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頚椎ヘルニア手術の後遺症とは?よくある「しびれ」の対策法を現役医師が解説

頸椎椎間板ヘルニア
公開日: 2022.07.23 更新日: 2025.02.12

「頚椎ヘルニアの手術をすると後遺症が出るの?」「後遺症が出たら手術は失敗?」といった疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。

頚椎ヘルニアの手術を受けるべきか検討していても、後遺症のリスクが頭をよぎり、なかなか踏み切れない人もいるかもしれません。

結論からいえば、頚椎ヘルニアの手術を受けて後遺症が出る可能性はゼロではありません。ただし、後遺症は手術の失敗によるものではなく、ヘルニアの症状によって神経が損傷したため起こるものです。

後遺症リスクを抑えるためには、ヘルニアによって神経が損傷する前に、早い段階で手術をした方が良いといえるでしょう。

本記事では頚椎ヘルニアの手術後に起こりうる後遺症に焦点を当てて、詳しく解説していきます。

頚椎ヘルニアの手術を検討している人は、ぜひ最後までチェックしてみてください。

頚椎ヘルニア|しびれを含む手術後の後遺症

頚椎ヘルニアの手術後に起こりやすい後遺症は以下の3つです。

  • 神経障害による「しびれ・痛みや筋力低下」
  • 硬膜損傷による「頭痛や吐き気」
  • 血腫(血のかたまり)による「しびれや痛み」

これは手術によるものではなく、頚椎ヘルニアによる神経の損傷で起こる場合もあります。しかし手術によって神経周囲の組織が損傷するリスクもゼロではないため、事前に理解しておきましょう。

本記事では頚椎ヘルニアの手術後に起こりうる後遺症について詳しく解説します。

なお、頚椎ヘルニアの症状や原因については別の記事でご紹介していますので、そちらもぜひご確認ください。

神経障害による「しびれ・痛みや筋力低下」

頚椎ヘルニアの後遺症として、しびれや痛み・筋力低下がみられることがあります。

頚椎ヘルニアの手術では、神経の圧迫を取り除くことのみ行い、損傷自体は元に戻せません。そのため、ヘルニアの神経損傷によるしびれや痛みなどは、手術後も残る場合があることはガイドラインでも注意喚起されています(文献1)。

神経は自然治癒が難しい組織であり、損傷すると関与する部位のしびれ・痛みが出やすいのが特徴です。

また、しびれによって手指がうまく動かせず、細かい動作が難しくなる巧緻運動障害(こうちうんどうしょうがい)がみられることもあります。過去の手術事例でも巧緻運動障害が報告されていて、頚椎ヘルニアの手術後には注意が必要です。(文献2)。

なお、頚椎ヘルニアの手術前から筋力低下が起こっている場合は、術後も筋力が戻らない後遺症もあります。

硬膜損傷による「頭痛や吐き気」

頚椎ヘルニアの手術によって、頚椎の硬膜(こうまく)が損傷し、頭痛や吐き気がみられるケースもあるでしょう。

硬膜とは頚椎の中にある骨髄を覆う膜であり、硬膜の中には髄液(脊髄の水分量をコントロールする液体)が満たされています。

手術によって硬膜に傷がつくと、髄液が外に漏れ出て頭痛や吐き気を起こすことがあります(髄膜漏:ずいまくろう)。髄膜炎に至るケースもあるため、術後に不調がみられる場合は早めに主治医に相談することが大切です。

髄膜漏は穴のカ所をみつけることが難しい疾患ですが、過去の報告ではMRIなら部位を特定が可能と報告しています。MRIで場所を特定した上で再度手術を行えば、髄膜漏の症状緩和が図れるでしょう(文献3)。しかし穴が小さい場合には手術をせず、症状の経緯をみながら自然に塞がるまで待つこともあります。

血腫(血のかたまり)による「しびれや痛み」

手術時の出血でできた血腫(血のかたまり)が神経を圧迫してしまい、しびれや痛みにつながるケースもあります。24時間以内にできることが多く、万が一血種がみられた場合は取り除く手術が必要です。

血種はすべてに発症するわけではありません。しかし、高血圧の治療などで血液をサラサラにする薬を飲んでいる人は、血腫ができるリスクが高くなることを理解しておきましょう。

頚椎ヘルニア手術の後遺症リスクを軽減する方法

頚椎ヘルニアの手術による後遺症リスクを抑えるには、以下2つの方法が有効といえます。

  • ヘルニアが重症化する前に手術を受ける
  • 実績が豊富な医師に相談する

本章が、リスクを踏まえて頚椎ヘルニアの手術を受けるか検討するときの参考になれば幸いです。

ヘルニアが重症化する前に手術を受ける

ヘルニアによって神経が損傷する前の段階で手術を受ければ、後遺症を回避できる可能性があります。

頚椎ヘルニアの後遺症に多くみられる「しびれ」「痛み」「筋力低下」は、手術ではなくヘルニアそのものが原因で起こるものです。

よって、重症化して神経が損傷する前に手術すれば、このような後遺症リスクも抑えられるといえます。

また、手術を受ける年齢が早いほど、手術後のしびれなどが元に戻りやすい傾向にあります。

後遺症のリスクを少しでも抑えたいと考えているのではあれば、早めに手術を受けることを検討してみましょう。

実績が豊富な医師に相談する

頚椎ヘルニアの手術実績が豊富な医師に相談するのも、手術後後遺症を出さないためには重要なことです。

とくに前述の硬膜損傷や出血による血腫は、技術の高い医師であれば最小限にとどめられるリスクといえます。

また、術前・術後のフォローが手厚い方が心に余裕が持てるでしょう。術式や手術後の予定などの説明がしっかりしていて、サポート体制が整っているかどうかもしっかりと見極めてください。

頚椎ヘルニア手術の後遺症における3つの治療法

頚椎ヘルニアの手術による後遺症リスクはゼロではありません。万が一後遺症が出た場合の治療法は以下の3つです。

  • リハビリ
  • 内服や注射
  • 再生医療

後遺症は手術前の神経損傷の程度によりますが、とくにしびれは取れにくい傾向があります。上記3つの治療法で緩和を図りつつ、しびれに慣れることも大切です。

リハビリ

頚椎ヘルニアの後遺症によるしびれは、リハビリが効果的です。

リハビリで姿勢や体の動かし方を変えていければ、頚椎ヘルニアの原因となる首への負担が減りしびれなどの症状改善や再発予防につながるかもしれません。

また、巧緻運動障害で動かしにくくなった指の動きを練習すれば、日常生活動作も楽にできる可能性があります。

頚椎ヘルニアの後遺症でどのようなリハビリをおこなうかは、以下の記事でも解説しているので、ぜひ目を通してください。

注射や内服

神経症状を抑える注射や内服も、頚椎ヘルニアの後遺症に対しておこなわれます。

注射では麻酔薬を神経に向かって打つブロック注射が主流で、神経活動が麻痺するためしびれなどの後遺症軽減効果が期待できるでしょう。

同様に内服でも神経の活動を抑えたり、痺れや痛みを抑える薬を使用します。このような注射や内服による治療は、手術前からおこなわれることも多い治療方法です。

再生医療

神経は損傷したら元に戻りにくいと言われている組織ですが、再生医療で修復できる可能性があります。

再生医療は厚生労働省から認可を受けたばかりでまだ認知度も低い治療法ですが、神経に直接働きかけて根本からの改善を目指せるのがメリットです。

ちなみに当院「リペアセルクリニック」でも再生医療に取り組んでいます。

当院では神経に直接働きかける「脊髄腔内ダイレクト注射療法」という方法をおこなっています。もし興味がある人はお気軽にメール相談もしくはオンラインカウンセリングからご相談ください。

また、過去の治療例で実際に後遺症が緩和した症例もあります。以下の記事で詳しくご紹介しています。

頚椎ヘルニアの手術を検討するならセカンドオピニオンもおすすめ

頚椎ヘルニアの手術を検討する際は、セカンドオピニオンとして他の医師に相談の上で決断しても良いでしょう。

頚椎ヘルニアに限らずいえることですが、手術療法は少なからずリスクが伴います。

そのため、現在の症状の重症度や手術の必要性、他の治療法の選択肢、後遺症のリスクなど、自分が納得できるまで説明を受けることが大切です。

事前に不明点や不安なことがあれば医師に確認し、手術をすべきかどうかを適切に判断・決断してください。

まとめ|頚椎ヘルニアの手術は後遺症リスクもある!慎重に検討しよう

頚椎ヘルニアの手術では、後遺症としてしびれや痛み・筋力低下が起こることがあります。ただしこれらの後遺症は、手術をしたから起こるものではなく、頚椎ヘルニアの症状として発生するケースが多いです。

頚椎ヘルニアが重症化する前に手術を受けるなど、後遺症リスクを軽減することは可能ですが、ゼロにすることは難しいといえます。

そのため、セカンドオピニオンも取り入れながら、自分が納得できるまで手術を受けるべきか検討することが大切です。

なお、「当院リペアセルクリニック」では、損傷した神経の再生が期待できる治療法として、再生医療を行っています。

気になる方はお気軽にメール相談もしくはオンラインカウンセリングからご相談ください。

この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

\まずは当院にお問い合わせください/

頚椎ヘルニアについてよくある質問

頚椎ヘルニアの手術による後遺症はありますか?

痛みやしびれ・筋力低下といった後遺症があります。

これらは手術前から頚椎ヘルニアによって神経が損傷していた場合や、手術による出血が原因で起こる可能性もあります。

頚椎ヘルニアの手術による後遺症は治りますか?

リハビリやブロック注射、再生医療で症状が緩和できる可能性があります。

手術を受けた医療機関や、セカンドオピニオンも含めて自分に合った治療法を検討することが大切です。

参考文献一覧

文献1
乾敏彦 et al 頚椎症性神経根症(椎間板ヘルニア含む)の外治療に関する指針 脊髄外科 29巻 3号 2015

文献2
土屋邦喜 et al 頚椎手術における術後神経合併症の検討 整形外科と災害外科 60巻 3号 2011

文献3
福澤文駿 et al 頸髄 MRI 検査で漏出部位が判明した 脳脊髄液漏出症の一例 日病総診誌 15巻 2号 2019

 

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