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もやもや病と言われたら|原因・治療法について医師が解説

もやもや病と言われたら|原因・治療法について医師が解説

もやもや病とは、脳の太い血管が細くなり、その代わりにもやもやとした異常な血管が増える病気です。最近は、無症状でも脳ドックなどで診断される人もいます。

今回は、もやもや病の原因や治療法、そしてもやもや病だと言われた時に注意するポイントについて解説していきます。

もやもや病とは何か?

もやもや病は、1950年代に日本で発見されました。昔の検査では、網の目のようになった異常な血管が「もやもや」とみえたことから、「もやもや病」と名付けられたといわれています。

現在、「もやもや病」という名前は世界中で通用する正式名称で、英語でも「Moyamoya disease(モヤモヤ・ディジーズ)」と言います。

脳のCT画像を見る医師

 

もやもや病の原因

もやもや病とは、脳に血液を送る血管の一つである内頸動脈(ないけいどうみゃく)が徐々に狭くなり、詰まっていく病気のことです。*1

脳の太い血管が詰まってしまうので、その代わりに脳に血液を届けるために、異常な血管(側副血行路:そくふくけっこうろ)が網の目のように発達します。

なぜ血管が詰まってしまうのかについてはまだ分かっていませんが、ある特定の遺伝子と関係があるのではないかともいわれています。

また、日本に多くみられるという特徴があります。もやもや病は日本では国の指定難病になっており、申請を行うと医療費助成の対象となる場合があります。*5

*5 指定難病患者への医療費助成制度のご案内 – 難病情報センター https://www.nanbyou.or.jp/entry/5460#taisho

もやもや病のCT画像

引用)*1 もやもや病…ここまできた診断・治療 p2 http://jcvrf.jp/general/pdf_arekore/arekore_117.pdf

もやもや病の症状

もやもや病は、大きく分けると、脳血流不足で発症と、脳出血で発症の2つの場合があります。

最近では、ほぼ無症状で発見されるタイプも増えていますが、たとえ無症状であっても、脳梗塞や脳出血のリスクは年2〜3%あると考えられています。

  • 発症原因

  • (1)脳血流不足で発症
  • (2)脳出血で発症

(1)脳血流不足で発症する場合

大きな脳の血管が詰まることで、血流不足が起こります。

すると、急に「手足が動かしにくい」、「顔面や手足がしびれる」といった症状が生じます。

(2)脳出血で発症する場合

不足した脳の血流を補うために発達したもやもや血管は、長年負担がかかることで破れてしまうことがあります。

激しい頭痛とともに、意識障害、手足の麻痺、言語障害などが起こることがあります。出血が多い場合には生命に関わることもあります。

その他の症状

その他、小児の場合には、朝方に吐き気を伴う強い頭痛が続くという場合もあります。

また、頻度は高くありませんが、けいれん(ひきつけ)の症状が出ることもあります。この場合は、脳波の検査では特徴的な波形が出ることが知られています。

脳卒中の治療

もやもや病といわれたらどうすればいい?

では、ここからはもやもや病の治療方法や、もやもや病についてのよくある質問について説明します。

もやもや病の治療方法

もやもや病の治療は、もやもや病による脳梗塞や脳出血を予防する方法となります。

もしも脳梗塞や脳出血を発症してしまった場合には、その治療を行っていきます。

  • 脳血流量を増やすためのバイパス手術

  • 脳の血流量を増やすために、新しい血液の流れを作るためのバイパス経路を作る手術療法があります。
  • 血流が不足するタイプのもやもや病の患者さんが脳梗塞を起こすのを防ぐ効果が認められています。

 

  • 抗血小板薬の内服

  • 脳血流不足で発症した場合には、血液の中の血小板(けっしょうばん)という成分の機能を抑え、血液を固まりづらくする抗血小板薬が使用されることもあります。
  • 一定の効果があると考えられていますが、こうした治療薬のみでの治療には限界があるようです。

もやもや病についてよくある質問

それでは、もやもや病といわれた場合に、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。

もやもや病に関してよくある質問に答える形で、解説していきます。

Q1 脳の血管の詰まりなどは進行しますか?

A 脳の血管の詰まりについては、最初に診断されたときと同じ状態が何年間も変わらない人もいれば、だんだんと進行していく人もいるといわれています。

そのため、定期的なMRIなどによる検査が必要と考えられます。

Q2 もやもや病でも普通の生活はできるの?注意点はありますか?

A 手術によって脳血流がよくなった場合には、生活上の大きな制限はないと考えられます。

一方、打撃系の格闘技(ボクシングなど)やラグビーは、脳への強い振動などが懸念されるのでおすすめできません。サッカーのヘディングについても、大丈夫かはまだわかっていません。

また、成人の場合には、タバコは好ましくありません。タバコに含まれるニコチンには、血管を収縮させる働きがあるので、もやもや病を抱えている場合にはタバコは禁物です。

また、お酒については、飲みすぎるとおしっこの回数が増え、脱水症状につながるおそれがあるので、たくさん飲むことは避けましょう。

Q3 もやもや病と診断されたら、必ず手術が必要ですか?

A 基本的には、症状が頻繁にはないときには手術の必要はありません。

しかし、成人の場合で、症状がある、脳血流検査で脳の血流が著しく低下している、あるいは過去に脳出血を起こしたことがある場合には、一般的には手術が勧められます。

小児の場合には、将来症状がでることを予防するために、手術となることが多いです。

最終的には、検査結果や患者さんの年齢や状況を総合的にみて、手術適応が決まります。

まとめ・もやもや病と言われたら|原因・治療法について医師が解説

もやもや病は、脳の太い血管が詰まってしまうことで起こる病気です。根本的な治療法は、手術で脳の血流を改善することですが、それぞれの症状や年齢によって対応方法は決まっていきます。

今回の記事が参考になれば幸いです。

 

No.S133

監修:医師 加藤 秀一

脳卒中は手術しなくても治療できる時代です。

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