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頚椎捻挫(むちうち症)の治療期間と治療方法について

頚椎捻挫(むちうち症)の症状と治療期間、治療方法について

頚椎捻挫(むちうち症)は、交通事故やスポーツ中の事故などにより、首の周りの筋肉や靱帯に急激に力がかかったことで痛みが生じる状態をいいます。

症状によって、軽症なものであればネックカラーを装着での安静やリハビリなどで数週間程度で軽快してきますが、重症なものだと脊髄神経の症状がでて手術を必要とし、慢性的な痛みとなって長い期間付き合っていく必要があることもあります。

ここでは頚椎捻挫の種類や治療方法・治療期間について解説します。

むち打ち症

頚椎捻挫の症状は?

 頚椎捻挫の代表的な症状としては、首を動かしたときの痛み、頭痛、倦怠感(だるさ)、耳鳴りやめまい、手や腕のしびれ、といったことが挙げられます。

中でも代表的な症状は、動かしたときの痛みです。筋肉や靱帯に不自然な強い力がかかったことで炎症が起き、痛みが生じています。

  • 頚椎捻挫(むちうち症)のよくある症状

  • ・首を動かしたときの痛み
  • ・頭痛
  • ・倦怠感(だるさ)
  • ・耳鳴りやめまい
  • ・手や腕のしびれ

頭痛は、脳が強く揺さぶられたことによる脳振盪の症状であることもありますし、頭の僧帽筋という筋肉が頭、首、そして背中へとつながっていて、首や背中の痛みを頭痛と捉えることもあります。

倦怠感や耳鳴り、めまいといった症状も、脳振盪の症状として代表的ですし、首への筋肉が脳と密接と関わっていることも最近はわかってきており、首の筋肉の調子が悪いといろいろな症状が出ることがあります。

最後に、頸髄から腕や手に神経が出ており、これが骨や筋肉の圧迫や癒着によって症状として出ることがあります。これらの症状は、当日から翌日にかけて顕著に出現し、2~3日程度でピークを迎えます。

その後段々と改善し、1ヶ月程度で寛解することが多いです。しかし、慢性的に症状が続いてしまう人もいますので、症状がひどい場合は整形外科の受診が必要です。

頚椎捻挫4つのタイプ

 頚椎捻挫には、4つのタイプがあります。捻挫型(筋肉型、椎間関節型)、神経根型、脊髄型、Barre-Lieou型(バレー・リュー型)です。

最も多いのは捻挫型で、首や方の痛み、動かしづらさがあります。頚椎捻挫の約80%程度がこのタイプです。

神経根型は、腕や手のしびれや痛みが出現するタイプです。頸髄の神経根が筋肉や骨で圧迫され炎症が起きることで症状が起きます。首を動かしたり、咳やくしゃみをしたりすることで、強い痛みやしびれが手や腕に出現します。

脊髄型は、下肢のしびれや知覚異常など、首や上肢よりも下肢の症状が目立つタイプです。頚椎捻挫だけでなく、脊椎椎間板ヘルニアなどを伴う場合にこのタイプになりやすいです。ひどい場合は、歩行に影響が出たり、排尿困難・排便困難といった膀胱直腸障害がでたりすることがあります。

Barre-Lieou型(バレー・リュー型)は、首の痛みだけでなく、めまい、耳鳴り、難聴、視力障害など、様々な症状が起こるタイプです。不眠症や不安症といった、精神的な症状が合併することも有ります。

  • 頚椎捻挫(むちうち症)4つのタイプ(分類)

  • ・捻挫型(筋肉型、椎間関節型)
  • ・神経根型
  • ・脊髄型
  • ・Barre-Lieou型(バレー・リュー型)

頚椎捻挫の治療方法は?

交通事故やスポーツで強い衝撃が首にかかって頚椎捻挫を起こした場合、まずは意識障害や嘔吐、手足のしびれや麻痺、下半身の症状がないかを確認します。

意識障害や嘔吐がある場合、脳にも強く力がかかって調子が悪くなっている可能性があるため、安静にし、必要に応じて脳神経外科の受診をします。

手足のしびれや麻痺、下半身に症状がある場合は、頚部に強い力がかかって骨の変形や骨折も有りえますので、首をなるべく動かないようにして、安静にして病院を受診します。

病院を受診した場合、まずは骨折がないかレントゲンやCTを行い確認します。もし骨折や変形があれば、医療機関でフォローしていくことになります。骨折や変形がなければ、頚椎捻挫と診断されます。

頚椎捻挫では、まずは安静を保ち、炎症が重症にならないようにします。受傷直後から1,2日程度は、冷やして安静にし、炎症がひどくならないようにすることが大切です。

  • 急性期(受傷時)の対応

  • ・安静を保つ
  • ・炎症が重症にならないように注意
  • ・冷やして安静にする(受傷直後から1~2日程度)

急性の炎症が落ち着いたら、安静にしすぎると筋肉の萎縮や硬直によってより症状が悪くなることがありますので、すこしずつ動かしていきましょう。最初はストレッチや可動域訓練から始めていき、マッサージ、普段の運動、積極的な運動と行っていきましょう。並行して、痛み止めの内服や湿布薬の使用をしていきます。

場合によっては整形外科クリニックなどで、牽引療法や温熱療法、通院リハビリテーションを行うこともあります。慢性化する場合は、さらに鍼治療、漢方薬、精神療法、認知行動療法といった、補完的な治療を必要とすることもあります。

また、癒着した筋膜に生理食塩水を注入するハイドロリリースや、神経根に対して局所麻酔を投与してしびれや痛みを軽快する神経ブロックなどもペインクリニックなどで検討されます。

  • 急性期後の治療(対応)

  • ・ストレッチ(可動域訓練)
  • ・マッサージ
  • ・日常的な普段通りの生活
  • ・痛み止め(内服)
  • ・湿布薬
  • ・牽引療法や温熱療法
  • ・りハビリテーション
  • 慢性化した治療(対応)

  • ・漢方薬
  • ・精神療法
  • ・認知行動療法
  • ・ハイドロリリース
  • ・神経ブロック

頚椎捻挫の治療期間

一般的には症状が軽快するまで通院をすることが勧められます。軽症であれば1ヶ月弱で改善しますが、数ヶ月通院を必要としたり、場合によっては慢性化したりすることもあります。

特に交通事故やスポーツ外傷の場合、保険も関わってきますから、医師とよく相談し、必要に応じて積極的な通院が必要です。

軽いものであれば自然に軽快しますが、頚椎捻挫が完治しないうちにまた強い衝撃が加われば、頚椎捻挫が重症化する可能性もあります。

そのため、特にスポーツ外傷では頚椎捻挫後は軽快するまで頚椎捻挫を起こしうる激しい運動への復帰は控えましょう。

もし頚椎捻挫後、症状がこれ以上改善しない場合は、症状固定と判断され、行為障害診断書などが発行され、後遺障害等級の認定を受けることを検討する必要があります。後遺症は以下の通りです。

多くの場合、14級や12級での認定となります。

  • 後遺障害等級

  • 1級 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に要介護
  • 2級 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護
  • 3級 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、生涯働けない
  • 5級 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外働けなくなった
  • 7級 神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外働けなくなった
  • 9級 神経系統の機能または精神に障害を残し、就ける仕事の程度が制限された
  • 12級 局部に頑固な神経症状を残す
  • 14級 局部に神経症状を残す

*症状固定となると、治療費、休業補償などは打ち切られますが、後遺障害等級の認定を受けることで、後遺障害慰謝料などが受け取れるようになります。弁護士や保険会社とよく相談の上、医師に認定を相談してみてください。

  • *症状固定とは
  • ケガや病気を治療する上で治療を続行したとて現在の症状以上の改善を見込むことが難しいと判断された状態を指します。

まとめ・頚椎捻挫(むちうち症)の症状と治療期間、治療方法について

いかがでしたでしょうか?

頚椎捻挫、通称「むちうち症」は、交通事故やスポーツ外傷で起きてしまうことが多く、慢性化して辛い日々になってしまうこともあります。

頚椎捻挫は、交通事故やスポーツ中の事故などで首に急激な力がかかることで生じます。症状によっては、軽症な場合は数週間で軽快することもありますが、重症な場合は手術が必要となることもあります。

症状としては、首の動きに伴う痛みや頭痛、倦怠感、耳鳴り、めまい、手や腕のしびれなどが挙げられます。これらの症状は、首の筋肉や神経が影響を受けることで引き起こされます。

頚椎捻挫には4つのタイプがあり(捻挫型、神経根型、脊髄型、Barre-Lieou型)、それぞれ異なる症状を示します。

治療方法としては、まず安静にし炎症を抑えることが重要で、その後、ストレッチやマッサージ、湿布薬の使用などを行い、必要に応じて整形外科での治療を受けましょう。

治療期間は症状の重さによって異なりますが、一般的には数週間から数ヶ月かかることがあります。慢性化した場合は、補完的な治療や後遺障害の認定を受けることも考えねばなりません。

尚、症状固定となった場合は、後遺障害等級の認定を受けることで、後遺障害慰謝料などが受け取れる場合があります。

このように頚椎捻挫(むちうち症)となった場合は、医療機関での適切な診断のもと、薬物療法やリハビリテーションが大切になりますので、自己判断せず、医療機関の指示を仰ぎましょう。

 

No.001

監修:医師 藤間 保晶

 

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