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手首が痩せる手根管症候群とはどんな病気?症状や対処法も紹介

手根管症候群とはどんな病気?症状と治療法
公開日: 2022.09.26 更新日: 2025.02.12

「手首が痩せてきた」「手がしびれる、痛みがある」と自覚症状があり、病気にかかっていないか心配な方もいるでしょう。

これら症状が出ているとき、可能性が高いのは「手根管症候群」です。

手根管症候群は、手を酷使する方や妊娠中の女性、更年期の女性に多い傾向があります。また、原因不明のケースもあります。初期なら適切な対処で改善しやすいですが、進行すると手術が必要なこともある病気です。

この記事では、手根管症候群の症状の特徴や治療方法を紹介します。自宅でできるセルフケアの方法もお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

手根管症候群とは

手根管症候群は、手のしびれを訴えて病院を受診する方の中で非常に多い病気です。

手のひらの付け根にある「手根管」が狭くなり、中を通る神経が圧迫されることで、手指のしびれや痛みが現れます。しびれるのは親指から薬指の半分までで、薬指の小指側の半分と小指はしびれないのが特徴的です。

軽症ならば自然に治るケースもありますが、放置すると親指の付け根の筋肉が痩せ、小さいものをつまむ動作ができなくなります。

手根管とは

手根管は手のひら側の手首の部分にあります。具体的には手の骨(手根骨)の手のひら側に横手根靱帯という靱帯が横向きにあり、この手根骨と横手根靭帯の間のすき間を正中神経という神経と、指を動かすための9本の腱が通り抜けています。

手根管とはこの正中神経と9本の腱が通り抜けるトンネルのような部分です。

手根管症候群では横手根靭帯が浮腫んだり厚みが増すことで、トンネル部分が狭くなり、正中神経を圧迫することによって症状が現れます。またまれですが手根管にコブができて正中神経を圧迫することもあります。

正中神経とは

正中神経は腕にある主要な3本の神経(正中神経・橈骨神経・尺骨神経)のうちの1つです。物に触れた感覚や痛みを伝える感覚神経としての役割と、筋肉を動かす運動神経としての役割をあわせ持ちます。

手における正中神経の担当範囲は以下の通りです。

感覚 親指、人差し指、中指、薬指の親指側半分
(これらの指の手のひら側)
運動 親指を動かす
(親指の付け根の筋肉「母指球筋」を担当)

正中神経が障害されると、担当範囲の指の感覚が鈍くなったり、親指を動かしにくくなったりします。

なお正中神経は、前腕をひねって手のひらを下に向ける動きや、手首を曲げる動きなども担当しています。しかし、手根管症候群で動きに影響が出るのは、親指だけです。

参考:正中神経麻痺|日本整形外科学会

手根管症候群の症状|罹患者に多いサインも紹介

手根管症候群の症状は、以下のように進行していきます。

  • 初期:人差し指と中指のしびれ・痛みが出る。
  • 中期:親指から薬指の親指側半分までしびれが広がる。同じ範囲の感覚が鈍くなることもある。
  • 末期:親指の付け根の筋肉がやせる、親指を動かしにくくなる。

しびれや痛みは明け方に強く感じることが多く、手を振ったり、指を曲げ伸ばしたりすると症状が軽くなります。人によっては「手がこわばる」と表現する方もいます。

手根管症候群の初期症状が現れているにもかかわらず、症状を放置すると親指の付け根にある筋肉(母指球筋)がしぼんで、親指の動きに制限が出てきます。このとき現れる具体的な症状は、以下のようなものです。

  • ボタンがつまみにくい
  • 小銭を拾いにくい
  • 物をよく落とす
  • 親指と人差し指でOKサインがつくれない
  • 親指の付け根部分の筋肉のふくらみが減ってきた

このような症状や手のしびれ・痛みを自覚したら、医療機関にて相談してみることをおすすめします。

参考:手根管症候群|日本整形外科学会

手首が痩せるなど手根管症候群の疑いがあるときやってはいけないこと

手根管症候群を疑う症状がある場合は、以下のことを避けましょう。

  • 初期:人差し指と中指のしびれ・痛みが出る。
  • 中期:親指から薬指の親指側半分までしびれが広がる。同じ範囲の感覚が鈍くなることもある。
  • 末期:親指の付け根の筋肉がやせる、親指を動かしにくくなる。

手に負担のかかる姿勢や動作をしていると、手根管が圧迫され、症状が悪化しやすくなります。無理なストレッチやマッサージも、悪化の要因となる場合があるため避けましょう。

自己判断で痛み止めを使うのもおすすめできません。薬で痛みを抑えても、手根管症候群自体が改善するわけではないからです。放置せず整形外科で診察を受け、根本的な原因を治療するのが大切です。

以下の記事では、手の負担を減らす具体的な工夫も解説しているので、ぜひ参考にしてください。

手根管症候群の検査方法

整形外科を受診すると、手首や手を動かして正中神経障害の症状が現れるかどうかを調べます。簡単な検査で確定できない場合は、追加で検査を実施することが多いです。

ここでは手根管症候群を診断するための以下の検査について説明します。

  • ティネルサイン
  • ファレンテスト
  • 筋電図検査
  • 超音波検査/MRI

ティネルサイン

ティネルサインとは、神経が損傷している部分を指や打腱器などで叩いたときに、神経の支配領域に異常感覚が生じる現象です。傷ついた神経が再生する過程で一時的に敏感になり、叩打に反応すると考えられています。

手根管症候群を疑う場合は、手首の手根管のある部分を叩いて反応を見ます。叩いたときに正中神経の範囲の指にしびれや痛みを感じれば、手根管の部分で神経が損傷している可能性が高いです。

参考:Tinel徴候 脊椎脊髄ジャーナル 28巻4号 (2015年4月発行)

ファレンテスト

ファレンテストは、手根管症候群の症状を誘発させるテストです。方法は、まずオバケのまねをするように、両手を手首からだらんと垂らします。そして左右の手の甲を合わせ、手首が90°曲がるようにしっかり保持します。

手首をしっかり曲げることで、手根管の内圧が上昇し、症状が出やすい状態となります。この状態で1分以内にしびれや痛みが現れれば、ファレンテスト陽性であり、手根管症候群の可能性が高いといえます。

筋電図検査

筋電図検査は、上記の検査で確定診断できない場合に行うことがあります。神経および筋肉の電気的活動を調べる検査で、2種類の検査方法があります

ひとつめの神経伝導検査は、神経を電気が伝わる速度を調べる検査です。皮膚の上から正中神経に微弱な電流を流し、支配下の筋肉や感覚神経の反応を記録します。

もうひとつの針筋電図検査は、筋肉の異常を調べる検査です。筋肉に細い電極を刺し、力を抜いたときと力を入れたときに発生する電気的活動を記録します。

参考:筋電図検査

超音波検査/MRI

超音波検査/MRIは、手根管にコブ(腫瘤)ができている可能性がある場合に追加する画像検査です。超音波検査では、手根管の部分に超音波を出すプローブを当てて、内部を観察します。

MRI検査では専用の装置に横たわり、コイルと呼ばれる機器に手を入れて撮影します。体内に金属が入っている方は検査できない場合があったり、撮影中に手を動かしてはいけなかったりと注意点もありますが、超音波検査よりも詳細な画像が得られます。

参考:骨軟部

手根管症候群になったときのセルフケア方法

ここでは手根管症候群と診断されたときのセルフケアについて紹介します。初期の手根管症候群である場合や、筋肉の張りによって症状が出ている場合などは、セルフケアの効果が出やすいです。痛みやしびれに悩んでいる方は、以下のようなセルフケアを試してみると良いでしょう。

セルフケア 効果・ポイント 注意点
患部を温める 血流を改善(神経と同時に血管も圧迫されていることが多いため) 患部が熱を持っていれば冷やす方が良い場合も
湿布 痛み止め成分により痛みを軽減 効果は一時的
サポーター 手首の安静を保てる。湿布と併用可能 手首を固定できるタイプを選ぶ
ストレッチ 筋肉や腱の動きを改善して症状を軽減 力を入れすぎると逆効果。痛みが出ないようやさしく行う
マッサージ 手根管の靭帯をほぐす 力を入れすぎると逆効果。痛みが出ないようやさしく行う

これらのセルフケアは、以下の記事で詳しく解説しています。ストレッチやマッサージの方法は写真で見やすく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

なお、手根管症候群が重症化している場合は、セルフケアの十分な効果は得られません。しびれや痛みが強くなってきたり、手に力が入らなくなったりしていれば、手術療法も検討が必要となります。

手根管症候群になる可能性のある病気

手根管症候群になる可能性のある病気としては、以下が挙げられます。

  • 手首の骨折
  • 手根管内の腫瘍
  • リウマチによる滑膜炎
  • アミロイドーシス
  • 甲状腺機能低下症
  • 痛風
  • 透析患者

しかし、手根管症候群になった場合、上記のような病気によって誘発される可能性よりも、むしろ原因不明で突発的に起こることが多いです。

手根管症候群は、妊娠や出産時期、更年期の女性にも多いです。これは女性ホルモンの乱れによって手根管部が浮腫み、正中神経を圧迫するためと考えられています。

その他にも、以下のような仕事で手を酷使する方に多い説もあります。

  • パソコンをよく使う人
  • 工具のドライバーをよく使用する人
  • 振動する機械をよく使う人

上記のような動作の業務が多い方は、手根管症候群を発症する可能性があるため注意が必要です。

手根管症候群の治療

手根管症候群と診断されたら、消炎鎮痛剤やビタミンB12、シップや塗り薬などの薬物療法、その他に手首を固定する装具の着用や運動制限などの処置が一般的です。

炎症が強い場合には手根管内に炎症を抑えるステロイドなどの注射を行うこともあります。

これらの治療で改善しない場合や腫瘤がある場合、母指球筋が痩せている場合には手術療法が必要なこともあります。最近はできるだけ傷が小さくて済むような、カメラを用いた鏡視下手根管開放術や直視下手根管開放術などが主流です。

母指球筋の萎縮が強い場合は別の場所から腱を移動する母指対立再建術を行なうこともあります。

手根管症候群の手術後にすぐ日常生活へ戻れる?

手術後の安静期間は、手術の種類によって異なります。すぐに日常生活へ戻れる場合もあれば、1〜2週間ほどの入院と約1カ月の安静が必要なケースもあります。

手根管症候群の代表的な手術は、手根管開放術と母指対立再建術です。入院の必要性と、安静期間の目安は以下の通りです。

手術名 入院必要性 安静期間の目安
手根管開放術
(局所麻酔で可能)
日帰り可能 1週間程度
母指対立再建術
(全身麻酔で行う)
1〜2週間入院 最低1カ月程度

手根管開放術の場合、手のひらの手術部位を、術後1週間ほどギプスで固定します。ギブスが外れ、傷口の治癒や痛みの軽減が確認できれば日常生活に復帰可能です。

母指対立再建術の場合は、手首や指にある腱や筋肉を親指の付け根に移植するため、傷口も複数カ所にわたります。手術部位の固定は1カ月ほどです。

どちらの手術でも、術後は以下の3点に注意が必要です。

  • 抜糸するまでは安静にして過ごす
  • 傷口に水がかからないようにする
  • 症状が落ち着くまでは手を使う仕事や家事は控える

また、手術後の痛みが消えるまでには3〜6カ月ほどかかります。手術の種類や個人差によっても異なりますが「痛みを気にせず日常生活を送れるまでには数カ月かかるかもしれない」と頭に入れておきましょう。

以下の記事では、手術の内容や術後の注意について詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。

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手首が痩せてしびれる症状に心当たりがあれば当院へご相談ください

今回は、手首が痩せる病気について紹介しました。

手首の痩せや手のしびれを感じた場合に、多くみられる病気が手根管症候群です。初期であれば飲み薬や、手首の安静などで症状が改善することが多くありますが、症状が進むと手術が必要になることもあるので重々注意しなければなりません。手のしびれや指先が思うように動かせないなど、上述の症状以外でも何か疑われることが1つでもあれば、医療機関、整形外科等にて早めに診断してもらいましょう

当院でも手首の痩せや手のしびれの相談を承っています。一般的に手術が必要とされる症状でも、身体にメスを入れない再生医療で治療可能なケースもありますので、お気軽にお問い合わせください。

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