頚椎椎間板ヘルニアのレベル別症状は?軽度から重度まで医師が解説
投稿日: 2023.11.22更新日: 2024.10.05
痛みやしびれ、運動障害などを引き起こす頚椎椎間板ヘルニアは、全身機能に支障をきたす病として知られています。
では、首の病気がどうして全身症状として支障をきたすのでしょうか。また、どのような症状が出たら注意すべきなのでしょうか。
そんな疑問や頚椎椎間板ヘルニアでお悩みの読者の皆さんに対して、本記事では軽度から重度までレベルに応じた頚椎椎間板ヘルニアの症状について詳しく紹介します。
自分の悩みにあったアプローチ方法がわかるので、ぜひ最後までお読みください。
- ・レベル別の頚椎椎間板ヘルニア症状
- ・レベル別の痛み
- ・よくある頚椎椎間板ヘルニアに関するQ &A
目次
【レベル別】頚椎椎間板ヘルニアの症状
頚椎椎間板ヘルニアは、頚椎の間のクッションである椎間板が本来あるべきところから逸脱して起こる疾患です。
頚椎のすぐ後ろには太い神経の束である脊髄が走っています。また、脊髄は背骨(椎体)の間から体の各部位に向かって神経線維を伸ばしています。
頚椎椎間板ヘルニアが起こると、最初に生じるのは頚部の痛みです。椎間板の逸脱が脊髄の周囲に及ぶと、脊髄やそこから伸びる神経への圧迫も出現します。すると、いろいろな神経症状が出現するのです。
症状レベル | 症状部位 | 主な症状 |
---|---|---|
レベル1 | 首・肩部 | 背中の痛み・肩こり etc. |
レベル2 | 手指・腕 | 痛み・しびれ etc. |
レベル3 | 顔部・頭部 | 眼精疲労・頭痛 etc. |
レベル4 | 下半身 | 歩行障害・尿失禁 etc. |
頚椎椎間板ヘルニアの分類と神経症状
頚椎椎間板ヘルニアは椎間板組織の逸脱の仕方により、以下のような外側型・正中型・傍正中型の3タイプに分けられます。
外側型ヘルニアが背中の外側に飛び出すタイプです。主に神経根と呼ばれる脊髄から伸びる神経の付け根を圧迫する可能性があります。 正中型ヘルニアが背中のちょうど真ん中に逸脱するタイプです。主に脊髄の圧迫が起こります。 傍正中型正中型と外側型の中間です。 |
このように逸脱の仕方で、神経のどの部分に障害が起こりやすいかが変化します。
圧迫される部分に応じて「神経根症」あるいは「脊髄症」のいずれか、もしくは両者が混在して認められます。
頚椎椎間板ヘルニアの神経根症とは
神経根症はヘルニアが椎間孔から伸びる神経の根本(神経根)を圧迫し起こります。主に外側型や傍正中型で認められる神経症状です。
椎間孔とは脊髄から神経が出てくる穴です。上下の椎体の後ろの切れ込みから形成され、ちょうど椎間板の後方に左右それぞれ1つずつあります。
頚椎の左右にある椎間孔から出るのは、頸・肩・腕などの運動や感覚を担う神経です。ヘルニアにより左右どちらかの神経根が圧迫されると、圧迫された側の頸・肩・腕に痛みやしびれなどの症状が起こります。体の片側だけに認めるのが特徴です。
【レベル別】神経根症の症状
軽度 | 重度 |
---|---|
神経に走る軽い痛み | 腕が上がらない・物が持てないなど |
最初の症状は圧迫を受けている神経の支配領域のピリッと走るような痛みです。
進行すると、感覚障害や筋力低下も出現します。腕が上がらなくなったり、箸が持てなくなったりと、日常生活に支障をきたしかねません。
頚椎椎間板ヘルニアの脊髄症とは
椎間板の組織が脊髄の通る場所(脊柱管)に逸脱すると起こる症状です。主に正中型や傍正中型で認められます。
脊髄そのものが圧迫され、感覚障害や筋力の低下を起こします。圧迫のされ方にもよりますが、両側性に症状を認めることが多いです。
上肢、とくに手指のしびれや使いづらさが最初に起こることが多いです。
【レベル別】脊髄症の症状
軽度 | 重度 |
---|---|
手指のしびれ | 歩行障害 |
進行すると、下肢にも症状が出現し、歩行障害を認めます。脊髄の圧迫による歩行障害では足をつっぱって引きずり歩く痙性歩行(けいせいほこう)となることが特徴です。
さらに進むと、排尿機能の障害が認められることもあります。頻尿や残尿感、尿失禁などが起こります。
頚椎椎間板ヘルニアの重症度評価について
頚椎椎間板ヘルニアの症状の出方は、患者さんごとに異なります。
起こりうる症状の重症度を組み合わせて評価していきます。評価方法によっても注目するポイントが少しずつ違いますが、たと例えば次のような症状が評価対象です。
痛みやしびれの強さ
頚椎の動き
上肢の運動機能
下肢の運動機能
排尿障害
|
さまざま様々な種類の症状が起こったり、少ない数の障害であっても進行して生活に支障をきたしたりすると、より重症と考えられます。
るという証拠は示されていません。またやり方によっては神経症状を悪化させてしまうリスクもあります。
まとめ|頚椎椎間板ヘルニアの症状レベルを把握しよう
頚椎椎間板ヘルニアの症状レベルについて解説してきました。
頚椎椎間板ヘルニアは神経根症状と脊髄症が混在するため、患者さんによって症状が異なります。同じ重症でも、非常に強い痛み・手の動かしづらさ・麻痺・排尿障害など起こることはさまざまです。
ご自身の症状がどのタイプなのか、進行するとどうなるかを踏まえた上で、治療についてしっかりと主治医と相談をしてください。もし相談先に迷うなら、当院にお気軽にご相談ください。手術をしない再生医療のご提案が可能です。
頚椎椎間板ヘルニアでよくある質問
Q.頚椎椎間板ヘルニアはどれくらい痛いですか?
頚椎椎間板ヘルニアによるの痛みは以下に分類されます。
- 特定領域の痛み
- 放散痛
特定領域とは首や肩部などに生じやすく、2〜3週間程度の寝違い症状に似た激しい痛みを伴います。
また、放散痛とは重苦しさや圧迫感が広範囲にわたって生じることを指し、精神的な負担がかかります。
Q.どのような場合に手術を考えるのか
日常生活に差し障る障害がある場合は手術を行います。例えば、手指がうまく使えずに食事ができない・歩けない・尿失禁があるなどです。
最初は麻痺症状がなくても、経過中に運動麻痺が進行していくようであれば手術になります。
痛みやしびれが症状の中心であれば最初の治療は保存療法です。しかし、保存療法を続けても良くならず、痛みが耐え難いようであれば手術が検討されることもあります。
Q.頚椎椎間板ヘルニアで気を付けるべきことは何?
可能な限り、首を動かさずに安静にしてください。とくに後屈(首を後ろに反らすこと)は神経症状の悪化につながるリスクがあるため避けましょう。人によっては頚椎カラー(頸の装具)を着けることもあります。
また、外傷が加わると一気に症状が増悪し、麻痺などを起こすこともあります。転倒には十分に注意してください。
Q.マッサージや整体などを受けていいですか?
積極的に結論、おすすめすることはできません。
少なくとも脊髄症の症状に対しては、マッサージや整体、カイロプラクティックなどが症状改善に有効であるという証拠は示されていません。
また、やり方によっては神経症状を悪化させてしまうリスクもあります。
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