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【治る時代?】肝硬変の治療法を現役医師が解説|治療期間の目安もあわせて紹介
「健康診断で肝硬変の疑いがあると言われた」
「治療しても治らないの?」
肝硬変の疑いと指摘され、将来への影響や治療について心配になる方は少なくありません。
肝臓の慢性的な炎症で肝臓が線維化して硬くなる肝硬変は、代謝や血液の循環動態に大きな影響を及ぼします。
本記事では、肝硬変の治療法について詳しく解説します。また、治療期間の目安も合わせて紹介するので、参考にしてください。
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目次
代償性肝硬変に対する治療
代償性肝硬変に対する治療は、病気の進行を抑え、合併症を防ぐのを主な目的としています。
肝硬変とは、慢性的な肝臓の炎症や障害が長期間続いたために、正常な肝組織が壊れ、線維化(硬い組織への置換)が進む疾患です。なかでも、代償性肝硬変は肝臓に線維化が起きているものの肝機能が比較的保たれており、日常生活に大きな支障が出ていない段階を指します。(文献1)
代償性肝硬変の時期は自覚症状が少ないため、適切な治療を受ければ日常生活を大きく変えずに過ごせます。ここでは、代償性肝硬変の治療法について、詳しく解説するので、参考にしてください。
原因に対する治療
代償性肝硬変の治療では、線維化がさらに進行しないよう、病気の原因に対する治療を行います。具体的な原因と治療は以下のとおりです。
|
原因 |
治療内容 |
|---|---|
|
B型・C型肝炎 |
抗ウイルス療法 |
|
アルコール性肝障害 |
禁酒 |
|
非アルコール性脂肪肝炎 |
体重管理や糖尿病のコントロール |
たとえば、B型やC型肝炎が原因の場合は抗ウイルス薬による治療を行い、ウイルスの増殖を抑えます。
アルコール性肝障害が肝硬変の背景にある場合は、禁酒が必要です。肝臓を休められるように生活習慣の改善や、肝機能を維持できるよう、栄養療法やサプリメントを使用するケースも珍しくありません。
近年増えている脂肪肝由来の肝硬変では、体重管理や糖尿病のコントロールが治療の中心になります。
原因に応じた治療を早い段階で始められると、肝機能の悪化を抑え病状の進行を緩やかにする効果が期待できます。医師の診断をもとに、自分の肝硬変の原因を正しく理解し、適切な治療を継続するのが大切です。
生活習慣の見直し
代償性肝硬変の治療において、日々の生活習慣は薬物療法と同じくらい重要です。肝臓への負担を抑えるため、バランスの良い食事と十分な睡眠を心がけましょう。
なかでも、たんぱく質の摂取量は不足しても過剰でも肝臓に負荷をかけるため、医師と相談しながら適切な量を確認してください。不足する場合には、特殊アミノ酸製剤のような薬剤を併用するケースもあります。
さらに、肥満の場合は体重管理も必要です。適度な運動を取り入れると、脂肪肝の改善や代謝の向上が期待できます。ただし、激しい運動はかえって負担になる場合もあるため、無理のない範囲で継続しましょう。
非代償性肝硬変に対する治療
非代償性肝硬変では、合併症の症状が現れるため、生活の質を維持できるように専門的な管理が欠かせません。症状の程度によっては入院治療が必要になる場合もあります。
非代償性肝硬変とは、肝機能の低下が進み、腹水や黄疸、肝性脳症などの症状が現れている状態です。(文献1)
ここでは、非代償性肝硬変に対する治療法を紹介するので、参考にしてください。
肝硬変の合併症に対する治療
非代償性肝硬変では、さまざまな合併症が起こる可能性があるため、治療では合併症の症状を改善するのが重要な目的になります。主な合併症と治療について、以下にまとめました。
|
合併症 |
治療法 |
|---|---|
|
腹水 |
・薬物療法 ・穿刺(せんし)吸引 |
|
食道静脈瘤 |
・内視鏡的食道静脈瘤結紮(けっさつ)術 ・内視鏡的食道静脈硬化術 |
|
肝性脳症 |
・薬物療法 |
代表的な合併症の1つである腹水は、量が増えるとお腹の張りや呼吸の苦しさが出るため、利尿薬を使い体内の水分量を調整します。場合によっては腹水を体外へ排出する処置が必要になるケースも珍しくありません。
また、食道静脈瘤は破裂すると大量出血を引き起こす可能性があるため、危険です。内視鏡による結紮術や硬化術などで出血を防ぐ治療が行われます。
肝性脳症は、肝機能の低下により分解されなかったアンモニアが脳に回ることや、アミノ酸バランスの乱れにより脳機能が低下する疾患です。肝性脳症が進行すると昏睡状態に陥るケースがあるため、薬を用いてアンモニアの産生や吸収を抑えます。
肝硬変の合併症は、早期に発見し適切に対応するのが肝硬変の進行管理において重要です。これらの治療は、肝硬変の進行を完全に止めるものではありませんが、症状を緩和し、日常生活の質を保つ上で重要な役割を果たします。
食事療法
肝硬変では、合併症に対する治療に加えて、日頃の食事や生活習慣の見直しも重要な治療の1つです。症状に応じた食事療法を以下にまとめました。
|
症状 |
食生活の改善ポイント |
|---|---|
|
腹水・むくみ |
・塩分・水分を控える |
|
食道静脈瘤 |
・刺激物・硬い食物を避け、よく噛む |
|
糖尿病 |
・一度に大量に食べない ・砂糖や果物を控える |
|
肝性脳症 |
・たんぱく質を控える ・食物繊維を摂る |
肝臓の機能が低下すると栄養バランスが崩れやすくなるため、適切な栄養管理が求められます。基本はエネルギー不足を防ぎながら、良質なたんぱく質を適度に摂取するのがポイントです。
腹水やむくみがある場合は塩分や水分を控える必要がありますが、脱水には注意してください。食道静脈瘤がある場合は、刺激物や硬い食品を避け、よく噛んで食べるのが大切です。
糖尿病を合併している場合は、過食を避け、糖分や炭水化物の摂取量に注意しましょう。砂糖だけ避けるのではなく、果物にも糖分は含まれているため、日頃の食事内容の見直しが必要です。
肝性脳症では、たんぱく質量を調整し食物繊維を意識した食事管理を行います。あわせて、無理のない運動習慣を取り入れることで、全身状態の改善が期待されます。
以下の記事では、肝硬変の食事療法について詳しく解説しているので、参考にしてください。
関連記事:肝硬変の食事で気をつけることは?食べてはいけないものやおすすめ献立を医師が解説
関連記事:アルコール性肝硬変とは?飲酒の影響や原因・症状・治療法を解説!
重度肝硬変に対する治療
重度肝硬変では、薬物療法や食事療法などの治療に加え、肝移植や再生医療などの積極的な治療が検討されます。
重度肝硬変は、肝機能の低下が著しく進み、薬物療法や生活管理だけでは十分な改善が見込めない段階です。腹水や黄疸、肝性脳症などの症状が繰り返し現れ、日常生活への影響も大きくなります。
ここでは、重度肝硬変に対する治療として行われる肝移植と再生医療について紹介します。
肝移植
肝移植は、機能が低下した肝臓を新しい肝臓に置き換える治療法であり、重度肝硬変に対する根本的な治療の1つです。肝移植には「生体肝移植」と「脳死肝移植」の2種類があります。
生体肝移植は、配偶者や家族などの健康なドナーから肝臓の一部を提供してもらう方法です。待機期間が短いメリットがありますが、ドナーにも手術による身体的負担が生じるデメリットがあります。
一方、脳死肝移植は肝臓全体を移植できるメリットがあるものの、提供数が限られるため待機期間が長くなり、病状が進行する可能性があるのがデメリットです。
いずれの肝移植においても外科手術が必要であり、以下のリスクを伴います。
- 全身麻酔による合併症の可能性がある
- 肝臓を取り除く際に周囲の臓器を損傷するリスクがある
- 移植後は拒絶反応を防ぐために、免疫抑制剤を服用し続ける必要がある
さらに肝移植は、すべての肝硬変の患者様が受けられるわけではありません。
肝硬変の原因や全体的な健康状態などに基づいて適応が判断され、適応基準を満たさない場合は、症状を緩和する治療を続けます。
肝移植は最終的な治療手段として、肝硬変の患者様の命を救う可能性があるため、適応の有無は慎重な判断が必要です。
再生医療
再生医療は、自分の細胞を利用して損傷した肝臓の機能回復を目指す治療法です。
肝硬変に対する再生医療では自身の「幹細胞」を活用する方法が注目されています。
幹細胞は、多様な細胞に分化する能力を持つ細胞であり、培養した幹細胞を点滴で投与することで、肝細胞の修復および再生を促す効果が期待できます。
再生医療は、従来は肝移植しか選択肢がなかった肝臓の線維化を改善する可能性が示唆されている治療法です。
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肝硬変に対する治療期間の目安
肝硬変の治療期間は一律ではなく、病気の進行度や原因、合併症の有無によって大きく異なります。
基本的に肝硬変は長期にわたり管理していく慢性疾患であり、数カ月で完了する治療ではありません。
代償性肝硬変の段階では外来通院を中心に、数カ月ごとの検査と生活管理を継続しながら状態の安定を目指します。一方、非代償性肝硬変に進行した場合は入院治療が必要となることもあり、症状の改善までに時間を要するケースがあるのも事実です。
また、肝がんの発生リスクがあるため、治療以外にも定期的な画像検査を長期にわたり続ける必要があります。肝移植を行った場合も、術後の経過観察や薬の管理が欠かせません。
治療期間だけに着目せず、生涯にわたる継続的な管理が重要と理解するのが大切です。
肝硬変は早期発見・早期治療が大切!気になる症状があったら早めに受診しよう
肝硬変は、慢性的な肝臓の炎症や障害により肝組織が線維化し、肝機能が徐々に低下する疾患です。重症化すると肝不全や肝がんのリスクが高まるため、段階に応じた治療や生活習慣の見直しが欠かせません。
肝硬変は完全に治すのが難しいですが、早期に適切な治療を始めれば、進行を食い止めて健康なときと変わらない生活を送れます。早期発見・早期治療ができるように、定期的な健診を受けましょう。
治療で改善がみられない肝硬変でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、幹細胞を用いた再生医療も行っております。ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。
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肝硬変の治療に関するよくある質問
肝硬変は治る時代になったと聞きましたが本当ですか?
肝硬変は完全に正常な肝臓に戻せる病気ではありませんが、原因を特定して適切に対処すれば「病状をコントロールして健康に近い状態を保つ」のは可能です。
以前は、肝硬変により一度硬くなった肝臓は元に戻らないとされていました。しかし、近年ではB型・C型肝炎ウイルスの除去や断酒により、線維化した組織が改善するケースも報告されています。
完治という言葉の定義は難しいですが、早期に治療を始めれば、肝がんへの進行や合併症を十分に防げます。不治の病と絶望するのではなく、科学的根拠に基づいた治療を信じて前向きに取り組むことが大切です。
肝硬変は「治す」よりも「管理し改善を目指す」と理解するのが現実的です。
肝硬変は治療しないとどうなりますか?
肝硬変は放置すると、肝臓の線維化が進み、やがて肝機能が大きく低下する疾患です。初期は自覚症状が少ないものの、進行すると以下の症状が現れ、日常生活に大きく影響します。
- 腹水
- 黄疸
- 肝性脳症による意識障害
- 食道静脈瘤の破裂による出血
- 腎機能障害
- 重症感染症
さらに、肝硬変は炎症が長期化すると肝がんに進行するケースがあり、経過観察を行わないと発見が遅れる恐れがあります。症状が軽い段階でも早期に治療を開始し、定期的なフォローと生活習慣の改善を継続することが重要です。
以下の記事では、肝硬変を治療しないことで起こりうるリスクを解説しています。
肝硬変は難病指定されていますか?
肝硬変という疾患そのものは、指定難病には含まれていません。
ただし、自己免疫性肝炎や原発性胆汁性胆管炎などから移行した肝硬変は、指定難病に該当するケースがあります。(文献2)(文献3)
そのため、肝硬変の原因疾患によっては、公的な医療費助成の対象となる場合があります。制度を利用すれば医療費の自己負担額を軽減できるため、まずは主治医に診断名を確認しましょう。
制度の適用には診断基準や重症度など複数の条件があるため、詳細は医療機関や自治体で確認してください。
肝硬変の治療は何科を受診すれば良いですか?
肝臓の専門的な診断を受けるには「消化器内科」を受診してください。一般的な内科よりも、肝臓専門医が在籍する医療機関を選ぶのが良いでしょう。
健康診断で異常を指摘された場合は、まず内科を受診し、必要に応じて専門科へ紹介してもらうようにしてください。症状が進んでいる場合や合併症が疑われる場合は、総合病院での診療が勧められるケースもあります。
早期に専門的な診察を受けられると、病状に応じた適切な治療につながります。
参考文献




















