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椎間板ヘルニアと手術後、後遺症の治療法について
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- ・椎間板ヘルニアとはどのような病気?
- ・どのような治療をするの?
- ・後遺症は残る?
このような疑問や不安を持っている方は多いのではないでしょうか。
椎間板ヘルニアは高齢者はもとより、スポーツや重労働に取り組む方にもよく見られる疾患のひとつです。
手足の痺れなど、重大な症状があり、仕事や生活の妨げになりえます。
治療にも時間がかかり、後遺症のリスクもあるため、警戒が必要な疾患といえるでしょう。
一方で再生医療を用いた治療法や後遺症予防も確立されつつあります。
本記事では椎間板ヘルニアの症状や治療法、再生医療の有効性などを解説します。
目次
椎間板ヘルニアと手術後、後遺症の治療法について
椎間板ヘルニアは、高齢者はもちろんのこと、スポーツや重労働をする若い方もなりうる病気の1つです。
手や足の痺れや痛みが出てくるので、生活の質を低下させてしまいます。
治療法として保存治療や手術がありますが、術後でも症状が残ってしまう可能性があります。
これまでは術後の後遺症に対しては、対症療法が中心でしたが、再生医療(幹細胞治療)を用いた治療が注目されており、根治につながるのではないかと期待されています。
そこで、本記事では椎間板ヘルニアの概略から再生医療を用いた治療までを紹介していきます。
椎間板ヘルニアとは
人間の背骨は、脊椎といわれる骨とその間にある椎間板から構成されます。
脊椎は場所により名称が変わり、頸椎・胸椎・腰椎・仙椎に分類されます。
また、椎間板は脊椎が柔軟に動くためのクッションの役割を果たしています。
椎間板ヘルニアとは、なんらかの原因で椎間板が変形してしまい後ろに飛び出してしまっている状態のことです。
椎間板ヘルニアは先述したどの脊椎にも起こる可能性があり、生じた部位により名称が変わります。
椎間板ヘルニアの原因
原因は、加齢による椎間板の変性や、外力により椎間板に過度な負担がかかることがあげられています。
脊椎のなかでも腰椎が最も外力による負担が大きいため、腰椎椎間板ヘルニアが最も多いです。
椎間板ヘルニアの症状
椎間板ヘルニアの症状としては、椎間板の脱出により脊椎内を通過している脊髄などの神経を刺激し痛みや痺れが生じます。
どの部位の神経が刺激されるかにより、症状が生じる部位も変わります。
たとえば、頚椎では首や肩、手の痺れや痛みが主に生じますが、腰椎では坐骨神経痛と呼ばれる足の痺れや痛みが生じます。
椎間板ヘルニアの治療法
椎間板ヘルニアの治療法は保存療法と手術療法とがあり、多くの場合、まずは保存療法がおこなわれます。
保存療法
保存療法としては、椎間板にかかる負担が少なくなるように安静を保つことや、痺れや痛みを抑えるために鎮痛薬の内服や神経ブロック、リハビリをメインとした理学療法がおこなわれます。
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これらの保存療法をおこなっても症状の改善が乏しい場合や症状が強い場合は手術を検討します。
手術療法
たとえば、椎間板ヘルニアで最も多い腰椎の手術には、「顕微鏡下椎間板摘出術」や、「内視鏡下ヘルニア摘出術」、「経皮的髄核摘出術」があります。
また、「経皮的レーザー椎間板減圧術」と呼ばれる治療法もあります。
これは神経を圧迫しているヘルニアにレーザーを照射し、ヘルニア内に空洞を形成します。
それにより神経への圧迫を減らせます。
各々アプローチは異なりますが、どの手術も脱出している椎間板を取り除くことで神経への刺激を軽減するのが目的です。
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脊髄の損傷は手術しなくても治療できる時代です。
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椎間板ヘルニアの手術後のリスクと後遺症
椎間板ヘルニアは、根気よく治療すれば、完治が目指せる疾患です。
しかし治療後は、以下のリスクが残る点を知っておきましょう。
- ・椎間板ヘルニアの再発
- ・脊髄神経の損傷による後遺症
それぞれ解説するので参考にしてください。
椎間板ヘルニアの再発
まず椎間板ヘルニアには再発のリスクがあります。
腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン2021(改訂第3版)によれば、症状の有無にかかわらず、手術を受けた患者の23.1%(25/108)が、2年後に再発していたとのこと。
もちろん、ヘルニアを発症した場所によって再発率は異なりますが、どの場所でも再発リスクがあるのは同じです。
再発すると、また保存療法などに取り組むので、日常生活や仕事での活動が制限されるでしょう。
また再手術が必要でも、以前の手術の影響で難易度が高くなり、実施できない、できても十分な効果が得られないなどの問題が生じます。
脊髄神経に関する後遺症
また、脊髄神経の損傷による後遺症が出るかもしれません。
椎間板ヘルニアを発症した際、脊髄神経に不可逆的な損傷が起こる可能性があります。
その場合、損傷した部位は元どおりにはなりません。
さらに手術の際に脊髄神経を傷つけてしまい、元どおりにならない、もしくはもとに戻るまで相当な時間を要する損傷が残ることもあります。
後遺症が残った場合、以下の症状が長く続く可能性があります。
- ・下半身などの麻痺
- ・感覚の鈍麻
- ・患部を中心とした痛みや痺れ
- ・背骨の変形
- ・姿勢を保つための筋肉の硬直
- ・排尿困難
後遺症を残さないためには、適切な治療や再発防止に取り組むのが重要です。
再生医療による椎間板ヘルニアおよび後遺症の治療
再生医療とは、病気や外傷により失われた臓器や機能を正常な状態に回復させる医療のことです。
とくに注目されているのが、幹細胞を利用した再生医療です。
人間の体にある細胞は体細胞と生殖細胞に分けられます。
体細胞は心臓や肺などの各臓器を構成する一般的な細胞で、生殖細胞は精子や卵子のように遺伝情報を伝えることのできる細胞です。
この2つの細胞の元となるのが幹細胞で、その他の細胞と異なり自己複製能と多分化能をもちます。
この2つの能力が再生医療に応用されています。
脊髄腔内 幹細胞療法
椎間板ヘルニアに対しては、脊髄腔内幹細胞療法が有力視されています。
これは幹細胞を直接脊髄に投与するものです。
損傷した神経の再生を促し、失った神経の機能を回復させるのを目的とします。
幹細胞を用いた脊髄損傷の治療として、点滴による血管への幹細胞の投与もおこなわれています。
それと比較し、脊髄腔内幹細胞療法では脊髄に直接投与するため、幹細胞が届きやすく、高い効果が期待できるでしょう。
幹細胞を用いた脊髄損傷の治療として、血管内に点滴で幹細胞を投与するその治療と比較すると脊髄に直接投与するため、損傷している神経に行き届く幹細胞が多くなります。
その結果、損傷した神経の再生効果を高められます。
従来の対症療法に過ぎなかった治療法と異なり、脊髄腔内幹細胞療法は根本的な治療法になりえると考えられます。
また後遺症が残っている場合でも、再生医療による治療法を用いれば改善できるかもしれません。
まとめ・椎間板ヘルニアと手術後、後遺症の治療法について
今回は椎間板ヘルニアの術後後遺症と治療方法に関してお話しました。
再生医療の1つである脊髄腔内幹細胞療法は、上述のように症状を根本的に改善させる可能性があるため、期待されている治療法です。
▶椎間板ヘルニア術後の後遺症に悩んでいる方がいらっしゃいましたら、一度この治療法に関して検討してはいかかでしょうか。
お困りの方はぜひ一度ご相談ください。
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Q&A
Q:交通事故でヘルニアを発症し、後遺症になったら後遺障害認定は受けられるか?
A:受けられる可能性はあります。
等級として考えられるのは12級13号か14級9号です。
認定された場合の慰謝料額相場は以下を参考にしてください。
- ・12級13号:94万円
- ・14級9号:32万円
※自賠責基準
(参考:弁護士法人法律事務所リンクス)
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