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ジャンパー膝(膝蓋腱炎)とは?症状チェックと効果的なストレッチ・テーピング技術

公開日: 2024.07.04
更新日: 2024.12.08

ジャンパー膝(膝蓋腱炎)は、スポーツに取り組む方を中心に見られる疾患です。

とくにジャンプ動作が伴う競技では頻繁に見受けられます。

しかしジャンパー膝の症状や重症度、診断方法は、あまり知られていません。また初期症状などがほかの疾患と類似しており、判断するのが難しい部分もあります。

本記事ではジャンパー膝の症状や診断方法、セルフチェックリストや有効なストレッチなどを解説します。

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ジャンパー膝(膝蓋腱炎)とは?

ジャンパー膝(膝蓋腱炎)

膝蓋腱炎(ジャンパー膝)は、バレーボールやバスケットボールなどのスポーツで生じやすい膝蓋腱に起こる炎症で、慢性的な膝の痛みが特徴的です。

以下に症状や診断方法、リスク要因を詳しく解説します。

膝蓋腱炎の症状・重症度・診断方法

ジャンパー膝は、膝蓋骨(膝のお皿の部分)のすぐ下にある膝蓋腱にストレスがかかり、炎症が起こる疾患です。

典型的な症状はジャンプや走る動作、階段の昇り降りのときに生じる膝蓋腱の痛みで、痛みの程度により軽症と中等症、重症に分類されます。

ジャンパー膝の重症度の分類

軽症 スポーツの後や歩いた後に痛む
中等症 活動開始時と終わった後に痛む
重症

活動中や後の痛みで続行困難

ジャンパー膝の診断は問診や触診、MRI、超音波検査などを行います。

膝蓋腱を指で圧迫したときに痛みが強まることや、MRIや超音波による画像診断で筋肉や腱の変性が確認できることで確定診断とされます。

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ジャンプスポーツにおけるリスク要因

ジャンパー膝はバレーボールやバスケットボール、サッカーなど、ジャンプやダッシュの動作が多いスポーツで起こりやすいです。

膝蓋腱は大腿四頭筋(太もも前面の筋肉)につながる腱で、膝蓋骨と脛骨(すねの骨)に付き、膝関節を動かしたり地面からの衝撃を吸収したりしています。

大腿四頭筋の伸び縮みにともなって膝蓋腱が脛骨や膝蓋骨の動きをコントロールし、膝の曲げ伸ばしが可能となっているわけです。

スポーツをしているときのジャンプやダッシュ、ストップ、ターンなどの動作は、急激な膝の曲げ伸ばしを繰り返し起こします。

この状態が慢性的に続くと膝蓋腱にストレスがかかり、組織に小さな損傷や炎症が起こってジャンパー膝につながります。

ジャンパー膝が軽症や中等症のうちは医師に相談しながらスポーツの継続が可能です。

しかし、ストレッチやウォーミングアップ、活動後のアイシングなどをおこない、常に膝のケアに努める必要があります。

また、重症例で腱に断裂がある場合は手術が必要になる可能性もあるため、疑わしい症状がでているときに放っておくのは危険です。

関連記事:ジャンパー膝といわれる大腿四頭筋腱付着部炎の原因と治療

ジャンパー膝(膝蓋腱炎)の症状のチェックリストと適切な対応

ジャンパー膝の症状が疑われるときは、自分で膝蓋腱に刺激を加えながらチェックできます。

家でもできる膝蓋腱の状態を確認する方法とその評価の意味を解説します。

家でできる症状チェックテスト

スポーツや活動時に繰り返し膝が痛むときは、一度セルフチェックをおこない、ジャンパー膝の症状がでているか確かめてみましょう。

以下の状態が当てはまる場合は整形外科に受診してください。

膝蓋腱をゆびで押してみる

膝を曲げた状態と伸ばした状態で膝蓋腱をゆびで軽く押してみましょう。

どちらの状態でも痛む場合はジャンパー膝を疑います。(※曲げた状態のほうが痛みは走りやすいです)

うつぶせで膝を曲げる

うつぶせの状態で膝を曲げ、踵をお尻に近づけてみましょう。

股関節まわりが地面から浮いた場合は、ジャンパー膝が生じている可能性があります。

ジャンプする

何度かジャンプしてみましょう。

跳躍と着地の瞬間いずれか、または両方で違和感や痛みが感じられた場合、ジャンパー膝の発症が疑われます。

また痛みの懸念からジャンプを避けた、思い切り飛ばずに加減した際も、同様にジャンパー膝の発症が疑われます。

足に力が入りにくい

いつものように足に力が入るか確かめてみましょう。

力が入りにくいと感じた場合には、ジャンパー膝の発症が疑われます。

ジャンパー膝(膝蓋腱炎)が疑われる際の対応

ジャンパー膝が疑われる際は、ただちに診断を受けることをおすすめします。

ジャンパー膝は早期に対応すれば重篤な症状を呈する炎症ではありません。

しかし初期症状があるまま放置していると、痛みや腫れが悪化し、治療に時間がかかるようになります。

最悪の場合、腱の断裂が起こり、手術が必要になるかもしれません。

ジャンパー膝が疑われる場合は、可能な限りすみやかに医療機関で受診しましょう。

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ジャンパー膝(膝蓋腱炎)の治し方

ジャンパー膝の治療は以下の方法でおこなわれます。

  • ・物理療法|冷気や電気、低周波などを当てて、直接的に炎症の修復などを図る
  • ・体外衝撃波|特殊な衝撃波を当てて、痛みや痒みの緩和、患部の修復を図る
  • ・リハビリ|大腿四頭筋を中心としたリハビリで、再発を予防する
  • ・PRP(再生医療)|自己脂肪由来幹細胞などを用いて、患部の修復を図る

PRP(再生医療)では、従来よりも容易にジャンパー膝を完治に導く期待があります。

興味がある方は以下を参考にしてください。

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ジャンパー膝(膝蓋腱炎)の痛みを緩和するストレッチ

トレーニング前後のストレッチは、膝まわりの負担や痛みを減らすために重要です。

膝蓋腱の痛みを和らげる効果のあるストレッチや習慣づける方法を紹介します。

膝蓋腱を和らげる効果的なストレッチ

膝まわりやお尻の筋肉をストレッチで柔らかくすれば、膝蓋腱の負担軽減につながります。

以下の方法で大腿四頭筋やハムストリングス(太もも後面の筋肉)、殿筋(お尻の筋肉)のストレッチをおこないましょう。

必ず膝まわりに痛みがでない程度におこなってください。

大腿四頭筋のストレッチ

①床に両膝を伸ばして座った後、ストレッチをする側の膝を曲げて踵をお尻に近づける

②両手を床について身体を支えながら、上半身を後ろに倒して太もも前面の筋肉を伸ばす

大腿四頭筋のストレッチ(膝を曲げると痛む場合の方法)

①ストレッチをする側の膝を床につき、ストレッチをしない側の膝を立てて片膝立ちの姿勢になる

②上半身を起こしながら身体を前方に移動させ、太もも前面の筋肉を伸ばす

ハムストリングスのストレッチ

①仰向けの状態でストレッチをする側の脚を上げる

②膝を伸ばしながら脚を胸に近づけ、太もも後面の筋肉を伸ばす

殿筋のストレッチ

①床に座り、ストレッチをする側の脚は膝を曲げて外側に開き、ストレッチをしない側の脚は後方に伸ばす

②上半身を前に倒しながらお尻の筋肉を伸ばす

トレーニング前後のストレッチルーティン

トレーニング前後では一つのストレッチを20〜30秒間かけておこない、10秒くらい休んだ後にもう一度施行しましょう。

とくに大腿四頭筋のストレッチは膝蓋腱にかかる負担が減るため、欠かさずおこなうことが大切です。

トレーニング前後のストレッチを習慣づけることで、ジャンパー膝の発症や再発の予防につながります。

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ジャンパー膝(膝蓋腱炎)を発症している際のテーピングテクニック

正しい方法でテーピングを施行すればスポーツや活動時における膝のサポートが可能です。

競技中の痛みを抑えるためにおこなう場合は必ず整形外科で専門家に相談しましょう。

以下に方法と注意点を詳しくお話しします。

膝のサポートに役立つテーピング方法

太さ50mmほどの伸縮性のあるテーピング(すねの上側から太ももの中間までの長さ)を3枚準備して以下のようにおこないます。

①1枚目:膝を軽く曲げた姿勢ですねの外側から膝の内側、太ももの外側にかけて引っ張りながら貼る

②2枚目:膝の下から膝の外側、太ももの外側にかけて引っ張りながら貼る

③3枚目:1枚目のテープより少し上に重ねて、すねの外側から膝の内側、太ももの内側にかけて引っ張りながら貼る

テーピングの正しいやり方と注意点

膝のサポートを目的としたテーピングは、運動に支障のない範囲で関節や筋肉の動きを制限させることが大切です。

テーピングをおこなうときは以下の内容に注意します。

  • ・外傷がある部位の接触を避ける
  • ・適切な巻き方でおこなう
  • ・正しい姿勢で巻く
  • ・巻くときにシワをつくらない
  • ・血管や神経、筋肉、腱の過度な圧迫は避ける
  • ・パフォーマンスが低下するほど強く巻かない
  • ・水ぶくれや肌荒れ、かぶれ、湿疹などがないか確認する

適切な方法や姿勢でおこなわないと十分な効果が得られなかったり、逆効果になったりする可能性があります。

痛みが軽快しない、パフォーマンスが低下するなどの場合は正しいやり方でないこともあるので、一度見直してみましょう。

また、テーピングは肌に直接触れるため、汗で蒸れたりすると皮膚トラブルを起こしやすいです。

皮膚に外傷があったり、肌荒れやかぶれなどができた場合はできる限り接触を避けましょう。

予防策としてのトレーニング調整

スポーツを続けていく選手にとって、症状の再発や悪化の進行に対する予防策はかかせません。

ジャンパー膝の予防に向けたトレーニングや日常生活におこなう取り組みを紹介していきます。

適切なトレーニング方法とその頻度

ジャンパー膝の予防には、大腿四頭筋の筋力をきたえることが大切です。

また、過去の論文にはジャンパー膝に対するトレーニングに傾斜台上での片脚立ちスクワットが効果的であると報告されています。

トレーニングは症状が発症したばかりの時期はひかえ、専門家の指示のもとで痛みがない程度におこないましょう。

以下に方法を説明します。

大腿四頭筋の筋力トレーニング

①椅子に座り、膝を伸ばしたときに抵抗がかかるように足首と椅子の足をゴムバンドでつなぐ

②ゴムバンドによる抵抗を感じながら膝を伸ばす

③5秒ほど時間をかけて1回おこない、連続10回、1日2セットおこなう

スクワット

①25度程度の傾斜台を準備し、降りの方向に顔を向けて立つ(※傾斜台がなければスロープの上や、踵に折りたたんだタオルを置いた状態でおこなう)

②片脚立ちになり、股関節と膝関節を曲げながらお尻を床に近づける。膝の位置が足の位置より前方に出ないように注意する

③股関節と膝関節を伸ばして片脚立ちの姿勢に戻る。10回連続でおこない、1日3セットほどおこなう。きつく感じるようであれば必要に応じて手すりなどを持ちながらおこなう。

再発防止のためのエクササイズと日常生活の調整

日常生活で膝のケアをおこないながら症状の再発や悪化の進行を防ぎましょう。

バンドを装着する

ジャンパー膝の治療として、膝蓋腱の走行に横断して取り付けるバンド(サポーター)の装着が効果的です。

バンドによる膝蓋腱の圧迫は、腱の走行を変化させて負担を減らせることが明らかになっています。

スポーツや活動時の膝蓋腱の過剰なストレスが減り、痛みの緩和が期待できます。

患部の安静や練習を減らす

痛みが強いときはできるだけ患部の安静を保ち、ジャンプやランニングの練習を減らしましょう。

ジャンパー膝はジャンプ競技による膝のオーバーユース(使いすぎ)で生じることが多いので、活動量を減らすことで症状が軽快しやすいです。

重症化すると腱の断裂につながる可能性もあるため、痛みが強いときは無理をしないようにします。

練習後ににアイシングをおこなう

練習直後にアイシングを15〜30分ほどおこないましょう。

激しい運動の後は膝蓋腱により炎症が起きやすく、熱感や腫れが強まります。

できるだけ早く患部を冷やし、炎症を抑えることで症状の悪化を防げるわけです。

ジャンパー膝は皮膚から深い位置で起きている炎症なので、氷を入れた袋を弾性包帯で患部に巻きつけて固定すると効果的です。

ジャンプと着地の仕方を修正する

内股の状態で踏み切ったジャンプやバランスの悪い着地は、膝蓋腱のストレスを高める原因です。

ジャンプのフォームを客観的に確認したり、なわとびで正しいジャンプの方法を修得すれば、改善につながります。

硬い床を避ける底の厚いシューズも膝蓋腱の負担を減らせます。

炎症を抑える飲み薬やぬり薬などを使用する

痛みが強い場合は医師から処方された飲み薬やぬり薬、湿布などを使用しましょう。

医師の判断によってはステロイドの局所注射をおこなうこともあります。

炎症を抑える効果のある医薬品の使用で、スポーツや活動時の膝の痛みが抑えられます。

まとめ

この記事ではジャンパー膝の概要やセルフチェックの方法、スポーツを継続するためのケアをお話ししました。

ジャンパー膝の痛みに悩まされてる方は以下の内容を守り、より長くスポーツを楽しめるようにしてください。

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膝蓋腱炎の総合的な管理法

ジャンパー膝の症状に付き合いながらスポーツを続けていくためには、ストレッチやアイシングなどで、トレーニング前後に膝をケアするのが大切です。

また、発症や再発、重症化をを防止するためにも、専門家の指示のもと傾斜台でのスクワットもおこないましょう。

痛みが強い場合は安静にしたり、ジャンプのフォームを修正したりするのも重要です。

専門家との連携と更なる情報ソース

ジャンプ競技への復帰や継続は必ず専門家と相談しながら決めていきましょう。

テーピングやトレーニングなどは症状の軽減や予防に効果がありますが、間違った方法でおこなわないためにも、専門家の指示を受けることが大切です。

参考文献一覧

 

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