脳出血にならないために!予防と再発を防ぐための血圧管理方法とは
目次
脳出血にならないために!予防と再発を防ぐための血圧管理方法について
高血圧を管理、治療する目標の1つに脳出血の予防、再発予防があります。
脳出血の主な原因は高血圧であり、一度脳出血を起こしてしまうと 1 年以内の再発率は5%程度、5 年以内の再発率は 2 割近くに及ぶと報告されています。
脳出血を起こしてしまうと、仕事に支障が出たり、介護が必要になってしまうこともあるため、予防が非常に重要です。この記事では、脳出血を予防するための血圧管理について詳しく解説していきます。
脳出血と血圧の関係
脳出血は、脳の中の血管が破けて出血してしまい、頭痛や吐き気、手足の麻痺などが出てしまう重大な病気ですが、発症には高血圧が最大の危険因子であることがわかっています。
血圧が高い状態は日常的に血管に強い力が加わってしまい、血管が破けやすくなり、動脈が硬くなる動脈硬化のリスクも上がるため、脳や心臓の血管の病気が多くなってしまいます。
また、高血圧は非常に多くの方がかかる病気であり、日本には高血圧患者は約 4300 万人もいると推定されています。高血圧自体は無症状のため、放置してしまう方もいるかもしれませんが、高血圧の治療は単に数値を下げるのではなく、脳や心臓の血管の病気を予防するためにとても重要なのです。
さらに血圧の管理は脳出血の再発予防にも必要です。一度脳出血を起こしてしまった方や喫煙者、糖尿病やコレステロールなどの他の病気を持っている方は、脳出血を起こすリスクが上昇してしまいます。そのため、一度発症してしまった方では、より厳重に血圧の管理をすることが大事です。
高血圧の診断と治療目標は
血圧は、上の数値を収縮期血圧、下の数値を拡張期血圧といいます。
高血圧治療ガイドラインの2019年版では、収縮期血圧 140 mmHg以上、または拡張期血圧 90mmHg以上( 140 / 90 mmHg以上)の状態を高血圧といい、治療の目標は 130 / 80 mmHg未満が推奨されています。
また診断・治療のときには家庭血圧(ご自宅で測定した血圧の数値のこと)の測定と血圧手帳への記入が重要です。病院で測定した血圧は緊張のため高くなりやすく、白衣高血圧といわれる病院でだけ血圧が上がってしまう方も比較的多くいらっしゃいます。
また、家庭血圧をもとにした場合の高血圧の診断基準は、135 / 85 mmHg以上をいい、治療の目標は125 / 75 mmHg未満と若干数値が異なるのが特徴です。そのため、高血圧の診断、コントロールには血圧計を購入し、ご自宅で測定した血圧を記入して医師にみせることが大事なのです。
高血圧の治療の目標は、ご本人の状況により変わることにも注意が必要です。年齢や喫煙の状況、心臓、脳血管の病気など、持病の有無によって推奨される血圧の目標値が異なるため、ご自分の治療目標がどの程度となるかは担当の医師とよく相談することが必要です。
一般的に、脳出血を起こしたことがある方は、再発予防のために130 / 80mmHg未満(家庭血圧で125 / 75 mmHg未満)とすることが推奨されているので、1 つの目安にしてください。
血圧を下げる方法
治療の基本は、生活習慣の改善(減塩、減量・運動、食事の見直し、禁煙、節酒)とお薬の内服です。まずは生活習慣の改善を行い、血圧の数値によりますが1 〜 3ヶ月ごとの評価で必要に応じてお薬を開始します。
生活習慣の改善方法とお薬の治療について順番に解説していきます。
生活習慣の改善減塩塩分は1日6g未満を目標とします。味噌汁や漬物など塩辛いものは可能な限り控えるようにしましょう。 適度な運動有酸素運動は効果が認められているので推奨されます。週に2 – 3回、20 ~ 30分間程度の運動を行うことが重要です。ウオーキングや息が上がらない程度のジョギング、サイクリング、水泳などがおすすめです。 健康的な食生活脳出血のリスクを減らすために、DASH( Dietary Approaches to Stop Hypertension )食という高血圧を防ぐ食事方法が勧められます。具体的にはカリウム、カルシウム、マグネシウム、食物繊維、タンパク質を多く含む果物、野菜、豆類、魚、肉、卵などのバランスの良い食事を摂り、高脂肪、高炭水化物の食事は避けるようにしましょう。 禁煙タバコは脳出血のリスクを高めます。禁煙することが最も効果的な方法です。 適度なアルコール摂取過剰なアルコール摂取は脳出血のリスクを高めます。週に 1 ~ 2 日程度の飲酒とするか、毎日飲むのであればビールは中瓶 1 本、日本酒 1 合以下に制限するようにしましょう。 お薬での治療生活習慣を変えても目標の血圧にすることができない場合には、お薬による治療が考えられます。お薬には複数の種類があり、目標とする血圧になるように薬を組み合わせて内服をします。 |
多くの研究で、お薬で血圧を下げることによって、脳出血の発症・再発を予防できることが示されているので、医師の指示通りにしっかりと治療を行うことが大事です。
血圧についてよくある質問 Q&A
血圧管理方法に関するよくある質問に、Q&A方式でお答えしています。
Q.自宅で血圧を測るときのポイントは?
A:上腕に巻くタイプの血圧計で起床後 1 時間以内(内服前)と夜(就寝前)の1 日 2 回、座って 1 ~ 2 分安静にしてからの測定がおすすめです。
Q.上の血圧と下の血圧どちらを見た方がいいですか。
A:上の血圧は収縮期血圧と言い、心臓が血液を送りだすときの血圧をいいます。下の血圧は拡張期血圧と言い、血液が心臓に戻るときの血圧をいいます。どちらも重要であり、高血圧の定義は収縮期血圧 140 mmHg以上/または拡張期血圧 90 mmHg以上ですので、下の血圧の数値も重要になってきます。
Q.血圧が毎回違うのはどうしてですか。
A:血圧はさまざまな要素で変わってきます。緊張や運動、お薬やカフェイン摂取、痛み、ストレスなどによって変動します。そのため 1 日 2 回、安静にしてから血圧を測定し、平均の数値をみることが大事になってきます。
まとめ・脳出血にならないために!予防と再発を防ぐための血圧管理方法とは
脳出血の予防・再発予防に重要な血圧の管理、治療目標と、その方法について解説しました。
高血圧は無症状ですが、放置してしまうと、重大な病気につながることがあります。血圧が高いことを指摘されたら早めに病院を受診して、生活習慣の見直しと治療を受けるようにしていきましょう。
この記事がご参考になれば幸いです。
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