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大腿骨頭壊死|リハビリメニューの詳細と期間、手術をする場合の種類

公開日: 2023.10.23
更新日: 2024.10.07

変形性股関節症の治療

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大腿骨頭壊死|リハビリメニューの詳細と期間、手術をする場合の種類

大腿骨頭壊死は、股関節を形成する大腿骨頭の血流障害によって大腿骨頭に壊死が生じ、骨の圧壊や疼痛を引き起こす疾患です。

お仕事をしている患者さんにとって、治療はどうなるのか、仕事復帰は出来るのか不安に思う人もいると思います。

治療方針は、壊死の範囲や進行具合によって異なります。患者さんによっては手術をせず、保存療法で治療できる方もいます。手術後はもちろんリハビリを行いますが、保存療法でも、社会復帰を果たす上でリハビリはとても重要です。

今回は大腿骨頭壊死について、運動療法でのリハビリのメニューと期間、また手術を検討するケースについて解説します。

大腿骨頭壊死リハビリメニュー

大腿骨頭壊死の治療

「壊死」というと、どんどん骨が腐ってしまう恐ろしい病気のようなイメージを持たれるかもしれませんが、大腿骨頭壊死は診断されたら即手術が必要という疾患ではありません。適切な治療を行うことで、壊死の進行を止めたり、壊死部を修復させたりすることができます。

大腿骨頭壊死は、診断されたとき病型(Type分類:大腿骨頭のどのあたりが壊死しているか)と病期(Stage分類:壊死と圧壊がどのくらい進んでいるか)によって治療方針が決まります。

  • ●病型・・・Type分類:大腿骨頭のどのあたりが壊死しているか
  • ●病期・・・Stage分類:壊死と圧壊がどのくらい進んでいるか

壊死範囲が広い場合や、すでに圧壊が進行してしまっている場合にはすぐに手術を行う場合もあります。一方、壊死範囲が小さい場合や、体重のかかりづらい部位にある時は、保存療法を基本に治療をすすめます。

保存療法でも治るのか?

保存療法の目標は、壊死部を圧壊させないことです。長期的には、軟骨がすり減り、変形性の関節症になってしまうことも防がなくてはなりません。

保存療法の基本的な方針は、股関節への直接の負担を減らすことです。これは松葉杖などを使用して体重の負荷を減らしたり、減量したり、股関節に負荷がかかる動作を避けたりすることで実現します。

一方、股関節への負担を減らすためには、股関節周囲の筋肉や下肢の筋力アップも欠かせない治療です。そのためにリハビリテーションを行います。

大腿骨頭壊死のリハビリプログラム

大腿骨頭壊死では、

  • ・股関節を痛みで動かせない
  • ・筋力や関節可動域(関節が動かせる範囲)、柔軟性の低下
  • ・股関節の負担が増加し、関節が硬くなる
  • ・痛みで日常生活に支障が出る

といった悪循環を繰り返してしまいます。大腿骨頭壊死のリハビリでは、これらの悪循環を断ち切るため、股関節の動きをよくすること、そして股関節周りの筋肉を鍛えることを目標とします。

リハビリメニュー

ここからは実際にどんなリハビリプログラムを行うのか、メニューの一例をご紹介します。

ストレッチ

まず、股関節の柔軟性を良くするために、ストレッチはリハビリに欠かせません。

  • 股関節の屈曲
仰向けの状態で膝を立て、股関節を曲げていきます。曲げている方の足の太ももをもって体の方にできるだけ引き寄せます。タオルやゴムバンドなどの補助を使いながら、徐々に動かせる範囲を広くしていきます。
  • 股関節の外転
股関節を外側にひらく方向のストレッチです。仰向けの状態で行います。膝のお皿は上を向くように気を付けます。
  • 股関節の外旋
胡坐をかくような形のストレッチです。仰向けになり片足づつ行ってもよいですし、実際に座って胡坐の姿勢で行ってもよいです。痛みのない範囲で曲げた膝を床の方向へ押していきます。
  • うつ伏せ
しっかりとうつ伏せの体勢をとるだけでも、股関節を曲げる筋肉が伸ばされていきます。股関節がしっかり伸ばせないと、お尻が上がってしまうので気を付けます。
  • 腰の曲げ伸ばし
腰椎や骨盤部の柔軟性も重要です。座った状態で腰を丸めたり、伸ばしたりしていきます。

ただし、痛みやつらさを感じる強さのストレッチは逆効果です。呼吸を止めずにゆっくりと行います。

筋力トレーニング

筋力トレーニングというと、スクワットやダンベルなどを使った筋トレを思い浮かべる方もいらっしゃると思いますが、大腿骨頭壊死では股関節への負担をなるべくかけないようにするため、過度なトレーニングは避けます。

ベッドに横になったままでも、十分筋力は鍛えられます。

  • 腰上げ(ブリッジング)
仰向けで両ひざを立てます。そこからお尻を地面から離すように上げていき、体が一直線になるようにします。これはお尻の後ろの筋肉を鍛えることができます。
  • 足上げ(座位)
仰臥位の状態で、膝をのばしたまま片足ずつ地面から20㎝ほど挙げます。もも前の大腿四頭筋という筋肉が鍛えられます。
  • 足上げ(横向き)
横向きの状態で、上になった側の足を伸ばしたままゆっくりと真上に上げます。股関節を外にひらく中殿筋を鍛えます。
  • 足上げ(うつ伏せ)
うつぶせの状態で片足ずつ膝を伸ばしたまま、太ももが床から少し浮くくらい持ち上げます。これは太ももの後ろのハムストリングという筋肉を鍛えるのに有効です。

これらの運動に加えて、水中ウォーキングやエアロバイクなど患者さんの痛みや運動能力に応じて追加していきます。

このようなリハビリは、数回行っただけでは効果は表れません。定期的に通っていただくことはもちろん、自宅でもできるトレーニングですので、時間をみつけて患者さん自身でも行っていただく必要があります。

リハビリ期間

基本的には、一般的に医療保険でのリハビリが可能な150日を目安に行うことが多いです。

ただし、経過中は医師の診察やレントゲンのチェックを行い、進行がないか、どの程度改善しているのかをきちんと判断しながら、リハビリ期間を決定します。患者さんの状態によって、リハビリメニューや期間は変わりますが、続けていかないと効果が出ないという部分は共通しています。

大腿骨頭壊死の手術療法

運動療法による保存療法で改善が見込めない場合は、手術を検討することになります。

大腿骨頭壊死の手術には、骨切り術と人工関節(人工骨頭)があります。どちらもメリット・デメリットがあり、場合により適応とならないため、主治医とよく相談する必要があります。

骨切り術

骨切り術は、骨を切って大腿骨頭を回転させ、壊死した部分に体重がかからないようにする手術です。

自分の骨を温存することができ、将来的には人工関節の手術もできるという利点があります。ただし、手術が難しく限られた施設でしか行われないこと、手術をしたとしても、骨頭の圧壊が進んでしまう可能性があること、疼痛が残る場合があることなどがデメリットです。また、骨切りを行った場合は、平均して6週間程度の入院期間が必要となります。

人工関節

一方人工関節は、入院期間が10日ほどで退院できる場合が多いです。ただし耐用年数の問題で、あまり若年で行うことは避けるべきといわれています。また、人工関節は脱臼してしまうこともあります。

このような、メリット・デメリットがあるため、病型や病期、患者さん個々の状態を考慮して決定します。

大腿骨頭壊死についてよくあるQ&A

Q:大腿骨頭壊死と診断されました。スポーツはもうできませんか?

スポーツを許可できるかどうかは、大腿骨頭壊死の病期と病型によってきまります。

壊死範囲が小さく圧壊の危険性が少ない場合は、ほとんど制限されないこともあります。

壊死範囲が中程度になると、ゴルフなどの軽いスポーツは許可できますが、ジャンプ運動などは股関節への負担が強いため、基本的には望ましくありません。

Q:食べ物やサプリなど、大腿骨頭壊死の発症を防ぐものはありますか?

現状では、明らかな発症予防効果が認められているものはありません。ただし、研究段階ではありますが、ビタミンEが大腿骨頭壊死の発症を予防するという報告もあります。これからさらに研究が進んでいくことが期待されます。

まとめ・大腿骨頭壊死|リハビリメニューの詳細と期間、手術をする場合の種類

今回は、リハビリを中心に、大腿骨頭壊死の治療について解説しました。大腿骨頭壊死と診断されても、壊死の範囲や進行具合によっては保存的に治療することは可能です。

生活習慣を見直しながら、適切なリハビリテーションを継続し、無理なく仕事復帰を目指しましょう。

この記事がご参考になれば幸いです。

股関節の痛みは⼿術しなくても治療できる時代です。

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