、骨頭壊死の進行を防ぐことそのものは難しいとされてきました。 つまり、保存的治療や手術療法といった従来の治療では、骨壊死が完全に治るということは難しかったのです。 一方、最近では、骨頭の壊死した部分の骨再生を促すような、最新の治療法「再生医療」での臨床研究も行われています。 手術なし、入院も不要といった再生医療による治療とは 医療の進歩による再生医療という選択肢が従来の治療法に加わりました。その内容を簡単に説明してまいります。 当院では、患者さんの身体から取り出した幹細胞を体外で培養し、増殖させてから身体に戻す、という「自己脂肪由来幹細胞治療」を行っています。 保存の際に、幹細胞を冷凍しないために、幹細胞の生存率が高く、また採取する細胞の数が少ない(米粒2〜3粒分ほど)のため、身体への負担が少ない、といった特徴があります。 股関節の病気に対しては、特殊な針とエコー、特殊なレントゲン装置を利用し、股関節内の損傷している部位をよく調べ、ダイレクトに幹細胞を注入する当院独自の「関節内ピンポイント注射」という方法を用いています。 これによって、手術をしないにもかかわらず、股関節の痛みが軽減され、改善される効果を期待できる方法です。詳しくは、お気軽にお問い合わせ下さい。 また、自己脂肪由来幹細胞治療の他にも、「PRP(多血小板血漿)療法」という、患者さん自身の血液から抽出した血小板の濃縮液を利用する治療法も行っています。 このPRP療法も、自己脂肪由来幹細胞治療と組み合わせることで、痛みの軽減、改善効果が期待できるのです。 特発性大腿骨頭壊死症についてよくある質問 Q1. 特発性大腿骨頭壊死になってしまったら、必ず手術が必要? A1. 従来は、特発性大腿骨頭壊死が判明した場合には、保存的な治療か手術かが選ばれてきました。 保存的な治療を選択した場合も、骨頭壊死が進行すると手術を行わなければならないこともありました。 一方、最近では再生医療を用いることで、手術なしでも股関節の再生や痛みの改善が期待できるようになってきました。 Q2. 特発性大腿骨頭壊死に対する再生医療にはどのようなものがありますか? A2.特発性大腿骨頭壊死に対する再生医療には、自己脂肪由来の幹細胞による再生医療の他に、自分の血液の中にある血小板からでる成長因子(傷を修復させる効果がある)を利用した、 PRP治療法があります。このPRP療法は、ヒアルロン酸のように、関節の炎症を抑えるという効果があります。 まとめ・大腿骨頭壊死の治療法?従来の治療と再生医療の可能性 今回は、「特発性大腿骨頭壊死についての治療法」と「特発性大腿骨頭壊死に対する再生医療の可能性」について解説しました。 大腿骨頭壊死のために、「股関節の痛みがあり、手術を勧められている」。でも手術はしたくない、人工関節にも抵抗があり、手術をしない治療法を検討したいという方は、当クリニックの無料相談をご利用ください。当方は医療機関ですので無理に治療をおススメすることはございませんので安心してお問い合わせ下さい。 今回は、大腿骨頭壊死の治療法にいつて、従来の治療法と、新たな流れ、再生医療を用いた治療法を解説しました。参考にしていただければ幸いです。 参考文献 特発性大腿骨頭壊死症(指定難病71) 71 特発性大腿骨頭壊死症 p4特発性大腿骨頭壊死症(指定難病71)
公開日:2024.10.07 -
- 大腿骨骨頭壊死
- 股関節
- 再生治療
大腿骨頭壊死|どこが痛み、どう動かなくなる、診断方法と治療について 大腿骨頭壊死は股関節を構成している大腿骨頭の血流が何らかの理由で途絶えてしまい、骨が壊死してしまう原因不明の難病です。 この記事では大腿骨頭壊死の初期症状としてどこが痛いのか、その動きの特徴や診断や検査の方法、治療の内容や最新治療についても解説していきます。 大腿骨頭壊死とは 大腿骨頭の一部が、何らかの原因で血流が途絶えてしまい、骨組織が壊死してしまう病気です。 特発性という原因が不明の大腿骨頭壊死では、危険因子としてステロイドの内服、アルコール、喫煙が関連していることがわかってきています。厚生労働省から指定難病に指定されており、医療費補助の対象となっています。 初期に現れる股関節の痛みや、動きの特徴に注意! 大腿骨頭は股関節を構成しています。大腿骨の先端にあるボールの形をした大腿骨頭と、骨盤側で大腿骨頭の受け皿になる深いお椀の形をした臼蓋との組み合わせで股関節は構成されています。 ①どこが痛む:足の付け根の痛み 大腿骨頭壊死の初期症状は足の付け根の痛みです。しかし、注意点として血流が途絶えて壊死が起きるごく最初の段階では痛みは起こりません。壊死に陥った部分に負荷が加わることで骨が潰れてくることによって、徐々に痛みが出現します。 骨壊死が起こることと、痛みが出現するタイミングには時間的に差があることに注意が必要です。そのため、骨壊死はあっても、壊死の範囲が小さい場合などでは痛みを起こさないこともありえます。 ②どう動かなくなる:股関節の関節可動域が制限 病気が進行して、壊死した部分が潰れて大腿骨頭が変形すると、陥没した部分で関節の不適合、不安定性から軟骨のすり減りが進行してしまいます。 その結果、変形性関節症を生じ、放置したままだと軟骨がなくなってしまい、骨同士がぶつかることで変形性関節症が悪化してしまいます。 変形性関節症が進行すると、痛みだけでなく、股関節の関節可動域が悪くなってしまいます。 股関節は曲げ伸ばしだけでなく、内旋、外旋などの動きがあるので、病気が進行すると胡座(あぐら)や爪切り、和式トイレ、階段の上り下りが困難になってしまいます。さらに進行すると、筋力が低下してしまい、歩行することが困難になってしまいます。 大腿骨頭壊死で困難になること ・胡座(あぐら) ・爪切り ・和式トイレ ・階段の上り下り ・筋力低下による歩行困難 そのため、初期症状である痛みがある段階で早めに病院で診察を受けることが重要です。 大腿骨頭壊死の診断方法 大腿骨頭壊死における画像検査にはレントゲンとMRI検査が有効です。それぞれの特徴について解説していきます。 レントゲン撮影 レントゲンは一般的な診断手法であり、大腿骨頭壊死の評価にも使用されます。レントゲンは骨の形状や変化を評価でき、簡便なので最初の検査として行われることが一般的です。しかし、大腿骨頭壊死の初期の段階ではレントゲンだけでは診断が難しいこともあります。 MRI MRIは大腿骨頭壊死の診断に非常に役立ちます。壊死の範囲の評価だけではなく、骨折や関節炎などの別の病気の診断にも使用することができます。 大腿骨頭壊死の治療 治療は年齢などのご本人の状態、病気の範囲や部位など総合的に判断して決定されます。 保存治療 早期の症状や軽度の大腿骨頭壊死では、痛みを緩和するために安静や杖による免荷、身体活動の制限、重量物の運搬禁止などを行います。痛みに対しては消炎鎮痛薬の内服や湿布などを行います。しかし、これらの方法で病気の進行を防ぐことはできないので、進行が考えられる状態や、進行しつつある状態のときには変形が進む前に手術治療を受ける方が治る可能性は高くなります。 手術治療 手術は大きく骨を切って関節を温存する骨切り術と、壊死した骨を切除して金属に置き換える人工関節置換術に分けられます。 骨を切る手術では壊死した部分に体重がかからないように大体骨頭を弯曲させたり、回転させる手術が行われます。骨を切った後は専用の金属で固定をするため、一定期間の安静が必要ですが、自分の関節を温存できるメリットがあります。しかし、病気が進行する可能性はゼロではありません。 人工関節手術では大腿骨頭だけを置き換える人工骨頭置換術、骨盤側にも金属をいれる人工股関節全置換術があります。基本的には手術翌日から歩行訓練が可能で、リハビリが早いというメリットがありますが、人工関節のためスポーツは制限が必要であり、将来的な再手術の可能性もあります。 大腿骨頭壊死に対する再生医療 人工関節手術に至らないようにする治療として再生医療があります。 再生医療は近年開発された新しい治療法で、ご自身の細胞から培養した幹細胞などを投与します。幹細胞を股関節に注射することによって、すり減った軟骨が再生され、痛みが和らぐので手術をしなくても改善する可能性が高まります。 大腿骨頭壊死に対する再生医療についてのQ&A 1.股関節への幹細胞の注射はどのようにするのですか。 回答:股関節は体の奥深くにあるので、注射をすることが難しい部位です。当院ではエコーや特殊なレントゲン装置を使うことによって、股関節内にピンポイントで注射をすることが可能です。 2.幹細胞はどのように作成するのですか。 回答:当院ではご自分の脂肪から幹細胞を培養して作成しています。脂肪は下腹部周辺に局所麻酔をして採取し、細胞加工室で時間をかけて培養します。脂肪由来の幹細胞は骨髄や滑膜内臓の幹細胞よりも体への負担が少ないことがわかっています。 まとめ・大腿骨頭壊死|どこが痛み、どう動かなくなる、診断方法と治療について 大腿骨頭壊死症は骨を栄養している血流が途絶えることによって発症する、現時点でも原因が不明の難病です。 初期症状は足の付け根の痛みであり、病気が進行すると人工関節手術を受けなくなってしまうかもしれません。当院の再生治療は幹細胞を股関節内に投与することで軟骨の修復が可能な最新の治療です。痛みでお困りの際にはいつでもお気軽にご相談ください。 ▼こちらも参考にしていただけます 大腿骨頭壊死のリハビリ|運動療法で仕事復帰を目指す
公開日:2024.10.07 -
- 幹細胞治療
- PRP治療
- 肘関節
- 再生治療
肘の痛みを根本から治療する!再生医療の幹細胞治療とPRP療法を医師が解説 「肘の痛みで通院しているが、イマイチ良くならない」 「もっと積極的に肘が痛い症状の治療を受けたい」 このように、日頃からよく使う肘の痛みに悩む人は少なくありません。 一般的に肘の痛みに対する治療は、肘を安静にして薬や注射による保存療法が第一選択です。治癒が難しい場合には手術療法が行われることもあります。 最近、「再生医療」といって、保存療法と手術療法の中間のような新しいアプローチが注目されているのをご存知でしょうか。肘の痛みなど整形外科の症状にも再生医療は広がりを見せており、根本的な治療になり得るアプローチだと期待されています。 そこでこの記事では、肘部管症候群をはじめとした、さまざまな肘の痛みに対する再生医療の特徴や治療内容について紹介します。 肘の痛みと代表的な病気 一口に肘の痛みといっても、複数の病気の種類があります。原因や症状もさまざまで、肘部管症候群のようにあまり聞きなじみのない病気もあるでしょう。 以下は、肘の痛みでよくある症状です。 ・何もしていなくても肘に痛みがある ・タオルを絞ったり、ペットボトルのフタを開ける時に肘が痛い ・肘から小指や薬指にかけて痛みやしびれがある ・肘の内側を押すと痛い ・テニスのラケットや料理でフライパンを持つと肘の外側が痛い 今挙げた症状の多くは、次の3つの病気に当てはまります。 1, テニス肘(上腕骨外側上顆炎) 2, ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎) 3, 肘部管症候群 - ちゅうぶかんしょうこうぐん - とくに3番目の「肘部管症候群」は小指や薬指の小指側から肘にかけてしびれが強くなって日常生活に支障が出るほか、手術療法の適応になるケースが多い厄介な疾患です。 ひとつずつ見ていきましょう。 1, テニス肘(上腕骨外側上顆炎) テニスのバックハンドをすると痛みが出るため「テニス肘」という別名がよく知られています。 ただし、実際は雑巾やタオルを絞ったり、ペットボトルのフタを開けたり、キーボード入力をしたりなど、日常生活のさまざまな動作で肘の外側に鋭い痛みが走る病気です。 2, ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎) ゴルフのスイングをするときに痛みが出るため、「ゴルフ肘」として知られています。 物を持ち上げたりロープを引っ張ったりする動作をすると、肘の内側に鋭い痛みを感じます。 3, 肘部管症候群- ちゅうぶかんしょうこうぐん - 肘の内側から小指・薬指の小指側にしびれが出るのが初期症状です。やがて症状が進行すると、肘の内側を軽く押す程度でもしびれが走ります。 小指側の尺骨(しゃこつ)神経は、肘の内側の肘部管を通っており、肘の関節の変形などによって神経が圧迫されるため症状が現れます。最初はしびれや軽い痛み程度でも、症状が進行すると麻痺が出たり、腕や手の筋肉が衰えて変形することも珍しくありません。 尺骨神経の障害は回復しづらい神経のため、薬による保存療法で症状の緩和が期待できない場合は、手術療法がよく行われています。 肘の痛みにおすすめ!幹細胞治療とPRP療法とは 従来の保存療法や手術療法に加えて、最近脚光を浴びているのが「再生医療」です。 とりわけ、幹細胞治療とPRP療法は、肘の痛みの症状がある部位に幹細胞やPRPを注射する、再生医療を代表する治療法です。炎症を取り除く、ダメージを受けた細胞や組織を修復・再生する、といった効果が期待できます。 幹細胞もPRPも患者さん自身の血液や細胞をもとに生成されるため、副作用の心配がほとんどありません。また、入院や手術の必要がなく、注射や点滴だけで治療が受けられる点もメリットです。 なお、症状が軽い場合は、自然治癒力を高めて痛みの軽減を目指す“PRP療法”がおすすめです。血小板を多く含むPRPの注射によって、ダメージを受けた組織の修復や炎症の改善が期待できます。 一方で、症状が重い、後遺症が気になる、など神経障害による痛みが強い場合は“幹細胞治療”をおすすめします。 幹細胞は、自分とまったく同じ細胞(自己複製能)と、まったく異なる細胞(文化能)を生み出す、2つの能力を併せ持っているのが特徴です。患者さん自身の脂肪組織から採取した幹細胞を培養し肘に注入すると、炎症を起こしている部位や、組織が損傷している部位に届きます。すると、その場所で新しい細胞を作り直すため、ケガの早期回復を実現し、後遺症の心配を最大限抑制できるのです。 思うように肘の痛みがよくならない方は、再生医療による新たなアプローチを検討してみましょう。 まとめ・肘の痛みを根本から治療する!再生医療の幹細胞治療とPRP療法を医師が解説 このように、肘の痛みに対する再生医療は、痛みの原因となっている部位を積極的に修復しながら治癒を目指すという、画期的な治療法です。軽い肘の痛みなら、PRP治療法から試すと良いでしょう。より確実で高い効果を目指すなら、幹細胞治療の検討がおすすめです。 当クリニックは再生医療のエキスパートとして、肘の痛みに対する幹細胞治療やPRP治療法による治療を数多く手がけてきました。国内トップクラスの細胞加工室の高い技術で、安全かつ治療成績の良い再生医療を提供しています。 「肘の痛みをもっと和らげたい」 「これまでと違った新しい治療を受けてみたい」 肘の痛みでお悩みの方は、ぜひ一度再生医療専門の当クリニックまでお問い合わせください。 この記事がご参考になれば幸いです。
公開日:2024.10.07 -
- PRP治療
- 免疫細胞療法
PRP療法について、そのメリットとデメリットとは PRP療法について PRP療法(Platelet-Rich Plasma)=多血小板血漿療法とは、患者さん自身から採取した血液から抽出した『多血小板血漿(P R P)』を患者さんの傷んでいる場所に注射する再生医療です。 現在、世界的にも注目されている新しい治療法です。PRP療法は様々な疾患に対しての治療が進んでおり、変形性膝関節症やアキレス腱周囲炎などの様々な疾患や、腱断裂、肉離れなどのスポーツ外傷になど、関節や筋肉、腱、靭帯に対し、侵襲の少ない新しい治療法として注目されています。 さらに骨治癒の促進のためや手術創部の治療補助などにも用いられるようにもなってきており、さらには美容面、シワ、たるみなどの治療にも使用され、様々な分野で大きな注目を浴びている治療法です。 PRP療法のメリット 1.副作用が少ない PRP療法は、自分から採取した組織・細胞で自分を治す方法です。そのため、ワクチン摂取のような身体に異物を注射するものとは異なり、アレルギー症状などの拒絶反応などは引き起こしにくく、副作用もほとんどありません。 2.手術等、身体を傷つける行為がない また、手術をしないため、身体にメスを入れて切ったり、開いたりといった行為が不要であるため、非常に安全に処置を行えます。また、処置の痕も残りにくいという特徴があります。実際、患者さんの身体への負担としては、血液を採取される、注射をされるということだけになることも大きなメリットです。 実際にPRP治療を行った患者さんからは、以下のような感想を頂くことがあります。 ・「注射だけの処置で、処置の痛みも一瞬だった」 ・「処置がすごく短時間で簡単に終わったのでびっくりした』 一方で、手術を行うとなると、全身麻酔によるアレルギー症状や、手術部の感染などの※合併症を起こすこともあります。PRP療法は手術と比較すると合併症少ないというメリットもあります。 ※合併症とは、手術後におこる感染症や、痛みといった症状で、その内容は手術をした部位によって様々。 3.通院による治療が可能 PRP療法は、通院による治療が可能です。さらに、PRP療法は実施後から日常生活に戻れるため患者さんへの負担は非常に少ないです。PRP療法の処置を行った当日は、処置部位の感染予防のために入浴やシャワーなどを控えていただくことが多いですが、翌日から入浴やシャワーも可能です。 ただ、激しい運動については数日間控えていただくことになりますが、痛みが増悪しない程度の軽い労作は問題なく行っていただけます。PRP療法以外、手術を行うとなると、数日から数週間の入院期間に含め、リハビリ期間も必要であることから、患者さんの日常生活への負担も大きくなります。 しかも、入院となると仕事や学校はしばらくの期間、休む必要があり、入院生活自体が日常生活における負担になりかねません。それだけでも患者さんやご家族への日常生活に対する負担は多大なものになります。 更に、昨今では、新型コロナウイルス感染症の流行の影響で、入院中に家族や友人などと面会ができない病院が非常に多くストレスが高くなる傾向が見られます。 患者さんは、入院生活で、ただでさえ手術の痛みや、副作用などで辛い状況にありながら、家族や友人などと全く会えないことも、精神的に非常に寂しく辛い思いをされることは想像に難くありません。 実際の患者さんから、以下のような声を聞くことも多いです。 PRP療法(再生医療)のメリット ・手術が不要 ・手術自体のリスクや、感染症の不安が無い ・入院の必要が無い ・副作用が少ない ・注射だけの処置で、痛みも一瞬 ・処置が短時間で簡単 ・通院だけで処置を終えることができ、家族の心配や仕事に支障をきたさない ・学生の場合は、入院による学業の遅れや、単位の不足など進学や留年の心配がない ・家族や友人との時間を犠牲にしない ・ほか PRP療法のデメリット 1.効果に個人差がある PRP療法の効果には個人差があると言われています。人間の血小板の中には、様々に多数の成長因子が含まれており、それが混ざり合った状態になっています。 その成長因子の割合が、それぞれどのくらい含まれるかは、その人ごとに異なっていて、その割合が効果の個人差の原因である可能性があります。しかし実際の原因は、未だ解明されていません。 2.処置部位の腫れ・痛みがある PRP療法を実施した後の数日間は、処置した部位に痛みや腫れ、発赤などの症状が出ることもあります。この痛みや腫れについても個人差があり、全く腫れや痛みを実感しない人もいれば、数日間腫れが強い人もいます。 しかし、腫れや痛みは、一過性のものであり、抗生物質などの治療を行わなくても自然経過によって改善することが多いと言われています。 まれに処置部位が感染することもあり、抗生物質による加療が必要なこともありますが、それはP R P療法に限らず、例えばワクチン接種などの注射針を刺す医療行為の全般に共通するリスクで非常に少ないものです。 一方で、PRP療法には手術後の感染やアレルギー症状のように再び手術が必要になったり、副作用の治療で入院期間が延びたり、再入院ということもありません。 そういった点からすると腫れや、痛みはPRP療法の短所ではありながらも、手術に伴う副作用に比べてリスクと呼べないほど小さな短所かもしれません。 3.治療費 PRP療法については再生医療という新しい治療法であり、現在の日本では未だ健康保険の適応がない疾患が多いという短所もあります。PRP療法の処置だけでなく、処置後にリハビリテーションを行う場合も自費負担になることもしばしばあります。 しかし、長所でも述べたようにPRP療法は入院しなくても処置ができます。保険が使用できる手術でも、手術自体が高額な物は非常に多いです。さらに、手術のために入院となると、入院費がかかり、さらには日常生活での仕事や学業への影響なども計り知れません。 それらのことを考えると、処置だけの費用を考えるとPRP療法は高額になりますが、実質の経済的な負担は、PRP療法を受けることよりも、手術のために入院した方が大きくなるケースも多いといえます。 まとめ・PRP療法について、そのメリットとデメリットとは PRP療法は再生医療というこれまで担った治療法です。今や様々な分野で、手術などの代用となり得る新しい治療法です。ただ、どんな治療法でもいえることなのですが、P R P療法にもメリットはもちろん、デメリットもあります。 治療方法に悩んだ場合は、受診した医療期間や主治医に良く説明を受けて自分なりに理解した上で決めていくようにしましょう。以上、PRP療法について、そのメリットとデメリットについて記させて頂きました、参考にしていただければ幸いです。
公開日:2024.10.07 -
- PRP治療
- 幹細胞治療
- ひざ関節
- 再生治療
膝の痛み|最新の再生医療(幹細胞治療とPRP療法)という治療法について このページでは変形性ひざ関節症について解説します。「変形性ひざ関節症」は、実は全国で3千万人ぐらいの方が悩まれている膝の病気です。ここでは、その症状だったり治療の仕方、そして最新の治療法である再生医療(幹細胞治療とPRP療法)について詳しく解説してまいりましょう。 変形性ひざ関節症は男性より女性がなりやすい! ご存知ですか?!変形性ひざ関節症は、全国で約3千万人の患者さんがいるのですが、男女比でいうと1対4と、圧倒的に女性の方が男性より多い症状なのです。 以下は、この膝の症状に対する先端医療である再生医療を解説しています。それは幹細胞治療とPRP治療と言われるものです。ご一読いただければ変形性膝関節症を治療するための新たなアプローチ方法をご理解いただけるはずです。 変形性ひざ関節症になる原因 変形性ひざ関節症のメカニズム・原因は、関節にある軟骨に起因します。具体的には次のようなものがあります。 変形性ひざ関節症の発症原因 ・年齢を重ねることによる摩耗 ・体重増加による負荷 ・O脚変形 ・遺伝性の軟骨の柔らかさの影響 年齢を重ねるにつれて軟骨が摩耗したり、体重が増えて負荷がかかると軟骨がどんどんすり減っていきます。それ以外にも、例えばO脚変形と呼ばれる、少し膝がO脚になっている方も原因になりやすいです。あとは遺伝性、つまり生まれつき軟骨が柔らかい方もいらっしゃいます。 このように、軟骨がすり減ってなくなってくると、いよいよ関節が変形して炎症を起こしてしまい、出歩くときに膝が痛かったり、あとは関節に水がたまり動きにくくなるという状態になります。 これがいわゆる変形性ひざ関節症です。 変形性ひざ関節症の症状 次に、変形性ひざ関節症の症状についてお話をしていきます。 変形性ひざ関節症になると、以下のように色々な症状が起こります。私が診ている患者さんの中でも、このような症状を訴えてこられる方々が、たくさん来られます。 ・立ち上がり時に膝が痛かったり ・階段を下りるときにも膝が痛かったり ・水がたまり、膝が腫れる ・正座が出来なくなったり、曲げにくかったりする ・水がたまり、抜いても抜いても水がたまり続ける ・ヒアルロン酸を打っても数日しか持たなかったり、ほとんど効かない こういた中でも水が溜り続ける、注射が効かなくなった患者さんには「手術をしましょう」という話になってきました。ただ、いきなり手術となると抵抗感もあり、どうしたらいいのかと、困られている患者さんもたくさんおられました。 ・水もたまる、注射が効かないし、手術もしたくない・・・ そんな患者さまには最近注目されている再生医療という治療があります。 再生医療という新たな選択肢 そこで、この「再生医療」という新たな治療法について解説していきます。再生医療には大きく分けて2つの治療方法があります。まず1つは自己脂肪由来の幹細胞治療、そしてもうひとつはPRP治療です。 https://youtu.be/W2JZQekWJ8w?si=gREVMz9az8O8Shj3 自己脂肪由来の幹細胞治療 まず自己脂肪由来幹細胞治療方法です。これは今、最先端の治療方法です。私は初めてこの治療法を知ったとき、今までの治療概念を覆されました。それほど驚きを覚えたのです。 どういうものかと言いますと、自分の細胞を少しだけ取り出します。その取り出した脂肪の中には「幹細胞」といわれる細胞があって、この幹細胞が身体のいろんな組織に変化する性質持っていて、その性質を活かして治療を行う方法です。 取り出した幹細胞は、約1ヶ月間くらいかけて培養し、たくさんの幹細胞に増殖させることができます。その培養した、たくさんの幹細胞を膝に入れることによって、幹細胞が変化し、失われた軟骨が出来上がったり、壊れた素子が修復されたりします。 これがいわゆる「幹細胞治療」です。 PRP治療 そして、もう一つの「PRP治療」を解説しましょう。 まず自分の血液を採取し、その中から血小板成分を取り出します。この血小板成分は、自分の壊れた組織を修復する能力があります。その特性を利用するため、血小板成分を凝縮して高濃度の血小板成分として取り出し、それを体に戻すことによって、壊れた組織を修復する能力を促します。 これが「PRP治療」です。 まとめ・膝の痛みに最新の治療法!再生医療(幹細胞治療とPRP療法)について 変形性ひざ関節症は、次のような原因で軟骨がすり減ることで起こります。 ・年齢を重ねることによる摩耗 ・体重増加による負荷 ・O脚変形 ・遺伝性の軟骨の柔らかさの影響 従来はヒアルロン酸の注射や手術によって治療されてきましたが、最近再生医療(幹細胞治療・PRP治療)という新たな選択肢が登場しています。興味のあるかたはぜひお近くのクリニックへご相談してみてください。 以上、幹細胞治療とPRP療法、再生医療で治療する膝の痛みに対する治療法ついて記させていただきました。 ▼こちらも合わせて読んでおきましょう 膝が腫れているときに考えられる病気とは ▼ 再生医療が膝の痛み!変形性膝関節症の治療を変える! 変形性膝関節症の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で手術せずに症状を改善
公開日:2024.10.07 -
- ひざ関節
- 膝の内側の痛み
- 変形性膝関節症
- PRP治療
変形性膝関節症の再生医療(PRP療法)の治療と体験談を公開します こんにちは Dr.サカモトです。 今回はPRP療法(PRP治療)が実際どのように行われるかを、患者さんの声を交えながら解説していきます。それでは行ってみましょう! PRP治療での注射方法 PRP治療では、膝のお皿の外から関節の中にめがけて注射をします。膝の関節の中にはちょうど袋がありまして、その中にPRPを注射するという形になります。痛みもそれほど痛いものではないと思います。 PRP療法がオススメの症状 実際どういった方がPRP治療を受けられるかというと、以下のような方々がPRP治療を選択されています。 変形性膝関節症でPRP療法を選ばれた方 ・保険診療のヒアルロン酸注射が効かなくなった方 ・薬を飲んでも痛みが取れない方 ・スポーツや仕事に早く復帰したい方 ・薬剤アレルギーが怖い方 ・手術を避けたい方 ・長期入院ができない方 PRP療法は短期間で痛みも少ない治療法 PRP治療などの再生医療は、すごく難しいことをするんじゃないの?といった声もよく聞かれますが、実際は大げさなことは何もなく、短時間で痛みも少ない方法です。だから手術も入院も不要という医療分野といえるのです。 実際のPRP治療の流れは、まず腕から少し採血をし、それを特殊な機械で約30分ほど分離します。それを膝の関節に注射をするだけの治療なので、それほど痛いものでもなく時間も30分ほどで終わります。 このようにPRP治療はとてもシンプルなので何か大きな準備をしなきゃいけないだとか何か大変な検査をしなきゃいけないということはありません。特に身構えなくても大丈夫なのでご安心ください。 ▼変形性膝関節症をPRPで治療/その効果を動画で解説 PRP治療の体験談をご紹介 では実際にPRP治療を受けられた方の実例がありますのでご紹介します。 (PRP治療を受けられた女性) 「テレビで再生医療についての特集を見たり、プロ野球選手が再生医療で治ったという話を人から聞いたりして興味はあったのですが、私は車いすの状態だったので、本当に再生医療で歩けるようになるの?と思っていました。 採血をして少し時間を置いて、いつものような膝の注射をしただけだったので、つらい気持ちは全然感じる感じることなく、スムーズに治療を受けられました」 この方は、もともと膝がとても痛くて歩行困難が見られ、ヒアルロン酸の注射をしても1日しかもたないということで、PRPの治療を選択されました。かなり膝の変形も強く、人工関節をしてもおかしくない方だったのですが、手術はどうしても避けたいということで注射をしました。 (PRP治療を受けられた女性) 「PRP注射は6回していただいたのですが、1~3回目に関しても少しずつ効いているなという感じはしていたのですが、4回目のときには杖なしで自分の足で立つことができるようになっていて、 自分でもすごくびっくりしました。『すごく効いた』という実感があってとてもうれしかったです」 はじめ10あった痛みが、4回注射した後には、2か3になり、もともと杖で歩かれていたのですが、その杖も必要ないぐらい痛みが軽快し、ぎこちないながらもスムーズに歩けるようになりました。 その後、数ヶ月様子を見ていましたが痛みの程度が始め10あったものの、2~3に落ちて、その後5ぐらいには戻ってはきましたが、5でとても安定しておられます。 (PRP治療を受けられた女性) 「今までは料理のときも杖をついたり椅子に座ったりしていましたが、PRP治療後は立ったまま料理や家の片付けができるようになりました。 友だちとUSJに遊びにいったり、ひとりで旅行したり色々なところに自分の足でいきたいと思います」 このように色々と個人差はありますが持続期間も長く認めてますので、かなりPRPの効果はあったと思われます。今まで再生医療と出会う前は、このように劇的に注射で痛みが取れるということは考えられませんでした。 PRP治療の注意点 以上、いかがでしたでしょうか? 私もPRP治療でこれほど歩けるようになるのかとビックリしました。PRPは、痛みを取るために非常に有効で、ご自身の血液を使った治療法なので安全性も高く、入院も手術も不要です。患者さん自身も本当に喜んでおられたのが印象的でした。 ただし、知っていて欲しいのは、「PRP療法には、すり減った軟骨を再生する力は無い」ということです。確かに痛みを止める効果には優れていますが「根本的な解決策ではないので注意が必要」です。そのため、いずれかの段階で痛みが戻って来る可能性があります。 痛みを止め、軟骨レベルで再生を目指すなら、同じ再生医療の分野でもう一歩踏み込んだ治療法として「幹細胞治療」というものがあります。これはPRP療法のように即日実施できるというものではありませんが非常に優れた手法です。 もちろん、手術や入院は不要です。 患者さんの脂肪、米粒2~3粒を専門施設で幹細胞を抽出して培養、患部に戻すことで、これまで不可能と言われてきた軟骨の再生を即する手法です。根本的な治療を望まれるな以下で詳しく説明しましたのでご参照下さい。 ▼こちらもご覧ください PRP療法について、そのメリットとデメリットについて まとめ・変形性膝関節症の再生医療(PRP療法)の治療と体験談 いかがでしたでしょうか? 今回は、PRP治療の流れとPRP治療を受けた方の実際の声をご紹介しました。PRP治療が画期的な治療だと思われた方は多くいらっしゃると思います。実際受けてみたい方、そしてまだ疑問がある方はお問合せください。 以上、変形性膝関節症|PRP療法の治療効果と体験談について記しました。PRPはもちろん、幹細胞治療に興味がある方は、お気軽にお問い合わせください。お悩みをお伺いして詳しくご説明させていただきます。 ▼PRP療法(再生医療)をもっと詳しく PRPによる治療は、これまでない画期的な治療法です ▼以下もご参考にしていただけます 変形性膝関節症のガイドラインと痛みを緩和する運動について
公開日:2024.11.06 -
- 再生治療
肉離れが全治するまでの期間は、重症度によって異なります。 筋繊維のわずかな損傷である軽症の場合は1〜2週間程度、筋繊維の一部断裂を伴う中等症では3〜5週間程度、筋繊維が完全断裂する重症の場合は全治までに2〜3カ月ほどかかります。 本記事では、肉離れが全治するまでの期間を重症度別に詳しく解説します。肉離れを早く治すコツや再発予防のポイントも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。 肉離れの全治までの期間 肉離れの全治までの期間は、重症度によって異なります。肉離れの重症度は以下の3段階に分類されます。(文献1) 軽症 中等症 重症 重症度ごとの全治までの期間を見ていきましょう。 軽症 軽度の場合は、全治までの期間は1〜2週間ほどです。 軽度は、筋繊維が微細に損傷している状態です。筋肉が小さなダメージを受けており、筋肉に出血が見られます。 受傷部を押すと痛みを感じますが、何もしなければ痛みはほとんどありません。歩行やストレッチはわずかな痛みを感じる程度です。 中等症 中等症の場合、全治までの期間は3〜5週間ほどです。 中等症は、筋繊維や筋膜が損傷または一部断裂している状態です。筋肉へのダメージがやや大きく、皮下出血が見られます。 受傷部を押すと強い痛みを感じます。歩行やストレッチはできるものの痛みを伴うため、継続して身体を動かすのが難しくなります。 重症 重症の場合は、全治までの期間は2〜3カ月ほどかかります。 重症は、筋繊維が完全に断裂している状態です。なにもしていなくても強い痛みを感じ、歩行やストレッチといった日常の軽い動作も困難です。 肉離れの全治を目指した代表的な2つの治療法 肉離れに有効な2つの治療法を解説します。 安静・固定・リハビリ 再生医療(PRP療法) 順番に見ていきましょう。 固定・安静・リハビリ 肉離れの基本的な治療は、固定・安静・リハビリです。 肉離れは、筋肉が切り傷や裂傷を起こしている状態です。実際に起きていることは、転んだときにできる切り傷や裂傷と一緒といえます。傷は皮膚と皮膚を寄せ合い固定することによって修復していきます。 肉離れが起きた際も、テーピングや包帯などで固定して、症状が落ち着くまで安静にします。そして、徐々に可動域を広げるリハビリをおこなっていくのが基本的な治療パターンです。 再生医療(PRP療法) 「再生医療(PRP療法)」とは、患者さまの血液に含まれる血小板の治癒力を利用して、傷ついた組織を修復する医療技術です。 治療方法は、採取した血液を遠心分離機にかけて、血小板を濃縮した液体を注射で患部に注入するだけです。30分ほどで一連の治療を終えられるので、身体への負担も大きくありません。 再生医療(PRP療法)は肉離れを含むスポーツ外傷に高い効果が期待できる治療法なので、スポーツに早期復帰したい方にもおすすめです。 「再生医療(PRP療法)で肉離れはどうやって治療するの?」と気になる方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。実際の治療例をお見せしながら、再生医療の仕組みをわかりやすくお伝えいたします。 以下の記事では、PRP療法の詳細やメリット・デメリットを解説しています。PRP療法についてさらに詳しく知りたい方は、ぜひあわせてご覧ください。 肉離れを早く治すコツ 肉離れを早く治すには、応急処置の実施がとても大切です。適切な応急処置をおこなえば、腫れや内出血を最小限に抑えられ、結果的に全治までの期間も短縮できます。 肉離れに有効な応急処置は、RICE処置です。RICE処置は、Rest(安静)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の頭文字から名付けられました。 肉離れにおけるRICE処置の内容は以下のとおりです。 処置 内容 安静 ・無理に身体を動かさず安静にする ・患部の腫れや血管・神経の損傷を防ぐのが目的 冷却 ・ビニール袋やアイスバックに氷を入れて患部を冷やす ・2次性の低酸素障害により患部の細胞壊死と腫れを抑えるのが目的 圧迫 ・テーピングや弾性包帯で軽く圧迫気味に固定する ・患部の内出血や腫れを防ぐのが目的 挙上 ・患部を心臓より高く挙げる ・患部の腫れを予防・腫れの軽減を図るのが目的 参考:日本整形外科学会監修|スポーツ外傷の応急処置(RICE処置) 肉離れを起こしたときは、病院にかかるまでの間にこのRICE処置を試してみてください。 まとめ|肉離れが全治するまでの期間を知って回復を目指そう 肉離れが全治するまでの期間は、重症度によって異なります。 全治までにかかる期間の目安 軽症:約1〜2週間 中等症:約3~5週間 重症:約2〜3カ月 上記の期間はあくまで目安です。怪我の具合や回復速度は個々によって違うので、担当医の指示に従いながら、焦らず着実に回復を目指しましょう。 肉離れに効果的な治療法の1つに「再生医療(PRP療法)」があります。PRP療法とは、人間の組織や血液に含まれる自然治癒力を活用して、傷ついた筋肉を修復させる医療技術です。 身体に負担の少ない治療法として、今注目されています。「具体的な治療内容や効果が知りたい!」という方は、再生医療を専門とする『リペアセルクリニック』にご相談ください。 肉離れに関するよくある質問 最後に肉離れに関するよくある質問と回答をまとめます。 太ももやふくらはぎの肉離れが全治するまでの期間は? 太ももやふくらはぎの肉離れが全治するまでの期間は、重症度によって異なります。重症度別の全治までの期間の目安は、前述した情報が参考になります。以下でもう1度、情報を振り返りましょう。 軽症:約1〜2週間 中等症:約3~5週間 重症:約2〜3カ月 自身の症状の程度にあわせて適切な治療を進めてください。 以下の記事では、ふくらはぎの筋断裂(肉離れ)について解説しています。原因や予防法なども紹介しているので、詳細が気になる方は参考にしてみてください。 軽度の肉離れだと1週間ほどで治りますか? 軽度(筋繊維が微細損傷したレベル)の肉離れであれば、1週間で治るケースもあります。先述のとおり、軽度肉離れの全治までの期間は、およそ1〜2週間です。 ただし、期間を気にして焦って治そうとするのは禁物です。担当医の指示のもと、無理のない範囲で回復を目指しましょう。 肉離れを予防する方法はありますか? 肉離れの予防には、運動前の十分なストレッチが効果的です。 肉離れは、筋肉の疲労や柔軟性の低下が原因となって起こります。運動前にしっかりストレッチをして筋肉をほぐしておけば、筋肉への負担を軽減でき、肉離れのリスクを下げられます。 肉離れが一生治らない可能性もありますか? 肉離れは適切なケアをすれば、完治する可能性が高いケガです。 ただし、1回肉離れを起こした筋肉は再発を繰り返すと言われています。そのため、肉離れが起きたら完全に治すことに集中するのが望ましいといえます。中途半端に治療すると再発のリスクが高まってしまうためです。 また、肉離れが治ったあとは、運動前のストレッチを念入りにおこない、再発防止に努めましょう。 【参考文献】 文献1:https://www.rinspo.jp/journal/2010/files/24-3/331-333.pdf
公開日:2024.11.06 -
- 脊髄損傷
- 幹細胞治療
- 脊椎
- 再生治療
脊髄損傷!再生医療が画期的な治療法と言われる訳とは! 脊髄損傷の患者様は、日本に15万人ほどおられ、毎年4000〜5000人が受傷していると言われています。脊髄を損傷する原因は、交通事故・高所からの転落・スポーツでの事故・平地での転倒などさまざまです。 脊髄を損傷すると、手足の運動や感覚が麻痺するなど、身体機能に大きな影響をもたらす可能性が高いものの、これまで損傷した脊髄を再生させたり、麻痺を回復させたりするような効果的な治療法はありませんでした。 しかし、再生医療という新たな医療分野の出現によって損傷した脊髄を再生させ、体の機能を取り戻す、回復するといった画期的な方法が登場しました。この医療は、これまでは難しかった症状を手術や入院をせずに回復に向かわせる奇跡的ともいえる手法と言われています。 この記事では、これまでの脊髄損傷の治療法と、新たな治療法である再生医療での治療法をわかりやすく解説します。 脊髄損傷とは 脊髄とは脳から骨盤にかけて出ている神経で、脳と体の各部位を連結させる通信経路の役割があります。脊髄が損傷すると、体の機能に大きな影響を与えるため、脊椎(頚椎・胸椎・腰椎・仙骨)が形成する脊柱管に守られるようにして体の各部位へ分岐します。 脊髄損傷はあらゆる年齢に発生しますが、特に20歳と59歳に発生頻度が高まるとされてきました。しかし、近年の調査では70代に最も多く発生することがわかっています。これは、加齢とともに転倒リスクが上がるためと考えられます。 脊髄損傷は、完全麻痺と不全麻痺に分けられます。完全麻痺は、脊髄が完全に離断されると発生し、手足の感覚がわからない、全く動かなせないといった状態で、不全麻痺は、運動機能や感覚麻痺が一部だけ残っている状態です。残存する機能は、損傷部位や程度により変わります。 脊髄を損傷の特徴として、高い位置で損傷するほど重症度が高くなります。一般的に、上位頚髄の損傷では、自分で呼吸ができなくなり、呼吸器を必要とする重篤な麻痺を生じることがあります。また、胸髄の損傷では頚髄損傷と比較して、完全麻痺の可能性が高まります。 脊髄損傷のこれまでの治療法 脊髄を損傷すると、損傷部位の安静を確保し、手術によって脱臼・骨折した脊椎を安定させます。その後、残存した機能を活かしてリハビリテーションに取り組みますが、受傷時に負った麻痺がそのまま残ってしまうのが現状です。 急性期の治療 損傷時は、脊椎をギプスや装具で固定して安静を図ります。特に、重症化しやすい頚椎の固定は強く推奨されているほか、頭蓋骨の牽引や手術により神経を圧迫している原因を除去します。 また、頚髄や上部胸髄損傷により自発呼吸が機能しなくなった際には呼吸確保が実施されます。 脊髄損傷をしてすぐは、ベッド上で安静にすることが多く、褥瘡(床ずれ)などさまざまな合併症に気をつけます。 脊髄損傷による合併症 ・褥瘡 ・筋力の低下 ・関節可動域の低下 ・呼吸器疾患 ・尿路感染症 ・起立性低血圧 慢性期の治療 脊髄損傷後に残存した機能を活かし、日常生活を送れるようにリハビリテーションが行われます。リハビリでは、筋力トレーニングや関節可動域訓練など、日常に即した訓練が実施されます。 また、寝返りの練習により床ずれを防止したり、排泄の練習をしたりと、個人の状態に合わせた訓練に取り組み社会復帰を目指します。 再生医療が画期的な治療法と言われる訳 これまでは脊髄を損傷すると、手術により神経を圧迫している骨片を取り除き、リハビリによって社会復帰を目指してきました。しかし、手術やリハビリでは損傷した神経を再生させたり、麻痺を回復させる効果はなく、損傷した神経に対し有効な治療法がないのがこれまでの現状でした。 さらに、手足の麻痺や感覚が戻るかどうかは個人差があり、損傷した部位によっては寝たきりや車椅子での生活を余儀なくされるケースもありました。そんな中、最新医療である再生医療の出現によって、損傷した神経の再生が期待できるようになったのです。 再生医療とは 再生医療とは人間が持つ自己修復力を高める最新医療で、脊髄損傷に対しては体内に存在する幹細胞が使われます。幹細胞が持つさまざまな組織に分化(変化)する特徴を活かして、損傷した神経の修復・再生が期待されます。 幹細胞を使った治療法とは 脊髄へ使われる幹細胞は、骨髄由来の幹細胞か脂肪由来の幹細胞です。 骨髄由来幹細胞は、神経に分化しやすいとされていますが、培養しにくい上に感染リスクがあります。それに対して、脂肪由来幹細胞は、採取・培養しやすく、感染リスクもほとんどありません。 脂肪由来の幹細胞は、骨髄由来の幹細胞と比べてより多くの細胞を投与できることから高い治療効果が期待されます。最近の研究では、脂肪由来の幹細胞治療の方が治療成績は高いことがわかっています。 https://www.youtube.com/watch?v=5HxbCexwwbE&list=PLQULGKT43nrHrfZCbQFYRZniIR5S2Aq3J 脊髄への投与方法 脊髄損傷への幹細胞の投与方法は、点滴と硬膜内注射の2種類があります。点滴では、血管へ幹細胞を投与し、血液を介して脊髄へ届けます。硬膜内注射では、腰あたりから脊髄のある硬膜内に直接投与します。または、両者を掛け合わせて効果を高める場合もあります。 点滴では脊髄に幹細胞が到達するまでに数が少なくなってしまいますが、損傷部位へ直接投与する方法では、幹細胞の数を減らすことなく確実に患部へ届けられるため、点滴と比べて神経の再生力が高いです。 ただし、硬膜内へ直接投与する方法は国内でも限られた医療機関でしか行われていません。硬膜内注射を検討される場合、受診予定の医療機関へ問い合わせてみると良いでしょう。 まとめ・脊髄損傷!再生医療が画期的な治療法と言われる訳とは?! 脊髄損傷は、大きな事故や転落だけでなく平坦な道で転んでも発生する疾患です。脊髄神経が損傷されると、手足を動かせなくなったり感覚を感じとれなくなったりと、これまで通りの生活を送れなくなる場合があります。 急性期には、脊椎を固定し安静にするほか、手術で骨のかけらを取り除きます。ただ、慢性期にリハビリに取り組んだとしても、一度傷んだ神経が元通りになることはなく、これまで効果的な治療法はありませんでした。 しかし、最新の治療法である再生医療では、損傷した神経の修復や再生が期待できるようになりました。再生医療は、これまで効果的な治療法が存在しなかった脊髄損傷に対して、大きな可能性が広がる治療として注目されています。 以上、脊髄損傷の画期的な治療法と言われる再生医療について記させていただきました。参考になれば幸いです。 ▼ 脊髄損傷の再生医療|最新の幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、脊髄損傷の新たな治療法として注目を浴びています
公開日:2024.10.07