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佐藤弘道さんが発症…脊髄梗塞の症状から原因まで徹底解説

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脊髄梗塞の症状から原因までを徹底解説します

NHKの教育番組「おかあさんといっしょ」で「10代目体操のお兄さん」として活躍した佐藤弘道さんが脊髄梗塞を発症し、下半身麻痺により活動を休止しているというニュースがありました。

脊髄梗塞は非常にまれな病気であり、正確な診断が難しいこともあります。

今回は、「脊髄梗塞」という病気について、その症状や原因、最新の治療法までを詳しく解説していきます。

脊髄梗塞

脊髄が梗塞するとはどういうことか?

まず脊髄とは、脳から出て背骨の中を腰に向かって走る太い神経のことを言います。脊髄は背骨に守られるような形で首から腰にかけて走っており、全身の感覚や運動の伝導路として脳からの指令を筋肉に伝えたり、逆に筋肉や皮膚など末梢からの情報を脳に伝えたりしています。脳と脊髄を合わせて中枢神経とも呼ばれます。

脊髄は、私たちの身体を動かすための指令を脳から伝える、いわば「情報伝達の高速道路」のような役割を担っています。そして、この高速道路をスムーズに機能させるためには、酸素と栄養を供給する血液が欠かせません

しかし、何らかの原因で脊髄への血液供給が断たれてしまうと、神経細胞は酸素不足に陥り、深刻なダメージを受けてしまいます。これが「脊髄梗塞」と呼ばれる病気です。

“心筋梗塞”や“脳梗塞”という言葉は聞いたことがありますでしょうか。これらは心臓や脳の血管が詰まり、血流が滞ってしまった部分が壊死、あるいは大きなダメージを受けてしまう病気です。脊髄梗塞もそれらと同様に、脊髄を栄養する血管である脊髄動脈が何らかの影響で閉塞し、血流の途絶えた神経細胞が障害を受けることで様々な症状を生じる疾患です。

脊髄は、他の臓器と比べて血液の供給量が限られているため、一度血流が途絶えると、非常に脆く、短時間で神経細胞が死んでしまうリスクがあります。そのため、脊髄梗塞では、突然の激しい痛みとともに、麻痺やしびれなどの神経症状が急速に現れることが多いです。

例えるなら、工場に電力を供給する送電線が切れてしまった状態です。工場は稼働に必要な電力を失い、たちまち機能が停止してしまいます。脊髄梗塞も同様に、血液という「生命のエネルギー」を失った神経細胞が、正常に機能しなくなることで、様々な神経症状を引き起こすのです。

このような症状が出たら要注意!

脊髄梗塞の症状は主に、突然の背中の痛みとそれに伴う両下肢の筋肉の弛緩と感覚障害です。

突然の背中の痛み

脊髄梗塞における一般的な症状としては、突然現れる背中の痛みから始まることが多いです。特に予兆もなく突然症状が現れるというのは、血管の詰まりや破裂を引き起こす病気の特徴です。脊髄梗塞もこのケースに当てはまり、脊髄を栄養する動脈が詰まったり破裂することにより、突然の痛みの発生へとつながります。また、症状は背中だけにとどまらないこともあり、肩などにも広がる傾向があります。

両側の手足の筋肉の弛緩

最初に現れる背中の痛みからわずか約数分という非常に短い経過で、両足に力が入らない弛緩(しかん)という状態まで症状が進行します。動かしたくても動かせない状態ですので、立てない・歩けないといった運動障害が見られます。

両側の感覚がなくなる

身体の感覚は脊髄を通して脳へと伝わりますが、この経路にある脊髄が障害されてしまうため、両側の感覚までもが障害を受けてしまいます。また、脊髄梗塞における感覚障害にはある特徴があります。それは、痛覚や温覚を伝える神経経路が主に障害されるため、痛みや温度が感じにくくなります。その一方で、触覚(触れている感覚)や振動覚(振動を感じる感覚)、また自分の手足がどの位置にあるのかという感覚を伝える神経経路は比較的障害を受けない場合もあります

このように脊髄梗塞では突然の症状に襲われて、これまで経験をしたことがないような背中の痛みや手足の脱力感、感覚の異常を経験します。後ほど治療法についても詳しく説明しますが、脊髄梗塞に対してはまだまだ確立された治療法がなく、苦しい日々を送っている方がたくさんおられます。

再生医療を専門とするリペアセルクリニックでは、この非常に稀な疾患である脊髄梗塞に対しても治療実績があり、高い効果が得られており、300名以上の脊髄疾患の方が治療に来られています。

通常では点滴により投与される幹細胞治療ですが、当院では国内でも珍しく脊髄腔内へ直接幹細胞を投与しております。

詳しくはこちらの動画をご覧ください。

脊髄梗塞の原因とは?

脊髄梗塞の原因には様々な要因がありますが、ここでは身体の構造に従って原因を分類します。

脊髄動脈の疾患

脊髄は前方と後方の2方向から血液が供給されています。前方の血管を前脊髄動脈と言い、脊髄の前方3分の2を栄養しています。そして、後方の血管を後脊髄動脈と言い、脊髄の後方3分の1を栄養しています。

栄養を送る血管の損傷

心臓からつながる動脈には栄養が豊富に含まれています。その中でも特に太い血管である大動脈の動脈硬化や大動脈解離などが発症すると、脊髄へ送られる栄養が行き届かなくなり、脊髄梗塞が起きてしまいます。 また病気が原因ではなく、手術中の手技により脊髄へ栄養を送る動脈が損傷されてしまい、脊髄梗塞となることも事例もあります。

脊髄梗塞の発生頻度

脊髄梗塞は、脳梗塞などの脳卒中と比較すると、発生頻度が極めて低い病気です。
例えるなら、100人規模の町で脳卒中患者が数人いるとすれば、脊髄梗塞患者は1人いるかいないか、という程度の稀さです。 具体的な数字で表すと、脳卒中全体のわずか1~2%程度と推定されています。
この発生頻度の低さが、脊髄梗塞の診断と治療を難しくしている大きな要因の一つとなっています。

・診断の遅れ
そもそも医師が脊髄梗塞を疑うケースが少ないため、初期症状から正しい診断に至るまでに時間がかかることがあります。
他の病気と誤診される可能性も高まります。

・治療法の確立が遅れている
患者数が少ないため、大規模な臨床試験の実施が難しく、効果的な治療法の開発が遅れている現状があります。治療経験豊富な専門医も限られています。

このように、脊髄梗塞は、決して他人事ではないものの、その稀さゆえに、診断や治療において困難な側面を抱えている病気と言えるでしょう。

脊髄梗塞の診断方法

脊髄梗塞の診断はMRI検査で評価されることが多いですが、MRI検査ができない場合はCT脊髄造影検査が行われることもあります。MRI所見としては、拡散強調像やT2強調像で脊髄の前半分に白く高信号像が確認されます。脊髄梗塞の鑑別疾患には、急性横断性脊髄炎、脱髄疾患、脊髄炎、転移性硬膜外腫瘍などがあり、これらを区別するためにもMRI検査や髄液検査が重要な役割を果たします。

脊髄梗塞の治療法やリハビリ、後遺症や予後については以下の記事で詳しく解説しています。

まとめ・脊髄梗塞の症状から原因までを徹底解説

この記事では脊髄梗塞の症状の経過や診断方法、原因などについてまとめました。

記事の中でも触れたように、脊髄梗塞は非常に稀な疾患で、明確な治療方法が確立している病気ではありません。 また、急激な背中の痛みは脊髄梗塞かどうかに関わらず、とても危険な状態にあるという身体からの信号です。 そのような痛みを感じた時には、すぐにお近くの医療機関に連絡するようにしましょう。

監修:医師 坂本貞範

参考文献

脊髄への血流遮断 – 09. 脳、脊髄、末梢神経の病気 – MSDマニュアル家庭版

脊髄梗塞 – 07. 神経疾患 – MSDマニュアル プロフェッショナル版

診断に難渋した脊髄梗塞の 1 例

脊髄梗塞 14 例の臨床像および予後の検討

 

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