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【くも膜下出血の後遺症】水頭症は寿命がある?症状から治療法まで医師が解説

公開日: 2023.03.22
更新日: 2024.11.06

結論から述べると、水頭症そのものが直接寿命に影響する可能性は低いとされています。

ただし、くも膜下出血や頭部外傷といった他の病気が原因となって水頭症を発症した場合、大元の病気が原因で寿命が短くなる場合があります。

本記事では、水頭症の寿命や後遺症について解説します。治療方法も紹介しているので、水頭症を発症した先のことを詳しく知りたい方は、参考にしてみてください。

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水頭症の寿命

手術で頭にたまった水を排出すれば、水頭症は改善できる病気です。そのため、水頭症が直接寿命に影響する可能性は低いと考えられています。

しかし水頭症は、くも膜下出血や頭部外傷といった別の病気に誘発されて発症するケースもあります。この場合、もとの病気が引き金となり、寿命を短くする可能性もあります。

たとえば、水頭症がくも膜下出血によるものだった場合、早期治療が必要不可欠です。くも膜下出血の5年生存率は約55%というデータが出ています。(文献1)治療を後回しにすると、命の危険が及ぶリスクがあるのです。

くも膜下出血の有効な治療法の1つに「再生医療」があります。

これまで一度死んだ脳細胞は戻らないとされてきました。しかし、再生医療は脳細胞を復活させ、くも膜下出血を含む脳卒中の後遺症を改善できることがわかってきたのです。

詳しい治療法や効果が知りたい方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。

水頭症とは

水頭症とは、頭に水がたまり脳を圧迫する病気です。

人間の脳は、頭蓋骨の中で脳脊髄液という水に浮いています。脳の内部にも、脳室という空間があり、こちらにも脳脊髄液が流れています。この脳脊髄液は、脳を外部から守ったり、栄養やホルモンを運搬したり、脳の老廃物を除去したりする役割を担っています。脳脊髄液は常に入れ替わっており、毎日500 ml分が新しく作られ、同じ分だけ吸収されています。

正常な状態では、脳脊髄液は、脳の周りや脳室を循環しており、その循環量は150 mlと言われています。なんらかの原因でこの流れが悪くなり、脳脊髄液が多量にたまってしまうことによって「水頭症」を発症します。

水頭症の種類

水頭症のタイプとして「非交通性」「交通性」があります。

【非交通性水頭症】
子どもに起こりやすく、脳脊髄液の流れの中で、どこかが通行止めになっているイメージです。一部でせき止められることにより、たまった脳脊髄液が脳を圧迫します。数は多くありませんが、成人でも脳腫瘍などで起こる場合もあります。

【交通性水頭症】

高齢者が発症しやすい水頭症です。流れ経路に問題はないのですが、脳脊髄液が吸収されにくくなり、脳脊髄液の循環量が多くなってしまう状態です。

交通性水頭症の場合、徐々に進行するため、脳圧とよばれる頭蓋骨の中の圧は正常に保たれていることが多く、別名「正常圧水頭症」ともいいます。正常圧水頭症には、続発性と特発性があり、その違いは以下の通りです。

正常圧水頭症

原因

発症時期

 続発性

くも膜下出血、頭部外傷、髄膜炎などに誘発されて発症

左記疾患の数週〜数カ月後

 特発性

発症原因は不明

60~70代の高齢者

くも膜下出血は、8.9〜48%の割合で正常圧水頭症を発症すると言われています。(文献2)そのため、急性期が落ち着いたあとも看護する人は患者さんの様子を注意深く見ていく必要があるでしょう。

以下の記事では、高齢者の認知症と関わりの深い「特発性正常圧水頭症」について解説しています。手術で治せる認知症の種類を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

水頭症の症状

先述のとおり、水頭症にはさまざまな種類があります。たとえば、高齢者に多い「特発性正常圧水頭症」の代表的な症状は以下の3つです。

・歩行障害
・認知障害
・排尿障害

これらは、数カ月から数年単位でゆっくりと進行します。そのため老化の症状と間違えられやすく、長期間放置されている場合もあります。

症状が進むと寝たきりになってしまう場合もあるため、早期に変化に気付いて検査をおこなうのが大切です。

水頭症の治療法

水頭症は薬で治せるものではありません。基本的には手術療法が必要となります。

具体的には、チューブを入れて頭にたまった余分な脳脊髄液をおなかへ流す「シャント術」がおこなわれます。

水頭症シャント術

一般的には、頭と腹腔をつなぐチューブを体の中に挿入します(V-Pシャント)。また、脳脊髄液は、背骨の神経の周りにも流れており、そこから腹腔へチューブをつなぐ方法もあります(L-Pシャント)。これらの手術は、脳脊髄液の出口を作って、症状を改善させるのが目的です。

水頭症の原因となったくも膜下出血の治療には「再生医療」が有効です。

再生医療は人間の自然治癒力を活用した最新の医療技術で、身体機能(後遺症)の回復や脳卒中における再発予防の効果が期待できます。

具体的な治療方法が気になる方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。

水頭症の後遺症

先述した3大症状(歩行障害・認知障害・排尿障害)は、手術をすれば必ず完治する保証はありません。以下のように3大症状の改善率を示す調査結果も出ています。(文献3

・歩行障害:80〜90%

・認知障害:30〜 80%

・排尿障害:20 〜80%

3大症状の中では、歩行障害の改善率がもっとも良好とされています。ただし、どの症状も大幅な改善は期待できるものの、筋肉の衰えや老化により症状が残る可能性もあります。

また、続発性正常圧水頭症の場合、水頭症を誘発した原因疾患によってその後が左右されます。たとえば、くも膜下出血は運動障害や感覚障害といった後遺症を引き起こしうる病気です。水頭症は改善できても、原因疾患の後遺症が出るケースは考えられます。

病気の早期発見により、後遺症の重症化を防げる場合もあるので、気になる症状を覚えたら早めに病院を受診しましょう。

まとめ|水頭症で適切な治療をおこなって健康寿命を伸ばそう

水頭症は直接寿命に影響しないとされており、手術で頭にたまった水の出口を作れば、症状改善が可能な病気です。

手術で歩行障害、認知障害といった症状が改善されれば生活しやすくなるはずです。術後は適度な運動や身体に良い食べ物を摂取するなどして健康寿命を伸ばす生活を心がけましょう。

くも膜下出血に誘発されて水頭症を発症した場合は「再生医療」の治療も検討してみてください。

再生医療は人間の自然治癒力を活用した最先端の医療技術です。幹細胞の修復力を利用して、損傷した脳細胞の機能回復を促進します。

くも膜下出血は再生医療の治療対象なので、具体的な治療法や効果が知りたい方は再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。

水頭症に関するよくある質問

最後に水頭症に関するよくある質問と回答をまとめます。

水頭症を疑った場合どんな検査をしますか?

まずは、CTなどの画像検査をおこない、脳脊髄液がたまって脳室が拡大しているかどうかを確認します。その上で、水頭症が疑わしい場合にはタップテストをおこないます。

タップテストとは、実際に頭にたまった脳脊髄液を、一時的に抜くことで症状が改善するかを確認するテストです。このテストは、短期間の入院が必要です。麻酔の注射をし、背中に針を刺して脳脊髄液を抜き取ります。

タップテストで症状が改善した場合、シャント手術に進みます。

手術は急いで受けた方が良いでしょうか。

正常圧水頭症はゆっくりと進行するため、診断後は手術を受けるかどうか、しっかりと検討する時間はあります。

実際に診断後すぐに手術を受けた患者と3カ月後に手術を受けた患者では、症状改善に大きな差がなかったという研究もあります。(文献4

ただし、歩行障害による筋力低下が進むと、手術後の回復が思わしくない場合もあるので、水頭症と診断されたらできるだけ早く治療方針の選択をおこなうのが大切です。

シャント手術をした後は、CTやMRIなどを撮っても大丈夫でしょうか

基本的には問題ありません。経過が問題なくても、手術後の脳脊髄液の状態を見るために、定期的に外来で画像を確認する必要があります。

【参考文献】

文献1:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke/32/6/32_6_572/_article/-char/ja/

文献2:https://www.jstage.jst.go.jp/article/scs/45/1/45_14/_pdf

文献3:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcns/16/5/16_KJ00004580126/_pdf

文献4:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25934242/

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