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アキレス腱の痛み、放っておくとどうなる?悪化する前に知っておきたいこと

アキレス腱の痛み、放っておくとどうなる?悪化する前に知っておきたいこと

 「最近、なんだかアキレス腱が痛い」「アキレス腱が痛かったのがなかなか治らない」とアキレス腱周囲に痛みを感じ、それを不安に思った経験がある人は多いと思います。それはもしかすると、アキレス腱炎かもしれません。アキレス腱に炎症が起こることをアキレス腱炎といい、多くは自然に軽快します。

 この記事ではアキレス腱の周囲の痛みについて「放置しているけど大丈夫かな」「悪化しないように何かできることはないかな」という疑問にお答えします。

アキレス腱炎
Achilles tendonitis

アキレス腱炎とは?

 不安に思う要因の一つは「分からないこと」ですので、まずはアキレス腱炎とはどのようなものかを知ってもらいたいと思います。

 筋肉は腱という硬い組織を跨いで骨にくっつくことで、効率的に運動できる作りになっています。アキレス腱は人体の中でも最も大きい腱の一つです。筋肉の動作としては、足首を下に向ける(底屈)、下腿を後方から支えるという役割を担っており、歩行、走行、ジャンプ、スクワットのような膝を曲げ伸ばしする動作で重要な存在です。

 アキレス腱炎とは文字通り、アキレス腱に炎症が起こることによる疾患です。アキレス腱の周囲の膜に炎症が及ぶとアキレス腱周囲炎といい、痛みの部位がわずかに移動することが特徴です。ただし、診断は区別されても治療法はほとんど同じになります。

アキレス腱炎の症状

 アキレス腱炎の症状は、ふくらはぎから踵にかけての運動時の痛みです。特にアキレス腱を押さえると痛みが増加し、時にはアキレス腱が腫れて見えることもあります。重症になると歩けないほどの疼痛になることもあります。

アキレス腱炎の原因

 アキレス腱炎の原因は、運動やスポーツなどの繰り返す動作の中で、アキレス腱に負荷がかかることで生じます。明らかな外傷はなくとも、微小なダメージが積み重なり発症します。

  • ・運動習慣のない人が急激に強い運動を行った
  • ・運動習慣がある方でも、強い負荷が日常的に持続した
  • ・強い扁平足がある
  • ・適切でない靴を履いている(サイズが合わない、靴底がすり減っているなど)

上記のようなケースではアキレス腱炎になりやすいと言われています。

アキレス腱炎の診断

 まず、アキレス腱に圧痛があるかという身体所見は最も重要です。超音波(エコー)検査やMRIで腱に損傷があるか、炎症があるかを確認することで確定診断になります。どちらも痛みや侵襲を伴う検査ではありませんので、安心して受けてください。

スポーツ医療の治療

アキレス腱炎の治療

 基本的には保存療法で経過をみます。保存療法とは、手術(小さなものも含む)を伴わない治療法で、安静、過度な負荷になる動作を行わない、消炎鎮痛剤の外用や内服などがあります。多くは保存療法で改善しますが、症状が強い場合では手術が行われることもあります。
 明らかな受傷のタイミングがある場合は、アキレス腱以外にも損傷を生じている可能性があるので、注意が必要です。

 応急処置としてPOLICE処置を行うのが良いでしょう。

  • POLICE処置

  • Protection(保護)
  • Optimal Loading(適切な負荷)
  • Ice(冷却)
  • Compression(圧迫)
  • Elevation(挙上)

POLICE処置とは、Protection(保護)、Optimal Loading(適切な負荷)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の頭文字を取った処置です。

アキレス腱炎かなと思ったら

 アキレス腱炎は、多くは保存的に軽快する疾患です。「たまに痛い気がする」くらいであれば概ね問題はないことが多いです。しかし「運動の時に必ず、比較的強い痛みがある」くらいの状態になると、安易な判断は危険になります。

 受診したほうが良いかなと迷った場合には、ぜひ専門家への受診をおすすめします。受診するのであれば、整骨院・接骨院よりも、整形外科の方が望ましいです。X線で骨折がないか、MRIやエコーがあればそのままアキレス腱や周囲の組織で炎症や断裂がないかの評価が行えます。痛みに応じて消炎鎮痛剤の処方や松葉杖の貸出もしてくれるでしょう。

アキレス腱炎を放っておくとどうなる?

 初期に適切な対応ができていないと、症状が長引いてなかなか治らない、一時的に症状が改善して治ったと思ってもまた再発するといったように、ずるずると長い期間痛みと共にする可能性があります。あまりに長引くようであれば保存的には改善は望めないとして、手術を受ける必要もあります。

 炎症が持続すると瘢痕化(結合組織の増殖)が起こり、足首の可動域が減り、力が入りにくいといったことになることもあります。アキレス腱は多くの動作で重要な役割をしているので、力が入りにくくなればそれだけ動作(立ち座りや歩行)への影響も出てきます。

悪化する前に知っておきたいこと

 「アキレス腱炎と思ったら/アキレス腱炎と診断されたら、まずは安静と過度な負荷を避ける」これを知っておくだけでも、アキレス腱炎の治り方が違います。

 足をくじいてしまった、あの運動をした日から痛い、と思うことがあれば上記にあるPOLICE処置ができれば初期対応としては良いでしょう。

アキレス腱炎についてよくある質問

  • Q : アキレス腱炎を自分で診断する方法はありますか?

  • A : アキレス腱部分に痛みを感じる場合は、アキレス腱炎の可能性があります。ただし、正確な診断をするためには医師または専門医の診察が必要です。
  • Q : アキレス腱炎は完全に治るのでしょうか?

  • A : 大半の場合は治癒しますが、適切な治療を受けない場合や重症化した場合には、痛みが長引いたり、慢性的な痛みが残ることがあります。早期の治療が重要です。

 

まとめ・アキレス腱炎、放っておくのはNG!長引く痛みは病院の受診を!

 この記事ではアキレス腱炎について、皆さんに知っておいてほしいこと、放っておくとどうなるかについて解説しました。

 アキレス腱炎は適切な対応をすれば多くは自然に軽快する疾患です。何もせずに放置してしまうと痛みが長引いたり、ふくらはぎに力が入りにくくなったりすることもあります。少しの痛みであれば問題ないことが多いですが、特に痛い間は無理することなく、安全に生活できるとよいですね。受診するかを迷うくらいの強い症状、長引く症状があれば整形外科を受診しましょう。

 この記事がご参考になれば幸いです。

 

No.128

監修:医師 坂本貞範

スポーツ外傷は⼿術しなくても治療できる時代です。

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