- 手部、その他疾患
- 手部
手首を反らせると痛い原因は?考えられる疾患や治療法・対処法について医師が解説

手首を反らせると痛む場合、手首の「橈骨遠位端骨折」や「舟状骨骨折」などの骨折による痛みが考えられます。
また、骨折などの怪我をしていない場合でも、腱鞘炎などの病気や女性ホルモンの変化による痛みなど原因はさまざまです。
この記事では、手首を反らせると痛いときの原因やセルフチェックの方法についてご紹介します。
病気に関する知識を深めることで症状改善につながり、痛みのない生活を送れるきっかけになるでしょう。
また、当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、手首の痛みの原因となる疾患にも有効な再生医療に関する情報を公開中です。
従来の治療では満足する効果が見られない方は、先端医療である再生医療がどのような治療を行うのか、ぜひこの機会に知っておきましょう。
目次
手首を反らせると痛いときに考えられる原因
手首を反らせると痛いときに考えられる原因は、以下の通りです。
- 骨折などの怪我による痛み
- 腱鞘炎などの病気による痛み
- 手首の神経が圧迫されることによる痛み
- 女性ホルモンによる痛み
手首を反らせると痛い原因は、ケガや病気だけではありません。
神経の圧迫されていることによる痛みや痺れ、女性ホルモンが影響している可能性があります。
以下では、それぞれの原因について詳しく解説していきます。
骨折などの怪我による痛み
手首を反らせると痛いときは、「橈骨遠位端骨折」や「舟状骨骨折」といった手首の骨折や捻挫などの怪我が考えられます。
「転んで強く手首を打ってしまった」「手首を強く捻ってしまった」など、痛みが出る直前に手首に強い衝撃を受けていることがほとんどです。
そのため、受傷後は手首を動かさないように安静にし、適切な応急処置を行いましょう。
腱鞘炎などの病気による痛み
腱鞘炎や関節リウマチ、ドケルバン病などの病気を原因として、手首を反らせると痛みが生じるケースがあります。
病気による痛みの場合、エコーやレントゲンなどの検査を行う必要があるため、医療機関の受診が必須です。
治療を受けないと治らない病気も多いので、痛みが数週間続く場合や短期間で痛みが強くなった場合は早めに医療機関を受診しましょう。
女性ホルモン減少による痛み
女性ホルモンの一つであるエストロゲンの減少も手首を反らせると痛みが生じる原因の一つです。
エストロゲンの分泌量が減少し始める40歳以降は、ホルモンの減少が神経に影響し手首の痛みにつながるケースがあります。
また、妊娠や出産によってもエストロゲンが乱れるため、妊産婦の方も注意しましょう。
女性ホルモンの減少が原因の場合は、婦人科でのホルモン治療で痛みが改善するケースもあります。
手首を反らせると痛いときの疾患のチェック方法
ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)は、基本的に医師が視診と触診で診断を行いますが、セルフチェックも可能です。
主なセルフチェックの方法は、以下の3つです。
- フィンケルシュタインテスト
- フィンケルシュタインテスト変法
- 岩原・野末テスト
以下では、それぞれの方法の手順について解説します。
フィンケルシュタインテスト
フィンケルシュタインテストの方法は、以下のとおりです。
- 症状のある手の小指が一番下になるように(前にならえのように)前へ出す
- そのままで親指を内側に折り曲げる(手で数字の「4」を表す形にする)
- 折り曲げた親指を小指側に寄せる
- 手首を小指側に曲げる
- 手首や親指の付け根に痛みが現れたら、狭窄性腱鞘炎の可能性がある
フィンケルシュタインテスト変法
フィンケルシュタインテスト変法の方法は、以下のとおりです。
- 親指を中にして握りこぶしを作る
- そのまま手首を小指側に直角に曲げる
- 手首や親指の付け根に痛みが現れたら、狭窄性腱鞘炎の可能性がある
岩原・野末テスト
岩原・野末テストの方法は、以下のとおりです。
- 手首を手のひら側に直角に曲げる
- 親指をできるだけ外へ伸ばす
- 痛みが現れたら狭窄性腱鞘炎の可能性がある
手首を反らせると痛いときの対処法・治療法
手首を反らせると痛いときの治療法としては、保存療法と手術があげられます。
以下では、それぞれの治療方法について詳しく解説します。
保存療法
手術以外で症状の緩和・改善を図る保存療法では、おもに以下のような内容が行われます。
- 安静
- 手首の固定
- 薬物療法
ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)を初めとする手首の疾患の多くは、手首の負担を減らすことで改善することがあるため、まずは安静に専念しましょう。
仕事や家事などでどうしても腕や手首を使う場合は、装具によって関節の固定性を高めて、負担軽減を図る方法がおすすめです。
薬物療法では、消炎鎮痛剤のシップや塗り薬を使用します。
腱や腱鞘の炎症が広がっている場合は、改善のためにステロイドの注射を行うことも1つの手段です。
このような保存療法を行わない場合、約半数の方が1年以内に再発するとされています。
手術(腱鞘切開)
保存療法で改善がみられない、または再発を繰り返す場合は、手術を検討する必要があります。
ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)では、「腱鞘切開」という手術が行われます。
腱鞘切開では局所麻酔にて、手首の親指側の腱鞘を露出させ、腱の通っている方向にあわせて切開します。
これにより腱が腱鞘に包まれている状態が解除されるため、病状の改善が期待できます。
手術時間は30分程度で、日帰りで行うことが一般的です。
手術後の数日間は切開部分の防水が必要で、約1週間後に抜糸し、2週間程度経過したら力仕事が可能です。
手首を反らせると痛いときによくある質問
手首を反らせると痛いときによくある質問についてお答えします。
手首の痛みに関する疑問がある方は、こちらも参考にしてみてください。
手首を反らせると痛むのはなぜですか?
手首を反らせると痛む場合、手首の「橈骨遠位端骨折」や「舟状骨骨折」が考えられます。
また、骨折していなくても、手首を捻った際や衝撃を受けた際に捻挫したことが原因となり痛みを感じるケースも。
怪我がしていない場合、腱鞘炎や関節リウマチ、ドケルバン病などの病気などが考えられます。
ドケルバン病と腱鞘炎の違いはありますか?
ドケルバン病は腱鞘炎の1種です。そのため、腱鞘炎のほうがより広い意味合いが含まれています。
また、腱鞘炎にはおもに「ドケルバン病」と「ばね指」に分けられ、それぞれ違いがあります。ドケルバン病が手首に症状が現れるのに対して、ばね指は、指の腱鞘に炎症が生じる病気です。
腱鞘炎に関して知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しています。興味がある方は、ぜひこちらの記事も参考にしてみてください。
ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)の原因は?
ドケルバン病の原因として多いのは「手や親指の使いすぎ」や「女性ホルモンの変化」によるものです。
親指を酷使すると腱鞘の壁が分厚くなったり、腱の表面に傷がついたりして、ドケルバン病の発症につながります。
また、女性では妊娠出産期や更年期のホルモンの大きな変化が原因で、ドケルバン病を発症するケースがあります。
また、出産後の女性にドケルバン病が増えやすくなる原因は、女性ホルモンの変化だけではありません。
赤ちゃんを抱えて頭を支える際に、手を広げることで親指に負荷がかかり、それが発症につながるとも考えられています。
手首を反らせると痛いときは放置せずに早めの医療機関を受診しよう
手首を反らせると痛む場合、手首の「橈骨遠位端骨折」や「舟状骨骨折」が考えられます。
怪我がしていない場合でも、腱鞘炎や関節リウマチ、ドケルバン病などの病気などが原因で痛みがでる場合もあります。
診断は医師による視診と触診のほか、さまざまなテストを行います。
症状が軽い場合、できるだけ手を使わずに安静を心がけることが重要です。しかし、安静が難しい場合は、装具や注射が必要になることがあります。
治療法は保存療法から手術療法まで多岐にわたり、再発を防ぐには早期の対処がポイントです。手首の痛みを感じたら、早めに整形外科で相談してみましょう。