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膝蓋軟骨軟化症(ランナー膝)の原因と治療法5つを解説

ランナー膝
公開日: 2022.03.11 更新日: 2025.03.31

「膝の痛みや違和感が気になる」

「ランニングをしていると膝が軋むような感じがする」

ランニング時や階段の昇り降りなどで、膝に痛みや違和感を感じているものの、どのような病気なのかわからず悩む方もいるでしょう。

膝蓋軟骨軟化症(しつがいなんこつなんかしょう)は「ランナー膝」とも呼ばれ、10〜20代の若い世代や女性に多い膝の疾患です。

この記事では、膝蓋軟骨軟化症の原因や治療法を詳しく解説します。また、症状別の治療法も紹介するので、整形外科を受診する際の参考になれば幸いです。

ランナー膝の1つ「膝蓋軟骨軟化症」は10~20代に多い膝の疾患

膝蓋軟骨軟化症は、膝蓋骨(膝の皿)の裏側にある軟骨が柔らかくなる疾患であり、ランナー膝の一種としても知られています。とくに、10〜20代の若い世代に多くみられ、スポーツ活動が活発な人に発症しやすい傾向があります。

男性よりも女性に多くみられる病気で、女性ホルモンの影響やハイヒールのような不安定な靴を履くなど、女性ならではの原因があるのも事実です。

主な症状は、膝の痛みや違和感で、初期は自覚症状がない場合も少なくありません。進行すると、日常生活にも支障をきたす可能性があるため、注意が必要です。

若い世代のランナーに多いといわれている膝蓋軟骨軟化症の原因や症状など、詳しくみていきましょう。

膝蓋軟骨軟化症の原因

膝蓋軟骨軟化症は、膝にかかる負担や身体構造の問題、筋力バランスの悪化など複数の原因が重なって起こります。発症には、スポーツや日常生活での動作も関係しています。

そもそも膝蓋軟骨とは、膝の皿である膝蓋骨のうしろ側に付着している軟骨成分です。膝蓋軟骨は大腿骨と関節部を構成しており、軟骨組織は、通常であれば滑らかに関節面を可動します。

しかし、太ももの筋肉である大腿四頭筋の筋力不足や関節面の柔軟性低下などによって関節接合部が摩耗すると、ゴリゴリと膝部分から音が鳴るケースも珍しくありません。

ここでは、具体的にどのような原因が膝蓋軟骨軟化症につながるのかを解説します。

膝への負担が大きい動作をする

ランニングやジャンプなど、膝への負担が大きい動作を繰り返すと、膝蓋軟骨が徐々に磨耗し、軟化する場合があります。

たとえば、ランニングの際、膝にかかる力は体重の約2〜3倍ほどといわれています。しかし、普通にランニングするだけで、膝蓋軟骨軟化症になるわけではありません。

階段を上る、しゃがみ込むなど日常生活で頻繁に行う動作を繰り返すと膝への負担がかかるため、注意しましょう。

若い世代の場合、成長期に運動量が多くなると症状が出るケースが多くみられます。過度な運動量を避け、適切な休息とクールダウンを取り入れるのが重要です。

身体構造に問題がある

膝蓋骨の形状や脚の骨格など、身体構造の問題も膝蓋軟骨軟化症の原因となります。代表的な例は以下のとおりです。

  • 膝蓋骨が正しい位置より外側に偏った状態(膝蓋骨の外側偏位)
  • X脚
  • 外反母趾
  • 扁平足(へんぺいそく)

膝蓋骨と大腿骨が正しい位置関係にならないと、膝蓋骨が外側へ偏り、膝蓋軟骨が摩耗したり断裂したりする場合があります。X脚は、膝関節に不自然な負荷がかかりやすいだけでなく、軟骨がすり減りやすくなります。

また、外反母趾や扁平足なども、間接的に膝への負担を増加させる原因です。ハイヒールを履くと、外反母趾を発症する可能性があると考えられています。

外反母趾はX脚に発展しやすいだけでなく、膝蓋軟骨軟化症に罹患しやすいと疾患関連性が指摘されているのも事実です。

筋力のバランスが悪い

膝周りにある大腿四頭筋やハムストリングの筋力バランスが悪いことも、膝蓋軟骨軟化症の原因です。

膝蓋骨を支える筋肉への負荷が均等に分散されないため、軟骨へ負担がかかります。

たとえば、太もも前側にある大腿四頭筋が強く、お尻の筋肉である臀筋(でんきん)が弱いと、足の内側と外側の筋力差が大きく、膝蓋骨が安定しません。また、体幹が弱いと運動時における体のバランスが崩れやすく、膝への負担が増える原因となります。

筋力バランスを整えるトレーニングが、膝蓋軟骨軟化症状の予防や改善に有効です。

膝蓋軟骨軟化症の症状

膝蓋軟骨軟化症が進行すると、膝の痛みや違和感など特徴的な症状が出てきます。症状の現れ方は人によって違いますが、日常動作にも支障をきたすため注意が必要です。

具体的な症状をみていきましょう。

膝の痛み

膝蓋軟骨軟化症で多い症状は、膝関節の周囲や裏側を中心とした痛みで、一般的には膝関節の腫れや熱感などは見られません。

膝関節を屈伸した際に痛みが増すといわれているため、階段の昇り降りやランニング、急に椅子から立ち上がる際などのときに症状が悪化しやすいと考えられます。

走っているときに膝蓋骨の裏側に痛み症状を覚えた人は、膝蓋軟骨軟化症を発症した疑いが持たれるでしょう。ランニング時に膝部分を何度も屈曲する動作を行うため、膝蓋骨裏側に存在する軟骨成分と大腿骨下端部が摩擦し合って関節面が傷ついていると考えられます。

症状が軽い段階では一時的に痛みが消える場合もありますが、症状が進行すると、安静時や軽い動作でも強い痛みを感じるようになるため、注意が必要です。

膝が軋むような違和感

膝蓋軟骨軟化症になると、膝の曲げ伸ばしをする際に、ゴリゴリ、じょりじょりとした軋むような音や、引っかかるような違和感を覚えるケースがあります。

これは、膝蓋軟骨の表面が軟化して凸凹ができ、膝蓋骨や大腿骨の間で摩擦が生じるためです。

膝が軋むような違和感は、痛みとともに現れる場合や単独で現れる場合もあります。初期症状では、特定の動作時だけ自覚する程度ですが、進行すると日常的な動作でも頻繁に違和感を感じるようになり、不快感や不安感を伴います。

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膝蓋軟骨軟化症の検査

膝蓋軟骨軟化症で行われる検査は、以下のとおりです。

  • 専門医による問診・視診・触診
  • MRI検査
  • 関節鏡検査

まずは、診察で症状がどのようなときに出現するのか、あるいはいつから発症しているのかなどの臨床経過を確認する作業から開始します。

診察時には、膝関節部に腫れや赤みなどの所見はあるか、押さえて痛い部分は存在するか、膝に疼痛症状が起こる動作などを評価していきます。

MRI検査は、磁石と電波を利用して膝関節の内部を映像化する検査方法です。膝蓋骨の裏側に位置している軟骨部に特徴的な軟骨変形や軟骨破壊などの病変部があるか否かを調査します。

膝蓋軟骨軟化症と類似している疾患として、膝蓋骨後面欠損、離断性骨軟骨炎などが挙げられるため、MRI画像所見や既往歴などを詳細に評価して適切な診断につなげていきます。

膝蓋軟骨軟化症の診断や病変の確認に有効な検査方法は、関節鏡検査です。ただし、関節腔内に細い筒状の内視鏡を挿入する必要があり、膝関節を切開しなければなりません。

患者様の身体への負担が少ない方法として、専門医の診察やMRI検査を実施している医療機関が多くみられます。

【症状別】膝蓋軟骨軟化症の治療

膝蓋軟骨軟化症で行われる治療は、主に保存療法や手術療法・再生療法です。患者様一人ひとりの症状に合わせて、適した治療法を選択します。

症状別に各治療方法を紹介するので、参考にしてください。

【軽度〜中程度】保存療法

症状が軽度から中程度の場合は、保存療法を行います。

保存療法とは、手術をせずに症状の改善を目指す治療法です。主に薬物療法と理学療法に分類されます。

症状の程度などによって個人派はありますが、治療期間は1年前後かかるケースがあります。

薬物療法

薬物療法は膝の炎症を抑え、痛みを緩和する目的で行います。

具体的には、次のような抗炎症薬や湿布薬が使用されます。

  • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
  • 鎮痛薬
  • ヒアルロン酸注射
  • 湿布薬

症状によっては、ヒアルロン酸を注射する場合もあり、治療法は多岐に渡ります。

ただし、内服薬のなかには副作用を引き起こす可能性があるため、長期間服用する際は注意しなければなりません。

腹痛や吐き気などの消化器症状をはじめ、喘息発作・血圧上昇などの症状が出た際には、受診した医療機関に連絡しましょう。

理学療法

理学療法は、筋力強化や柔軟性向上のため運動療法を中心に行います。

膝蓋骨は、太ももの前後に位置する大腿四頭筋につながっているため、強化すると膝関節が安定し、痛みを予防できます。

また、ストレッチやマッサージでは、膝の柔軟性を高めると、痛みの予防が可能です。

専門である理学療法士による指導を受けると、効果的なトレーニングができます。症状に応じてテーピングやサポーターなどの補助的な方法も併用します。

運動やストレッチは、実施した分だけ効果が出るわけではありません。やり過ぎると症状を悪化させるリスクもあるため、自己判断で行わず、理学療法士の指示に従いましょう。

【重度】手術療法

保存療法で改善がみられない場合には、手術を伴う治療が検討されます。主に実施される治療方法は以下のとおりです。

  • 関節鏡手術
  • 軟骨デブリードマン
  • 脛骨(けいこつ)粗面挙上術

関節鏡手術とは、小さく切開した部分から内視鏡を挿入し、損傷した軟骨の処置を行います。傷口の小さく、身体への負担が比較的小さく、回復が早い傾向にあります。

軟骨表面を整えるデブリードマンや、関節の接触圧を減少させる脛骨粗面挙上術などの手術方法もあり、年齢や症状に応じた選択が必要です。

手術療法は、保存療法で改善しなかった症状を根治できるよう治療しますが、術後の痛みや感染症などのリスクがあるのも事実です。

手術を検討する際は、担当の整形外科医とも良く相談しましょう。

【重度】再生医療

近年では、自身の細胞や組織を用いる再生医療も選択肢の1つとして注目されています。手術や入院の必要がないのが特徴です。

再生医療では、主に次の治療が行われます。

  • 自家軟骨細胞移植:患者様の健康な軟骨から細胞を採取・培養し、増やした細胞を損傷部に移植
  • 幹細胞治療:骨髄や脂肪組織から採取・培養した幹細胞を損傷部位に投与
  • 多血小板血漿療法(PRP療法):血液から濃縮した血小板を抽出し、損傷部位に投与

なかでも、当院「リペアセルクリニック」では脂肪由来の幹細胞治療をご提供しています。

患者様自身の細胞を利用して治療するため、拒絶反応やアレルギーのリスクも少ない治療法です。

再生医療に興味のある方は、お気軽にご相談ください。

手術しなくても治療できる時代です。

膝の痛みは⼿術しなくても治療できる時代です。

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まとめ|膝蓋軟骨軟化症の症状にお悩みなら早めに受診しよう

膝蓋軟骨軟化症は、10〜20代の若い世代でランニングをはじめとしたスポーツをする人に多く見受けられる病気の一種です。

膝蓋軟骨軟化症は、膝にかかる過度の負担や、身体構造の問題など、複数の原因が考えられます。

軽度〜中程度の場合、保存治療により改善が見込めますが、重度では手術療法を検討するケースもあります。

膝蓋軟骨軟化症と診断されたら、進行する前に整形外科を受診しましょう。

当院では、患者様自身の細胞や組織を用いた「再生医療」も選択可能です。

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膝蓋軟骨軟化症に関してよくある質問

膝蓋軟骨軟化症と診断されたら運動しない方が良いですか?

膝蓋軟骨軟化症と診断されたからといって、必ずしも運動を中止する必要はありません。ただし、膝に負担がかかるランニングやジャンプなどの運動は一時的に控えた方が良いでしょう。

整形外科医や理学療法士の指示に従い、痛みが軽減したら膝に負担の少ない運動から始め、徐々に負荷を上げていくのが重要です。

膝蓋軟骨軟化症の改善にストレッチは有効ですか?

膝蓋軟骨軟化症の改善にストレッチは有効です。とくに、膝の前後や股関節周囲の筋肉を伸ばすストレッチは、筋肉の緊張をほぐし、膝にかかる負担を軽くします。

ストレッチを継続すると、膝蓋骨の動きがスムーズになり、痛みを軽減させる効果が期待できます。

ただし、間違った方法で行うと症状を悪化させる可能性もあるため、整形外科医や理学療法士の指導を受けるのがおすすめです。

膝蓋軟骨軟化症の治療に手術は必要ですか?

すべての患者様に手術が必要なわけではありません。基本的には、薬物療法や理学療法を中心とした保存療法を行い、症状の改善を目指します。

保存療法で効果が得られない場合や、軟骨の損傷が重度の場合には、手術が検討されます。手術が必要か否かは、症状や検査結果・年齢などを総合的に判断するため、整形外科医とも相談しましょう。

監修者

坂本 貞範(医療法人美喜有会 理事長)

坂本 貞範 (医療法人美喜有会 理事長)

Sadanori Sakamoto

再生医療抗加齢学会 理事

再生医療の可能性に確信をもって治療をおこなう。

「できなくなったことを、再びできるように」を信条に
患者の笑顔を守り続ける。

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