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化膿性関節炎のリハビリは何をすれば?日常生活上での注意点を解説
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化膿性関節炎の術後は、関節を切除している場合、関節が不安定になってしまいます。
日常生活に戻るためには、適切なリハビリが重要です。
「早く復帰したい」と考え、無理なリハビリをおこなってしまうと、感染症や炎症の悪化につながる可能性があります。そこで本記事では、化膿性関節炎のリハビリやリスク、日常生活での注意点を解説します。
また、ハイキングやランニングでおすすめの筋トレも紹介しているため、ぜひご覧ください。
目次
【基礎知識】化膿性関節炎の概要
化膿性関節炎は、関節内に細菌が侵入して化膿する疾患です。
まずは化膿性関節炎が発症する原因と具体的な症状について紹介していきます。
化膿性関節炎が発症する原因
化膿性関節炎は、主に細菌が関節内に侵入することによって発症します。
細菌は肺炎、尿路感染、手術後の感染、関節内注射などを通じて関節に到達することがあります。とくに、股関節・膝関節・足関節など、下肢に発症しやすい傾向にあります。
また、免疫力が低下している人や、肥満・糖尿病などがある人も化膿性関節炎を発症する可能性があります。
以下の記事では膝関節が腫れた人向けに、痛みの原因や対処法を解説しているので、ぜひご覧ください。
化膿性関節炎の症状
化膿性関節炎の主な症状は、関節の痛み・発赤・腫脹・熱感などがあり、進行すると関節や骨の破壊、発熱などの症状が現れます。
「関節炎」は、炎症を伴う関節の痛みや腫れを特徴とする病気の総称で、化膿性関節炎はその中でもとくに急性で重篤な症状を示します。
化膿性関節炎を放置すると、関節の破壊や機能障害を引き起こす可能性があるので注意してください。
他にも大腿部や膝、肩の関節に多く発生し、患部の運動が制限されるケースが大半です。
迅速な治療が求められるため、疑わしい症状が現れた場合は、速やかに医療機関での受診をおすすめします。
治療は主に、抗生物質の投与と、場合によっては関節内の膿を排出する外科的処置が行われます。また、治療後のリハビリテーションも重要で、関節の機能回復を目指した適切なケアが必要です。
化膿性関節炎を予防するためには、日常生活での感染予防や、免疫力の向上が大切です。
化膿性関節炎の治療法と術後のケア
化膿性関節炎の治療法は、感染の原因となる細菌を特定するために関節液の採取と培養がおこなわれた上で、適切な抗生物質が投与されます。
また、感染によって関節に溜まった膿を除去するために、関節の洗浄が必要となるケースもあります。
治療後は、関節の可動域を回復させるためのリハビリが重要です。
リハビリを通じて、痛みの管理や筋力の回復を図り、日常生活における関節の負荷を軽減できるかが求められます。
化膿性関節炎は、早期に適切な治療を受けると、予後が良好になる可能性が高く、症状が疑われる場合には早急な対応が必要です。
以下の記事では、より具体的に治療法を解説しているので、あわせてご覧ください。
化膿性関節炎のリハビリ内容
化膿性関節炎のリハビリは、痛みや炎症の管理・可動域訓練・筋力増強訓練の3つを軸におこないます。
とくに、痛みや炎症を悪化させないのが大切になるため、順番に解説していきます。
痛みや炎症の管理
化膿性関節炎のリハビリにおいて、炎症の管理が非常に重要です。
炎症が関節の痛みや腫れを引き起こして可動域を制限するため、リハビリ初期では炎症を抑えることに重点を置きます。
具体的なリハビリ内容は、冷却療法を用いた方法が一般的です。
氷や冷却パックを患部に当てる方法で、一時的に痛みを和らげる効果が期待できます。
可動域訓練
化膿性関節炎で手術による関節内洗浄と骨の一部を切除した場合などは、可動域訓練が重要です。
骨の切除により関節は少なからず不安定になっており、関節固定術を実施した人は関節可動域が制限されやすいためです。
リラクゼーションも併用し、組織の柔軟性を高める必要があります。
近年では、切開範囲の小さい手術が多いものの、術創部付近はとくに硬くなりやすいため、入念に可動域訓練やリラクゼーションをおこないましょう。
筋力増強訓練
化膿性関節炎の術後では、筋力増強訓練も大切です。
手術後で固定期間が長くなるほど筋力は低下します。
とくに、下肢の筋肉は日常生活で欠かせないため、筋力を回復させることが重要です。
術後すぐは、可能な範囲で等尺性筋力増強訓練を実施します。炎症が落ち着いて関節が動くようになれば、自動運動・抵抗運動などを進めていきます。
リハビリの期間と予後
化膿性関節炎でおこなうリハビリの期間は、どのような治療をしたかによって異なります。
数週間から数カ月と、リハビリ期間の幅が広いのは、抗生物質の投与のみで治療が完了する患者様もいるからです。
一方で、関節や骨の破壊まで進行しており、切除した場合は、より時間がかかります。
参考として以下に、リハビリの期間や流れ、予後をまとめました。
リハビリ期間 |
リハビリの内容 |
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※炎症状態や年齢などの要因がかかわるため、リハビリの内容や期間は異なる場合があります。
リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングも受け付けているので、気軽にご連絡ください。
\まずは当院にお問い合わせください/
日常生活での注意点
化膿性関節炎のリハビリをする際、日常生活での注意点は、関節に負荷をかけないことが重要です。
ここからは、化膿性関節炎のリハビリを順調に進められるよう、注意点について詳しく解説していきます。
関節への負荷を減らす
化膿性関節炎になった人は、日常生活上での動作を工夫すると、関節への負荷を減らせます。
たとえば、立ったまま家事し続けるのではなく、合間に座って足を休めるのがおすすめです。
また、重量物を持ち上げるときに身体の近くで持ち上げると、各関節への負担を減らせます。動作にプラスして、サポーターを着用すると関節への負荷が軽減します。
サポーターは、関節周囲を圧迫して感覚入力を促し、関節を安定させる機能があるため効果的です。
ストレッチや筋トレをする
ストレッチや筋トレをすると、負荷を分散しやすくなるため、関節を保護や再発予防ができます。
ストレッチをすることで、筋肉や股関節の柔軟性が増し、負荷が分散しやすくなります。また、筋力が少ないと関節が不安定になりやすいため、負荷も増加しやすくなるでしょう。
筋トレをおこなう際は、正しいフォームと適切な重量設定が重要です。無理をせず、医師や理学療法士の指導のもとでおこないましょう。
初期段階では、軽めの重りや自重を使ったエクササイズから始め、徐々に負荷を増やしていくのが理想的です。
活動性が高い趣味を楽しむための工夫
化膿性関節炎の術後でもハイキングやランニング、スポーツなど、活動性が高い趣味を再びやりたい人は多いでしょう。
ハイキングとランニングを例に、実施しておきたい筋トレを紹介します。
ハイキングでおすすめの筋トレ
ハイキングでは、不整地を歩くためのバランス訓練、長距離を歩くための持久力訓練が大切です。
とくに、不整地で歩くのは足首によるコントロールが必要なため、柔らかいマット上で片脚立位を保持する練習が効果的です。
通常の地面よりバランスの難易度が高く、足首の協調性に向いています。
また、持久力訓練としてはハイキングに行くまでに実際に歩きたい距離を無理なく歩けるようにしておきましょう。
歩道で同じ距離を歩けないと、不整地に行ったときに疲れやすくて怪我のリスクも高まります。
ランニングでおすすめの筋トレ
ランニングでは、関節に負荷がかからない筋トレがおすすめです。
そもそもランニングは、下肢への強い負荷が繰り返しかかります。
活動性の高いランニングを楽しむためには、立ち座りの動作をゆっくりおこなう訓練を取り入れましょう。ゆっくりおこなうと、股関節・膝関節・足関節周囲の筋肉を協調的にコントロール可能です。
リハビリでも改善しない化膿性関節炎はお気軽にご相談ください
化膿性関節炎は細菌が原因になるため、抗生物質の投与・関節内洗浄などの治療が重要です。
一方で、再び日常生活に戻り趣味を楽しむためには、適切なリハビリが必要になります。
リハビリでは、術後すぐは関節が固まらないようにリラクゼーション・関節可動域訓練を実施したのちに、徐々に筋力訓練を開始します。
また、日常生活レベルに戻れたとしても、退院後の定期的な筋トレも重要です。
ハイキングやランニングのような、活動性の高い趣味がなかったとしても、日常生活で不便に感じないよう、効果的なリハビリを実施しましょう。
リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングも受け付けているので、お気軽にご相談ください。
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化膿性関節炎のリハビリに関連したよくある質問
そもそも化膿性関節炎は何科で受診してもらうべきなの?
化膿性関節炎の受診は、多くの場合で整形外科での受診が推奨されています。
整形外科は骨や関節に関する疾患を専門とするため、化膿性関節炎の症状や進行状況を的確に評価し、必要な治療を提供できます。
また、化膿性関節炎が疑われる場合、迅速な診断と治療が重要であるため、初期症状を感じたら早急に医療機関で受診してもらうのをおすすめします。
化膿性関節炎は放置すると、関節の機能に深刻な影響を及ぼす可能性があるため、早期の医療介入が鍵となります。
どの診療科を選ぶかは、症状や状態に応じて柔軟に考えるのが重要ですが、整形外科を起点にするのが一般的です。
リハビリをする上での注意点は?
化膿性関節炎のリハビリをする上で注意しておきたいポイントは、再感染と炎症の悪化です。
術後すぐに術創部に菌が入ると、再感染や別の感染症を引き起こす可能性があるため、触れないように注意しましょう。
また、早期から関節を動かしすぎると炎症につながるケースもあり、過度なリハビリは避けましょう。
その他、関節破壊が進んでおり、関節の手術をおこなった場合、荷重開始時期を慎重に決める必要があります。
以下の記事では、治療を早めるべき理由について深掘りしているので、あわせてご覧ください。
監修者
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坂本 貞範 (医療法人美喜有会 理事長)
Sadanori Sakamoto
再生医療抗加齢学会 理事
再生医療の可能性に確信をもって治療をおこなう。
「できなくなったことを、再びできるように」を信条に
患者の笑顔を守り続ける。