特発性大腿骨頭壊死症の原因とは|股関節の骨頭壊死について
公開日: 2023.10.16更新日: 2024.10.07
目次
特発性大腿骨頭壊死症の原因とは|股関節の骨頭壊死について
特発性大腿骨頭壊死症は、大腿骨という太ももの骨と骨盤で作られる股関節部分で、大腿骨の一部が壊死してしまう病気です。
今回の記事では、特発性大腿骨頭壊死症の原因や症状、そして治療法について解説し、最後に最新の治療法についても述べていきます。
特発性大腿骨頭壊死とは
大腿骨頭壊死とは、大腿骨頭の一部が血流の低下によって壊死してしまい、圧潰(あっかい)し股関節の機能が損なわれてしまう病気のことです。
大腿骨頭壊死症の中でも、脱臼や骨折など、血流低下の明らかな原因がない場合に「特発性」大腿骨頭壊死症と呼びます。
すなわち、「特発性」という言葉は、「はっきりとした原因はない、あるいはまだわかっていない」という意味で用いられています。
日本では、毎年2,000〜3,000人の方が新たに特発性大腿骨頭壊死症になっており、好発年齢は30〜50歳代です。
働き盛りの方に起こりやすいと言えるでしょう。
特発性大腿骨頭壊死の原因
原因がはっきりとわかっていない特発性大腿骨頭壊死症ですが、この病気になってしまう危険因子としては、免疫異常が起こる疾患や臓器移植などで治療に用いられるステロイドや、アルコール、喫煙があります。
中でも、ステロイドやアルコールについては、国際的に基準が定められています。
(1)ステロイド関連
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(2)アルコール関連
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このような基準を満たす場合には、ステロイドあるいはアルコールの関連が疑われます。
しかしながら、なぜ大腿骨の壊死が起こるのか、その機序についてはまだはっきりとはわかっていません。
特発性大腿骨頭壊死の症状
特発性大腿骨頭壊死では、ただ大腿骨に壊死が起こっただけでは症状はありません。
しかし、壊死が進行し、骨頭の圧潰つまり変形が進んだ時には症状が現れます。大腿骨頭壊死症が発生してから、症状が出るまでの間には、数ヶ月から数年の時間差があるということに注意が必要です。
自覚症状は、急に生じる股関節痛が特徴的とされていますが、腰痛や膝の痛み、お尻の痛みなどが最初に現れることもあります。
特発性大腿骨頭壊死の治療
大腿骨頭壊死の治療は、患者の背景(年齢、内科的合併症、職業、活動性、片側性か両側性か)、病型分類や病期分類を考慮して決めます。
保存的治療
病型分類で、まだ骨頭の圧潰がそれほどひどくない場合には、保存的治療、つまり手術を行わずに経過を見ていきます。足に負担がかからないように、杖などで免荷を行うなど、 生活習慣に気をつけます。
また、痛みに対しては鎮痛薬の内服などで対処していきます。
手術療法
痛みの症状が強く、今後も大腿骨頭の圧潰が予想される場合には、手術適応となることもあります。
若い方では、股関節温存手術が第一選択となります。
壊死範囲が大きく、骨頭の圧潰が進んでいる場合には、人工股関節置換術が必要になることもあります。
特発性大腿骨頭壊死についてよくある質問
Q1.大腿骨の骨折の後にも骨壊死は起こりますか?放っておくとどうなる?
A1. 転倒などで大腿骨を骨折した後に骨壊死が起こることもあります。これは、外傷性大腿骨頭壊死と呼びます。
大腿骨頸部という、大腿骨頭よりも下の方にある細い部分が折れてしまい、大腿骨頭を栄養する血管がダメージを受けると、骨壊死になることがあります。
骨壊死は、範囲が小さい場合には、消失する場合も報告されていますが、壊死範囲が広くなると、自然に再生することはないとされています。
Q2.大腿骨頭壊死を引き起こす病気はどのようなものがありますか?
A2. 先述のように、大腿骨の骨折などは、骨頭壊死を引き起こす原因となりえます。外傷、つまり怪我をすることで骨折してしまう他にも、がんの骨転移によっても骨折は起こります。
乳がんや肺がん、甲状腺がん、前立腺がん、膀胱がん、腎がんなどは、骨に転移しやすいといわれています。
まとめ・特発性大腿骨頭壊死症の原因とは|股関節の骨頭壊死について
特発性大腿骨頭壊死は、なぜ起こるのか、その原因はまだわかっていないものの、ステロイドの使用や大量の飲酒との関連性があると考えられています。
従来は、壊死の進行をとめることは難しく、根本的な治療としては手術療法しかありませんでした。
当院では、大腿骨頭壊死症に対し、培養した幹細胞や、PRP(多血小板血漿)を股関節に注射するという方法を用いた再生医療を行っています。
ぜひ、ご興味のある方は当院の無料相談を受けてみてください。
この記事がご参考になれば幸いです。
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